D'Angelo 2000年のライブ

 昨年は、ディアンジェロが12年ぶりにライブに復帰しヨーロッパ・ツアーを敢行、アメリカでもいくつかのイベントに登場し、それらの映像もずいぶんアップされて、その内容の素晴らしさに狂喜乱舞したものだった。そして、待ちに待たされたニュー・アルバムも97%(!)完成したとの情報もあって、個人的にはジャック・ホワイトの初ソロ・アルバム、ノラ・ジョーンズのDanger Mouseプロデュースでのニュー・アルバムとともに、2000年代のお気に入りアーティストそろい踏み3部作になるはずだった。

 が、また、ディアンジェロにはだまされた(?)ようだ。「James River」は結局まだリリースされない。ということで、私はその代用(?)として、フランク・オーシャンの「channel ORANGE」を聴いていたのでした(いやいや、これも良い作品!)。

 ところが、最近になって2000年の「Voodoo」ツアー時の映像があることを知った。何たることか。それも、音質・画質かなり良し。でもって、この時の内容がもう圧倒的。いろんな意味で残念なことではないか、本当にこの天才は何をやっているのか!

 というわけで、このライブをここにリンクして、しばし溜飲を下げることにする。とりあえず昨年、ミュージック・シーンに復帰してくれたのだから、まずは喜ばなくては。そして、近々の完全復帰をじっと願うのであります。









July 16, 2000 North Sea Jazz Festival – The Voodoo Tour

D'Angelo: vocals, keyboards
The Soultronics:
Ahmir “Questlove” Thompson: drums
Frankie “Knuckles” Walker: percussion
Pino Palladino: bass
June Bervine (or sometimes James Poyser): keyboards
C. Edward “Spanky” Alford & Samuel “Norris” Jones: guitars
Anthony Hamilton, Shelby Johnson & Jack King: background vocals
Jacques “Brother Jacques” Schwarz-Bart: tenor saxophone
Russell Gunn (or sometimes Roy Hargrove): trumpet
Frank “Root” Lacy: trombone & trumpet

Sam Champ x Okayplayer – D’Angelo Live! [Mixtape]
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by harukko45 | 2013-01-26 19:19 | 聴いて書く

NFL/ポストシーズン

 NFLのポストシーズンは、両カンファレンスのチャンピオン・シップが終わり、残すはスーパーボウルのみとなった。楽しい事はあっという間に過ぎ、残る1試合とは少々寂しい気分。おまけに贔屓チームはことごとく敗退したので、最後の大一番であるスーパーボウルへの期待はあまり膨らまない。と言っても、始まれば必ず観るんだけど。

 とりあえず、私の希望ではAFCではニューイングランド、NFCではシアトルの勝ち上がりを願っていたのだが、どちらもかなわずでありました。NE・ペイトリオッツは、かつてのような絶対的な強さはないんだけど、やはりトム・ブレイディの魅力で応援しちゃうわけで。だが、今年は全体の流れはボルティモアに行ってたなぁ。これは引退を決めているレイ・ルイスの執念だったか。とにかく、最強ディフェンスにペイトリオッツ・オフェンスは後半全く抑え込まれ、かなり一方的な試合となってしまい、とてもガッカリした。
 常に、ポストシーズンに残っていくニューイングランドではあるが、このところ頂点には辿り着くことがない。さすがのベリチック・コーチとトム・ブレイディの名コンビにも限界が来ているのかも。正直、それをひしひしと感じていただけに、最後の栄冠のチャンスと思っていたのだが。

 NFCのシアトル・シーホークスは新人QBのラッセル・ウィルソンの大活躍にしびれて、俄然一押しだったのだが、ディビジョナル・プレイオフで素晴らしい試合をしながらも、最後の最後に守りきれなかったのが、何とも残念だった。だが、若いチームだけに来季に期待する。

 それにしても、今回のDPの4試合はどれもこれもすごくてしびれまくった。唯一ペイトリオッツ対テキサンズが順当な結果と言えるが、他の3試合は最後の最後までどちらが勝利するかわからない大熱戦だった。まぁこの辺りが一番の見所だったということかな。

 さてとにかく、勝ち残った2チームはボルティモアとサンフランシスコで、双子の兄弟監督による対決というのも大きな話題だろう。うーん、新世代QBの一人であるコリン・キャパニック率いる49ers・オフェンスの爆発力がレイブンス・DFを圧倒するんじゃないか。その方がハデな展開になって面白そうか。でも、現役最後の試合となるレイ・ルイスに花を持たせたいって人情も働くんだよなぁ、ジョー・フラッコのロング・パスもかなりの精度でキマってきてるしねぇ。どちらもディフェンスが強いからロー・スコアの可能性もある。いやぁ、今回は難しい。
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by harukko45 | 2013-01-21 15:32

 昨日、水越けいこさんのライブが無事終了しました。江古田マーキーでの昼・夜2回公演にお越し下さったファンの皆様には厚くお礼申し上げます。今回は、これまであまり取り上げられなかった曲を多く選曲してあって、私も初めて演奏するものが多く、まだまだ熟れていない部分もありました。なので、いくつか悔やまれる部分があったのですが、逆に、いい意味での緊張感の持続もあり、コンサート全体の流れは良かったとのことでした。
 個人的には、1部でうまく行かなかった部分を、2部では何とかまとめられたとは思っています。初日を大事故なくクリアできたことで、2月1日の名古屋では少しリラックスしながら、内容にもこだわったライブを目指そうと思います。

 新年明けながら、たくさん集まっていただいた皆さんにはあらためて感謝ですし、名古屋でお待ちの皆さんには乞うご期待です。もろもろの詳細・雑記はその後に。
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by harukko45 | 2013-01-20 15:44

 明日は水越けいこさんのライブが、江古田マーキーにて行われます。今年最初のライブで私も参加します。お越しになるファンの皆さん、新年一発目を大いに楽しんでくださいませ。私も頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2013-01-18 22:20 | 音楽の仕事

(10)からの続きで、最終回。

 ショーン・レノンさんを迎えて Yer Blues

 ジョン・レノン スーパー・ライヴにようやくショーンが来てくれた。"Yer Blues"をやると言うので、すごくうれしかった。とは言え、彼がギターを弾くし、キーボードは無しなので、実際に共演したのは古田、押葉、土屋の3人衆のみなのだが。
 私は演奏に加わらないものの、リハを見学させてもらった。この時は、本番数日前に別のスタジオでおこなわれた彼のためだけのセッションであった。

e0093608_14442641.jpg 彼が"Yer Blues"を選んだのは、2010年にプラスティック・オノ・バンドのコンサートで、エリック・クラプトンと一緒にこの曲をやったからだという。「その時の演奏がすごく気持ち良くて、ようやく父の曲で歌える曲ができたと思った」のだそうだ。
 また、「父の曲がすべて名曲で、それを息子の僕が歌うことで父親と比べられることをプレッシャーに感じていた」ので、ヨーコさんも彼が「(出演を)自ら言い出すまで待ってくれていた」とのことだ。

 実際、父・ジョンとも共演したクラプトンとのセッションは、彼に大きな刺激になったようで、その時に得た情報(特に二人のギターの住み分けやベースの動き)を元に、彼が考える"Yer Blues"像が出来上がっていたようだ。なので、リハが始まると、かなり頻繁に演奏を止め、土屋さんとのフレーズの確認(「あなたのパートはクラプトン、私がジョン」)や、3つの弦楽器それぞれのスペースの保持(「自分のスペースを維持して、他には入らずに」「ポールは高い方に動いているけど、僕はそうじゃない方が好きなんだ」)等、随所にこだわりを見せて、一つ一つ固めていった。それが実にシリアスで印象的だった。
 また、「初めて演奏しているようにやれるのが理想」という言葉にはいたく共感、というか、私も常にそうありたいと思う。
 
 そんなショーンは頭でっかちか、とんでもない。間奏のソロでは、毎回ブッチギレの熱演になるので、しばしばボーカルに戻れなくなるほどだったし、エンディングでのシメなど、本番さながらのアクションでバンドをリードしていた。
 このエンディングは、68年の「Rock and Roll Circus」での"Dirty Mac"バージョンでも、69年の「Live Peace In Tront」でのライブ・バージョンでもなく、彼が新たにアイデアを出したもので、最後の最後で「ぐちゃぐちゃぐちゃーと長くのばすのは好きじゃないので、短めにシメる」と言って、タイトにキメたのがすごく良かった。3人のメンバーにも「パーフェクト、パーフェクト」を繰り返して、仕上がりに満足した様子だったし、観ていただけの私もすごく高揚した気分になっていた。

 さて当日、直前の音合わせでは、ちょっとナーバスな感じの彼だったが、やっぱり本番は違う。特に、歌い始めでの「Yes I'm lonely wanna die 」におけるリアルな「ジョン・レノン感」、これはもう、「血」としか言いようがない。そのゾクっとした感触と興奮は忘れられない。ギター・ソロをかなりの勢いで弾きまくっていたし、バンドへの指示も完璧、エンディングも思い通りにビシっとキマッタ。
 私はステージ袖でずっと見守っていたが、見事なパフォーマンスに熱いものがこみ上げてきてしまった。身内でもないのにおかしな話だが「本当にうまくいって良かった」って心から思ったのだった。


2010年ニューヨークでのコンサート、ショーン・レノン、エリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、ジム・ケルトナー、ヨーコ・オノによる"Yer Blues"。この時のエンディングは"Dirty Mac"バージョンだ。
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by harukko45 | 2013-01-12 17:37 | 音楽の仕事

(9)からの続き。

 宮田和弥さんと奥田民生さんのコラボで Come Together、奥田さんとの Girl

 ジュンスカとユニコーンは、80年代後半から90年代に日本のロックシーンを牽引した両雄。そのメイン・アクター同士の共演というのは実にワクワクした。ただ、リハはあっという間に終わるだろうな、と予測していた。二人ともベテランだし気心知れた仲、四の五の言わずにパッとやって、「後は本番で」ってなるのは目に見えてた。
 で、その通りになった。奥田さんがスタジオに着くや否や、宮田さんとの簡単な打ち合わせがあって、すぐに宮田さんがカウント。後はみんな知ってる"Come Together"である。1回やってみて、歌い分けの確認をし、先発をどちらにするかをジャンケンで決めて、さあ、もう一度。ということで「本番よろしく」。あっという間にコラボ・コーナーのリハは終了した。

e0093608_1835743.jpg 事前に、宮田さんからの要望があり「"Come Together"はニューヨークでのライブ・バージョンで」とのことだった。「Abbey Road」との大きな違いは、キーがDからEに上がっていること。どうしてライブでキーを上げたのかは不明だが、よりロック感を出したかったのかも。それによって、全体の音楽的温度は明らかに上がっているし、ヘビーなムードもかっこいい。ただし、サビでのジョンは高い音がちゃんと出ていない。
 宮田さんは、ライブでのジョンの熱さを再現したくて、あえてこのテイクを指定してきたようだ。我々もそのことは容易に理解出来たし、コンサートの後半部であることからもバッチリな提案だった。それに、宮田・奥田両名とも、キーが上がってもサビを問題なく歌い切ってくれていた。

 間奏、エンディングでは宮田さん曰く「奥田君の唸るエピフォンソロ」が本当にサイコーで、大いに盛り上がった。スタジオ版はクールの極みみたいでシビレるが、なるほど、ライブではこっちの方が燃えるわい。ジョンは正しい。

 宮田和弥さんを送り出し、一人奥田さんが残って、もう1曲。「みんな盛り上がってくれたのに、次はすごく暗い曲。Cマイナーですから、こんな響き。」と自らCmのコードを鳴らして、会場大爆笑。「なので、座って聴いてください」という流れから、"Girl"。

e0093608_18381254.jpg 名作「Rubber Soul」は65年10月半ばからレコーディングが開始され、12月3日の発売されるという、信じられないスケジュールで制作された。わずか1ヶ月足らずで全てを仕上げたにもかかわらず、傑作・名曲がズラリと並び、アルバムとしてのトータル性もあり、ビートルズの音楽が一躍「アート」の世界に踏み込んだ記念碑的作品と言える。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがこれを聴いてショックを受けたというのも、すごく理解できるし、これによりブライアンは「Pet Sounds」に着手するのだから、素敵じゃないか!
 ここから、ビートルズ対ビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)のハイ・レベルなアルバム対決が始まるわけだ。

e0093608_16223654.jpg "Girl"はもちろん傑作の一つ。まずは、全体のけだるいムードが最高であり、ジョンの語りかけてくるようなボーカルが絶妙で素晴らしい。12弦ギターを使った地中海風のフレージングもいい。バック・コーラスの「tit,tit,tit...」は「おっぱい」と「バカ者」の両説があるらしいが、いたずらっぽく聴き手を煙に撒くジョンならでは。有名な「吸い込み音」も実に効果的で、「ったく、女ってやつは...」と嘆いた後に一服でキマリだ。
 さらに彼が"Woman"を発表した際に、「ビートルズ時代に作った"Girl"の1980年版だよ」と語っていること。そうなると、"Woman"のフェミニスト・ジョンにはますます裏がありそうな気配だな、うーん面白い。

 と、いろいろと話は広がってしまうが、とにかく、この曲は何回やっても楽しくて楽しくてしょうがない。演奏される楽器は少ないが、全てに意味があるので、緊張感はピンと保たれる。「tit,tit」コーラスは途中で息切れして苦しいが、それでも幸せを感じる。そこから解放されて「グァ〜ア〜ル」とハモるところなどは、まさに失神ものの気持ちよさだ。わずか2分半程度でありながら、極めて充足した気分で満たされ、なおかつ中毒性もある、とんでもない曲だった。

(11)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-11 16:25 | 音楽の仕事

(8)からの続き。

 宮田和弥さんを迎えて Across The Universe

 JUN SKY WALKER(S)の宮田和弥さんは、かなりのビートルズ者であるのに、このイベントは初登場とは何と惜しまれることだったか。が、ようやく今回実現したことは、イベント全体を成功に導く大きな要素だったと思う。やはり、彼のような実力あるアーティストが加わってくれると音楽的なレベル・アップにつながるからだ。

e0093608_1717437.jpge0093608_1717963.jpge0093608_17172184.jpg 宮田さんの選んだ曲は"Across The Universe"。ジョンの作品の中でもかなりの有名曲の一つ。ジョン自身も「本当に良い歌は、メロディーがなくても歌詞だけでその価値を見出せる歌であり、それに該当する曲こそが、アクロス・ザ・ユニバースである」と語るほどの自信作だ。しかし彼は、この曲をビートルズとして満足いく仕上がりにすることは出来なかった。それは、いくつもある別バージョン、リミックス、「ゲット・バック・セッション」でのリハーサル・テイクを聴けば分かる。

e0093608_1717268.jpg あえて、その中での一番を上げろと言われれば、「Anthology 2」に収録された"Take 2"となる。結局のところ、弾き語りに近いシンプルな形(ジョンのアコギ、ジョージのシタールとタンブーラ、リンゴのマラカス)が最上と言う事は、その後のアレンジがどれも失敗であったことを物語る。

 ジョンはビートルズでの完成を放棄(?)したが、前述した彼の言葉の通り「良い歌」であるが故に、数多くのカヴァーを生むことになった。デイビット・ボウイからルーファス・ウェインライトに至るまで、最近では不動産会社のCM、などなど。私はフィオナ・アップルのバージョンが大好きだったし、曲の核心をついている気がする。
 スーパー・ライヴでもこれまでに何度か取り上げてきたが、正直、ビートルズそのままの形では、いまいちステージ向きではないと感じていた。なので、何らかの手を加える必要があり、幻想的で宇宙的に膨張していくようなイメージと、バンドっぽいグルーヴ感を合体させたかった。

e0093608_1794279.jpg そんな中、2011年4月に"Across The Universe"が元オアシスのリアム・ギャラガーのBeady Eyeによって、東日本大震災復興支援チャリティーシングルとしてリリースされた。いち早く、日本のために支援活動をしてくれた彼らに感謝したいと同時に、その出来の良さにとても感銘したのだった。なので今回、宮田さんをボーカルに迎える幸運もあり、是非この「Beady Eye」バージョンでやってみたいと強く思うに至った。
 「Beady Eye」バージョンは、とてもオーソドックスなカヴァーであることに好感するし、ビートルズがループ・トップ・コンサートでこの曲をやっていたら、こんな風になったのではと思わせる。それでいて、現代のバンドらしいタイトさがあって、「今」を感じさせてくれるのだった。

 個人的には、これまでで一番納得のいく"Across The Universe"になった。それはBeady Eyeのアレンジ力が大きいが、宮田さんも頭を弾き語り風にするなど、随所に即興的なアイデアを盛り込んでくれたのもすごく良かった。また、武道館という空間で演奏すると、ますますこの曲のデカさを実感できるようになり、ちょっとしたトランス状態になっているようでもあった。特にエンディングの「Jai guru deva om」は、まさにマントラ唱和の世界だったか。

(10)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-09 22:49 | 音楽の仕事

(7)からの続き。

 吉井和哉さん、斉藤和義さんについて

 吉井和哉さんは今回、原点に立ち返りたいとのことで、あえてシンプルにピアノとご本人のギターでのパフォーマンスとなった。ずっと一緒にやっていたので、とても残念ではあったが、これもまた、イベント自体の鮮度を保つためには大事なことだったと思う。

e0093608_1653739.jpg 彼が選んだ1曲目は"Walking Class Hero"、これに吉井さんの日本語詞がついた。うーん、この歌が良かった。楽屋でモニターから観ていても、すーっと惹き込まれてしまった。やっぱり彼のステージングは綺麗だな、とも思った。それは、他の日本人アーティストではなかなか見つけ出せないものだと感じる。2009年の泉谷しげるさんの「激烈」さとは真逆の静けさと寂しさが、やけに心にしみた。

 2曲目にはまさに原点と呼ぶにふさわしい、吉井"Help!"。これは、バンドで何度もやってきたバージョンだが、こうしてピアノのみで聴くと、なるほど、最初に渡されたデモはこんな感じだったと思い出した。まさに、私も原点を見直すことが出来た気分だったし、彼の"Help!"がとても新鮮に響いて心地よかった。

 吉井さんは「次は一緒にやりましょう」と言っていたそうだ。こちらとしても是非にお願いしたいし、楽しみに待ちたい。

 斉藤和義さんはこの時、弾き語りによるツアーの真っ最中であり、我々とリハができる状況ではなかった。ただ、1曲だけバンドと一緒にとの話もあり、こちらとしては本番当日に合わせるのでも良かったのだが、残念ながらかなわなかった。
 とは言え、彼の弾き語りはとても魅力的だ。なので、これを聴けるのは楽しみでもあるわけで、ちょっと複雑な気分。

 1曲目は忌野清志郎バージョンの"Imagine"。清志郎さんの日本語詞による"Imagine"は人気曲で、これまでにも何人かのアーティストが歌っている。で、「やりたい曲は、いつも誰かに取られてしまう」とは、ご本人の弁だ。ようやく今回は彼がゲットしたわけだが、この日のパフォーマンスを観て、清志郎さんの跡を継ぐのは和義さん、と強く思った。本当に乗り移っているのでは、と感じられるような瞬間がいくつもあり、目と耳が釘付けになってしまった。ふー。

e0093608_16101015.jpg ひょっとしたらバンドと一緒に、と最後まで悩んでいたという2曲目の題名を聞いた時、何としてでも実現させれば良かったと後悔した。「A Hard Day's Night」のラストを飾る"I'll Be Back"だったからだ。

 正直、多くの音楽ファン、そしてアーティストの皆さんも、もっとジョン・レノンの書いた名曲を聴いてほしい、自分で探して見つけ出してほしい、と思う。特に、初期のビートルズにおける素晴らしい楽曲は、不当にも忘れられている傾向にある。
 「A Hard Day's Night」は、ビートルズが全曲オリジナルでリリースした初めてのアルバムで、13曲中10曲がジョンの作、それも傑作がずらり。言わずもがなのタイトル曲から"I Shoud Have Known Better""If I Fell"の3連発、A面では"Tell Me Why"もある。B面は完全にジョンの独壇場で、ポールの"Things We Said Today"も悪くないんだが、ジョンの勢いに圧倒されて、かなりかすむ。よって、飛ばしてもいい。そんな流れで"Any Time At All"から一気に聴けってぇの!これが後世「パワーポップ」と呼ばれるジャンルの原点であり、これ以上のパワーポップはない。そして、最高のジョン・レノンが炸裂しているのだ。まだまだ宝物はたくさん眠っている。
 
 "I'll Be Back"はメジャーとマイナーを使い分けたり、1コーラスと2コーラスで違う展開をみせる凝った作りで、いかにもジョンらしい。歌詞は、つきあっていた女に呆れて別れようとするも、未練たらたらで「戻ってきてしまうだろうな」というもの。だが実は、長らく行方不明だった父親と1964年に再会したときのことを元にしたとのことである。
 その辺の話も興味深いが、歌詞よりもここでは、アコースティックによるアレンジがオシャレなのと、3人のハーモニーが気持ちいいサビがサイコーなのだ、に尽きる。
 ポールも曲作りにはかなり貢献したらしいが、彼らがいろいろと試行錯誤して完成させていった過程を今は"Anthology 1"で確認できるのは実に楽しい。


 ワルツで試している"Take2"は「It's too hard to sing」ってことでボツ。で、8ビートにしたエレキ・バージョンの"Take3"、どっちも面白いけどね。

 さて、スーパー・ライヴでは、今回大活躍のRoyくんを迎えて、斉藤さんとの即席デュオでのバージョンとなった。かなり異色の組み合わせだったけど、Royくん、なかなか健闘しておりましたな。でも、やっぱりバンドでやりたかった!

(9)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-07 18:32 | 音楽の仕事

(6)からの続き。

 絢香さんを迎えて Don't Let Me Down〜All You Need Is Love

 2008年に絢香さんが初めてスーパー・ライヴに来てくれた時は、実に衝撃的だった。とにかく、歌が最高にウマイ! その時は1番手として、"Eight Days A Week"と"Mind Games"を歌ってくれたのだが、私はこのブログにおいて「最高最強のトップ・バッター、まさにイチローばりの存在」と書いた。その考えは今も変わっていない。
 そして4年ぶりに、彼女は帰ってきてくれた。リハ前に打ち合わせで挨拶した時、正直、別人かと思った。4年前の彼女は、確かに凄い新人ではあったが、回りをたくさんの人達がガードしていた印象を持つ。ところが、今の彼女は堂々とこちらの目を見て、しっかりとした口調で話をする女性であり、一人でちゃんと自立しているのが、よくわかった。何だかすごくキラキラしていて、その魅力に圧倒されてしまった。

 前回はこちらが用意した音に、彼女がスッと合わせてくれた感じだったのだが、今回は彼女自身のやりたいことがはっきりしており、そのアイデアを最大限取り入れさせてもらいながら、共に作り上げていく形になった。これはとても楽しい時間になった。

e0093608_1720212.jpge0093608_18402265.jpg まずは"Don't Let Me Down"。ジョンの切実な叫びは、「がっかりさせないで、僕を愛して愛して愛して!」って感じだろう。だが、我々が耳にするビートルズのパフォーマンスは、スタジオ・テイク(69年1月28日)もループ・トップ・コンサート(同年1月30日)も、気持ちのいい開放感があって、何よりバンドとして演奏する喜びを感じるのだ。
 この曲の歌詞は、音楽的なノリの良さで言葉を選んだものだと思う。つまり、まずはバンドでカッコよくシャウトをキメることが最重要項目なのだ。それで、最高の語呂としての「ドン・レッ・ミー・ダーン」を思いついたのではないか。歌いながら偶然に出てきたものかもしれない。そんな流れでなければ、ジョンがリンゴに向かって、「景気付けの為に、最初は思いっきりシンバルを鳴らしてくれ」とは言わないだろう。
 ようするに、この曲ではあまり深読みする必要はない。ヨーコさんに捧げたラブ・バラード?もちろん、それでOKだ。だが、それよりも我々は大いに楽しみたい、バンドでこの曲をやる喜びを。

 絢香さんもちゃんとそれを心得ていて、一言「バンドで行きましょう」であった。

 というわけで、「リードボーカル絢香」を得たバンドが盛り上がらないわけがない。で、私としてはビリー・プレストンのエレピを再現するよりも、土屋さんのエッチなギター・ソロが無性に聴きたかったので、あえてお願いした。それと、もう一度サビでの絢香さんのシャウトを聴きたかったので、これも付け加えることにした。

e0093608_18545435.jpg 2曲目の"All You Need Is Love"は、これまでの経験で言うと、とことん完コピを目指すか、全く別ものにするか、なのだが、今回はそのどちらでもないところでまとめられないか、少々思案していた。とりあえず、オリジナルに近い形で取りかかりながらも、あまりこだわりすぎないようにしておいた。

 そこへ、絢香さんの素晴らしいアイデアが降ってきた。「1コーラスをピアノのみで歌い、2コーラスはオリジナルの感じで、エンディングでは再びピアノのみの『Love, Love, Love』で終わりたい」。彼女はリハ前に自らピアノを弾きながら、このアレンジを練っていたとのこと。「これは、いただき!」とばかりに、すぐにリハを始めた。

 ピアノのみでの絢香さんは、随所に自由なフェイクを交えながら、R&Bバラード風のニュアンスで巧みなボーカル・テクニックを聴かせた。ドラムスのきっかけでバンド全員が参加してからは、「思いっきりいつもの感じで」、その理由は「このイベントでないと出来ないビートルズ感を楽しみたいから」であった。
 そして、「Love is all you need」の繰り返しを「バーン」とあっけなく突き放して、再びピアノのみになる部分は、いろいろとトライして良いものを見つけ出した。結果としてパート2(ビートルズ編)が、夢の中にいるような印象になり、素敵なクリスマス・プレゼントのようでもあった。

 絢香さんとバンドの個性をお互いに生かした形になっただけでなく、まるで短編映画でも観るような、小さな組曲が出来上がった。個人的には、リハの段階で勝利を確信したのだった。

 本番では、会場中からの絢香さんの歌への期待の大きさが否応なく感じられ、それが、こちらの気分をますます高めてくれ、すごく集中してプレイすることができた。もちろん、彼女の歌は最高だった。だから、2曲が終わってステージを降りても、各メンバー達は高ぶっていて、絢香さんとハイタッチして盛り上がったのだった。古田くんの「思わず目頭が熱くなった」との言葉に、私も大きくうなづいた。

(8)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-06 19:46 | 音楽の仕事

(5)からの続き。

 Love Psychedelicoを迎えて Kiss Kiss Kiss〜Cold Turkey

 デリコのNaokiくんは、このメドレーをやるにあたって、前もってデモを作り、わざわざリハ前に持ってきてくれた。それは、ちゃんとKumiさんのボーカル入りで、ギターもいろいろダビングしてあり、なかなか手の込んだ出来になっていた。
 これまでは、セッションしながらのヘッド・アレンジが中心だったが、今回はかなり作り込もうとする意欲を感じた。リラックスした中で、じょじょに仕上げていくのも楽しいが、やはり、「こうしたい」という明解な意志を示してくれるのは、こちらのモチベーションも高くなる。まさに「期待にはたらきかける」ということだ。

e0093608_18495152.jpg それと特筆すべきは、メドレーの前半がヨーコさんの曲"Kiss KIss Kiss"であったこと。80年の「Double Fantasy」の2曲目であるこの曲は、セックスを求める日本語の台詞と喘ぎ声のために、思わずNextボタンを押してしまう人も多いかも。だが、曲自体はその当時のニューヨーク的ニュアンスに富んでおり、CBGB的とも言えるムード。このオケで、デイビット・バーンやデボラ・ハリーがボーカルでもおかしくない。

e0093608_1971074.jpge0093608_1971450.jpg Naokiくんは、そういうニューウェイブ風要素を残しながらも、全体的には自分達流のザックリとしたロックで勝負してきた。それでいて、二人のギターと自分のギターとの役割分担をキッチリ決めていったところが良い。そこに、エレピとオルガンが自然にどちらかのサイドに付くようになるので、ひとまずバンドは土屋+十川チームと長田+和田チームになって左右のバランスを取り、センターにリズム隊を従えたデリコの二人が陣取るというわけ。
 また、こういうパンキッシュな曲でのKumiさんのボーカルは絶妙でカッコイイ、文句なし。正直、ヨーコさんにはないポップ感があり、ヨーコさんのアヴァンギャルド性との両立が実に楽しい。

 "Kiss Kiss"の後半から、ギター・ソロを経て、いくつかのコード・チェンジをしていくパートを、Naokiくんは「セッション部分」と呼んだが、それがちょっとザ・フーの「Tommy」っぽい展開で面白く、すごくワクワクさせてくれた。そして、次への期待が最高潮になった瞬間に"Cold Turkey"のリフに突入する。ここ、何回やってもシビレタ。ものすごくクールで、まさにNaokiアレンジ最大の聴かせ所となった。

e0093608_1924146.jpg ジョンが作ったブルーズ・ロック・チューンの中でも屈指のカッコよさを誇る"Cold Turkey"は、イントロのギター・リフだけで興奮する。ここでは、Kumiさんもギターを持って(それも、ニール・ヤング・モデルのレス・ポール、もちろんアーム付き)、このハードなリフに参加。かなりの分厚さになった。
 それと、Naokiアレンジでは、ベースとドラムスに16分のオフ・ビートが注入されたので、オリジナルにない、ファンキーなグルーヴが生まれた。これも、現代のバンドによる意欲的なカバー・スタイルだし、なんだかんだ言わなくっても、とにかく盛り上がる。ちょっと喜びすぎて、リハの当初では音数が多くなっていたが、すぐに整理して、クールな良さをキープするように心がけた。

 基本的な構成は、以前にデリコ自身がバンド編成でスーパー・ライヴに出演してくれた時と同じだったが、今回は随所によりダイナミックな動きがあり、すごくスリリングになったと思う。
 それと、デリコとのセッション後に、再度、バンドのみでシェイプしていったので、メドレー全体のグルーヴ感がますます良くなっていった。本番日でのリハで、それを感じ取ったNaokiくんは、わざわざ我々に褒め言葉をかけてくれたし、もちろんメンバー達のモチベーションもさらに上がったはずだ。

 本番では、全員が自信に満ちて演奏していたし、リハでは出ない一気呵成な勢いも加わって、最高に気持ちいい時間になった。今回のベスト・アクトはデリコ、と断言したい。

(7)に続く。
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by harukko45 | 2013-01-04 19:53 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる