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 ライブ放送は見れませんでしたが、第49回グラミー賞では主要3部門(ベスト・アルバム、ベスト・レコード、ベスト・ソング)をディクシー・チックスが独占したのは大変喜ばしいです。
 今回は、本命不在のように言われていたけど、この結果に私は大満足です。メアリー・J?ジェイムス・ブラント?レッチリ?コリーヌ・ベイリー・レイ? 実力内容からしてディクシー・チックスで当然でしょう。まったく文句ないですね。

 それと、2003年、イラク戦争時に公然とブッシュ大統領を批判し、それによって数々の迫害やバッシングを受けながらも見事に復活、それも理不尽な批判者達に堂々と「復讐」するかのような力強さをみせた彼女達は実に立派でした。今や、ブッシュ政権の方が死に体、アメリカ世論だって戦争反対が優位になってきているわけで、ますます彼女達の覚悟ある一貫した姿勢を高く評価するべきでしょう。

 もちろん、それを納得させる音楽的内容が求められるわけですが、そのプレッシャーに打ち勝ったのだから、アーティストとしての格の違いは明白であります。それに、こういうストーリーに反応しやすいアメリカの風土があるでしょうね。音楽業界も「お詫び」的な思いもあったと言えるかな。だからといって、彼女達の受賞にケチがつくような事はありません。

 明日の再放送でじっくり堪能したいと思いますが、まずは私からもお祝いの思いを送ります。Congratulation,Dixie Chicks! You got it!
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by harukko45 | 2007-02-13 00:00 | 聴いて書く

Will.i.amって

 ウィーンで毎朝起きると必ず見てたMTVとgo-tv。で、10日も欠かさず見てるとお気に入りができて、それがFall Out Boyの"This Ain't A Scene, It's An Arms Race"だったり、Nasの"Hip Hop Is Dead"だったり。最初、軽く聞き流していたFergieの"Fergalicious"なんか、まんまとハマってきちゃって、今じゃ大好きに大反転。やっぱりハヤリものに割と簡単に飛びつく傾向は変わりません。

 でも、日本に帰ってきてから、それぞれをチェックしていったら、Fergieはともかく、Nasの方のプロデュースもBlack Eyed PeasのWill.i.amだったなんて、驚きました。うーむ、一度才能が認められると、どんどん仕事が広がって行くのね、当たり前だけど。それにしても、どちらもいい仕事してるので感心至極。
 ただし、一部のHip-Hop硬派の方々からは厳しい評価も出てますね。私は好きですけどね。もちろん"Illmatic"にはかつてハマッた1人ですけど、もう10年以上前だしね。"Hip Hop Is Dead"がTVから聞こえて来た時、「おっ、これはそこらのラップとレベルが違うぞ」って思って見てみたら、なるほどさすがNasだわいと納得したのでした。

 さて、そんなわけで、今さらながらBlack Eyed Peasの最近の2枚も聴いております。あらー、こんなに面白かったのねぇー。すみません、食わず嫌いで無視してました。

 やっぱ、ポップであるってことは今!って感じなんだな。まさに、今が旬。

 それから、Fall Out Boyね。何と、私が面白がっていたビデオはニューアルバムからのファースト・シングルだったとは。で、ニューアルバム"Infinity On High"は出たばっかり。これは売れますね。もう売れてるか。ちょっとデカイ動きで盛り上がるんじゃない。何かこういうタフでノリがよくて、それでいて曲としてちゃんと作ってるバンドを聴くと、ロックもまだまだ「今」だって気分がしてうれしいのでした。

 しかしなぁ、やっぱクヤシく感じることって、アメリカのバンドの持つ、このタフさとバネのあるとこなのだ。今や、アメリカとイギリスだけがポップリーダーじゃなく、世界中で同レベルのサウンドをいろんなバンドやアーティスト達が作れるようになったと思うけど、最終的に土壇場でフィジカルの差が出ちゃうんだ。これってサッカーと一緒かよ? 
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by harukko45 | 2007-02-09 01:10 | 聴いて書く

 2006年で、一番よく聴いたCDは前半Kate Bushの"Aerial"、後半になってBob Dylanの"Modern Times"とChristina Aguileraの"Back To Basics"の1枚目、ってところ。

 ケイト・ブッシュは去年の発売だったけど、ちゃんと理解してハマってしまったのが今年ということで。ケイトのピアノが綺麗で素晴らしいし、控えめなボーカルもいい。これは、彼女の最高傑作では?と、最近は思うようになった。全体にマイルドな音質が、長く聴き続けられることにもつながっている。

 ボブ・ディランはまさにベテラン・アーティストがこの現代においてどうあるべきかを示した。本人はそんなことを意識したわけじゃないだろうが、こちらにとってはまさに理想的なオヤジぶり、そして、彼を支えるバンドのあり方もカッコイイ。60年代の生き残りで、今でも最高の輝きで音楽ファンを刺激しまくるのは、唯一65歳のディランだけだ。チョビひげのディランはまだまだ先を行く。

 クリスティーナ・アギレラの新譜は特に1枚目が素晴らしかった。同傾向のアルバムではビヨンセの方が世評は高いようだが、アギレラの方が全然出来がいいと思うのは少数派ですかね。DJプレミアの相変わらずの見事な仕事にも感動でした。

 そして、ここ最近ドップリはまっているのが、サム・クックとディオンヌ・ワーウィック。結局、この手の昔のポップスに興味が戻ってしまうのは、現代のアーティストの魅力が薄いからとしか言いようがない。一年を通して聴いている若手はアギレラとジョン・レジェンドぐらい。ロック系はホワイト・ストライプスが休業では、ほとんど興味がわかなかった。

 サム・クックに関しては先日書いた"Night Beat"に今も感動してるし、JabBeeさん推薦の"Live At The Harlem Squre Club 63"も聴いている。結局、歌のうまさが圧倒的。今の若手でここまで歌える人がいない。

 さて、ここからやっと本題。

 そしてそして本年度最後にしびれまくって今も聴いているのが、"Dionne Warwick Sings the Bacharach & David Songbook"なのであります。

 バート・バカラックの曲との関わりは、昨年から松崎しげるさんと大橋純子さんのジョイントで"The Look Of Love"、"Raindrops Keep Falling On My Head"をメドレーの中でやったのを皮切りに、8月に峠恵子さんのバックで"Close To You"を初めて全曲通して演奏し、その曲の凄さにノックアウトされ、その後12月にマイラさんのバックで"I Say A Little Prayer"(この時のアレンジはアレサ・フランクリン・バージョンだった)をやり、ほとんど脳天に雷が落ちたような衝撃を受けたのだった。
 私は、ここにきて「バート・バカラック恐るべし!!」とついに思うようになったのだ。(オセェーよ、まったく!)
  
 だが、彼の音源はいろいろあってどのCDを聴くかで、印象が変わる。かつてA&Mの彼のリーダー・アルバムを聴いた時は、内容がインスト中心で、正直あまりピンとこなかった。もちろん、彼が偉大なコンポーザー、アレンジャー、プロデューサーであることは理解していたが。
 それで、ちょっと考えた、要は歌の伴奏をやってて自分が感動したのだから、ボーカル・バージョン、それも黄金のトリオとも言える「バカラック、デイヴィッド&ワーウィック」でなければ!

 そんなことは誰でもすぐに気づくわな。そして、もう聴く前から感動しておりました。だって、ほとんどがこのトリオによるヒットですぜ、お客さん!これがオリジナル・バージョンってことです。もちろん、聴いてからなおさらショックを受けております。ここにある全ての曲をコピーしてライブでやりたいほどです。素晴らしい曲ばかり並んでいて、手も足も出ません。一から勉強です。

 それにしても改めて思うことは、バカラックはかなり異端の作曲家だということ、この時代においてビーチボーイズのブライアン・ウィルソンとバカラックが異端者2大巨匠ではないでしょうか。ともに、60年代当時で稀であった、作編曲と演奏、そしてプロデュースを一人でこなす天才。
 私は30歳になった時に、初めてビーチボーイズの"Pet Sounds"の素晴らしさに目覚め、それ以来ブライアンを敬愛してきましたが、50歳を前にやっとバート・バカラックにも目覚めました。よかった、生きてるうちに気がついて。とにかく、まだまだ学ぶこと気づくこと楽しむことはたくさんあるってことです。バカラックは来年のテーマの一つになりそうです。

 それでは、今年もご覧いただきありがとうございました。どうぞ、よいお年を。来年もよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2006-12-31 20:08 | 聴いて書く

Bob Dylan/Modern Times

 今年65歳になったボブ・ディランの新譜"Modern Times"は、今のディランがいかに好調であるかを見事に示してくれました。それに初登場1位とは何と素晴らしいことではないですか!
 97年の"Time Out Of Mind"以来、彼の姿勢は全く迷いがない。現代に自分の存在価値をしっかりと確保したこの天才アーティストは孤高の世界を歩み続けているのだった。
 ところで、ボブ・ディランを初めて聴く人、それなりに聴く人などにとっては、このアルバムは「渋い」と感じるのだろうか?そういう、コメントも見た。が、昔からのファンである私には、ちっとも「渋み」を感じない。それどころか、元気で明るく、枯れるどころか、まだまだ毒を振りまきながら、それでいて世間のことなどおかまいなしで、やりたいようにやり、歌いたいように歌っていて実に楽しそうだ。

 元々、60年代からどこか達観したような表現をしてきた人だから、世の中の流行りすたりとは無縁ではあったろうが、それでもやはり「凄い」と言わざるを得ない。そうです、ディランは凄い!

 と、絶賛の嵐ではあるが、"Time Out Of Mind""Love & Theft"からの3部作とも言えるような今回の"Modern Times"には、名曲というものは一切ない。実は、過去2枚にもそういうものはない。つまり、彼は60,70年代のような音楽作りはもうやっていない。「名曲」「いい曲」なんかいらないらしい。どれもこれも、いつだったか何処かで聴いたようなメロディ、リフ、リズム・パターン、それに3コードのシンプルなブルーズ進行も多い。
 だから、1曲1曲、この歌詞はどうだ、この歌声はどうだと語ることが意味がないように思う。ディラン自身も"Time Out..."直後のインタビューで、「もう、歌詞を取り上げて、これはこんなことを意味しているとか言わないでほしい。それより、素晴らしい演奏に耳を傾けて、頭で聴かずに感じて欲しい。」という意味のことを語っていた。
 私のような英語が不自由なものにとって、昔からディランの聞き方は歌詞を追ったり、曲を分析することでなく、ただただ感じてきただけだったので、ここに来て、本人のお墨付きをいただいたようなわけで、私としては大変うれしい限りなのであります。

 そして特筆すべきは、ここ3枚におけるバックの演奏が本当に素晴らしいことだ。中でも"Love & Theft"と今回はともに長く一緒にツアーを回るバンドであって、その一体感と共感度・集中力の高さには惚れ惚れしてしまう。
 何も新しいことはない、が、古くない。昔と同じように演奏しているが、根底にある意識は新鮮さを決して失っていない。自分が理想とするような「バンドの未来」がここにあるように思えた。

 2枚目のDVDに収録された、ここ近年のPVもなかなか楽しめる。特に、ラストの"Cold Irons Bound"のディランとバンドのかっこ良さったらどうだ!これぞ、クーたまりませんの極地。チョビヒゲのディラン、今も最高にカッコイイ!
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by harukko45 | 2006-10-03 03:43 | 聴いて書く

The Mars Volta/Amputechture

 マーズ・ヴォルタというバンドを初めて買ってみた。試聴してみたら、強力に刺激的だったからなのだ。もう3枚も出していて、この道の熱狂的なファンの間ではかなり神格化されているらしい。知らないものはまだまだあるもんだ。
 
 で、すごく面白いのです。簡単に言えばハードコア・ロックなんだろうが、プログレ、フリージャズ、ラテン・ロック(あるいは哀愁のラテン歌謡?)、アフロ・ビート、アンビエント(時にダブ?)、何でもござれの展開で飽きさせません!
 確かに、ここに70年代のアガパン・バンド時代のマイルスも登場しそうだわ、ロバート・フリップも出てきそうだわ、本当はジミヘンか、それともピート・コージーか?
 実際にはレッチリのメンバーも参加していて、どこまでがバンドなのかはわからないが、ま、そんなことはどうでも良さそうだ。とにかく、「圧倒的なカオス!」との売り文句に偽りなし。それだけでなく、実に壮大な音楽世界が広がっており、なかなか感心したのでありました。

 ということで、すぐにハマるために1st、2ndも聴いております。今のところ、2ndの"Frances The Mute"もいいなぁ。System Of A Downとともに、オジサンも大興奮の強力爆裂サウンド。こういうアルバムが初登場9位(2週目で62位まで落ちたけど)というアメリカの音楽界の懐の広さ深さにも改めて敬服。

 
(右上)1st"De-Loused In The Comatorium"
 
(左)2nd"Frances The Mute"

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by harukko45 | 2006-09-29 23:41 | 聴いて書く

Festival Express

e0093608_3212548.jpg 70年にアメリカのロック・アーティスト達がおこなった、列車でカナダ横断するツアーのドキュメンタリー映画「フェスティバル・エクスプレス」を初めて観た。そりゃ、そうだ。お蔵入りだったものがDVDで登場だからね。去年、発売されてレンタル店でも見かけたが、今回WOWOWで放送されたものを楽しんだのでした。 

 やはり、あの時代は面白い事が起きていたんだな。列車に全ミュージシャンを乗せて、まさに「巡業」スタイルのツアー。コンサートとコンサートの間の移動中は、毎日毎晩、列車内でパーティとジャムの繰り返し。リック・ダンコとジャニス・ジョプリンとジェリー・ガルシアがブっ飛んでてヘロヘロのままジャムってるシーンはなかなかの見物。それ以外にも、今の時代じゃ、絶対に有り得ない、もしやっても「ヤラセ」にしか見えないだろうことも、あの当時あの連中なら自然にやっていたのだった。凄いもんだ。

 列車内のドキュメンタリーやジャム・シーンが割と多く、実際のフェスでのライブが少ないのがちと物足りないが、ザ・バンドのかなり尖った演奏(やったら速い"The Weight"なんか、この頃っぽい)に、かなりやられるし、リチャード・マニュエルの歌う"I Shall Be Released"には泣けたよ。
 また、ジェリー・ガルシアはいろんな場面に登場して大活躍だったが、バンドとしてもカントリー方向に傾倒している頃のグレイトフル・デッドのパフォーマンスは実に貴重な映像だったし、フライング・ブリトー・ブラザーズのライブも初めて観れてうれしかった。
 おお、若きバディ・ガイのキレまくった演奏も、この時代の雰囲気にぴったりハマっていて最高だった。
 圧巻だったのは、フル・ティルト・ブギーを率いたジャニス・ジョプリン。この映像は彼女のドキュメンタリー「JANIS」にも使われたものと同じらしいが、とにかく"Cry Baby""Tell Mama"の充実した歌いっぷりにシビレたし、むっちゃ熱くなったよ。この直後の10月には死んでしまうのだから。なのに、この素晴らしい歌! 

 今から見ると、「特別な時代」として評価するしかない60年代後期から70年代初期で、そのカルチャー全てを肯定できるわけじゃないけど、この頃のロック・ミュージシャン達が凄まじいオーラを発しまくっていたことは確かだと思う。そして、それがまた素晴らしく魅力的なのだった。
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by harukko45 | 2006-09-01 03:22 | 映画・TV

Blood,Sweat & Tears

 昨夜NHK-BSで懐かしいB,S&Tのライブを放送しとりました。イヤー、たまらん感じでしたよ。何しろ私が中学生で始めて買った洋楽(!)LPこそが、B,S&Tのベストでありましたから。
 オンエアされたのは70年のスウェーデンでのライブを中心にイロイロと。ちょうど3枚目がリリースされた直後、初の日本公演の前にあたる時期。つまりはB,S&Tというバンドの歴史上、最も輝いていた頃であり、メンバーも最高のラインナップが揃っているのだった!

 まずは、3枚目のB面に収録されていた"Symphony For The Devil"。これはストーンズの"Sympathy For The Devil"をメインにキーボードとトロンボーンとフルートを巧みに演奏するディック・ハリガンが作った組曲。荘厳で現代音楽風のブラス・イントロから"Sympathy.."が始まり、その後はアフリカン・ジャズのようなリズムをバックに、これまたアルト・サックスとキーボードを巧みに演奏するフレッド・リプシウスがフリーキーなアルト・ソロを聴かせる。
 はい、この時点で私としてはかなりの盛り上がりであります。

 その後も、スティーブ・カッツの叙情的な名曲(と言うより、叙情的なハリガンの名アレンジ曲)"Sometimes In Winter"、いかにも彼らのグルーヴとサウンドの特徴がよく出ている"Lucretia MacEvil"は本編後に続けて、フリーインプロヴィゼイション風に展開する"Lucretia' Reprise"で、ルー・ソルフのトランペット・ソロが炸裂。おなじみの"And When I Die""You've Made Me So Very Happy"は、あらためてリピシウス&ハリガンのアレンジ能力の高さに感心する。

 スティービー・ウィンウッド作の"Smiling Faces"は始めてみる映像に驚き。アルバムと違って、ドラム・ソロをはさんで、リピシウスの指揮によるブラス・アンサンブルのパフォーマンスがあったなんて! ずいぶんあの当時はいろいろやってたんだなぁ。
 かたや、キャロル・キングのシティ時代の名曲"Hi-De-Ho"は、フレッド・リプシウスの名アレンジが光ってオリジナルよりも数段優れたものなので、ライブではほぼアルバムに忠実だった。
この辺もファンとしてはうれしいね。

 私は、最初に自分で買った洋楽という縁もあり、彼らには当時かなりのめり込んだ。最近では再評価の高いアル・クーパーの仕事の一つとして、ファースト"Child Is Father To The Man"(左)を代表作にする人も多いが、やはり彼らの真骨頂を味わえるのはアル・クーパー脱退(というかクビ)後の大傑作セカンド(左下)であり、その勢いを持続したサード(右下)となるだろう。

 とにかく、彼らの最高の魅力は、アレンジの凄さにつきる。その展開力の大胆さや過激な和声を取り込みながらも、都会的な洗練さを持ち合わせていたし、今聴いてもホレボレするような仕上がりだ。もちろん、その音楽的優秀さを見事に表現できる演奏のうまさと、それをバックに野性的で堂々たるボーカルを聴かせたD.C.トーマスの存在も大きかった。

 ある意味、今では彼らを「ロック」というジャンルで語るのは疑問が残る。当時もドラマーでリーダーのボビー・コロンビーは自分達の音楽を「アメリカン・ミュージック」と言っていた。つまりはいろいろな音楽要素のミクスチャーだ、ということなのだが、その後のクロスオーバーやフュージョンなどにはない、実験的なトンガッタ感性があって大好きだった。
 まぁ、そういう意味じゃイギリスのプログレなどにも通じるものがあるのだろうが、いかんせん実際のサウンドにおいて、B,S&Tはアメリカ音楽の伝統的メインストリームな感じがあり、圧倒的に垢抜けていたのだ。

 それと、彼らはアル・クーパーが去ってからオリジナルが少なくなったものの、カバーの選曲センスが最高だった。キャロル・キング、ローラ・ニーロ、スティーヴィー・ウィンウッドからビリー・ホリディにエリック・サティと、こちらも多彩だったし、それらを見事にアレンジしてオリジナルよりも良い仕上がりにしてしまったのが素晴らしかった。

 この当時のフレッド・リプシウスとディック・ハリガンは今でも尊敬に値するプロの仕事というものを見せてくれていた。これほどまでに、曲をアレンジするとは自由なのか、と思ったものだった。

 さて、この番組ではおまけにシカゴの映像も少し放送されたが、やはりデビュー直後の"I'm A Man"(おー、これもウィンウッドの名曲じゃわい!)が最高だった。昔は「B,S&Tかシカゴか」なんていう議論をマジにやっていたけど、今じゃどちらも魅力的だったな、と思える(当時はコテコテのB,S&T派でありながら、よくシカゴにも浮気をしていた)。
 シカゴの映像を断片的ながら時代時代での変貌を見ていくと、やはり70年代初期の演奏には段違いのエネルギーを感じたのだった。それにしてもテリー・キャスのギターとボーカル!最高でした。
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by harukko45 | 2006-08-06 19:39 | 聴いて書く

 ケイト・ブッシュの1st"The Kick Inside"に入っている2つの有名曲のコード進行を追ってみましょう。それだけでも、なかなか楽しいし、刺激的です。

 Wuthering Heights(嵐ヶ丘)
イントロ(4)
 ‖A(add9) | A  | A(add9) | A   ‖
 (1拍目から/♪ミド#シミド#シミド#|ミド#ラ...| X2)
Aメロ(13)
 ‖A  | F  | E  | C# (2拍目から/♪ミファソ#ファ↓ソ#ド# )‖X2
 ‖A  | F  | E  | C#  | A♭  ‖
Bメロ(7)
 ‖E♭m7/ G♭| F   | E♭m7/ G♭| F   |
 | E♭m7/ G♭| F   | F     ‖
Chorus(7X2)
 ‖G♭(2拍目8分裏bassF)/ E♭m7 | A♭ ‖2/4) D♭
 ‖4/4) G♭ | G♭ / A♭  ‖2/4) D♭‖4/4) G♭ ‖X2/ D.S time to Coda
Bridge(1)
 ‖A(add9)  ‖D.S to A

Coda/ Dメロ(13)
 ‖B♭m  | A♭  | G♭  | E♭m7/ D♭ ‖X2
 ‖B♭m  | A♭onB♭| G♭(add9)| B♭m(sus4) |
 | B♭m(sus4)
Chorus X-times Repeat & Fade Out.

 イントロをAで始まっていながら、Aメロで1小節ごとにあちらこちらに彷徨い、BメロではB♭m想起しながら、サビはD♭へ。しかし、微妙に配置された2/4が常に刺激する。で、G♭から短3度上のAのコードに跳躍して、2コーラス目へ。
 丸2コーラス終了後に、D♭の平行調B♭mで進む大サビともいう部分は、この中でも一番分かりやすい。が、サビに戻るところのG♭、B♭mのアルペジオがなかなか凝ってる。
 で、この曲の印象的なサビは決して終結することなく永遠に続く。

 The Man With The Child In His Eyes(少年の瞳を持った男)
Aメロ(12)
 ‖Em(1拍目から♪ミソミ↑ミー)| GonD | C / GonB| Am  ‖X2
 ‖Bm / F#monA | A / Asus4 A | B♭ / FonA | Gsus4 G / G
Bメロ(6)
 ‖G / F#onG| FonG / EmonG| E♭onG ‖
 ‖DmonG / ConG| BdimonG / AmonG| A♭M7onG ‖
Chorus(9)
 ‖C GonC/ C GonC | B♭ FonB♭/ B♭ FonB♭ |
 | B♭ / FonA | Gsus4  ‖
 ‖C GonC/ C GonC | B♭ FonB♭/ B♭ FonB♭ |
 | B♭ / FonA | C(add9)  |
 | C(add9)  ‖D.C

e0093608_16502882.jpg 美しいメロディを持った、比較的分かりやすい曲なのだが、実際にはなかなか凝っている。それをあまり感じさせずに、流れよく進んでいくあたりが才能の見せ所?
 Bメロはかなりメルヘン・チックなアルペジオで、コードネームだけでは表しにくいし、人によっては違う表記になるだろう。でも、素晴らしい構成力。なぜなら、Em/Gのキーで始まった曲が、このBメロ前2小節で展開して、妖しく幻想的な和音の流れに惑わされながら、いつのまにかCへ転調していく、それもサビ前のコードとピアノの崩れるような短いフレーズがオシャレ。サビの4小節目、7,8小節目のピアノのアルペジオの決め方もカッコイイ。ただし、激しくアルペジオを弾いた後に、すぐに弱音でEmの頭に戻るところはむずかしい。
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by harukko45 | 2006-07-28 02:28 | 聴いて書く

Kate Bush/Aerial

 去年の秋に出ていたケイト・ブッシュの12年ぶりの新作"Aerial"に、今頃はまっている。こういう音楽は毒気が多いから、習慣性が強いのだ。だから、ピンと来ない時は全然聴かないで一向に問題ないのだが、一度その魅力に気づくと毎日1回、いや2回3回と聴きたくなるのだった。

 イギリスの天才女性アーティストのケイト・ブッシュについては、日本でも強力なファンが多く、このアルバムについての深い考察はネット上でもいろいろ見る事が出来る。だから、私は今そういう方々からいろいろ学ばせてもらっている感じだ。特に歌詞について、テーマについてなどはまさにそう。

 私が初めてケイトを知ったのは、80年代中頃に飯島真理さんのバックバンド「たこやき大将」(すげぇー名前?!)をやっている時だった。その頃のツアーで、真理さんは"Oh England My Lionheart"という曲をピアノの弾き語りで歌っていた。私はすっかりその曲にまいってしまい、真理さんからオリジナルはケイト・ブッシュであることを教えてもらったのだった。

 で、すぐに全アルバム(当時は"The Dreaming"までの4枚)を購入して、プロモ・ビデオやコンサート映像もそろえたほど、一瞬にして大好きになったのだった。
 その頃のアルバムにはそれぞれ聴き所があって、どれも素晴らしいし、美しく刺激的な楽想にあふれている。
 だが、その後"Hounds Of Love"以降の3枚には、あまり共感できなかった。さすがの天才も燃え尽きたか? 

 そこへ、ずいぶん経ってからの新作だ。実は最初あまりピンと来なかった。かつての「天使か悪魔か」といった、一歩間違うと狂気の世界に落ち込んでしまう表現は聴かれなくなっていたし、全体のサウンドもおとなしい感じがして、いま一つ食い足りない印象だったのだ。

 が、ここ最近やけにこのアルバムのサウンドを欲してたまらない。とにかく「美しい」音楽だ。別にポップかどうかはどうでもいいかもしれない。基本的には生の楽器、ミュージシャン、もちろんその中心に彼女自身の美しい美しいピアノ。何と言うコードワークの素晴らしさだろう!
 ボーカルはぐっと控えめで、抑制された歌い方に徹している。でも、それがいい! 

 それと、全体の音質があまり今っぽいコンプレッション・サウンドでなく、生演奏の良さを生かした自然なダイナミクスを持ったもので、ぱっと聴きの迫力は他の新作に負けるが、そのかわり何度聴いても耳が疲れない。これは大変素晴らしいことだと思う。だからこそ、長く飽きずに聴き続けられるのだった。

 全体としては「癒し系」「アンビエント・ミュージック」とも言えるが、やはり彼女はその程度の枠におさまるアーティストではない。特に際立って目立つ曲がないかわりに、Disc1,2を1部2部としてとらえ、その豊かな流れに身を委ねていけばいい。そうして聴き進めて行くうちに、いろんなところに多くの発見のある深い作品であることに気づくのだった。
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by harukko45 | 2006-07-26 00:46 | 聴いて書く

Bob Dylan/No Direction Home

e0093608_42506.jpg マーティン・スコセッシによるボブ・ディランの長編ドキュメンタリー"No Direction Home"のDVDを昨日見終わって、ある種のショック状態にある。
 彼の生い立ちからデビュー、フォーク界のヒーロー、プロテスト・ソングの旗手となり、その後アコースティック・ギターをエレキに持ち替え、バンドを引き連れたことで、ファンからのブーイングとバッシングを浴びる日々、そして66年にバイク事故で活動を一時中止するまでを追いかけたものだが、その時代背景と音楽シーンの考察、その当時の歴史的映像の引用、また新たな発掘、関係者やミュージシャンへのインタビュー、もちろんディラン本人へのインタビューも多く、大変細やかに詳しく丁寧に作られたドキュメンタリーだ。すべてで3時間40分。だが、ちっとも長い事のない、また60年代前半期のアメリカの音楽、特にフォークを中心とした流れを知るのに大変素晴らしい教材でもあると思う。

 そして、何よりボブ・ディランとは何者か、ということが静かにジワジワと語られながら、最後には強烈なインパクトを残して、その天才にショックを受けるのだった。

 私は彼のことが昔から大好きであり、今でもCDを集めるファンだ。だが、初めてディランを見て聴いたのはジョージ・ハリスンの"バングラディシュのコンサート"の映画だった。その頃(71,2年)中学生だった私は、エリック・クラプトンの動く姿が見たくて映画館に行ったのだが、何よりもそのパフォーマンスに感動して惚れ込んでしまったのは、ディランだった(それとレオン・ラッセル)。つまり、私は70年代以降のディランの大ファンであり、それ以前の彼についてはレコードと解説文などで知った世代だ。だから正直、彼自身が最も世界に刺激を与えていた60年代について十分に把握していたとは言い難かった。
 たとえ、知識としての60年代は分かっていても、実際にリアルタイムで経験したものにはかなわない。そういった意味でも、ロックという音楽、それから派生するポップカルチャーが最高に刺激的で魅力的だった60年代は、私にとってはほんの少し前の時代ながら、どうしてもしっかりと捕らえられていない無念さが常にあったのだ。

 結局は昔のCDを聴いているだけでは、本当の60年代はわからなかった。

 だが、ようやくこのようなドキュメンタリーを確かな映画監督がしっかりとした視点から制作してくれたことにより、あの時代を体験していなくても、かなり理解できるようになれると思う。たぶん、繰り返し見て聴き、60年代前半の音楽シーンにおけるボブ・ディランの重要性を体感することで、やっと私も真のディラン・ファンになれると思えたのだった。

 そして、当時のディランの凄さに驚くばかりでなく、私がここで最終的に一番強く感銘を受けたのは、「アーティストとして生きるとはどういうことか」を、彼が自ら、様々な映像に映し出される姿を通して、我々に示していることなのだ。
 JabBeeシゲルさんがこれを見て、「あの頃のディランは誰よりも"とんがっていた"に違いない。比べたらビートルズもストーンズもかわいいもんだ。」と私に言っていたが、まさに同感だ。どんな状況であれ、自らのやりたい事を貫き通すということは、これほどまでにし烈な戦いに巻き込まれて行くことなのか。そして本人にその「覚悟」があるのか。

 自分は一介のミュージシャンで、どうやらここまで年齢を無駄に重ねてきてしまった感じではあるが、それでもこの音楽の世界に憧れた時の純粋な「芸術心」のようなものを強く刺激されたように思った。ボブ・ディランの歌う"Like A Rolling Stone"が今もたまらなく私を揺さぶり続けている。
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by harukko45 | 2006-07-17 04:27 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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