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 奥田民生/Love Me Do~Please Please Me

e0093608_14525659.jpg 陽水さんを送り出して、それまでベースを弾いていた奥田さんがメインに。今回はギターに持ち替えただけでなく、特製ホルダーに2本のハーモニカを装着してのパフォーマンスとなった。
 陽水さんの後に、リラックスして歌いたかったはずの民生さんだったが、選んだ曲で使われているハーモニカはブルース・ハープではなく、クロマチックだったため、不慣れな奏法を克服するために、いろいろ考えた末の2丁装着となり、それにより、いつも以上に苦労することになった。
 だが、ジョークを交えながらも、飄々とこなしてしまうのは、さすが。最初は皆、あまりにも突拍子もないやり方に大笑いしたが、実はすごく真剣なので、こちらもとことん付いて行こうじゃないか、って気分になるのだった。

 ところで、ジョン・レノンのハーモニカというのは、ビートルズ初期における彼のトレードマークの一つと言えるぐらい重要で、彼は子供時代からずっと吹いていて、すでになかなかの腕前だったらしい。その後、デビュー前のハンブルグで、現地クラブへ出演していたトゥーツ・シールマンスの演奏を見て強い影響を受けたという。
 当時のトゥーツは、ギターを弾きながら、肩から掛けたホルダーのハーモニカを吹くというパフォーマンスで、ジョンはそのスタイルに憧れ、トゥーツが当時使っていたリッケンバッカーのショート・スケール・モデルとハーモニカに傾倒していたのだそうだ。だから、その時に手にしたハーモニカは、ホーナー社のクロマティック・モデルだったのかも。

 で、"Love Me Do"のハーモニカは、イントロやヴァンプで7thの音(F)を強調したフレーズと、Bメロで(F#)、間奏では(F#)と(F)を吹き分けなければならないので、レコーディングではクロマティックを吹いているのだった。
 そもそも、ハーモニカを使うことになったのは、ジョージ・マーティンのアイデアで、ブルージーな雰囲気にするためで、それにジョンは見事に応えた。

 ポールの話では「『誰かハーモニカを吹けないか?その方が上手くいくと思うんだが。他にブルース風のアイデアはあるかい?ジョン?』」とジョージ・マーティンに言われて、ジョンがクロマティック・ハーモニカを吹いたんだ。ソニー・ボーイ・ウィリアムソンのようなブルース・ハープじゃなくてザ・グーン・ショウのマックス・ゲルドレイみたいなハーモニカだけどね。(Paul McCartney[MANY YEARS FROM NOW])」
 
 初期のビートルズ曲ではこれ以後も彼のハーモニカをフィーチャアしたものが多いし、彼の演奏もその大任を果たしている。ジョン曰く「ロックンロールなハーモニカ」である。
 その「ロックンロールな」奏法について、ブルース・チャンネルのヒット曲"Hey! Baby"での、デルバード・マクリントンの演奏に影響を受けたと発言していて、1962年にイギリスで共演した際、マクリントンはジョンに請われて、"Hey! Baby"を吹いて見せたのだそうだ。
 それがいつのまにか、マクリントンがジョンにハーモニカを教えた、ということになったらしい。これが10ホールズとの出会いだったか?

 YouTubeにブルース・チャンネルとデルバード・マクリントンが"Hey! Baby"やジョン・レノン、"Love Me Do"について語っている映像があった!



 ジョンは、クロマティックと10ホールズをきっちり分けて定義して、ちゃんとこだわりを持っていたようだ。BBCライブで"I Got To Find My Baby"を演奏する前にジョンと司会者のやり取りが、それを示している。

司会者「今ジョンは次の曲の準備に入っていて、ギターを首にかけたり外したり、ハーモニカを顔の前にかけたり外したりして……。」ジョン「ハープだよ。」司会者「ハープって?」
ジョン「この曲ではハープをプレイしているんだ。」
司会者「ハープをプレイ?」ジョン「ハーモニカは"Love Me Do"でプレイしているんだ。この曲ではちょっとだけハープをプレイしてる。」司会者「でも、したり外したりして……。」ジョン「マウス・オルガンだね。」


 つまり、クロマティックをハーモニカ(with a button)と呼び、10ホールズをハープと呼んで区別していた。

 さて、もう1曲の"Please Please Me"もハーモニカが実に印象的だが、それ以上に全体のアグレッシヴなノリ(特にポールのベース)がイントロからワクワクさせてくれるし、ジョンのリードに対して、ポールがE音でキープしているAメロがいい。見逃せないのが、4小節目のG-A-Bの「ンジャジャ・ジャジャ・ジャカジャカジャ」と、8小節目にかかるEの「ジャカジャカジャ、ミミ・ミミ・シシ」の仕掛け。これって、演奏でビシっと決めるのは結構難しいぞ。この仕掛けがかっこ良くないと、次のジョンが生きない。
 
 で、やったらドヤ顔っぽいジョンの「Come On!」を受けて、ポール&ジョージのハモがどんどん上がっていくのが実にスリリング。その上がり切ったところでの「Please please me,wo yeah, like I please you.」は、3人のヴォーカルの動きがカッコイイ。
 2コーラス後のブレイクでのドラム・フィルも実にシブい!その後の別メロもウキウキさせられっぱなしじゃないか!「in my heart」のバック・ヴォーカル部分が特にいい、大好き。

 わずか2分少々で、これほど満足させてくれるなんて、文句のつけようがない。レコーディングでOKテイクが録れた後に、ジョージ・マーティンが「 きみたちはたった今、ナンバー1のレコードをつくったんだ 」とトークバックから語りかけたのも頷ける。

 だが、この曲は元々スローテンポで、ロイ・オーピソンの"Only The Lonely"風のアレンジだったのを、マーティン卿が気に入らず、彼らに宿題として「テンポを上げて、アレンジを変えろ」と提案していなければ、ただのボツ曲になっていただけでなく、ビートルズ自体も「Love Me Do」の一発屋で終わっていたかもしれない。

 この時のことを語ったポールの言葉が印象深い。「テンポを上げて曲が格段に良くなり、ジョージ・マーティンの方が正しい曲のテンポを解っていたことを恥ずかしく思っている。」
 だが、ちゃんとそれを受け入れ、曲を練り直した彼らは、歌詞を変更し、"Love Me Do"のようにハーモニカを使い、ヴォーカル・ハーモニーを工夫した。ジョン曰く「セッションに入る頃には、僕らは結果に大満足してたよ。もっと早くレコーディングしたい気分だった。」のだから、彼らは本物のプロだった。

 とにかく、この曲は何から何まで、最初から最後まで、ビートルズ4人の情熱が詰まっている。我々はその熱を感じ、その熱にうなされるように夢中で演奏した。それは至福の2分間だった。
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by harukko45 | 2013-12-22 14:44 | 音楽の仕事

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 井上陽水/I Call Your Name~You're Going To Lose That Girl~Love

 井上陽水さんは日本を代表するシンガーソングライターであり、日本ポピュラーミュージック界の最重要人物の一人である。と同時に、熱狂的なビートルズ者であり、ビートルズ作品を熟知されている。

 そんな陽水さんが、今回初めてスーパーライヴに登場。バックをつとめる我々にもピリっとした緊張感が走る。また、これまでにない異例の2日間のリハーサルがセットされ、曲も候補が5曲上がり、実際に合わせながら決めるということになった。なので、バンドの方はどの曲もすぐに対応できるように準備をしておかなくてはならなかった。ただし、候補の一つだった"Because"は、コーラス・ワークもサウンド・メイクも短い時間で形にするのは難しいと双方で判断して外された。
 その他の4曲は、"I Call Your Name""You're Going To Lose That Girl""Love""You've Got To Hide Your Love Away"だったが、リハの前に奥田民生さんとキーボードの斉藤有太くんと陽水さんでプリプロをしていた"...Lose That Girl"と"Love"、それに、私も是非にと推し、陽水さんもほぼ決めていた感のある"I Call Your Name"が残った。
 また、プリプロに参加していた奥田民生さんがその流れで、2曲にベーシストとして参加。押葉くんは、"I Call Your Name"以外では、私とともにコーラス隊になった。

 で、この3曲をリハしながら固めて、2曲にしぼるつもりだったが、どの曲もかなり面白い出来になっていったので、1曲は切るのは惜しくなり、3曲を全て演奏することになった。

e0093608_0374797.jpg まずは、"I Call Your Name"。この曲は、1963年にビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスに提供されたもので、ビートルズがセルフ・カヴァーしたのは64年の「A Hard Day's Night」セッション中だった。だから、内容が良いのは当たり前。
 このアルバムで多用されているジョージの12弦リッケンバッカーが、この曲でも効いていて、イントロ、Bメロ、間奏で大活躍。その間奏では、突然シャッフル・ビートになり、サイド・ギターが裏打ちの刻みをするのが面白い。ジョンによると「スカのリズムを意識した」とのこと。
 ちなみに、ビリー・J・クレイマーのバージョンではこの部分はハネておらず、ゴリゴリの8ビートで押切っている。イントロも微妙に違うが、やはりビートルズの12弦に軍配が上がる。
 
 陽水さんは「試しに間奏をストレートにやってみようか」と言い、トライしてみたのだが、このシャッフルの面白みを打ち消すことは出来なかった。なので、我々もハネたスカ・ビートに土屋さんの12弦をフィーチャアした。
 陽水さんのヴォーカルは最高にマッチしていて、ほんとゴキゲンだった。なので、絶対にやりましょう!と太鼓判を押した次第。

e0093608_040335.jpg "You're Going To Lose That Girl"は、プリプロの段階ではバスドラ4つ打ちのディスコ・アレンジのようだった。これもなかなかな感じだったのだが、陽水さんは、もっと陽気に「例えば南国風にスティール・ドラムかなんかで始まったりして」と提案、すぐに有太くんが弾き始めたので、即採用となった。
 もちろん、リズムもカリブ海系のパターンになり、何とも言えぬ「ふざけたシュールさ」が表れたのだった。
 ただ、この曲はジョンのリードとポール&ジョージの掛け合いヴォーカルが最高の魅力、だから、陽水さんもそこにこだわって、何度か練習を繰り返した。最終的には、我らがポールである押葉くんがコーラス隊に復帰して、バッチリまとまった。

e0093608_0401557.jpg そして"Love"。これは、陽水さんのアレンジ力の凄さに参った。その奇抜なアイデアと着眼点の鋭さに感動した。

 まずは、このシンプルなバラードをブルーズにしてしまった。クールなシャッフル・ビートで始めて、まるでマディ・ウォーターズの"Hoochie Coochie Man"のようなリフがキメなのだ。
 歌が入ってからも妖しげな空間を感じながらシャッフル・ビートは続き、じょじょに盛り上がりながらサビへ、そしてギター・ソロへ。
 再びAメロに戻っても危険なムードはそのままだが、1コーラスを終えたところで突然、オリジナルの静寂な世界に突入した。

 ここでは、有太くんがピアノのアルペジオとメロディを奏でるが、そのバックで私は深いリバーブをかけたもう一台のピアノ・サウンドで絡んで行った。
 そして、最後に陽水さんが入ってきて「Love is wanting to be loved」で締めくくった。

 このアレンジには、完全にやられた。リハでのテイクがいくつか残っているが、どれを聴いてもシビレル。もちろん、本番も素晴らしかったのだが、途中で思わぬ機材トラブルがあり、少し残念なパフォーマンスになってしまった。それ故にリハーサルでの音源は、私にとって永久保存版として大事に残しておきたいほどの価値がある。

詳細(9)に続く。
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by harukko45 | 2013-12-21 22:09 | 音楽の仕事

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LOVE PSYCHDELICO/Glass Onion~I Am The Walrus

 2012年のスーパーライヴでのデリコとの"Kiss Kiss Kiss〜Cold Turkey"は本当に良かった。個人的にはベスト・アクトだったと思っている。彼らは、今回も2曲をメドレー形式でつなげるアレンジを考え、事前にデモを作ってくれた。Kumiさんの歌入り、ギターのダビングはもちろんのこと、何と、ドラム・ソロまで打ち込んであった!

 ここまで、きっちり作り込んでくれば、我々バンドの方も目指すものが見えるし、共感度も高まる。とは言え、全てをデモのままやったわけでなく、構成やグルーヴの方向性はデモに準じたものの、その他の上物の扱いやオリジナルにあるフレーズの選択はバンドに任せられた。ただ、使う楽器はシンセでなく、オルガンやピアノ、ギターで再現しようということだけ決めたのだった。そこはデリコらしい。Naokiくんはカラオケのようになることを嫌うのだった。

e0093608_1840312.jpg さて、「セイウチ」つながりの2曲は、ビートルズ中期におけるジョンの「ヘンな曲」メドレーとなった。68年の「ホワイト・アルバム」収録の"Glass Onion"は、「歌詞の意味を解読して、なんやかんやと言う連中をからかうために、わざと誤解しやすい歌詞を書いた」というジョンだったが、彼の意図とは逆に、「セイウチとはポールのことさ」というくだりが、「ポール死亡説」の根拠の一つになってしまったという迷曲。

 試行錯誤を繰り返した制作は、歌詞の"Fool On The Hill"部分にリコーダーを加え、エンディングにいろいろなSEを入れたりしたが、最終的にSEはボツになり、ジョージ・マーティンによるストリングスを入れて完成した。「Anthology 3」に入っている弾き語りによるデモを聞くと、もっといろいろと発展していきそうな期待感が膨らむのだが、残念ながらそうはならず「小さなセイウチ」程度に収まった。

 ジョンとしては、この1年前に録音した"I Am The Walrus"の出来があまりにも素晴らしかったので、「二匹目のドジョウ」を狙ったのだろうか。この曲はパロディなんだ、何から何までワザとやっているんだってことにしても良いが、ジョンの皮肉屋加減が効きすぎて、曲自体がウンザリしているようで、最後のストリングスの響きが実に空しい。
 おっと、それじゃお前はこの曲が嫌いなのか?と思うかもしれないが、実は大好きなのだ。リンゴとポールのリズム・セクションは相当良いし、リマスターのおかげでますますカッコ良く聴こえる。私は「ホワイト・アルバム」自体がすごく好きなので、"Dear Prudence"からの流れでの"Glass Onion"はサイコーなのである。少々、偏屈な言い方だが、"Glass Onion"は単独でどうのこうのではなく、あくまで「ホワイト・アルバム」の中で楽しみたい。

e0093608_18403232.jpg だが、"I Am The Walrus"は真の傑作、それも特大級の名作だろう。ジョン自身も満足していて、「100年後も通用する曲」と自負しているし、ジョンの最高作に上げるファンも多いに違いない。

 ジョンの場合、他にも落とせない傑作がずらりと並ぶので、「Walrus is No.1」とは言い切れないが、それにしても、これほどまでに聴き手の想像力・創造力を刺激する曲はなかなかないし、これほどまでにダビングしたオーケストラやSEが場所場所でピタっとキマッてる曲はないだろう。ほとんど奇跡ではないかと思うほどの素晴らしい仕上がりに、もはや言葉はない。

 同じサイケデリック曲の傑作として、メロディの親しみやすさとポップ感では"Strawberry Fields Forever"が上だが、全ての完成度の高さでは"Walrus"だと思う。ちなみに4人の一体感を取るなら"Rain"。

 さて、こんなに凄い曲に手を付けると、いろいろ大変ではあるが、ある瞬間から曲自体が演奏する者を導いて行く感覚になる。デリコとのセッションでもそうで、やはりどうしても外せないフレーズやサウンドがあり、それは自然に弾くようになり、それを加えると圧倒的に盛り上がり、曲への敬意も深まるのだった。

詳細(8)へ続く。
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by harukko45 | 2013-12-21 12:13 | 音楽の仕事

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 浅井健一/Help!~Come Together

e0093608_12233390.jpg 浅井健一さんは2009、2010年に続き、今回で3回目の登場。我々トリビュート・バンドともリラックスしたコミュニケーションが取れていて、彼が何をやりたいかどうかもすぐに理解できるようになったと思う。
 でも、ちょっと考えすぎて、"Help!"はひょっとしたら、こんなビートになるんじゃない?とか、エンディングは何か変えるんじゃないか、なんて勝手に予想してたら、何と大間違い。「これはオリジナル通りにやりたい!」おーっと、そうでしたか、でも望むところです。
 この"Help!"って、ホントによく出来てるんだよね。だから、どこもいじくりたくないっていうのが私の本音。もし変えるなら、前に吉井和哉さんがやったみたいに、バラードにしてしまうぐらいじゃなければ意味がないだろう。

 ジョンの書いた歌詞は、文字通り「助けてくれ!」なんだけど、楽曲としての完成度があまりにも高いので、歌詞の悲痛さ必死さよりも、すべてが完璧に作り込まれた作品としての印象の方が強い。だから、「ヘルプ!」って叫びがものすごくポップでカッコイイって思うのだった。
 この曲の素晴らしさについては、2011年にBONNIE PINKさんとやった時に、詳細で書きまくっているので、ここでは繰り返さない。
 BONNIEさんとのコラボで、ほぼオリジナルの再現を達成したが、キーは女性ヴォーカル用に上げていたので、今回の浅井さんとで正真正銘のオリジナル通りの再現となった。ということで、浅井さんに感謝です。
 
e0093608_12234622.jpg 一方、2曲目に選ばれた"Come Together"は、2010年にやったバージョンを、私はかなり気に入っていた。これは、「Abbey Road」のクールなサウンドをより突き詰めて、なおかつハードコア的な過激さを随所にプラスしたナイス・アレンジであり、「浅井"Come Together"」として、完全に成立していた。(その時の詳細

 我々は一応、その時の本番テイクをバンドで思い出しながら準備していたが、浅井さんは新たなアイデアを持って、リハにのぞんできた。それはエンディングで、全く新しいコードチェンジを使いながら「Come Together」のリフレインをするもので、そのダークで内面的なヴォーカルが、じょじょに過激なシャウトに変化していくのだった。
 それでいて、ラストをギターが引き継いでからは、それほど引っ張らずに、あっさり「OK!」の一言でジ・エンド。その、あっけない感じがまたしびれたな。

 うーむ、今回も面白かった。彼に予定調和はあり得ない。「浅井"Come Together"」は、今後も変化して進化していく可能性がある。

詳細(7)へ続く。
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by harukko45 | 2013-12-20 12:20 | 音楽の仕事

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 元ちとせ/Tomorrow Never Knows~She Said She Said
 
 2002年にメジャーデビューした元ちとせさんは、その大ヒット曲"ワダツミの木"で、日本のポップ・ミュージック界に大きな衝撃を与えた人。今回初めて共演できて、大変光栄に思った。

 リハーサルの段階でも素晴らしい歌声を聴かせてくれたが、本番ではその何倍もの広がりと深さを持った歌に、すっかり感動してしまった。とかく、彼女の独特な歌い回しや「こぶし」は、安易にワールドミュージック的な扱いにされてしまいがちだが、今回のようにジョン・レノンという枠の中に入ると、彼女本来のスケールの大きさがより際立って見えてくるようだったし、ある意味、ジョンの曲が持つ、国籍や民族を越えた普遍性をも強く感じさせてくれたように思う。
 
e0093608_346261.jpg とは言え、今回選ばれた曲は、実は一筋縄ではいかない2曲で、共に66年リリースされた「Revolver」に収録されたサイケデリック・ナンバーであった。

 "Tomorrow Never Knows"は、リボルバー・セッションの最初に録音された曲で、まさにアルバム全体を象徴する楽曲であったに違いない。全部で16種類あるというテープ・ループが使われ、現代音楽の手法を取り入れたとか、現在のサンプリング&ループの先駆けであるとか、その実験性に注目が集まるものの、まずは何より、そのようなサウンドを呼び起こすような曲を書いたジョンの飛躍に驚くべきだろう。
 で、ジョンのイメージした「ラマ僧のお経の大合唱のようなサウンド」は若きエンジニア、ジョン・エメリックの奮闘もあり実現した。
 
 方や、もう1曲の"She Said She Said"は、リボルバー・セッションで最後に録音された曲で、ドラッグ・ソングの代表格だ。歌詞の冒頭「She said I know what it's like to be dead.(彼女は言った、私は死とはどんなものか知っている、と) 」は、ピーター・フォンダ宅にてLSDでトリップ中に気を失って倒れ、気がついた時に、ピーターから言われた事だとのこと。それに対するジョンの解答は「(彼女は僕を)この世に生まれてきてないような気分にさせる」、つまり「そんなことは知りたくない」である。本来は「He said」だったものを女性に置き換えて、露骨なドラッグ体験をぼやかしたのだろう。

 さて今回、「悟り」のような"Tomorrow..."と「死」について言及した"She Said"をメドレーにするという大胆なアイデアで、元さんは歌う事になった。
 これを具体化したのは、彼女のサウンド・プロデューサーである間宮工さんで、彼がアレンジして作ってくれたデモをベースにリハーサルを行った。間宮さんにもアコースティック・ギターで参加してもらったので、スムースにリハは進み、その仕上がりも良かった。

 シンセ・パッドにアコギのアルペジオ、エレキ・ギターによる鳥の声で始まる"Tomorrow"は、トリップして幻覚を見ているような感じであり、オリジナルの1コード的なニュアンスではなく、流れのあるコードチェンジも効果的だったし、元さんの音世界になっていた。
 そして、突然のディストーション・ギターによる"She Said"のリフは、臨死体験からの復帰のようだ。ここからは、リズム隊も加わって気持ちよくロックさせてもらった。
 エンディングに向かっては"She Said"のバッキングに、"Tomorrow"のメロをかぶせて、2曲は合体したのである。

 常に過激な実験性ばかりがやけに強調されている「Revolver」は、正直、60年代と違って、その衝撃度は現代においてかなり薄らいでおり、もはやそういうことよりも、一つ一つの曲が作品としてどうなのか、って捉えるようになったと思う。
 そういう意味でも、今回の元さんと間宮さんとのセッションは、オーガニック時代のビートルズ解釈だったと言えるかもしれない。


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by harukko45 | 2013-12-18 23:43 | 音楽の仕事

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 山村隆太/In My Life~Ticket To Ride

 山村隆太さんはflumpoolのメンバーで、2012年のスーパーライヴにはバンドとして参加してくれた。今回はソロ・ヴォーカリストとして迎えて、バックをトリビュート・バンドでつとめる事になった。
 彼とは、リハーサル前にミーティングを持つ機会があり、そこでアレンジについてと、曲への思いを聞くことができた。そのおかげもあって、事前にいろいろ準備出来たことは大きかったし、コンサート前半部分のピークになることを目指した。

e0093608_05423.jpg その1曲目は"In My Life"。65年の名盤「Rubber Soul」の11曲目に収録された曲。そして、ビートルズのミディアム・バラードの中でも屈指の名曲である。この曲の良さについては、今さら語る必要もないほど、言い尽くされていると思う。皆さんよーくご存知。
 そこで、私からお知らせしたいのは、今回初めて"In My Life"をオリジナル・キー(A)で演奏したということである。
 それは、女性アーティストがこの曲を何度か選んでいて、当然キーを上げたし、ゆずのお二人の時も、彼らは声が高いために半音上げたのだった。
 で、何が言いたいのかというと、この曲の間奏をオリジナル以外のキーで演奏するのは、なかなか厄介だったということなのだ。

 「ジョージ・マーティンによるバロック風のピアノは、テープの回転を半分に落として録音され、回転を戻したらチェンバロのようなサウンドになった」というエピソードは、とても有名で興味深い話だが、演奏する立場からすると、実にはた迷惑な話でもある。後世の鍵盤弾きは皆、マーティン氏の倍のスピードで弾きこなさなければならないのだから。
 その上で、いろんなキーでやらなければならないのは、正直、あまり楽しめない。そこで、これまでは右手のパートと左手のパートを二人のキーボードで分担して、お互いの負担を軽くしていた。

 だが今回、ようやくオリジナル通りにやるので、もう一人のキーボーディスト斉藤有太くんと私は、正攻法でのぞむことにした。有太くんがピアノの音、私はチェンバロとストリングスの音で豪華にユニゾンしたのだった。効果としては、なかなか面白かったが、やはり、それなりにプレッシャーはかかるので、二人とも「今日の"In My Life"」って感じで、毎日練習したのでありました。まぁ、本番では何とか無事に行ったのではないかな。これもまた、人生かな。

 それから、この曲でのハーモニー・パートもとてもいい。だから、押葉くんと私でポール&ジョージを頑張った。個人的には間奏で「ラーソ#ファ#ミレド#シラ」と弾き倒した直後に「know I'll never lose affection」とハモるのが至福の喜びであり、何度やっても感動してしまうのだった。

e0093608_0372430.jpg 2曲目は"Ticket To Ride"、これまた解説不要の名曲。で、隆太くんは「ベースを8ビートで押して行く感じにして、80年代風に」ということだった。私は「Echo & The Bunnymenのような感じ?」と聞くと、「もっとハードロック的なアプローチにしたい」とのこと。そこで、スタジアム・ロック風のイメージでトライすることにした。これは、楽しかったですなぁ。
 とにかく、我がバンドには古田たかし、長田進と二人も「佐野元春 with THE HEARTLAND」の在籍メンバーがおり、かく言う私は「中村あゆみ&The Midnight Kids」にいたわけで、その手のスタジアム系&スプリングスティーン系には強いのだ。

 イントロのリンゴ(アイデアはポール)のドラム・パターンをよりハードに叩いてもらい、オーバーハイム風のシンセをブワーっと鳴らし、ギターのジャカジャーン、ピアノとグロッケンのオクターブ・ユニゾン、これで気分はすっかり野外フェスだった。コーラス・ワークもビートルズよりもヴァニラ・ファッジ風に派手にしたし、間奏は当然ギターで押しまくった。
 この仕上がりには隆太くんもずいぶん喜んでくれ、大いに盛り上がってくれた。前半戦のピークを作ろう、という我々の思いは叶った。

 よく考えると、この曲をハードにやるのは間違ってなかった。ジョンは「ヘヴィ・メタル・レコードとしては、最も早いもののひとつだ」と語っているのだから。

詳細(5)に続く。
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by harukko45 | 2013-12-17 22:50 | 音楽の仕事

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 miwa/Across The Universe~Imagine

 miwaさんは、2010年にメジャーデビューした期待のシンガ−ソングライター。もうすでにヒット作をいくつも出していて、レコーディングやライブで大活躍だ。
 今回ご一緒するにあたり、私はオールナイトニッポンでの弾き語りによる"Across The Universe"を聴くことができた。そこでの彼女のピュアな歌声とシンプルなアコースティック・ギターの響きとのマッチングがとても良く、是非ともフォーク的なアプローチでmiwaさんのコーナーをまとめてみたいと思った。
 ただ、その前に一応参考資料として、フィオナ・アップルのバージョンも聴いてもらっていて、miwaさんからは、この方向性で行きたいとの返事をもらっていた。そこで、キーは弾き語りバージョンに合わせ、バンドのアプローチはフィオナ的なニュアンスを随所に取り入れていくことにした。



 フィオナ・バージョンは彼女のハスキーな低い声と気怠いムードのサウンドメイクが、全体に何とも言えない「危うさ」を生んでいて、とても好きだ。正直、爽やかな「Across...」ってピンとこない。
 その一方で、フォークソング的な素朴さも、とても大事な要素だと思う。ジョン自身の最高の「Across」が弾き語りに近いバージョンであることが、それを示しているし、詞が持つ哲学的・宇宙的イメージは、厚めのサウンドを拒否している気がする。



 ということで、両者のおいしいところをうまくバランスを取ってまとめることを目指した。フィオナのキーはEだが、Gに上げたことで、全体にスコーンと抜けるようになり、miwaさんの声の透明さを生かして、内向的な世界からフンワリ&ホッコリと外へ広がっていく感じになった。
 また、割とヘビーな感じのリズムやサイケっぽいキーボードでカラーリングすることで、ちょっとしたトリップ感が出たように思う。
 それにしても、ビートルズとしての決定版がないことで、逆に神秘性と深みをずっと持ち続ける曲になった"Across The Universe"は、今後もいろいろな取り上げ方をされるのだろうな。

 さて2曲目は"Imagine"。この曲はアンコールで出演者全員で歌う定番曲なので、個々のコーナーでやるのは珍しい。それでも、取り上げて成功していたのは、今は亡き忌野清志郎さんぐらいだったように思う。
 だが、あえて挑戦したいとの希望での選曲となった。ここでも「フォーク的な」アプローチを探るうちに、ザ・バンドの「The Last Waltz」コンサートのようなイメージでトライしたらどうかと思った。今だったら、ゲストにテイラー・スウィフトって感じかな。あまり、アレンジにこだわることなく、一夜限りのセッションで"Imagine"を楽しむのも悪くないじゃないか。

 ということで、さりげなくアコースティック・ギターが始め、オルガンがからみ、そこにmiwaさんの声が入ると、一気に暖かいムードが出来てすごく新鮮だった。途中に土屋さんの渋めのギター・ソロをはさみ、それを受けてのmiwaさんのヴァーカルの自然な盛り上がりも実に良くて、個人的にも印象に残るパフォーマンスになった。

詳細(4)に続く。
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by harukko45 | 2013-12-16 22:17 | 音楽の仕事

(1)からの続き

 MONKEY MAJIK/I Feel Fine~I Want To Hold Your Hand

 MONKEY MAJIKは4人編成でカナダと日本とのハイブリット・バンドなのだが、今回はそのフロントをつとめるカナダ人のプラント兄弟、メイナードとブレイズにヴォーカルをお願いした。
 彼らが選んだ2曲は共に、ビートルズ初期を代表する名曲で大ヒット作。この手の曲をやるのは楽しくてたまらない。個人的には、このイベントでの最大の喜びであると思っている。

 "I Feel Fine"は64年リリースの8枚目のシングル、アルバムでは「パスト・マスターズVol.1」に収録されている。この曲では、まずイントロのフィードバックが甚く有名。ジョン曰く「レコーディングでフィードバックを使ったのは僕らが最初だ!」



 確かにこのあまりにも印象的なフィードバックなしでは、この曲は始められない。ジョンはライブでも時折やっているが、ウィル・リー率いるビートルズ完コピ・カヴァー・バンド「The Fab Faux」がこのイントロをとてもシリアスにやっているのが、実に面白い。
 YouTubeの映像では一度失敗して、もう一度やり直す前にお客に静粛を求めているのが笑える。



 で、このフィードバックに続く、ギターのリフも何ともカッコイイのだが、これは元ネタがブルーズ・ギタリスト、ボビー・パーカーの"Watch Your Step"である事を、ジョン自身が語っている。これを聴くと、ドラムスのラテン・ジャズっぽいパターンまで一緒だから、かなり意識していたことに驚く。
 ちなみに、レッド・ツェッペリンの"Mobby Dick"も、「っぽい」な。



 そんなリフに乗りながらジョンが歌うAメロは、それほどブルージィなムードを強調しないのがクールだと思う。で、シメにあたる「I'm in love with her and I feel fine」を3声コーラスでビシっとキメるビートルズのアレンジ力の高さにシビレる。「I'm so glad」からのBメロでは、もうボビー・パーカーの影も形もない。完全なビートルズ・パワーポップの世界にどっぷりと浸かって気持ちのよいことこの上ない。ここでは、3人のヴォーカル陣の絡みだけでなく、リンゴのドラミングにも耳を奪われる。そして、ギターソロから歌に戻るまでに挟み込まれたブレイクが、これまたカッコイイ。リフとドラム・フィルの絡みがゴキゲン。

 そんな聴き所満載の"I Feel Fine"は、実際に演奏してみると、微妙にハネながら推進力を失わずにキープしていくのは、なかなか難しい。また、キーボードをいろいろ加えて厚みを出すのも、あまりいただけない。あくまで、隙間のあるシンプルなギター・サウンドとポップなコーラスが決め手なのだ。
 我々は自然にノレるように、何度か演奏しながら、身体にしみ込ませていった。その成果もあって、MONKEY MAJIKを迎えてのリハーサルは至極スムースに進み、二人は大いに楽しんで盛り上がっていた。この曲では弟のブレイズがリードを取ったが、英語の発音が完璧なのは当たり前として、パワフルなシャウトで、ジョンとは逆にブルージィさを強調する感じだったのが面白かった。

 そして2曲目は、これまたあまりにも有名な"I Want To Hold You Hand"。こちらは兄のメイナードがリードにまわったが、リハではブレイズが、ビートルズにはない上ハモを即興で付けたりしていた。メイナード君は「そのハモはオリジナルにはない!」ってクレームつけてたが、ブレイズ君は我関せず、いろいろパターンを変えて、なかなかのやんちゃぶりを見せていた。本番では、兄弟で折り合いをつけたか、オリジナルに近い形に戻っていた。

 ただ、武道館での彼らは少し緊張していたか、最初のうち、ちょっと硬くなっていたようで、リハでのエネルギッシュな感じが少し薄れていた。が、"I Want To Hold Your Hand"という曲の持つ「爆発力」もあってか、一気にテンションが上がって行ったのがすごく印象的だった。

 とにかく、ポップ・ミュージックに革命を起こした瞬間、それは64年のワシントンD.C.ライブでの"I Want To Hold Your Hand"。ポールのカウント「1,2,3」から「ドドダー」と演奏が始まった時の、会場の絶叫!まさに、あの瞬間!
 私がこの映像を見たのは、もちろんずっと後ではあるが、それでも強い衝撃を受けて、思わず身震いした経験を一生忘れない。
 だから、私にとってこの曲は「爆発」「革命」の象徴なのだ。やっぱり、この曲のインパクトは凄いと、あらためて感じた。



詳細(3)に続く。
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by harukko45 | 2013-12-16 14:53 | 音楽の仕事

 2013年12月7日に行われたジョン・レノン・スーパーライヴを振り返ります。いつものようにステージ側からの自己中レポではあるが、どうぞお付き合いを。

 で、まず書いておかなきゃならないのは、スーパーライヴ第1回が2001年であり、今回2013年で13回目であったということ。「13」という数字は西洋を中心に最も不吉とされ、昔から忌み数と考えられてきた。その由来は定かではなく、いろいろな説があるものの、それを信じようと信じまいが「13」という数字に関わると「何かしら変なことが起きる」経験を、日本でも多くの人が持っているのではないだろうか。
 それは、自分の不調さへの言い訳のようにも思える部分もあるが、そういうものが他の人や一時に何回も起こると、「あー、やっぱり」と考えたくもなる。

 スーパーライヴ終演後のパーティにおいて、ヨーコさんがスピーチで、この「13」について話されていたのも印象的だった。ただ、ヨーコさんはあくまで前向きに「13回目を無事に越えることが出来た」ことへの喜びを語られていた。

 私が目撃した不吉だった出来事を思い出してみる。まずは、押葉真吾くんの愛用のベースがリハ初日に故障、リハーサル終盤には復活したものの、続いて土屋潔さんのギターがトラブル。音が出なくなってしまったが、スタッフの緊急処置により、本番には間に合った。
 だが、そのステージ最終盤で、斉藤有太くんのデジタル・ピアノが演奏中に突然暴走。急にボリュームがすごく大きくなった。MC中に対処した彼だったが、アンコールでの"Imagine"で再び起きる可能性もあり、実際に弾き始めるまで、もちろん全てが終わるまで、不安な気持ちで一杯だったに違いない。
 
 バンド内だけでも色々あったので、アーティストやスタッフの間でも問題はあったことは確か。とは言え、とにかく「無事に」コンサートが終わったことが何よりではないか。今回を含む13回のコンサートで、29か国124校を支援することが出来た事実は、参加してくれたアーティスト、ミュージシャン、スタッフだけでなく、武道館に来てくれた観客の皆さんを含む全員で「不吉」を乗り越えて、ちゃんとした実りに結びつけたことなのだと強く思うのだった。

 さて、前置きが長くなった。ステージを振り返って行こう。

 Roy with Naoki/Slow Down〜Bring It On Home To Me

e0093608_0452658.jpg The BawdiesのRoyくんとLove PsychedelicoのNaokiくんによるコラボは、昨年に続いてオープニングという大役。まずは会場をあっためるためにも、Royくんの熱いシャウトで一気に盛り上がりたい。
 1曲目はジョンのお気に入りロックンローラー、ラリー・ウィリアムスの"Slow Down"。58年にリリースされたラリー・ウィリアムスのオリジナル・テイクは、A面が"Dizzy Miss Lissy"で、どちらもゴキゲンな仕上がり。本人の弾くピアノやテナー・サックスもカッコイイ。それに比べて、ビートルズのテイクはかなり落ちる。正直、ジョンが歌ってなければ、あまり価値を見いだすことはないと思う。
 逆にあら探しをしようとすれば色々指摘できるだろうが、一番気になるのはジョージ・マーティンのピアノだろう。これは、4人によるOKテイクにオーバー・ダビングしたとのことだが、残念ながら何ともノリが悪い。それに「Past Masters Vol.1_Stereo Remaster」では、右チャンネルからピアノがくっきり聴こえてきて、左側のリズム・セクションとのギャップがますます大きく感じられる。
 ダビングなのだから、何回かやり直せば良かったし、ポールが弾けばもっと良かったのでは、なんて思うが、当時は時間に追われていて、さっさと仕上げなければならなかったのかもしれない。

 武道館では、我がバンドのピアニスト、斉藤有太くんが豪快なノリの刻みでグイグイで引っ張ってくれたし、Naokiくんのアレンジは、ビートルズというよりは、レッド・ツェッペリン風のリズムをイメージしたもので、ドラムはかなりボンゾっぽいニュアンスになっていた。

e0093608_046630.jpg Royくんの2曲目は、サム・クックの有名曲"Bring It On Home To Me"。これは、75年のジョンの傑作"Rock 'N' Roll"にも収録されている。ただしジョンの場合、シャッフルのリズムをオリジナルよりも強調しながら、リトル・リチャードの"Send Me Some Lovin'"につないでメドレーにするという、なかなか凝った演出をしていた。

e0093608_0501156.jpg 個人的には、アルバム"Rock 'N' Roll"は大・大・大好きなので、このバージョンでやる方向も考えていたが、Royくんにはサム・クックの方が完全に身体に入っていた。それも、63年のライブ盤"Live At The Harlem Square Club"でのバージョンである。もちろん、これはこれで文句のつけようのない名作なので、大いにリスペクトしつつカヴァーすることにした。
 曲終盤にある観客とのコール&レスポンスも再現することになり、ちょっとジョンとは離れたサウンドではあるものの、ジョン・レノンに大きな影響を与えたR&Bクラシックに今回はドップリと浸かってみるのも悪くないと思った。

 Royくんがこの手の曲をシャウトするのは、全くいつもの感じだが、デリコのNaokiくんが「Yeah!」のコール&レスポンスに参加して歌うというのは、なかなか見られない貴重なシーンだったのではないかな。

詳細(2)に続く。
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by harukko45 | 2013-12-15 14:23 | 音楽の仕事

 昨夜、日本武道館にて「Dream Power ジョン・レノン・スーパーライヴ2013」が行われ、何とか無事終了しました。
 お越し下さった皆さん、武道館を一杯にしてくれた皆さんには、心より厚くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 個人的にはこれまでで一番バタバタした状況で、少々不安や心配を抱えながらの本番となりましたが、そこは信頼のおける素晴らしいバンド・メンバーとスタッフの助けをたくさん借りて、乗り切れたのだと思っています。
 ちょっとだけ、ほっとしたものの、今月はまだ仕事が残っていますので、頭をすぐに切り替えていかなくては。
 スーパーライヴの詳細については、また後日、何とか年内に書いておきたいとは思っております。



 
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by harukko45 | 2013-12-08 12:19 | 音楽の仕事

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