12月のライブのまとめ

 今日は大晦日、これで2013年も終わり。私自身は今月、年も押し詰まってからの怒濤のライブが連日連夜となり、かなりの消耗具合で、正直「もう休みたい!」ってところでした。
 とは言え、どれもこれも印象に残る素晴らしい時間であったことも事実で、身を削ってでも楽しみたいって感じだったのかも。

 で、もう今年も残り少ないので、一挙にまとめてレポさせてもらいます。

 まずは24日。松崎しげるさんと大橋純子さんのジョイント・クリスマス・ディナーショウがあり、6日の千葉・富浦、17日の三河安城につづく最終日は大阪でありました。

 m1.Winter Games (Inst) 2.愛のセレブレーション 3.シンプル・ラブ 4.たそがれマイ・ラブ 5.シルエット・ロマンス 6.愛は時を越えて 7.クリスマス・メドレー(Silent Night〜クリスマス・イブ〜Last Christmas〜Blue Chrstmas/ White Christmas〜Happy X'mas) 8.愛の六日間 9.いのちをかけて 10.抜け殻 11.愛のメモリー En.Endless Love

 お二人の定番曲を中心に、デュエット曲をうまく合わせた構成は変わらず、松崎さんのバック・バンド、パインツリー・バンドに私と土屋さんのギターを加えた8人編成のサウンドはいつもながら安定感抜群で言うことなし。
 それが、マンネリにつながることがないのは、各ミュージシャンの真剣な姿勢があればこそだと思う。私はこの日、「シルエット・ロマンス」で久しぶり夢中になって演奏することができ、全体としてとても良かったと思った。チーム大橋の時は、土屋さんと二人だけだが、ジョイントの時はヴァイオリンとキーボード二人が加わってくれるので、とてもゴージャスになるのだ。これが、ディナーショウならではのムードにピッタリだった。

 それと、松崎さんのコーナーでのm8から10への3曲つなぎが、なかなかシビレル。結構ヘビーな内容の曲ばかりなのだが、それがかえって気持ちいい。とことんディープに迫る感じが好きだった。

 で、この日でジュンコさんとの2013年の仕事は無事終了。今年は少しライブが少なかった感じだが、来年はデビュー40周年の記念年、早速、バンドによるレコーディングもあり、その後のライブでの展開も楽しみだ。2014年の「チーム大橋」はかなり盛り上がること必至であります。

 翌日25日、渋谷のライブハウス「Deceo」にて、豊広"Aida"純子さん、平塚"Nakamura"文子さん、濱田"Peco"美和子さんによる3人組ボーカル・ユニット「みみみ」のクリスマス・ライブ。バックは、六川正彦さんのベース、濱田尚哉さんのドラムスに私のキーボードという、トリオ編成。だからと言って、ピアノ・トリオでのしっとりしたアコースティック・サウンドなどには全くならない、ポップな音作りが楽しかったし、シンプルな編成でのスペースをうまく生かした演奏は実に新鮮でしたなぁ。
 後半、ギターに林仁さんを迎えて、4リズムになってからは、よりアグレッシヴなサウンドにもなって、盛り上がりましたぞ。

 それに、「みみみ」の皆さんのボーカル、ハーモニーの良さはもちろんのこと、ちょっとした芝居にコント、そしてダンスを交えた構成は、まさにショウとして素晴らしかった。ちゃんと練られた内容は、ステージ上での団結力みたいなものも生み出して、本当いいライブだったと思う。

 でもって、26日は用賀のジャズを聞かせるヤキトリ屋「キンのツボ」にて、我らが後藤輝夫さん主催のセッションがあり、ドラムスに植村昌広くん、ベースに六川正彦さん、そして私がキーボードで、まぁつまり「チーム大橋」近いバンドでのライブ。
 本番前にスタジオに集まって、ちょっとだけ合わせ、決め事を確認したのちに、お店に向かい3ステージをやり倒す。これが、これが、面白かった!
 私のような半端なプレイヤーにとっては「なんちゃってジャズ」ってところなんだけど、それでも真剣度はかなり高く、4人のインタープレイ、ソロが炸裂しました。
 もちろん、出来の悪いところもあったとは思いますが、全体としては相当イケテた。言い出しっぺの後藤さんのリーダーシップも素晴らしかったし、各自の共感度の高さにも感動しました。
 ものすごく刺激になった夜となり、今後も是非やりたいし、いろいろ発展させたい内容でした。この思いがけない素晴らしい時間を、気の置けない仲間達と過ごす事ができたことは、2013年の中でも特筆すべき日であったと思ってます。

 この日を終了時点で、私はヘトヘトであり、もうほぼ終わってしまいましたが、28日、横浜・センター北のライブハウス「Lagoon」にて、忘年会をかねたイベントがあり、近郊に住むミュージシャンとボーカリストが集結してのライブがあり、最後の一踏ん張りで頑張りましたよ。とは言え、忘年会もかねてなので、かなりアルコールも入っておりましたので、妖しい部分も多々ありましたなぁ。
 主催したのは、シンガー・ソングライターの谷口守さんで、私は「Dores」というバンドで何回かご一緒しておりました。
 それにしても、ドロドロではあったものの、良いミュージシャンが多数集まったおかげで、かなりレベルの高い演奏が聞かれましたし、楽しかったですよ。
 「Lagoon」の店長は、安倍なつみさんの時に一緒の黒沢和貴くん、カズくんはギターのプレイと店の切り盛り両方ともサクサクこなして凄いです。若いのにエラいです。
 それにしても、自分がいかに良い仲間に囲まれているのかってことも再確認できる日でもありました。本当に、みんなのおかげで自分も頑張れてるんだって思えて、心から感謝です。

 さて、今日で2013年も終わり。たくさんの方々にお世話になりました。この場からお礼の気持ちを贈ります。2014年も大いに音楽していきますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、皆様よいお年を!!!
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# by harukko45 | 2013-12-31 19:27 | 音楽の仕事

水越けいこ/X'mas Live 2013

 昨日は水越けいこさんの「X'mas Live 2013」が西麻布のライブハウスgigabarでありました。これは、ほぼ毎年行われているもので、ファンの皆さんとより身近にふれ合いながら、気楽にライブを楽しんでもらおうという企画です。
 とは言え、それなりに構成を考えての内容になるので、結局は普段のライブ・コンサートと同じような濃さになるし、ファンの皆さんも真剣に(!)聴かれる感じになるので、やっぱり緊張感もなかなかってところですね。

 それでも、いつもよりはファンの皆さんとの交流もあるので、昨夜もなかなか良いムードで2回のステージを終えることができたと思いますし、ついつい会場のムードにのせられて、かなりガンガンに盛り上がってしまいました。おかげで(?)体力的にはかなりヘトヘトになってました。

 今回は、冒頭にクリスマス曲を置いたのと途中に2曲のガヴァー曲以外は、けいこさんのオリジナルを中心にしたメニューだったのが、個人的にも好感できました。もちろん、カヴァーを歌うけいこさんも新鮮ですが、やはり、独特の世界観が確立されているオリジナル曲にこそ、大きな魅力があることは間違いないのですから。

 m1.We Wish Your Merry X'mas〜2.もろびとこぞりて(Joy To The World)3.星の子守唄〜4.そしてetc〜5.a Sonnet 6.ロンリネス&ブルー〜7.Touch Me In The Memory〜8.Feel So Blue 9.愛は勝つ(Kan)〜10.テネシー・ワルツ 11.心はOutdoor 12.土壁のMaroc〜13.カーニバルの終わりに 14.ブルースカイ・ロンリー En1.apartment〜2.雪の子守唄(2部のみ)〜3.私への誓い(2部のみ)〜4.Beautiful Days

 以上がセット・リストです。バック・メンバーは私以外に、アコースティック・ギターで横山ユウスケくん、久々の田口慎二くんが加わってくれて、いつもよりもちょっとだけ豪華(?)でした。

 個人的には、けいこさんとの今年最後のライブではありましたが、いつもと変わらず自然派のけいこさんのペースにすっかりハマり込んで、実に楽しい時間となりました。けいこさんって、何年経っても、この感じなんだろうなぁ、ある意味、時間を超越してるか(?)。
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# by harukko45 | 2013-12-22 18:27 | 音楽の仕事

詳細(8)からの続き。

 奥田民生/Love Me Do~Please Please Me

e0093608_14525659.jpg 陽水さんを送り出して、それまでベースを弾いていた奥田さんがメインに。今回はギターに持ち替えただけでなく、特製ホルダーに2本のハーモニカを装着してのパフォーマンスとなった。
 陽水さんの後に、リラックスして歌いたかったはずの民生さんだったが、選んだ曲で使われているハーモニカはブルース・ハープではなく、クロマチックだったため、不慣れな奏法を克服するために、いろいろ考えた末の2丁装着となり、それにより、いつも以上に苦労することになった。
 だが、ジョークを交えながらも、飄々とこなしてしまうのは、さすが。最初は皆、あまりにも突拍子もないやり方に大笑いしたが、実はすごく真剣なので、こちらもとことん付いて行こうじゃないか、って気分になるのだった。

 ところで、ジョン・レノンのハーモニカというのは、ビートルズ初期における彼のトレードマークの一つと言えるぐらい重要で、彼は子供時代からずっと吹いていて、すでになかなかの腕前だったらしい。その後、デビュー前のハンブルグで、現地クラブへ出演していたトゥーツ・シールマンスの演奏を見て強い影響を受けたという。
 当時のトゥーツは、ギターを弾きながら、肩から掛けたホルダーのハーモニカを吹くというパフォーマンスで、ジョンはそのスタイルに憧れ、トゥーツが当時使っていたリッケンバッカーのショート・スケール・モデルとハーモニカに傾倒していたのだそうだ。だから、その時に手にしたハーモニカは、ホーナー社のクロマティック・モデルだったのかも。

 で、"Love Me Do"のハーモニカは、イントロやヴァンプで7thの音(F)を強調したフレーズと、Bメロで(F#)、間奏では(F#)と(F)を吹き分けなければならないので、レコーディングではクロマティックを吹いているのだった。
 そもそも、ハーモニカを使うことになったのは、ジョージ・マーティンのアイデアで、ブルージーな雰囲気にするためで、それにジョンは見事に応えた。

 ポールの話では「『誰かハーモニカを吹けないか?その方が上手くいくと思うんだが。他にブルース風のアイデアはあるかい?ジョン?』」とジョージ・マーティンに言われて、ジョンがクロマティック・ハーモニカを吹いたんだ。ソニー・ボーイ・ウィリアムソンのようなブルース・ハープじゃなくてザ・グーン・ショウのマックス・ゲルドレイみたいなハーモニカだけどね。(Paul McCartney[MANY YEARS FROM NOW])」
 
 初期のビートルズ曲ではこれ以後も彼のハーモニカをフィーチャアしたものが多いし、彼の演奏もその大任を果たしている。ジョン曰く「ロックンロールなハーモニカ」である。
 その「ロックンロールな」奏法について、ブルース・チャンネルのヒット曲"Hey! Baby"での、デルバード・マクリントンの演奏に影響を受けたと発言していて、1962年にイギリスで共演した際、マクリントンはジョンに請われて、"Hey! Baby"を吹いて見せたのだそうだ。
 それがいつのまにか、マクリントンがジョンにハーモニカを教えた、ということになったらしい。これが10ホールズとの出会いだったか?

 YouTubeにブルース・チャンネルとデルバード・マクリントンが"Hey! Baby"やジョン・レノン、"Love Me Do"について語っている映像があった!



 ジョンは、クロマティックと10ホールズをきっちり分けて定義して、ちゃんとこだわりを持っていたようだ。BBCライブで"I Got To Find My Baby"を演奏する前にジョンと司会者のやり取りが、それを示している。

司会者「今ジョンは次の曲の準備に入っていて、ギターを首にかけたり外したり、ハーモニカを顔の前にかけたり外したりして……。」ジョン「ハープだよ。」司会者「ハープって?」
ジョン「この曲ではハープをプレイしているんだ。」
司会者「ハープをプレイ?」ジョン「ハーモニカは"Love Me Do"でプレイしているんだ。この曲ではちょっとだけハープをプレイしてる。」司会者「でも、したり外したりして……。」ジョン「マウス・オルガンだね。」


 つまり、クロマティックをハーモニカ(with a button)と呼び、10ホールズをハープと呼んで区別していた。

 さて、もう1曲の"Please Please Me"もハーモニカが実に印象的だが、それ以上に全体のアグレッシヴなノリ(特にポールのベース)がイントロからワクワクさせてくれるし、ジョンのリードに対して、ポールがE音でキープしているAメロがいい。見逃せないのが、4小節目のG-A-Bの「ンジャジャ・ジャジャ・ジャカジャカジャ」と、8小節目にかかるEの「ジャカジャカジャ、ミミ・ミミ・シシ」の仕掛け。これって、演奏でビシっと決めるのは結構難しいぞ。この仕掛けがかっこ良くないと、次のジョンが生きない。
 
 で、やったらドヤ顔っぽいジョンの「Come On!」を受けて、ポール&ジョージのハモがどんどん上がっていくのが実にスリリング。その上がり切ったところでの「Please please me,wo yeah, like I please you.」は、3人のヴォーカルの動きがカッコイイ。
 2コーラス後のブレイクでのドラム・フィルも実にシブい!その後の別メロもウキウキさせられっぱなしじゃないか!「in my heart」のバック・ヴォーカル部分が特にいい、大好き。

 わずか2分少々で、これほど満足させてくれるなんて、文句のつけようがない。レコーディングでOKテイクが録れた後に、ジョージ・マーティンが「 きみたちはたった今、ナンバー1のレコードをつくったんだ 」とトークバックから語りかけたのも頷ける。

 だが、この曲は元々スローテンポで、ロイ・オーピソンの"Only The Lonely"風のアレンジだったのを、マーティン卿が気に入らず、彼らに宿題として「テンポを上げて、アレンジを変えろ」と提案していなければ、ただのボツ曲になっていただけでなく、ビートルズ自体も「Love Me Do」の一発屋で終わっていたかもしれない。

 この時のことを語ったポールの言葉が印象深い。「テンポを上げて曲が格段に良くなり、ジョージ・マーティンの方が正しい曲のテンポを解っていたことを恥ずかしく思っている。」
 だが、ちゃんとそれを受け入れ、曲を練り直した彼らは、歌詞を変更し、"Love Me Do"のようにハーモニカを使い、ヴォーカル・ハーモニーを工夫した。ジョン曰く「セッションに入る頃には、僕らは結果に大満足してたよ。もっと早くレコーディングしたい気分だった。」のだから、彼らは本物のプロだった。

 とにかく、この曲は何から何まで、最初から最後まで、ビートルズ4人の情熱が詰まっている。我々はその熱を感じ、その熱にうなされるように夢中で演奏した。それは至福の2分間だった。
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# by harukko45 | 2013-12-22 14:44 | 音楽の仕事

詳細(7)からの続き。

 井上陽水/I Call Your Name~You're Going To Lose That Girl~Love

 井上陽水さんは日本を代表するシンガーソングライターであり、日本ポピュラーミュージック界の最重要人物の一人である。と同時に、熱狂的なビートルズ者であり、ビートルズ作品を熟知されている。

 そんな陽水さんが、今回初めてスーパーライヴに登場。バックをつとめる我々にもピリっとした緊張感が走る。また、これまでにない異例の2日間のリハーサルがセットされ、曲も候補が5曲上がり、実際に合わせながら決めるということになった。なので、バンドの方はどの曲もすぐに対応できるように準備をしておかなくてはならなかった。ただし、候補の一つだった"Because"は、コーラス・ワークもサウンド・メイクも短い時間で形にするのは難しいと双方で判断して外された。
 その他の4曲は、"I Call Your Name""You're Going To Lose That Girl""Love""You've Got To Hide Your Love Away"だったが、リハの前に奥田民生さんとキーボードの斉藤有太くんと陽水さんでプリプロをしていた"...Lose That Girl"と"Love"、それに、私も是非にと推し、陽水さんもほぼ決めていた感のある"I Call Your Name"が残った。
 また、プリプロに参加していた奥田民生さんがその流れで、2曲にベーシストとして参加。押葉くんは、"I Call Your Name"以外では、私とともにコーラス隊になった。

 で、この3曲をリハしながら固めて、2曲にしぼるつもりだったが、どの曲もかなり面白い出来になっていったので、1曲は切るのは惜しくなり、3曲を全て演奏することになった。

e0093608_0374797.jpg まずは、"I Call Your Name"。この曲は、1963年にビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスに提供されたもので、ビートルズがセルフ・カヴァーしたのは64年の「A Hard Day's Night」セッション中だった。だから、内容が良いのは当たり前。
 このアルバムで多用されているジョージの12弦リッケンバッカーが、この曲でも効いていて、イントロ、Bメロ、間奏で大活躍。その間奏では、突然シャッフル・ビートになり、サイド・ギターが裏打ちの刻みをするのが面白い。ジョンによると「スカのリズムを意識した」とのこと。
 ちなみに、ビリー・J・クレイマーのバージョンではこの部分はハネておらず、ゴリゴリの8ビートで押切っている。イントロも微妙に違うが、やはりビートルズの12弦に軍配が上がる。
 
 陽水さんは「試しに間奏をストレートにやってみようか」と言い、トライしてみたのだが、このシャッフルの面白みを打ち消すことは出来なかった。なので、我々もハネたスカ・ビートに土屋さんの12弦をフィーチャアした。
 陽水さんのヴォーカルは最高にマッチしていて、ほんとゴキゲンだった。なので、絶対にやりましょう!と太鼓判を押した次第。

e0093608_040335.jpg "You're Going To Lose That Girl"は、プリプロの段階ではバスドラ4つ打ちのディスコ・アレンジのようだった。これもなかなかな感じだったのだが、陽水さんは、もっと陽気に「例えば南国風にスティール・ドラムかなんかで始まったりして」と提案、すぐに有太くんが弾き始めたので、即採用となった。
 もちろん、リズムもカリブ海系のパターンになり、何とも言えぬ「ふざけたシュールさ」が表れたのだった。
 ただ、この曲はジョンのリードとポール&ジョージの掛け合いヴォーカルが最高の魅力、だから、陽水さんもそこにこだわって、何度か練習を繰り返した。最終的には、我らがポールである押葉くんがコーラス隊に復帰して、バッチリまとまった。

e0093608_0401557.jpg そして"Love"。これは、陽水さんのアレンジ力の凄さに参った。その奇抜なアイデアと着眼点の鋭さに感動した。

 まずは、このシンプルなバラードをブルーズにしてしまった。クールなシャッフル・ビートで始めて、まるでマディ・ウォーターズの"Hoochie Coochie Man"のようなリフがキメなのだ。
 歌が入ってからも妖しげな空間を感じながらシャッフル・ビートは続き、じょじょに盛り上がりながらサビへ、そしてギター・ソロへ。
 再びAメロに戻っても危険なムードはそのままだが、1コーラスを終えたところで突然、オリジナルの静寂な世界に突入した。

 ここでは、有太くんがピアノのアルペジオとメロディを奏でるが、そのバックで私は深いリバーブをかけたもう一台のピアノ・サウンドで絡んで行った。
 そして、最後に陽水さんが入ってきて「Love is wanting to be loved」で締めくくった。

 このアレンジには、完全にやられた。リハでのテイクがいくつか残っているが、どれを聴いてもシビレル。もちろん、本番も素晴らしかったのだが、途中で思わぬ機材トラブルがあり、少し残念なパフォーマンスになってしまった。それ故にリハーサルでの音源は、私にとって永久保存版として大事に残しておきたいほどの価値がある。

詳細(9)に続く。
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# by harukko45 | 2013-12-21 22:09 | 音楽の仕事

詳細(6)からの続き。

LOVE PSYCHDELICO/Glass Onion~I Am The Walrus

 2012年のスーパーライヴでのデリコとの"Kiss Kiss Kiss〜Cold Turkey"は本当に良かった。個人的にはベスト・アクトだったと思っている。彼らは、今回も2曲をメドレー形式でつなげるアレンジを考え、事前にデモを作ってくれた。Kumiさんの歌入り、ギターのダビングはもちろんのこと、何と、ドラム・ソロまで打ち込んであった!

 ここまで、きっちり作り込んでくれば、我々バンドの方も目指すものが見えるし、共感度も高まる。とは言え、全てをデモのままやったわけでなく、構成やグルーヴの方向性はデモに準じたものの、その他の上物の扱いやオリジナルにあるフレーズの選択はバンドに任せられた。ただ、使う楽器はシンセでなく、オルガンやピアノ、ギターで再現しようということだけ決めたのだった。そこはデリコらしい。Naokiくんはカラオケのようになることを嫌うのだった。

e0093608_1840312.jpg さて、「セイウチ」つながりの2曲は、ビートルズ中期におけるジョンの「ヘンな曲」メドレーとなった。68年の「ホワイト・アルバム」収録の"Glass Onion"は、「歌詞の意味を解読して、なんやかんやと言う連中をからかうために、わざと誤解しやすい歌詞を書いた」というジョンだったが、彼の意図とは逆に、「セイウチとはポールのことさ」というくだりが、「ポール死亡説」の根拠の一つになってしまったという迷曲。

 試行錯誤を繰り返した制作は、歌詞の"Fool On The Hill"部分にリコーダーを加え、エンディングにいろいろなSEを入れたりしたが、最終的にSEはボツになり、ジョージ・マーティンによるストリングスを入れて完成した。「Anthology 3」に入っている弾き語りによるデモを聞くと、もっといろいろと発展していきそうな期待感が膨らむのだが、残念ながらそうはならず「小さなセイウチ」程度に収まった。

 ジョンとしては、この1年前に録音した"I Am The Walrus"の出来があまりにも素晴らしかったので、「二匹目のドジョウ」を狙ったのだろうか。この曲はパロディなんだ、何から何までワザとやっているんだってことにしても良いが、ジョンの皮肉屋加減が効きすぎて、曲自体がウンザリしているようで、最後のストリングスの響きが実に空しい。
 おっと、それじゃお前はこの曲が嫌いなのか?と思うかもしれないが、実は大好きなのだ。リンゴとポールのリズム・セクションは相当良いし、リマスターのおかげでますますカッコ良く聴こえる。私は「ホワイト・アルバム」自体がすごく好きなので、"Dear Prudence"からの流れでの"Glass Onion"はサイコーなのである。少々、偏屈な言い方だが、"Glass Onion"は単独でどうのこうのではなく、あくまで「ホワイト・アルバム」の中で楽しみたい。

e0093608_18403232.jpg だが、"I Am The Walrus"は真の傑作、それも特大級の名作だろう。ジョン自身も満足していて、「100年後も通用する曲」と自負しているし、ジョンの最高作に上げるファンも多いに違いない。

 ジョンの場合、他にも落とせない傑作がずらりと並ぶので、「Walrus is No.1」とは言い切れないが、それにしても、これほどまでに聴き手の想像力・創造力を刺激する曲はなかなかないし、これほどまでにダビングしたオーケストラやSEが場所場所でピタっとキマッてる曲はないだろう。ほとんど奇跡ではないかと思うほどの素晴らしい仕上がりに、もはや言葉はない。

 同じサイケデリック曲の傑作として、メロディの親しみやすさとポップ感では"Strawberry Fields Forever"が上だが、全ての完成度の高さでは"Walrus"だと思う。ちなみに4人の一体感を取るなら"Rain"。

 さて、こんなに凄い曲に手を付けると、いろいろ大変ではあるが、ある瞬間から曲自体が演奏する者を導いて行く感覚になる。デリコとのセッションでもそうで、やはりどうしても外せないフレーズやサウンドがあり、それは自然に弾くようになり、それを加えると圧倒的に盛り上がり、曲への敬意も深まるのだった。

詳細(8)へ続く。
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# by harukko45 | 2013-12-21 12:13 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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