タグ:John Lennon Super Live ( 100 ) タグの人気記事

(1)からの続き

 Royさん(The Bawdies)を迎えて Dizzy Miss Lizzy〜All I've Got To Do

 毎年、オープニングには何人かのアーティストに参加してもらい、その年のテーマに沿ったジョン・レノン作品を演奏しており、ここ数年は奥田民生、吉井和哉&斉藤和義によるコラボが定番化していた。だが、今年は一切なし。したがって、トップバッターのRoyくんは、いきなりの大役となった。が、彼は昨年のスーパー・ライヴでのパフォーマンスで、観客席だけでなく、同じステージ上の我々バンドをも魅了して、その実力を示してくれたので、全く心配していなかった。
 それよりも、プロデューサーのNaokiくん(Love Psychedelico)のヘッド・アレンジによるいろいろな変更の方が心配(?)。

e0093608_16131353.jpg まず1曲目はラリー・ウィリアムズ作の"Dizzy Miss Lizzy"。ラリー・ウィリアムズはジョンの敬愛するロックンローラーで、ビートルズとして"Dizzy"以外にも"Slow Down""Bad Boy"と3曲も取り上げている。また、75年リリースの「Rock 'N' Roll」でも"Bony Moronie"を大胆なスロー・ ブギーにしてカヴァーしている。

e0093608_1372177.jpge0093608_16151359.jpg ジョンが惚れ込むだけあって、確かに彼の曲はカッコイイのだ。正直、"Dizzy"に関しては、オリジナルの方がしびれる。ビートルズはキメのギター・リフを延々とリピートしていて、ちょっと飽きるが、オリジナルはイントロと間奏のみで、アレンジのバランスがいいし、ラリー自身が弾くピアノがグルーヴィでサイコーなのだ。ポールもHohnerのPianetで頑張っているが、これはさすがにかなわない。とは言え、サウンド全体にビートルズ特有の洗練さがあることも確か。
 この曲と同じ日(65年5月10日)に録音された"Bad Boy"の方は、圧倒的にビートルズに軍配。それに、ジョンのボーカルは完全にラリーを上回る。

 ちなみに、"Dizzy"はオリジナルがB♭で、ビートルズはA。また、ギター・リフをビートルズはドミナントのところだけ、着地音が2度に行っているが、オリジナルは全て同じ(ルート音)でつっぱっていた。最初、Naoki君はこのパターンで弾いていて、私はビートルズの方しか知らなかったので、フレージングを直してもらったのだが、あらためてラリー版を聴いたら、最初の方でも正解だったわけだ。

 さて、ともかく。Naokiアレンジでは、オープニングということもあり、より積極的に観客へのアプローチするために、いろいろな仕掛けがどんどん加わったのと、基本的なグルーヴ感も60年代メンフィス風に変わっていったので、前述のギター・リフ以外ではビートルズ色は無くなった。だがその分、Roy君のキャラにはピタっとはまったと思うし、「会場の温度を上げる」というNaoki君の意図は明確に伝わった。

e0093608_13452875.jpg 続く、"All I've Got To Do"は、ビートルズの2nd「With The Beatles」に収録されていて、当時のジョンのR&B好みが反映された曲。本人曰く「もう一度スモーキー・ロビンソンに挑戦してみたんだ」は、同アルバムに入っている"You Really Got A Hold On Me"(63年7月18日録音)に続いて(同年9月11日録音)、ということだろう。いずれにしろ、かなり「それ」っぽい仕上がりに、「R&B曲のカヴァーでは」とも思える瞬間も。ここではジョンのソウル・シンガーとしての色っぽさに惚れ惚れしつつ、ポールのコード弾きベースにもしびれる。
 「With The Beatles」は、彼らのアルバムの中で一番「黒い」とされていて、ファーストでのカヴァー曲とともに黒人アーティスト達の作品を積極的に白人社会に紹介した功績は大きい。また、ライブっぽい荒さが魅力だったファーストから、わずか数ヵ月後のレコーディングで、オリジナル曲の質、サウンド作り、ジャケット・デザインに至るまで、格段の洗練と落ち着きを獲得していることに驚く。単に、飽きが来ないという点でも名作に違いない。

 さて、今回のNaokiアレンジでは、あえてアコギだけで始めて、Roy君のボーカルを際立たせるのが狙い。それを後半にも持ってきてライブっぽくサイズを長くした。元々、ソウルフルな曲調だけに、Roy君は実に気持ち良さそうに歌ってましたな。個人的には、サビに入ってるポールとジョージによる「アー」コーラスが好きで、それを歌えたのが至福の喜びでありました。
 この2曲に関しては、リハ後にあらためて譜面に書いて整理し、バンドだけでも練習を重ねた。それによって、我々自身の演奏もよりグルーヴィになったと思う。

(3)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2012-12-28 14:27 | 音楽の仕事

 12月8日に行われた「ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012」について振り返ります。

 今年のスーパー・ライヴでは、ここ数年とは違うものが随所に組み込まれ、出演してくれたアーティストの皆さんも新たな顔ぶれが増え、バックをつとめる者にとっても新鮮な要素がたくさんあった。
 それと同時に12回目ということで、ある意味、イベント全体に「熟れてきた」色合いが感じられ、私は特に、トリビュート・バンド全員の一体感の素晴らしさに、いたく感動したのだった。
 毎回、約一年ぶりに再会するバンド・メンバー達は普段、それぞれの現場で中心的立場で音楽活動をしている人たちばかり。そんな彼らが、この時期に「ジョン・レノンの音楽」のもとに集まり、バックのサウンドに貢献してくれている。それだけでもすごいことなのだが、ここ数年、ほぼ同じメンバーでやれていることや、各自の意識の高さもあって、ただのセッションではない、一つの「バンド」として成立するようになった。
 2ギター、2キーボード、ベース&ドラムスの編成は、とかく音が多すぎて飽和しそうな危険があるが、現メンバーは各自のスペースをきっちり作り出しながら、見事に共存することが出来ている。それは、誰かの強制ではなく、ほとんどが自発的になされている。こういうことは経験値の高いベテランならでは、とも言えるだろうが、本当は音楽への共感度が最も重要なのだ。それが、セッションとバンドの差となるものと、私は信じている。技術的に優れていても、全員がやっている音楽に共感していなければ、バンドにはなり得ない。

 ここで言う「共感」とは、人間的に、ってことじゃない。あくまで「音楽」について、どう感じているか、そこに徹することが出来るのが、プロ・ミュージシャンとしての証とも言える。
 まぁ、「ジョン・レノン」「ビートルズ」という括りで音楽することは、最初から共感度が高いことも確か。だが、だからこそよりプレッシャーも高い。

 ギターの長田進くんは今回、随所に音楽の「きっかけ」になる部分で活躍してくれた。彼の根にあるロック魂は常にバンドにガッツを吹き込む。また一本気とも言えるアプローチは、今どき珍しい「男らしさ」を感じさせる。それでいて、12弦ギターなどで見せる繊細さは、彼の多面性をちゃんと示していて、それがバンドに刺激を与えてくれる。また、フロントのアーティスト達とのコミュニケーションにも長けていて、大いに助かる。

 もう一人のギター、土屋潔さんは最年長であり、ミュージシャンとして常に敬意を払われる存在。彼の無駄のない核心をついたプレイ、確実で丁寧な演奏は、玄人であればあるほど納得させられる。ビートルズにしぼっても、彼はまさに生き字引のようにギターを弾く。ビートルズの「肝」を理解する数少ない名手であり、ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼べる人物だ。温厚な性格とやさしげな風貌だが、実は最も「毒」を含んでいるかもしれない。

 主にピアノ系のキーボードを担当してくれた十川ともじさんは、私より年下なのだが、彼の佇まいの柔らかさから、何となく「さん」付が似合う(?)。彼はアレンジャー、プロデューサーとして私などよりも多方面で活躍していて、その鋭い感性でいろいろなアイデアを瞬時に生み出す。が、同時に全体を見渡すことも出来ているので、絶妙なバランスでそれを配置する。また、ピアノに徹した時には、自由で即興的な部分もあって、決して予定調和にしないところが実に面白いのだ。

 ドラムスの古田たかしくんには説明不要なほど、彼は日本の音楽界・ロック界におけるレジェンドの一人だと思うが、とにかく、10代でデビューした天才なので、同世代の私には憧れの人物でもある。だが、彼の素晴らしい人間性とそのプレイに接すれば、誰もが大好きになること間違いない。また、彼はバンド・リーダーとしての経験も豊富なので、常に「痒いところに手が届く」サポートをしてくれる。ところが、彼はそれをほとんど無意識にやっている。そこが凄いところなのだ。

 ベースの押葉真吾くんは、我がバンドの重要なボーカリストでもある。私としては、出来るだけ多くの曲に押葉くんの声が入っていることを望んでいる。それが、バンドの個性となり、カラーとなっているほど大事だからだ。もちろん、彼はビートルズ博士でもある。その知識・見識は私にとって、最も頼りになるものだ。だが、彼は決して頭でっかちではなく、プレイし歌うことを最も愛するアーティストだ。彼の機知とユーモアに富み、同時にナイーブな感性は、我々がバンドとなりうる大きな要素だと思っている。

(2)へ続く。
[PR]
by harukko45 | 2012-12-20 16:26 | 音楽の仕事

 昨夜、ジョン・レノン・スーパーライヴ2012が無事に終了しました。日本武道館にお集まりいただいた皆さんに、心より感謝の気持ちを贈ります。そして、力強いパフォーマンスを披露してくれた出演アーティスト全員と、常に支えてくれたスタッフ、トリビュート・バンドのみんなにも大きな賛辞を贈りたいと思います。
 今年のスーパーライヴは、これまでとは違う流れがあり、新しいアーティストとの出会いもありました。その分、未消化な問題も残ったりしましたが、それも次回へのステップとして貴重な経験となりました。
 とりあえず今は、無事に自分の役目を果たせたことへの安堵の気持ちと、その幸運に感謝したいと思います。

 もろもろの詳細は、またあらためてアップしていきたいと思います。
[PR]
by harukko45 | 2012-12-09 14:12 | 音楽の仕事

詳細(5)からの続き。

 ジョン・レノン・スーパーライヴ2011を振り返るコーナーの最終回。なのに、紹介しなければならないアーティストが3人も残ってしまった。この尻すぼみ的展開に深く反省する次第です。ここでは、奥田民生さんとのセッションを中心に書かせてもらい、吉井和哉さんとオノ・ヨーコさんに関しては短くふれ、次の機会にあらためて書きたいと思う。

 奥田民生さんを迎えて

 2011年のトリビュート・バンドにはキーボードに現・奥田民生バンドの斉藤有太くんが加わったので、民生バンドの経験者(ドラムスの古田たかし&ギターの長田進)が3人揃った。というわけだから、奥田さんにとっては、ほぼホームって感じだったかも。とは言え、「ひねった」選曲は相変わらず。かなりのビートルズ者であっても、思わず唸ってしまうような内容だった。

e0093608_17223692.jpg 特に目立つのは、今回のセット・リストの中で唯一、ジョージ・ハリスンの曲を選んだのは彼だけだったということ。2011年はジョージの没後10年でもあり、ビートルズのアルバムのように2曲ぐらいはあるのではと予想したし、他の出演者による"While My Guitar Gently Weeps"も候補に上がっていたのだが、残念ながら次回以降に持ち越しとなった。
 で、「ひねり」の奥田さんによるジョージ曲は、"Savoy Truffle"。くー、やられた。"While My Guitar..."と同じ「ホワイト・アルバム」に収録されているが、知名度ではかなり負けている。が、曲の中味で比べれば、"Savoy"はアルバムのベスト・チューンに選ばれてもおかしくない傑作だと思う。

e0093608_2274443.jpg この曲の歌詞は、エリック・クラプトンの甘いもの中毒をからかっているもので、ジョージの家にきたクラプトンは虫歯なのに、マッキントッシュ社のアソート・チョコレート「グッドニューズ」を食べまくっていた、というエピソードが元になっているとのこと。だが、クラプトンのチョコ食いは、たぶんドラッグのせいもあるんじゃないかな。

 そして歌詞は、その「グッドニューズ」のフタに書かれているチョコの名前を書き並べて作られた。「クリーム・タンジェリンにモンテリマ...、パイナップル・ハートを添えたジンジャー・スリング...コーヒー・デザート、そう、"グッド・ニューズ"だよ」で、トドメに「でもサヴォイ・トラッフルを食べたら、君は歯をすべて引き抜かなきゃならなくなっちゃうぜ」と、グサッ。
 ブリッジでは「You know that what you eat you are.(食べ物は人を表すのさ)」なんて言われてしまうクラプトンをからかいながら、ついでにホワイト・アルバム・セッションでポールから「何回もやり直しさせられたこと」への皮肉を込めて「Obla-Di-Bla-Da」と書き加える周到さ。これはチョコレート効果なのか、ジョージのインスピレーションはどんどん膨らんでいったようだ。

 おおっ!「グッド・ニューズ」のフタには確かに11種類のチョコの絵と名前が書いてある。Creme Tangerine and Montelimart あります、あります。Ginger Sling、Coffee Dessertも確認、そして、ちゃんとあったぞ!Savoy Truffle!

e0093608_253295.jpg


 ジョークと皮肉のオンパレードみたいな歌詞だけど、サウンドの方は冗談抜きで最高にかっこ良く仕上がった。まずは、一番印象的なのが、クリス・トーマスのアレンジによるバリトン2本、テナー4本のサックス・アンサンブル、これにディストーションをかませて、ザクザクガツガツとチョコを食わせてる。ジョージがミュージシャン達に、「君たちのすばらしいサウンドに手を加えてすまない。でも、これが僕のやりたいことなんだ。」と、謝ったというから面白い。でも、素晴らしい効果となったことは間違いない。
 それと、ポールの大活躍ぶりに圧倒される。いつもの以上にスピーカーから飛び出しそうなベース・プレイはもちろん、ツボを心得たフィル・インをするウーリツァー(これについては、クリス・トーマス説、ジョージ・マーティン説もあるが、私はポール説に1票)に、随所でのボーカル・ハモと非の打ち所がない。何と言っても「But you'll have to have them all pulled out after the Savoy truffle」の部分はビューティフル。内容がシュールだから、そのギャップがクール(なんじゃ?)
 
 我々のリハでは、演奏をやり終わるたびに「カッケー!」と誰かしら声に出して、もう1回やるって感じ。バンド的には文句なし、今回のライブでのNo.1はこれでキマリ!この曲はある意味、70年代っぽいサウンドを先取りしてる感じもする。けっこうファンキーなのだ。

 もう1曲は、正真正銘ジョン・レノンの曲で"I'm Only Sleeping"。テープ・スピードの操作や、逆回転によるギター・ソロの効果もあり、歌詞の内容通り、実に気怠い感じになっている曲。確かに奥田さんのボーカルには合っていたと思うが、私には手強かった。レコーディングでは6時間もかかったという逆回転ソロを長田くんにトライしてもらったが、なかなか難しかったし、ポール&ジョージのコーラスの妖しい感じも難しかった。「Revolver」は全体にEQやエフェクトなどもかなり凝っているので、もし、次やる時があったら、このアルバムの曲への対策を練っておいた方がいいと痛感した。

 さて、この後、オノ・ヨーコさんを迎えての"Rising"では、本番前のリハの時から、ピリっと張りつめた空気があり、ヨーコさんの「震災」「原発事故」「福島」へのなみなみならぬ思いが感じられた。本番ではその思いを共有できるように、神経を集中させて必死についていった。
 本編ラストの吉井和哉さんは、全曲日本語歌詞による3曲を、"Yer Blues""Jealous Guy""Mother"を熱唱したが、つねに魂を持ってかれそうになる吉井さんのオーラを感じて、我々バンドは夢中になって演奏するのみ。彼の強いカリスマ性は、まさにスーパーライヴのトリをつとめるにふさわしいものだった。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-20 18:27 | 音楽の仕事

詳細(4)からの続き。

 斉藤和義さんを迎えて。

 昨年、斉藤和義さんの活躍ぶりはすごかった。震災直後における、政府と電力会社を批判した"ずっとウソだった"の発表とUstreamでのライブは、かなりセンセーショナルだったし、一方で年末にかけては、人気TVドラマの主題歌が大ヒットしていた。そして、スーパーライヴ2011では、3年ぶりにトリビュート・バンドとのコラボとなり、こちらのモチベーションは大いに跳ね上がった。

 で、彼の1曲目、来た!来た!来た!"Rain"だ! 
 
e0093608_7354952.jpg これぞサイケ時代の金字塔の一つであると同時に、「シングル・カットしたものはアルバムに入れない」という方針の犠牲となった曲でもある。だから"Rain"は、ビートルズ史上一番レアな名曲だったのだ。うーん、力が入るわい。
 私にとっては、どこからどのように聴いても、どれだけ考えても、アルバム「リボルバー」よりシングル「ペーパーバック・ライター/ レイン」の方が価値が高い。それは、「『サージェント・ペーパーズ』にストロベリー・フィールズとペニー・レインを入れときゃ良かったのに!」という気持ちと同じ。まぁ、今は自分でアルバムを編集すれば良いわけだが、それはともかく、このような作品は1曲で10曲以上の内容を持っているということ。

e0093608_7375123.jpg そういう「レインの発見者達」の熱い気持ちを見事に表現したのが、トッド・ラングレンだ。彼は76年のアルバム「Faithful」で、恐ろしいほどの執着ぶりを見せるカヴァー・ヴァージョンを作った。実は、世間で言われるほど完コピではないのだが、肝となる所はしっかり押さえているし、オリジナル以上に迫力を感じさせる部分もあって、カッコイイことこの上ない。そして何より、ビートルズへの深い敬意のほどに、ものすごく感動する。天才トッドがここまでやるなんて、「レインは、何てすげぇ曲なんだ!」と思わずにはいられない。

 私は、2003年に奥田民生さんのバックでも"Rain"をやったのだが、その時はもう一つ掘り下げることができなかった。だが、時間の経過でこちらの準備も整い、今回はより踏み込んだ意識で曲にのぞめたように思う。それに、斉藤さんの少しダルな歌い回しがハマってたし、エンディングで彼の過激なギターソロも加えて、ライブらしい内容になったのは良かったと思っている。でも、もっとやりたいし、何回でも演奏したい。

e0093608_7382228.jpg 2曲目は、一転してシンプルなロックンロール、タイトルもそのままの"Rock And Roll Music"で、まさにノリ一発勝負となった。基本的には延々と繰り返しなので、途中にソロをはさんで変化をつけたりしたが、そんなことよりも、曲にモノごっついインパクトを与えたのは、斉藤さんが書いた日本語詞だった。
 これは単なる和訳ではない創作で、その精神は「キヨシロー的」。2コーラス目以降で彼は「安全と言いながら〜放射能をまき散らし〜汚染水を垂れ流しやがって〜」とシャウト、正確には覚えていないし、書かれたペーパーもないが、とにかく、"ずっとウソだった"を彷彿とさせる、いや、それを上回る覚悟と気迫を武道館のステージで見せつけたのだ。こっちだってシビレたし、燃えないはずがないだろう。ロックの本質をいきなり思い出させた斉藤和義、すごい。

 
[PR]
by harukko45 | 2011-12-19 07:40 | 音楽の仕事

詳細(3)からの続き。

 BONNIE PINKさんを迎えて。

e0093608_2511253.jpg BONNIEさんとやった2曲は、共にビートルズ1965年の名曲。ビートルズには傑作がズラっと並ぶが、その中で「最高」の文字が上につけられる作品も、かなりの数になる。ただし、人によって選曲への意見は異なるだろう。だが、"Help!"に「最高」の爵位を与えることに異議を唱える人がいるか?少なくともビートルズ愛好者で"Help!"にいちゃもんをつける奴は絶対にいないはずだ!いたとしても、「私は信じない!」とジョン風に切り返してやろう。

 聴いている分には常に最高で常に感嘆するこの曲だが、演奏している時は楽しい気分を満喫できる反面、高いプレッシャーも感じる。だから、バンドとしてはかなり練習した。特にコーラス部分。冒頭の「ヘルプ!」3連発から「ヘーエルプ!」のファルセットまで、ビートルズの完璧さには平伏すのみで、最初から難度が高い。
 Aメロだって油断ならない。ジョンのリードに絡み合うカウンターメロを歌うポールとジョージ、この付かず離れず、最後には合体するアレンジはニクい。
 サビでは「Help me get my feet back on the ground」で、ジョンの上にふたりの声が乗って、3声ハモがいきなり構築され、続く「Won't you please, please help me」ではジョンとポールのみで頂点に達して一気に下降する。ここは一番の難所だが、同時に最高のエクスタシーを感じる瞬間でもある。
 そして、エンディングのA6の和音を形成するまでの「Help!」(ポール&ジョージ)「me」(ジョン)の掛け合いから、3人による「me-e-woo」への流れは、「優雅」でさえある。

 ギターも不思議だ。イントロとサビの最後で印象的なジョージのアルペジオは、うまく弾けずに間違えたようにも思えるが、やっぱりこれしかない。
 A7のコード内での「ミ・ソ・ソ・シ」「ミ♭・ファ#・ソ・シ」「レ・ファ・ソ・シ」「ド#・ミ・ソ・シ」のうち、最初の「ミ・ソ・ソ・シ」が一瞬構える感じになって、たぶん普通なら(ピアノ的には)「ミ・ファ#・ソ・シ」、もしくは「ド#・ミ・ソ・シ」としてしまいそうだ。しかし、演奏的にはなめらかではあっても、音楽的には普通でしかなく、ジョージの方が断然カッコイイのだった。

 コーラス部分を最初は私と押葉くんだけで歌っていたが、BONNIEさん用にキーが上がり、どうしてもパワー不足を感じたため、ピアノの斉藤有太くんとギターの土屋さんにも加わってもらい、うまく厚みが出すことが出来た。ギターに関しては、名手・土屋さんにお任せである。

 BONNIE PINKさんのボーカルは、いつもハマリ具合がいい。それは彼女の声質の良さが大きいのだが、実は歌い回しやニュアンスの付け方にも細かい工夫が成されていて、毎回感心する。それでいて、素直で自然体な印象も受けるのだった。

 もう1曲、同じくアルバム「Help!」に収録されている"You've Got To Hide You Love Away"も楽しかった。わずか2分12秒の曲だが、他に何かを足して長くする気分にはならなかった。オリジナルの長さで演奏するだけで、十分に満足できたからだ。とは言え、私のパートはある意味、曲のカラーリングが役割なので、少しだけ60年代風のエッセンスをふりかける感じにした。BONNIEさんには、スウィンギング・ロンドンが似合うと思う。

 それと、ここでも彼女に感心させられたのが、サビでの「Hey!」のキメっぷりの良さだ。正直こういうのって、ジョン以外ではイマイチになる典型だし、この曲の最大の魅力は、あの部分でのジョンの歌い方にあるわけで、たぶんポールが歌ってもダメだったと思う。なのに、BONNIEさんは実に軽妙にこなして、とっても素敵だった。ギターの長田くんが「最後のサビだけ繰り返したら?」と提案したので、それをすぐに頂いた。もちろん、気持ちよかったからだ。

 ちなみに、BONNIEさんとのリハーサルは2時間の予定だったのだが、実際には18分で終了してしまい、スーパーライヴ史上の最短記録となった。これは、我々がこの2曲をよく練習してあったことと、彼女とのマッチングの良さとの相乗効果だと言えるでしょうな、フムフム。

 さて、本番ではこの後、我々トリビュート・バンドも引っ込み、3組のパフォーマンスとなった。

 まずは、曽我部恵一さんが、復活したバンド、サニーデイ・サービスとして登場。3ピースによる骨太なロックで"The Ballad of John and Yoko"と日本語による"Imagine"を聴かせてくれた。曽我部さんはいつもながらの熱唱ぶりだった。

 続いて、今回の目玉コーナーとも言えた桑田圭祐さんの登場。自らのバンドを率いて、ビートルズの名曲8曲を「完コピ」で再現してくれた。歌・演奏のみならず、当時のギター、服装、髪型にまでこだわってのパフォーマンスは、まさに完璧だった。
 曲は、"She Loves You""You Can't Do That""All I've Got To Do""I Should Have Known Better""I'm A Looser""It's Only Love""I Feel Fine""Slow Down"。楽屋のモニター見ながら、こっちも盛り上がったよ。

 3組目は、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。独自の世界観とサウンドを持つ彼らが、新鮮な"Across The Universe"と"(Just Like) Starting Over"を聴かせてくれた。なかなか充実したプレイぶりは、前2組に負けていなかったし、後半を引き継ぐ我々にも大いに刺激になった。

詳細(5)へ。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-18 00:16 | 音楽の仕事

詳細(2)の続き。
 スタジオでのリハーサルでは、この後デリコとのコラボになったので、その流れで進めてみる。
 
 では、LOVE PSYCHEDELICOと共に。

 デリコとはここ毎年一緒なので、すっかりリラックスしたムード。それに今回は、前にもやったことのある"Watching The Wheels"が1曲目だったので、作って行くと言うよりも、思い出すという感じでリハが始まった。
 KUMIさんのボーカルは相変わらずいい。まずは彼女のアコギと歌のみでスタートし、じょじょに楽器が増えて行く感じだ。全体的には彼らの好きなナッシュビル風の方向性で、特にドラムのパターンが南部っぽい。

e0093608_18523460.jpg デリコが"Watching The Wheels"を、自分達流にアレンジするヒントになったのは、「Double Fantasy」のテイクではなく、レコーディング前のデモ・ヴァージョンだ。これは、1998年にリリースされた4枚組ボックス「John Lennon Anthology」に収録されていて、アコギ一本に歌のみなんだけど、「もうこれでいいじゃん」って気になるほどの一品。なので、デリコがこっちの方を選ぶということも、とてもよく理解できるのだ。

e0093608_16414958.jpge0093608_14432974.jpg もちろん、「Double Fantasy」の公式バージョンも良い出来で、このアルバムのベスト・トラックだと思うし、2010年の「Stripped Down」による装飾を排したリミックス版にもしびれて、一時はかなり聴きこんだ。
 ただ、今は「Anthology」バージョンが好きだ。「Acoustic」にも収録されたが、リマスターの影響か、前者の方がナチュラルな音質で、ボーカルも引き立っている。

 この「Anthology」は、未発表集なのでボツを集めたものとの誤解を受けやすいが、ビートルズの場合と同様に、公式盤を聴きこんできた人にはかなり面白く感じる内容ではないだろうか。
 例えば、デリコが2曲目にやった"Nobody Told Me"もその一例で、これはジョンの死後にリリースされた「Milk And Honey」が初出で、全米5位のヒットにもなったのだが、正直、個人的にはあまりピンと来なかった。
 だが、「Anthology」のバージョンを参考にしてくれ、と言うNAOKIくんからの指令があり、早速聴いてみたら、何と、こっちの方が全然良いじゃないか!そもそも、ジョンが俄然ノッテル、カウントからして気合いが入ってる。アレンジ自体はさほどの変化はないのだが、何かが違う。あっちにはなくて、こっちにあるもの、それはジョンの魂か?それとも、最初の方のテイクではジョンがノリノリだったが、バンドがこなれて来た頃には飽きていたか。演奏の出来はいいから、後でボーカルをやり直せばいいと思ったのかもしれない。しかし、その時間はなかった。

 とにかく、前曲に引き続き、この曲でも別テイクの良さを見抜いたデリコのセンスに脱帽。本番ではバンドの2人に、NAOKIくんによるトリプル・ギターが豪華だったし、ザックリしたロック・サウンドが心地よかった。

e0093608_2315664.jpg おっと、私はけっして「Milk And Honey」を評価していないのではない。逆に「Double Fantasy」よりも好きなのだ。ジョンのロックへの帰還宣言のように始まるし、後半の"(Forgive Me) My Little Flower Princess"と"Grow Old With Me"も素敵だ。「Anthology」には、名作"Glow Old With Me"の別バージョン(ジョージ・マーティンによるオーケストラ・ダビング入り)が入っていて、これまた話が尽きない。

詳細(4)へ続く。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-17 00:15 | 音楽の仕事

詳細(1)からの続き。 

 ROYさんを迎えて。

 THE BAWDIESのボーカリストで、バンドではベースも弾くROYくんは、実はかなりのR&B好きとのこと。なので、選ばれた2曲は共に60年代の有名なソウル・ナンバーだった。彼らのプロデューサーであるLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIくんも加わってくれることになったので、リハーサルでの仕切りも彼に任せ、何回かセッションしながら、あれやこれやとヘッドアレンジしていく流れになった。

e0093608_0505987.jpg "Twist And Shout"は、「必殺極めつけ」「泣く子も黙る」ジョンの偉大なるシャウトによる大傑作。ビートルズは、アイズレー・ブラザーズのバージョンを元にしているが、出来上がった音は完全に自分達のカラーに塗り替えられていて、実に見事。初期ビートルズのシグネチャー・チューンとも言えるほどの強いインパクトを残した作品だ。
 ただ、アイズレーのバージョンもかなり良く、ROYくんのイメージはこちらのニュアンスの方が近いようだった。で、プロデューサーNAOKI氏は、ボーカルはソウルフルな路線で行くように指示し、バンドは「いつものように」、つまりビートルズ風に演奏することを求めた。と言うことは結局、「まぁとにかくやってみよう」ってことね。

 歌い始めるとROYくんは、声を随所に歪ませながら、地声でシャウトする正統派ソウルマンで、最近のR&B系ボーカルにありがちな裏声使いではなかった。だから、「オーティス・レディング meets ザ・ビートルズ」的なムードになり、バンド・メンバー達もみんな「Yeah!」連発で大いに盛り上がってしまった。
 とは言え、ただのセッションで終わるのは安易すぎるので、NAOKIくんはギターソロなどをはさんだり、アクセントを強調したりと、細かい配慮も忘れなかった。私は押葉くんとのポール&ジョージの「Woo~!」再現に喜々としており、回りで何が起ころうとも常に「サイコーです!」だったけど。

 ちなみに、"Twist And Shout"のオリジナルはThe Top Notesによる61年のシングルで、プロデュースはフィル・スペクター。聴くと分かるが、イメージは全然違ってやったら軽いドゥーワップ、コード進行も別物。作曲したバート・バーンズ(aka/バート・ラッセル)は、この出来に納得せず、翌年アイズレー・ブラザーズを自らプロデュースしてリリース、スマッシュ・ヒットとなった。バート・バーンズがここで再アレンジしなければ、ビートルズも取り上げなかったろう。そして、ビートルズがカヴァーすることで、この曲は完全に歴史に残ったわけ。

 YouTubeで聴き比べ。The Top Notes (1961)、これはこれで楽しいけどね。映像はTop Notesとは関係なし。


 The Beatles (1963)、王室主催の演奏会でのライブ。ジョンのmc「次の曲では皆さんも協力してください。安い席の人は拍手を、高い席の人は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」がクール。歌・演奏ともレコーディングとかわらぬハイ・レベル。この時の3曲は「Anthology 1」で聴ける。


e0093608_2131431.jpg 次にやった"Stand By Me"は、昨年、デリコと演奏したし、過去のスーパーライヴでも何回か取り上げられている。それだけこの曲が、ジョン・レノンの代表曲の一つとして認知されているということ。個人的にはベン・E・キングのオリジナルをすっと追い越すし、アルバム「Rock 'n' Roll」は大好きなので、全曲オリジナルよりも良い、実は全てジョンが書いたんじゃないの、って言いたいぐらいだ。

 なんてことを思っていながら、今回の我々はイントロから1コーラスまでは、かなりベン・E・キング風だったっけ、おいおい。でも、ベースとボーカルだけで始める感じは、ROYくんにはピッタリだったのです。その後、間奏はスライドありブルージィなギターソロありで、じょじょにロック色を強めていった。
 ROYくんは最後まで堂々としたシャウトぶりで、こちらもすっかり楽しませてもらいました。
 
 この際だからチョット悪のりして、こっちも聴き比べ。Ben E.King (1961) 、歌素晴らしいです。間奏のストリングスは激甘すぎるなぁ。


 John Lennon (1975)、ビデオ・クリップ。間奏で「ハロー、ジュリアン!」。エンディングで「ハロー、イングランドのみんな、元気かい?ニューヨークからこの歌を贈るよ」。「僕のそばにいて」がいちいちキュンと来るんだなぁ。


詳細(3)
[PR]
by harukko45 | 2011-12-16 17:07 | 音楽の仕事

 2011年の3月9日。私は、記念すべき10回目のジョン・レノン・スーパーライヴを成功させたスタッフ、バンドメンバー達とともに、渋谷の料理店でそのお祝いと慰労をかねた会に参加していた。10回という大きな区切りで、このイベントの終結も少し頭をよぎったが、「Starting Over/新たなるスタートを!」という力強い宣言がなされたことで、その日の宴会がいかに盛り上がったかは言うまでもない。我々現場の人間は、いたってシンプルなのだ。

 その2日後、3月11日。東日本大震災は起こった。あの時「安全な側」にいた私が感じたのは、異様な興奮・高揚感、その後の絶望と怒り、そして現在も残る、空しさと後ろめたさ。
 私は、震災後に繰り広げられた「日本はひとつ」的キャンペーンに強い違和感と危うさを感じた。少なくとも私は「安全な側」にいた「後ろめたさ」を克服できてないし、今はその事をちゃんと見つめるべきだと考えている。そして、そんな中でジョン・レノン・スーパーライヴに参加する意義も、あらためて考える必要があった。正直、なかなか答えは見つからなかったし、今もまだあやふやだ。しかし、このイベントが10年以上続けてきたのは「世界の子どもたちに学校を贈ろう!」であり、その一貫した姿勢は全くブレていない。おそらく、そこにこそ意味があるのかもしれない。
 
 11月9日、再び渋谷にて。私はスーパーライヴ2011の打ち合わせに参加した。その日は、特にオープニングでの演出について、多くの時間が割かれた。具体的に提案されたのは以下の事。
 
 ・1曲目は"Gimmie Some Truth"
 ・ジョンがレコーディングで残したヴォーカル・トラックと生演奏を同期させる
 ・レコーディング時に撮影された彼の映像を、3D効果を使ってステージ上に映し出す
 ・それ以外の部分に津波の被害や福島原発等の写真を挟み込む
 ・吉井和哉・奥田民生・斉藤和義の3人に共演してもらう

 実際に私が引き受ける作業は、ジョンのトラックに合わせて、テンポ・キープ用にクリックを打ち込むのと、イントロとエンディングを加えて、曲全体の尺を決めることだった。

e0093608_1652627.jpg 1971年のアルバム「Imagine」で、B面トップに置かれた"Gimmie Some Truth"は、"Imagine"で歌われるユートピアとは対局の、ウソに満ちた現実の世界を強烈に揶揄している曲だ。
 ここでのジョンのボーカルは、過激な言葉をまくしたて、聴き手を煽動するかのように押しまくっているが、それがまさに「ロックそのもの」であり、この曲の最大の魅力であると言っていい。
 また、連ねられた言葉には政治家や知識人達をあげつらうものが多く、それら一つ一つを探るように歌詞を読んでいくのも面白い。
 
 Aメロでは、「型にはまって、先の見えない、心の狭い偽善者達の言う事」や「ノイローゼで、精神病で、頭の固い政治家達の書いている事」、「口を閉ざして、人を見下した態度の、(ママに可愛がられてる)狂信的排他主義者達のしている事」や「分裂症で、利己主義で、偏執狂で、特別扱い気取りの奴らが見せるさま」に、彼はうんざりして、死ぬほど気分が悪いのだ。だから、「欲しいのは真実、真実をよこせ」と訴える。

 Bメロに出てくる「tricky dicky」は、リチャード・ニクソンのこと、「mother hubbard」は、たぶんマザーグースのハバードおばさんで、童謡を逆手にとって「赤ん坊扱い」にかけているのだろう。「dope」はヤクだが、「rope」は逮捕の象徴か、それとも首つりか。
 ここのくだり、「髪の短い、臆病者、腹黒くて狡猾な(ニクソン)野郎なんかが、俺を赤ん坊のように丸め込めるわけがない、たったポケット一杯の希望を餌にして(それは、ドープを買う金、ロープを買う金)」の英語歌詞は、ノリの良さ、韻のふみ具合、暗喩的な言葉遣いが実に巧みで、静かに感動する。

 ここからは私の勝手な推測だが、ヨーコさんがこの曲を選んだのは、大震災における、特に原発問題での日本政府の情報隠しと無能ぶりへの怒り、そして、多くの日本人が原発への安全神話を信じ込み、ずっと思考停止になっていたこと、もっと広げて、この震災の少し前、世界では原子力こそがクリーンエネルギーとして認知されていたことへの反省と警告を促す必要を強く感じたからではないだろうか。それが、70年代に二人で展開した反戦運動への記憶とリンクした。
 Aメロでコテンパンに罵られている連中は、原子力村の政治家・官僚・学者達を容易に重ね合わせることが出来るだろうし、同時に、ずっと無口で自分のことしか考えてこなかった一般民衆達も同類だったと知ることになる。

 12月8日、武道館本番。ジョンのボーカルとの共演、映像とのリンクは万事うまくいった。ジョージ・ハリソンが弾いていたスライド・ソロは奥田さんにお願いし、後半は「All I want is the truth, Just gimmie some truth」のコーラスを繰り返す中、斉藤さんにもギター・ソロをお願いした。

e0093608_17223692.jpg 会場からの拍手の中、続けて演奏したのは、"Everybody's Got Something To Hide Except Me And Monkey"。これは、2008年の時にもオープニングでやった曲。その時は「Come on, take it easy」というマハリシの口癖を思いっきり体現しようとした感じ。だが、今回はかなりヘビーな心境からの2曲目となった。

 あえて言えば、どちらも「真実を隠している」というメッセージ・ソングになるかもしれないが、それよりも重視したいのは、ともにジョンお得意の言葉遊びであり、彼のジョーク・センスは常に冴えまくっていて、特にこの曲では、ノリのいいセンテンスをバァーっと繰り出したあげく、シメに「僕とヨーコ以外は、みんな隠し事をしているぜ」とキメるなんて、これぞ「ロックンロール!」。
 ジョンはこの曲を書く前、風刺画にヨーコがジョンの背中にしがみついている猿として描かれた事に腹を立てていたということだが、それを逆手に取って、まんまと聴き手を惑わしてしまう天才ぶりに降参じゃないか。もちろん、ビートルズによるテイクも最高。カヴァーする我々はワクワクしっぱなしだ。そう、「言いたいことは言ってしまえ」「やりたいことはやってしまえ」だ。少し希望が見えるようだった。

詳細(2)へ続く。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-15 19:16 | 音楽の仕事

 このところずっと、ブログをアップしていなかったのですが、先月は前半を打ち込みでのオケ作り、後半をジョン・レノン・スーパーライヴへの準備とリハーサルで手一杯となっていたからでした。

e0093608_13501998.png そして昨日、日本武道館でのジョン・レノン・スーパーライヴ2011がおこなわれました。ここ数年、このイベントに深く関わる者として、まずは無事に終えることが出来て、ほっとしたことが一番。と同時に、昨年の10周年を経て、あらたな気持ちでのぞんだ11回目がまさに「Starting Over」の合い言葉通り、各出演者やバンド・メンバーだけでなく、スタッフ全員が力を出し切って見事な成果を上げたと、強く感動した一夜となりました。

 個人的には本番大ラスの吉井和哉さんとの"Mother"から、オールラインアップによる"Happy X'mas""Power To The People~Give Peace A Chance""Imagine"に、ほとんど我を忘れるほどのめり込んでしまいました。もちろん、そこまでに出演されたアーティストがそれぞれ、まるで競い合うかのように充実したパフォーマンスを次々と繰り広げてくれたことが、ここでの大爆発につながったのでした。

 正直言えば、このイベントでの仕事はとても疲れます。特に神経を使うことが多いのですが、その分、うまく行った時の喜びは大きいと言えます。昨夜はまさにそれで、しばらく興奮が冷めませんでした。

 今は、何もやりたくない心境ですが、現実にはそうもいかないので、すぐに切り替えて残り少ない2011年を締めくくりたいと思います。このイベントの詳細も、早めにアップしていきたいと思います。
 とにかく、何と言っても、昨日、武道館に来ていただいた皆さんに、深く深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
[PR]
by harukko45 | 2011-12-09 13:41 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31