水越けいこ/南青山マンダラ
2006年 12月 09日
ただ、出る方にしてみると、こういうステージは集中力を持続するのが大変で、あまりリラックスできる感じではないことは確かです。普段通りにぶちまかす!ってわけにはいかないのであります。
現に、けいこさんのレパートリーである"Too Far Away"を倉橋さんが歌い、逆に"ガラスのYesterday"をけいこさんが歌うということで、お互いにいつもにはない緊張感があったことでしょう。
とは言え、我らがけいこさんのコーナーはライブ全体の中にあってどうだったかはともかく、やっている側の手応えは十分あったと思いました。けいこさんの個性的なポップ感がよく出た選曲だったのではないでしょうか。
m-1"32階のBAR"は本当にいい。これはね、妙に伴奏しない方がいいの。けいこさんがギターで弾き語りしているのが最高にキュンとします。続けて、m-2"二人"もけいこさんのみで。
で、私登場して、m-3"Shampoo"ね。面白いよね、この曲。前に別の編成でやった時はあまりピンとこなかったんだけどね。正直、自分の伴奏の感じも気に入っておりますが、自分の理想通りに弾くのは大変でもある。だが頑張ってトライして聴き手の皆さんにより楽しんでもらおうという意識が強くなる曲でもあります。個人的には"踊り子"とこれが今のところお気に入り。
m-4"Full Moon"もシンプルながら面白い。ひょっとするとけいこさんの作曲って意外に「ひねくれている」のかもね。そういう曲調が好きなファンもかなりの「ひねくれ派」なのかも。でも、音楽には必ず「毒」が必要なんです。「癒し」なんていってるけど、音楽を聴くってことは「危うい」世界に自分を浸すことでもあるのです。
あるアーティストの音楽を聴いて、そういう経験をした音楽ファンはずっと聴き続けるんだよね。とにかく、Aメロがしっとりと夢見がちなムードなのに、サビでずんと情熱的なのがタマランでしょう。というわけで、本番でもかなり入り込んでやっておりました。ちょっと力んだかな?もっとうまくいけると思った。
伊藤薫さんのm-5"15の頃"は、パフォーマンスとしては伸縮と強弱、緊張と弛緩をお互いに音で会話しながら出し入れした感じで、とってもワクワクしました。だからとても満足。
ただ、次のm-6"むらさきのシーン"は私が初めてやった曲で、ちょっとまだまだだったな。大村雅朗さんのアレンジがなかなか光る曲でありますが、もう少し煮詰める時間が必要ですね。ただし、曲とアレンジの「綺麗さ」は消えてません。私の個人的な反省でした。
ところで、最近水越けいこさんとライブ、レコーディングとご一緒して感じるのは、昔のけいこさんより今のけいこさんの方が声に魅力がある、ということです。歌い始めただけで空気感が変わる声を持っている、それが今の水越さんではないでしょうか。