安倍なつみAngelicツアーの詳細(1)

 9月末からリハーサルに入り、10月に3カ所、そして昨日東京での公演をもって、安倍なつみさんのAngelicツアーが終了しました。正直、今は複雑な心境です。無事に終えることができた安堵感とともに、「もっとたくさんやりたかった」とか「もっともっと良くやれたのでは?」との思いが絡み合っているのでした。
 そんな気持ちを抱きつつも、今回のコンサートの内容に関してはよく練って固めていったものだし、私個人としてもかなり愛着を持っているわけで、このツアーのまとめとしてこの後を書いていきたいと思います。

 やはり、セットリストにそって。

 リハーサルに入る前の打ち合わせで本田プロデューサーから、今回のステージに関する方向性や意図を聞かせてもらい、具体的に各曲のアレンジについてもいろいろアイデアをいただきました。それを元に私としては考えていったわけです。
 まずは、「アグレッシヴさ」と「インパクト」。生バンドによるアピール、それぞれのプレーヤーを生かすこと。

m1.Opening/あなた色
 そんな意図にピッタリの選曲と言える"あなた色"ですが、コンサートのオープニングとしてのデフォルメも必要。最初、シンセ・パッドによるシーンはなく、何かのCD音源から入る予定でしたが、リハの終盤で全て生で行くことになりました。
 また、パーカッションとドラムスによるリズムで、頭からノリを作り出して欲しいとの狙いから、アサミちゃんのティンバレスをフィーチャアし、その後のベース・リフもすぐに浮かんできたので、これにより一気にラテン・ロック的なニュアンスでトライしていきました。
 で、ゴトウさんのテナー・サックスをフィーチャアするためにいきなりビートをハーフにして、かなり「くさめ」なパートをはさんだのは、つづく本編のイントロをより生かすためでもありました。
 そして、やっと"あなた色"のイントロですが、CDではスパニッシュ風のアコギのフィルになっていましたが、ハマちゃんのドラム・フィルでうめることにより、かなりドラマティックになりました。これは彼のセンスの良さと卓越したテクニックによるものが大きいです。

 さぁ、お待たせしました、なっちの登場です。この時の会場からの反応がたまらんですね。一気にヒートアップする感じに思わずニヤっとしてしまうのでした。
 
 本編に入ってからは、ハマダ&ロクカワのリズム隊が毎回グイグイとプッシュしてくるのですが、なっちさんのボーカルがそれに負けない力強さを持っていたのを会場の皆さんも気づいたと思います。カラオケや打ち込みのビートと違い、今回のようにフルパワーでいく生バンドのバックで歌うにはよりエネルギーが必要なのは当然なのですが、「癒し」や「泣き」のようなイメージとは違う部分の魅力をいきなり見せてくれたと思います。

 2コーラス後に、再びオープニングのリフをベーシックに各プレイヤーのソロを素早いカットインのように入れたのも、当初の打ち合わせからのアイデアでした。その最後に徳武さんのギター・ソロにつなげたわけですが、オリジナルのコード展開があまりロックぽくない感じだったので、今回はガラっと変えさせてもらい、トクさんにはより自由に弾きまくってもらいました。

m2.夕焼け空
 なっちさんはこの曲をこれまでほとんどステージでは歌ってなかったそうで、この選曲にはビックリだったようです。でも、なるほどこれはとっても面白い作品で、曲とアレンジに一体感があり、歌詞も印象的な佳曲です。
 演奏面では特にビートルズの"Come Together"からのパターンをうまく引用したベース・ラインがいい。なので、ロクさんにはほぼオリジナルに準じた形で再現してもらいました。リハの最初ではビッチリ書かれた譜面に「オイオイ」って表情でしたが、すぐに自分のものにして、より「うねり」のある仕上がりにしてくれました。さすが「マー坊」さんです!

 それ以外にもなかなか好きな部分が多いので、ちゃんと再現したくなり、それにより私のパートは忙しくなりました。でも、とっても楽しかった。こういういいアレンジにはきちっと敬意を持って演奏したくなるのです。

 間奏では最初、ご本人の語りの部分を生かす予定でしたが、PA的に拾い上げるのが難しいとのことで断念。しかしながら、そのかわり徳武さんには珍しいギンギンのディストーション・サウンドでのソロが聞けたのはラッキーだったのでは。トクさんのソロはいつもカッコイイ。

m3.やんなっちゃう
 実は前の2曲が続きで、この曲はMCをはさんでからだったのですが、なっちさんの提案で3曲つなぎになりました。これは大正解でした。"夕焼け空"で、ちょっと突き放したようにした状態で、「こんばんは(こんにちは)!」ってMCするのは確かに違和感あるし、実際につなげて演奏してみると、すごく充実感のある流れになったのでした。
 サイズは1ハーフのコンパクト・バージョンでしたが、これも好きな曲です。歌詞だけ見ると、とっても可愛らしく、ちょっと幼い感じの女心が魅力ですが、演奏の中身はなかなか濃いのでした。
 3曲つなぎになったことでイントロをカットしましたが、これもなっちさんのアイデアで、私の短いキッカケから歌に入ることで、よりライブ的な驚きとスピーディな展開が生まれました。

 優しく繊細な感じのAメロから、Bメロでいきなり80年代ディスコ風のダンス・ビートになるところが面白いのですが、オリジナルではすぐに終わってしまうのが惜しい気がして、今回はサビ前までそのグルーヴのまま押し切りました。
 間奏は印象的なイントロ部分の発展系が登場するわけですが、これもオリジナルの出来が良いので、ほぼそのままに再現しました。というわけで、これも個人的にはあっちこっちと忙しかったですが、実にやりがいのある内容でした。

 実際のコンサートでは、会場の皆さんがそろって振りつけを一緒にやっていたのが楽しかったですね。それと、なんかあったかいムードが漂って一体感を感じました。この「Angelicツアー」の大きな肝の一つが、このオープニング3曲であると意識して仕上げるつもりだったので、実際にとってもいい雰囲気になってすごくうれしくなりました。

 おっと、ずいぶん長くなったので、続きにします。
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Commented by 安倍なつみ親衛TTG松浦光秀 at 2008-11-10 22:06 x
素晴らしいライブを演出してくださりありがとうございますm(__)m

また機会ありましたらよろしくお願いします
Commented by 旅人 at 2008-11-10 23:19 x
はじめまして。昨日の昼公演など参加させて頂きました。
まずはお疲れ様でした。そして素晴らしい演奏やそこに詰まったアイデアの数々本当に感動しました。ありがとうございました。
音楽に関しては全くの素人なので、こういったプロの方のしかも送り手側の方に詳細な解説を書いて頂けると、理解しきれてはいないのでしょうが、それでも多くの大切な指摘と補足と感銘を受けます。これ以降の解説も期待いっぱいで待っています。
PS 夕焼け空の間奏の語りが無かったのは、今回の楽曲披露でも私にも気になった部分です。夕焼け空は安倍さんはコンサートなどでの披露はほぼ初めてだったんじゃないかと思います。それだけに次は語りが聴きたいなぁ~なんて思わずにいられません。
Commented by なつみるく at 2008-11-11 01:33 x
和田さん、はじめまして。Angelicツアー全8公演を観させて頂きました。
和田さんをはじめとするミュージシャンの皆さんや安倍さんの意見も取り入れて創りあげてきたこのステージでしたが、そんな皆さんと時間と空間を共有出来ている幸せを何度も感じた、とても素晴らしいツアーで、全4ヶ所8公演で終らせてしまうのが本当に勿体無いと思っています。

ステージに立っていた方の視点というのは、とても興味があります。これからの感想も楽しみに待っています。Angelicのリハーサルからツアーファイナルまでお疲れ様でした。また何時かあるであろう次の安倍さんのツアーでお会い出来る事を楽しみにしています。有り難うございました。
Commented by に。 at 2008-11-11 19:06 x
秋ツアー全公演終了お疲れ様でした。
本当に終わってしまうのが名残惜しいツアーでしたね。
でも、こういった形でツアーの裏話も交えたお話を知ることが出来てファンとしては本当に嬉しいです。
これからラストの愛しき人まで長いですが、楽しみにしていますね(^^)
Commented by harukko45 at 2008-11-12 20:22
一括レスで失礼します。
 
*松浦さん
楽屋にお花をありがとうございました。わざわざバンドメンバーにまで気遣いいただき感謝感激でした。

*旅人さん
はじめまして。中野の昼にお越し下さり、そしてこちらにもコメントありがとうございます。あの時は2週間ぶりのせいか、何カ所かでバタバタして、ステージ上では気合いの空回りのような部分もあったのが残念でしかたありません。深く反省しています。ただ、忘れないうちに今回のツアーを振り返ってみますので、この後もどうぞよろしくです。

*なつみるくさん
はじめまして。全公演にお越し下さり、ありがとうございました。全てを見られたのですから、まさに時間と空間を共有したわけで、僕として大感激です。お褒めいただいたことに甘えず、もっと頑張ります。

*に。さん
こんばんは。もうちょっとレポも続きますので、お互いに余韻に浸る感じでおつきあいください。いつもありがとうございます。おっと、それと祝!西武優勝。
Commented by northernbluesky at 2008-12-30 01:35 x
開演前の客入れ曲に使われていたのがジョージ・ウィンストンでしたね.
初日の名古屋では,ホールに入ってみると聴き覚えのあるピアノの旋律が…
それがジョージ・ウィンストンだとわかってちょっと興奮してしまいました.
好きなのでCDを買ったりして聴いているのですが,まさかここで出会う
とは思いもよらなかったので…

ツアータイトルが~Angelic~=天使 ということもあり,
この段階ではしっとり路線主体のステージになるのかなと思いきや…
Commented by northernbluesky at 2008-12-30 01:36 x
M1:最初で見事に裏切られるわけで(笑)
Openingは初めはCD音源が考えられていたそうですが,生演奏で正解だった
のではないでしょうか.6人のミュージシャンの方がいるとわかって
期待が高まるところで,Openingでそれをさらに高いところを押し上げて
くれました.ASAMIちゃんのスティックさばきにも煽られて,あの高揚感は
かなりなものでした.

「あなた色」に入ると,原曲よりもゆっくりなテンポでしたがそれを
忘れさせるほどの力強い演奏・歌唱に圧倒されたのでした.
いや~,でも客席のヒートアップもすごかったですよね(^^
そしてのっけから各ミュージシャンのソロプレイがあったのもよかった
ですね.このライブは俺達がやっていくぜという,おおげさに言えば
決意表明のように受け止めました.
Commented by northernbluesky at 2008-12-30 01:37 x
M2:この曲が,しかもこんな前半に来るとは,意外でした.
正直,普段ほとんど聴いていなかった曲なのですが,実は,初日の前日に
ふと聴いておこうと思い立ち,名古屋に向かう新幹線の中でも聴いて
いたんです.
なので,虫の知らせか偶然か,ともかくこの曲が出てきたときは内心
すごい驚きでした(笑)
こういう感じのロック,いいですね.原曲に比べてなっちの歌唱も
太く力強く感心しました.間奏の台詞がなかったのは,幼さみたいのが
取れて,返って正解だったと思います.

M3:だいたいいつもは2曲終わって最初のMCなので,3曲続いたのは
驚きでした.特に初日は,曲の入りがあのようだったことも驚きに拍車
をかけました.でも,まったく解説していただいている通りで,これが
よかったと思います.
アコースティックのときはなっちは振り付けをしていなかったのですが,
今回振り付けが復活したので,よろこんで一緒にやってました(笑)
AメロからBメロへの展開は他にない感じで面白いですよね.
BメロをアレンジしていたところはDVDでもう1度聴き直したいと思います.
by harukko45 | 2008-11-10 20:11 | 音楽の仕事 | Comments(8)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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