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The Rolling Stones/'95~?

 ここのところ、ストーンズについてクドクド書いてきたが、ライブ盤とビデオ、DVDに関しては除いていた。ストーンズの場合、スタジオ盤の方が、その仕事の面白さがよくわかるからだが、90年代に入ってからはそのリリースのペースが著しく落ちた。年齢・体力的な面もあるだろうが、残念ながらバンドとしての創造力の枯渇を指摘せざるを得ない。

 80年代までは、成功失敗いろいろあっても、常に新しい刺激を音楽界に与えるたくましさが溢れていた。が、"Steel Wheels"から明らかに彼らの音楽そのものに新鮮な驚きはなくなってしまった。
 普通は円熟したパフォーマンスを披露する大人のバンドとなっていくところだが、彼らはいつまでも若く、永遠のワルガキのような外見と振る舞いは変わらない。確かにその姿に憧れをいだくし、すごいと思う。が、肝心の音楽、彼らの新曲には若ぶる「あざとさ」が目立って、あまり楽しめない。正直、過去の自分達の良さをプロデューサーに分析してもらい、それを現代風にシュミレーションして、バンドを「ブランド化」することで生き延びているように思える。

 その証拠として、90年代で一番良いアルバムは、新曲によるものではなく、過去の名曲をライブとリハーサルで収録した95年の"Stripped"なのだ。ここでは、とてもリラックスして楽しんでいるストーンズがいる。もっと言えば、これこそが昔のストーンズの音に近い。
 そして何より、曲が良い。つまりは時代など関係なく良い曲は常に良い、ということだった。選曲の良さもあって、このアルバムは新録による裏ベストだろう。

 ただ、ボブ・ディランの60年代の代表作"Like A Rolling Stone"をなぜかこの時期初録音で、その出来は良いとは思うが、かたやディランは97年に"Time Out Of Mind"という驚きの傑作で、ファンを驚喜させてグラミーまで取ったという違いが何とも皮肉っぽい。

 そして最も悲しむべきは、その同じ年に発表された"Bridges to Babylon"はローリング・ストーンズ史上最悪の駄作だということだ。
 ついに、このアルバムでは聴きたくても聴きたい曲がない、という状況に陥った。よっぽどの事がなければ、もう聴くことはないだろう。何もかもがあざとくて、ただただ疲れる音だ。
 このアルバムは最後まで聴くのがつらい。そして、我慢してつき合っても思いがけないプレゼントは何もない。

 たとえ失敗作でも、80年代の諸作の方が内容は数段素晴らしい。とにかく、ストーンズとあろうものが、「いかにも」ロックしてるのがイヤになる。

 と、ストーンズの未来にはひどく悲観的だったものの、去年リリースされた新作は私に予想外の喜びを与えてくれた。プロデューサーのドン・ウォズ曰く、「60年代の頃のように、協力しあって曲作りをした」アルバムだということだ。そして、演奏もゴテゴテした装飾なしの基本に立ち返ったバンド・サウンドで、久々の傑作だった。"A Bigger Bang"についてはこちら

 もう、ダメかと思ったら、再び充実したアルバムを我々に届けてくれたことに敬意を表したいと思う。そして、再び彼らの音楽を楽しめることを素直に喜びたい。
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by harukko45 | 2006-04-12 01:53 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'88~'94

 さて、長々としつこく書いて来たストーンズものも終盤に差し掛かってきました。

 まずは、88年にミック・ジャガーが単独で来日、東京ドームでライブをやったのだった。私は幸運にもチケットを得たものの、ギターにジョー・サトリアーニ、ドラムにサイモン・フィリップスといったメンバーで、たぶんソロ・アルバムからの曲を演奏するのだろうと思って、さして期待していなかった。
 ところが、始まるやいきなり"Honky Tonk Women"のイントロで、背筋がゾクっとした。そうしたら、あのミック・ジャガーが、あのミック・ジャガーが、あのミック・ジャガーがですね、ステージ下手のスピーカーの前に登場して、客に手拍子を煽る例のパフォーマンスしてるじゃないか!!
 やられました。まさかストーンズの曲やるなんて! その後もまるで"Love You Live"のような進行で、ほとんどストーンズのナンバーを歌ってくれた。もう、正直バックが誰であろうと素直に興奮したし、生でミック・ジャガーを見れたことが、信じられなかった!(チケット持って観に行ってるのに変だけど)

 翌89年に待望のアルバム"Steel Wheels"は、ミックとキースの和解と、バンドとしての活動の全面復活ということで、全体的に好意的に受け入れられた。私もかなり何度も聴いたしね。そして、その後の初来日で、世の中ストーンズ一色かと思われるほど盛り上がりを見せたのだった。今思えば、なかなか楽しい思い出でありました。コンサートに行く時はただの子供と同じだからね。
 とりあえず、細かいことをあうだこうだ言えるような次元じゃなかった。ストーンズを生きてるうちに観れてよかった、っていうのが正直な気持ちだった。

 なので、このアルバムはその記念のような感覚でとらえていて、その後はあまり聴き返すことはない。全体には堂々とした豪華な作りだが、今聴くと印象的な曲がない。それと、たぶんドンカマ(クリック)を使ったレコーディングのようで、正確で安定したビートの演奏だけど、独特なグルーヴ感を感じられず、正直ノレない。
 また、ミックの歌い方がやけに力が入ってて、あまり良くない。ボーカルの存在感がイマイチで、いつものような多彩な表情や説得力に欠ける。

 "Steel Wheels"以後、アルバムを出しては大規模ワールド・ツアーを展開して、その後しばらく休む、というのが90年代以降の彼らのスタンスになった。それで、前作から5年後、94年リリースとなった"Voodoo Rounge"。
 共同プロデュースにドン・ウォズを迎えて、90年代風のザックリ感や適度に汚れた質感を取り入れてサウンド面では悪くないし、曲の質も前作より高いと思う。が、やけに落ち着いてしまった感じがして、スリルがない。それは、いかにも昔の彼らをもう一度シュミレーションしたような前半のm1からm8で顕著なのだ。王道のロックって感じで、まぁ、悪くはないんだけどね。

 そこで私としては、地味ではあるが、m9"Brand New Car"からの後半だけ楽しむ今日この頃である。ゆるめのカントリー・ロック、インチキ・ファンク、キースの渋いバラード、クラシック・スタイルのロックンロールとなかなか飽きません。トータルが長いからって、油断できませんぞ。
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by harukko45 | 2006-04-11 02:00 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'83~'86

 厳密に言えば、80年代になって初のレコーディング作品はこの"Undercover"からになる。で、このあたりから、ミックとキースの確執が始まったようだ。時代に乗り遅れないようにトレンドをどんどん取り入れようとするミックに対して、常にルーツを忘れないようにするキースとの関係は、バランスが取れている時は最高の結果を生み出して来たが、この時期は違った。

 そういう点ではこれはミック主導で完成したものだろう。全てがいかにも「MTV向け」のような仕上がりで、よく言えば実験的かもしれないが、節操がないとも言えるし、とにかく流行りのシーンに媚を売り過ぎている。かつて、サイケ全盛時に出した"Their Satanic Majesties Request"は評判は悪くても真に実験的だったし、音楽にもっと誠意があった。

 ただし、腐っても鯛のごとくm1"Undercover Of The Night"はよく出来ていて、けっこう好きだ。ヒップホップという新しい要素と従来からの「悪魔」色の合体が成功していると感じるし、ダブの決め方もなかなかだと思う。だからこそ、"Some Girls"の時の"Miss You"のように、「今どき風」はこの1曲だけにしとけば良かったのだ。
 正直、その後の曲は別にストーンズの曲として聴く必要はない。ミック自身も後に「失敗作」と認めている。

 ところが、ミックはこの後、自分のソロ・プロジェクトに夢中になって、バンドのセッションをさぼるようになり、キースの怒りを買う。だから、次の"Dirty Work"はキース主導のアルバムとなる。
 ジャケットからしてミックは横に追いやられ、キースが中央のソファにどっかと陣取っているのが象徴的(実にわかりやすいバンドじゃ)。

 何人かの人から、「このアルバムは過小評価されているけど、とってもいいんだ」と言われて、「おう、そうか」と何度か聴き直してみるのだが、残念ながら今のところ私にはまだダメだ。
 確かに、m1"One Hit"の出だしでのキースの気合いは十分伝わってくるし期待させるのだが、曲が進むにつれ、だんだんしぼんでいくようだ。
 で、全体にうんざりするのが、スティーブ・リリーホワイトのドラム・サウンドの処理で、このスネアにかかってるリバーブは、当時リアルタイムで聴いたときにもゲンナリした。チャーリー・ワッツに、ストーンズにこれはいくら何でも合わんでしょう。だから、私の場合このスネアが気になりだすとウザったくて聴いてられなくなる。

 それでも頑張って聴き進めれば、曲自体はいいな、と思うものがあるし、演奏も"Emotinai..""Undercover"の時よりもアグレッシブではある。ただやはり、バンドとしての一体感は薄い。たぶんそれは、ミック対バックってことになってて、ボーカルと演奏のトラックが離れているように聴こえてしまうからだ。この時期はストーンズ史上で一番危機的な状態だったかもしれない。(でも、それが緊張感を生んで、なかなかスリリングな感じになっているようだ。)
 だが、いつも気になるアルバムではある。だから、聴き直す機会も多いのだろう。懲りずにもうちょっと勉強してみますかね。

 ラストの"Sleep Tonight"からイアン・スチュアートのピアノ・ソロの流れは、彼への追悼もあって、ジーンと来る。だからこそ、是非とも、新しくミックスし直してくれないものだろうか。無理だろうけど、秘かに願っている。

(この後、90年代の作品を聴いた後にもう一度、"Dirty Work"を聴き直した。そうしたら、圧倒的に良いので驚いた。一気に最後まで聴いてものすごく楽しめた。この面白みに気がつかなかった自分が恥ずかしいが、同時にうれしい発見ができて喜んでもいる。)
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by harukko45 | 2006-04-10 17:06 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'80~'81

 70年代までに活躍したアーティストの多くが、80年代入って突然ダメになってしまう例は多い。でも、その中にあってストーンズはかなり健闘していたと思う。80年の"Emotional Rescue"も81年の"Tatoo You"も大ヒット・アルバムだし、シングル・ヒットもコンスタントに出していた。MTVにおいても頑張ってカッコいいビデオ・クリップ作っていた。
 しかし、残念ながらこの時期のポップ・ミュージックの真の推進者はブルース・スプリングスティーンやプリンス、マイケル・ジャクソンあたりでローリング・ストーンズではなかった。実のところ、彼らは(特にミックは)時代に乗り遅れないように懸命だったようだ。
 そして私自身もブロンディ、トーキング・ヘッズ、ポリス、XTCなんかに夢中だった。

 "Emotinal Rescue"は70曲以上レコーディングした中からの厳選10曲とのことだが、正直たくさん録音しすぎてカスだらけになってしまったのではないか? いろんなことやってるんだけど、どれも淡白でひっかからない。特にR&Rナンバーは、みんなパンク、ニューウェイブ風のノリでつまらない。"Some Girls"では同じ曲調でも気迫を感じたけど、こちらには感じないし、全体に軽い。
 唯一、ラストのキースが歌う"All About You"でホッとする。

 それに比べて、"Tatoo You"は内容が段違いに濃くて、楽しめる。でも、実は新録ではなくて今までのストックの寄せ集めだ。だから、72年頃のものまで入っている。それにしては完成度はかなり高く、80年代の代表作と言える。ここで注目したいのは、この寄せ集めを見事に一つにまとめあげた、当時の超人気ミキサー、ボブ・クリアマウンテンの仕事だ。

 彼の起用の効果が最大限に発揮されたのは、何と言ってもm1"Start Me Up"だ。このやたらめったらカッコいいイントロのサウンドにしびれない人はいないだろう。まさに「奇跡的」な傑作となってオープニングを飾っているので、それだけで全体の評価は上がる。そして、このような時代性を越えた名曲を再び作り出したストーンズは偉い!
 m3"Slave"も好き。スケールのでかいミックスで、かなり洗練されたサウンドになっている。それと、特筆すべきは、ジャズの偉大なるサックス奏者ソニー・ロリンズがソロとっている。これがたまりません!後ろのリフもマイルス・デイビスの"It's About That Time"みたい。もしくはダニー・ハサウェイの"Ghetto"か?(どっちも違った、失礼)

 その他にもなかなか聴かせる部分が多いのだが、ちょっと気になるのはドラムのサウンド、特にスネアのリバーブが今聴くと何ともなぁ。あと、ギターにもショート・ディレイやコーラスのようなエフェクトがいっぱい。全体のエコーも深い。もっとザックリした音で仕上げてくれたら、文句なく傑作としたいのだが。
 まぁ、この時代でボブ・クリアマウンテンだから、こうなるのはしかたないか。

 とは言え、スロー・ナンバーを集めたLPでのB面はすべて素晴らしい。

 m7"Worried About You"は"Black & Blue"のアウト・テイクとは驚きの名曲。続くm8"Tops"もソウル度数のかなり高い強力なバラード。
 m9"Heaven"は次への橋渡しの役割も持った幻想的なムードが良くて、この辺の流れが絶妙。それを受け継ぐm10"No Use In Crying"で泣き泣き、ついに、どうにもたまらんm11"Waiting On A Freind"となる。間奏では再びソニー・ロリンズが登場して、これまたいいソロを聴かせてくれるのだった。

 このバラード5曲だけを楽しむのもいい。一つの組曲のように統一感があり、豊かな流れがある。ここでのボブ・クリはさすが!と言える仕事をしていると思う。うーん、やっぱり傑作ってことにしておくかな。
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by harukko45 | 2006-04-09 03:57 | 聴いて書く

The Rolling Stones/Some Girls

 78年に"Some Girls"が出るまでに、ストーンズにはいろいろあった。まずは、評論家達からは"Goat's Head Soup"から"Black & Blue"は「不毛の時代」と呼ばれていた。セールスも落ちていた。パンクスからは「肥えた豚」と嘲笑され、古い世代の代表として攻撃された。キース・リチャーズは77年の2月にカナダでヘロイン不法所持で逮捕された。カナダの首相トルドー夫人はロン・ウッドやミック・ジャガーとの関係をゴシップ紙に書き立てられた。

 特に深刻だったキースのヘロイン中毒と逮捕問題は、ついに彼も刑務所収監かと心配されたが、温情判決で難を逃れた(そのかわりチャリティ・コンサートをおこなった)。そして彼はドラッグとの決別を誓った。
 かたやミック・ジャガーはディスコ・ブームとパンク・ロッカーからの挑戦に刺激を受け、あらたなアルバムのリリースを決意したのだった。

 そして完成したアルバムは「"Exile On Main Street"以来のベスト作品」と高い評価を受け、重要なロックン・ロール・バンドとしてその地位を確立したのだった。(以上、Wikipediaを参考に)

 今回久々に聴いたら、やっぱり良かった。とにかく、いい曲が並んでいる。ここでも、彼らの強靭な胃袋はすごい。ディスコもパンクもカントリーも生のまま口に入れたって、完璧に消化(昇華)してしまって、ちゃんとした(!)作品として並べてしまうのだった。いくら流行ってるからって、普通はそんな簡単にパンクもディスコもやれんでしょ。しかし、ストーンズは見事にやりとげてしまった。

 ディスコ調はm1"Miss You"だけなのに全然違和感ないのは、結局いい曲で良く出来てるから。
 m4のタイトル曲は歌詞が問題になったけど、やはりかなりの毒気を振りまきつつも、オールドファンの心をしっかりつかんで放さない。マイナーになるところがなかなかたまらない。
 パンクを意識したようなm5"Lies"を聴くと、この人達って本当に真っ向勝負なのねって、感動する。ところが直後に、もろカントリーのm6"Far Away Eyes"なので、「あー、またすっかりハメられた!」ってことに。で、"Resepectable"でしょ。もう「ロックンロール万歳!」しかないよ。

 新旧のブラック・ミュージックの要素を取り入れる場合は、リスペクトの気持ちとツボを得たこだわりを披露しつつ、ことロックンロールに関しては「こちらが本家」とばかりに、かなりの力技でパンク小僧を撃退してみせる。それがなかなか痛快で、充実した演奏が続く。
 そして、ラストのm10"Shattered"はストーンズのカッコよさ満載。すごいです。
こうして彼らの栄光に満ちた70年代は、"Some Girls"という快作によって、最高の形で締めくくられたのでありましたぁ、ジャンジャン!

 というわけだが、今では「パンク世代への解答」なんて考えて聴く必要ないから、ただただご機嫌なロックを楽しめばよろしいのであります。
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by harukko45 | 2006-04-07 03:31 | 聴いて書く

The Rolling Stones/Black & Blue

 76年の"Black & Blue"は最高にイケてるアルバムで、文句なし(評論家筋には「不毛の時代」の1枚)。8曲しか入ってないけど、全部好き。"Exile On Main Street"は音の密度が異常に濃くて凄いのだが、こちらはスッカスカでありながら、豊かな空間があって素晴らしい。何度聴いても疲れないし、毎回楽しい発見があったりする。
 まずは、何てったって演奏がタフでドッシリしていて、一切軽薄なところがない。それと、流行りのビートやいろいろなニュアンス(ファンク、レゲエ、ジャズ)を取り入れても、ちゃんと自分達のサウンドに昇華しきっているのだった。

 m1"Hot Stuff"、たぶん今までのイメージでアルバムを聴き始めると拍子抜けすること間違いない名(迷)曲。これでコケて聴かなくなった人は多いかも。でも、そんなことではストーンズ道を進む事はできない!これは凄まじくカッコいいのであります。
 よくもまぁ、これほどベタなリフでファンクをやれるものです。普通は途中で恥ずかしくなるか、やりようなくなって放り投げますよ。ところが、ストーンズは異様なクールさで見事にやりぬくのだった。個人的にはマイルス・デイビスに通じるものを感じる。イヤー、スッカスカって素晴らしい!
 m2"Hand Of Fate"は王道のストーンズ・ロック。前の2作ではわざとやらなかった感じのグルーヴ感が戻って来た。それでいて、ダークサイドに入り込むのでなく、前向きな感じがいい。
 m3"Cherry Oh Baby"はもろレゲエ。だけど、これも恥ずかしくない。ニセモノなのにカッコいいのは、彼らが「一流の二流感覚」を持っているからなのか?
 m4"Memory Motel"は、イントロのミックのぎこちないピアノに、キースのさらにギコチないエレピが重なってくるのがまずシビレル。この2台のピアノ・サウンドが実に良い。途中でリードをとるキースのボーカルもいい味出してる。

 m5"Hey, Negrita"はレゲエとファンクの合体?これもなかなかエグい。中盤あたりのロニーとビルのリフの微妙な違いはワザとにしてはアヤシい感じだなぁ。でも、おもしろいからいいか。ビリー・プレストンのラテン・ピアノも変な感じ。
 そうしたら今度はジャズ風にm6"Melody"。だけど、これが悪くない。ミック・ジャガーの柔軟な感性と能力の高さにあらためて舌をまく。ここではビリー・プレストンも大活躍。
 m7"Fool To Cry"はm4同様にキーボード・サウンドが光る名バラード。ピアノはニッキー・ホプキンスで人選がバッチリ。この曲だけ好きって人もいるみたい。出来がいいから、それもしかたないかも。
 ラストの"Crazy Mama"はゴキゲンにロックして大満足でした。あーおもしろかった。
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by harukko45 | 2006-04-06 23:20 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'73~'74

 "Goat's Head Soup"、日本語タイトルの方が、印象的(同じなんですけど、何かね)。「山羊の頭のスープ」、こうこなくっちゃ。
 発表当時の雰囲気は、ロックよりもニューソウルやファンク勢の方が刺激的だし、より内省的なシンガーソングライターも魅力的だった。そこで、それまでの南部指向からライトな都会派に少しシフト・チェンジしている。でも、まだ前作のドロドロが抜けきらないので、その辺が曖昧ではある。
 
 m1はカッコいいギターリフで始まるんだけど、何か全体にあざとい感じ。悪魔的なムードがかえって前作の出涸らしみたい。だったら、m2"100 Years Ago"やm4"Doo..(Heartbreaker)"の方が吹っ切れててずっと良いのです。
 m5"Angie"はヒットしてる時は大嫌いだった(軟派に見えた)のだが、今は好きだなぁ。それまでのストーンズ・バラードにはない「ゲセワな」ポップ感がおもしろい。(でも、ライブではミックは高い声が出ないのだから、やらないでほしい)

 m6,7といまいちフックのない曲が続く。前作だったらボツだろう。逆に、m8"Winter"は新鮮で良い。ミック・テイラーの泣きのソロに、それをかき消すかのような豪華なストリングス。お得意の「キュンとしろ」系のバラードだが、前より洗練された感じで、m3よりも成功している。
 m9はサイケの復活のような始まりにしては、どうってことない曲。とばしちゃおうかな。m10はシンプルに盛り上がりましょう。でも、幾分ライトなイメージね。これがこの時代の空気だった。

 そして、"Star Star"のノリをそのまま引き継いでレコーディングしたかのような"It's Only Rock'N Roll"。全体には湯上がりのスッキリしたところで、ビール飲みながらリラックスしてやりますか、って感じ。なにしろタイトル曲m3のプロモ・ビデオで、メンバー全員泡だらけになって演奏してたし。
 久々にR&Bのカバー(m2テンプテーションズ)があるし、ニッキー・ホプキンスはm4,5,6,8で大活躍、イアン・スチュアートのm9でのピアノも楽しそう。ミック・テイラーもm5を筆頭に随所で聴かせる。
 ジミー・ミラーがプロデュースをはずれたこともあってか、すっかりドロドロした粘り気はなくなった。聴き手も肩の力を抜いて楽しみます。

 ただし、m10"Fingerprint File"は次につながる何かを含んだ曲で、本作で唯一危険な香りでワクワクさせる。ありがちなファンクもストーンズが料理すると、妖しい空気があたりに充満する。これはキースが目立ってるからだな。
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by harukko45 | 2006-04-06 18:40 | 聴いて書く

 72年にこれが新作として発表された時、私と友人はすぐに買った。2枚組かぁ、痛いよね。3,600円ぐらいでしたかねぇ。
 で、みんなでワクワクしながら針を落としたんだけど、実はかなりガックリきた。あのチョーカッコイイ"Brown Sugar""Bitch"、子供だって泣いちゃう"Wild Horses"を期待したのに、なんか違ったのだった。

 私が嫌だったのは音がえらく悪い気がしたのだ。前作の"Sticky Fingers"がすごくビシっと耳から脳に響くのに、"Main Street"のレコードを家のステレオで鳴らすと、なんだかモヤモヤして、グチャグチャした感じだった。
 それに、わかりやすいポップな曲は"Tumbling Dice"ぐらいだった。

 そんなわけで、しばらくは放っといた。世評的にも当時はあまり高くなかったし。

 ただ、今不思議なのは、その頃ザ・バンドの音楽は好きだったのに、何でこのアルバムを理解できなかったのだろうと思う。ある意味、このアルバムとザ・バンドの諸作は「未来のブルーズ」を示すもので、その取り組みは同じだった。
 でも、当時の中学生にはそんなことはよくわかってない。ロック体験だってまだ2,3年だ。ノリがよくて、ガンガンくるハードなものに飛びつくに決まってる。だから、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルの方に心は移ってしまった。

 さて、本当にこのアルバムがストーンズの最高傑作と思えたのは30過ぎてからだ。それほど、彼らは進んでいたとも言えるし、深いレベルでルーツ・ミュージックに対して真摯に向き合っていたのだと理解した。

 一つ言えるのはアルバム全てが「塊」だということ。そしてそこにある感覚は、外に向かって広がっていくというよりも、地の底に向かってどんどんディープにディープに掘り下げていったあげくドロドロのマグマにたどり着いたというものだ。それがストーンズのソウルそのもので、異常に粘着質な特性を持っていた。

 だから、1曲1曲についてクドクド語る事はあまり意味がない。どの曲もたまらなく最高であるが、同時に全然受け付けないところもある。相反する情緒を同時に扱えることのできる音楽というのは奥深い。だから、最初からピンとくるかどうかはわからない。
 現代では「最高傑作」との評価がほぼ定着しているが、それは各自がかなり聴き込んだあげくに聴き手の側がつかみ取ったものに違いない。それほど、聴く者の力を試すアルバムだ。だが、一度その素晴らしさに気づいた時、たぶん一生の宝になる価値を持っている音楽だと思う。

 "Jumpin' Jack Flash"に始まったストーンズの「悪魔」シリーズの完成が"Exile On Main Street"だ。これがドロドロの極致で、この後彼らはじょじょに路線を変えていく(ドロドロを薄めていく?)。でも、元から保守的で慎重な彼らは、新しいトレンドを加えながらも、けっして自分達の原点を忘れずにあまり過激な変化はしなかった。それが、彼らを聴く時の「安心感」につながる部分だ。でも、それが「ブランド化」したロックバンドとして揶揄されるところでもある。
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by harukko45 | 2006-04-05 21:51 | 聴いて書く

The Rolling Stones/'69~'71

 70年から71年あたりは、私がリアルタイムで聴き始めた頃。ロックってものに、特別なマジックを抱いていた時期だし、世間的にもそれほど広く認識されていたわけじゃないので、ロックのアルバムを聴くなんていうのは、ちょっと悪い事をやっているような気分だった。
 中学のクラスの中でも、ロックを聴くのはせいぜい2,3人で、小遣いもあまりない者同士、誰かがツェッペリンを買い、もう一人がクリームのライブを、次がC,S,N&Yを、って感じで、そのLPを抱えながら、誰かの家に集まって皆で聴いた。

 で、当初はなかなか手を出さなかったストーンズを初めて聴いたのは71年の"Sticky Fingers"(もちろんジッパー付き!)。でも、仲間全員がいっぺん聴いただけで大ファンになり、その頃話題になっていた映画「ギミーシェルター」に関連した編集版もすぐに手に入れた。これは、A面が"Jumpin' Jack Flash""Sympathy For The Devil""Gimmie Shelter"などのヒット曲、B面はライブ盤の"Got Live If You Want It!"からの抜粋だったと思う。

 このアルバムは今はないだろうが、当時は大変重宝した。カッコよさの極致の様な代表曲を知ったし、ライブではえらくヘタクソなのもわかったし(でも、このライブの"Time Is On My Side"が大好きでね)。

 そして、「ブライアン・ジョーンズってプールで死んだらしい。」「ドラッグじゃないの?」「オルタモントのコンサートでも殺人があったんだってよ。」「ふーん、ストーンズって何だかすげぇな。」なんて感じで、"Gimmie Shelter"を聴いてゾクゾクしていた。今でもあのキースのイントロが始まれば全てがタイムスリップしてしまう。
 それとしばらく後になって見た、ブライアン追悼のハイドパークでのフリーコンサートの映像にもショックを受けた(後半チューニングが狂いっぱなし、でも恐い)。

 69年の"Let It Bleed"とその前にリリースされたシングル"Honky Tonk Women"、そして自らのレーベルを立ち上げての第1作"Sticky Fingers"の素晴らしさには何も言う事はないだろうし、彼らの代表作としてこれからも絶賛され続けるだろう。

 とにかく、この頃の彼らはストーンズの歴史上においても最高の時期であり、それは音楽だけでなく社会的存在としてもすごく大きなものだった。少なくとも自分にとっては、ビートルズよりも全然偉大なバンドだったのだ。
 そして、音楽的には何と言っても、キース・リチャーズのギター・プレイの充実ぶりが顕著だ。あの印象的なリフやトーンで自らのオリジナリティを完全に確立し、ミック・ジャガーとともにストーンズの王として常に憧れと尊敬の対象になったのだった。
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by harukko45 | 2006-04-05 15:38 | 聴いて書く

 まず、この前に超強力シングル"Jumpin' Jack Flash"があり、その後に出たこの傑作アルバムによって、ローリング・ストーンズはビートルズの影響下から完全に脱却し、ある意味同等、またはそれ以上の存在となったとも言える。これがなければ、現在までのストーンズなど有り得ない。それほど重要であり、価値は高い。そして、何より飽きない!
 m1"Sympathy For The Devil"は"Jumpin'..."からの流れで聴くと、ますますご機嫌なんだけど、これほどまでに「悪魔」というものを、心技体全てを駆使して表現し、ポップスターにしたてあげたのが、とにかく凄い!
 ゴダールの映画「One Plus One」で彼らがこの曲をいかにいじり倒して完成させていったかがわかるが、本人達にとってはサンバ風にしたかったと言うんだからまいっちゃう。この曲はライブでも何回も演奏されて盤にもなってるけど、このスタジオ・テイクをけっして越えることはない。完全無比のカッコ良さでアルバムのオープニングとなり、未だに毒気をまき散らしながら、聴き手を幸せにするロック史上の大名曲。

 m2"No Expectations"以降の南部系のブルーズ曲もジミー・ミラーをプロデュースに迎えたことで、「ザックリ」した音に仕上がっていて、強さと奥行きが増した。そして何よりそのパフォーマンスが聴き手のソウルの部分に深く触れるようになったと思う。彼とのタッグにより「ブルーズ・オタクのコピー」から完全なる「オリジナル・ブルーズ」に進化したのだ。

 m5"Jigsaw Puzzle"は"...Devil"の続編のようで、演奏のもって行き方が似ているが、「ストーンズによるボブ・ディラン」とも言える感じで、これもかなりハマってしまう。
 で、m6"Street Fighting Man"はこれまた文句のつけようのない完成度。過激なエフェクトまみれのピアノが刺激的だし、シタールも効果的、マラカスの使い方も実にカッコイイ!(ちゃんとボ・ディドリーから繋がってくるわけで。)おかげで、ミックのボーカルはさらにワイルドで、もう止めようがない。
 m8"Stray Cat Blues"の麻薬的な響きも、マジックと言える。ジミー・ミラー以前にはこういうカオス的でありながら、その奥に潜む「何か」をも感じさせることはなかった。

 最後を飾る"Salt Of The Earth"は、m1とは対称的な存在であり、彼らのレパートリーの中でも特殊なキャラを持つストーンズ流のゴスペルだ。そして、アルバムにしっかりとしたトータル性を持たせる役割を担っていると同時に、そのまま次の"Let It Bleed"へとつながる「デカさ」を持った曲だ。ストーンズの快進撃はまだまだ続く。
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by harukko45 | 2006-04-05 00:47 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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