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 詳細(1)からの続き...

e0093608_12470100.jpg オープニングに続く、ソロ・コーナーのトップバッターは平川地一丁目。うー、若い。何しろ18と15の兄弟だからね。彼らはまず、"Don't Let Me Down"を歌った。正直、ここでこの曲を演奏できたのは、バンドとしても良かった。異常に緊張感のある内容とオープニングというプレッシャーの元だった"A Day In The Life"から一気に解放されて、のびのびしたかったからだ。それと、私としては歌うお二人が若いこともあり、この曲へのアプローチは最近になって発表になった"Let It Be~Naked"におけるバージョンをお手本とすることした。

 従来のテイクとどう違うかは、簡単に言えばテンポが早いこと(テープの回転をあげているらしい?)、それにより、全体にまったりしてルーズな良さがあった前テイクよりも、アグレッシブな仕上がりで若々しい印象になった(正確には前テイクの2日後の屋上ライブでのテイクがNakedに収録された)。そんな理由からということで、ドラムの古田君には"Naked"的なニュアンスで引っ張ってもらうことにした。
 また弟の直次郎君が結構炸裂した感じで歌ってきたので、作戦は成功。兄ちゃんの龍之介君もきっちりエレキ・ギターを予習してきて、リハではところどころ土屋さんにアドバイスしてもらったり、なかなか微笑ましかった(親子みたいな年の差ですから!)。
 後半の阿部義晴さんのフェンダー・ローズのソロはオリジナルに準じた感じのトライだったが、やはり本物の楽器のトーンが良い。この辺の阿部君のこだわり方はさすがだったな。彼の足下はまるでギタリストのように古いエフェクターが並んでいたし、ローズもきっちりアンプでならしてマイクで拾っていた。

e0093608_12471377.jpg 平川地の2曲目は同じ"Let It Be"がらみの"Across The Universe"。ビートルズ後期のジョンを代表する作品と思うが、当時の彼はどのテイクにも満足していなかったというこだわりの曲でもある。
 当初これも、"Naked"風のシンプルなサウンドにして、ほぼ二人だけのパフォーマンスでもいいと思ったのだが、彼らからはシェイカーとストリングスを加えてほしいとのリクエスト。たぶん、彼らはフィル・スペクターによる"Let It Be"のテイクをイメージしていたのだろう。

 私としては土屋さんにジョージ風のアプローチを是非加えてほしかったので、じょじょに広がりのあるサウンドになっていった。私はあまり大仰なストリングスはさけて、ストロベリー・フィールズ風のフルート音を多用してみた(フィオナ・アップルがそんなムードでこの曲をカヴァーしていたのを思い出した)。全体には直次郎君の素朴な歌声もあって、甘ったるい感傷的なムードに陥らず、ザックリいったと思う。

 だいぶ落ち着いたムードになってきたところで、平原綾香さんの登場。ミリタリー調の衣装にビックリ。彼女のイメージってどうしてもヒット曲の雰囲気に結びつけちゃうんだけど、もっと多角的にアーティストのことを見なくちゃいけないね。そして、リハの時に書いたように、彼女は実はR&B系の音楽も大好き。そんなニュアンスがよく出たのが、1曲目に歌った"In My Life"。

e0093608_12472626.jpg もちろん、"Rubber Soul"に収録されたあまりにも有名な傑作曲。だが、女性が歌うためにキーをAからDに変更した。故に、ビートルズのギターサウンドのおいしい部分は薄まった。だから、あえてオリジナル通りのアプローチはやめ、ドラムのサウンドも抑えめに、雰囲気は「Swinging London」のガールポップ風を目指してみた。少しサイケな(メロトロンのフルート音やヴィブラフォンのような)音色を加えたりしたが、オリジナルの良さからあまり遠ざからない世界でこの曲を成立できたのでは、と思っている。

 それに、綾香さんの歌い回しがソウルフルなので、ますます「あの時代」ぽくなったんじゃないかな。
 ジョージ・マーティンによるバッハ風の有名な間奏は、今回は上のパートを阿部君に、下を私と分け合って演奏した。正直、この部分だけで妙なプレッシャーをバンドが抱えるより、確実なアンサンブルを実現する方が良いと判断したからだ。

e0093608_12473934.jpg 平原さんの2曲目、"Mind Games"も"In My Life"同様キーの変更があり、やはりオリジナルにあるジョン独特の「深みにはまっていくような」ザックリしたロックにはなりにくかった。なので、こちらは完全にイメージを変え、しっとりとしたバラード風に始めてじょじょに盛り上がってオリジナルの世界に近づいていくことにした。ここでも、阿部君のフェイザーのかかったローズが効果的だった。たぶん、曲をよく知っている人には意外な展開だったかもしれない。が、元々ある曲の核心部分はアレンジの変更などにはビクともしないことを証明したような気がする。

 さて、ここでパックンマックン登場で少しなごんだ(?)ムードの後、押葉君がWhite Albumに収録されたヘビー・ブルーズ、"Yer Blues"を歌った。

e0093608_1252519.jpg ある意味、押葉君が歌う曲は「オレたちゃバンド」って感じになる。当然気合いも乗って来て当たり前。もちろん曲のせいもあるけど。だから、間奏をのばして私のオルガン、阿部君のローズ、土屋さんのギターとソロ回ししてそれぞれをフィーチャアすることにした。1968年にローリング・ストーンズが制作した"Rock'n Roll Circus"における、エリック・クラプトンやキース・リチャーズ、ミッチ・ミッチェルを率いたバージョンも参考にしながらも、かなり自由度を増してトリビュート・バンド色がよく出たと思っております。前半戦のパフォーマンスでは一番満足行く仕上がりだったかも。やっぱ、皆ロック好きね。変拍子だってオチャノコサイサイ、ニュアンス一発で最高に楽しかった。

 あー、また長くなりました。今日のところはこの辺で、...まだ続く。詳細(3)へ
by harukko45 | 2006-11-05 23:11 | 音楽の仕事 | Comments(0)

 11/4日本武道館でのジョン・レノン・スーパーライヴ、満杯のお客さんに来ていただき、無事に終了することができました。お越しいただいた皆さんに厚くお礼を申し上げます、ありがとうございました。
 規模とその意義の大きなイベントだけに、いろいろ大変なこともありましたが、最後にステージと客席が一体となって、ONOCHORDのパフォーマンス(いやー、何度やっても美しい)やヨーコさんを迎えての全員での演奏に、ステージの上にいる方も感動させられてしまうのでした。
 記憶が鮮明なうちに、ステージ側から振り返ってみます。

 本編がスタートする前に、オープニングアクトとしてTUCKERが登場。こいつがタダ者じゃない。普通のDJ、ターンテーブリストかと思いきや、自らキーボード(これが昔のエレクトーンで、下のスピーカー部分をブッタギってあった!)とベースを巧みに操り、プレイヤーとしてもなかなか。リハの間から我々ミュージシャン、スタッフからも喝采を浴びておりました。おもろいヤツがいたもんだ。今後も要注目であります。

 さて、ジョンの歴史を振り返る映像がスクリーンに映し出されて、いよいよ本編のスタート。約8分間の映像のラスト1分でステージに上がるのだが、袖にいると、この待ち時間が長いこと。朝9時半の入り時間からかぞえればずいぶん経ったこともあって、「やっと本番だ!」って気持ちが強く、少しでも早く演奏したいっていう高ぶりは抑えられないのだった。

e0093608_12411225.jpg そして、映像の最後「2006」の表示にあわせて、私がジョン自身の声をサンプラーから流し、彼のカウントでアコギの黒沢君が"A Day In The Life"を弾き始めるという段取り。今回も前回同様、一切同期打ち込みは使っておらず、すべて人力でおこなった。今更クリックなんか聴きながらライブで演奏したくない。とは言え、やはりこの部分は緊張するところだね。でも、黒沢君はスムーズにカッティングを始めて、私はその2小節だけでキュンとなってしまった。

 実は、この曲のイントロを当日になって私の判断で変更させてもらい、それまで慣れていた感じを一度壊してしまった。が、黒沢君、ピアノの阿部君、ベースの押葉君は短い当日リハのみでしっかり対応してくれ、3人による続く2小節は本番では完璧だった。ワダハル、ここの数秒だけで感動であった!

 ボーカル・パートはスキマスイッチの大橋卓弥さんが歌い始めると歓声が沸き上がったね。やはりライブならではの熱気が全体をあおる感じで、ワクワクする。続いて平原綾香さん、我らが押葉真吾さんと豪華リレーだ。
 ここのジョンが書いたメロディは陶酔感があふれていて実に美しい。が、それに聞き惚れていてはいけない。あの幻想的な「I'd love to turn you on.」に導かれて、この曲での有名な部分でもあるオーケストラの過激なクラスター和声による上昇パートがやってくる。これは、ビートルズのものをサンプリング。今は長いサンプリングが容易になってこういう再現は実に楽になった。ただし、演奏のテンポはビートルズのものとは微妙に違ってくる。そこを私が判断して最後のオケヒットまで辿り着くわけだ。何回かリハで合わせていくうちにつかんだタイミングがあって、本番でもピタリとうまくいった。これはもちろん、古田君の安定したドラミングがあってこそ。

 さて続く通称「ポールのパート」、ジョンの幻想的な部分からポールのポップでノリのいい部分が絶妙の配置でやってくるこの曲は本当に素晴らしい。ポールの歌いだしの前に「目覚まし時計」がなるのだが、押葉君とも話してそこまでは再現するのはあざといからやめよう、ということになった。今回、この曲に打ち込みを使うべきか悩んだ私に、「バンドのりでいきましょうよ。」と力強く後押ししてくれたのも彼だった。
 結果、今回ボーカル陣のリーダーシップをとってくれたラブ・サイケデリコのお二人がいい感じでお客さん達にクラップを求めてから歌いだしたので、こちらの想像以上に自由な気分が沸き上がり、一気に明るくウキウキしたムードも生まれたと思う。

 そして、この曲のもっとも感動的な部分であるジョンの「Ah~」によるフェイク。コードが流れるように動いて、違和感なく「ジョンのパート」に戻るのだが、ここでは若い平川地一丁目とともに、彼らに歌唱指導もしてくれた黒沢健一さんが素晴らしい歌声を聴かせてくれた。彼はメインを引き立てるようにバランスをよく考えながらも、絶妙なハーモニーを各曲でつけてくれていたのだった。
 最後のボーカルは曽我部恵一さん。彼はさすがとも言うべきニュアンスで、どうどうたる歌を聴かせてこの大曲をしっかりしめてくれた。曽我部さんはリハよりも本番がよりいいというのがまた素晴らしい。

 さて、再び巡るオーケストラのクラスター部分。ノリノリの「ポールのパート」を経てテンポは自然に早くなっているので、さっきのタイミングとは違う。が、こちらもうまく決まった。私の合図を見つめるバンドメンバーの目が皆真剣なのがたまらなく印象的だった。エンディングはラブサイケのNaoki君のアイデアで全員でジャンプすることに。よって原曲通りでなく派手にかきまぜることになった。でも、オープニングとしてはこれで正解。やはり、メインに立つ人の直感はするどい。

 なんと、たった1曲でこれだけ書いてしまうとは! ビートルズが相手だからしかたがないか。とりあえず、続く...っと。詳細(2)へ


 
by harukko45 | 2006-11-05 17:35 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる