人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ウィーンにて、その2ケーキ

 私の相方が風邪でダウンしたので、ウィーン到着後の2日間はおとなしくしていた。だから、バイスル(ウィーン風レストラン)にもワインケラーにも行かず、近くのスーパーで夕食を調達した次第だ。今年は例年より寒くないのだが、やたらと強風が吹いて埃がまうので、歩くのになかなか不自由するなぁ。

 とは言え、サンドイッチやサラダなどとともに、甘いものもちゃんと買って帰った。こちらに来るとどうしても甘味の消費量が増える。ウィーンはパリとともにお菓子の都だから、ケーキ店の数も多いし、こちらの人々も甘いものが大好きとのこと。よって、私のような生クリーム好きも気兼ねなく食べられるので、これまた居心地が良くなるのである。

 1日目は夕方ホテルにチェックインした後 、ウィーンの象徴であるStephansdom(シュテファン寺院)にご挨拶(?…初詣みたいなものか)に伺い、その近くのカフェ・コンディトライ(自家製ケーキ店にカフェが付属)のAidaによった。ここは他にも何軒か支店を持つ大衆的なお店。注文したのはクラプフェンとクレーメシュニッテ。クラプフェンは穴のあいていないドーナツのようなもの(イースト菌で膨らませて、揚げてある)で、中にたいていはアプリコット・ジャムが入っている。(バニラ・クリームやチョコレートのもある。)これは、スーパーのパン売り場から元宮中御用達高級菓子商にいたるまで、ほとんどの店で売っているし、他のケーキより安いので食べ比べをしてみるのである。なんて言っても、この手のものは、安いは安いなりに、高いは高いなりにうまいわけで…。あーしょうもない。

 クレーメシュニッテはまさにウィーンならではのもので、2段の厚い生クリームをうすいパイ生地ではさんだもの。一番上には砂糖をかためたものがのせてある。生クリーム自体はそんなに甘くはないのだが、全部一緒に食べるとこれがたまらんわけです。ということで、Krapfen 1.15ユーロ、Cremeschnitte 2.25ユーロ、コーヒーは飲まないでテイクアウトしたので、この場合は「Zum Mitnehmen,bitte(ツム ミットネーメン、ビッテ)」となります。

 2日目は早々とDemelに行った。デーメルはザッハーとならび、日本でも有名な高級店。何たって、入り口にK.u.K. Hofzuckerbaecker(宮中御用達菓子商)と金文字で書いてある。原宿に支店があったり、三越でも買えたりするのだが、そこで売られているのはウィーンからの直輸入ではない。原宿の店員さん曰く「ウィーン店と同じレシピで作っております。」とのことだが、本当か? だいたいケーキの大きさがぜんぜん違う。確かに我々日本人にはこちらのサイズはでかすぎるから、理解できる。しかし、サイズ半分以下で値段がほぼ一緒ってぇのもなぁ。それに甘さをおさえてないか? 日本の女性TVレポーターがお菓子の取材で必ず発する「あんまり甘くなくておいしい!」なる感想。砂糖もかわいそうに、ずいぶん日本では虐げられた扱いだ。お菓子なんだから、きっちり甘くしてもらわなければおいしくない! 私はそう思うのだが…。話がそれた。つまり、天下のデーメルも日本では今風の「甘さ控えめ」じゃないのかと疑っているのである。

 その問題は今後も追求していくとして、このウィーン店は掛け値なしで立派だ。伝統と格式を守る店内は大変素晴らしい(その分、よそ者では長居はできない感じがある)。ケーキのディスプレイもなかなか素敵なのだ。で、味はというと日本人観光客のあいだでは賛否両論なのだが、私は支持派である。 確かにものによっては、脳天かちわられる程の甘さに思わず「ごめんなさい」して、コーヒーをがぶ飲みしてしまうこともあるが、一つ一つの仕事はやはり高級店ならでは職人技があると思うのだ。だから、「甘さ」の中に歴史を経た成熟さ(退廃的とも言えるのようなもの)を感じたりもするのだ。大げさな!と思われるかもしれないが、例えば高級シャトーの年代物ワインを飲んだ(正確には、ノマセテモラッタ)時に、その味の奥行きさに何か物語を感じたりするのに似ているわけだ。

 さて、何を買ったかというと、オーベルスクレーメシュニッテ、これは普通のクレーメシュニッテが生クリームの2段サンドなのに比べて、カスタード・クリームと生クリームの2層構造になっているのだ。そして、このカスタードが卵の味が濃厚で大変素晴らしい。このケーキは他の店では見かけないので、有名なアンナ・トルテとともにデーメル・オリジナルなのかもしれない。(ザッハートルテはいろんな店で作っている。)それに、日本支店にもない。よって絶対に食せねばならないのである。それとシュネーバル、これは塩味のパイ生地を約2センチ幅のリボン状にのばし、それを巻いてソフトボール程の球状にして揚げたもの。それに砂糖の粉がかかっていて、見た目がスノーボールというわけ。ま、私には今イチでしたが。

 というわけで、Oberscremeschnitte 3.45ユーロ Schneeball 3.45ユーロなり。デーメルでお茶するのは、私には落ち着かないので迷わず「Zum Mitnehemen」となります。
名前
URL
削除用パスワード
by harukko45 | 2005-01-05 00:00 | 旅行 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


by harukko45