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第60回グラミー賞

第60回グラミー賞授賞式は、全体としては低調な内容だった。ショウの中でのパフォーマンスで魅きつけられたのは、オープニンブでのケンドリック・ラマーのみだった。

肝心の受賞も、主要3部門にブルーノ・マーズというのも、なんだかなぁ。さすが、グラミーって感じで、昨年のアデルに引き続き、がっくりとなった。

最優秀アルバムはケンドリック・ラマーの「DAMN.」(前作も当然、受賞していたはず)かチャイルディッシュ・ガンビーノの「Awaken, My Love!」、ダークホースにロードの「Merodrama」って予想だったけど、こちらの期待は完全に裏切られましたな。というか、グラミーの予想は外れてばっかだけど。自分の好みが違うってことで。

ケンドリック・ラマーは結果5部門受賞したけど、一番価値の高いのを今回も逃した。チャイルディシュ・ガンビーノのアルバムはまさに、現代のファンク。70年代のコピーに終わらず、新たに全てを精査し直して、再構築した内容だと思う。もっと評価して欲しかった。

今回は、若手のロック・アーティストが全くフィーチャアされてなかったのも残念。一応、最優秀ロック・アルバムは、The War On Drugsの「A Deeper Understanding」で、これは良かったんだけど、このバンドはもっと前から受賞して当然だった。

カントリー部門ではクリス・ステイプルトンが3部門受賞で、とても嬉しい。正直、ノミネートされた中ではダントツのレベルなので、これも当然。彼はただのカントリー歌手じゃない。多分、ジャンルを超えて「アメリカーナ」を今後も引っ張っていく逸材。昨年活躍した、スターギル・シンプソンなんかとともに、私が今一番愛聴している音楽を提供してくれている。

その「アメリカーナ」部門では、ジェイソン・イズベルの「The Nashville Sound」がベスト・アルバム受賞。まだ、彼らのことはそれほど入り込んでなかったなぁ。ブレント・コブの「Shine On Rainy Day」にあげたかった。

で、昨年亡くなった音楽関係者を追悼するコーナーでは、クリス・ステイプルトンとエミルー・ハリスがデュエットを聞かせてくれた。個人的にはオールマン・ブラザーズ・バンドのグレッグ・オールマンと、スティーリー・ダンのウォルター・ベッカー、グレン・キャンベルの名前に心を動かされた。
特に、グレッグ・オールマンは昨年出した「Southern Blood」(アメリカーナ部門ベスト・アルバム・ノミネート)が素晴らしかったので、とてもショックだった。

とは言うものの、オールドスクールとも言える、60年代70年代のレジェンド達から、21世紀世代の新しい才能に大きく心を奪われることの多かった昨年だった。そんなこんなをまとめる気分にさせてくれた、今回のグラミー賞でありました。



# by harukko45 | 2018-01-29 17:58 | 聴いて書く | Comments(2)

第58回グラミー賞

 3年ぶりにグラミー賞をテレビで楽しんだ。何と言っても、ケンドリック・ラマーのような革新的なアーティストのパフォーマンスにはワクワクさせられました。当然、最優秀アルバムも必至と思ってたら、何とテイラー・スウィフトとは。

 とにかく、ケンドリック・ラマーの「To Pimp a Butterfly」は最高にカッコイイ。リリックがすぐに理解出来る英語圏の人には、その内容の深さに共感できるだろうけど、サウンドだけでもスゴイって感じられる傑作と思う。ラマーは2012の前作「Good Kid, M.A.A.D City」も素晴らしい。私にはNas以来の天才ラッパーの登場に思えたっけ。

 ブルーノ・マーズとの「Uptown Funk」で最優秀レコードを獲得したマーク・ロンソンは、アルバム「Uptown Special」もなかなか。エイミー・ワインハウスのプロデューサーとしか認識してなかったけど、自身でもいいアルバムを作ってたことに去年驚いた。

 最優秀ロック・パフォーマンスのアラバマ・シェイクス「Sound & Color」も昨年よく聴いたアルバムの一つ。いわゆるロック系としては、彼らがダントツだった。ガレージ・ブルース・バンドみたいだった彼らが、セカンドでここまで成長するなんてスゴイ!

 そして、14年ぶりの新作「Black Messiah」で完全復活してくれたディアンジェロ、確かに素晴らしい内容なんだけど、やはり、昨年はケンドリック・ラマーが圧倒的でしたなぁ。
# by harukko45 | 2016-02-16 16:21 | 聴いて書く | Comments(0)

デイヴィッド・ボウイ

 1月10日にデイヴィッド・ボウイが亡くなり、少しショック状態が続いた。その2日前にリリースされたニューアルバム「Blackstar」の素晴らしさにすっかりやられていたので、突然の訃報が信じられなかった。

 私がボウイの音楽に出会ったのは遅く、デビューからジギー・スターダスト時代の彼には全く興味がなかったのだが、ボウイ・ファンの友人から「『Space Oddity』だけでも聴け」との言葉をきっかけに、一気にはまり込み、続いて「Aladdin Sane」に惚れ込んだ。マイク・ガーソンのピアノにもガツーンとやられた。
 また、74年の「David Live」と75年の「Young Americans」では、当時まだそれほど有名ではなかったデイヴィッド・サンボーンを大々的にフィーチャアしていて、このサックス・プレイヤーに注目するきっかけになったし、今聴いても新鮮でユニークなボウイ流ソウル・ミュージック。

 77年からのベルリン三部作は、かなり実験的な世界に踏み込みながら、根底にはポップ・ミュージックを忘れなかったギリギリ感と、インチキ臭さがたまらん。
 で、カルト的な教祖さまで居続けるかと思いきや、83年の「Let's Dance」で世界的大ブレイク。MTV時代のボウイも文句なくカッコよかった。ここでも、スティーヴィー・レイボーンを大抜擢して、相変わらず才能あるミュージシャンを選ぶ、目利きの良さにも感心した。

 21世紀になっても創作意欲は衰えず、2002年「Heathen」2003年「Reality」の素晴らしさには感嘆と、心から敬意の気持ちでいっぱいになった。

 病気からの奇跡の復活と言えた2013年「The Next Day」のアグレッシブさにも驚かされたが、今回の新作で遺作となった「Blackstar」には、さらにさらに驚かされ、彼の飽くなき探究心と新しいものへのチャレンジ精神には、本当に感動した。それもただ挑戦しただけの問題作ではなく、結果として何度も聴き返したくなる魅力ある作品に仕上げたのだった。

 そして、バック・ミュージシャンに起用されたニューヨークのジャズ・ミュージシャン達、ドニー・マッカスリンらの演奏も素晴らしい。

 デイヴィッド・ボウイ、最後まで見事なキメ方に、もはや言葉はない。

# by harukko45 | 2016-01-19 17:55 | 聴いて書く | Comments(0)

ハリー・ニルソン

昨年は、日本にも本格的に、音楽のストリーミングサイトがいろいろと登場して、新たな時代が始まった年だった。私は、数年前からGoogle Play MusicとSpotifyを使っていたので、日本でも早くこのサービスが始まるのを強く望んでいたのだが、すでに使い慣れているSpotifyが、未だサービス開始にならないのが残念でならない。Spotifyには、無料のシステムがあるから日本の音楽業界には受け入れられないのだろうか?
詳しい事情はよく分らんが、個人的には、いち早いSpotifyの日本への正式参入を強く望む。

さて、ということで、昨年中によくよく聴いた音楽を書き残しておきたい。

「Harry Nilsson」
昨年だけでなく、ここ数年、ハリー・ニルソンのほぼ全アルバムは常に手元に置きながら、聴きまくっていた。特に好きなのは、「Nilsson Sings Newman」。
これは一時期、毎日のように聴いてたなぁ。それにより、私はランディーニューマンの素晴らしさにも目覚めた次第。で、彼のアルバムも聴こうとなると、まずはSpotifyで聴くのが便利なわけ。全アルバムそろってるからだ。

さて、ニルソンはたぶん16枚のアルバムを出していると思うのだが、その中で好きなのは、67年「Pandemonium Shadow Show」、68年「Aerial Ballet」、69年「Harry」、70年上記の「Nilsson Sings Newman」、シュミルソン3部作の中では、72年の「Son of Schmilsson」、そして77年「Knnillssonn」って感じ。
ただ、絶好調だった72,3年頃までは文句なしの傑作ばかりだが、74年あたりから、彼の精神的不安、酒と薬物による体調の悪化とともに作品の出来も良くなくなっていく。でも、天才のやることにはどんなにドン底であっても、見つけるべき何かが隠れているのであって、ファンとして簡単に見捨てるようなことはせずに、とことん付き合って行くのだ。




# by harukko45 | 2016-01-06 16:47 | 聴いて書く | Comments(0)

謹賀新年

2016年、明けましておめでとうございます。

一昨年の3月以降、ブログに向かう気力が落ち、そのままズルズルと放りっぱなし状態でしたが、今年からまたボチボチ書いていこうかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

内容的には、前よりもずっと個人的趣味的な方向になるかもしれません。

ということで、まずは、この年末年始は音楽を聴きまくっていたので、その中で気に入ったものを書き留めておこうと思います。

 「クリスティアン・ツィメルマン+ベルリン・フィルハーモニーのブラームス・ピアノコンチェルト1番」
 ベルリン・フィルの映像配信サイト「デジタルコンサートホール」で鑑賞したもので、あまりの素晴らしさに3回も続けて視聴してしまった。ツィメルマンとラトル&ベルリンによるブラームス1番は2003年にCDがリリースされているが、今回のは2015年6月25日に収録されたものだ。

 ツィメルマンのピアノの美しさは変わらずで、より巨匠的な風格を持ち合わせた感じであり、何から何まで共感してしまった。それは、ベルリン・フィルの皆さんも同様のようで、ピアノとオケの一体感のレベルが非常に高く、まさに次元の違う演奏と言えた。特にコンマスの樫本さんの曲に入り込んでいる表情が実に印象的で、この時に生まれた高いレベルでの共感共鳴には、彼の力も大きかったに違いない。
 正直、指揮者ラトルの存在はそれほど強くなかった。実際にはツィメルマンとベルリン・フィルとの直接対話がこの名演を生んだと感じた。

 実は、昨年末に「デジタルコンサートホール」を見たのはラトル退任前の集大成とも言える「ベートーヴェン・チクルス」を聴くのが目的だったのだが、残念ながらシンフォニー全曲を聴くのはつらくなり、途中でリタイア。アーカイブを探していたら、この名演に出会った次第。

 そのラトルのベートーヴェンは、全体に急速テンポと明解なバランスによる極めて健康的でスポーツ的な印象。どんな状況でも見事にやり遂げるベルリン・フィルの筋力の強さには感動したが、音楽的に楽しめたわけではなかった。
 アーカイブにあったティーレマンとの「エロイカ」の方が、断然好みであり、心からベートーヴェンを楽しめた。面白いのは、両者どちらにも参加しているメンバーが多いものの、演奏の内容は全く別物だったということ。
 ラトルの時は「ベルリンって、すげぇうまいなぁ」と思うことが多かったが、ティーレマンにはそういうことではなく、「ベートーヴェンは、やはりすごい」と思ったわけです。

 「エルトン・ジョン&ヒズ・バンド 横浜アリーナ」

  WOWOWが、昨年11月18日に行われたエルトン・ジョンの来日公演を収録。その日に生中継をしたようだが、私は元旦に再放送を視聴。これが、これが、何とも素晴らしかった!

 現在、68歳であるエルトン・ジョン、何という充実したパフォーマンス!感動しまくりで、あっという間の2時間半だった。1曲たりとも緩んだ部分がなく、かといって緊張感でピリピリと張り詰めた演奏ではなく、とても自然にリラックスして、「あー、ロックっていいなぁ」と心から実感させられた内容であった。
 私自身、昨年からエルトン・ジョンの音楽を全て聴き直していた最中だったので、その辺のタイムリーさもあって、数々の名曲・ヒット曲の連続にただただワクワクしっ放しであった。

 とにかく、彼が変に若ぶることなく、良い意味でシンプルに、歌とピアノに集中しきっている姿に感動した。それが、嘘偽りのない自然な姿であり、だからこそ、全盛期を過ぎた「衰え」のようなものを、このライブでは全く感じることはなく、これぞ「復活」とさえ思わせるのであった。
 つまり、いい感じで年をとったとも言えるのでは。70年代の絶頂期でさえ、しばしば感じられた「力み」や「勇み足」がすっかり消えて、本当に力強く、なおかつ繊細で深いパフォーマンスをするアーティストであることを再認識させてくれた。

 ということで、またぞろ古いアルバムなんかも、改めて楽しく聴き直す今日この頃です。

 やはり、70年代のアルバムがどれもこれも傑作なんだけど、その中で最も好きなのは、ベタではあるけど73年「Goodbye Yellow Brick Road」となるかな。でも、デビュー盤69年「Empty Sky」から76年「Blue Moves」まで、一枚たりとも駄作はないわけで、いかにエルトンの才能の泉が枯れることなく湧きあがっていたかに唖然とするばかり。
 とは言え、個人的には70年の「Elton John」と71年の「Madman Across The Water」がちと苦手。ポール・バックマスターのストリングス・アレンジが大フィーチャアされてて叙情的なんだろうけど、エルトンのボーカルはその弦の森に埋もれているみたいで、聴いてて息苦しい部分もある。
 だから、バンドと一緒にロックンロールしてる彼のほうが断然好き。

 そんなエルトン・ジョンは明らかにワーカホリックで、80年代後半からは、だいぶエネルギー切れを起こしていた。サントラなどで活躍しつつ、少しアルバム制作のペースが落ちた2000年代になっても、いまひとつピンとくる作品がなかったのだが、2010年に「憧れの人」レオン・ラッセルとの共演盤で、何かが吹っ切れたのでは?
 このアルバム「The Union」は、どちらかというと、レオン・ラッセルに敬意を表して、エルトンが控えめにしている感じだし、常に頑張ってきたエルトンに比べ、早々と隠居みたいになったレオンのドロドロさが明らかにスゴイんだけど、そんな本物のレイドバック感に、ワーカホリック・エルトンは良い影響を受けたように思う。
 そんな勝手な憶測はどうであれ、2013年には「The Union」と同じプロデューサーによるエルトン自身の新作「The Diving Board」が登場し、個人的にはここでのエルトンは、実に深いなぁと思っている。

 そんでもって、昨年のライブでの素晴らしさ。本当に凄いなぁと感無量であります。
# by harukko45 | 2016-01-04 16:24 | 聴いて書く | Comments(5)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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