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 去る12月8日に日本武道館にて行われたジョン・レノン・スーパーライヴは、今年で9回目。私がこのイベントに関わるのは6回目、バンマスとしての役割を仰せつかってから5回目となった。
 これまでの8回のコンサートでの収益は世界22カ国85の学校建設に支援され、当初の目標である100の学校建設の達成も実現の見通しとなったのだった。
 とかく、チャリティと称して売名的で一過性のまやかしイベントや企画が多い中、「世界を良くするために、恵まれない子供達への教育を」という一点にしぼって、コツコツと継続してきたDream Power事務局の真摯な姿勢と努力には、今更ながらに頭の下がる思いだ。

 終演後のパーティで、ヨーコさんがスピーチの中で、「最初の2年間は大丈夫だろうか、と思ったが、苦しい時期も耐えて頑張ってくれたことで、この9回目を迎える事が出来た」といった主旨のことを述べられていた。まさに「継続は力なり」を実践することで、現在の高い認知と成果を上げることとなったのだった。

 だがその分、私を始めとするコンサートの制作現場の人間は、ある種の危険に気づき始めていたとも言えるし、それを回避するためのプレッシャーが年々増大するのを感じていたように思う。「やる前から成功はほぼ約束されている」部分があり、それが予定調和的なパフォーマンスを生み、継続することがマンネリズムに陥ることを私は最も恐れたし、そのような流れを作らないよう心がけなければならないのだった。


e0093608_1803463.jpg ジョン没後29年目の2009年での9回目のイベント。ジョン・レノンの誕生日が(10月)9日、ゆえに彼がラッキーナンバーとしていた「9」。
 勘のいいレノン・ファン、ビートルズ・ファンならすぐにピンと来たかもしれない。オープニング映像に引き続き、会場に流れたのは「ホワイト・アルバム」に収録された"Revolution 9"。その「Number 9」のリフレインにクロスするように、我々が演奏し始めたのは"#9 Dream"。ボーカリストとして登場したのは奥田民生、吉井和哉のお二人である。

 e0093608_1743122.jpg 1974年の「Walls And Bridges」に収録された"#9 Dream"は日本語タイトルが「夢の夢」となっており、シングル・カットもされたので、その日本語イメージが強い人も多いだろう。内容はジョンの見た夢の話で、サビの歌詞も意味不明な言語であり、彼が夢の中で聞いた言葉をそのまま使っているとのこと。
 だから、ジョンの内面を垣間みるようとも言えるし、完全におちょくられているような気もするし。

e0093608_010268.jpg だが、この曲全体に漂う幻想的なムードは実に魅力的だ。イントロのスライド・ギターのフレーズ(ジェシ・エド・ディヴィス?)や、さりげなくも印象的なエレピのバッキング(ニッキー・ホプキンス?あるいはケン・アッシャーか)も良いし、何と言ってもまさに「魅惑の」ストリングスのアレンジが効果バツグン(アレンジはケン・アッシャー)。
 で、これはジョンがプロデュースしたニルソンの"Many Rivers To Cross"(アルバム「Pussy Cats」収録)のオーケストレイションを借用したものらしい。確かに、聞き比べると同じフレーズが聞こえてくる。
 で、フワフワとして酔っぱらったような(あるいはブっ飛んでいるような)ボーカルの合間をぬうゴージャスなストリングスにクラっときていると、突然の転調にハッとさせられる。そして、先述の妖しいサビに突入。とどめはサビ後のブリッジでのハープのアルペジオ、ルートに落ち着かず不安定に漂うベース、それに絡むストリングス、スローダウンしていくテンポ、と実に芸の細かい夢の再現が成されているのだった。
 こういうアレンジはブライアン・ウィルソンがやりそうなのだが、この頃のジョンはまさに「失われた週末」期で、その心情はブライアン的なものに近かったのだろうか。本来なら、ブライアンに近いのはポールのはずだが、ジョンがこのようなサウンド・メイクをしたのは極めて興味深いし、ポップな感覚が満載でありながら、同時に寂しさをも強く感じさせるあたりもブライアン的。

 さて、実際の我々の演奏では、Aメロでボーカルとストリングスがからむ部分に秘められたジョンのワナに引っ掛かり、奥田さんも吉井さんもリハではかなり苦労していた。本番でも一瞬ヒヤっとする場面があったが、さすがのお二人はうまく切り返してまとめてくれたし、我々バンドもピタっとついていったのは良かったと思う。
 確かにライブでやるのは難曲だったと思うが、個人的には今までとは全く違う感触のオープニングで面白かったし、このフンワリとして何とも言えないトリップ感が実に気持ちよかった。そして、ウットリと2コーラスが終わったところで、次の曲に突入。

e0093608_03566.jpg とことん「9」にこだわる今回のオープニングでは、続けてビートルズ「Let It Be」に収録された"One After 909"を演奏した。前曲に比べて、この曲は極めてストレートなロックンロール調であり、"#9 Dream "で一瞬キョトンとした感じの会場のムードを一気に高めるには持ってこいの選曲とも言えるか。
 だがしかし、この曲のノリはなかなか難しい。基本的にはカントリーのニュアンス、いわゆるロカビリー的な要素を知らないとかっこ良くグルーヴできないのだ。
 ビートルズの有名なルーフトップ・コンサートでのテイクでは、ジョンもジョージもずいぶんアヤシい演奏をしている。なので頼りはもちろんポールで、彼はつねにテンション高くバンドを引っ張っており、加えてもう一人、強力な助っ人であるビリー・プレストンが最高にイカシたフレーズ連発でゴキゲンなのだ。
 
 リハ開始当初はうまくノリをつかみきれない感じだったのだが、実は我々には土屋潔さんというギターの名手がいるので、彼にはビートルズとは少し違った感じで、カントリー的な2ビートっぽいバッキングを終始やってもらい、それにリズム・セクションが絡む感じにした。もう一人のギターの長田進君は彼本来のロック色強い演奏で、全体にワイルド感を強調してくれたし、ピアノの十川ともじさんもビリ・プレ節を随所に聴かせてくれた。本番では奥田さんのギターも加わって、ソロも弾いてくれたので、オリジナルよりもかなりパワーアップした仕上がりになったと思う。

 こういう曲はやっていて文句なく楽しい。リハーサルの時は、吉井さん奥田さんのかわりに、私とベースの押葉真吾君でツイン・ボーカルをずっとやっていたのだが、もう最高に楽しく気持ちよく歌わせてもらいました。バンドの皆さんどうもありがとう。
 いやはや、もちろん本番ではメインのお二人がゴキゲンなハモリを聴かせてくれました。ウム!なかなか良い滑り出しでありました。

詳細(2)に続く
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by harukko45 | 2009-12-28 01:14 | 音楽の仕事

詳細(11)からの続き。

 宮崎あおいさんが再登場。"Imagine"の詞を朗読。今度は前よりも長めだったから、お客さん達も安心していたかな。とにかくお若いのに凛として素敵な佇まいを持っていらっしゃるなぁ、と感心しました。

 そして、いよいよ奥田民生さんを迎えて。

 奥田民生さんは日本を代表するアーティストというだけでなく、ビートルズ強者でもある。おまけに、ギターもうまい。そして、今回はかつてのツアーバンドのメンバーが二人(古田、長田)いる。何も心配することなどない。もちろん、民生さんは常にリラックスしたムードを作り出してくれる人。それに、ほぼ毎回のようにこのイベントに参加してもらっていて、今やイベントの顔の一人でもある。だから、スーっと入ってきて、パっとやって、スーっと帰っていく。それが彼のカッコよさだ。

e0093608_1246334.jpg 「Rubber Soul」の2曲目で静かながらインパクト十分、そしてすぐにそのサウンドとメロディの虜になってしまう名曲"Norwegian Wood(This Bird Has Flown)"が、何の力みもなく民生さんのアコギから始まった。この曲はキーボードは二人とも休み。アコギ2人とベースでベーシックはOKで、サビからバスドラムとタンバリンが加わってくる。
 また、この曲はビートルズが初めてシタールを導入した曲としても有名で、我々は土屋さんの「自主制作」によるエレキシタールで再現した。土屋さんはギターの名手だけでなく、改造の名手でもあります。安物のギターを自ら改造してエレキシタールに仕上げてしまったシロモノですが、これがちゃんと良い音するんです!
 そして、重要なハモ・パートも日本最高の相棒役・押葉くんがいれば何も問題ない。

 ところで、この"Norwegian Wood"、日本語タイトルは"ノルウェーの森"となっているが、それだけで北欧の幻想的な世界をイメージしながら曲の詞を読むと、その内容が全く違うことに驚いてしまう。簡単に言えば「ある一夜の情事」を歌っただけで、その彼女の部屋がノルウェー産の木材で内装されていたってことらしい(ポールの解説によると)。
 また、労働階級の人が住むアパートの内装に使われる木材を指すこともあって、登場する女性が裕福でないことを意味しているという。
 この"wood"はあくまで森であるという意見は、わざわざサブタイトルに"This Bird Has Flown"と女性を鳥に例えているからだ、と主張。対して、"wood"は家具であるとする根拠は、彼女の部屋には椅子がなくベッドだけあり、それがノルウェーの木材製の安物という意味であると。
 いやぁー、面白い。さらに芸が細かいのは、間奏前にベッド・インし、間奏が終わると情事は終わり、「朝から仕事があるから」と言われ、「しかたないから風呂で寝た」とのオチがつく。さらなるポールの解説では「So I lit a fire」は風呂で寝させられた復讐のために燃やしたのだ」と。
 ちなみに日本の訳者は「意味を取り違えた」と認めているし、ポールはこの曲を「Rubber Soul」におけるコメディ・ナンバー1号としている。(2号は"Drive My Car")

e0093608_21383180.jpg 続いて、Charさんをお迎えして、奥田+Charによる"Come Together"。そのかわり、土屋,長田の両人はお休みである。
 Charさんは登場してすぐに何気ない感じで"Come Together"のイントロを弾き始めた。それが、すごくジャムっぽい雰囲気で、何とも60年代後期から70年代初頭を思い出させる。二人はすでに、山崎まさよしさんを加えての「三人の侍」というユニットをやっており、もう息も気配も即刻承知の仲。だから、ここに関しても全く心配ない。

 それにしても、Charという人はかっこいい。正直、「日本のロック」というジャンルにこれだけ「カッコイイ」という言葉がはまる人は他に何人いるだろう?
 もちろん、そのパフォーマンスや音楽性がかっこいいというのはたくさんいるだろう。だが、Charはまず見た目だけでかっこいいし、ギターがかっこいいし、歌がかっこいいのだ。

 まるでファンから目線でのレポになってしまっているが、それもしかたない。この時はまさに「スーパー・セッション」か何かに加わっている感じで、メインの二人のボーカルとギターを全て聞き逃すまいとしていたのだった。

e0093608_22354100.jpg さて、奥田さんを拍手で送り出して、このコーナーの3曲目はCharさんと押葉、古田、和田という4リズムでの演奏になった。こういう編成、特に私はオルガンのみだったので、完璧に60,70年代ロックのサウンド、ムードになる。はっきり言って最高でしたね。こういうセッションが出来たのは!
 曲は"Ticket To Ride"でトータスさんと一緒なのだが、Charさんは最初からヴァニラ・ファッジによるカヴァー・バージョン(1967年の1stアルバムに収録)をベーシックにしたいとの話だったので、どちらもそのままのセットリストになった。

 で、このバージョンは思いっきりサイケデリックな、かなりエグいサウンドなのだが、よく聴いていくとコードチェンジに、ニューソウルっぽいセンス(メジャー7th、9thの使用)があったりして、なかなかオシャレで面白い。
 イントロでのオルガンは前の"Norwegian Wood"のAメロと同じミクソリディアン・モードでソロをとっているが、このスケールだとバグパイプのようだったり、インド音楽風だったりして、それがサイケの香りをプンプンさせる。

 その後、ギターがビートルズのリフを弾くのだが、ベースがG-F-E♭-Dと定番の下がっていく動き、Charさん曰く「ハートブレイカー進行」なので、ビートルズの気配は全く消されている。これはリハの時に、Charさんがその場で決めていったことで、ヴァニラ・ファッジはこれとは違った動きをしているし、ところどころのアレンジもセッションをしている流れの中で変えていった。
 ヴェニラ・ファッジのコピーをしているのではなく、ベーシックにしながらも、その場その場の即興的な発想を大事にしていくのが、彼のやり方なのだった。

 実を言うと、Charさんは頭の回転がとても速く、どんどんアイデアが出てくるのだが、その最終型アレンジではちゃんと通さず、「こんな感じでよろしく!」と言ってその時は終わったのだった。
 その後、リハの録音を聴いた我々3人は、もう少し煮詰める必要を感じて、次の日に居残り練習を敢行、コーラスのパートを振り分けたり、ギター・ソロへのキッカケを作ったり、あやふやだったコードを決めたりしたのだった。それもギター抜きのオルガン・トリオだけで成り立っちゃうのは、ヴァニラ・ファッジ・バージョンだったせいだけど、まるで高校時代のバンド練習を思い出すようで楽しかった。

 というわけで、本番を迎えたわけですが、4人とも燃えました。ここでのCharさん、素晴らしかった。本当のロック・ギターそのものでした。それに歌がいいんだ、歌が。で、我々3人もコーラス健闘していたと思います。
 その後、TVオンエアーのためにトラックダウンを受け持った押葉くんによると出色のミックスに仕上がったとのこと、「カッコイイです!」とのメールが届き、大いにうれしくなったのでありました。


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by harukko45 | 2008-12-28 23:16 | 音楽の仕事

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 トータス松本さんとの2曲について。

 土屋さんには、ショーンの映像終了後すぐにギター・イントロを弾くようにとの演出側からの指示があった。ただ、当日になってジョンの"Woman"のビデオから急遽ショーンのものに変更になったため、あまりいい流れではなかったようだ。ショーンの歌がとても切なかったので、もう少し余韻を持たせるべきだったかもしれない。

e0093608_2452429.jpg ただし、演奏に集中している我々にはその時点では、そのようなことは伺い知れない。とにかく、トータスさんとのステージを盛り上げるのみだ。
 1曲目の"Ticket To Ride"はシングルとしても米英で1位を取っているし、映画「Help!」でもスキーをしながら歌われるシーンが印象的だった。ジョンが書いたビートルズ曲の中でも屈指の名曲の一つだろう。

 オリジナルのアレンジで注目すべきは12弦ギターのイントロ・リフと2拍3連を強調したドラム・パターン。Aメロからジョンのリードを食ってしまうかのように強烈なポールのハイ・トーンによるハーモニー。またサビではジョンとポールのツインでリードといったおもむきで、ここにあげたどれもが外せない必須アイテムだ。
 おっと、サビとエンディングで活躍するタンバリンも忘れちゃいけない。

 正直、ビートルズを演奏する時は個人的には初期(Rubber Soul以前)の曲の方が断然楽しい。この曲の場合、私はタンバリンとコーラスしかやることはないが、それでも至福の3分間である。

 それと、ポップな印象で耳になじみやすいから、楽にやっているように思われるが、実際はかなりヘビーな曲。ジョンは「元祖ヘビメタ」なんて言っているし。
 ボーカルはシャウトしっぱなしで、結構大変だが、トータスさんは60年代R&Bのニュアンスを出すのがうまいし、声がカッコイイ。今回相棒役で大活躍の押葉くんもポールのパートを完璧にこなしてくれたので、すごく安心して楽しむことができたのだった。

e0093608_3311170.jpg そんな充実のボーカル陣、特にトータスさんのソウル色がより際立って良かったのは"Stand By Me"。もちろん、ベン・E・キングの曲でジョンは「Rock 'n' Roll」でカヴァーしたが、その出来はオリジナルを凌駕するほどのカッコ良さだ。なので、こちらもあまり小細工せずにストレートに、シンプルに演奏した。
 とは言え、なんだかんだ言っても自然に盛り上がる曲だし、トータスさんの歌が魅力的だから楽しい楽しい。サビを一緒に歌うのも幸せでありました。

 なんか、ここまでの中で一番楽しくやらせてもらえて、ありがたい気持ちになったよ。さすがトータスさん、好きだなぁ。それと、アルバム「Rock 'n' Roll」何度聴いても、やっぱ最高!

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by harukko45 | 2008-12-28 03:48 | 音楽の仕事

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 斉藤和義さんの登場。前にも書いたが、今回はスケジュールの調整がつかず、我々トリビュート・バンドでのバッキングはかなわず、彼はご自身のレギュラー・バンドとのパフォーマンスであった。

e0093608_18354776.jpg さすがに日頃から一緒にやっていて、ましてや現在ツアー中のバンドとの演奏は一体感があり、これまでのスーパーライヴにおける斉藤さんとは違う面を見せてもらった気がした。というか、これが本当の斉藤さんで、今までの姿は彼の全てではなかったと言えるか。

 で、恒例の日本語詞による"Across The Universe"をリハで聴いているだけで、何とも言えない嫉妬心のような感情が生まれてしまった。正直言えば、やはり今年も彼のバックをやりたかったなぁと思う。

 今年の斉藤さんは一年を通して活躍されていた感じだし、これからの大ブレイクの予感も漂い、いよいよその実力と才能が広く認知され始めたとも言えるか。基本的に私は彼のファンなので、実に喜ばしいことだと思っている。
 それと、私にとってうれしかったことは、我々が夏木マリさんのリハを終え、斉藤さんがリハのためにステージに上がってきた時に、わざわざ私のところに来て握手をしてくれたことだ。簡単に挨拶しただけだったが、ほんとうれしかったし、何だか妙に緊張してしまいました。

e0093608_192798.jpg それにしても、もう1曲が"I Wanna Be Your Man"とは。何とも斉藤さんらしいユーモアなのか?これは元々はローリング・ストーンズにあげた曲で、「With The Beatles」に収録されているがリンゴが歌うための曲としてだ。
 で、ここでウィキペディアによりますと、「ミックは『ポールとジョンが一番良い曲のひとつを俺たちに快くくれたことに驚いていた』と語り、キースはビートルズの曲をやるなんて鼻高々だと喜んでいたと、ビルが回想している。もっとも、ジョンは後に『あれは捨て曲だ。名曲をやつらにくれてやる気なんか無かった』と発言している。」とのことでした。

 ところで、斉藤さんによる"I Wanna Be Your Man"はストーンズでもビートルズでもなく、かなり激しいセックス・ピストルズ風のパンク・ロックになっていてなかなか面白かった。

 さて続いて、スクリーンに映し出されたビデオ映像で、なんとショーン・レノンさんが登場。これは私も当日いきなり知らされたことで驚いたが、本当はとんでもなく素晴らしいことなんだなって、じわじわと感じたのでした。内容は会場の人たちに向けた感謝のメッセージとともに、父ジョンに捧げる曲"Listen"が歌われた。切なく、そして感動した。来年はステージに立ってくれるだろうか。期待したい。


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by harukko45 | 2008-12-27 20:15 | 音楽の仕事

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 Salyuさんが終わり、宮崎あおいさんによる"Love"の朗読のコーナーだったのだが、「俺たちゃ、そのまま居ていいのか?」と一瞬たじろぐも、今さら動けないからじっとしていることに。ただし、朗読されたのが"Love"だったから、すごく短かったですね。せっかく登場されたのに、すぐに引っ込んでしまったので、会場もちょっと「エッ?」ってムードが。とは言え、可憐というか、やはり魅力的な女優さんでありますなぁ。

 そして、ゆずの登場。彼ら目当ての「ゆずっこ」の皆さんが今回は多かったですなぁ。オープニングでの会場の盛り上がりもゆずのおかげだったかも。そして、あらためて彼らの再登場で、ものすごい大歓声がわき起こったのでした。

e0093608_1715215.jpg そんな彼らの1曲目は「Rubber Soul」に収録された名曲"In My Life"。ジョン曰く「初めてまじめに作った曲」と、本当だか嘘だかわからんコメントがついているが、イントロから本編、間奏のすべてが完璧に作り上げられた傑作であることは、誰も否定しまい。
 
 で、なんと言っても印象的なのはジョージ・マーティンによるバッハ風のピアノの間奏部分。テープのスピードを落としてダビングしたということで有名だが、聴き手の誰もが知っているフレーズだけに、何とも嫌なプレッシャーのかかる所だ。
 それと、私が関わったスーパーライヴにおいては、これまでこの曲をとりあげるアーティストは女性が多く(森山良子さん、平原綾香さん、木村カエラさん)、そのたびにキーが変わっていた(2003年の森山良子さんはご自身の弾き語り)。今回は初めての男性アーティストであったのだが、ゆずの二人もオリジナル・キーではなく半音上のB♭の指定だった。つまり、我々は一回もオリジナル・キーではこの曲を演奏していないのだった!
 まぁ、そんなこんなでキーボード弾きにはやっかいな曲であることは間違いない。

 今回ゆずは、1コーラス目を彼らだけで歌って自分達らしさを出したい、とのことで、ギターのメロによるイントロはしばしお預けになった。
 そのかわり、かなり表情をつけながら、バラード調で北川くんが歌い始めたので、それだけで「ゆずワールド」全開となり、ファンの皆さんのボルテージも一気に上がったのではないだろうか。

 ただ、リハの段階では1コーラスをほとんどノン・テンポで歌い、2コーラス前のブリッジで、おもむろにバンドが入ってくるので、どうしても1コーラス目が本編の前置きのようだった。しかし、それから本番までに彼ら二人もしっかり煮詰めてきてくれ、当日にはリハ時に感じた流れの悪さはすっかり解消されて、よりドラマチックな内容になっていたと思う。
 それと、若々しい北川くんが歌うことで、すごくピュアで前向きな雰囲気も生まれたのではないだろうか。

e0093608_0371581.jpg MCをはさんでのもう1曲は、「Double Fantasy」のオープニングを飾り、タイトル通り、ジョン自身の「再出発」を意味した"(Just Like)Starting Over"。
 全体の曲調は50年代風のロックンロールで、ジョンの歌い方も彼の原点と言えるエルヴィス・プレスリー風を意識しているし、そのボーカル・サウンドには50年代風のテープ・エコーがかかっていて、何から何まで懐かしい演出がなされていた。
 だが、それが単なるノスタルジックなだけの表現になっていないのは、実際のミュージシャン達の演奏がかなりカッシリとしたもので、ジョン曰く「1950年代のロックンロールを、1980年代(その当時の今)風にアプローチした」からということになる。

 つまり、自らの原点を見つめ直しながらも、今を共にする君(ヨーコ)とともに再出発しよう、という歌詞の内容を忠実に音で表現していたのだった。
 ひょっとしたら、ゆずのお二人は意識しての選曲だったのか、前の"In My Life"も人生を振り返りながらも、過去の思い出よりも今の君をもっと愛している、という内容で、基本的にテーマは一緒だったのだ。もし意識的にこの2曲を選んだのだったら、なかなかやるではないかと感心する。

 それと、バースの部分は、北川くんがオリジナルよりもゆったりと感情を込めるように歌い、リズムが入ってからのプレスリー風な部分を、岩沢くんがいつもと違う低音で歌うという工夫があり、この辺の演出力もよく練っているなと思った。
 そうそう、それと本番当日のリハで、北川くんが私のところに来て、新たにコーラス・パートをつけてほしいとの要望があり、一瞬目がくらんだが、何とかやるだけはやってみた。果たしてその効果があったかどうかは録音を聴いてみなくてはわからないが、ギリギリまでトライしようとする姿勢は悪くない。

 また、この曲のエンディングは自然に淡々と終わってもいいのだが、ゆずは最後をガツンと盛り上げることを選んだ。なので、我々は3連符のパターンをじょじょに強調しながら、頂点に向かって上る感じだったが、岩沢くんもアコギをガツガツかき鳴らしたりしていて、かなり面白かった。
 正直、これほどまでに明るくて前向きな"Starting Over"は初めてだ。詞の内容はそうでも、この曲がリリースされた直後にジョンの死があったので、どうしても私のような世代は哀感が漂うイメージでとらえてしまうからだ。だが、ゆずにとってはあくまでピュアに「再出発」ととらえていたのが新鮮だったし、むしろ正しい解釈のようにも感じられたのだった。

 それから、彼らはこの曲でもキーを上げていた。それもオリジナルよりも短三度上のCにである。この明るさ、ピュアさはその影響もかなりあるようにも思っている。


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by harukko45 | 2008-12-27 00:36 | 音楽の仕事

詳細(5)からの続き

 Bonnie Pinkさんとの競演を終えて、ドラムの古田君以外のメンバーはひとまず休憩で、フジファブリックの登場。

e0093608_9362075.jpg 彼らは80年代生まれのメンバーなのですね。しかし、ちゃんと60,70年代の音楽への理解も深い演奏ぶりで、ちょっとしたこだわりもなかなかニクイ感じだった。何となく、ビートルズの後に登場したピンク・フロイドって雰囲気もあったなぁ。やった曲がサイケ時代の大傑作"Strawberry Fields Forever"だったせいもあるかな。

 ところで、この"Strawberry Fields Forever"はアルバムでは 「Magical Mystery Tour」に収録されているが、元々は「Sgt.Peppers」のためにレコーディングされたもの。後でジョージ・マーティンがシングルのために"Penny Lane"とこの曲をアルバムから外したことを後悔したそうだが、もし予定通りにこの2大傑作が 「Sgt.Peppers」に入っていたら、それはそれはとんでもないアルバムになっていたのは確かだし、現在のように「Sgt.Peppers」の評価ががた落ちってことはなかっただろうな。
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 それを言い始めると、「White Album」だって"Hey Jude"と"Revolution"が入ってないし、「Revolver」に入らなかった"Rain"も。(これらの曲は「Past Masters Vo.2」に収録。おかげで、このアルバム未収録曲による企画盤は強力なベスト・アルバムになってしまった!)

e0093608_13334093.jpg 続いて、スーパーライヴではもう常連と言えるLOVE PSYCHEDELICO。今回はバンドでなくKumi&Naokiの二人のみで登場。彼らだけでやった"Oh Yoko!"ではKumiさんがマンドリンを弾きながらカントリー色強く歌ったのがカッコよかった。個人的にもここ数年カントリー系は注目だったので、彼女の歌がこれほどカントリーぽいニュアンスに富んでいるのには驚かされたし、楽しかった。

e0093608_1073978.jpg そしてもう1曲、我々が加わっての"Watching The Wheels"はジョンのアコースティック・ギターのみの弾き語りによるバージョンをベーシックに、Naokiくんがアレンジしたもの。スタジオでのリハーサルの時点で、彼には目指すサウンドがしっかりと見えていて、我々はその指示にしたがって演奏していけばよく、二人でシンプルに始まったところに、じょじょにバンドが加わって、最後はジャムのように盛り上がっていくという流れになった。
 全体としては、ものすごくザ・バンドの初期のようなサウンドになりました。そういえば、「Acoustic」におけるジョンの歌は完成版の「Double Fantasy」とは全然違うモロにボブ・ディラン調だったし。個人的にもかなり好みな感じでありました。

 この曲でもKumiさんのボーカルが光った。こんなにカッコよくカントリーやアメリカン・フォークの感じを出せる人って日本にはなかなかいないんじゃないかな。うーむ、今後も要注目。


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by harukko45 | 2008-12-26 10:26 | 音楽の仕事

詳細(4)からの続き& Merry X'mas.

Bonnie Pinkさんとの2曲について。

 Bonnieさんは今回で3度目の登場で、これまでも我々トリビュート・バンドとのやり取りもかなりスムースだったし、彼女のポップでスタイリッシュな感覚がコンサートに独特の色合いと変化をつけてくれるのだった。今回も期待通りの明るい曲調の選曲に、十川さん曰く「ホッコリ」であった。
 
 で、当初私がもらっていた曲順表は"With A Little Help From Friends""Whatever Gets You Thru The Night"となっていたので、そのような流れでアレンジを考えていたし、バンドのみのリハーサルではその形でかなりの部分組んでしまった。
 しかし、この曲順に関しては、アーティスト側が後で決定するもので、これまでも何度か曲順変更はあったし、私もよく承知しているはずのことだった。なのに、ここに関しては"With A Little Help..."を頭にと私が勝手に思い込んでしまっていた。それには理由がある。

e0093608_1202265.jpg ビートルズのモンスター・アルバム「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」の2曲目で、ジョー・コッカーによるカヴァー・バージョンも私のような世代には印象的だった"With A Little Help From Friends"は、1曲目であるアルバム・テーマ曲の最後で「さあ、ビリー・シアーズをご紹介します!」と歌われた後、曲つなぎで突入する。その際にイントロでもご丁寧に「Billy Shears」と3声コーラスがついている。
 で、登場するリンゴ・スター扮するビリー・シアーズが「調子はずれで僕が歌ったら君はどう思うだろう...」と歌い始めるわけ。

 クレジットにはレノン=マッカートニー作となっているが、ほとんどポールの作だから厳密に言えば微妙な感じもするが、曲の魅力は十分だから、やらないでおくには惜しい。だが、アルバムにおける曲つなぎのイメージがすごく強いので、何かしらのしかけが欲しい気がした。
 なので、ジョー・コッカー・ヴァージョン(オルガンやギターによる壮大なイントロダクション)を参考にしながら(注:ジョー・コッカーはゴスペル風のスローワルツだからそのままでははまらない)、オリジナルのノリにスムースに移行できるように、ちょっとしたインストを加えたのだった。そこで、バンド的には一度盛り上げておいて、おもむろにビリー・シアーズならぬボーニー・ピンクを紹介する、というストーリーを描いていた。

 が、Bonnieさんが考えていたのは"...Thru The Night"の軽やかなグルーヴで登場して"With A Little Help..."をじっくりと歌いたかったのだった。

e0093608_15143567.jpg その"Whatever Gets You Thru The Night"は74年のアルバム「Walls And Bridges」に収録され、エルトン・ジョンとの競演で全米1位にもなった曲。確かに、ジョンのヒット曲として大抵のベスト盤にも入ってくるわけだが、だからといって、これを彼の代表曲とするのは少々抵抗を抱く人も多いだろう。私もその一人。
 ビートルズ時代からジョンがときおり見せる「テキトー」さは、魅力の一つではあるものの、楽曲自体の質の低さが明らかな場合もある。彼が歌っているから「それなりに」カッコがついてしまうとも言えるのだった。

 さて、実際のパフォーマンスでは、やはりBonnieさんの意向通り、"...Thru The Night""With A Little Help..."となった。私の勝手な思惑は外れたが、Bonnieさんは"With A Little Help..."の冒頭インスト部分でフェイクを入れてくれ、ちゃんとその部分が意味あるようにしてくれた。感謝である。それに、曲の完成度の高さから言ってもこの順番で正解だったと思った。
 他にも、この曲に関しては全体に派手さと音の厚みをつけるために、キーボードでいろいろとやってみたが、これは効果的だった思う。コーラスはキーが上がったので、オリジナルのようにはいかなかったが、サビの印象を強調することは出来たと思う。

 本番で個人的に悔やまれるのは、"...Thru The Night"で大々的にフィーチャアされるサックスのパートを私がシンセでトライしたのだが、この時使ったコンピューター内のソフト・シンセが途中からブツっと音が途切れるようになってしまい、非常にコントロールが難しかった。調子よく出たソロだったので、ひどく残念な気持ちになった。とは言え、Bonnieさんのボーカルは実にノリが良く、曲の感じにピッタリだったし、エルトン・ジョンならぬ、トモジ・ジョンによるエンディングでのファンキーなピアノ・ソロも盛り上がったね。
 後半のインスト部分では「踊ってますから」と我々に言ったBonnieさんって素敵な人です。

詳細(6)
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by harukko45 | 2008-12-25 16:53 | 音楽の仕事

詳細(3)からの続き
 
 詳細の4回目で、まだ2組目とはちとペース遅すぎ。これじゃ、年越しちゃう。

 昨年に引き続き、The Sunday Drivers [箭内道彦×渡辺健二(スネオヘアー)] を迎えての2曲。これも昨年同様、DreamPowerによって建てられた学校を、彼らが訪問した時の映像とともに"Free As A Bird"と"Woman"を演奏した。

e0093608_9234328.jpg "Free As A Bird"は1977年頃にジョンが作ったデモを、彼の死後ヨーコさんがポールに渡し、ジョージ、リンゴとともに完成させた曲で、ビートルズとして"Let It Be"以来のシングル・リリース(1995年)であった。(アルバムでは「Anthology 1」に収録)
 サビの部分の歌詞や間奏はジョンではなく、ポールとジョージが書き下ろしたもので、「またジョンと一緒に曲が書けるから」この曲を選んだというコメントには、やはりキュンとしてしまう。

 また、曲全体も少し感傷的なムードが漂っているのはしょうがないことだと思うが、そこがこの曲の魅力であるのも事実。こころなしか、ポールとジョージの歌声にも元気がなく緊張気味に歌っている感じがする。ただし、ジョンのボーカルにからむ"As a bird"の部分や間奏での美しいコーラス・ワークはさすがビートルズだと思う。

e0093608_951963.jpg もう1曲の"Woman"も、ジョンの死直後にリリースされた曲であったから、やはり聴いていると胸が痛くなる時があるし、曲全体にある「やさしさ」に浸れば浸るほど感傷的な気持ちも強くなってしまうのだった。
 それと、曲の前にあるジョンの肉声によるコメントがこの曲の核心へと導いてくれる。
Without each other,there ain't nothing,you know? It was a different viewpoint of what I'd felt about women and I can't express it better than I said in the song.
And it's for you - to all women. For the other half of the sky.
(お互いがいなかったら、そこには何もない。それまでの女性に対しての見方と全然違ったんだ。この歌の中で歌った以上に僕は上手くは表現できないよ。これは君のため、そして全ての女性のためだ。空のもう片方の半分のために。)


 スネオヘアーさんの繊細でやさしい歌声がやけにツボにはまって、気持ちは上で書いたような世界にどっぷりと浸っていた。
 そのせいなのかどうかはわからないが、いつもはとてもリラックスしてできるこの2曲なのに、"Woman"の2コーラス目あたりで、突然すごく緊張した気分が襲ってきて、ピッチカートと「Ohh-Ahh」コーラスのパートを同時に弾く手が震えてしまい、かなり動揺した。それでも演奏自体は間違えずに弾けていたのでよかったが、そこから後半部分では必死で気持ちの平静を取り戻そうとしていた。
 これも曲のマジックなのか。

詳細(5)
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by harukko45 | 2008-12-25 10:26 | 音楽の仕事

詳細(2)からの続き

 オープニングに続く本編のトップバッターは絢香さん。彼女はひょっとしたら、これまでで最高最強の1番バッター、まさにイチローばりの存在だったと言ってもいいかもしれない。スタジオでのリハーサルでもその歌のうまさ、天性の声の良さについては驚かされたが、本番日でのリハーサル、それはまだ午前中のことだったが、体の起きていなかった我々バンドを叩き起こすに十分なほどパワフルな歌声を披露し、再び私は感嘆したのだった。
 そして、もちろんそれは本番でもしっかりと再現された。私は3度の奇跡に遭遇したと言える。それほどまでに、彼女の歌声はモヤモヤと曇った気分を消し去り、目の前に希望に満ちて澄み切った青空を映し出すかのようだった。

e0093608_910139.jpg そんな彼女の1曲目は、これまたビートルズ初期の傑作"Eight Days A Week"。4枚目のアルバム「For Sale」に収録されているが、元々は彼らの主演映画の主題歌として作られたものの、インパクトに欠けるということで、その座を"Help!"に譲ったという曲。相手が"Help!"では致し方ないかもしれないが、これがボツ曲とは信じられないぐらいの完成度の高さ。
 ジェネシスのトニー・バンクスはこの曲を聴いて衝撃を受け、クラシックからロックに転向した、と語ったそうだが、その気持ちもよく理解できる。

 演奏面においては、楽しさの極致!やっていて微笑みがあふれてしまう。まずはイントロの美しい12弦エレキのフレーズ、それにからんでくるベースとタムによる3連符の刻み、ポップで親しみやすいメロディに輝くようなジョンの歌声、そこに絶妙のセンスでつけられるポールのハーモニー。特にサビである「Eight days a week. I love you...」のくだりでの5度、4度でハモるところは、民族音楽風というかスコットランド民謡風というか、とにかくその和声感覚にハっとさせられるし、その後半で6度のハモに移っていくところが「たまらん」のだ!

 実際の我々は、絢香さんをステージに呼び込む時間を作るために、オリジナルではフェイド・インになっているイントロをのばした。そのリフレインのたびに盛り上がっていく形にしたのは、彼女の歌をワクワクして待つような感じでなかなか良かったと思う。
 また、ハモのパートはキーが女性用に上がったので、オリジナルの積みとは少し変えたが、例のサビの部分の2声はそのまま再現できた。ただし、主メロが絢香さん1人、そこにハモが押葉、土屋、和田の3人になってしまったというのも、相手が絢香さんだからと言えるか(?)

e0093608_9523626.jpg そして、2曲目の"Mind Games"(1973年のアルバム「Mind Games」の表題曲)。"Imagine"同様に反戦ソングとして知られているが、今ではもうちょっと普遍的な愛についての意味合いもあるように思うし、女性が歌うことで、よりそういったニュアンスが強くなる気がするが、どうだろうか。
 そんな意味合いも込めて、我々はガッチリとバックにまわって、絢香さんの熱唱を大々的にフィーチャアすることにした。

 この曲は中盤に2回、レゲエのビートで演奏される部分があるが、基本的には4小節の同じアンサンブル、同じリズムを延々とループのように繰り返す中、ボーカルが歌い尽くすもの。ジョンのような天才ボーカリストならではの作品であり、オリジナルのような形でやりきるのはなかなか難しい。
 なので、ボーカリストによってはこちらも少し変化をつけたり細工を施す必要が出てくる曲なのだが、今回は最初からオリジナルの雰囲気で持ちこたえられると確信していた。そしてその思惑は的中し、我々も演奏しながら絢香さんのボーカルを堪能する喜びに浸れたのだった。それに、演奏しているだけでも、この延々と続く繰り返しはじょじょにトランス状態を生み出すので、実に気持ちよかった。

 そして、そのエンディングで、私としては彼女の巧みなフェイクを聴きたかったので、十川さんのピアノのみで二人にお任せした。まさに、催眠状態だった我々を目覚めさせる効果抜群のカッコイイ締めくくりをキメてくれたと絢香さんには感謝している。

詳細(4)
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by harukko45 | 2008-12-24 10:21 | 音楽の仕事

詳細(1) からの続き

 ジョン・レノン・スーパーライヴ2008のオープニングはこれまでにないものとなった。"Ono/ Give Peace A Chance(The 2008 Remix)"のサウンドと映像が流れる中、ステージに上がったのだが、煽動的なクラブ・サウンドとヨーコさんがスクリーンから語りかける「Think Peace,Act Peace,Spread Peace...Imagine Peace」のメッセージに心はどんどん高ぶるばかりだった。
 満員のお客さん達はオープニングに誰が出てくるかが一番の関心事だったろうし、特にバックスタンドで見ていた人たちには、ステージに上がってくる様子が丸見えだったから、その瞬間の熱狂ぶりは凄かった。
 登場したのは、奥田民生、トータス松本、斉藤和義、そして、ゆずのお二人。彼らが現れるとほとんど悲鳴のような大歓声が起きて、古田君のカウントは全く聞こえなかったし、その会場からの(特に北側のスタンドからはモロに伝わってくる)「気」の凄さにこちらは吹き飛ばされるのではないかと思うような圧力を感じた。

e0093608_21515694.jpg そんな中、我々が演奏し始めたのは、ビートルズ1968年のアルバム「The Beatles(通称:ホワイト・アルバム)」に収録された"Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey"。
 ホワイト・アルバムは玉石混淆と言われるが、それが故に意外と飽きずに聴き続けてきた作品。確かに、ジョージ・マーティンが主張したように曲をもっと厳選してしぼれば、文句なしの傑作だったかもしれない。
 だが、ことジョンに関して言えば、久々に多くの作品を収録しているし、ロック色の強い曲ではジョンのかっこよさが十二分に発揮されていると思う。

 で、この"Everybody's..."だが、とにかくベルが必要だ。曲全般に渡って、けたたましくも実に陽気に16ビートを刻む金属音は何かのベルだと思うのだが、その正体はわからない。が、これがなくてはこの曲にならない。なので、古田くんのローディである佐藤くんは毎年何らかのパーカッション担当で登場するが、今年はいきなりオープニングから働いてもらった。
 彼にはこのベルもどきの金属をぶっ叩くだけでなく、2コーラス目から登場するチョカルホというブラジルの楽器の部分もお願いした。チョカルホはブラジルのマラカスらしいが、今回はシェーカーを思いっきりガシャガシャ振ることで代用した。
 これ以外にもギターによる2種類のリフといい、全く持って独創的でかっこいいベース・ラインといい、どれも煽りまくるような演奏で、常に聴き手を刺激する。ビートルズの過激で、実はよく考えられた作風が楽しくってたまらない。

 このマニアックでありながら、演奏効果抜群の曲で、我々バンドはのっけから大爆発モードだったが、ボーカルを担当した皆さんもかなりのテンションの高さ。民生さんとトータスさんはお互いに競い合うようにキメまくっていて、ゴキゲンだったなぁ。一方で斉藤さんのマイペースぶりも光る。

e0093608_22383216.jpg 土屋さんのギター・ソロをはさんで、カットアウトのエンディングを作り、そのまま私がサンプラーでリバースSEを引き出し、全員で"A Hard Day's Night"の例のジャーン!へ突入。実はここが心配だった。スタジオでのゲネプロと、本番前のリハで私のコンピューターがエラーして、SEが途切れてしまうトラブルがあり、私は直前まで確認しながらも、無事に音が出てくれるよう祈る気持ちでいたのだった。だが、本番では完全にうまく行き、そのまま予定通り"A Hard Day's Night"につなぐことが出来たのだった。
 正直、ここでうまくいかなかったら、ガックリであった。オープニングからトラブルではショックでしばらくは引きずってしまったであろう。だが、何とか危機を乗り切ったことで、私個人は狂喜乱舞して、一気に盛り上がったことは言うまでもないのでした。

 初期ビートルズの最高傑作であり、ジョンの作品としても代表作の一つであるアルバム「A Hard Day's Night」の表題曲であるこの曲はイントロからエンディングまで一つとして文句のつけようのない大傑作。だが、今回はあえて前曲の過激な部分に近づけるために、オリジナルよりもヘビーなギター・サウンドとドラミング(Bメロではザ・フーのようだった)でトライした。ここまで良く出来た作品だから、多少ニュアンスを変えて演奏したってビクともしない。ハードならハードなりにカッコいいのだった。
 ゆずの二人が普段の雰囲気とはちがったシャウトを聴かせてくれたのも楽しかった。でも、やっぱこの曲は自分でも歌っちゃうね、演奏しながら。

 先に書いた心配事も無事に過ぎ去り、やっている曲も素晴らしかったし、皆の演奏もいいノリだったので、私自身もかなりの興奮度に上がっていたことは確か。こういう時に冷静に振る舞えればいいのだが、私には無理のようだ。だから、その後誰がどこを歌ったのか、記憶にない。とにかく、これまでで最高にハードでロックなオープニングにしたかった思いはほぼかなったと思った。

 本編からは離れるが、実はこのオープニング2曲、スタジオでリハーサル中にオノ・ヨーコさんが突然見えた時に、演奏してお聴かせしたものだった。その時は、奥田さんのリハーサル時間だったので、リードボーカルは奥田さんと我らが押葉君だった(この押葉バージョンの"Everybody's...Me And My Mokey"は強力にかっこ良かった!)。この時の演奏にヨーコさんはとても喜んだそうで、その翌日、我々バンドは直筆の手紙を頂いたのだ。その達筆さに感心しながら、その内容にもいたく感激した我々が燃えない訳がないのだった。
 そういった意味でも、とても記憶に残るオープニング曲だった。

詳細(3)
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by harukko45 | 2008-12-22 23:03 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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