D'Angelo 2000年のライブ

 昨年は、ディアンジェロが12年ぶりにライブに復帰しヨーロッパ・ツアーを敢行、アメリカでもいくつかのイベントに登場し、それらの映像もずいぶんアップされて、その内容の素晴らしさに狂喜乱舞したものだった。そして、待ちに待たされたニュー・アルバムも97%(!)完成したとの情報もあって、個人的にはジャック・ホワイトの初ソロ・アルバム、ノラ・ジョーンズのDanger Mouseプロデュースでのニュー・アルバムとともに、2000年代のお気に入りアーティストそろい踏み3部作になるはずだった。

 が、また、ディアンジェロにはだまされた(?)ようだ。「James River」は結局まだリリースされない。ということで、私はその代用(?)として、フランク・オーシャンの「channel ORANGE」を聴いていたのでした(いやいや、これも良い作品!)。

 ところが、最近になって2000年の「Voodoo」ツアー時の映像があることを知った。何たることか。それも、音質・画質かなり良し。でもって、この時の内容がもう圧倒的。いろんな意味で残念なことではないか、本当にこの天才は何をやっているのか!

 というわけで、このライブをここにリンクして、しばし溜飲を下げることにする。とりあえず昨年、ミュージック・シーンに復帰してくれたのだから、まずは喜ばなくては。そして、近々の完全復帰をじっと願うのであります。









July 16, 2000 North Sea Jazz Festival – The Voodoo Tour

D'Angelo: vocals, keyboards
The Soultronics:
Ahmir “Questlove” Thompson: drums
Frankie “Knuckles” Walker: percussion
Pino Palladino: bass
June Bervine (or sometimes James Poyser): keyboards
C. Edward “Spanky” Alford & Samuel “Norris” Jones: guitars
Anthony Hamilton, Shelby Johnson & Jack King: background vocals
Jacques “Brother Jacques” Schwarz-Bart: tenor saxophone
Russell Gunn (or sometimes Roy Hargrove): trumpet
Frank “Root” Lacy: trombone & trumpet

Sam Champ x Okayplayer – D’Angelo Live! [Mixtape]
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by harukko45 | 2013-01-26 19:19 | 聴いて書く

D'Angelo/Voodoo

 ディアンジェロは天才だと思っているが、どうもアヤシいと感じるところもある。なぜなら、あまりにも寡作だ。アルバムは全部で3枚しかないし、そのうち1枚はライブで、おまけにそれは日本オリジナルの特別版だ。あんまりファンを待たせていると、才能が早くも枯渇したかと心配になる。

 2nd"Voodoo"は2000年1月のリリースだ。前作から5年(Liveからは4年)、そしてすでに6年も経過したのに、新作は登場しない。噂ではダラダラと生活して、スタジオにも一切入っていないらしい。そうこうしているうちに、今や彼の存在はさほど重要視されなくなってしまった。残念なことだ。

 さて、ファンとしては待ちに待っていた2nd"Voodoo"はとてつもない傑作とも言えるし、つきあいきれないとも言える。日によって変わる。こちらの気分や体調で大きく変わる。スピーカーで聴くか、ヘッドフォンで聴くかでも変わる。
 誰にも出来ない音ではあるが、それがあざといとも思える瞬間もある。もっと普通にやったって凄いことができるはずだと思う。だが、こうなってしまうのは才能がありすぎるからかとも思う。

 それにしても、音はすごくいい。特にベースとバスドラのボトム部分は強力だ。m2以外はすべて生演奏の一発録りで、各プレイヤーのパフォーマンスの高さを感じるにはヘッドフォンで聴く方が演奏のリアルさが増していい。
 オープニングの"Playa Playa"からして、前作とは違うのだと主張している。すげぇ妖しげで、ヘビーなスロー・ファンク。ここで、めげる人は多いかも(そういう人がこのアルバムを選ぶわけないか)。でも、これぞブラックネス、次元の違うカッコ良さに、彼の天才を確信する。

 たぶんこのアルバムで一番聴きやすいのはプリモ(DJ Premier)と作ったm2"Devil's Pie"だ。二人の天才がガップリ四つに組んで生み出された文句ない傑作で、最高のトラックだ。ただ、プリモ色が強いことが成功の原因で、同じ天才でもプリモの方が業界を生き抜くタフさを持っている証明でもある。一発でつかみのあるグルーヴとフックを持っているし、同時にクラシックとなりうる深みがある。
 m3"Left&Right"もHip-Hop色が濃い。二人のゲスト・ラッパーが強烈で、ディアンジェロが控えめすぎるようにも思える。でも、この(1stに通じる)シャイさ加減が彼らしいか。さて、この後はやっかいだから、良い子の音楽ファンはこれ以上聴かないこと(?)。

 バンドの演奏はどれも素晴らしくカッコイイのだが、ディアンジェロの多重録音によるボーカルが異様で(前作よりも、だいぶ後ノリで)全体のグルーヴに妙なギャップを生んでいる。最初はこれがすごく不安な気分にさせるし、取っ付きにくい。
 が、常習性がすごい。つまり何度も聴きたくなって、そのうちこの声の塊が心地よくなる。m4"The Line"のグルーヴは深い。m5"Send It On"のSweetさは文句なくソウルとして楽しい。m6"Chicken Greece"は、このアルバムのベストにもあげたい最高のファンク。が、その後にm7"One 'Mo Gin"が来て、完全にシビレまくってお手上げ、私はここでピークに達する。それにしても、すごいサウンドじゃないか!で、次曲への短いグルーヴ・チェンジがこれまたクール。
  m8"The Root"ではボーカル・ダビングいっぱい!とジャズ・ギターのリバースが(クールに)炸裂で変態色と浮遊感が極まるものの、全体的にはなかなかポップ。

 そんなこんなで聴いてくると、m9"Spanish Joint"はいきなりラテン・フュージョン風で、それまでの緊張感がとけてホっとさせるものの、同時に「ん?」と思ってしまう。確かに演奏もいいし、レベルの高い出来なんだけど、ちょっと知性がじゃましているような気がする。
 ロバータ・フラックのヒットであるm10"Feel Like Makin' Love"は、ずいぶんドンヨリしてて、あまり楽しめない。別に入れることなかったのでは。まぁ、スライの"Fresh"をねらったのかも?でも、これは長くって退屈。申し訳ないが、この曲は飛ばす。

 一回とぎれた緊張感は再び蘇らないのが常。だから、個人的にはm8の後に、m11"Greatdayindamornin' / Booty"に行って欲しかった。だって、このメドレーはやったらカッコイイのだ。せっかくの中毒状態をずーっと続けて欲しかった!
 そして、次のプリンスへのオマージュと言われるm12"How Does It Feel"はあまりにもモロなのにスゲェーと思わせる。再び、他との次元の違いに圧倒されるわけね。突然のカット・アウトもいい。

 ラストの"Africa"で、m1からのトータル性を示しているようだ。ずっとヴードゥーの儀式をやってトランスしてた聴き手を、じょじょに夢から目覚めさせるよう。それにしても美しいエンディング曲じゃないか。最後にジミ・ヘン風のリバースが亡霊のように聴こえるよ。

 彼にしか作れない作品だと認めるし、彼は本当の天才だと信じる。でも、何から何まで大絶賛ってことにはならない。それじゃ、贔屓の引き倒しになりかねない。別格の大傑作扱いのこのアルバムでさえ、彼にとってはピークではないと感じる。だから、新作をずっと待っているのに。
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by harukko45 | 2006-05-25 01:07 | 聴いて書く

D'Angelo/Live

e0093608_24358.jpg 96年に日本だけで出たディアンジェロの"Live"も、前作に匹敵、あるいは上回るとも言える傑作。
 
 まずは音が良い!1曲目が始まる前のクラブの雰囲気だけで、ワクワクさせる音質ではないか。で、始まったm1"Me And Those Dreamin' Eyes Of Mine"が凄い。ムワァーと広がっていくブラックでディープな世界を何と言えばいいのだろうか。
 濃密な作りのスタジオ盤とちがって、生のバンドの演奏がご機嫌なのだが、ここではちゃんと「Hip-Hop」的アプローチをミュージシャンが理解している。

 m2はアース・ウインド&ファイアーの名曲"Can't Hide Love"。この選曲センスがしびれます。バック・コーラスさんが弱冠音を外しておりますが、全体があまりにもカッコイイので帳消しになります。ここでのリズム・セクションはかなりアグレッシヴで最高。
 続く、スモーキー・ロビンソンの"Cruisin'"もスタジオ盤に劣らず、素晴らしい出来。フェンダー・ローズのバッキングが相当よいし、ライブならではの開放感がある。ほんと、これがソウルのグルーヴだよなぁ。

 m4の"MotherF'cker"から代表曲が続く。もー、ドンヨリして、クールで、アーバンです。ちょっと凄すぎかもしれません。ただ演奏面では、とっても参考になります。このようにバンドでやれるとかなりカッコイイということです。
 m5"Lady"の入りは最高にキマッテいます。ほとんどお手上げです。この曲でのバンドさん達、強力に良い!バック・コーラスの組み方もカッコイイ。いかにも黒人らしい主張のあるバッキング・ボーカライズで、個人個人のラインが聴こえてきて楽しい。
 m6"Brown Sugar"はスタジオよりも熱い仕上がりなのは、ショウの最後を飾ったからでしょう。ここでも、リードとバックのボ−カル陣がたまらんですが、どんどん煽っていくバンドの動きも聴き所。いったん終わって、チェイサー風に延々やるのが伝統的ソウル・ショウのようでニンマリ。イヤー、バンドのパフォーマンス最高!
 
 こんなに凄いディアンジェロに皆が期待するのは当然だったんだ。
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by harukko45 | 2006-05-24 02:04 | 聴いて書く

D'Angelo/Brown Sugar

 90年代はHip-Hopのもっとも輝いていた時代。ロックもソウルもその影響から逃れることが出来ない雰囲気だった。それで他のジャンルでは、ずいぶん陳腐な打ち込みものがアメリカでも日本でも席巻していたのだが、95年にデビューアルバム"Brown Sugar"を発表した、ディアンジェロによって全てが変わった。

 Hip-Hopの方法論を巧みに使いながらも、70年代のソウル黄金期に回帰していく「ネオ・ソウル」「ニュークラシック・ソウル」はここに始まったわけで、彼のあとにエリカ・バドゥやマックスウェル、ジル・スコットとつながって、現在ではアリシア・キーズやアンソニー・ハミルトン、ジョン・レジェンドあたりも絡んでくるんじゃないかな。
 デビューにしてR&B史上に残る大傑作をモノしてしまった彼は、この時まだ20才だったとは!

 m1の"Brown Sugar"にシビレない人はいないだろう、本当にソウル好きなら。
 全体にフェンダー・ローズやハモンドなのか、それとももっとチープなサンプリング・シンセなのかわからないのだが、そのエレピとオルガンのサウンドが「悪魔的」で「幻想的」で心底マイッてしまう。
 あとは打ち込みのビートで、これに(後ろでノって)粘っこく絡み付く、彼のファルセット・ボイスが超「ヤバイ」。マーヴィンもスティービーもカーティスもプリンスも、全てが濃縮されて組み込まれているが、決してノスタルジーでなく、Hip-Hopのフィルターを通して新鮮な響きを獲得している。
 本当に凄い才能だと思ったし、今聴いても凄い。これぞ、ブラックであり、黒人音楽にいくら憧れても、絶対にたどり着かない音楽世界だと感じる。
 
 m2以降もどれも素晴らしいが、特にm4の"Me and Those Dreamin' Eyes of Mine"からm5,6と続く流れは、マイルス亡きあとのジャズ・シーンを軽く凌駕してしまうようなカッコよさ。
 m7のスモーキー・ロビンソンのカヴァーも最高に良い。ボーカルの後ろでなってるストリングスのモノラル処理がニクイ。m9"Lady"には体が自然に揺れてしまうし、続くm10での大ゴスペル仕上げに感動する。ここでは完全にハモンドを使ってるでしょう。
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by harukko45 | 2006-05-23 23:59 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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