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 19日に恵比寿のアクトスクエアにて、安倍なつみさんのライブ「Special Time ~あなたとHoly Night」が行われ、バックをつとめてきました。7日にジョン・レノン・スーパーライヴが終了直後から、この日のためにずっと準備をしてきましたが、途中、時間に迫られて強くプレッシャーを感じてしまい、ずいぶんナーバスになってしまったこともありました。しかし、本番前には、今回の出来にかなり自信を持っている自分がいました。それは、最後のリハ日での通しの録音がとても良かったからでした。「これなら、イケル。大丈夫!」ってところでしょうか。

 そして本番は、私の予想通り、なっち本人が素晴らしいパフォーマンスを1回目から見せてくれ、頼りになるミュージシャン達、ツルノリヒロさん(Vln)、Ayakoさん(Vcl)、久保田邦夫さん(Gt)の演奏も良く、ステージ上が美しい一体感で満たされた感じでした。
 個人的には、これまで関わったハロプロ関連のライブでのベスト1、ひょっとしたら、今年のすべての仕事の中で、もっとも濃く、その音楽にもっとも共感できた内容であり、その仕上がりにもっとも満足できたものかと思っています。
 もちろん、このあとも仕事は続くので、これを上回る感動を体験できるかもしれないけど、少なくとも今の時点では、そのように強く思っています。

 それに、会場にはいつも熱いファンのみんなが集まってくれ、ステージと客席との近さもあって、馴染みの顔、久々の顔をあちこちに見ることが出来たのも、すごくうれしかったです。何とも言えぬ安心感みたいものを感じてました。

 セットリスト: m1.X'mas メドレー/a.Happy X'mas (Inst)〜b.サンタが街にやってくる (Santa Claus Is Coming To Town)〜c.ジングルベル (Jingle Bells)〜d.もろびとこぞりて (Joy To The World/Inst)〜e.White Christmas 2.best friend 3.22歳の私〜4.晴れ雨のちスキ 5.Yesterday Once More 6.Whitby Bay (ミュージカル"ドラキュラ"より) 7.On My Own (ミュージカル"レ・ミゼラブル"より) 8.チキンライス〜9.雨上がりの虹のように〜10.くちびるで止めて En1.Daydream Believer 2.愛しき人〜3.きよしこの夜 (Silent Night)

 今回は、なっちと本田プロデューサーとの企画・構成・演出が素晴らしかった。それを、出来る限り良いものとして音にするための努力は惜しみませんでした。なので、本番まではとても苦しい時間であったけど、本番を無事終えることができた時の喜びは、何倍にもうれしいのでした。

 あらためて、ファンの皆さんにはお礼を申し上げます。いつもいつも応援してくれてありがとうございました。そして、バンドのメンバー、スタッフの力強いサポートなくしては、何もできないことを今回はつくづく感じました。
 そして、安倍なつみさんのここ数年の大きな成長ぶりが、このライブの成功の最大の要因だったことは間違いありません。常にチャレンジすることを忘れずに、自分を追い込んでいくのが彼女の真骨頂であり、実はコツコツと準備と努力を重ねていく姿勢が、本当に素晴らしいのです。だから、本番がもっともいい出来になるのでした。こういう現場に立ち会えたことに、大きな感謝と敬意を彼女に贈りたいと思います。
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by harukko45 | 2013-12-21 00:34 | 音楽の仕事

 7月に大橋純子さん、水越けいこさんのツアーを完走したものの、休み暇なく、安倍なつみさんのバースデイ・ライブの準備にとりかかった。

 8月3日からリハが始まったが、なっち自身が超過密スケジュールで、ミュージカルの大詰めの稽古とこちらのリハを掛け持ち。よって、あちらが終了次第、こちらに来て合わせ、再びあちらへ、みたいな状況だった。バンドだけでもしっかり固めることは大事だが、やはりご本人と一緒に流れを作っていくことはとても大事。なので、今回はどうしてもそこの部分が時間的に足りなかった。とは言え、やるっきゃないのだから、短い時間内でも全員が集中して頑張ったのでした。

 それに、すごく忙しいことは、ある意味で集中力が高まっているし、気分も高揚している。それを、上手に使いこなせるのが、なっちであり、「さあ、やるよ!」ってことになってからのパワーは素晴らしいのだ。だから、本番に強いのです、彼女は。

 で、今年の会場はお台場の「Zepp DiverCity」で、昼・夜2回公演のコンサートとして行われた。内容的には今さらクドクド書くこともないと思うが、特にモーニング娘。の元メンバーが4人もかけつけてくれて、なっちとコラボしたので、例年よりも華やかさが増したのでは。
 そのコラボ・コーナーがあったことで、今回はカヴァー曲なしの、全編オリジナル曲に徹していたのも良かったと思う。

 ということで、今回のセット・リストは以下の通りです。

 昼の部/m1.雨上がりの虹のように〜2.微風、3.夢ならば〜4.Best Friend、5.男友達 (with 新垣里沙)、6.雨の降らない星では愛せないだろう (with 中澤裕子)、7.たからもの (Summer Arrange)〜8.愛しき人 (Birthday Arrange)、9.せんこう花火、10.夕暮れ作戦会議〜11.あなた色 En1.くちびるで止めて、2.トウモロコシと空と風〜3.真夏の光線

 夜の部/m1〜4まで同上。m5.男友達 (安倍バージョン)、6.愛あらば It's All Right (with 小川麻琴)、7.雨の降らない星では愛せないだろう (安倍バージョン)、8.たからもの〜9.愛しき人、10.せんこう花火、11.夕暮れ作戦会議〜12.あなた色 En1.くちびるで止めて、2.好きでX5 (with 保田圭)、3.トウモロコシと空と風〜4.真夏の光線

 昼と夜ではゲストが代わり、曲も代わった。夜の部では、圭ちゃんがTV収録の関係で前半部分には間に合わず、なっちが一人で歌う部分が増えた。とは言え、リハをやっているうちに、「男友達」と「雨の降らない...」がビシっとはまってきていて、一人で歌いたいという思いが強くなったようだ。なので、本当に最後最後で決まった、これも一つのサプライズ。

 そのかわり、圭ちゃんはアンコールでの登場となり、構成的にはコンサートの終わりが少し重くなったとも言えるが、この日のお祭り気分の中では、さして問題ではなかったと思う。

 さて、ザックリと頭から振り返ります。私のキーボードのみによる短いオーバーチュアから、m1へとなだれ込んだ2010年のシングル、"雨上がり..."はなかなか息の抜けない曲。アレンジした萩田光雄さんが綿密に書いてられるので、どれもこれも「外せない」音ばかり。
 私は昨年、「少し窮屈なので、次回は変えてみたい」てなことを書いているが、今はそれが間違いだったと思っている。こういう70年代風に仕上げられた曲は、決められたことをきちんとやり抜くことが大事なのだ。
 ただし、演奏上のニュアンスは違う。コンサートのオープニング曲ということでもあり、あまり抑えた表情ではなく、特にリズム隊の二人には、つねにタイトな演奏を心がけてもらった。それにより、岡村孝子さんの世界観よりもロック的な印象が強くなったかもしれない。
 夜の部ではファンのみんなによるサプライズで、会場中がサイリュームで素晴らしい演出をしてくれた。なっち自身はすっかり感動して1曲目からウルウル・モードだったね。これは実にナイスでした!

 続けてのm2では、はっきりとバラードとして演奏し、メリハリをつけてほしいとのリクエストがあったので、今回は1コーラスを基本ピアノとアコギだけでバッキングすることにした。効果としては良かったと思う。
 ただし、昼の部では、曲つなぎを意識しすぎて、私のテンポが早かった。プレイバックを聴くと、これはこれで悪くないのだが、実際のステージではちょっとしたテンポの差にも敏感に各自が反応してしまい、全体に落ち着きない感覚で曲が進んでしまったようだ。
 夜では、曲間に時間を置いてスタートしたので、ほぼパーフェクトな流れだった。個人的にはとても満足できる内容だったと感じている。
 
 m3の「夢ならば」は、なかなかの佳曲ではないですか!CDで聴くよりも実際に演奏する方が、良さに気づいた。なっちも、リハで久しぶりに歌って「あら、いい曲なんですね」とマイクを通しての独り言。「Best Friend」はめでたくネット配信決定、それもこの日のライブ・バージョンで。会場にいた方はお分かりと思うが、昼の部ではギターソロの後、なっちが歌に戻れなかったので、当然、配信されるのは夜の部バージョン。で、このテイクは、全員が一丸となって「キメテやる」モードだったので、勢いがあった。それでいてミスもなかったので、文句無し。

 ゲスト・コーナーでは、小川真琴さんを迎えた「愛あらば...」が楽しかった(面白かった)。マコちゃんは、リハでも「時間が許す限りお願いします!」とばかりに、何回も何回も歌ってましたし、不在だったなっちへの置き手紙をするなど、実に楽しい人。本番では、それらのかい無く(?)、随所に崩壊しているんだけど、それがまた愛らしい。
 ガキさんは、実際にお目にかかると、ハっとする美人なんだね。ステージングも落ち着いて堂々としてた。声がなっちに似てる気がする。一瞬、どちらが歌っているのか、わからなくなったです。

 中澤さんは、もう貫禄って感じだけど、「雨の降らない星...」の2コーラス目のサビ前でポーズするところ、なっちとのタイミングは完璧でしたね。なっち曰く「もし、息が合わなかったら、二人の14年間は何だったのでしょう?」
 圭ちゃんは、本当にさすがでした。この人の音楽的才能は前からよく知ってたけど、あらためて感心した。難しいハモ・パートもすいすいだし、なっちとのバランスもイイ。この二人は、とっても素晴らしく声が馴染むし、共に歌うのが大好きなのがよく伝わる。

 さて後半、アレンジ変更もふくめて、おなじみ曲がぞくぞくとつながった。「たからもの」はオリジナルよりも少し明るい感じを加えること、「愛しき人」はいい意味での「裏切り」を見せてほしいとの要望があり、共にカリブ海風、夏向きアレンジとなった。「愛しき」でのスカ・ビートには馴染めない人もいたかな?
 本編ラストの「あなた色」は、インスト部分を広げて、バンド全体で盛り上がってほしい、ということで、かなり熱い展開になった。ちょっとサンタナ風だったけど、演奏中は全員の鼻息が荒かったぞ!

 アンコールもなかなか濃厚な曲が続いたので、息が抜けない。で、大ラスの「真夏の光線」は「これでもか!!」って曲だから、もう頑張るのみね。それにしても、この難曲をバンドの皆さん、よくやり切ってくれました、私からも感謝感謝です。

 終演後は、みんなヘトヘトでした。昼と夜とを比較すると、演奏的には昼の方が全体に安定していました。なので、純粋音楽的に良い部分もあり、捨て難い。ただ、夜の部のお祭り騒ぎ的なテンションの高さは、これはもうどうしようもない。プレイバックをチェックしていくと、思わずニヤニヤしてしまう瞬間があるのでした。
 DVDがどのように編集されるのかは、私にはわかりませんが、どのように使われても問題なしと思っています。それだけ、今のなっちとバンドの状態は良い、と思っているから。

 会場を出てから、なっちとメンバー、スタッフで食事にいきましたが、私は翌日朝一で徳島に向かわねばならず、中途でお別れしました。そもそも、最初は打ち上げに参加しないつもりでしたが、何とも離れがたい気分になってしまい、参加してしまいました。若いメンバーっていうのは、成長が著しくって、見ていてワクワクさせられます。それは、なっちもそうで、どんどん良くなっていくし、そのスピードが早いって、それが若さなんだろうな。

 そして、いつもいつも熱い応援をしてくれているファンの皆様には、最大限のお礼をしたいと思います。個人的には、なっちに是非ともライブ・ツアーに帰ってきて欲しいですが、それは今後の希望として、少ないながらもこういう機会で、皆に再会出来る事をこれからも楽しみしています。
 本当にありがとうございました。そして、これからも、なっちを応援し続けてください。
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by harukko45 | 2013-08-29 17:10 | 音楽の仕事

(2)からの続き。

 En1.22歳の私

 アンコールをいただいての1曲目は、なっちのソロデビュー曲で、つんく氏が気合いを入れて作った感じがよく伝わります。冒頭に付け足したキーボード・ソロはリハーサル時にはいまいち決まらずに演奏していたのですが、本番初日にようやくアイデアが固まりました。とは言え、その場のアドリブ的な要素は強かったです。で、おもむろに"22歳..."の印象的なイントロへつなぐ形に。

 なっちとファンの皆さんにとっては、ソロ1作目だから思い入れも強い曲でしょう。私は初めて演奏したので、とても新鮮な気持ちでやれましたし、リリースされた時を追体験するような気分にもなりました。なので、大事に演奏しないといかん、という意識は強かったです。

 ふと思う事に、「作曲家は生涯1曲しか書けない」というのがほぼ定説ではないかと考えますが、つんく氏においてもそうで、全ては過去に書いた傑作のバリエーションと言えます。でも、だからこそ、作家の個性を主張できるとも言えるわけで、けっして悪いことではないのです。
 が同時に、それはマンネリとの裏表でもあり、そこにアーティストとしての苦悩も見え隠れしてくるのでした。
 なっちが、ソロになってからちょうど10年を経て、もう一度この曲を取り上げたというのは、やはり大きな意味があると思います。大きな節目を迎えて、彼女自身が10年間を振り返りながら歌うと、同じ歌詞が22歳の時とは全く違う内容に感じられるのではないでしょうか。

 あらためて、なっちの成長と同時に、曲も成長することを再確認できました。

 En2.愛しき人

 ライブの大ラスは超定番曲。もはや、何も付け足す事はありませんが、何度やっても会場中が一つになる体験は最高です。こういう喜びにはマンネリはないんです。常に感動と快感です。

 さて、ツアーはあっという間に終わってしまいました。例年以上に寂しいです。でも、これは私が年を取ったからでしょう。他のメンバー達は未だにワイワイとLINEで連絡取り合っているし、バリバリと他の現場でも演奏しているようです。もちろん、なっちご本人も舞台稽古が大詰めで頑張っていることでしょう。
 いつまでも、ノスタルジー(?)に浸っていてもしかたない。ひょっとしたら、夏に再会できるかもしれませんしね。そんなことを秘かに期待しながらも、まだまだ頑張っていかねば。

 最後に、常に暖かく迎えてくれ、そして送り出してくれるファンの皆様に、再度お礼を。本当にいつもいつもありがとう。


 
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by harukko45 | 2013-04-01 15:23 | 音楽の仕事

(1)からの続き。

 m6.Alone〜7.Blue Velvet

 ライブ中盤、カヴァーを2曲。岡本真夜さんの"Alone"は1996年にリリースされたヒット曲。その後、ご本人による別バージョンがいくつかあり、今回は2009年の「Crystal Scenery II」に収録されたバージョンをベースにしました。その時の岡本さんのテイクは、思いっきりエンヤ風な仕上がりで、多重録音されたボーカルやエコーの強い打ち込みが特徴ですが、そのゆったりとしたテンポ感やニュアンスを意識しながらも、比較的シンプルな形でまとめることにしました。
 なので、この曲のみヴァイオリンには休んでもらい、キーボードとガット・ギターを中心に淡々としたバラードにして、切なさや寂寥感を引き出せるように心がけました。
 とにかく、詞がかなり来るので、どうやっても「たまらんなぁ」って感じになります。なっちはこの歌詞をとても大事に思っていたようで、最初は少し短くする予定が、「どうしてもカットしたくない」との希望でフル・コーラスになりました。

 工藤静香さんの"Blue Velvet"は、なっちがオーディションに受ける時から、ずっと歌いたかったという曲。それをこれまで封印してきたわけですが、今回初めて歌うことに。その念願がかなった喜びを、リハで彼女は爆発させました。
 とにかく、1回やってすぐに「カッコイイ!」を連発して、「もう今日はこれで終わりにしてもいいです。」って言うぐらいの興奮ぶりでした。確かに、なっちに合うんだね、こういう曲が。
 作ったのが、はたけさんだから、何となく関連性はあるような、ないような、ま、いいか。

 で、ハードなこの曲は、ある意味、後半への火付けにもなってました。

 m8.best friend〜9.くちびるで止めて〜10.月色の光〜11.ザ・ストレス

 "best friend"は、ファンの皆さん待望の新曲、それも今回のライブで披露するための書き下ろしっていうのが凄い。しかし、私のところにデモが送られてきたのはリハの3日前ぐらいで、歌詞もタイトルもまだ未定状態。メロディと構成が決まったところで、ライブに向けてのアレンジは私の方でやり、メンバーに譜面を送ったのはリハの前日だったかな。
 つまり、ギリギリまでどのような曲になるかは分からずだったけど、それだけ、なっちとスタッフとで真剣に曲を煮詰めていったとの事です。

 その分、リハで実際に演奏し始めると、とてもスムースにバックは仕上がっていき、なっち自身が歌詞とメロディを体に覚え込ませるために、一番回数多く練習したことで、我々の方も十分馴染んだ状態で本番に臨めたのでした。
 だから、初披露にもかかわらず、かなり熟れた内容で、みんなが自信を持って演奏できていたのが、すごく良かったですし、予想以上に好意的な反応が多く、公演が進むにつれて、どんどん熱気を帯びて迎えられた感じがしました。
 全体的にはストレートなロック・チューンですが、女性ポップらしい柔らかさやしなやかさがあって、なかなかの佳曲になりました。それに、単純にノルよね。

 そして、そのまま続けた"くちびる..."は、定番のライブ曲だから、ファンのみんなも一緒になって盛り上がれるところ。実は最初はこちらでメンバー紹介のはずだったので、サイズを長くして各メンバーのソロを入れたのですが、バンド全体のうねり具合が気持ちよかったのと、ショウの後半での盛り上がりもあって、そのままの形になりました。これも、ライブハウスならではかもしれません。

 大いに会場が熱くなり、こちらもかなり燃え上がったところで、"月色の光"。この展開は、私としても意外だったし、なっちもスタッフもちょっと心配していた部分。前にも、このようなセット・メニューが提案された時があり、リハが進むうちにあまりしっくり来なくて、結局"月色"が外されたことがありました。だけど、もったいないぐらい良い曲なので、誰もがうまく生かしたいという気持ちがあり、再チャレンジしたのでした。

 この曲への不安は、リハ初日の段階ではやはりあったのですが、今回のバンドによるサウンドが、私にはとてもよく感じられたので、このまま曲を変更せずにやり切ることを提案しました。プロデューサーもそのつもりだったようですし、なっちも変えないことを決心しました。
 結果は全くもってオーケーだったと思います。"月色"はどちらかというと、昭和初期・1930年代の上海歌謡のような雰囲気があって、不思議な魅力があるのです。それを自然とみんなが意識して、曲の良さをうまく引き出してくれたと思います。

 さて、普通ならこれで終わりか、と思いきや、突然の"ザ・ストレス"。打ち合わせの段階では、オマケ的な要素もありつつ、ノリノリでエンディングを迎える感じでしたが、自宅で考えているうちにいろいろやりたくなって、どんどん盛り上がってしまい、かなり濃い内容になりました。
 正直、曲としてはシンプルだし、ノリもラテン・ディスコ調ジャズ・ファンク風味って具合だから、放っておいてもそれなりに盛り上がると予想がつくわけです。

 でも、過去に何度かやっているし、今回はもうちょっと別の色を出したくなりました。そこで、スタジオ版ではかなりメイン扱いのサックスによるセクションをやめ、そのすべてのフレーズをピアノとヴァイオリンでやることにしました。
 これは、タンゴ風のアンサンブルを目指しました。細かくキメキメのフレーズをすばやく弾かなくてはいけないので、なかなか大変でしたが、アメマのヴァイオリンが実に正確で、しっかりと支えてくれましたし、私とのコンビネーションもバッチリでした。

 打ち込みのパーカッションもエスニック風味をより強調したのと、バネの効いたブレイク・ビーツも加えたので、かなりグルーヴィになったと思います。期待に応えてリズム隊の二人も、グイグイと引っ張ってくれましたし、カズくんのギター・カッティングが、なかなかオシャレでかっこ良くはまりました。
 全体的にはいい意味での「団子・カオス状態」となり、ひと固まりになって一気に突き進むような感じになったと思います。

 そして、なっちがステージを去った後からエンディングにかけては、完全にバンドによるインストとなり、私がソロを受け持ったわけですが、これが毎回興奮しすぎてのハチャメチャさぶりでしたが、かなり沸点の高い演奏になっていました。そして、最後はドラマティックに終わりたかったので、少し過激な音使いをしてアクセントをつけました。今思うと「007」っぽい感じもありましたね。
 とにかく、なっちも大いに喜んでくれた新「ストレス」は大成功でした。それは、各会場各ステージともに、客席から熱狂的な拍手をいただいたからです。これがあるから、音楽はやめられないわけです、ハイ。

(3)ヘ続く。
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by harukko45 | 2013-04-01 00:56 | 音楽の仕事

 今月、東名阪3カ所で8公演を行った、安倍なつみさんのライブについて、セットメニューにそって振り返っていきます。

 まずは、今回のライブでは、ギターが久保田邦夫さんから黒沢和貴(カズ)さんに代わり、新たにヴァイオリンの雨宮麻未子(アメマ)さんを加えた5人編成になりました。経験豊富で頼りになる久保田くんが参加できなかったのは、とても残念でしたが、その分、若いエネルギーにあふれたカズとアメマの登場は、バンド全体に新鮮さをもたらしてくれ、素晴らしい音楽的成果を上げることになりました。
 これは、私にとっては思いがけない喜びであり、今回のメンバー・チョイスが大成功であったと言う事でもあります。
 また、私以外がなっちを含め、ほぼ同世代のミュージシャンがそろい、女性が4人になったことも大きいかも。それにより、私は一人オヤジ状況となりましたが、まぁそれも良し。若くイキのいいミュージシャン達の演奏や日々の振る舞い方に接するのも、すごく刺激的でありました。

 Opening Theme〜m1.ふるさと〜2.夕暮れ作戦会議

 今回の会場が「コットンクラブ」「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」「ブルーノート名古屋」と言う事で、そのイメージが全体に影響した構成になったようです。特に「コットンクラブ」と「ブルーノート名古屋」はステージに上がるのに、客席を通っていくので、バンドが先に演奏を始めて、なっちを呼び込むようなオープニング・テーマを作ることになりました。
 それと、ある程度「ジャズ」っぽいムードも取り入れて、とのこと。ギターのカズは、フュージョン系のテクニカルなギタリストでもあるので、ピタっとハマります。それと、アメマもポップス的なノリをちゃんと理解しているヴァイオリニストで、フレージングの一つ一つをグルーヴィに弾いてくれるので、本当にありがたかった。
 割とシンプルなブルーズっぽいインスト曲になりましたが、あまり「ジャズ」系に行き過ぎず、なっちのポップさとうまくリンクするように心がけました。なかなか良かったと思ってます。

 で、なっちがステージに上がって、おなじみの"ふるさと"へ。
 
 私やアサミンは、何度もやっている曲だけど、正直、今回の"ふるさと"はこれまでで一番の仕上がりと個人的にはかなり悦に入っています。ここでは、ヴァイオリンとシンセ、ギターとピアノ、ベースとヴァイオリン、といったそれぞれの関係性をうまく生かしながら、スタジオ版のおいしい部分をライブで十分に再現出来たと思いますし、ライブらしいダイナミクスに富んだパフォーマンスになりました。歌ものっけからビシっと来てたし。
 私は、なっちが"ふるさと"を歌うと、特別な感情がいつも沸き上がりますね。それから、コットンクラブの2日目には彼女のお母様がいらしていたので、さらに思いが詰まったものになりました。

 続けての"夕暮れ..."は一転してのロックですが、ジャズ〜バラード〜ロックと音楽のスタイルの違いを明確につけることも、今回のテーマでもありました。ライブハウスでは何より「音楽」「演奏」「歌」が中心になるのは当たり前なので、当然、それだけで楽しませるための頑張りや工夫は必要なのでした。
 ここでは、ハードなディストーション・ギターとヴァイオリンのからみが、70年代っぽくって面白かったし、私のキーボードもかなり歪んでいて、あの時代的。とは言え、実はこの曲はAメロの静かな部分が一番カッコいいところで、ほぼベースのグルーヴだけで歌が乗っかるのが良いのです。

 m3.ヴァンサンク〜4.I'm In Love〜5.息を重ねましょう

 続くコーナーは、今回の中でもバンド的には一番難しい部分。"ヴァンサンク"には「27」バージョン」もあって、そっちの方がやりやすい部分もあるのですが、自分が聴き手として、どっちが好きかと言えば、圧倒的に「25」。それに、ちょっと室内楽的・サロン的なムードのある「25」が会場の雰囲気にも合うと思いました。ただし、イントロはカットしてボーカルから入るのは「27」の形。
 スタジオ版のフルートやストリングスがやっている部分をピアノとヴァイオリンに移し、ガット・ギターでさりげなく色づけをしてもらいました。曲自体はシンプルながら、コード使いがジャズ的で複雑なので、なかなかやっかいな所も多いのですが、大阪あたりから全員の固さが取れて、すごく良くなりました。

 "I'm In Love"は当初、"ヴァンサンク"からの流れでアコースティックっぽいニュアンス、あるいはフォーク的なアプローチにしようかと考えたのですが、リハーサルでやっているうちに変化してきて、スタジオ版のAOR的なノリも取り入れつつ、ギターもエレキにすることになりました。
 なので、最初のアイデアとは違うものの、元々、私にはこの曲が70年代の名ポップ・ロック・バンドであった「Three Dog Night」の大ヒット"An Old Fashioned Love Song"を思い起こさせるものだったので、結果として、そっち方面のサウンドでまとまったのは、ちょっとうれしかったです。

 歌とともに主要なパートは、ほとんどヴァイオリンに任せましたが、アメマは実に素敵な表情を出してくれて、よく歌ってくれました。なっちのボーカルを引き立たせたり、からんだりする差し引きも的確で、本当に素晴らしかった。

 続けた"イキカサ"はファンにはすっかりおなじみの定番曲。だから、いろいろなアレンジでやることも多い曲の一つ。それだけ、曲としてよく出来ているから、どうアレンジを変えても成立するということです。
 とは言え、「今回はジャズ風に」との注文があり、実はちょっと不安でもありました。そもそもメロディのノリ方が違ってくるからです。なのでこれは、なっちが登場して合わせるまで、どうなるかはわかりませんでした。しかし、勘のいい彼女はすぐにノリを理解してくれました。ミュージシャン的には「ハネる」って言っている感じです。

 この曲のサビはどう転んでも、パーっと広がっていく作りになっているので、そこまでの部分で、ジャズ的なオシャレ感とか、大人っぽさが作れれば御の字でした。
 ここでは、私、ナカムラ、アサミンの3人がうまく「それっぽさ」を出さないといけないのでした。アサミンはブラシとスティックを持ち替えたりして、器用さも見せてくれましたし、ショーコちゃんは元々いいグルーヴを持っているのと、どんどんトライしてくる姿勢が楽しいのです。

 それで正直、リハよりも本番の方がうまくいったと思いました。常日頃、ジャズって「ムード」が大事なんだと考えていましたが、やはり、実際にそういう空間でそういう気持ちでやると、ちゃんと「ムード」が生まれるのでした。リハでは、うまくまとまっていても、あと一つ足りないものは、その「ムード」だったわけです。

 途中で、メンバー紹介も含めたソロ回しもあり、ファンの皆さんの手拍子なんかも効果的で、すごく楽しい仕上がりになりました。
 で、個人的なイメージでは、このジャズ・バージョンは夢の中の世界の出来事で、楽しい夢が終わって目覚めたら、オルゴールみたいにエンディングのメロディが聞こえる、って感じにしたかったのでした。まぁまぁ、そういう雰囲気(twinkle,twinkle...)には近かったかな、とは思っています。

(2)へ続く。
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by harukko45 | 2013-03-31 17:37 | 音楽の仕事

 先週の土曜日に、安倍なつみさんの「Special Live 2013」の最終日、名古屋ブルーノートでの公演があり、今回のツアーが終了しました。うー、終わってしまって、すごく寂しい。なっち、バンドのメンバー、スタッフの皆さんとは約2週間の帯同でしたが、とってもいいチームワークが生まれていたので、これでみんなと別れてしまうのが、残念でたまりません。
 名古屋のライブから3日も経ったけど、どことなくぽっかり穴が空いたような気分を引きずっている自分がいます。

 とは言え、今月はまだ大事なライブが残っているので、ちゃんと切り替えて取り組まなくてはなりません。なっち自身も4月の舞台に向けて、すぐに稽古場に戻っていったのだから、こちらもそれを見習わなくては。

 詳細については、もう少し落ち着いてから書きたいと思います。まずは、名古屋最終日に集まってくれた熱い熱いファンの皆さんに、心より御礼を申し上げます。名古屋ブルーノートは客席からの熱気がすごくステージに伝わってきて、実に気持ちのいい臨場感が生まれる会場で、個人的にも大好きな場所なのですが、まさにあの日はこれまでの各会場でのみんなの思いが結集したかのような強さを感じました。
 それが、我々にどれほど力を与えてくれたかは計り知れません。でも、聞いていてくれた皆さんにもステージ上の充実感はちゃんと届いたのでは、と確信しているのでした。
 もちろん、個人的にも全体としても「もっと良く出来たのでは」と思う部分はあります、が、多少自分の理想とは違って、少しカッコ悪くなっているところも、気持ち的には強い情熱を持ってトライ出来たことだったので、「けっして悪くない、まだまだイケル」って思えるのでした。

 なんて、結局ズルズルと長くなりましたが、とにかく、ファンの皆さんにお礼を、本当にありがとうございました。それから、これからもなっちをよろしく。本当に素晴らしい頑張り屋さんであり、常に高い意識を持って成長しようとする人です。
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by harukko45 | 2013-03-26 11:15 | 音楽の仕事

 昨日、安倍なつみさんの「Special Live 2013~twinkle night~」として大阪で2回公演して、本日帰ってきました。かなりの悪天候の中、会場に来てくれたファンの皆さんに心より感謝です。ありがとうございました。
 会場であるフラミンゴ・ジ・アルーシャは、先日のコットンクラブに比べると、ステージが小さく、客席との距離も近いので、いろいろな部分で感じが変わりました。ある意味、アット・ホームな良さもあるので、音楽の鳴らし方も変化するってところでしょうか。

 ただ、1回目の時は、外の強い雨の影響もあってか、ステージ上の湿度がとても高く、何とも「音が前に来ない」感覚になっていました。なので、各メンバーともにモニター環境があまりいい状況ではなく、バンドとしての一体感を作り出すのに苦労していました。それでも、なっちを始めとして個々で頑張って、ステージを盛り上げていったのでした。

 1回目終了後、バンド・スタッフ間で話し合い、もろもろの調整を短い時間でやりました。それだけでなく、2回目のステージでは、各メンバーの他の人の演奏を「聴き取ろう、感じ合おう」という意識もより高まったので、本来のバンドとしてのあるべきサウンドに皆で共鳴できたのでした。

 さて、無事に2回公演を終えて、全員で宴会となりました。こっちの方も大いに盛り上がって、楽しい楽しい夜になってしまいました。やはり、力を出し切った後のお酒はサイコーです。
 明後日、ツアー最終日、名古屋ブルーノートも頑張ります。
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by harukko45 | 2013-03-21 15:44 | 音楽の仕事

 昨日、大阪にて松崎しげるさんと大橋純子さんのジョイント・コンサートが無事に終わり、今月のライブ前半戦が終了しました。特に先週は安倍なつみさんとのコットンクラブでの2日間があったので、なかなかヘビーな状況ではありましたが、どのコンサートも充実した内容でしっかりとやり遂げる事が出来たので、個人的にかなり満足しておりますし、とてもうれしい気分です。

 15、16日の丸の内コットンクラブでの「Abe Natsumi Special Live 2013~twinkle night~」はまだ大阪と名古屋を残しているので、内容についてはお伝えしませんが、両日計4ステージにお越し下さったたくさんのファンの皆さんには、本当に本当に心からの感謝の言葉を贈ります。おかげで、素晴らしい空気感が会場にあふれ、我々ステージ側の人間を大いにもり立ててくれたと思います。
 それによって、各ステージそれぞれがどれも良いショウとして成立していたと確信しています。そして、なっち自身が一皮向けて、ボーカリストとして大きな飛躍を遂げつつあることも見て取れたのではないでしょうか。
 なので、この後の大阪・名古屋にお越しの皆さんも大いに期待してほしいですし、それに応えるべく、磨きをかけるように取り組んでいきます。とは言え、2日間の録音を聴くと、当事者としてでなく、聴き手として楽しめてしまうので、すごくうれしいのです。

 さて、なっちの4ステージを終えての翌朝に大阪に向かい、松崎さんとジュンコさんのジョイント・コンサート2ステージでした。これはやはり、体力的にはかなりきつかったです。正直、午前中の会場でのリハーサルでは半分ボーっとしてたかもしれません。
 が、昼の1回目が始まると、とっても豊かな音楽空間が自分を包んでくれて、非常に集中して演奏に向かうことが出来たのでした。たぶんこれは、連日続けて内容の濃い演奏をしてきたことに加え、松崎さん、ジュンコさん、バンドのメンバー達の深みのある表現に感動したからに違いありません。
 なっちの現場での若々しく力強いエネルギーには大きな刺激を受けますが、先輩格のミュージシャン達から受けるものにはまた格別なものがあるのでした。

 また、新歌舞伎座の音響が私には、とても良く感じられました。そのせいか、ステージでやり慣れている曲の一つ一つが、実に新鮮に響いているように思えたのでした。こういう時は、とても安心した気分でいられるし、演奏する楽しさも倍増です。
 それと、大阪のお客さんの反応の良さ、この時間を楽しもうっていう精神がやっぱり良いですなぁ。それがステージにも返ってきて、良い相乗効果を生んでいくのでした。素晴らしい大阪の皆さんに感謝感謝です。
 夜の2回目は、さすがにヘトヘトでしたが、気合いで乗り越えました。とにかく2時間を越える内容での松崎さんとジュンコさんですから、バンドは全力投球でやり切るのみです。いやぁ、帰りの新幹線でのビールが「これほどウマイものか!」と思いましたよ。
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by harukko45 | 2013-03-18 18:52 | 音楽の仕事

3月のライブ

 今日から3月、ライブ関連のお知らせをさせてもらいます。

 3月15日(金)16日(土):安倍なつみ「Abe Natsumi Special Live 2013~twinkle night~」丸の内コットンクラブ
 3月20日(水):安倍なつみ「Abe Natsumi Special Live 2013~twinkle night~」大阪フラミンゴ・ジ・アルーシャ
 3月23日(土):安倍なつみ「Abe Natsumi Special Live 2013~twinkle night~」名古屋ブルーノート
 3月28日(木):王様 築地Blue Mood
 3月29日(金):濱田“Peco”美和子 「春爛漫!薔薇満開!」目黒ブルース・アレイ・ジャパン

 また、3月5日、6日(横浜)、17日(大阪)は企業イベントですが、松崎しげる&大橋純子ジョイント・コンサートに参加します。

 それでは、よろしくお願いします。おっと、王様の広告を掲載します。

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by harukko45 | 2013-03-01 00:16 | 音楽の仕事

詳細(1)の続き。

 6月2日の渋谷O-EastにおけるSparkling Liveから2ヶ月後、8月10日渋谷AXで行われた安倍なつみさんのBirthday Liveについて書いていきます。

 AXのライブへの準備として、7月18日に最初の打ち合わせがあり、その前にはメニューの概要と音源が送られてきたので、いつもよりも余裕のある始まりとなった。ただ、細かい内容はバースデイ・ライブの性格上、シークレットな部分も多く、実際にはどういう流れになるのかは、当日にならなければ私にもわからないのだった。
 そんな中、曲については彼女の代表作と言えるものがずらっと並び、そこに大きな変更を加えるのでなく、じっくりと歌い聴かせるという意図が感じられた。6月の「ハジケ・バージョン」とは対称的な内容を目指すわけだ。
 
 m1.トウモロコシと空と風〜2.くちびるで止めて

 ライブの前に行われた会場のみんなとのバースデイ企画については、我々バンドもよく知らずに参加していて、「おー」「へぇー」って感じで見守っていたわけです。で、司会の方のキューでライブ・ステージとなったのでした。
 m1は、なっちコン・夏の定番でありますが、O-East同様、そんな定番曲を頭に置き、メンバー紹介もやり、会場とのフリツケ・コーナーもありという、まさにフル・コース仕様となった。
 ライブでの「トウモロコシ」は、CDとは違う岩崎はじめさんのアレンジが定着していて、今回もそれを踏襲する形。
 そもそも、CD版はイントロのキーがF#で、歌に入るとAになる進行。リズムもキメキメのベース・ラインで、R&Bぽいグルーヴ感を強調している感じ。これはこれで悪くないのだが、ライブではちょっとキーが低く、ボーカルが少し暗い印象。なので、キーをBに上げた現在のバージョンになったのだろう。

 ただ、オリジナルにも捨て難い部分があり、特にBメロの部分のベースの動きは面白い。ただ、グルーヴ感が違うので、その辺をしょーこちゃんがうまく処理してくれ、これは実に良かった。また、2コーラス後にブラスのセクション・パートも取り入れたし、ブラスのフレーズはサビでも効果的だったので復活させた。そんなこんなで、私はいきなり頭から忙しい。他の曲でもやることが増えたので、キーボードが2台から3台になり、音源も増え、システムも複雑化した。
 しかしこれは、私としては最初から意図していたことで、この2ヶ月の間に経験した大橋純子さんとのツアーでの成果を、なっちのコンサートにも生かしたいと思ったのだった。
 言わば、やれそうなことは全部やる準備をし、そのためにはシステムを拡大し、なおかつトライすることに留まらず、完全にやり切る。これが今年のモットーとなったわけ。

 具体的には、曲のオーケストレーション、色づけは私一人でやってしまうということ。その上で、他のメンバーは生き生きとした個性を発揮してもらい、それを大きくフィーチャアしたいと思った。それはギター・ソロだったり、コーラスだったり、リズムのグルーヴだったり。
 この構想は、なかなかビューティフルなのだが、その分、自分自身への課題が増えて、責任も重くなった。まぁでも、これも楽しむことが大事。

 とは言え、1曲目の「トウモロコシ」からプレッシャーを感じてしまい、全体に固くなっちゃったところもあった。メダルを前に足が止まるってムードか、いやはや。

 m2は6月にもやっていたので、かなりスムースでノリも良かったね。バンド全体に自信が感じられて頼もしかった。

 m3.晴れ雨のちスキ〜4.雨上がりの虹のように

 「さくら組」のシングルであるm3は、つんく氏の名曲の一つでしょう。私には、オリビア・ニュートン・ジョン的な70年代後半の良質な女性ポップ・ソングのエッセンスが感じられて好きだ。
 初めて聴いた時は、Bメロ冒頭のベース音がおかしく思った(最も保守的に考えると、コードはA♭が無難だが、ベースだけAを弾いている)んだけど、ここの響きは、聴けば聴くほど病み付きにやる。だが、単にコードネーム(例えば、Adim▵7)通りに鍵盤を押さえるというよりも、Adimのコードの上に、8分でC・E♭・A♭と弾くことでクールな感じになる。
 こういうちょっとしたところにアレンジャー(鈴木Daichi秀行さん)のセンスの良さが見えてくる。

 続くm4と合わせて、このブロックは「雨」コーナーで、私は意図的かと思ったら、選曲したご本人は、全くの偶然だったとのこと。
 その「雨上がり」は、岡村孝子さんの曲で、萩田光雄さんのアレンジ。こちらは音楽的には実に明解でやることがはっきりしている。萩田先生のアレンジはほぼ全て指定の書き譜で、その通り弾かないとちゃんと成立しない。とは言え、この曲ではちょっと作り込みすぎて、窮屈な印象がある。(だからミスっちゃった?、そうじゃねぇだろう!)今回はオリジナル通りにやったが、次回やる時は少し変えてみたい。

 m5.さよならさえ言えぬまま〜6.恋

 今回のメニューの中で、バンド的に一番難しかった部分がm3から5の3曲。決め事が多いのと、あまり感情の起伏を出さずに淡々とやることが必要。とは言え、特にm3と5では、「なっち/モー娘。/つんく」の重要ファクターの一つである「ちょっぴり、切ない」感じは絶対に外せないので、大事に扱わなければいけないのだった。
 この3曲でのキーボードの演奏は、いろいろな音色を設定していたので、かなり忙しくなってしまった。もう少し簡略化しても、対外的にはたぶんOKだったのだが、個人として今回は妥協したくなかった。その辺のバランスの取り方は次回までに整理しなくては。

 よって、曲調とは裏腹に切迫した状況でm5が終わったあとに、松山千春さんの「恋」を弾き始めるのには、十分に落ち着かなくてはならなかった。まぁ、何とかうまくいったと思う。

 m7.灯

 ライブ前半の最後を締めるのは、奥華子さんのカヴァー曲。弾き語り調が基本だが、ところどころ歌詞や気分に合わせてメロディやサイズが変わっていくのが特徴。あくまで自然な流れを大事にしている感じで、作為的にダイナミクスをつけるのは合わない。
 全体としては歌詞をよく聞いてもらえるように心がけた。なっちも歌詞を通じて、感謝の気持ちを伝えようとしていた。

 m8.せんこう花火〜9.真夏の光線

 後半戦は、モー娘。時代の曲が続いて、華やかさが広がった。ここでの2曲、本当によく出来てる作品。製作陣に敬意を表したい。m8は、全体にギター・サウンドが心地よく、ザ・バーズのようなフォーク・ロック系の響きだと思う。私は、ザ・バーズが大好きなので、それだけでもこの曲は神棚行きだ。イントロや間奏、また歌中でもボーカルにからむボトルネック・ギターも印象的だが、個人的にはペダル・スティールだったら、もっと最高。
 というわけで、私は一人盛り上がって、シンセでペダル・スティールっぽいサウンドを作ってみた。久保田くんのリードと一緒に弾くことで、ずいぶんいい効果になったと思う。そのかわり、この音色を弾いている時は、常にアフター・ビブラートをかけてないといけないので、鍵盤を押しながら左右に揺らし続けていた。
 
 続くm9は、タイトル通りの夏っぽさと、アイドル・チューンらしさと、70年代風のR&Bをうまくブレンドしていて素晴らしい。ぶち込まれている音が多すぎる部分もあるが、生のブラスとシンセ・プログラミングを併用して、ここまでやり切ったことに頭が下がる。
 間奏でのフュージョン〜E,W & Fっぽい仕掛けも、なかなか面白いし、ただのアイドル・ソングに終わらせない心意気がいいじゃん。当然、ライブでのダンス・シーンも想定してただろうし。

 この曲はさすがにコンピュータを使って、パーカションだけでなく、ストリングスやブラスなども打ち込んだ。ただ、かなりの部分を人力でも対処したので、3台のキーボードはフル稼働だった。その分、コーラスはAsamiちゃんに任せた。彼女と久保田くん、しょーこちゃんのコーラスで、サビの厚みとポップ感を強調してくれたのは大きかった。Asamiちゃんは、なっち以外のソロ・パートもやっていたから、大活躍。

 m10.I Wish〜11.夕暮れ作戦会議〜12.微風

 ロンドン・オリンピック開催中との絡みもあったのか、m10はシドニー大会時のキャンペーン・ソングだった曲。で、アレンジが「真夏」と同じ河野伸さんなので、何かと共通点が見いだせる。この人はかなりきちっとオーケストレーションを構築する人のようだ。特に間奏は、オリンピックっぽい感じもちゃんとあって、これまたよく出来ている。
 で、これをやるには人手が圧倒的に足らんので、打ち込みを使った。前半のヒップホップ系のビートはもちろん、その後の速弾きアルペジオのストリングスやホルンなどはコンピューターにまかせ、ブラス・セクションは手弾きで合わせた
 CDでは、モー娘。メンバーが入れ替わり立ち代わりフィーチャアされるが、もちろん今回はなっち一人だけで歌い切ったので、また違ったイメージになって面白かったのでは。
 
 スケールの大きな「I Wish」の後、全く違う曲調の2曲が続くので、一瞬も気の抜けない終盤戦であります。

 m11は、歌詞があどけない要素で一杯なのに、サウンドは完全なるハードロック、そのギャップがかなり面白い。それと、Aメロのベースの動きが相当カッコイイ。しょーこちゃん、いい感じでCDの良さを再現してくれました。私は、大忙しモードから一瞬解放されて、思う存分ロックできるので、大いに楽しむつもりだったが、イントロ部分でシステム・エラー発生。オルガンが最初出なくて、ガックリ。演奏しながら、対処して復活させた。やれやれ。

 そんなドタバタを引きずったか、次の「微風」では間違って「ふるさと」のプログラミングを呼び出してしまった。これは、完全なる凡ミス。イントロではストリングスのみで演奏する予定だったが、エレピの音も一緒に鳴ってしまった。かなりショックではあったが、こういう時は意外に冷静になるもの。指は動いているが、頭ではどこでプログラム・チェンジするかを考えていたのだった。いやはや。
 ただ、全てが復活した後は、激燃え状態になるので、何だかやけに盛り上がってしまった。それが影響を与えたかどうかはわからないが、バンドも呼応してくれて、この時の演奏は今までで一番ロックした「微風」になった。特に後半のサビはかなりハイテンションでありました。

 En1.ふるさと

 さて、正直、個人的にはちょっと苦い後味を残してのアンコールとなったが、Asamiちゃんのワイルドなビートにしびれた2小節で、気分は全快。なっちの最高傑作と言っていい「ふるさと」は、ものすごく新鮮な気分で大いに楽しんだ。
 この曲に関しては、どうのこうの言う必要もない。やれることを全てこなして、曲の良さを最大限引き出すことに集中したし、冒頭のドラムスに刺激されたメンバー全員のパフォーマンスは素晴らしかった。

 En2.空LIFE GOES ON〜3.愛しき人

 「微風」「ふるさと」「空LIFE GOES ON」と壮大なバラードが3曲も並ぶと、かなり重厚。でも、今回はじっくり歌い切ることがテーマ、それを真っ正面から取り組んで、やり切ったことを讃えたい。そういう、なっちの思いに引っ張られて、緊張感のある「空」があり、そこから一気に解放されての「愛しき人」もまた格別でありました。

 というわけで、先日のAXでのライブを振り返りました。個人的には多少悔いを残す部分がありますが、今回は妥協せずに、自分がやろうと思ったことは、全てやり切ったことは評価したいと思います。もちろん、安倍なつみさんのコンサートとして、それが音楽的に良かったかどうかは別物、ファンのみんなが楽しんでくれたかどうかが一番大事で、その辺りは今後冷静に考えていかなくては。

 とは言え、何とか無事に終えることが出来て、ほっとしていると同時に、あらためてファンの皆さんに感謝したいと思います。本当にありがとうございました。また、なっちのライブで再会出来たら幸せです。
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by harukko45 | 2012-08-14 20:47 | 音楽の仕事

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