(3)からの続き。

 藤巻亮太さんを迎えて Stand By Me〜Oh My Love

 レミオロメンの藤巻さんが来てくれたのは、とてもうれしかった。私は彼らの"粉雪"が好きなのだ。あの劇的なサビをシャウトする彼はタマランよ、だいたいその歌詞が「コナーッ!ユキーッ!!」なんだからシビレル。
 それと、当初は"Happiness Is A Warm Gun"も選曲候補に上がっていて、これはこれは、バンド的には毎日練習しちゃうよ!って感じで、秘かに秘かにかなり盛り上がっておりました。残念ながら"Happiness"はもれてしまったが、それでも彼のような若いロック・ミュージシャンが参加してくれることは大いに喜ばしい。

e0093608_14443012.jpg 藤巻さんの1曲目が"Stand By Me"だったのは、ちょっと意外だった。それに、初めてお会いしてみると、ずいぶん柔らかい感じで、こちらが勝手にストイックな印象を強く持ちすぎていたのが間違いだった。
 で、とにかく、彼のギターのカッティングで始めたかったので、これは是非にとお願いした。歌い始めるとすごく爽やかな声に一瞬驚くものの、そうか、これが彼の本質だったのかもしれないと思うようになった。
 彼が来る前のリハでは、ある程度レミオ的な要素を意識して、普段この曲をやる時よりもアグレッシヴに、ちょっと硬質的なイメージで演奏していたのだが、実際にはもっとオープンで広がりのあるサウンドでよかったのだ。つまり、いつもの感じでバッチリはまるってこと。

 さて、ここでは我がバンドを賞賛したい。特にギター二人の絡みは最高だった。土屋さんのワウワウから、ちょっと歪みを強くしたフィル・イン、長田くんのキレのいいカッティングと、間奏でのボトルネックは、どちらも素晴らしかった。また、ピアノとオルガンでのガッチリしたバッキングは、ボーカルとギター陣に広大なフィールドを提供していた。
 私としては、これまでで最高の"Stand By Me"であったと自負したい。

e0093608_1514960.jpg 続いての"Oh My Love"も、前曲同様にこのイベントでよく取り上げられる曲の一つ。美しいバラードというだけでなく、東洋的なニュアンスをもつメロディが、日本人アーティスト達のハートを揺さぶるのだろうか。

 東洋的なのはメロディだけでなく、愛と悟り、悲しみと諦観を隠喩的に語る歌詞(オノ・ヨーコ作)にも見られる一方、静かで美しいバックのサウンドは、時にヨーロッパ宮廷音楽風の気品と厳格さを感じさせる。ジョージ・ハリスンのギター、ジョンとニッキー・ポプキンスのピアノ、クラウス・フォアマンのベース、どのプレイも意味深い。なので、やはり細部にこだわった取り組みになってくる。

 2年前に元ケミストリーの堂珍嘉邦さんとやった時の感じをベースにしながら、今回はより熟れた形を目指し、最後に藤巻さんのボーカルと交えることで、理想に近いもの仕上がったと思う。
 
 再び自画自賛で恐縮だが、この曲では、二人のキーボードの絶妙な絡みと、バランス感覚の良さを讃えたい。イントロでの十川さんのピアノは、凛とした弾き方と具合のいいディレイ感が素晴らしく、歌始まりからは、高音中心に深めのリバーブで響くもう一台のピアノを弾く私とのコンビネーションが実に美しかった。
 前の曲とは逆に、ギター陣はバッキングに徹し、長田くんの渋めのエレキと土屋さんのアコギは決して出しゃばらない。ベースの押葉君は、クラウスさん直伝の奏法なのか、スタジオ・テイクに残された不思議なラインを見事に再現してくれた。
 もう一つ、かなり隠し味的だが、サビで鳴らされる「チーン」というベル、これも無いと困るほど印象的。もちろん、古田くんは十分承知していた。

(5)へ続く。
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by harukko45 | 2012-12-31 16:03 | 音楽の仕事

(2)からの続き。

 杏さんを迎えて Norwegian Wood〜I Want To Hold Your Hand

 昨年は詩の朗読で参加してくれた杏さんは、今年は歌手として戻ってきてくれた。今や超売れっ子となった彼女は、その過密スケジュールの中、2度もスタジオにやってきて、我々とリハをしてくれたのである。テレビを中心に多方面で活躍する杏さんが、歌うことにこれほど情熱があるとは思っていなかったので、その頑張りには驚かされたのと、このイベントへの真摯な取り組みに深く感謝したい。

 ヒッピー風の衣装で登場した杏さん。さすがモデルさんだ、着こなしが本当に素敵。彼女の合図で始まる1曲目は"Norwegian Wood"。

e0093608_18164348.jpg 私は「Revolver」よりも「Rubber Soul」の方が断然好きだし、ひょっとしたら最高傑作かも、と思いつつ、やっぱり「Abbey Road」や「Sgt.Peppers」の方を上にしておいて、このアルバムはそっと後ろに隠しておこうって感じ。それに、このアルバム全体に「隠れた/隠された」良さってもんが存在すると言えないだろうか。

 "Norwegian Wood"はジョンによる「他の女性との情事」がテーマであるのに、日本では邦題の「ノルウェイの森」から連想される、何とも幻想的なイメージとなり、その本当の意味が隠されてきた。しかし、タイトルとしては「森」の方が断然よく、この曲の素晴らしさをしっかりと表しているのだった。最初から「ノルウェイの木=ノルウェイ材の部屋」じゃ、ノラナイでしょ。
 それに、メロディがミクソリディアン・モードになっていて、エキゾチックというかエスニックというか、なので、シタールとのマッチングもピタっと来るのだった(まぁ、後づけ解釈で、現場はもっと直感的なもの)。

 今回、キーがEからDに下がり(女性ボーカルだから上がりか)、より不思議な響きになった。その影響もあって、私がメロトロン風フルートとコンボ・オルガン、十川さんがタブラの音を加えることにした。これでサウンドの色彩がより艶やかになったと思う。

 また、杏さんの声と押葉くんの声のマッチングが良く、Bメロでのハーモニーが実に気持ち良かった。アイルランド民謡でもやっているようでもあるし、彼女のコスチュームと相まって、フラワームーブメント的な感触もあり、すごく楽しい仕上がりになった。

e0093608_1735761.jpg "I Want To Hold Your Hand"は言わずもがなのビートルズ初期の代表作であり、彼らがアメリカを席巻し征服するきっかけとなった曲でもある。そして、ジョンとポールが一体となった最上の結果の一つだろう。なので、もちろんオリジナル・バージョンへの思いはとても大きいのだが、今回は全く違う方向性からのアレンジで、この曲の新たな魅力に気づくことになった。

e0093608_1545817.jpg 杏さんが提案してきたのは、2007年の映画「アクロス・ザ・ユニバース」の中で使われたバージョン。この映画はジュリー・テイモア原案・監督によるもので、33曲ものビートルズ・ナンバーを使い、歌詞とストーリーをリンクさせてミュージカル仕立てにした作品。よって、全曲アレンジしなおされ、出演者自らが歌っている。
 私は、遅ればせながらDVDで観たのだが、正直、この手の青春ミュージカル系は照れくさい。なので、前半はなかなか入り込めなかったのだが、ジョー・コッカーによる"Come Together"で目が覚め、"Dear Prudence"から"Walrus""Mr.Kite""Because"と続くあたりは夢中になり、その他にも"I Want You""Strawberry Fields""Happiness Is A Warm Gun"のシーンは、テイモア監督が意識したと言うミュージック・ビデオ風のアプローチが冴えて、かなり楽しめたし感心する部分も多かった。私が特にいい出来だったと感じたのが、ジョンの曲での映像ばかりだったのは、やはり彼の詞の世界が妖しくも深くて、映像的な刺激に満ちているからにちがいない。

 さて、映画ではバイ・セクシャルのチア・リーダー(役名:プルーデンス)が歌うシーンで使われた"I Want To Hold Your Hand"は、オリジナルとは全く違うバラード調。淡々とベースとギターでビートを刻みながら、12弦ギターやオーケストラ風のシンセが印象的に使われていた。これはこれで、なかなか新鮮であり、特に女性ボーカルを生かすにはとても良いと思った。
 その分、ビートルズの持っていた爆発的なエネルギーはなくなったが、杏さんのピュアな歌声が合わさることで、何とも言えないファンタジックな世界が生まれたようだった。この曲がこんなにも切ないとは、初めて感じた。

(4)に続く。
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by harukko45 | 2012-12-30 20:17 | 音楽の仕事

谷口守/ラグーン

 昨夜は、私の2012年仕事納め。横浜市センター北にある「ラグーン」にてシンガー・ソングライター谷口守さんのライブがあった。
 このライブは昨年も年末にあり、メンバーもその時と同じで、濱田直哉さんのドラムス、六川正彦さんのベース、ギターに黒沢和貴(Kaz)くん、コーラスに染谷由紀乃さんと伊田良子さん、に私。去年も書いたけど、同窓会と忘年会が一緒に来た感じ。
 アルコールも注入しながらのリラックスした雰囲気だったが、やっぱり曲が始まるとかなり燃え上がり、むずかしい構成と仕掛けを含む谷口さんの曲も、かなりビシっとした出来に、メンバー一同「あれ、うまく行っちゃった」の声。どんな状況でも、ちゃんとキマって熱いライブになるに越した事はない。お客さん達も盛り上がってくれた様子で、うれしかった。

 セットリストは、

 1部/m1.Reminiscing 2.Lady Madonna 3.Bluebird 4.若草の萌える頃 5.フシギ 6.じれんま零時ナイト 7.Eye Believe
 2部/m8.She's A Woman 9.Just The Way You Are 10.雨の日はバラードで 11.Your Present 12.伝えられないメッセージ 13.My Love 14.Gerogy Porgy
 En1.虹のicon 2.ああ無情

 谷口さんのオリジナル(m4,5,6,7,10,11,12,En1,2)は、どれもAOR色の濃いもので、メロディアスでポップなムードでありながら、複雑なコード使いや転調、仕掛けも多く、なかなか一筋縄ではいかないのだが、前述のように、昨夜はことのほかうまく行って、かなりタイトでグルーヴィでありました。バンドの皆さん、さすがでした。
 カヴァーでは、谷口さんのポール・マッカートニー好きが反映されて、彼の曲が4曲(m2,3,8,13)も。ウィングス時代の名曲"Bluebird"はやっぱりしびれますなぁ。それと、"Lady Madonna"はかなりファンキーになって面白かった。
 ビリー・ジョエルの"Just The Way You Are"は言う事なしの気持ちよさ。で、フィル・ウッズの素晴らしい間奏をコピーしてみたのだが、これって、まるで「書き譜」のような完璧さと美しさにあらためて脱帽しました。ただし、ピアノで間奏をそのまま弾くのも芸がなさ過ぎなので、これはギターに譲って、私はエンディングでこれをさりげなく再現することにしました。わかる人はわかるって感じの自己満足(?)。
 m1の"Remincing"は1978年に全米3位の大ヒットで、リトル・リバー・バンドの曲。彼らってオーストラリア出身だった。日本ではいまいち知られてないかも。現在もBirtles Shorrock Goble(BSG)として活動しているようで、YouTubeに「Little River Band Medley」があったので、リンクしちゃいます。ルックスの方はともかく、相変わらずの素晴らしいコーラス・ワークが楽しい。



 それから、本編最後にやったのは、言わずと知れたTotoの名曲。ただし、1990年の彼らのライブ・バージョンをベースにしているので、ずいぶん変化しております。個人的にはデビュー・アルバムでの"Georgy"が今でも好きだけど、これはこれで、演奏が良いので楽しめます。



 というわけで、今年の私は仕事終了。いろいろな現場で、助けてくれたミュージシャン、スタッフの皆さん、そして演奏を観て聴いてくれた皆さんに厚く御礼申し上げます。どうぞ、皆様良いお年を。そして、来年もどうぞよろしくお願いします。
 
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by harukko45 | 2012-12-28 22:58 | 音楽の仕事

(1)からの続き

 Royさん(The Bawdies)を迎えて Dizzy Miss Lizzy〜All I've Got To Do

 毎年、オープニングには何人かのアーティストに参加してもらい、その年のテーマに沿ったジョン・レノン作品を演奏しており、ここ数年は奥田民生、吉井和哉&斉藤和義によるコラボが定番化していた。だが、今年は一切なし。したがって、トップバッターのRoyくんは、いきなりの大役となった。が、彼は昨年のスーパー・ライヴでのパフォーマンスで、観客席だけでなく、同じステージ上の我々バンドをも魅了して、その実力を示してくれたので、全く心配していなかった。
 それよりも、プロデューサーのNaokiくん(Love Psychedelico)のヘッド・アレンジによるいろいろな変更の方が心配(?)。

e0093608_16131353.jpg まず1曲目はラリー・ウィリアムズ作の"Dizzy Miss Lizzy"。ラリー・ウィリアムズはジョンの敬愛するロックンローラーで、ビートルズとして"Dizzy"以外にも"Slow Down""Bad Boy"と3曲も取り上げている。また、75年リリースの「Rock 'N' Roll」でも"Bony Moronie"を大胆なスロー・ ブギーにしてカヴァーしている。

e0093608_1372177.jpge0093608_16151359.jpg ジョンが惚れ込むだけあって、確かに彼の曲はカッコイイのだ。正直、"Dizzy"に関しては、オリジナルの方がしびれる。ビートルズはキメのギター・リフを延々とリピートしていて、ちょっと飽きるが、オリジナルはイントロと間奏のみで、アレンジのバランスがいいし、ラリー自身が弾くピアノがグルーヴィでサイコーなのだ。ポールもHohnerのPianetで頑張っているが、これはさすがにかなわない。とは言え、サウンド全体にビートルズ特有の洗練さがあることも確か。
 この曲と同じ日(65年5月10日)に録音された"Bad Boy"の方は、圧倒的にビートルズに軍配。それに、ジョンのボーカルは完全にラリーを上回る。

 ちなみに、"Dizzy"はオリジナルがB♭で、ビートルズはA。また、ギター・リフをビートルズはドミナントのところだけ、着地音が2度に行っているが、オリジナルは全て同じ(ルート音)でつっぱっていた。最初、Naoki君はこのパターンで弾いていて、私はビートルズの方しか知らなかったので、フレージングを直してもらったのだが、あらためてラリー版を聴いたら、最初の方でも正解だったわけだ。

 さて、ともかく。Naokiアレンジでは、オープニングということもあり、より積極的に観客へのアプローチするために、いろいろな仕掛けがどんどん加わったのと、基本的なグルーヴ感も60年代メンフィス風に変わっていったので、前述のギター・リフ以外ではビートルズ色は無くなった。だがその分、Roy君のキャラにはピタっとはまったと思うし、「会場の温度を上げる」というNaoki君の意図は明確に伝わった。

e0093608_13452875.jpg 続く、"All I've Got To Do"は、ビートルズの2nd「With The Beatles」に収録されていて、当時のジョンのR&B好みが反映された曲。本人曰く「もう一度スモーキー・ロビンソンに挑戦してみたんだ」は、同アルバムに入っている"You Really Got A Hold On Me"(63年7月18日録音)に続いて(同年9月11日録音)、ということだろう。いずれにしろ、かなり「それ」っぽい仕上がりに、「R&B曲のカヴァーでは」とも思える瞬間も。ここではジョンのソウル・シンガーとしての色っぽさに惚れ惚れしつつ、ポールのコード弾きベースにもしびれる。
 「With The Beatles」は、彼らのアルバムの中で一番「黒い」とされていて、ファーストでのカヴァー曲とともに黒人アーティスト達の作品を積極的に白人社会に紹介した功績は大きい。また、ライブっぽい荒さが魅力だったファーストから、わずか数ヵ月後のレコーディングで、オリジナル曲の質、サウンド作り、ジャケット・デザインに至るまで、格段の洗練と落ち着きを獲得していることに驚く。単に、飽きが来ないという点でも名作に違いない。

 さて、今回のNaokiアレンジでは、あえてアコギだけで始めて、Roy君のボーカルを際立たせるのが狙い。それを後半にも持ってきてライブっぽくサイズを長くした。元々、ソウルフルな曲調だけに、Roy君は実に気持ち良さそうに歌ってましたな。個人的には、サビに入ってるポールとジョージによる「アー」コーラスが好きで、それを歌えたのが至福の喜びでありました。
 この2曲に関しては、リハ後にあらためて譜面に書いて整理し、バンドだけでも練習を重ねた。それによって、我々自身の演奏もよりグルーヴィになったと思う。

(3)に続く。
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by harukko45 | 2012-12-28 14:27 | 音楽の仕事

 一昨日の22日、大橋純子さんとの今年最後のライブとして、松崎しげるさんとのジョイント・コンサートがありました。このところ、毎年恒例になっている横浜ベイ・シェラトン・ホテルでのクリスマス・ディナーショウで、ジュンコさんとの2012を締めくくるにふさわしい、充実した内容で無事に終えることができました。
 松崎さん、ジュンコさんのお二人の歌の素晴らしさは、じゅうじゅう分かっているつもりでも、やっぱり、いざ本番という時の集中力の高さに、この日も圧倒されました。かなり、演奏しつくしている曲であっても、今初めてやっているような感覚になるのは、本当に凄いことだと思います。

 この日のセットリストを書いておきます。

 m1.The Christmas Song(Opening Theme)〜2.A Lot Livin' To Do〜3.It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing) m4.シンプル・ラブ〜5.たそがれマイ・ラブ〜6.シルエット・ロマンス〜7.愛は時を越えて m8.Christmas Medley (Silent Night〜クリスマス・イブ〜Last Christmas〜Blue Chrstmas/ White Christmas〜Happy X'mas) m9.愛の六日間〜10.いのちをかけて〜11.抜け殻 m12.愛のメモリー En.Endless Love

 と、お二人の代表曲を中心に、ジャズ・スタンダード、ミュージカル・ナンバーや新旧のクリスマス・ソングを交えた豪華メニューであります。
 松崎さんによるm2の"A Lot Livin' To Do"は、ミュージカル「Bye Bye Birdie」の中の曲、m3はもちろん、デューク・エリントンの名曲。この後から、ジュンコさんが登場しての4曲。「チーム大橋」からは私と土屋さんが参加して、松崎さんのバンド「パインツリー」とともバックをつとめました。

 パインツリー・バンドにはキーボード担当が3人もいるのと、バイオリンに岡村美央ちゃんもいるので、それはそれはゴージャスな編成と言えます。いつもは私一人でやっている部分を、皆さんに振り分けさせてもらい、私はピアノに専念って感じ。"シルエット・ロマンス"や"アイトキ"では普段よりもスケールの大きな世界になりましたし、音色もきらびやかさが増したのでした。

 中盤での「クリスマス・メドレー」は、全員のコーラスによる"Silent Night"が良いのと、松崎さんが"Blue Christmas"を、ジュンコさんが"White Christmas"をそれぞれ歌い、最後に2曲が合体するというアレンジが秀逸。これはなかなかでしたぞ。そして、ラストにジョン・レノンの"Happy X'mas"では、会場のお客さん達も大合唱。私と土屋さんは「ジョン・レノン スーパー・ライヴ」からずっとやり続けてる感じですが、それでも必ず盛り上がって会場に一体感が生まれるのだから、曲の凄さにつくづく感心させられます。

 後半の松崎さんソロ・コーナーでは、何と言っても「男・女・別れ」の3曲メドレーが強烈で、まさに「濃厚」な歌の世界に、演奏しながらも、ぐーっと深みにはまっていく感覚になりました。

 そして、アンコールの"Endless Love"ではお二人の絶妙なボーカルを堪能しました。ステージ上にいて、思わず聞き惚れてしまい、自分のパートを忘れそうになりました。

 2回のステージを終えて、バンド全員がとてもいい満足感に浸って、お互いに今年一年をねぎらいました。いやぁ、いつもながら楽しい現場でした。
 さて、ジュンコさんとの仕事も、これで2012年は無事に終了です。今年一年間、ファンの皆さんには暖かい応援をいただきまして、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 そして、2013年も、より一層の頑張りで盛り上げていきますので、どうぞどうぞ、よろしくお願いいたします。
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by harukko45 | 2012-12-24 18:33 | 音楽の仕事

 12月8日に行われた「ジョン・レノン スーパー・ライヴ2012」について振り返ります。

 今年のスーパー・ライヴでは、ここ数年とは違うものが随所に組み込まれ、出演してくれたアーティストの皆さんも新たな顔ぶれが増え、バックをつとめる者にとっても新鮮な要素がたくさんあった。
 それと同時に12回目ということで、ある意味、イベント全体に「熟れてきた」色合いが感じられ、私は特に、トリビュート・バンド全員の一体感の素晴らしさに、いたく感動したのだった。
 毎回、約一年ぶりに再会するバンド・メンバー達は普段、それぞれの現場で中心的立場で音楽活動をしている人たちばかり。そんな彼らが、この時期に「ジョン・レノンの音楽」のもとに集まり、バックのサウンドに貢献してくれている。それだけでもすごいことなのだが、ここ数年、ほぼ同じメンバーでやれていることや、各自の意識の高さもあって、ただのセッションではない、一つの「バンド」として成立するようになった。
 2ギター、2キーボード、ベース&ドラムスの編成は、とかく音が多すぎて飽和しそうな危険があるが、現メンバーは各自のスペースをきっちり作り出しながら、見事に共存することが出来ている。それは、誰かの強制ではなく、ほとんどが自発的になされている。こういうことは経験値の高いベテランならでは、とも言えるだろうが、本当は音楽への共感度が最も重要なのだ。それが、セッションとバンドの差となるものと、私は信じている。技術的に優れていても、全員がやっている音楽に共感していなければ、バンドにはなり得ない。

 ここで言う「共感」とは、人間的に、ってことじゃない。あくまで「音楽」について、どう感じているか、そこに徹することが出来るのが、プロ・ミュージシャンとしての証とも言える。
 まぁ、「ジョン・レノン」「ビートルズ」という括りで音楽することは、最初から共感度が高いことも確か。だが、だからこそよりプレッシャーも高い。

 ギターの長田進くんは今回、随所に音楽の「きっかけ」になる部分で活躍してくれた。彼の根にあるロック魂は常にバンドにガッツを吹き込む。また一本気とも言えるアプローチは、今どき珍しい「男らしさ」を感じさせる。それでいて、12弦ギターなどで見せる繊細さは、彼の多面性をちゃんと示していて、それがバンドに刺激を与えてくれる。また、フロントのアーティスト達とのコミュニケーションにも長けていて、大いに助かる。

 もう一人のギター、土屋潔さんは最年長であり、ミュージシャンとして常に敬意を払われる存在。彼の無駄のない核心をついたプレイ、確実で丁寧な演奏は、玄人であればあるほど納得させられる。ビートルズにしぼっても、彼はまさに生き字引のようにギターを弾く。ビートルズの「肝」を理解する数少ない名手であり、ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼べる人物だ。温厚な性格とやさしげな風貌だが、実は最も「毒」を含んでいるかもしれない。

 主にピアノ系のキーボードを担当してくれた十川ともじさんは、私より年下なのだが、彼の佇まいの柔らかさから、何となく「さん」付が似合う(?)。彼はアレンジャー、プロデューサーとして私などよりも多方面で活躍していて、その鋭い感性でいろいろなアイデアを瞬時に生み出す。が、同時に全体を見渡すことも出来ているので、絶妙なバランスでそれを配置する。また、ピアノに徹した時には、自由で即興的な部分もあって、決して予定調和にしないところが実に面白いのだ。

 ドラムスの古田たかしくんには説明不要なほど、彼は日本の音楽界・ロック界におけるレジェンドの一人だと思うが、とにかく、10代でデビューした天才なので、同世代の私には憧れの人物でもある。だが、彼の素晴らしい人間性とそのプレイに接すれば、誰もが大好きになること間違いない。また、彼はバンド・リーダーとしての経験も豊富なので、常に「痒いところに手が届く」サポートをしてくれる。ところが、彼はそれをほとんど無意識にやっている。そこが凄いところなのだ。

 ベースの押葉真吾くんは、我がバンドの重要なボーカリストでもある。私としては、出来るだけ多くの曲に押葉くんの声が入っていることを望んでいる。それが、バンドの個性となり、カラーとなっているほど大事だからだ。もちろん、彼はビートルズ博士でもある。その知識・見識は私にとって、最も頼りになるものだ。だが、彼は決して頭でっかちではなく、プレイし歌うことを最も愛するアーティストだ。彼の機知とユーモアに富み、同時にナイーブな感性は、我々がバンドとなりうる大きな要素だと思っている。

(2)へ続く。
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by harukko45 | 2012-12-20 16:26 | 音楽の仕事

(1)からの続き。

 m8.クリスマス・イブ〜9.Joy To The World

 アコギにプロデューサーである森さんを迎えての後半戦。まずは、クリスマスにちなんだカヴァーを2曲。m8は、山下達郎さんによる定番曲で、説明不要でしょう。ここからは男性陣がバック・コーラスで参加しました。で、これはどちらかというと、次曲へのオーバーチュアって感じ。日本語訳では「もろびとこぞりて」となるクリスマス・キャロル"Joy To The World!! the Lord is come"は、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)によるバージョンを参考にしてまとめたもので、発案は森さんによる。スフィアンは、幻想的なサウンド・メイクをして注目されるアメリカのフォーク・シンガーで、彼のバージョンは本当に素敵な仕上がりで、大いに刺激になった。
 

 基本的にボーカルは2声でOKなのだが、これに、けいこさんがもう一つ違うハーモニーをつけ、ソロ部分も加えた構成にして、水越バージョンとなったのでした。

 m10.Africa〜11.32階のBar〜12.Can't You

 今回は比較的しっとりと落ち着いた曲が多かったセットだったので、この辺で少しノリのある曲を。
e0093608_19405861.jpg 82年リリースの「Vibration」から2曲続けて。"Africa"はファンの皆さんにも人気のようで、大いに盛り上がってくれました。私はリズム・キープに忙しいので、コーラスはもっぱら森さんにお任せ。
 "32階のBar"はなかなかムーディな曲で、個人的には結構好きです。いかにも、高層ビルの高級バーな感じは、ねらった「下世話さ」があって良い。こういうのは、昭和っぽいと思うし、今の時代じゃ歌詞にできないんだろうなぁ。

e0093608_074836.jpg 84年の「Ten」に収録された"Can't You"は初めて演奏しました。ファンの方々にはこれまでにこの曲をライブで聴いている人はいるかしら?とりあえず、リズム・セクションがとっても欲しくなる曲ですが、そこを会場の皆さんの手拍子に助けられての演奏となりました。それと、サビでの追っかけコーラスが印象的なので、これは男性二人で頑張ってみました。ただし、会場にいた方はよくおわかりでしょうが、けいこさんが英語詞の部分をあちらこちらに飛ばすので(?)、こちらは対応するのに四苦八苦、けいこさんのあまりのブッ飛び方に、東京ではついに追いつけず、思わず大笑いしてしまいました。まいった、まいった。とは言え、かなり楽しく盛り上がってしまいました。

e0093608_2253452.jpg m13.Beautiful Days

 80年「Love Time」のラストに置かれたこの名曲は、コンサートの最後にも実にふさわしい曲でしょう。伴奏する方も自然にしていれば、曲が良い方向に導いてくれるのでした。何度やっても感動しますし、この曲に無事に辿り着けたことに感謝したい気分になります。

 En1.About Me〜2.モノクローム

 暖かいアンコールに応えて、来年いよいよリリースされることになるニューアルバムからの2曲。共に私がアレンジしたものですが、個人的にもとても気に入っているし、思い入れも強い作品です。けいこさんも私も同年代のミュージシャンとして、お互いに経てきた時間のおかげで、いろいろな余分なものが取れ、今はとても素直に音楽に取り組めている状態であることを表せた内容ではないかと思っています。
 この2曲はトラックダウンを残すのみとなっています。私も早くCDとしてパッケージされるのを楽しみにしています。

e0093608_1125865.jpg En3.Full Moon
 
 コンサートの最後は、静かで美しい"Full Moon"。もちろん、「I'm Fine」でのTOTOのバックが素晴らしかったですが、今回、ピアノのみでやったのも、実に気持ちよかったです。また、あらためて曲自体の美しさに触れた感じでしたし、エンディングに置いたセンスに脱帽です。

 さて、というわけで、今年の水越さんとのライブはこれで終了です。2012年はあまりご一緒できなかったけど、来年はまたいろいろとコラボできると思います。そして、何より、待ちに待ったニューアルバムは、本当に本当にリリースされます。きっと、来年はそういった意味でも華やかな年になるのではないかと思うし、是非ともそうしたいものです。
 いつも暖かく応援してくださるファンに方々に、あらためて感謝の気持ちをお伝えします。本当にありがとうございました。そして、来年もどうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2012-12-19 00:58 | 音楽の仕事

 15、16日は水越けいこさんのクリスマスコンサート2012があり、大阪と東京で演奏しました。両日ともアット・ホームなムードの中で、お酒と食事を交えてのライブであり、リラックスして楽しみながらも、適度な緊張感もあって、ステージと客席との一体感がとても心地よく感じられたコンサートになりました。
 まずは、お越しくださった皆さんの真摯で大人な態度に感謝です。けいこさんのファンクラブが長く、ちゃんと続いているのは、やはり、ファンのみんなの素晴らしさにつきるでしょうね。だからこそ、その愛情に応えるべく、パフォーマンスもビシっとやり遂げねばならない責任を強く感じるのでした。
 とは言え、最終的には相変わらずナチュラルなけいこさんのノリに私もお客さんも完全に巻き込まれて、全てはハッピーな気分に収まるのですから、本当にすごいことです。

 では、いつものようにセットメニューにそって振り返ります。

 m1.Ave Maria〜2.この夜に

 クリスマスコンサートと銘打っていることから、そのテーマに沿った曲が何曲か選ばれました。m1はフランツ・シューベルトの超有名曲ですが、元々は宗教曲ではなく、「湖上の美人」という歌曲集の中の《エレンの歌 第3番》が正式名。くわしくはウィキペディアをご覧ください。まぁ、とにかく、シューベルトの美しい旋律と素晴らしい和声によって、世俗曲として書かれたものが、宗教的な意味合いまでも含むほど大きな存在になったということ。
 ただし今回、 キーをFまで上げて(オリジナルはB♭)、響きが変わったので、マエストロが書いた譜面ではなく、ポップス調にコード・ネームで弾いていく感じにしました。でも、シューベルトへの敬意は忘れないように心がけました。
 けいこさんは、ファルセットを使った歌で、普段とは違ったアプローチをトライして、より厳かで凛とした演出をしていたのでした。始まりとしてはとても効果的だった思います。

e0093608_23502384.jpg そして、ほぼ間を置かずにm2へ。この曲は、けいこさんの作品の中でも、一番「祈り」を感じさせるものと言えるでしょう。詞の内容も、最後には普遍的な愛へと導かれるものとなります。この曲のボーカルは、前曲とはうってかわって、低い音でずっとコントロールしていくむずかしさがあるのと、今回はピアノだけの伴奏だったので、全体に静謐な趣きをキープしながら、内に秘めた熱い思いをじょじょに表していくようにしました。でも、実際にはライブの臨場感の心地よさから、二人でいろいろと出し引きしたり、自由に会話した感じになり、とても楽しいオープニングになりました。

 m3.一人にさせて〜4.Hold Me Tight

 1990年の「Sepia」のm3、1982年の「Vibration」のm4は、隠れるようにひっそりとアルバムに収められた曲とのことで、2曲をつなげるように演奏しました。なるほど詞の内容も、共に許されない愛がテーマなんですが、曲自体の印象は全く違います。

e0093608_1837214.jpg 小島良喜さんアレンジの"一人にさせて"は、あまり飾り気のない表情のシンプルな仕上がりで、90年代風ナチュラル志向と言える感じ。それゆえに、寂しさや悲しさを抱えていても、芯の強い女性の悟ったような爽やかさがあります。

e0093608_198352.jpg 一方の佐藤準さんアレンジの"Hold Me Tight"は、82年当時の明るさや派手さが十分あって、危険な恋の内容もどこか楽しげで、「不倫は文化」的匂いが漂います。だから、アルバムの影でひっそりと、って割には存在感が強いです。
 個人的には、サトジュンさんの方向性は大好きなので、大いに共感して演奏しちゃいます。ゴスペル風のイントロから、ファンクっぽいAメロ、レゲエ風のサビ、メロディアスなハーモニカの間奏と、聴く者を飽きさせない構成が楽しい。エンディングで、ガラっとバラード風になるところも、ちょっとしたストーリー性を持たせている感じで面白い。
 本当ならバンドで再現したい楽曲ですが、今回のようにピアノだけでやり倒すっていうのも、秘かに燃えるものがありました。けいこさんのナチュラルな「ヘンさ」とサトジュンさんの「やんちゃ」がうまく合体していて、実に印象的な1曲だと思います。

 m5.Feeling Blue〜6.You〜振り向いてほほえんだら

 このコーナーでは、ファンの方からの支持が多く、ライブでもよく取り上げられているおなじみの曲達。

e0093608_10325790.jpge0093608_14393442.jpg m5は、1stアルバムからの代表作ですが、スタジオ版との大きな違いは、テンポがかなり遅くなっていること。タイトルの"Blue"に導かれて、よりスローなオールド・ジャズやブルーズっぽいムードになっています。けいこさんの歌もいい渋さがあって、今の感じはとても好きですねぇ。
 81年の「Jiggle」からのm6は、「くー、たまらん」的な佳曲ですし、大村雅朗さんのアレンジもさすがです。ライブでも、曲中での強弱がとても生かされるので、演奏効果の高い作品と言えるでしょう。

e0093608_2310161.jpg 87年の「Proportion」からのm7も、演奏効果が高い部分が多く、ライブでも映える楽曲。今回は前半部分のラストとして、きっちりと貢献した感じ。クリスマスというテーマにも合うロマンティックなファンタジーってムードがあるんですなぁ。

(2)に続く。
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by harukko45 | 2012-12-18 15:23 | 音楽の仕事

 昨夜、ジョン・レノン・スーパーライヴ2012が無事に終了しました。日本武道館にお集まりいただいた皆さんに、心より感謝の気持ちを贈ります。そして、力強いパフォーマンスを披露してくれた出演アーティスト全員と、常に支えてくれたスタッフ、トリビュート・バンドのみんなにも大きな賛辞を贈りたいと思います。
 今年のスーパーライヴは、これまでとは違う流れがあり、新しいアーティストとの出会いもありました。その分、未消化な問題も残ったりしましたが、それも次回へのステップとして貴重な経験となりました。
 とりあえず今は、無事に自分の役目を果たせたことへの安堵の気持ちと、その幸運に感謝したいと思います。

 もろもろの詳細は、またあらためてアップしていきたいと思います。
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by harukko45 | 2012-12-09 14:12 | 音楽の仕事

 先月のライブ・イベントを遅ればせながら振り返るの続き。

 11月17日は、原宿のアストロホールにて、王様のコンサート、それも1969年に開催された伝説のロック・フェス「ウッドストック・フェスティバル」を王様ならではの「直訳ロック」で再現するというもので、その名も「New Old Stock」。
 出演は、王様以外にも札幌Yellow、The DEXSTRINGS、りぶさんが登場。1部は王様と札幌Yellowのコラボに始まり、各バンドがウッドストック・フェスにちなんだクラシック・ロック・チューンを中心に演奏。バンド・チェンジの時間には、別場所にもうけられたスモール・ステージにて王様が弾き語りで、リッチー・ヘブンスの「Freedom」とカントリー・ジョーの「I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die」を日本語で披露。これが本当に良かった。特にカントリー・ジョーにはマジに感動。王様の直訳力と説得力には脱帽したぜよ。

 そして、2部では私のオルガン、三浦晃嗣さんのドラムス、六川正彦さんのベースによる「和三六(ワサンロク)」を率いて王様が再登場、ウッドストックにおける名シーンの数々を再現したのであった。

 「和三六」は、今回のためのホーム・バンドのようなもので、これに1部でパフォーマンスしてくれた若きミュージシャン達も曲ごとに加わってくれた。
 2部で、我々がやったセットリストを書いておきましょう。

 m1.Going Up The Country (Canned Heat) 2.With A Little Help From My Friends (Joe Cocker) 3.Suite: Judy Blue Eyes (C,S & N) 4.I'm Going Home (Ten Years After) 5.Medley: Dance To The Music~I Want To Take You Higher (Sly & The Family Stone) 6.See Me, Feel Me (The Who) 7.At The Hop (Sha Na Na) 8.Black Magic Woman~Gypsy Queen (Santana) En1.Purple Haze (Jimi Hendrix) 2.Little Wing (Jimi Hendrix)

e0093608_14435142.jpg m1のキャンド・ヒートはホワイト・ブルーズ・バンドで、ヒッピー達から「KIngs Of The Boogie」とも呼ばれていたそうだ。で、私が思うに、キャンドヒートはアル・ウィルソンに尽きる。70年に27歳で亡くなってしまった彼は、白人でありながら、まるでデルタ・ブルーズの巨人スキップ・ジェイムスを彷彿とさせるような、牧歌的とも幻想的とも言えるボーカルがたまらんのだ。

 この曲のスタジオ版は、イントロから流れるフルートのフレーズが最高にクール。ところが、ウッドストックでは、このフルートがなく、いきなり歌から。間奏などもギター・ソロになっていて、スタジオ・テイクの神秘性はライブではなくなっているのだが、その分、気合いの入った演奏が印象的だった。その気合い(か、ぶっ飛んでたか)は時に行き過ぎて、途中の仕掛けで失敗、後半は演奏がズレまくっている。この辺を解明するために、スタジオ・テイクをチェックして、今回はその折衷アレンジでやってみた。フルート外せんし、ギター・ソロも生かしたいってとこ。

e0093608_14454757.jpg m2は、ビートルズの名曲をジョー・コッカーがカヴァーして大ヒットしたもの。スタジオ・テイクでのギターはジミー・ペイジ。ゴスペル風味の効いたアレンジに激しくシャウトするジョー・コッカーが素晴らしかった。それとオルガンのプレイも印象的で、この曲の肝にもなっていた。なので、前半は私が活躍、後半の怒濤の盛り上げは、ドラムの三浦さんが凄かった凄かった。畏れ入りました、ハイ。なお、ここでのボーカル&コーラスは札幌Yellowの3人が担当した。


e0093608_14471140.jpg m3は、私が中学生の頃に大好きだったクロスビー、スティルス&ナッシュの超名曲「青い目のジュディ」。とにかく、レコードがすりきれるほど聴いた曲の一つ。当時は、アコギの「Dチューニング」がちょっとした話題でありました。これを、同じ3人組のりぶさんがカヴァー、もちろん王様の訳での日本語詞で歌ってくれた。バンドはお休み。私はステージ袖で歌いまくり。


e0093608_14485098.jpg m4は、マシンガン・ピッキングで有名なアルヴィン・リーのバンド、テン・イヤーズ・アフターの演奏の再現。とは言え、彼らもかなりジャムっぽいので、我々もあまりオリジナルを気にせずに自由にロックンロールした。イントロでの王様の早弾きギター、なかなかしびれましたぞ。


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 m5では、The Dexstringsの面々を迎えてのスライ&ザ・ファミリー・ストーンのメドレー。ただし、ウッドストックでは、彼らはどんどん曲をつなげて演奏しまくっているので、ここは、代表的なヒット曲を2曲選んで、王様が再構成してのメドレーになった。
e0093608_14523735.jpg でもって、文句なく盛り上がります、これぞファンクですから。"Dance To The Music"は、元々メンバー紹介みたいなアレンジなので、各プレイヤーをそれぞれフィーチャリングしました。特に、六川&三浦リズム・セクションのファンク度の高さは尋常じゃない。なので、盛り上がりすぎて、きっかけをすっ飛ばしおったわい、ヤレヤレ。でも、面白かった。


e0093608_14592868.jpg m6は、言わずと知れたザ・フーのロック・オペラ「トミー」の中の名曲。で、ウッドストックだけでなく、この当時のザ・フーのパフォーマンスはどれもこれも素晴らしいので、これを再現するのはなかなか大変ではある。ただ、曲自体の出来が群を抜いていて、それをキッチリ演奏するというだけでも感動してしまうから、やっぱりピート・タウンゼントの才能には平伏すのみ。
 この時は、王様はロジャー・ダルトリーを担当し、ギターのピート役は札幌Yellowさんにお願いした。


e0093608_1503178.jpg m7では再び、りぶさんが登場し、三浦さんのドラムと4人でのパフォーマンス。ここでは、2人が振り付けよろしく大暴れで、大いに会場を沸かした。途中、張り切りすぎて、ギターのシールドが外れるアクシデントもあったが、そんなことにはビクともせずにやり切ってきれた彼らは、エライ!


e0093608_1512557.jpg m8は、ウッドストックで一躍大スターへと駆け上がっていったサンタナの曲。だが、この2曲はウッドストック後のアルバム収録で、実際のステージでは演奏していない。だが、やはり有名曲が欲しいとのことで、あえて、この超メジャー曲がチョイスされた。楽曲的には何も言う必要がないし、演奏的にも最高に盛り上がる。もちろん、キーボードも華やかに活躍しますし、何と言ってもギターね。王様、後半では完全に夢中になって弾きまくっていて、いろいろな段取りは全て吹っ飛ばしてました。でも、良いです。あんたが主役!


e0093608_1505452.jpg 盛大なアンコールに応えて、王様極め付きのジミヘン曲。「パープル・ヘイズ」は定番中の定番であり、今回やるにあたって、いろいろなジミヘンのライブをチェックしてみたのだが、どれも意外とキッチリした構成で、当時の彼とバンドが演奏していたのが印象的だった。とは言え、スリリングなムードは、どの演奏にも存在していたことは間違いない。だから、こういう曲はただやれば良いってわけじゃない。やっぱり、その当時の空気感や感性をある程度認識していて、それに共感していなきゃ、うまくいかんよ。
 というわけで、三浦さんや六川さんといったベテランが必要だったわけだ。

 で、1曲じゃ収まらずに、もう1曲、ほぼ即興的にはじまった「リトル・ウイング」で終演。王様、お見事なパフォーマンスに、私、すっかり感動。ロック万歳です。そして、王様の直訳詞、ふざけていながら、心に響いてくるから素晴らしい。おかげで、楽しくも充実した時間を満喫できました。

 で、本番のダイジェスト・ビデオ



 ついでに、リハ風景も


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by harukko45 | 2012-12-05 13:34 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる