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 ようやく最終回に辿り着き、何とか年内に終わる事ができました、やれやれ。で、(9)でまとめることもできましたわい。

e0093608_15522614.jpg オールラインナップによる恒例のオノ・コードのパフォーマンスから"Happy X'mas"へ。今年も吉井和哉さんの歌いだしでスタートした。
 私がこのイベントに関わり始めた頃は、この曲はロック・ファン、ビートルズ・ファンには有名ではあっても、一般的にはクリスマス・ソングとしてそれほどの認知はされていなかったように思う。だが、いまや12月になると、日本の街中でも何度もこの曲が流れるようになり、すっかり定着してきているのだった。
 また、武道館の前日にはフジテレビの「SmapXSmap」にてヨーコさんとSmapのコラボによる"Happy X'mas"がオン・エアされた。その時のバック・トラックは我々トリビュート・バンドが受け持った。
 とは言え、この曲のメッセージである「War Is Over, if you want it.」はまだまだ人々の中に十分浸透してはいない。だから、ヨーコさんを始め私たちは、これからもずっと歌い続けていかなくてはならない。

e0093608_15293480.jpg 続けて、ジョン・レノンの音楽のメイン・テーマであり、その象徴とも言うべき曲、"All You Need Is Love"を。
 今回は、ビートルズ・バージョンではなく、ブリティッシュ・ロック界の第2世代であるポール・ウェラーとノエル・ギャラガー(ノエルは第3世代だな?)によるバージョンでやってみた。
 サイケデリック色濃厚で、いろいろな要素が満載のオリジナルに比べ、大変シンプルでわかりやすいアレンジだが、その分骨太の力強いロックとして、この曲の新しい魅力を引き出していると思う。押葉くんのナイス・チョイスで、私も聞いてすぐに気に入った。
 実にライブ向きで、すごくノリがいいので、ひょっとするとこの感じはこれからの定番パターンになるかもしれない。

 この曲のエンディングから、"Give Peace A Chance"のサビへつないだ。

e0093608_17323210.jpg そして、最後はいつものように"Imagine"。
 ジョンとヨーコの「ラブ&ピース」は30年以上経っても、全く色褪せない。ノーベル平和賞をオバマに与えるのと、どちらが意義深いだろうか。また、先日のCOP15において、自らの国益しか主張しない政治家達は本当に優秀と言えるのか。中国はオバマの顔をつぶして喜んでいる場合か?
 まだまだ世界に平和は来ないし、愛も足りない。だからこそ、微力ながらこのようなイベントを通じて、少しでも「ラブ&ピース」の精神が理解され、多くの人々に広まって行く手助けになればと心から思う。

 さて、今年も無事にこのイベントを終えることができて、ホっとしている。回数が増えるごとに、自分の力の足りなさを感じ、それでも何とかやれているのは、バンドのメンバーのみならず、多くのスタッフのおかげであることをつくづく思い知る。
 このイベントのために現場スタッフ達は前日から徹夜で作業してくれていた。心から感謝の意を表したい。

 このブログで毎回、あーだこーだとアーティストや曲について語っているが、それを実際に実現させるには、ほんとに多くの人の労力がなくては絶対に無理なのだ。今後はもっともっとそういう一人一人に感謝の気持ちを抱きながら接して行かなくてはならないと思う。

 来年はジョン・レノン没後30年で、スーパーライヴも10回目となる。いろんな意味で重要な年になるに違いない。来年の12月に再び武道館のステージに上がれるように、まだまだ切磋琢磨していかねば。

 ここまで、長々とお読みくださってありがとうございました。そして、皆さんの2010年が良い年でありますように、心よりお祈りします。
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by harukko45 | 2009-12-31 18:25 | 音楽の仕事

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 吉井和哉さんを迎えて

e0093608_532089.jpg 今回、吉井さんは全曲ギターを弾きながら歌うということだった。曲はこれまで何回かやっている曲が含まれるものの、サウンド面では多少変化があった。
 "I'm Losing You"は吉井さんの定番曲となっているもの。私も2005、2007年の時に演奏しているが、今年は吉井さんのギターが加わって、豪華なトリプル・ギター・サウンドとなった。
 また、キーを3曲とも半音下げたので、これまでよりも全体に野太い感じになった。特にこの曲の場合、男っぽさが強調されたブルーズとして仕上がったように思う。

 しかし、これはある意味ウォームアップ曲だったと言ってしまおう。次の"Yer Blues"がやはり今回の目玉として強力だったからだ。

e0093608_5171762.jpg 1968年のホワイト・アルバムに収録された"Yer Blues"。この当時のイギリスではブルーズ・ムーブメントが起きていて、誰も彼もがブルーズをやり始めていた。ジョンはその「猫も杓子もブルーズ・メン」状況をおちょくって書いたのがこの曲だと発言している。

 また、「インドのきれいな景色のなかで書いた曲なのに、世界で一番みじめな曲ができた」「神に近づこうとして自殺でもしかねない気分を歌った」とも語っている。
 "I'm So Tired"と共通する、マハリシのもとでの修行生活の辛さからくる心情の吐露と言えるが、先の「疲れた」から、こちらでは「寂しくて死にたい」とまで歌っているので、症状はかなり深刻だ。
 
 だが、ブルーズの締めでは「If I ain't dead already, Ooh Girl, you know the reason why? (もし僕がまだ死んでいないとしたら、君はその理由を知ってるだろう?)と歌い、これはヨーコに対して「僕がまだ死なずにいるのは君がいるからだ」と告白しているのだ。なるほど、押葉くん流に言えば「これ以上ない殺し文句」であり、ヨーコだけが自分を救ってくれるという意味になるのだろう。

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 そして、もう一つ解明しておきたいことは、「今すぐ自殺したい気分だ。ディランのミスター・ジョーンズみたいにさ。」の歌詞で、このMr.Jonesはボブ・ディランの「やせっぽちのバラード("Ballad Of A Thin Man")」に登場する人物で、ディランの詞では「ここで何かが起きてるのに、あなたは何なのか知らないんだから。そうでしょう? ジョーンズさん」となっている。

 歌詞の部分ではかなり落ち込んだ内容であるが、実際にレコーディングされたサウンドはワイルドでありながら、ビートルズの一体感が感じられるご機嫌な仕上がりだ。ジョンの「肩が触れ合うような距離で演奏する方が音楽のパワーが増す」との言葉通り、スタジオ脇の小さな部屋に4人が一緒に入ってレコーディングされたのだそうだ。
 また、一応ブルーズ進行ではあるが、やはりそれだけでは我慢できないジョンは、いかにも彼らしいワナやら仕掛けをほどこしていて全く飽きさせない。譜面として書くと、いろんなところに変拍子が入ってくるし、8分の12ビートから4分の4のシャッフルに変化するあたりのアレンジは、かなりクールでしびれるのだった。
 
e0093608_646462.jpg だだ今回、吉井さんはローリング・ストーンズが中心になって収録されたTVショウ「ロックンロール・サーカス」に出演した時の、ジョン・レノンのスペシャル・バンド「Dirty Mac」(ジョン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ、ミッチ・ミッチェル)によるバージョンをベースにしたいとのことで、オリジナル・スタジオ・テイクよりもテンポ・アップしてやることにした。
 確かに、ライブでやる場合は、この方がヘビーになりすぎずに良かったと思う。吉井さんには「このぐらいでやった方が、お客さんには聞きやすいはず」との配慮があったのだ。

 そして、何より良かったのが、吉井さんが自らの日本語訳詞で歌ったことだ。当日ぎりぎりまで英語にするか日本語にするか悩んでいたようだが、当日のリハで合わせてみたところ、日本語でのインパクトが強烈だったので、文句なくそちらに決まった。おかげで、かなりリアリティのある吉井"Yer Blues"が完成したのだった。

 さて、3曲目で本編ラストは"Help!"。もちろん、バラード・バージョンである。今回は彼がギターを弾いたので、これまでピアノでやっていた部分を吉井さんの弾き語り風に変更した。ある意味、これはこれでファンにはたまらないシーンだったかもしれない。
 この曲に関しては、すでに2007/2008年の時に、いろいろ書いてきたので、何も付け加えることはない。もはや吉井"Help!"として完全に確立されたオリジナルと言って良いだろう。
 我々もこの曲をやると、本編最後のクライマックスと感じるようになっていて、「ついに今年もここまで来たか」と思うのだった。
詳細(9)へ続く
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by harukko45 | 2009-12-31 06:55 | 音楽の仕事

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 松山ケンイチさんが再び登場し、「Imagine」の朗読を。

 そして、オノ・ヨーコさんを迎えて

 ヨーコさんとの競演は2005年以来だ。2回目とは言え、やはりヨーコさんと対面するさいに、ある程度の緊張が生まれるのは致し方ない。だから、わかっているけど、ついつい早口になったり、変に笑いながらしゃべってしまい、後で恥ずかしい気持ちになってしまう。
e0093608_2315664.jpg それでも、音が出ている時なら、いろんな点で落ち着ける。言葉では伝えにくい部分も、音楽でなら簡単にコミュニケーションできるから。
 スタジオでのリハーサルでは、ずいぶん久しぶりに"Your Hands"を歌われたので、細かい部分を少しずつ思い出すようにして、何回も練習につきあっていただいた。何度か合わせる事で、ヨーコさんがどこで入りたいのか、こちらがどのようにしてきっかけを出すのかがつかめるようになった。
 その辺のお互いの意思の疎通こそが大事で、細かいプレイぶりやグルーヴ感はこちらに任されたのだった。
 ただ、実際には始まってから何が起こるかわからない。よって私たち全員、アンテナを張って敏感に対応していくことを確認した。

 そして本番、ヨーコさんは颯爽と登場されただけでなく、リハーサルの時の少しナーバスだった雰囲気など微塵も感じさせない堂々とした歌声で、パーフェクトに歌いこなした。心配された高い声も問題なく、レコーディング当時のパワーが蘇ってきたかのようだった。
 そして、二人のギタリストがソロをとる間、スーっとステップを踏んでダンスするシーンを見ると、一気に70年代にワープしそうになった。

 すぐに感激してしまう私は、それだけでかなりウルウルな状態になった。それに、ヨーコさんが、この本番までにかなり練習を積まれているのがわかったし、バンドに溶け込もうとしているのも感じられたからだ。その時「あー、愛だな」って実感した。お互いにそれを感じ合えば、タイミングもピッタリと合ってくるのだった。

e0093608_341551.jpg 続けてやった"Give Peace A Chance"にはいろいろなリミックス・バージョンがあるが、今回は押葉くんがチョイスしてくれた「Morel's Pink Noise Vocal Mix」をベーシック・トラックにした。私は、これをいろいろ切り刻んで分解し、新たにループにして組み直した。
 最初は、打ち込み中心で生楽器は少しに、と思ったが、押葉くんの「ヨーコさんの強いエネルギーを支えていくには人力が必要です」とのアドバイスを受け、バンド全員で打ち込みとリンクすることにした。よって、ドラムの古田くんはクリックを聞きながらのプレイとなった。

 実は、全員で合わせる前は、ラップ・ロックやラップ・メタル的なニュアンスを考えていたが、実際にヨーコさんが登場してやり始めたら、何だか突然、すごくピースフルな感覚が広がってきた。特に「All we are saying is "Give Peace A Chance"」とコーラスをやりはじめたら、ますますそういう気分になった。
 押葉くんの弾くベース・ラインがビートルズのリフのようであり、古田くんのビートはありがちな16ビートをなぞるのでなく、8ビート系の大きなグルーヴだったせいもあった。でも、それらはそう感じたから、自然にそういうプレイになったのだろう。
 私もフラワー・ムーブメント、ラブ&ピース、サイケデリック、といったイメージのサウンドやフレーズがどんどん浮かんできて、それらを弾き始めたら、実にしっくりくる感じだった。

 ヨーコさんは何度も「これまでこんなにヒップだったことはないわ。いい」と喜んでくださった。そして、これまたご自分のラップ部分をかなり準備されて本番にのぞんだのだった。だから、リハの時よりもずっとタイトでエネルギッシュなパフォーマンスになったのだ。私は、本番中に万歳三唱したいぐらい、うれしい気持ちでいっぱいになった。

 無事にステージを終え、ヨーコさんはいたくご機嫌だったように思う。パーティでも声をかけてくれ、「素晴らしかった、素晴らしかった」と何度も言ってくださった。心の底からホっとした瞬間であり、いろんなものに感謝したい気持ちになった。

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by harukko45 | 2009-12-31 04:17 | 音楽の仕事

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 箭内道彦さん演出による忌野清志郎さんの映像が約20分間流れた。2005年と2007年におけるスーパーライヴでの"Imagine"のパフォーマンスが続けて映し出された。
 冒頭の特殊技術による清志郎さんの姿に、「本物がそこに」と思われた人も多かっただろう。私もリハーサルの時に見てビックリしたし、いたく感動した。

 2005年のドラムとアコギのみでの時も、2007年のチャボさんらを率いたバンドの時も、私はステージ袖からずっと見ていたし、本当に素晴らしいパフォーマンスだった。そして、今回の映像を見ても改めてスゴい人だったことを思い知る。今では、2007年の終演後に少しお話できたのが、最高にいい思い出だ。

 続いて、泉谷しげるさんがラブ・サイケデリコの二人とともに登場。

 清志郎さんの後をおまかせするには、泉谷さんしかいない。そして、そんな思い以上に泉谷さんの"Working Class Hero"は凄かった。

e0093608_22311460.jpg 泉谷さん自身の日本語訳詞による"Working Class Hero"については、何も言う事はない。これまで私が知る中でも、最高のパフォーマンスの一つであったと思う。
 泉谷さんのかき鳴らすアコギのザクザクした響きからして素晴らしかったし、その歌、うなり、叫び、語り、全てが飛び抜けていた。本当に感動した。
 70年代の本物のフォーク・シンガーの生き残り、まさにボブ・ディラン直系などと言ったら、泉谷さんにバカヤロウと怒られるかもしれないが、失礼を承知で大好きなディランに重ね合わさせてもらう。とにかく、本物にしかできないものを聞かせてもらった。

 そして、我々トリビュート・バンドもバッキングに加わって、"You've Got To Hide Your Love Away"を2曲目に。
e0093608_2246569.jpg 前曲の緊迫感ある凄みとうってかわって、大いにはしゃいでお客をいじりまくる泉谷さん、会場は大受けだったなぁ。この曲のサビを会場中で歌うとは思わなかった。もちろん、打ち合わせなんかありません。だから、「こら、バンド!お前らの音がでかすぎて、客の声がきこえねぇんだよ、バカヤロウ!」となりました。
 もちろん、元の曲は良い曲なんですよ。でも、ここは全て泉谷さんにお任せして、楽しい現場に連れて行ってもらいました。ありがとうございます!

 忌野清志郎さんといい、泉谷さんといい、ビートルズ云々をひとまず横において、彼ら自身について語りたくなるアーティストというのはやっぱり素晴らしいんですよ。

 終演後、ちょっとだけお話できて、"Working Class Hero"には参りました!と絶賛すると、「あれだけはキメなくちゃいけないもんね」と。「後は、客をいじくるのは俺しかいないと思ってさ」とも。

 ヨーコさんもパーティの席で泉谷さんに「あなたはスゴイ!」と声をかけられたとのこと。それにつなげて「少し図々しいヒトだわ」とも。
 泉谷さんご自身のブログにもこの日のことや、"Working Class Hero"の日本語詞が掲載されているので、要チェックです。

2009年12月08日 ワーキングクラスヒーロー!
2009年12月09日 HAPPY~X'mas !

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by harukko45 | 2009-12-30 23:05 | 音楽の仕事

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 奥田民生さんを迎えて

 奥田さんは2003年のスーパーライヴの時に"Rain"をカヴァーし、その「通ぶり」を示したが、今回もそれに負けないマニアックな選曲をしてきた。
e0093608_17254032.jpg 1968年の「The Beatles(White Album)」に収録された"I'm So Tired"。ジョンがもっとも好きな作品の一つであると言う曲。
 インド滞在中に書かれており、その時のマハリシ・ヨギとのインド生活がよっぽどひどかったのだろう。とにかく「疲れ果てた、疲れ果てた」と連発していて、その率直な心情にけだるいサウンドがピッタリとはまっている。

 だが、さすがジョン・レノンはただただ「疲れた」とダラダラするのでなく、ちゃんと聴き手の期待に応えるサビを作ってくれた。「You'd say I'm putting you on.」からのくだりは、今聞くとニルヴァーナの"Smells Like Teen Spirit"あたりにまで通じるような、何ともやりきれない感覚や自暴自棄的な危険さを内包しているようにも思う。
 そして、「僕が持ってるものは全てあげるから、わずかな心のやすらぎを与えておくれ」とシャウトしてカットアウト。「切れかかった」何かは一瞬の爆発後に、再び「けだるさ」に戻ってしまう。

 もちろん、時代背景やアーティストとして熟成度も違うから、簡単にジョンとカート・コバーンに共通点を見いだそうとしても、あまり意味がないだろうが、「ゆるさ、だるさ」から急激に「尖って」「爆発する」ロック特有のスタイルは確かに存在する。そして、ツェッペリンやピンク・フロイドのような音楽的に高度で難しい表現ではなく、技術的には簡単に出来て、なおかつカッコイイことが重要だ。「これなら、俺にも出来る」的感覚が多くの若者に刺激を与えるのだ。

 奥田さんは「ゆるさ」が魅力だけに、この手の表現は最高にキマる。それでいて、彼は破壊的な音にはけっしてならない。どこかに、こちらをホっとさせるリラックス感を持ち合わせているので、長く楽しめる。演奏時間は2分程度だが、中身は濃い。

e0093608_18341334.jpg 2曲目はもっと短い曲。ビートルズの歴史の最終章を飾る傑作「Abbey Road」、そのB面に配置されたあまりにも素晴らしいメドレーに含まれていた"Polythene Pam"。
 正直言って、"You Never Give Me Your Money"から"The End"までのメドレーは本当に素晴らしいので、その一部を切りはずしたり、カットしたりするのはかなり強引だし、なかなかうまくいかない。ポールが1990年に来日した時に、ジョンの曲を外してメドレーの後半を演奏したが、確かにライブでアビーロードを聞けたことはうれしかったものの、やはりちゃんと全てを再現できていない不満が残った。

 そもそも、このメドレーの制作はテープ編集によるようなものではなく、録音前にきっちり考え抜かれて構成させていたようで(一部、"Mean Mr. Mustard"と"Polythene Pam"の間にあった"Her Majesty"は後日カットされたとのこと)、実際のレコーディングでも続けて演奏されたのだった。だから、どうやったって"Polythene Pam"は1分13秒で終わりなのである。

 というわけで、私としてはいくらなんでも1分そこそこで終わらすわけにはいかないので、奥田さんが来る前にいろいろとアレンジをしてはバンドでためしてもらったのだが、どうもしっくりこない。なので、半ば放り投げた状態で、奥田さんを迎えてから相談しようと思った。
 が、何の事はない、奥田さんは来て、バァーと歌って、グワァーとギターを弾きまくって、再びギャーと歌って帰ってしまった。「あんまり頭で考えすぎないで、とにかくプレイしましょうよ」って感じ。
 ほんと、そうだった。自分がコチョコチョと小さな視点で曲を捉えすぎていたことに、ハっと気づいた。たとえ荒くてもいい、何か力強いものをシンプルにやりたい。
 だから、何も決めなくても皆でセッションするうちに、自然に始まり自然に終わったのだった。この時のセッションの後、どんなに気持ちがすっきりしたことか。

 さて、とは言えその後、何かとしつこい私は、このシンプルにやり切る"Polythene Pam"の良さを生かしつつも、もう一味付け加えたい気持ちになった。それは、オリジナルでもダビングされていたギターソロで聞かれるパーカッションの存在だ。たぶん、クラベスとタンバリンにシェーカーってあたりだろうが、よりライブ的に強調する意味で古田くんとも相談した結果、ジャンベをローディの佐藤君に叩いてもらう事した。加えて、タンバリンを同じく楽器担当の重鎮、小竹さんに頼み、私もクラベスで参加することに。
e0093608_215045100.jpge0093608_21505623.jpge0093608_2151739.jpg イメージとしてはローリング・ストーンズの"Sympathy For The Devil"、ザ・フーの"Magic Bus"、スペンサー・デイビス・グループの"I'm A Man"のリズム。私個人は"Magic Bus"でのキース・ムーンのクラベスめちゃくちゃ打ちをやりたかったのだ!
 これは、すごく良かった。音楽的にも気分的にも盛り上がって、オリジナルよりも倍以上の時間を確保しつつも飽きない内容になったと思う。

 ここまで書いて、昨年のスーパーライヴに出演して、素晴らしいパフォーマンスを観せてくれたフジファブリックの志村正彦さんが亡くなったことを知った。29歳での急逝はあまりにも早く、驚きとしか言いようがない。志村さんが奥田民生さんをリスペクトしていたことも知られている。とにかく、心よりご冥福をお祈りしたい。

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by harukko45 | 2009-12-30 19:31 | 音楽の仕事

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 のんびり書いているとこりゃ年を越してしまうわい。ちょっと、急ぎます。

 松山ケンイチさんが登場。さすがにすごい人気ですなぁ。あまりに歓声が大きくて、なかなか集中しずらかったかも。でも、俳優として今が旬の売れっ子だけに、いったん朗読を始めれば独自の世界を作る。まずは「Love」の朗読。私と土屋さんだけがステージに残り、彼のきっかけの言葉を合図に"Love"のメロディをさりげなく奏でた。

 続いては、今回唯一のバンドとしての参加だった、ROCK'A'TRENCH のステージ。彼らは元々スカ/レゲエ系のバンドとしてスタートしているが、今回はそこだけにこだわらない姿勢も見せる選曲で、"Lusy In The Sky With Diamonds"と"Woman"をカヴァーした。"Lusy..."はオリジナルに近いサイケ的な骨太ロックに。方や、"Woman"はブラック系のハネたビートで大胆にアレンジして、ニューソウルっぽい仕上がりが面白かった。

 そして、ラブ・サイケデリコの登場。彼らは、このイベントではすっかりおなじみであり、いつもアーティスト同士の橋渡し的な役割も引き受けてくれる素晴らしい二人。
 で、昨年に引き続き、まずは二人だけで"Dear Yoko"を歌い、2曲目の"Jealous Guy"でトリビュート・バンドがバックについた。

e0093608_011561.jpg ジョンの作ったバラードの名作である"Jealous Guy"をナオキ君は彼好みのナッシュビル風にアレンジしてきた。
 昨年、"Watching The Wheels"で競演したのがすごく楽しかったとのことで、今回も同様の方向性でまとめることになり、ナオキ君のアイデアをベースにスタジオでセッションしながらじょじょに作って行った。
 なので、オリジナルにあるナイーブで憂いのあるバラードの世界ではなく、全体に明るいトーンでリラックスしたムードに仕上がった。結果として、ザ・バンドのようなサウンドになるのが個人的にはうれしい。
 今年のスーパーライヴ全般に通じる「アット・ホーム」な感覚は、このデリコとのセッションあたりで顕著に現れていたと思う。それにしてもデリコの二人は年々包容力を増して、大きくなっているなぁ。

 続いて、浅井健一さんを迎えて。

e0093608_1154843.jpg 70年代初期のジョンは刺激的な作品だけでなく、美しいバラードも多く残してくれた。先の"Jealous Guy"しかり。そして、「Plastic Ono Band」に収録された"Love"は、愛の概念を短く書き綴った歌詞が素晴らしく印象的であり、これが松尾芭蕉の俳句からの影響だというのだから驚く。
 そのせいか、この曲には独特の世界が漂っていて、確かに東洋的な静謐なムードというか、茶や禅にも通じるようなものを感じるのだが、それは大げさだろうか。ジョンのボーカルは優しさにあふれているが、無駄を排したメロディと詞、サウンドが不思議な緊張感を生んでいることも間違いない。

 なので、浅井さんには実にふさわしい曲であったと思う。彼は、静かなピアノとのパートから、じょじょにギターやベース、ドラムスを加えて音圧を高めたが、かといって、ただのパンク指向の激情的な表現になるのではなく、あくまでも内面で燃えるものに留めているあたりがさすがだった。
 そして、再びピアノが奏でる"Love"のメロディが終わり、浅井さんはすぐさま有名なギターリフを弾き始めて、次の曲につなげた。

e0093608_1442568.jpg その印象的なリフで始まったのは"Day Tripper"。1965年リリースのビートルズのシングルで、"We Can Work It Out"との両A面だから強力だ。
 最初はビートルズのオリジナル通りに合わせておいて、浅井さんとのセッションにそなえたが、浅井さんは独自のアイデアを持っていて、まず1コーラスを1オクターブ下の音域で語るように歌い始め、2コーラス目から全員で突入することになった。また、ドラムのパターンを少し変えたりして、随所にこだわりを見せてくれたのだった。

 また、エンディングでは、彼にギターでソロを取ってもらいたかったので、お願いしたところ、慎重に考えながら、こちらが予想したものとは全く違うサウンドで聴かせてくれた。これは実にうれしい展開だったし、本番前のリハでも、この部分でのコード進行に新しいアイデアを持ってきてくれたのだった。

 それと、この曲はコーラスが結構やっかい。「Da~~~y Tripper. One Way Ticket ,Yeah!」からの部分はバッチリキマると最高にしびれるが、とにかく音域が高くて難しい。さすがビートルズ、特にポールの才能にはまいってしまうが、まぁ何とかやれたのではないかと思っている。間奏のギターソロのバックでの3声の「AH」はビートルズもアヤシい感じだけど、やっぱりこれも外せないんだよね。

 この後、トリビュート・バンドは長田くんを残して退場。長田くんはCoccoさんを迎えて、二人で"Out The Blue"を演奏した。
e0093608_21574816.jpg "Out The Blue"は「Out Of The Blue」で「突然に、思いがけなく」なんて意味になり、ヨーコさんとの出会いについての歌と言えるか。美しいアコースティック・ギターのイントロが実に印象的で、曲としても隠れた名曲の一つと思う。バンドでやっても最高に気持ちいい。なので、Coccoさんが次回、バンドのバッキングを望んでいただけたら、うれしいなぁ。
 それにしても、この二人はホノボノとして、とってもいい雰囲気だった。

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by harukko45 | 2009-12-30 02:22 | 音楽の仕事

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 Bonnie Pinkさんを迎えて
e0093608_1611284.jpg 毎回、洗練されたポップ感覚で、いいアクセントをつけてくれるBonnieさんは、今年も期待通りの「ホッコリ」を生み出してくれた。最優秀選曲賞があったら、間違いなく彼女に差し上げたい。
 1曲目の"Nobody Told Me"はジョンの死後、1984年にリリースされた「Milk And Honey」に収録されており、そのファースト・シングルとしてビルボード5位を記録している。

 ジョンは死の直前まで、ニューアルバムのためのレコーディングをつづけており、81年には「Double Fantasy」の続編として発表する予定だったようだ。だが、それはかなわなかった。よって死後、その時のセッション・テイクにヨーコさんの曲を加えてまとめられたのが「Milk And Honey」となる。
 というわけだから、ジョンの楽曲に関しては残念ながら、すべて未完成品だ。それと、60/70年代のジョンのイメージを第一に考える人々にとっては、この80年代の整いすぎたように思えるサウンド・プロダクションが当時はなかなか受け入れがたいものであったことも事実。
 なので、このアルバムを好きと表明する人はそれほど多くないかもしれない。

 だが、もう一度彼が残した最後の「新作」を聞き返してもらいたい。前作「Double Fantasy」がジョンの作品の中で、もっともマイルドで洗練された「大人な」サウンドだったのに対し、このアルバムでは再び、尖った感性で不良をきどり、やんちゃで皮肉っぽいジョンが随所に垣間みられるではないか。特に、"I'm Stepping Out""I Don't Wanna Face It"、そして今回Bonnieさんが取り上げた"Nobody Told Me"は曲としてもっと高く評価していい。

 さて、とは言え、この"Nobody..."はやはり未完成であることは間違いなく、そのままコピーしてやってもいろいろと不満の残るものだった。なので、リハではバンドのみで一度合わせた後に、ざっくりとアレンジを変えることにした。全体のポップな感覚は残しつつも、サウンド面では80年代のキラキラしたものでなく、ピアノを中心にした70年代風のシンガー・ソングライターっぽい雰囲気でやってみた。
 そこにBonnieさんがボーカルで加わった途端、まさにピタっとハマって、それまで「何だかなぁ」と悩んでいたことがきれいさっぱり消え去った。
 今では、この曲が大好きだ。Bonnieさんはさりげなく新しい扉を我々に開いてくれた感じだった。

e0093608_17102362.jpg MCなしで続けてやった2曲目は、ビートルズ初期のモンスター・ヒット・チューン"I Want To Hold Your Hand"。
 この曲がなくては、彼らのアメリカ制覇はなかったかもしれない。とにかく、ワシントンD.Cでのライブ映像における、この曲が始まった時のオーディエンスの尋常じゃない興奮した反応は、まさに革命が起きたかのようなインパクトを感じるし、そこでのビートルズのかっこよさったら!。私は何度見てもこの瞬間、身震いしてしまう。
 とにかくだ、ビートルズにとって、その後の彼らを大きく決定づける重要曲であることに間違いないし、文句のつけようのない傑作である。
 ちなみに日本でのビートルズのデビューがこの曲。アメリカでの熱狂ぶりが影響し、急遽"Please Please Me"から変更され、第1弾シングルになったという。

 で、何がカッコイイかといえば、まずイントロのギターリフのアフタクトで、拍を取り損ねる人多数。「Oh Yeah I'll(オーイェーアー)」と始まるジョン&ポールのダブル・リードが最高。ユニゾンのピッタリぐあいが素晴らしいし、ところどころでハモに転じるセンスがタマラン。
 Aメロの段階で、突然シャウトする「I wanna hold your hand!」にしびれない人は人生をやり直した方がいい。
 そして、ラテン風ともスタンダード風ともつかない「あま〜い」Bメロは、実はすっごく切ない。だが、彼らはそれをすぐに強烈に「I can't hide」で吹き飛ばす。ボブ・ディランが「I get high」と聞き間違えて、「ドラッグ・ソングだ」と勘違いしたのもわかるほど、興奮するポイントだ。

 また、全体のグルーヴも、この時期のビートルズ特有の「そんなに早くないテンポだが、スピード感がある」「常に前進性を失わずに、ゆったりとした8ビートを刻む」「ハネたノリと、ハネないノリの絶妙な使い分け」があって、最高に面白い。もちろん、当時の彼らは考えてこのようにプレイしていたわけでなく、ごく自然にこうなったに違いないし、ビートの歴史的変化という点でも興味深い。
 ロックのビートは時代が過ぎるにつれ、じょじょに簡単になり、60年代から70年代初期に多く見られたのようなミクスチャー的な感覚はどんどん失われて行ったのである。

 ただし我々は、キーをB♭に上げたので、微妙なニュアンスは変わった。ビートルズのような攻撃性は少し薄れたものの、Bonnieさんの声を生かしてキュンとした感じが強調されたと思う。
 例によって重要なコーラスでもオリジナル通りの積みではいけないので、押葉・土屋・和田の3人組でジョン&ポールのパートをひっくり返したり、分けたりして、頑張ってみた。これも楽しかった。

 そして、エンディングではドラムの締めに合わせて、全員で礼をすることに。これは、演奏よりも絶対に外せないこととして、Bonnieさんも含めたバンドの最重要課題としてのぞんだ。
 本番では、私などちょっと楽しくなりすぎて、危なっかしかったけど、きちんとお辞儀には間に合ったと思うよ。

詳細(4)
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by harukko45 | 2009-12-29 17:57 | 音楽の仕事

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 GOING UNDER GROUNDの松本素生さんを迎えて

e0093608_16151250.jpg 松本さんは外見に似合わず(失礼!)、実に爽やかで良く通る声がいい。それに、その表現にはとてもナイーブな一面を感じさせる。私はこのイベントで何回か"Don't Let Me Down"をやらせてもらったが、今回が一番うまくいったように感じた。
 それは、我々トリビュート・バンドのメンバー達がただの寄せ集めでないレベルであり、一つの固まりとして、私たちならではのサウンドを作り出していたからだった。土屋さん、古田くん、押葉くん、和田の4人は2005年からの付き合いであり、十川さんも2007年から、長田くんも昨年から、とメンバー同士の気心があってきたことが大きい。それぞれ会うのは一年ぶりだったりするが、何となく「我が家にお帰り」的感覚が今年は強く感じられたのだった。

 特に、この曲のようなシンプルなサウンドで、それぞれの個性が生きるものでは、自分が思っている以上にこのバンドの「色」が浮かび上がってきたと思う。ビートルズの忠実な再現からスタートしながら、じょじょに各自が自分なりに昇華していく作業こそ、まさにバンドをやる醍醐味と言える。

 そこに、素生くんの声がのってすごく気持ちのいいブレンドが出来上がった。

e0093608_16414958.jpg その素生くんの切ない感じの歌声がより生きたのは、"(Just Like)Starting Over"だった。この曲も選曲する人が多く、必ず毎回登場するが、正直、ジョンのテイクにある「ピュアさ」を出す事はなかなか難しく、それぞれの「再出発」を提示することになる。それはそれで良いし、新たな世界に導いてくれて楽しい。だが、オリジナルにある大事な「何か」をしっかり表現することも音楽家の大きな役割だと思っている。
 また、キーを高く変更したりすると、ジョンが目指した「プレスリー・ロックンロールの現代化(この当時は80年代化)」が出来なくなる。ギターやベースのサウンドがどっしりしなくなり、ピアノでのオールディズ風な3連刻みがやけに可愛いらしくなってしまう。なので、意識的にアプローチを普通のシャッフル・ビートに変えてやったりもしていた。

 が今回、オリジナル・キーで、そういったサウンド面での制約がなくなったので、プレスリー・スタイルのアプローチが出来たし、女性コーラスのサンプリングも効果的に使うことが出来たのだった。これも個人的には大変うれしかった。

 私は押葉くんが歌う"Starting Over"が最も好きだが、今回の素生くんはそこにかなり肉薄するパフォーマンスをしてくれたと思うし、素生くんのピュアな音楽観にとても共感した。天才歌手ジョンの曲を歌いこなすのはすごく難しい。

 続いて、Leyonaさんを迎えて

e0093608_17231949.jpg Leyonaさんは独特の歌い回しで聴き手を魅了する人で、ブラックミュージック系のニュアンスを生まれながらに持っているような自然さがあって、すごく素敵だなと思った。
 彼女が歌った1曲目はおなじみの"Mother"。これも人気曲であり、これまでも何度も取り上げられてきたが、Leyonaさんは大胆不敵にもア・カペラでのパフォーマンスになると聞き、我々も最初驚いた。
 だが、実際にリハーサルでお会いし、そのカッコイイ歌いっぷりを聴くと、なるほど彼女ならア・カペラで十分に観客を虜にする力があると確信した。ただ、より彼女の登場を効果的にしたかったので、ジョンのオリジナルにある教会の鐘の音を流すことにした。これで、お客さん達も曲があの"Mother"であることがわかるし、その音の後に、何と無伴奏で歌われることがより刺激的になると思った。あの時、シーンと静まり返った武道館に、彼女の声と鐘が美しく共鳴しているのを感じたのだった。

e0093608_16271356.jpg 緊張感あふれる中、凛とした姿で"Mother"を歌い終わった後に、今度は我々バンドとともに実に渋い選曲、でも演奏してても聴いてても楽しくてゴキゲンな"You Really Got A Hold On Me"を歌ってくれた。

 この曲のオリジナルは62年のザ・ミラクルズのヒット曲で、当然作曲はスモーキー・ロビンソン。モータウンの名曲の一つであるが、ミラクルズでのタイトルは"You've Really Got A Hold On Me"なのに、ビートルズは"You Really Got..."のタイトルでカヴァー、63年のセカンド・アルバム「With The Beatles」に収録している。
 ビートルズはかなり忠実にモータウン・オリジナルをコピーしているが、キーをCからAに下げている。スモーキー・ロビンソンがファルセットで甘くセクシーに歌っているのに比べると、ジョンは正攻法でけれん味なく歌っている。やはり、横揺れ横ノリするミラクルズの「くー、タマラン」ってムードには一日の長を感じるが、なかなかどうして若いビートルズも健闘していて、特にハモ・パートなどビートルズの方がカッコよくキマっている。

e0093608_16221281.jpg で、我々は最初、ビートルズのバージョンを基にタイトな感じでやっていたのだが、Leyonaさんの歌はより黒っぽく、たぶん彼女もミラクルズの方を意識したような感じだったので、少しテンポを落とし、粘っこいニュアンスを加えるようにトライしてみた。
 もちろん、キーもビートルズのAからCに上げたので、ふむふむ、結局ミラクルズと同じになったわけね。
 ただし、押葉・土屋・和田のコーラス隊はビートルズ風で頑張ってみた。2回出てくる「Hold Me,hold me,hold me」のリードとコーラスの絡みは曲中で最大の聴かせ所だけに、ちょっと緊張したが、本番はすごくうまくいったと思う。いやぁ、実に気持ちがよかったぞい。

詳細(3)に続く
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by harukko45 | 2009-12-28 16:55 | 音楽の仕事

 去る12月8日に日本武道館にて行われたジョン・レノン・スーパーライヴは、今年で9回目。私がこのイベントに関わるのは6回目、バンマスとしての役割を仰せつかってから5回目となった。
 これまでの8回のコンサートでの収益は世界22カ国85の学校建設に支援され、当初の目標である100の学校建設の達成も実現の見通しとなったのだった。
 とかく、チャリティと称して売名的で一過性のまやかしイベントや企画が多い中、「世界を良くするために、恵まれない子供達への教育を」という一点にしぼって、コツコツと継続してきたDream Power事務局の真摯な姿勢と努力には、今更ながらに頭の下がる思いだ。

 終演後のパーティで、ヨーコさんがスピーチの中で、「最初の2年間は大丈夫だろうか、と思ったが、苦しい時期も耐えて頑張ってくれたことで、この9回目を迎える事が出来た」といった主旨のことを述べられていた。まさに「継続は力なり」を実践することで、現在の高い認知と成果を上げることとなったのだった。

 だがその分、私を始めとするコンサートの制作現場の人間は、ある種の危険に気づき始めていたとも言えるし、それを回避するためのプレッシャーが年々増大するのを感じていたように思う。「やる前から成功はほぼ約束されている」部分があり、それが予定調和的なパフォーマンスを生み、継続することがマンネリズムに陥ることを私は最も恐れたし、そのような流れを作らないよう心がけなければならないのだった。


e0093608_1803463.jpg ジョン没後29年目の2009年での9回目のイベント。ジョン・レノンの誕生日が(10月)9日、ゆえに彼がラッキーナンバーとしていた「9」。
 勘のいいレノン・ファン、ビートルズ・ファンならすぐにピンと来たかもしれない。オープニング映像に引き続き、会場に流れたのは「ホワイト・アルバム」に収録された"Revolution 9"。その「Number 9」のリフレインにクロスするように、我々が演奏し始めたのは"#9 Dream"。ボーカリストとして登場したのは奥田民生、吉井和哉のお二人である。

 e0093608_1743122.jpg 1974年の「Walls And Bridges」に収録された"#9 Dream"は日本語タイトルが「夢の夢」となっており、シングル・カットもされたので、その日本語イメージが強い人も多いだろう。内容はジョンの見た夢の話で、サビの歌詞も意味不明な言語であり、彼が夢の中で聞いた言葉をそのまま使っているとのこと。
 だから、ジョンの内面を垣間みるようとも言えるし、完全におちょくられているような気もするし。

e0093608_010268.jpg だが、この曲全体に漂う幻想的なムードは実に魅力的だ。イントロのスライド・ギターのフレーズ(ジェシ・エド・ディヴィス?)や、さりげなくも印象的なエレピのバッキング(ニッキー・ホプキンス?あるいはケン・アッシャーか)も良いし、何と言ってもまさに「魅惑の」ストリングスのアレンジが効果バツグン(アレンジはケン・アッシャー)。
 で、これはジョンがプロデュースしたニルソンの"Many Rivers To Cross"(アルバム「Pussy Cats」収録)のオーケストレイションを借用したものらしい。確かに、聞き比べると同じフレーズが聞こえてくる。
 で、フワフワとして酔っぱらったような(あるいはブっ飛んでいるような)ボーカルの合間をぬうゴージャスなストリングスにクラっときていると、突然の転調にハッとさせられる。そして、先述の妖しいサビに突入。とどめはサビ後のブリッジでのハープのアルペジオ、ルートに落ち着かず不安定に漂うベース、それに絡むストリングス、スローダウンしていくテンポ、と実に芸の細かい夢の再現が成されているのだった。
 こういうアレンジはブライアン・ウィルソンがやりそうなのだが、この頃のジョンはまさに「失われた週末」期で、その心情はブライアン的なものに近かったのだろうか。本来なら、ブライアンに近いのはポールのはずだが、ジョンがこのようなサウンド・メイクをしたのは極めて興味深いし、ポップな感覚が満載でありながら、同時に寂しさをも強く感じさせるあたりもブライアン的。

 さて、実際の我々の演奏では、Aメロでボーカルとストリングスがからむ部分に秘められたジョンのワナに引っ掛かり、奥田さんも吉井さんもリハではかなり苦労していた。本番でも一瞬ヒヤっとする場面があったが、さすがのお二人はうまく切り返してまとめてくれたし、我々バンドもピタっとついていったのは良かったと思う。
 確かにライブでやるのは難曲だったと思うが、個人的には今までとは全く違う感触のオープニングで面白かったし、このフンワリとして何とも言えないトリップ感が実に気持ちよかった。そして、ウットリと2コーラスが終わったところで、次の曲に突入。

e0093608_03566.jpg とことん「9」にこだわる今回のオープニングでは、続けてビートルズ「Let It Be」に収録された"One After 909"を演奏した。前曲に比べて、この曲は極めてストレートなロックンロール調であり、"#9 Dream "で一瞬キョトンとした感じの会場のムードを一気に高めるには持ってこいの選曲とも言えるか。
 だがしかし、この曲のノリはなかなか難しい。基本的にはカントリーのニュアンス、いわゆるロカビリー的な要素を知らないとかっこ良くグルーヴできないのだ。
 ビートルズの有名なルーフトップ・コンサートでのテイクでは、ジョンもジョージもずいぶんアヤシい演奏をしている。なので頼りはもちろんポールで、彼はつねにテンション高くバンドを引っ張っており、加えてもう一人、強力な助っ人であるビリー・プレストンが最高にイカシたフレーズ連発でゴキゲンなのだ。
 
 リハ開始当初はうまくノリをつかみきれない感じだったのだが、実は我々には土屋潔さんというギターの名手がいるので、彼にはビートルズとは少し違った感じで、カントリー的な2ビートっぽいバッキングを終始やってもらい、それにリズム・セクションが絡む感じにした。もう一人のギターの長田進君は彼本来のロック色強い演奏で、全体にワイルド感を強調してくれたし、ピアノの十川ともじさんもビリ・プレ節を随所に聴かせてくれた。本番では奥田さんのギターも加わって、ソロも弾いてくれたので、オリジナルよりもかなりパワーアップした仕上がりになったと思う。

 こういう曲はやっていて文句なく楽しい。リハーサルの時は、吉井さん奥田さんのかわりに、私とベースの押葉真吾君でツイン・ボーカルをずっとやっていたのだが、もう最高に楽しく気持ちよく歌わせてもらいました。バンドの皆さんどうもありがとう。
 いやはや、もちろん本番ではメインのお二人がゴキゲンなハモリを聴かせてくれました。ウム!なかなか良い滑り出しでありました。

詳細(2)に続く
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by harukko45 | 2009-12-28 01:14 | 音楽の仕事

 昨夜、ジョン・レノン・スーパーライヴ2009が終了しました。無事にやり遂げて、何とも言えない開放感がありますが、それに加えて、これはバンド・メンバー全員が感じたこと、「今年はいつもよりも疲れた」。
 実際に公演時間も例年よりも長かったようです。終演したのが10時半を越えていましたし、片付けを終えて武道館を出たのは0時を過ぎていたのも初めてでしたから。

 時間だけでなく、内容的にもこれまでのものとはちょっと変わっていた気もします。いつものジョンとビートルズの楽曲ではあったのですが、各アーティスト側の捉え方、表現の仕方に変化があったこと、我々バンド、スタッフ側も9回目という歴史の中で、いろいろな場面での対処に違いが出てきたように感じています。

 あえて自己反省も含めて厳しくとらえれば「マンネリズム」への危険、逆に良く言えば適度な「リラックス感」でしょうか。

 私自身、武道館のステージが今年は「いつもの場所」って感覚が強くありました。だから、それがこれまでにない「アット・ホーム」なムードと、そこから発生する、ある種の弛緩(しかん)した場面がいくつかあったように思います。

 今後、いろいろと思い返しながら検証していかなくてはいけないでしょう。

 とは言え、また今年もたくさんの方々に集まっていただき、世界各地に学校をつくる援助ができるのでした。当初の目標だった100にあと5と近づいたそうです。これには、オーディエンスの皆様に大いなる感謝の気持ちをお伝えしなくてはいけません。本当にどうも、ありがとうございました!!!

 さて、毎回書いている詳細については後日アップしていこうかと思います。
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by harukko45 | 2009-12-09 15:50 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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