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ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(5)

詳細(4)からの続き& Merry X'mas.

Bonnie Pinkさんとの2曲について。

 Bonnieさんは今回で3度目の登場で、これまでも我々トリビュート・バンドとのやり取りもかなりスムースだったし、彼女のポップでスタイリッシュな感覚がコンサートに独特の色合いと変化をつけてくれるのだった。今回も期待通りの明るい曲調の選曲に、十川さん曰く「ホッコリ」であった。
 
 で、当初私がもらっていた曲順表は"With A Little Help From Friends""Whatever Gets You Thru The Night"となっていたので、そのような流れでアレンジを考えていたし、バンドのみのリハーサルではその形でかなりの部分組んでしまった。
 しかし、この曲順に関しては、アーティスト側が後で決定するもので、これまでも何度か曲順変更はあったし、私もよく承知しているはずのことだった。なのに、ここに関しては"With A Little Help..."を頭にと私が勝手に思い込んでしまっていた。それには理由がある。

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(5)_e0093608_1202265.jpg ビートルズのモンスター・アルバム「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」の2曲目で、ジョー・コッカーによるカヴァー・バージョンも私のような世代には印象的だった"With A Little Help From Friends"は、1曲目であるアルバム・テーマ曲の最後で「さあ、ビリー・シアーズをご紹介します!」と歌われた後、曲つなぎで突入する。その際にイントロでもご丁寧に「Billy Shears」と3声コーラスがついている。
 で、登場するリンゴ・スター扮するビリー・シアーズが「調子はずれで僕が歌ったら君はどう思うだろう...」と歌い始めるわけ。

 クレジットにはレノン=マッカートニー作となっているが、ほとんどポールの作だから厳密に言えば微妙な感じもするが、曲の魅力は十分だから、やらないでおくには惜しい。だが、アルバムにおける曲つなぎのイメージがすごく強いので、何かしらのしかけが欲しい気がした。
 なので、ジョー・コッカー・ヴァージョン(オルガンやギターによる壮大なイントロダクション)を参考にしながら(注:ジョー・コッカーはゴスペル風のスローワルツだからそのままでははまらない)、オリジナルのノリにスムースに移行できるように、ちょっとしたインストを加えたのだった。そこで、バンド的には一度盛り上げておいて、おもむろにビリー・シアーズならぬボーニー・ピンクを紹介する、というストーリーを描いていた。

 が、Bonnieさんが考えていたのは"...Thru The Night"の軽やかなグルーヴで登場して"With A Little Help..."をじっくりと歌いたかったのだった。

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(5)_e0093608_15143567.jpg その"Whatever Gets You Thru The Night"は74年のアルバム「Walls And Bridges」に収録され、エルトン・ジョンとの競演で全米1位にもなった曲。確かに、ジョンのヒット曲として大抵のベスト盤にも入ってくるわけだが、だからといって、これを彼の代表曲とするのは少々抵抗を抱く人も多いだろう。私もその一人。
 ビートルズ時代からジョンがときおり見せる「テキトー」さは、魅力の一つではあるものの、楽曲自体の質の低さが明らかな場合もある。彼が歌っているから「それなりに」カッコがついてしまうとも言えるのだった。

 さて、実際のパフォーマンスでは、やはりBonnieさんの意向通り、"...Thru The Night""With A Little Help..."となった。私の勝手な思惑は外れたが、Bonnieさんは"With A Little Help..."の冒頭インスト部分でフェイクを入れてくれ、ちゃんとその部分が意味あるようにしてくれた。感謝である。それに、曲の完成度の高さから言ってもこの順番で正解だったと思った。
 他にも、この曲に関しては全体に派手さと音の厚みをつけるために、キーボードでいろいろとやってみたが、これは効果的だった思う。コーラスはキーが上がったので、オリジナルのようにはいかなかったが、サビの印象を強調することは出来たと思う。

 本番で個人的に悔やまれるのは、"...Thru The Night"で大々的にフィーチャアされるサックスのパートを私がシンセでトライしたのだが、この時使ったコンピューター内のソフト・シンセが途中からブツっと音が途切れるようになってしまい、非常にコントロールが難しかった。調子よく出たソロだったので、ひどく残念な気持ちになった。とは言え、Bonnieさんのボーカルは実にノリが良く、曲の感じにピッタリだったし、エルトン・ジョンならぬ、トモジ・ジョンによるエンディングでのファンキーなピアノ・ソロも盛り上がったね。
 後半のインスト部分では「踊ってますから」と我々に言ったBonnieさんって素敵な人です。

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by harukko45 | 2008-12-25 16:53 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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