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The Rolling Stones/'67

 '67年の"Between The Buttons"は過度期の作品で、全体としてはいまいちな仕上がり。シングルの"Let's Spend The Night Together"と"Ruby Tuesday"が収録されているU.S盤の方が楽しめる。
 だが、この2曲に比べると他の曲はガクッと落ちる。サイケやワールド・ミュージック、ディラン風にジャズと、いろいろなアプローチをしているが、そもそも曲自体の魅力が乏しい。まぁ、極めてストーンズらしからぬサウンドの異色作ってことで、お茶を濁す?

 そんでもって、サイケとドラッグ吹き荒れるこの時期、懲りないストーンズはもう一枚出してしまった。"Their Satantic Majesties Request"は、ストーンズ史上最大の問題作、賛否両論云々といろいろ語られてきたが、個人的には前作よりもこっちの方が断然好きなのでした。
 今の耳で聴けば、それほど問題な作品とは思えないし、彼ら自身はちゃんとしたビジョンを持ったプロデュースをしていると思う(制作にものすごい時間がかかって、うんざりしたという話も)。

 ただ、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンのように、とことん狂気の底まで行ってしまう感じは、ストーンズにはない。そこが、彼らの生真面目さというか、音楽研究家的なアプローチの限界か。
 だから"She's A Rainbow"と"2000 Light Years From Home"は大変よい仕上がりだとは思うが、もう一つ真実味に欠けて魂に訴えてこない(アレンジの力による勝利とでも言いますか)のが不満だ。

 でも、すぐに彼らは本当の自分達を取り戻して、素晴らしい傑作を連発するのだから、やはりただ者じゃなかった。
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by harukko45 | 2006-04-04 00:49 | 聴いて書く

The Rolling Stones/Aftermath

 昨日は大橋さんの仕事で福岡にいて、ショウが終わってからしこたま飲んでしまったので、少々酒の残ったまま帰って参りました。イヤハヤ、そろそろ年齢を考えて自重せねばね。でも、盛り上がって楽しかった。

 さて、ストーンズ最初の傑作は66年発表の"Aftermath"。でも、これもUK盤とUS盤があるのよね。私はUK盤しか聴いていなかったので、US仕様に曲順を入れ替えたものも今回聴き比べてみた。

 で、1曲目が"Paint It, Black"で、ハァーこれはこれでありかな、とも思いつつ、やっぱり大好きな"Mother's Little Helper"がカットなのは困る。全体はフォーク調だけど、ストーンズの毒気が満載でいいのだな。それに、エンディングのミックの「Hey!」なのか「ホイ!(なわけないやろ)」なのか、とにかくあそこがいいのだ。このエンディングが楽しみでしょうがないのだった!

 m2"Stupid Girl"はカッコイイ。ストーンズも短い時間にすごい成長だ。続く名曲"Lady Jane"はフォーク・ソングにクラシカルなエッセンスを入れた傑作。こういう雰囲気のミックは絶妙にキマってるなぁ。
 m4"Under My Thumb"ほど、クールなカッコ良さを持った曲って他になかなかない。これをイギリスの白人ミュージシャンが書いたんだからすごいセンスだ。ブライアンのマリンバは「くー、タマラン!」を何十回言っても足りない。

 渋いブルーズの"Doncha Bother Me"の後にUSは"Think"になってポップ色が増すのだが、ここはUKの"Goin' Home"でドロドロになって、セクシーな妄想に溺れましょう。この曲全体のサウンドには何とも言えないマジックがあって、短く切らなかったプロデュースが素晴らしいと思う。
 で、m7"Flight 505"m8"High And Dry"のような南部風もなかなかのキメ方で、良いのです。
 チャック・ベリー調の"It's Not Easy"ではミックの「hard」の歌い方にクラっとして、続く"I Am Waiting"の英国風なひねった作りもおもしろい。

 やはり、このアルバムはUK盤で聴いて、傑作シングル"Paint It, Black"はベスト盤("Big Hits")で聴くことにしましょう。
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by harukko45 | 2006-04-03 18:23 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'64~'65

 ストーンズって、一回聴き始めると病み付きになっちゃって、持ってるCDをいろいろ引っ張りだすハメになる。それなら、最初から聴いてみようなどと、とんでもないことを思いつく。

e0093608_0010100.jpg ただし、'64~65年頃のものはアルバムとして聴くと、ちょっと辛いものがある。演奏力とともに、録音的にもビートルズの完成度の高さに比べるとずいぶん落ちる。
 でも、選曲が恐ろしく渋くて、彼らのオタクぶりに驚くって感じ。確かにアイドル的なデビューの要素もあったとは言え、ここまで「ブラック」な通っぽい曲ばかりで、よくチャートの1位を取れたものだ。ある意味かなり過激だよなぁ。

 カバーものでもビートルズがどんどん独自のアレンジを施しているのに比べて、保守的なストーンズはオリジナルにリスペクトの思いが強くて、それが弱さにもなっていた。(2ndに入ってるドリフターズの"Under The Boardwalk"での稚拙さと必死さなどは逆に微笑ましい?)
 ただ、そのこだわりがなかなか深くて、チャック・ベリーのロックンロールも「軽い」ノリになってないし、ブルーズやR&Bにしても技術的にはともかく、かなり本物のムードをつかんでいるのだった。だから、背伸びしてでもやりたい事をやるという姿勢は凄いし、この当時のイギリスでのブルーズ・ムーブメントというのは本当にヒップなものだったのだろう。

 ストーンズは「ワル」のイメージでの売り出し方とは正反対の、この時期における極めて真面目なブラック・ミュージックへの取り組みが、じょじょに血肉となって、強力なオリジナル・ソングにつながっていくわけだ。その大傑作が"Satisfaction"なんだけど、U.S盤の"Out Of My Heads"には他にも"The Last Time"と"Play With Me"が収録されてて外せない。ラストの"One More Try"もこの当時っぽい仕上がりのロックンロールで、隠れた名品。

e0093608_1443446.jpg ただ、傑作シングルを集めたベスト盤"Big Hits(High Tide And Green Grass)"を聴けば初期の代表作はほぼチェックできる。オリジナルだけじゃなくて、カバーものからも"Not Fade Away"や"Time Is On My Side"(U.Kバージョン、好き!)が入っているから、普通のストーンズ・ファンはこれで十分だろうな。結局、私もよく聴くし("Have You Seen Your Mother..."から"Little Red Rooster"までカッコいい曲ばかり並んでて最高です!)。
 
 この時期のストーンズはU.KとU.Sで違う曲目の同名アルバムになっているから、ちょっと面倒くさい。...<続く>
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by harukko45 | 2006-04-02 00:35 | 聴いて書く

the rolling stones/a bigger bang

 ローリング・ストーンズ5回目の来日記念って感じで、去年出た新譜"A Bigger Bang"について。

 実は昨年の8月末に出て以来、何回か試聴はしていたのだが、どうしても買おうって気が起きなかった。でも、今年になってやっと購入、今はかなり聴いてる。
 最初の3曲ぐらいまでが、いかにも「若さ」を全面に出しているようなのと、まさに「ストーンズだぜ!」っていうムードがちょっと嫌だったのが、なかなか買わなかった原因なんだけど、グラミー賞の放送中にコンサート会場から中継で演奏されたm4"Rain Fall Down"がかなり良くって、「あれっ?」って思ったのだった。

 で、ちゃんと聴いてみると、やっぱ4曲目からぐっとこちらの気持ちが入ってくるのよね。別に最初のロックンロールがけっして悪いわけじゃないんだが、何せストーンズなので、どうしてもこの程度は「まあまあ」ってことに。

 m4はいわゆる「インチキっぽい」ファンクであり、m5"Streets Of Love"はいかにも「キュンとする」バラードで、m6"Back Of My Hand"は出ました!「テムズ川の綿花畑」、特にこれはミック、キース、チャーリーだけでやっているのでそのムード満点、m7"She Saw Me Coming"も同じくゲストなしなので、「あの時代」(60年代後半から70年代前半)がチラチラ見え隠れして、どれも魅力的だ。
 そして、m9"This Place Is Empty"のキースの声はヤバイでしょ、ボブ・ディランの"Love Sick"の歌いだしを聴いた時と同じヤバさだった。歳取るってすごい。
 
 m10のチャーリーはやけに元気でタイトだなぁ、でもダリル・ジョーンズのベースがうますぎて、パンク風の曲なのにボトムがやけに綺麗なんだよな、残念。続くm11"Dangerous Beauty"はカッコイイのりだなぁと思ったら、ミックがベース弾いてるし、キースとチャーリーの3人だけだった。

  m12"Laugh, I Nearly Died"はやけにバランスのでかいリムショットが打ち込みビート風でおもしろいし、ここでのミックの「演劇くさい」熱唱がいい。で、また3人だけのm13"Sweet Neo Con"でもミックが頑張りが目立つ。ミックはハヤリの感じとそれまでの自分達のスタイルをミックスするのがいつも「ゲセワで」うまいなぁと感心してると、次のm14はまるで80年代のイン・エクセスか、と思わせるようなキレの良さ。と同時に「悪魔的」な例のパーカッションとギターサウンドがかなりイケテル。
 
 ストーンズはすでに大傑作を何枚もモノにしているので、この作品を大絶賛というわけにはいかないが、近年のアルバムの中ではダントツだと思う。彼らの音楽は、黒人音楽のルーツに根ざした、実は予定調和の正統派ロックなのだが、その追求がアメリカの黒人以上に深く入り込んでいたため、まさに悪魔に魂を預けた「ヤバさ」が溢れていて、それが彼らのファンをやめられない魅力なのだった。そんなことを再び思い出させてくれる力作だ。
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by harukko45 | 2006-03-29 02:35 | 聴いて書く

グラミー賞

 おいおい、U2が5冠(プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトの「最優秀プロデューサー」も含めれば6冠)って、そうなの? とただただ驚きの今年のグラミーだった。
 U2の"How To Dismantle An Atomic Bomb"ってそんなに良いアルバムだったのか?私としては、発売当時に1曲目の"Vertigo"のイキオイに押されて無条件で買うつもりが、CD店で試聴するうちに「ま、いいか。」に変わって、結局その後も買わずじまい。遅ればせながら、ちゃんと聴いてみるかなぁ。

 ただし、基本的にU2は苦手なバンド。"New Year's Day"が入っている3rdアルバム"WAR"あたりの頃はサウンド(エッジのギターときついコンプを効かせてディレイ処理したピアノ)が気に入ってよく聴いたのだが、世の中の評価とは逆に"The Joshua Tree"が大ヒットした時は興味を失っていたのでした。その後の彼らはよく知らないし、どんどん苦手な感じに変貌していった気配だったのでますます聴かずに。ただし、一度B.B.キングと一緒に来日した時は観に行った。もちろん私にとっては、B.B.キングの方が圧倒的に良かったけど。
 でも、よく考えれば今作のプロデューサー、S・リリーホワイトは過去にピーター・ゲイブリエルの3枚目やXTCの初期などの傑作、問題作を手がけた人物だし、"WAR"を含む初期の彼らも手がけていて、今回久々のカムバックがこの高い評価に結びついたわけだ。あのゲート・リバーブの生みの親とも言うべき、イギリスが誇る変人プロデューサーの代表であった彼がグラミー・ウイナーとは!これに関しては素直にめでたいです。

 にしても、私はマライア・キャリーにもう少し賞をあげても良かったと思うがなぁ。ライブ・パフォーマンスは全出演者中で最高だったし、すっかり聴き惚れてしまったというのに、目立った受賞がなくてかわいそうだった。

 それに比べて全く不満なく、予想通りに最優秀新人の他3部門を受賞したジョン・レジェンド!こちらは将来有望、今後も期待十分の才能豊かな26歳でした。女性ではアリシア・キーズ、そして男性ではジョン・レジェンドとR&B界は明らかに新しいスター、それも強力な存在がそろってきたね。アルバム"Get Lifted"はデビューにして一家に一枚の大傑作であることは間違いない。私もかなりハマッております。
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by harukko45 | 2006-02-11 00:34 | 聴いて書く

CSIそしてThe Who

 「CSI」の再放送はシーズン1を見終わった後、そのまま2に突入。こりゃ、やめられまへん。しかし、いくら全米の超人気シリーズで、内容もよく出来ているとはいえ、元祖「CSI」(ラスベガス編)に続いて「CSI:マイアミ」「CSI:NY」って立て続けに作るのって何だかなぁ。

e0093608_14124826.jpg 私としては、あくまでベガスのファンであり、この良さは何てったってキャストの個性が光ってるってことなのだ。特にグリッソム主任役のウィリアム・ピーターセンが最高なんだな、やっぱり。外見からするとあんまり強そうに見えないし、いかにも科学者してて「オタク」丸出しなのが、逆にリアリティがあっていい。それと、かつての「スタートレック」のカーク船長を思いださせる雰囲気があるのだ。

e0093608_14132895.jpg ずっと見てるせいで、ベガスの他の出演者にも思いが強くなってるためか、「マイアミ」のキャストにはイマイチ共感できなくて、じょじょに見るのから撤退してしまった。ただ、アメリカでは「マイアミ」の評価はかなり高いらしい。

e0093608_14135318.jpg それと、昨日から始まった「NY」はしばらく見てみるつもりだが、こちらはトーンが暗いね。どうも舞台がニューヨークだと、出てくる人々が皆「神経症」気味なのは、それが事実だから? 主役のゲーリー・シニーズは映画にもよく出演している名優なんだろうけど、彼のキャラからして重苦しいムードがあって、ちょっと不安。

e0093608_14172292.jpg だからってわけじゃないが、同じジェリー・ブラッカイマー制作でも「コールドケース」の方に愛着を感じている。とにかくリリー・ラッシュ刑事役のキャスリン・モリスが最高。こういうスーツ姿(男装?)の女性というのは、何とも魅力があるのだ。古今東西、オペラから宝塚にいたるまで、いわゆる「ズボン役」は永遠なんだなぁ。シーズン2の放送が待ち遠しいよ。


 おっと、一つ大事なことを忘れていた。「CSI」シリーズのオープニング・テーマは全部The Whoの名曲だということも、やられちゃう原因なのだ。ラスベガスの"Who Are You?"(左下アルバム'78“Who Are You"に収録)、マイアミは"Won't Get Fooled Again"、そしてニューヨークは"Baba O'Riley"(ともに右下'71“Who's Next"に収録)と私も大好きなザ・フー! たまりません。

 この選曲でこだわりを感じる点は3曲すべてが今で言う「シークエンスとの同期もの」ということ。彼らがレコーディングしたころは、もちろん今のようなコンピューター・システムはないから、色々工夫したのだろうが、その出来は文句なし!さすが、ピート・タウンゼント様。
 ザ・フーは凶暴性と繊細さ、ポップなメロディとハードな演奏の共存、外見のメチャクチャさの裏にあるバネの効いたノリの素晴らしさ、などなど書き出したらキリがない。

 そういう彼らの魅力を余すところなく味わえるのは大傑作映画"The Kids Are Alright"につきる。これを観れば、絶対にザ・フーの大ファンになること間違いない!ライブもインタビューもTV映像もレコーディング風景もすべて最高。今見ると、亡きキース・ムーンの姿に涙してしまう。ベースのジョン・エントウィッスルも今はいないんだなぁ。
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by harukko45 | 2006-01-09 14:27 | 映画・TV

2005年のベスト3×2

 おまけってわけじゃないけど、今年は近年になくCDをよく聴いたほうなので、自分のベスト3×2をあげておきます。

1.最もよく聴いた、そして内容も最高だ!時間が経っても絶対に飽きないに違いない!2005年新譜Best3:

 "Bonnie Raitt/Souls Alike" 演奏よし、歌よし、曲よし、アレンジよし、そんでもって音が最高!さすがチャド・ブレイク。こういう音でアルバムを作れたら本当に最高でしょう。全体としてはミュージシャンうけ的な内容かな。でも、ずっと聴いていける傑作。

 "The White Stripes/Get Behind Me Satin" ロック、ポップスの世界で現在最高で唯一の天才、ジャック・ホワイトは何から何までかっこいい!前作も凄かったけど、これも凄かった。大好き、大好き、とにかく大好き。来春早々来日するけど、ワタシャ仕事で行けない!くやしーい!

 "Miles Davis/The Cellar Door Sessions1970" たとえ録音が1970年だろうと、新譜にはかわりない。で、これほどのジャズ演奏を現代では聴く事はできない。キース・ジャレットにしぼったって、こんなプレイはマイルスと一緒でなければ生まれなかった。キースのコメントがかっこいい。「それは生涯で一度か二度、見られるか見られないかといった彗星のようなもの。この彗星のような音楽を、人がなんと呼ぼうと僕にはどうでもいいことだ。」しびれるねぇ。


2.最もよく聴いた、そして内容も最高だ!時間が経ってもやっぱり飽きないじゃないか!旧譜Best3:

 "The Band/Music From Big Pink" ザ・バンドは中学生の時からずっと好き。でも、今の方がもっともっと好き。数あるロックバンドの中でも特別な存在。常にお手本となる何かがひそんでいる。今年はこのファーストに再びぞっこん。

 "Free/Fire And Water" 今年後半、最もトチ狂ったように聴きまくったフリー。フリーに関してはどれもよく聴いたんだけど、最後はやっぱりこのアルバムに軍配が。車で移動中に4,5回リピートしても毎回盛り上がっちゃったよ。ありがとう!ポール・ロジャース。そして、今はアンディが少しでも元気になることを切に祈るのみだ(彼はエイズと闘っている)。

e0093608_0431666.jpg "Bruno Walter/Mozart25,28,29,35" ブルーノ・ワルターとカルロス・クライバーが私にとって最も尊敬し共感できる指揮者。最近、ワルターの音楽で自分の心がものすごく満たされることをまた実感した。モーツァルトとマーラーと迷うが、やはり正月を迎えるならモーツァルトを聴きたい。今大好きなのは28番と29番。明るい曲調がかえって寂しさや悲しさを感じさせるのが、モーツァルトの奥深さ。大人になってやっとわかってくる味。彼は35歳で死んだが、人生のスピードは普通の人の倍、つまり70歳の生涯を半分の時間で過ぎ去ったのだろう。

 それでは、これでほんとに「よいお年を!」
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by harukko45 | 2005-12-31 19:32 | 聴いて書く

今日のFREE(7)"Free At Last"

 前からずいぶん経ってしまったけど、フリー特集のラスト。72年の"Free At Last"、これまた意味深なタイトルで、オリジナル・フリーの完全なる最終作。
 一度解散して、それぞれの道を行くはずが、やっぱり「若気の至り」に気づいた(?)アンディの呼びかけで復活したのだが(他にもいろいろ理由はあるんだろうが)、結局「やっぱ、ダメだ!」ってことに。
 こういうことは私達の身近にもよくある。だから、「あの時のマジックをもう一度!」って気持ちと、一度終わったものを立て直すことの難しさにうんざりする気持ちの両方は、それなりにわかる。
 結局、長くバンドをやっていけば、純粋な音楽性よりも「人間関係」の方に重点がいきやすくなり、忍耐が必要になる。「人間としては嫌いだけど、あいつのギターは好きなんだ」ってことで何とか維持されていくが、慣れきった環境はある種の「甘え」や「許し」の構造を生み、それぞれのエゴが共同作業への妨げになっていく。
 これが、ある程度歳をとってくると、些細な人間関係よりも大事なのは音楽だって(いや金儲けだったりして)理解できるようになるんだろうが、まだ20歳ごろの連中じゃ無理だっただろう。
 
 しかし、腐ってもさすが我らがフリー! 私はこのアルバムが大好きなのだ。確かに、もうちょっと煮詰めてほしかったところはあるのだが、それぞれの曲はけっして悪くないのだ。演奏だってかなり洗練されてきているし、それまでとは違う方向性(よりライトな印象を与えながら、実は内省的な感覚)へのアプローチもしていると思う。
 "Catch A Train""Soldier Boy"もかっこいいじゃないか。ただし、もうちょっと長いバージョンにしてほしかった。「オー、いいぞ!」ってとこで、チャンチャンと終わってしまう印象が。ほんとに残念。
 そうこうしているうちに"Magic Ship"、「エー、サビやない!」なのに、後半の長尺のインスト部分はずっとロジャースのピアノで、コズフは何しとんの!ずいぶん遠くにギターのチョーキングが。
 それにしてもポール・ロジャースの唄ってやっぱいいなぁ。"Sail On""Travellin' Man""Little Bit Of Love"と聴き惚れます。演奏もノリがいいんだ。フリーの面白さの一つに、こういうグルーヴィなところがあるのだ。皆簡単に「重いビート」って言い過ぎる。そんなに簡単に片付かない。とは言え、M7は途中で放ったらかしたようなエンディング。こういうところがガクっとさせるのよ。続く"Guardian Of The Universe"も明らかに未完成。アンディにもうちょっと忍耐力があれば、きっと堂々たる大作に仕上がっただろうに。
 しかし、そういう投げやりさは次の"Child""Good bye"では逆に内省的な表現効果(あー、終わりが近いんだって気分)を上げていて面白かったりする。
 このかっこいいのに、妙に物足りない感じが、私にこのアルバムをリピートさせるみたいだ。
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by harukko45 | 2005-12-20 14:51 | 聴いて書く

今日のFREE(6)"Fire And Water"

 FREEの代表作、最大のヒット作"Fire And Water"は、すばらしい内容であることを認めつつも、CD化されてからのその音質にずっと不満を感じていた。簡単に言えば、抜けの悪い音で迫力がなかった。

 それは特に1曲目のタイトル曲に顕著で、印象的なコゾフのイントロから、ドラム・フィルでさあボーカルってとこで、グっとこないのだ。そこで一瞬、音が引っ込んだように感じてしまう。こういうことは気になり始めると非常に後を引く。だから、現代のポップ・ミュージックの「スピーカーに張り付いた」ようなコンプレッションの強い音に慣れた耳には、この1曲目はかなり物足りなく感じてしまうのだ。
 フリーは全体にボーカルが小さいバランスだが、このアルバムのイマイチな音質の場合、それならミックスにおいて、もう少しボーカルのバランスを整えてほしかった。曲の良さ、メンバーの充実した演奏ぶり、特にポール・ロジャースの唄のうまさがもっとダイレクトに聴き手に伝わるようにCD化において工夫すべきだった。
 そこが、ビートルズやレッド・ツェッペリンのようにちゃんとしたプロデューサーを持たなかったフリーの不幸とも言えるかもしれない。

 ただし、2001年にデジタル・リマスターされて、初期のものより格段に良くなった。でも、これでもまだ、ライブ盤や2ndの方が音質はいいと思う。

 なぜ、こんなにくどくど音質について言うのかは、ひとえにアルバムの内容が大変素晴らしいからに他ならない。彼らは最もバンドとして充実した瞬間をむかえ、それが全てににじみ出ていて、どの曲も何度聴いても飽きる事のない仕上がりなのだ。
 "Fire And Water""Mr.Big""All Right Now"というまさにキラー・チューンを3曲そろえ、その間に通を唸らせる最高のR&Bを聴かせてくれる。最近の私は歳をとったせいもあって、"Heavy Load""Don't Say You Love Me"あたりにムチャクチャはまってしまう。

 たぶん、2ndでこのバンドの持つ独特な「空間」を見つけたアンディ・フレイザーは、そのスタイルをより研ぎすませるべく、曲を書いたのだろう。それまでの、まず曲があって皆でやってみよう、という感じから、ユニークなサウンドを持ち始めたバンドにあわせた作曲、アレンジになっていると思う。そういうことは、間違うと人工的すぎるような、あるいは作為的なプロダクションになりかねないのだが、彼ら4人の個性とお互いの信頼関係が、そういった不安など簡単に吹き飛ばしてしまったに違いない。

 最初、批判的で後半は大絶賛とはどういうことだ? いや、それがこのアルバムの真実だ。代表作とされるゆえに、他の聴き手がその内容を深く見いださないまま、「渋い」「ロック・オヤジの音楽」と片付けてしまうのが嫌だから、どうしても矛盾をかかえながらも扱いに慎重になるのだった。

 結局、私にとってフリー鑑賞のキッカケであった"Fire And Water"は同時にゴールでもある。ここにきて、ようやくわかるような部分もいろいろある。だからこそ、もっと鮮明な音でコイツらの名演を聴いてみたいという願いはどうしても残る。
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by harukko45 | 2005-12-02 02:39 | 聴いて書く

今日のFREE(5)"Tons Of Sobs"

 シンガポールから帰ってから、フリーをきっかけにあっちふらふら、こっちふらふらで音楽評論家ぶっていたが、その肝心のフリーをそろそろまとめなくちゃ。

 で、その5回目はファーストの"Tons Of Sobs"を選んだが、これはある意味「60年代後期のブリティッシュ・ブルーズ・ロック」なしでは生きていけない人、その道の研究家が聴き込むべきものだろう。正直、今の耳でこれを完全にすべて楽しめというのはつらいところがあるのは否めない。
 が、そう簡単に片付けられないのがフリーの奥深さ。

 何たって、若い。なのに、渋い音楽だ。小僧がマジにブルーズしまくっている。だからポール・コゾフは夢中になって弾きまくっている。そのせいで、ポール・ロジャースの存在がいつもより薄く感じる。おもしろいのは昨日のザック・ワイルド20歳デビューにおける「弾きまくり」とこのコズフの19歳デビューの「弾きまくり」の比較。
 時代の違い、ロック・ビジネスの違いなど、簡単に比べてはいけないだろうが、とにかくこの二人の共通点は筋金入りの「バカ」だということだ。
 同じようにレスポールを爆音で弾く姿を頭の中で思い浮かべてみると、何だかニヤニヤしてしまう。

 ただ、コゾフの方がハートは繊細だ。だから、早死にしてしまう。かたやザックは根っからのサバス党だから、最初から悪魔にハートを売ってしまっていて、酒もドラッグも何のそので不死身かも?
 19だろうが20だろうが、こんなギターを弾くやつが近くにいたら、何をさしおいても聴きにいくにちがいないほどの大バカ野郎どもだと思う。

 だから、コズフを楽しもう。素晴らしくのめり込んで弾きまくっている。それでいいのだ。そのかわり、バンドとしてはまだイマイチだ。それは、その後を知っているからだけど。
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by harukko45 | 2005-11-26 01:25 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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