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詳細(4)からの続き...

 いよいよ、終演に近づいて来た。ここまで、演奏する立場からするとアッと言う間だった気がします。あんなに長くリハーサルしたのに、本番はこうも早く過ぎ去って、幸せな時は何と短いのでしょう。

 本編最後にお迎えしたのは、佐野元春さん。佐野さんの登場に、我々バンド側にはピリっとした空気が流れましたね。なぜなら、スタジオでのリハの時からすでに、彼はこちらの予想を上回るエネルギーで、本番さながらのパフォーマンスを披露していたからです。私達は、彼の動き、合図、声を絶対に見逃したり聞き逃すことは許されません。初対面だろうと、古田君のように旧知の中だろうと、すべてのコントロールは佐野さん次第なのです。
 だからといって、借りて来た猫のような演奏でおとなしくなんかしていられない。スタジオだろうとステージだろうと、いようがいまいが彼にはお客が見えていて、その見えない相手を常にあおり続けているし、背中から我々にも強烈なオーラでプッシュしてくるのだった。

e0093608_1391161.jpg 曲はお馴染み"Come Together"のみ。しかし、魂を込めてこれ1曲ですべてを出し切りたいという主旨のメールをご本人から本番日前にいただいた以上、こちらにもそれなりの覚悟と気合いが必要なわけです。ですから、やはりピーンとした緊張感が生まれたのも当然でした。

 去年のオノ・ヨーコさんとのステージを思い起こしました。あの時も同じような緊張感と、一瞬たりともヨーコさんの動きを見逃さないように集中しようとしていました(それでも、いろいろあったけど)。

 そういう時って、集中が高まることで、逆に本能的な演奏になっていくところがある。特にこういうシンプルで扇動的なロック・チューンならなおさらなのだ。だから、どこをどう演奏したかより、どこまでも熱く深く音楽に入り込んでいたか、と同時に氷のように冷静に全ての動きを理解できていたか、となるのだった。こういう体験は麻薬的なので、ずっと浸っていたいのだ。もっと演奏したい。もっと、もっと...。

 音楽って時間に司られた芸術で、エンディングに向かってその興奮や感動は頂点に導かれていくわけだけど、その「約束の地」とも言えるエンディングは同時に文字通り「終わり」であって、残酷にもそこで音は消え、もう二度と戻ってこない。

 その時間は7,8分あっただろうか。短かった、だが濃密なひと時だったと感じる。

 さて、次で最終回。詳細(6)へ続く
by harukko45 | 2006-11-07 14:02 | 音楽の仕事 | Comments(0)

詳細(3)からの続き...

 11/4の詳細レポートの4回目。しつこいね。なかなかコンパクトにまとめられないのだが、まぁ自分のブログなんだから遠慮はいらない? ということで、まだ中盤戦です。

 斉藤和義さんを送り出して、再びパックンマックンによるチャリティ活動の概要の報告。この辺にこのイベントの「真面目さ」が出ていると思う。正直、実際に集められたお金が何処に渡り、どのように使われ、その結果どれだけの人々が救われているのか、そんなに大げさでなくても、このイベントによって少しでも恵まれない子供達が喜んでくれているのか、誰もが知りたいし、知る必要があるわけだ。そこをきちっとオープンにしているプロデュース・センター/Dream Power事務局の姿勢は立派だと思う。
 そして、その具体的な成果は過去5回のコンサートでアジア・アフリカ17国に54の学校建設を支援してきたのだった。

 さて、そういった流れにそって、日本の子どもたちからアジア・アフリカの子どもたちに贈られた「愛の絵はがき」をバックにしながら、押葉君が再び歌った。曲はアルバム"Mind Games"に収録されて、特にジョンのやさしさが伝わる"I Know(I Know)"。映像ともピッタリだったけど、それ以上に押葉君の歌いだしはジョンが乗り移ったかのようで、何だか不思議な気分におそわれて、フンワリした状態になってしまった。

e0093608_1323832.jpg 一般的にはあまり評価されていない"Mind Games"だが、今聴くと70年代初期の反戦運動に疲れたジョンの何とも言えない脱力感が、逆に新鮮に感じられるのは変だろうか。現在聴くことのできるリミックス、リマスタリング盤はオリジナルよりも格段の良さに仕上がっており、もう一度再評価するに値する作品であることを証明していると思う。

 "I Know"もそうだが、カントリー風味を随所に取り入れたり、それまでと違いニューヨークのスタジオ・ミュージシャン達による安定したバック演奏が、全体に心地よいリラックス感を生んでいるのだった。

 この曲のサビでは押葉、黒沢、阿部の3人衆によるハーモニーが曲の良さをより引き立てたと思う。その間、ドラムの古田君は微妙な変拍子に細心の注意を払ってバンドをコントロールしていたことを忘れてならない。

 続いては再び、宮沢りえさんが登場して"Imagine"の詩を朗読。そして、今回大活躍のLOVE PSYCHEDELLICOのステージだ。とにかく、彼らは本当に「Nice Guy」だ。そしてちゃんと大人でもあるし、プロフェッショナルとしての自覚も持ち合わせている。なので、自分達のパフォーマンスはもとより、出演者全員によるシーンでも全力で取り組んでくれる。また、今回は特にヴォーカリスト達のリーダー役を買って出てくれた。ある意味、いつもだとオールキャストのシーンではまとまりなくなってしまうムードを彼らが一つの方向に引っ張っていってくれたとも言える。この場を借りてNaoki&Kumiにお礼を言いたいと思います。「お前ら、サイコー!」

 さて、レアな選曲とハードな演奏の去年とはうってかわって、今年の彼らはおなじみの曲を斬新なアレンジで聴かせてくれた。"Help!"は予想外のコード展開が、個人的にはブロンディのように感じて、思わずニヤリ。"Stand By Me"も彼らにかかると別物の魅力が出て来て楽しませてもらった。だいたい、オジサン達がこの曲やると、どうしてもあるパターンに収まっちゃうんだよね。
 デリコにはこれからも頑張って、もっとビッグになってほしいな。

 そんな彼らの熱気を引き継ぎながら、老体にむち打って(それって、俺とオッサンだけかな?)再びステージに向かうトリビュート・バンドであった!!
 次にお迎えするのは、今が旬のスキマスイッチのお二人。ボーカルの大橋君はなかなかのビートルズ・マニアとのことで、今回の選曲にその深さが伺われるのだった。つまり、オジサン的には「ん? 若いのになかなかやるじゃん!」って感じ。

e0093608_1331094.jpg まずは名作"Rubber Soul"のラストにおさめられた"Run For Your Life"。クー!タマラン!!ワタシャ、初期からサイケ前のビートルズが大好きなの!よくぞ、選んでくれました。センスがいい!それだけで大絶賛。おまけに、"Please Please Me"や"A Hard Day's Night"からの有名曲じゃないところがニクすぎます!
 それに、大橋君はイントロのアコギの入り方にまでチェックしながら、自ら弾きこなす、かなりの「こだわり」を見せておりました。うーむ、こいつらもただ者じゃないのぉ。

 演奏面では、ギターの土屋さんの真骨頂が聴かれるわけで、キーボードなどは必要ないし、阿部君はこの曲のみギターを弾いて器用なところ見せてくれた。なので私は、古田君のローディの佐藤君がやるはずだったタンバリンをバンマス権限で奪い取って叩いておりました。それでも、最高。曲よし、サウンドよし。本当にこの頃までのビートルズの完成度は実に高い。最近のリスナーの中にはビートルズは下手だの、レッド・ツェッペリンの方がロック・バンドとしては上だの、訳の分からんことをほざく奴らを見かけるが、そんなことを語るのは10年早い、おととい来やがれ、と言いたい。
 ビートルズは60年代のバンドとしてはダントツにうまい!特にボーカルの完成度の高さは圧巻だ。レコードとライブとで歌の出来に大差ないことに、まずは感動すべきだ。
 それに加えて美しいメロディと斬新なコードワークやベースライン、そしてある意味革新的とも言えたリンゴのドラミングに敬意を払ってほしい。
 また、私もZEPは大好きだし尊敬するバンドではあるが、ビートルズと比較して何になる。時代が違うのだ。ビートルズがあってZEPがある。モーツァルトがいてベートーベンがいてワーグナーが登場するのと同じである。

 余計なことで興奮してしまった、失礼。

 で、スキマスイッチだ。とにかく、私は大橋君の声のかっこよさには心底参りました。エー、声や! 久々に男らしいボーカルの登場にウキウキさせられるし、見事に自分を生かす選曲だったと思う。

e0093608_1323832.jpg そして、もう1曲。再び"Mind Games"から"Out The Blue"。この曲、知ってた?ごめん、私、こんなにカッコイイ曲があったなんて今回気づきました。お恥ずかしい。でも、バンドのメンバーも最初に演奏した時に、皆それぞれ「カッコイイー」って示し合わせたように発したんだから、認識としては私とさほど変わらなかったんじゃないかな。

 どこがいいか? まずは哀愁のアコギによるイントロで、いかにもジョン風の「ひねくれた」コード展開にキュンとする。そして、ボーカルがやさしさに満ちたメロディを歌いだすと、もうすでにかなりやられるのだが、すぐにやってくるサビに入る瞬間が「まいった!たまらん!」心境になるのだった。はっきりいって、ここのGのコードを思いっきり気持ちを込めて弾くのが楽しみでしょうがないのだ。一度、バンドで演奏してみればわかる。素晴らしい隠れた名曲だったのだ!

 土屋さんのソロによるアコギのイントロとバッキングは、ほんとにハートフルで素晴らしい。いつだって信頼でき、尊敬に値するプレイヤーだよ、オッサンは。
 そして、間奏ではスキマスイッチの常田君がピアノでビシっとソロを取ってくれた。最初はソロはあまり得意じゃない、なんて言っていたがとんでもない、ちゃんとしたピアニストとして盛り上げてくれたし、我がバンドの阿部君もエレピで参戦して豪華な3キーボード・サウンドが実現したのでありました。
 そして、ここでも大橋君のボーカルが秀逸でした。特に1コーラス目のサビ前で少しポーズして入りをためたあたりは、再びニクイ演出だった。

詳細(5)へ続く
by harukko45 | 2006-11-07 00:12 | 音楽の仕事 | Comments(4)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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