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大橋純子/夏の陣(5)

夏の陣(4)からの続き。

 m8.Disco Medley 2012_a.Funky Stuff〜b.Play That Funky Music〜c.Jungle Boogie〜d.Fantasy〜e.Boogie Wonderland

大橋純子/夏の陣(5)_e0093608_527988.jpg 昨年の好評を受けて、今年も70年代から80年代にかけてのR&B曲のメドレー。Discoというキーワードで括ってしまうと、ウルサ方からはクレームが来そうだが、私のような世代のミュージシャンには、70年代前期のファンク・ムーブメントとニューソウルの台頭、後期のディスコ・ブームは、一つの流れとしてリアルタイムで経験してきたので、一緒にすることにさほど抵抗はない。

大橋純子/夏の陣(5)_e0093608_5271680.jpg あえて言えば、今回のメドレーの前半(a.b.c.)はファンク系、後半(d.e.)がディスコ系。各曲のリリース時期を調べてみると、73年・クール&ザ・ギャングが"Funky Stuff"でブレイク。翌74年に"Jungle Boogie"で初のTop10入り。76年・白人ファンク・バンド、ワイルドチェリーの"Play That Funky Music"が全米1位の大ヒット。78年・E,W&Fが"Fantasy"、79年"Boogie Wonderland"をリリース。となる。
 結果として、このメドレーは70年代のR&B/ファンク・バンドの歴史をザックリ振り返る感じにもなったのでした。

 この時代で思い出されることの一つに、75年頃(?)から東京12チャンネル(今のテレビ東京)で、「ソウル・トレイン」の放送が開始されたこと。時間は深夜12時近くで、アパレルの「Jun」の提供、それも「トム・ジョーンズ・ショウ」や「ミッドナイト・スペシャル」なんかと週ごとに入れ替わる放送だったと記憶する。
 とにかく、ロックに比べて、ブラック・ミュージックへの知識があまりない時だったから、黒人アーティストのパフォーマンス(ほぼ全て口パクだったけど)が観れるのは楽しかったし、レコードに合わせて踊っている観客達もすごく刺激的。ペアでライン・ダンスするコーナーなんかも面白かったし、彼らのファッションもなかなかでしたなぁ。

 そしてこの番組で、初めてクール&ザ・ギャングを発見。はっきり言って、黒人バンドにしちゃ、ルックスがダサかったんだけど、曲は最高にカッコよかった。それが、"Funky Stuff"と"Jungle Boogie"。この2曲を含む「Wild And Peaceful 」は傑作。
 ちなみに、クール&ザ・ギャングが本当の意味で成功したのはJ.T.テイラー参加後の80年代。ヒット曲連発で、そういう点ではアースよりも上かもしれない。ただ、ファンク時代が好きだった者には、どうにも受け入れ難い軟弱路線に見えた。今聴くと、これがなかなか楽しいんだけど、当時は「原理主義者」だったから。





 さてさて、これらの曲をチーム大橋でやるにあたっては、けっこう打ち合わせとリハを重ねた。そもそも、男が歌う曲をカヴァーするんだから、リスキーな部分もあるわけです。で、皆であーだこーだと試行錯誤したし、男性ボーカルもかなり頑張ってみたのでありました。

 それに、実は音楽的にかなり凝っているんだ、これが。"Funky Stuff"でのベースとキックのリズム・パターンなんか、しびれまくり。こりゃ、ベーシストは楽しくてしょうがないでしょ。(この辺の曲を持ち込んできたのは、もちろん六川さんです。)それに、ギターのカッティングも「くー、たまらん」の極致。ブラスのリフもカッコイイんだ。でも、それらを一体化して強靭なグルーヴを生み出さなきゃいけない。ファンクは全体でノリを作っていくもので、ドラムが、とか、ベースが、とかはまずありえない。ボーカルも含む全員でポリ・グルーヴしてかなきゃ、だめ。全員攻撃・全員守備のトータル・フットボール的意識の共有ですな。

 ワイルド・チェリーの"Play That Funky Music"は、クール&ザ・ギャングに比べると軽いんだけど、曲としてはこちらの方がちゃんとまとまっていて、メロディアス。なので、ジュンコさんのボーカルをフィーチャアするにはバッチリだった。個人的には、この曲から"Jungle Boogie"への突入はなかなかスリリングで気に入っております。ジュンコさんの激シャウトで、万事OK。

 "Jungle Boogie"は、イントロからリフそのものがシビレるんだけど、それを途中でひっくり返したりして、上と下でぶっつけ合う仕掛けにしているなんて、ニクイ、ニクすぎる。彼らのライブ盤を参考に、間奏でゴトウさんのソロをフィーチャアしたんだけど、この時のバック・リフもアッパーでヤバかった。何から何までガンガンに燃えてくるんですよ、ほんまにもう。

大橋純子/夏の陣(5)_e0093608_15203055.jpg 前半のファンク系が完成した時、あまりにもパワフルだったので、後半の曲がすごく軽く思えてきてしまった。しかしながら、さすがにアースの曲にはそんな心配など必要なかった。逆に、"Fantasy"のイントロなんかは、やけに美しく感じられたし、"Boogie Wonderland"は鉄板でしたな、まさに。お客さん達の反応も、昨年以上に盛り上がったし、かなりの人が立ち上がって踊っていたから、本当にサイコーでした。

大橋純子/夏の陣(5)_e0093608_15203330.jpg 演奏面では、私は前半にクラビとブラスとコーラスに、ちょっとだけオルガン、後半はピアノにブラスにストリングス、その他もろもろで、大忙しではあるんだけど、こういうノリでリズム・セクションにプッシュされまくると、忙しければ忙しいほど燃えるものだし、夢中になって演奏できているから、ハッピーの極みなのだった。

夏の陣(6)へ続く。
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by harukko45 | 2012-08-19 05:20 | 音楽の仕事 | Comments(0)

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