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 今年はCD、ほとんど買ってませんでした。業界人として少々いただけない姿勢かもしれませんが、どうしても!って気分になったのはピアニストのマルタ・アルゲリッチのBOXものぐらい。特にポップス関連は年々新譜を買うのは減っていく傾向で、それも一部の限られたアーティストにしか興味がいかなくなっておるのでした。

 さて、仕事に追われる時期が一段落し、今月はかなり落ち着いた感じになったので、その「限られたアーティスト」達のCDをようやく購入、そんでもって久しぶりに聞き始めたら、こりゃこりゃ、やっぱいいじゃん、ってわけです。しばらく連絡不通だったけど、突然再会するとえらく盛り上がった、そんなノリでしょうか。

e0093608_15161564.jpg ボブ・ディランは68歳、その33作目のスタジオ・アルバム"Together Through Life"は4月に出ており、米英で初登場1位を記録し、相変わらずの強い存在感は健在であることを示してくれました。

 ただ、3年前の前作"Modern Times"がとても素晴らしく、"Time Out Of Mind"からの傑作3部作として一応完結か?なんて気分になるほど満足していたし、2005年のマーティン・スコセッシ監督による"No Direction Home"や2008年の"Tell Tale Signs"(89年から2006年までの未発表作品集とは思えないほどの充実した内容で別の新譜を聴くような楽しさ)とファンにとってはここ数年でこの上ないほどの幸せを味わっていたわけで、そこにこの新譜の登場は正直「ちょっとお腹いっぱい」という気持ちになっていたことも確かで、しばらく買うのをためらっていたのでした。

 だが、今手元にあるこのアルバムは、やっぱすごくいいわけですよ。今更「これは傑作だ、名盤だ」などと大風呂敷を広げる必要もないのです。ただただ良いのです。

 でもって、このディランという人物はいったいどこまで深化していくのかと、またまた感嘆しているのでありました。バングラディシュのコンサートでの映像に一目惚れをして以来、ずっとファンで良かった。私にとっては今後も、70歳を越えようが、ずっと見届けていきたい貴重で偉大な存在であります。

 うー、60年代の"Blonde On Blonde"なんかも引っ張りだして聴いている今日でした。
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by harukko45 | 2009-09-18 16:28 | 聴いて書く

レス・ポール氏死去

 偉大なギタリストであり、音楽制作の分野でも数々の功績を残したレス・ポール氏が13日に亡くなった。94歳だったとのこと。このところライブの予定がないことを徳武さんがすごく心配していたのだが、やはり体調を崩していたのだった。

 彼の偉大さに関しては、日本ではまだまだ熟知されているとは言えないが、こと音楽業界、ミュージシャンの世界に身を置くものにとっては、いくらリスペクトしても足らないほどの存在だったと言えよう。心よりご冥福をお祈りしたい。

 これを機に、多くの人がレス・ポールの素晴らしい音楽に触れてほしいし、彼の伝記映画である"レス・ポールの伝説(Les Paul Chasing Sound!)"を見てほしい。これを見れば、彼なしでは現代のマルチ・レコーディングは存在しえないことがわかるし、何より自らの音楽をどんよくに追求し続ける姿勢に圧倒されるだろう。
 私が過去にアップした"レス・ポールの伝説"についてはコチラを
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by harukko45 | 2009-08-14 15:58 | 聴いて書く

レス・ポールの伝説

e0093608_774677.jpg もうすでに今年の夏に公開されていたのだが、ギターの徳武弘文さんを始めとする先輩ミュージシャンの方々から「絶対ミルベシ!!」と言われていた"レス・ポールの伝説(Les Paul Chasing Sound!)"をようやく観ましたよ。
 で、私のようなものが言うのもおこがましいが、まだ観ていない人、特に映画ファンというよりも、音楽、ポップ・ミュージックが好きな人、実際関わっている人は「絶対ミルベシ!!!!」と強く言いたい。

 そして、今自分達がポップ・ミュージックをこんなにも楽しめているのは、レス・ポールという偉大な人物のおかげだったんだ、っていうことをしっかり認識してほしい。
 なんて言っている私も、この映画を観たことで、あらためてその偉大さに脱帽した口だから、そんなに大口叩けないわけで、今日を境に私も、レス・ポールに最大限の敬意を払いたいと思ったのでありました。

 レス・ポールの偉大さは、単にギタリストのみだけに留まらない。そのサウンドの飽くなき追求心が生み出したエレキ・ギターの開発、多重録音の発明と研究、レコードのカッティング技術やアナログ・テープ・ディレイの発明などはどれだけ現在の音楽界の発展に貢献していることか。要は、彼がいなければ現代のオーバーダビング・レコーディングによる音楽制作など有り得なかったし、豊かなギター・サウンドによるロックの発展などもなかったのだ、とも言えるのです。

 もちろん、そういった発明や探求の中から生み出された音楽、それそのものが真に素晴らしいものであったからこそ、その影響力は絶大で永遠だということ。
 そして、90才を越えた今でも現役でニューヨークのクラブで毎週自らのトリオを率いて演奏し続けている。そのバリバリの演奏をする姿を見ると、自分などまだまだとんでもなくガキであることに気づかされたのだった。ほんと、恐れ入りました。

 ただ、1人の偉大な音楽家の歴史映画としては、掘り下げがもう1つだろう。だから、いわゆる映画ファンにはすすめない。しかしながら、音楽関係者としては、この程度のTVドキュメンタリー・タッチの方が彼の音楽への功績をちゃんと勉強できるので有り難い。

e0093608_77579.jpg さて、映画も必見だが、CDでもまた聴き直さなくては。やはりメリー・フォードと組んだオーバーダビングによる大傑作群は絶対に外せませんわな。
 うー、感動して眠れなくなってしまったわい。
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by harukko45 | 2008-10-13 07:16 | 映画・TV

 21世紀になって、私の好きなロック・バンドはホワイト・ストライプスだけだったのだが、その唯一絶対の位置を脅かしかねない存在が登場した。

e0093608_238219.jpg "The Raconteurs/Consolers Of The Lonely"、これ、まじに凄くないっすか?聴いた人いたら、ご賛同願えるかしら? 私にとっては、かなりのヤバさでヘビー・ローテーション化しているアルバムであります。

 で、ホワイト・ストライプスの強力なライバルとなったこのラカンターズのボーカリスト、ギタリスト、キーボーディスト、ソングライター、ミキサー、プロデューサーは、なんとあのジャック・ホワイトなのだった!!!

 ああ、結局、ジャックのライバルはジャックだったのか!

 昨年、ストライプスの"Icky Thump"がリリースされた時のブログでは、「いくらジャック・ホワイトが天才であっても、何から何まで素晴らしいわけじゃない。私はRaconteursにおけるジャックは、ただの余暇だと思っている。」と書いたが、今回のセカンド・アルバムを聞き、それが全くの間違いであり、全面的に訂正しなくてはならなくなった。ラカンターズのデビュー時に、ジャック自身はインタビューで、「このバンドは、ただのサイドワークじゃない!」と強く語っていたことを思うと、私はジャックに深く謝罪しなくてはいけません。

 ジャック君、ごめんなさい。君のことは本当に「天才」だと思っておりましたが、これほどまで凄いとは予想だにしませんでした。私の浅はかさを深く反省いたしますです。

 とは言え、やはりラカンターズのファーストは、それほどでもなかったよ。それが、セカンドで途方もなく高い世界に行ってしまうなんて、驚き以外の何もないよ。でも、もちろんうれしい驚きであることは間違いない。

 たぶん、今年のロック部門は早くもこのアルバムで私は終了です。ですから、2年連続でベスト・ロック・アルバムはジャック・ホワイトで決定です。
 正直、これを聴いていると、もう60年代末から70年代初期のロック黄金期のアルバムを聴く必要がないように感じます。ツェッペリンもストーンズも当分、確実にいらんですね、私の場合。
 こういうロックを現代でも創造できるんだ、スンバらしい!! ジャック愛は永遠。
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by harukko45 | 2008-04-19 02:41 | 聴いて書く

グラミー賞

 ここ数年の中では、けっこう面白かった方ではないかな。全体的にパフォーマンスで楽しめたものが多かったのが良かったです。

 フランク・シナトラ(映像)とアリシア・キーズのデュエット(さすがアリシアだけど、ちょっとニュアンスつけすぎかも、この手はナタリー・コールがやっぱいいかなぁ)に始まって、

 シルク・ドゥ・ソレイユらによるビートルズへのトリビュート・ライブ(黒人少年のアカペラとゴスペル隊による"Let It Be"が新鮮)、

 キャリー・アンダーウッド(どうしちゃったんでしょうか、ブリトニー・スピアーズになるつもりか、つまんない)、

 おっと懐かしいザ・タイムが再結成してリアーナと競演(タイムの軽快なノリがプリンス全盛時を思い起こさせて楽しかった)、

 カニエとダフト・パンクのコラボ(まぁまぁ。ダフト・パンクは好きだけど、カニエは私には別段どうもねぇ)、

 ファーギーの歌にジョン・レジェンドがピアノで伴奏(ジョンはちゃんと弾いてたのかなぁ?でも好きだからいいや。ファーギーの"Finally"は年間ビルボード・チャートNO.1だったはずだけど、グラミーは何もあげないの?)、

 ティナ・ターナーとビヨンセという骨盤系の競演(ティナはやっぱ最高、"Proud Mary"での競演楽しかった。)、

 フー・ファイターズ(相変わらずの力みすぎ、音楽的には嫌いじゃないんだけど、最近段々興味がなくなってきた)、

 ブラッド・ペイズリー(ここ例年のカントリー・パフォーマーの充実ぶりに比べるとちょっと役不足、しかしこの人はギターめちゃウマなんです、実は!)、
 
 アレサ・フランクリンのゴスペル・パフォーマンス(アレサに大感動、声も衰え高音も出ないが、それでも素晴らしい。本物の偉大さに敬服。相手役のビービー・ワイナンズも立派。だが、その後のパフォーマンスはいらなかったし、つまらなかった。最後に再びアレサが登場してくれたのは良かったが、とにかくアレサだけにしぼって、もっと敬意を込めた作りにしてほしかった)、

 ファイスト(よかった。カナダ人アーティストらしい繊細さが好感持てたなぁ)、

 アリシア・キーズとジョン・メイヤー(大活躍のアリシアはもうアメリカ音楽界の新しきリーダーですな。ジョン・メイヤーはグラミーのパフォーマンス部門では引っ張りだこって感じで、毎回登場ね。使いやすいのかなぁ)、

 ハービー・ハンコックとラン・ラン(つまんないラプソディ・イン・ブルー、こういう教養ぶった演出がグラミーの保守性の現れね。何の意味もないのに、有り難がる感じで、全然良くなかった)、

 エイミー・ワインハウス(今回、全てに特別待遇のエイミーはロンドンから。はっきり言ってそんなに高く評価する人じゃない。これはプロデューサーの勝利。彼女はたいして良いパフォーマーとは言えない。今回、いっぱい賞をあげ過ぎて次はかなり苦しいね。とにかく、ライブの出来の悪さにがっかり)、

 アンドレア・ボチェッリとジョシュ・グローバンによるルチアーノ・パヴァロッティ・トリビュート(つまらん、ちっとも感動的じゃない。こんな歌で癒されるなんてどうかしてる。パヴァロッティの素晴らしさを知っているなら、もっと敬意を持ってほしい。こういう安直な企画を恥ずかし気もなくやってしまうところがアメリカの大らかさということか?)、

 ジョン・フォガティ、ジェリー・リー・ルイス&リトル・リチャード(素晴らしい!ジョン・フォガティ62歳?!それでもこの歌かよ!すごい。で、ジェリー・リー・ルイスはちょっと化石っぽかったけど、リトル・リチャードの凄みは何だこりゃ!70越えてる?80歳?凄い、力強いピアノとシャウト。感動です。リトル・リチャード、ほんと大好き!)、

 ウィル・アイ・アム(やっぱ、才能あるね、この男。カニエ・ウェストにはあまり共感できない私には、今はウィル・アイ・アムが最高。で、実はここにマイケル・ジャクソンが来る予定だったのに、本番すっぽかすなんて!リハまでやってたって言うのに、すごいね)、

 で、最優秀アルバムがハービー・ハンコック、これには全世界がブっ飛んでしまうほどの驚きでしたね。評論家の松尾潔氏が思わず「グラミーは空気読めてない」と言ったことに、大きく賛同です。
 正直、エイミー・ワインハウスの過大評価といい、今年のグラミーは妙だった。でも、全体的は楽しめましたよ。
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by harukko45 | 2008-02-12 16:25 | 聴いて書く

 今年のジョン・レノン・スーパーライヴで、最も心残りというか、悔いを残した事がある。それは、「もうちょっと『くるり』とお話をしておけば、良かったなぁ」という思い。と言っても、一緒にやった曲について、どうのこうのと詰めたかったわけじゃない。そうではなくて、彼等が新作の"ワルツを踊れ Tanz Walzer"をオーストリアのウィーンでレコーディングしていたことや、ボーカルでソング・ライターである岸田さんがクラシックに入り込んで、その流れからウィーンを目指したこと、またミュージック・マガジン誌(2007年1月号)上の2006年「年間ベストアルバム10」で彼がすべてクラシック音楽のアルバムを並べていて、「もう、ロックとかポップスとか聞けなくなりそうです」とコメントしていたこと、なんかを色々と聞いてみたかった。

 私は彼ほどの繊細さや大胆さ、そして何よりアーティストとしての資質を持ち合わせてはいないが、そんな私でも、「もうロックもポップスもつまらん」となって徹頭徹尾、ヨーロッパ・クラシック音楽にはまり込んだ時期があった。それは30代になってからで、その時は「とにかく、圧倒的に能力の高い作曲家が作った素晴らしい曲を、これまた能力の高い演奏家によって聞くことにより、圧倒的に感動したかった」のが理由。ロックやポップスではそういった満足感をいっこうに与えてはくれない気がしたのだった。
 その思いはすぐに叶い、偉大な作曲家達の作品に感動しまくり、91年からはウィーンをたびたび訪れるようになり、街そのものが大好きになってしまった。その後の私は、自分と現在自分が関わる音楽の価値というものを、もう一度確認することも出来たし、自分が音楽をする意義もしっかり把握することができたのだった。

 そんな私の「自分探し」的な経緯でのクラシックとウィーンへの旅とは違い、さすが「くるり」はちゃんと自分達がやるべきこと、進むべき道を理解していて、その答えとしてアルバムを作ってきた。

e0093608_1659456.jpg "ワルツを踊れ Tanz Walzer"は素晴らしい傑作と思う。何回も聞いてしまう。特に2曲目の"ブレーメン"が大好きで、ギター・サウンドにのったオーボエとイングリッシュ・ホルンが最高に郷愁を誘い、夢のような世界が広がっていくようだった。続く"ジュビリー"もストリングスの扱いが秀逸。そういったアレンジ面だけでなく、曲そのものに「あざとさ」がなくて、確かに激しく展開していく部分もあるが、そういったことが極めて自然に流れて行くのが素晴らしい(このあたりが、クラシックの影響か?)。だから、飽きないし疲れない。

 サイケ時代のビートルズ風な"ミリオン・バブルズ・イン・マイ・マインド"も楽しいが、ここでのバンド・サウンドが実にふくよかな響きでミックスされていて、変に背伸びしたような「ガキっぽさ」がない。成熟したサイケ・ポップになっている。それは、続く"アナーキー・イン・ザ・ムジーク"にも言える。こういう曲でストリングスが入ってくると、何か「いかにも頭でっかち」って感じで普通は嫌悪感を抱いてしまうのだが、ここでは逆にギター・トリオのパンク/ニューウェイブ風なアプローチに、いい意味でオブラートを包むような効果になっていた。まるで、ウィーンの生クリーム効果とでも言えるか。

 ギターの弾き語りによる"レンヴェーク・ワルツ"はウィーンの地名がタイトルになっているが、内容は全然違うとてもセンシティブな佳曲。岸田さんのボーカルがいい。
 歌詞の内容から想像もできないような大曲となった"恋人の時計"も愛すべき作品だ。ホーエルマルクト広場のアンカー時計を思い浮かべてしまう。
 他にも"ハム食べたい"はドイツ語タイトルでもろ"Schinken"。本当に「桃色のハム」が食いたくなった。歌詞的にはちょっと意味ありげで、深読みも可能だろうが、とにかくハムとチーズをはさんだゼンメルが今すぐ食いたい!
 ちょっとXTC風な"コンチネンタル"も好きだ。歌詞が意味不明で、タイトルとの関連性もわからんけど。で、後半一番シビれちゃうのが"ハヴェルカ Cafe Hawelka"だ。CDジャケットにウィーンのカフェの名店「ハヴェルカ」でくつろぐメンバーが写っているのだから、そこから何らかのヒントを得た曲なのだろうが、どうしてこうなったのかマリアッチ風、それともポルカなのか、とにかく笑える。歌詞がまたいいね。「2人を包み込むようなコーヒーの泡のミルヒ(Milch=Milk)」とはねぇ。

 アルバムの最後になってじょじょにバンドのみのサウンドになっていくのは、ウィーンから日本への帰国を意味しているのだろうか、バンドだけの曲になるとすごく日本を感じるのも面白い。ミックスを担当したフランス人のStephan "ALF " Briatの仕事もとても光ると思った。彼はAirなども手がけているプロデューサーだが、ここでの何とも暖かくて豊かな音の仕上がりと、ハーフインチアナログマスターのサウンドにこだわったと言うマスタリングも素晴らしいと思う。久々に長く聞いていくであろうアルバムに出会ったと思う。
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by harukko45 | 2007-12-24 17:51 | 聴いて書く

 ロック部門はもうずいぶん前からベストは決まってしまっていた。このブログをよくご存知の方にはうんざりの名前でしょうが、そうです、ホワイト・ストライプスの"Icky Thump"ですよ!

e0093608_1313286.jpg 申し訳ないが、私の場合、ジャック・ホワイトの新作が出て、よっぽど彼がへくらない限り、ロックの新作はそれ以上いらないのでした。彼以外はみんな「予定調和」でしょう。それほど、ロックという音楽は「ちんまり」したものになってしまいました、私には。もちろん、60年代70年代(一部80年代も含む?)のロック、これを今のロックと分けて、「クラシック・ロック」(もちろん、質の高いもの、イケてるものがクラシック・ロック、イケてないものはただのオールド・ロック)と呼ぶわけですが、ここのジャンルに含まれる音楽は全く別ものであり、その価値は燦然と輝いております、ハイ。また、その頃から活躍しているベテラン達も未だに素晴らしいパフォーマンスを繰り広げている状況では、興味はそちらに向いてしまうのはしかたないのでした(特にボブ・ディランのカッコよさったら!!)。

 というわけで、私が若手の中で、唯一支持するジャック・ホワイトですが、この"Icky Thump"を聞いて、その内容に圧倒され、「私の目に耳に狂いはなかった、ジャックを信じてよかった」ということが確認された段階で、それまで買った若手ロック系の新譜は「聞く価値なし」となり全部売り払ってしまいました。
 このアルバムがリリースされた直後の興奮状態の文章に、言いたいことは書いてしまったので繰り返しませんが、今現在も何から何まで大好きなアルバムであることは変わりません。
ジャック愛は永遠。

e0093608_234472.jpg なので、全く別な流れからの選出で、フランスのクラブ・ミュージック界期待の星から、今やマエストロとも言えるエール(Air)の"Pocket Symphony"も本年度のベスト・アルバムとしたいと思います。いやー、よく聞いたわ、これも。で、かなりこのサウンドに影響受けました。ただ、自分でやってもここまで知的な雰囲気にはならんなぁ。まぁ、それで良いんですけど。

e0093608_24396.jpg そもそもは、2006年にリリースされた同じフランスの女優であるシャルロット・ゲンズブールの新譜"5:55"を今年になって聞き、すっかり感銘を受けて、その曲を提供していたのが彼等であり、プロデュースが同じ「あの」ナイジェル・ゴドリッチだったので、買ったわけです。

 で、どこがいいのかというと、とにかく聞いてて快適だ、に尽きる。じゃ、ただの「癒し系」やら「ヒーリング」ものなのかというと、ナイジェルがプロデュースしていて、そんな毒にも薬にもならん音におさまる訳がないのでして。
 私は、正直言って、この2作でナイジェル・ゴドリッチを見直しました。で、今じゃ、あんだけ苦手だったレディオヘッドも聞けるようになりましたし、ポール・マッカートニーの「Chaos...」も再評価すべきかもと思いかけています(うー、だがポールの場合、今の新譜の楽しさを聞くと、やっぱ、こっちじゃないのって気持ちもねぇ)。

 それと、ピアノやアコースティック・ギターなどの生楽器が主役であり、テクノ・ハウス臭をあまり感じないのが、私にはうれしい。それに、これらの楽器の音がいい。全体のサウンド面での仕上がりが新しい。だから、ナイジェルは凄いんだって、今頃わかったか、恐れ入りました!ってところですね。
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by harukko45 | 2007-12-24 02:22 | 聴いて書く

 The White Stripesの新譜"Icky Thump"については、興奮しすぎてハチャメチャな文章のまま、このブログで紹介してしまったが、その後もますますのめり込んだままの日々である。
 先日は、このアルバムについて1曲1曲云々するのは意味ない、的なことを書いているが、特に1曲、唯一のカバー曲であるm4"Conquest"に関してはどうしても書き加えたくなった。

 もちろん、それはストライプスのパフォーマンスが素晴らしいからなのだが、このアレンジはアメリカを代表する大歌手であるパティ・ペイジのバージョンのカバーなのだった。
 ジャック・ホワイトはかつてよりただのパンク小僧ではないことは十分承知していたし、カントリー女性歌手の重鎮ロレッタ・リンのプロデュースをしてグラミーを取ってしまう程の男だから、アメリカ音楽の伝統にもきっちりアクセスできる能力を兼ね備えていた。

 彼らの出世作と言える"Elephant"でのバカラックの"I Just Don't Know What To Do With Myself"や、ライブでもよくやっていたドリー・パートンの"Jolene"(日本ではオリビア・ニュートン・ジョンのヒットの方が有名か)といい、ジャックの選曲・アレンジのセンスには思わず唸らされていた私だが、今回の"Conquest"でとどめを刺された。あのパティ・ペイジまで料理してしまうとは!

 そこで、驚いた私はパティのオリジナル版を早速聞き直したところ、これが見事にマリアッチ・アレンジでイントロの輝かしいトランペットといい、全体の構成・キーもそのままであった。パティ・ペイジの美しく深みのある歌声と同じキーのまま、キレまくったようにシャウトして自らの世界に持って行ってしまうジャックの素晴らしさ、かっこいい!
 と同時に、このパティ・ペイジのオリジナル版の素晴らしさにも感動した。ジャックがこれを取り上げたのはジョークでも何でもなく、極めて真面目に、そして偉大なるパティへの敬意も込めてのことだろう。この辺に彼の伝統継承主義者的な側面を感じるのだった。

 それにしても、パティ・ペイジ! 私は4,5年前にボーカリストの川内マキさんに薫陶ご教授いただいて「アメリカ黄金時代の音楽」を勉強させてもらったのだが、その中でも別格のボーカリストであると認識させられた1人が彼女である。それまでほとんど聞いたことのなかったパティや、これまた別格のパッツィ・クラインが、未だにアメリカのミュージシャン・アーティストから敬意を集める理由が、その時わかったのだった。

 それ以来、パティ・ペイジは私の音楽ライブラリーの中でも重要なものとなった。まだ、聞いた事のない方にはベスト盤で良いので是非聞いていただきたい。「癒し系」などと言われる最近のフニャフニャで線の細いボーカルなどバカバカしく感じるほど、豊かで深く、そして気品にあふれる彼女の歌声を聞かないのはもったいないことだ。
 
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by harukko45 | 2007-07-04 17:01 | 聴いて書く

The White Stripes/Icky Thump

e0093608_213182.jpg まずは万歳三唱、バンザイ!バンザイ!!バンザイ!!!
 さて、いくらジャック・ホワイトが天才であっても、何から何まで素晴らしいわけじゃない。私はRaconteursにおけるジャックは、ただの余暇だと思っている。ロレッタ・リンをプロデュースした時とは違った。そして、あくまで彼の才能はホワイト・ストライプスでこそ発揮される、と信じていた。

 そして、ここに来て2年ぶりの新譜の登場とは。そして、そして、各方面から聞こえてくる評判、それも大絶賛の評判。そして、そして、そしてYouTubeでタイトル曲"Icky Thump"を見てしまった私。

 まずは、このビデオをチェックした段階で、Fall Out BoyもWolfmotherもFratellisも吹っ飛んでしまった。
 で、このアルバムを本日聴くことにより、私の今年のロック部門は終了かもしれない。(いや、オジーの新譜だけは買っておこう、ザック・ワイルドだし...)

 とにかく、これはちょっと、ただじゃすまないアルバムを作ってきたぞ、ジャック・ホワイト!

 何という自由度!それでいて、ロックの、ブルーズの真髄はしっかりとつかんでいて、軟弱な方向転換などしない。それは、デビュー以来、一貫した姿勢ではあるが、ここに来ての進化は私の予想を遥かに越える段階に入った。

 参った。
 
 今回はどの曲がどうの、って感じじゃない。ある意味トータル性を持って、各曲が有機的に結びついているように思う。なので、緊張感を伴った一つの強い意識が全編を貫いていて、最初聴き始めた時、ちょっと先が怖くなって、いったん止めてしまった。
 が、二度目に聴いた時は、一気に全曲にのめり込んだ。が、同時にこれはヤバイと感じた。そして、今はもっと聴かないとちゃんと理解できない感じになってきた。
 60年代末にザ・バンドが"Music From Big Pink"でブルーズの未来を見せたが、ホワイト・ストライプスの"Icky Thump"はそのさらなる未来を感じさせる、と言ったら言い過ぎか?うー、わからん。
 何でそんなに、めんどうな言い回しになるかというと、このストライプスは「好き嫌い」を越えるレベルに達していると思ったからだ。つまり、この音楽は「必要」だ、ということ。

 こういう天才を生み出し、きちっと評価するアメリカの音楽界の凄さをまざまざと思い知る。ジャック・ホワイトは何度でも言うが、現代のポップ・ミュージックの世界で活躍する唯一の天才だ。と同時に、唯一のブルーズとロックンロールの遺産を受け継ぐ正統なる伝統主義者でもある。

 ふー、参った。何回このアルバムをリピートして聴いてることか。非常に常習性が高い。
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by harukko45 | 2007-06-23 03:15 | 聴いて書く

グラミー賞

 49回目のグラミー賞は、最終的にDixie Chicks一色になったことで、個人的には満足だし当然と思ったが、全体のライブ・パフォーマンスにおいては年々落ちていくような気配を感じたし、それだけアーティストのレベルが(特にライブ!っていうことにおいて)下がっていると言えるかもしれない。

 もうすでに、かつてのようにアメリカ(+イギリス)が圧倒的に優れている状況ではなくなったのは明白で、どちらかと言えば全世界に(ブラック・ミュージックをベースにした)ポピュラー音楽作りの方法が広まり、それを誰もが楽しむようになったことにより、段々その音楽すべてが薄まってしまったのだろう。
 もはや、現在のアメリカのポップ・ミュージックにマジックは存在しないし、天才もいない。なので、夢中になって新しい音楽を見つけよう、なんて気はおきないし、そのような迫力を音楽業界全体からも感じられない。

 というか、60年代70年代のように、そもそも「革新的な」ものを音楽に求めることが、少しおかしかったのかもしれず、今のような状況こそが本来の「大衆音楽」としての有様なのかもしれない。
 だから、ディクシー・チックスのようにデビュー当時からいい曲を、いい演奏をバックに、いい歌を聴かせるという、基本的な部分がしっかりした人達が評価されることに至極納得するのは、大した能力もないのに「個性」ばかり主張する風潮に、聴き手の方が(いや、私が)うんざりしているからなのだろう。

 さて、今年のパフォーマンスで一番印象に残って良かったのはディクシー・チックスとクリスティーナ・アギレラだ。ディクシー・チックスはそれでも普通だったと思うが、アギレラはあのジェームス・ブラウンをカヴァーするという大変難しいパートにもかかわらず、かなり健闘していたし、はっきり言って他のブラック・ミュージック系のボーカリストが全バツだったのを見れば、JBを歌うのは彼女しかいなかったんだな、ということだ。

 おー、本編の低調さですっかり忘れていたけど、オープニングのThe Policeの再結成は思った以上に良かった。それもロクサーヌ1曲だけでさっさと帰ったのがいいね。とにかくショウと全然関係ない!って雰囲気がカッコよかった。
 スティングも、完全にバンド時代のムードが漂っていたし、スチュアート・コープランドのオバカぶりも健在。アンディ・サマーズはさすがに老けたような感じだったけど、元々重鎮だったしね。逆に変わってなかったと言えるか。
 で、これで再結成ツアーも決まって日本にも来る?らしい。とにかく、あの衝撃のデビュー当時のトリオのみでのパフォーマンスをできるだけ復活させてほしい。それなら絶対に観に行きたい。

 うーむ、今回のグラミーで一番革新的な音楽を聴かせたのはポリースだったか!
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by harukko45 | 2007-02-14 15:22 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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