詳細(6)の続き。

 吉井和哉さんを迎えて。

e0093608_15123545.jpg 1曲目は昨年もやった"Yer Blues"。ただし、キーはオリジナルのEに戻った。なぜ、昨年よりも半音上げたのかはわからないのだが、演奏する立場では断然やりやすい。
 今年も、吉井さんがエレキ・ギターを弾いたので、トリプル・ギターの競演となった。吉井、土屋、長田の順番でソロを回すという豪華なセッションでありました。こういうブルーズものはそれぞれのギタリストの色がよく出て面白いです。

 それと、仕掛けをビートルズ・バージョンからダーティ・マック(ロックンロール・サーカスで登場したジョンを中心としたスーパー・セッション・グループ)・バージョンに変えてみた。具体的にはブルーズの頭4小節の1拍目にブレイクして、ビートルズは4拍目に4分でドンとやるのを、ダーティ・マックでは3拍目の裏でくっているわけで、演奏的にはこちらの方が自然で、みんなのグルーヴが止まらず、ビートに推進力を加える感じにもなる。
 ビートルズの方はレコーディングということもあり、彼らっぽく、きっちりと作り込んだ感じだが、この4拍目だけっていうのは結構むずかしい。もちろん、キマると独特なヘビー感が生まれるのだけど。

 逆に、3人のソロのあと、もう一度ボーカルに戻る場面では、昨年はダーティ・マックの、1クッションおいてからドラム・フィルに入るやり方だったのを、ビートルズによる「突然のグルーヴ・チェンジ」パターンに戻した。これで、吉井さんの英語による怒濤の乱入シーンに、よりインパクトが出たのだった。

e0093608_646462.jpg ところで、ちょっとだけ「ロックンロール・サーカス」について付け加えると、これは、1968年に収録されたローリング・ストーンズのTV作品だったが、放映されることなく長年お蔵入りになっていたもので、ストーンズの他にジェスロ・タル、ザ・フー、タジマハール、マリアンヌ・フェイスフル、ダーティ・マックとなかなかの内容。今はDVD等で見れる。当時ボツになった理由は主役であるストーンズの出来が良くなかったことにつきる。

 この時、ダントツに凄いのはザ・フーで、彼らが演奏するミニ・ロック・オペラ"Quick One"は彼らのライブ映像の中でも屈指の傑作で必見と言っていい。これをやられた後では、ストーンズが意気消沈してしまうのはわかる。おまけに、キース・リチャーズはダーティ・マックに入りたいがために、ビル・ワイマンを追い出して、まんまとベーシストとして参加した、という話は十分あり得る。
 ビル・ワイマンはストーンズの出来についても、「ミックのパフォーマンスがお粗末だったからで、バンドに非はない」となかなか辛辣。

 で、肝心のダーティ・マックはなかなか面白いのだが、やはり「その場限り」の域を出ない。とは言え、ジョンのボーカルはさすがの安定感であり、エリック・クラプトンは圧巻にうまいし、かっこいい。ミッチ・ミッチェルも実に「らしい」感じ。だが、誰よりも気合いが入っているのはキースで、ギターソロをかき消すかごとくにベースを弾きまくっている。が、ジョンがせっかく締めのコードを変えているのを無視して、普通のブルーズ進行で突っ張るので、その辺りはグッチャリしております。
 エリックが余裕でかわしているのが、またかっこいいけど。ナイーブなジョンは「ったく!」って感じじゃないのかなぁ。

 吉井さんの2曲目、そして本編ラストは"Across The Universe"。

e0093608_17384015.jpg "Across..."にはCDだけでも4つのバージョンがある。まずは1969年の「バード・バージョン」、次はフィル・スペクターによる「レット・イット・ビー・バージョン」、96年のAnthology2でのアコギとシタール、マンドリン(?)による最初期のバージョン、そして2000年の「ネイキッド・バージョン」である。 で、どれが好きか。うーむ、どれも一長一短、それが答えだろう。とにかくだ、ジョンが「本当に良い歌は、メロディーがなくても歌詞だけでその価値を見出せる歌であり、それに該当する曲こそが、アクロス・ザ・ユニバースである」とまで語っていたにもかかわらず、決定版と言えるものは残念ながら、ない。
 
e0093608_17432057.jpg で、前にこのイベントでやった時は「ネイキッド・バージョン」風だったが、今回は久々に「バード・バージョン」が新鮮に聞こえた。で、吉井さんにどのようにやるか、新たにアレンジを加えるかを事前に相談してみた。彼は「レット・イット・ビー・バージョンで」とのことだった。
 ということで、フィル・スペクターばりのオーケストラ風を目指していたのだが、なかなかシブい感じで、こういう終わり方も新鮮かも、と思いつつも、ちょっと地味か?という不安も同時にあった。吉井さんが歌うことですべてOKになる場合もあるわけだから、決定は彼が来てからにした。

e0093608_17434859.jpg で、吉井さんが登場してのスタジオ・セッションで合わせてみると、やはり「本編最後」には物足りない気分が強くなった。そこで、吉井さん中心に解体と再構築の開始である。それに、吉井さん自身が日本語詞を書いてきたので、そのムードにも合わせていきたかったのだ。

e0093608_17442969.jpg 基本的には4年前の"Help !"でのアプローチに近くなったものの、吉井さんの個性を全面に引き出すことになって、これは正解だった。ただ、もう一つ何か劇的な要素が欲しくなったのだが、その時は浮かばなかった。

 後日、吉井さんが電話をくれ、その「足りない」部分でのアイデアをくれた。「なるほど!」ということで、休憩中だったにもかかわらず、バンド全員を再招集して合わせてみた。そして、ギターの間奏前に、一瞬静かなパートを作ったことで、このアレンジはバッチリきまったのである。これで、自信を持ってやれる気分になった。
 もちろん、吉井さんとは、その変更部分は本番前のリハで初めて合わせて、OKをもらったのだった。なんだかんだ言っても、こういうやりとりを経て、曲が完成していく過程は最高に楽しいのだった。


 さて、このあとは、アンコール。オノ・コードによる会場一体によるパフォーマンスがあり、おなじみの"Happy X'mas (War Is Over)"、続けて"Power To The People"、そして"Imagine"である。

 これらの曲に関してはもう何も言う事はない。言いたい事があるとせれば、世の中はますます不穏で不条理であり、戦争の危機は我々にも身近になりつつあり、それでも相変わらず人間達は傲慢だということ。
 ジョンは「70年代は、みんな最悪だった」と言っているが、今を生きる我々にとっては、あの頃の方がずっと素晴らしかったかもしれないと思うほど、現代はひどくないだろうか?
 そろそろ、私たちも怒らなくてはいけないのでは、勇気を持って。



 今年もたくさんの人々の力を借りて、一年を過ごすことが出来たと思っています。本当に心からお礼したいと思います。ありがとございました。
 そして、皆様にとって来年がよりよい1年であることを願っております。どうぞ、よいお年を。
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by harukko45 | 2010-12-31 18:06 | 音楽の仕事

詳細(5)からの続き。

 オノ・ヨーコさんを迎えて。

e0093608_292783.jpg ヨーコさんは、終演後のパーティで記念撮影の際に、私に「本当に今日はとっても綺麗に出来たから、私(わたくし)はすっごくうれしいわ。」と言ってくださった。実は私(わたし)も、この夜のヨーコさんとのセッションは予想以上にうまくいったと感じていたので、すぐにヨーコさんが声をかけてくれたことが心からうれしかった。

 我々はスタジオのリハーサルでは、1度だけしかヨーコさんと"Rising"を合わせていない。この時、ヨーコさんは体調があまり良くなく、長い時間やることは難しかった。で、もう1曲の候補として上がっていた"Walking On Thin Ice"は我々だけでチェックしておくことになった。ヨーコさん自身は昨年のショーン・レノン率いる新しいプラスティック・オノ・バンドとのワールド・ツアーで、両曲ともにやっているので、いつでもOKだったからだ。

 ただ、2曲やるか、どちらか1曲にするかは当日までわからなかった。ちなみに、"Walking On Thin Ice"のオリジナルは現在「Double Fantasy」に収録されていて、1980年代初期のニューヨーク・ニューウェイヴ色の濃いディスコ・チューン。だが、ジョンの死直後のヨーコさんの心情が書かれている歌詞は、心に重く、痛い。

 当日、ヨーコさんはやはり観衆の皆さんへ強いメッセージを送ることを選ばれた。

Listen to your heart,Respect your intuition.
Make your manifestation,There's no limitation.
Have courage,Have rage, we're all together.

Follow your heart,Use your intuition.
Make your manifestation,There's no confusion.
Have courage,Have rage, we're rising.

心の声に耳を傾けて 直観を尊重して
表明してください 制限なんかありません
勇気を持って 怒りを持って そして 私たちは皆一つです

心の命じるままに従って 直観を使って
表明してください 混乱なんかありません
勇気を持って 怒りをもって そして私たちは立ち上がるのです


 ヨーコさんは「8分間はやりたい」とおっしゃった。

 で、我々はEmとCのコードを繰り返しながら、その場の即興演奏のみでバッキングしていった。一度、大きくテンションが高まった後、今回は長い静かな部分が続いた。だが、そこの部分が綺麗だったように感じた。そして、やさしく自然に終わった。私は満足している。

詳細(7)
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by harukko45 | 2010-12-31 03:07

詳細(4)からの続き。

 浅井健一さんを迎えて。

 浅井さんとのセッションはスリリングで面白い。彼は決め事をしっかり考えてきて、いろいろ試すタイプだが、実際の本番では、すでに違うアイデアが浮かんでいるように思う。だから、段取り通りにはいかない、予定調和ではないということ。私は、曲のポイント部分では必ず彼の動きと口元を見逃さないようにはしているのだが、それでも追いつけないところはある。
 でも、それはそれで楽しい部分でもある。裏切りは大事、裏切られるのも、これまた、いとおかし、だ。

e0093608_1656833.jpg 最初にやった"Come Together"は何気なくおなじみの感じで始まるが、浅井さんはギターでアヤシげなフィル・インを入れてくるので、すっきりと歌にはいかない。
 Aメロの1回目も本来よりもオクターブ下で歌い始めるから、ムードはグランジ系の感じに。2回目では通常通りに上がるので、ここでポールがやっている下ハモが付けられる。このハモりのセンス、いつもながらではあるが、ポールにしびれる。
 で、「カム・トゥギャダ~」で突入するサビは、頭のBmから全員で爆音でいけ!との指令は絶対。ちょっとやそっとじゃない、爆で激なサウンドで、どうせなら頭も振れ(これは私の勝手な解釈)。だが、1コーラス目はここは1回しか出てこない。
 再び、オクターブ下でささやくように歌うので、危険な感じが漂うのだが、途中から急に上がってサビ突入、今回は3回やれとの指令。もちろん、爆・激・音を全員で。

 この後はエレピのフレーズとギターのハモによる間奏なのだが、そんなものはおかまいなし。浅井さんはエレピのフレーズをそのまま横取りして、弾きまくる。で、ギター・ハモの部分もそのまま突っ張る。ここはコード展開して普段はDからAに行くのだが、そのままDで突っ張れ。思いっきりハード・コアな気分になってきた。

 だが突然、彼はマイクに近寄ってタムを連打するドラムスだけで3度目のAメロ部分を歌い始める。ルー・リードな感じもあるなぁ、結構好き。もちろん、サビの「Bm-A-G」は超ハードX3で。だが、「オーヴァミー」で戻るタイミングは、わからない。ここで、ちょっとした事故発生。だから、どうした。その後は野となれ山となれ、なのだが、そこまででやりきってるから、意外にスパっと終わるのだ。ジョンの持つ、ナイーブさとの裏返しの過激さを、浅井さんは表現してくれた気がする。

e0093608_16562294.jpg ジャーンと終わって、そのまま次の曲のリフを弾き始める浅井さん。昨年もやった"Day Tripper"ではあるが、今回はテンポがぜんぜん速い。こうなると、かなりパンク色が強くなる。タンバリンを16分で振るのはチトやばい。でも、やっちゃったけど。
 サビのコーラスはすごく難しい。でも、キマルとすごくカッコイイのだ。普通に3度の積みだけど、ファルセットで高い。ポールじゃないとバシっと出てこない。ただ、ウチには押葉くんがいるから大丈夫。
 間奏のギター・ソロの後ろでB7のハーモニーがそのままEのダイアトニックで各自上がっていくのだが、ビートルズもそれぞれ「我が道を行く」感じになっていて、実にあやしいが、今回の我々もかなり混沌としていたかも。昨年はかなり整理整頓されていたが、今年はそんなにお行儀よくはいかなかったよ。


 ここで、バンド・チェンジ。斉藤和義さんが、自身のバンドとともに"Jerous Guy"と"Mind Games"をプレイ。斉藤さんは現在全国ツアー中で、リハのスケジュールが合わず、我々とのセッションはかなわなかった。実に残念だ、私は彼のファンだから。

 再び、鈴木京香さんが登場で、"Imagine"の詞を朗読。


 そして、奥田民生さんを迎えて。

 今年も奥田さんが選んだ曲は時間が短い。昨年の"I'm So Tired"が2分3秒、"Polythene Pam"が1分13秒。で、今年の1曲目の"Glass Onion"は2分18秒だ。

e0093608_17223692.jpg 確かに短いなら、何とかしてライブ・バージョンでも作るかと思うが、なかなかそう簡単にはいかない。
 ちなみにホワイト・アルバムを聴いてみて欲しい。かつては、玉石混淆の失敗作、というような評論があったものだが、実際にはビートルズの多彩さが見事に収められた傑作だと思うし、私の場合、このアルバムのどこから聴き始めても楽しめるし、どこかで聴くのをやめても、それほど申し訳ない(?)気がしない(何?)。
 つまり、「Sgt.Pepper」や「Abbey Road」のようにずっとハイ・テンションじゃなくてもいいということで、実に気楽に聴けて、満足感もあるって感じなのだ。

 で、肝心の"Glass Onion"、かっこいい曲じゃないか。歌詞にある「ウォルラスはボールだった」がとかく話題になったが、それよりも"Strawberry Fields""The Warlus""Lady Madonna""Fool On The Hill""Fixing A Hole"とビートルズの曲名がたくさん出てきて、それだけで楽しい楽しい。要は、ビートルズ研究家達をからかったジョンお得意の「おふざけ」に違いない。

 そして、このベースを聴け、だ。ポールすごいっす。これはホワイト・アルバム全体のベース・サウンドに言えますがね。このベースのかっこよさを楽しむためには音が明解になっているステレオ・バージョンをおすすめする。ただし、ヘッドフォンで聴いておくれ。

 それと、ジョージ・マーティン・アレンジのストリングス。たいした事やってるわけじゃないけど、やけに耳に残る。エンディングでのサスペンス映画風のストリングスも効果満点だ。元々はサウンド・コラージュが入っていたようだ(Anthology 3で聴ける)が、これはボツで正解。

 もう一つ、3コーラス目の歌詞「Fool On The Hill」のくだりで、わざわざリコーダーをダビングしているという細かさ、周到さにもおそれいる。1コーラス目の「Strawberry Fields」コーナーではメロトロン(フルート)をトライした(これもAnthology 3)ようだが、これもボツ。ポルタメントのストリングスの方が断然いい。
 こういうこだわり方をチェックしていくと、なぜ、このアルバムがビートルズ崩壊のきっかけのように言われるのか、わからない。少なくとも、音楽を作ることに関してのジョンとポールの熱意は凄いし、ちゃんと協力しあっている。

 と、ずいぶん長くなったが、つまり、"Glass Onion"はこの長さで十分に言いたい事を言い切っているし、やりたい事やりつくしている、と言いたい。だから、何も足さないでいい。奥田さんのルーズでいながら、ノリを効かせるボーカルはこの手のシニカルな曲にピッタリなのだ。

 ところで、ホワイト・アルバムを一つのメドレーとしてとらえて、アナログ盤の感じで4曲としてライブでやったら面白いだろうなぁ、なんて。おお、いまさらだが、去年やった"I'm So Tired"とつなげてメドレーにしても良かったか?!うーむ。

e0093608_1853689.jpg 2曲目の"Little Child"は1分50秒。さすがにこれはまずいか?

 ということで、エンディング前をブルーズ・コード進行にして、長田くんと奥田さんとで何回か回すことにした。でも、それほど引っ張るつもりはなかった。が、なんと、本番では突然、ステージ袖から「のばせー!」を表すジェスチャーをスタッフが懸命にやっているではないか!
 何事か緊急事態の発生か? とにかく、これは引っ張るしかない。で、奥田さんのギターソロはかなり長くなった。OKの合図が出るまで、やり続けたから、最後はバンド全員大笑いになったけど、奥田さん、お付き合いいただいて本当に感謝しています。ありがとうございました。
 ところで、いったい何が起きたのかは、全く知らない。後がスタッフに聞くつもりが、全てが終わったときにはすっかり忘れてしまっていた。いやはや。

詳細(6)
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by harukko45 | 2010-12-31 00:40 | 音楽の仕事

詳細(3)からの続き。

 LOVE PSYCHEDELICOを迎えて。

 東京スカパラダイスオーケストラの演奏("I Feel Fine"、"Starting Over")、声の出演での吉永小百合さんの朗読、箭内道彦プロジェクトの演奏("How?")が終わり、再び私たちはステージヘ。

 デリコのお二人は3年連続で、我々トリビュート・バンドと競演してくれている。で、いつも彼ら好みの南部風のアレンジでまとまっていく。やったのは"Stand By Me"と"Help!"。

e0093608_2131431.jpg ロックンロール・オールディズをカヴァーしたアルバムとして屈指の名盤と言える傑作「Rock'n' Roll」はサイコーすぎて、何も付け加えることはない。みんなで楽しく聴きましょう。そんでもって、いかにジョンが天才ボーカリストで、最高のロックンローラーかを知りましょう!ハイ、終わり。

 ところが、このアルバムが完成するまでにはさまざまな紆余曲折があったことを最近知り、その複雑怪奇な内情については、別冊カドカワ特別編集による「ジョン・レノン 夢の絆」の全アルバム解説にくわしいので、ぜひご覧になっていただきたい。
 とにかく私が言いたいのは、いろいろグチャグチャあったのにも関わらず、中味は素晴らしいということ。

 デリコのナオキくんは、セッションしながらのヘッド・アレンジで作り上げていくが、それでも結構細かくこだわって仕上げていく。だが今回は、割とラフな感じで、ジョンのバージョンにもあまりこだわらずにやることにした。「何気ないムードから、自然発生的にジャムが始まる風にしたい」ということだったからだ。
 おかげで本番では、そこまでの緊張感から解放されて、実にリラックスした気分になった。会場の方もスカパラの熱演で、ずいぶん温度が上がってきていたから、バッチリのタイミングだったと思う。

e0093608_2511253.jpg もう1曲の"Help!"は、2006年にNHKの番組テーマ曲として発表したバージョンを参考にした。だから、ビートルズの原曲からはずいぶんとアレンジされた仕上がりに。最終的にはナッシュビル風カントリーロック調になったが、ナオキくんのギターのキャラからして、ワイルドな感覚はちゃんと残りましたな。もちろん、クミちゃんのボーカルはカントリー・ニュアンスがいっぱいで良いのです。



 鈴木京香さんによる詞の朗読"Love"。

 そして、ゆずを迎えて。

e0093608_3202820.jpg ゆずは2年ぶりの登場。この時期、彼らは多忙であり、我々との競演は1曲に集中したいとのことだった。で、選ばれたのは"Don't Let Me Down"。ただし、キーはEからFに上がった。ゆずは声が高いのだ。

 前回の時は、1コーラスぐらいを二人だけで始めて、じょじょにバンドが加わるというアレンジをやっていたのだが、今回の曲ではオリジナル通りにやる方向でまとまった。
 我々にとっては慣れた形で出来るのでありがたいのだが、やはり、冒頭に「ゆず」らしい色が出た方がよいと思ったところ、当日までに何かアイデアを出してきますということだった。

 で、本番では北川くんが、亡き忌野清志郎さんを偲ぶように、清志郎さんが日本語作詞した"Imagine"の一部を歌う事になった。これに続けて"Don't Let Me Down"へ入ったわけである。なかなか、素敵な導入部になったが、当日のリハ前に突如として思いついたらしい。

 また、エンディングではエレピによる有名なソロがあって終わるのだが、岩沢くんがハーモニカを吹くことになり、もう1コーラス増やし、プラス北川くんと押葉くん、私でコーラスをつけた。これもかなりうまくいったのではないかと。
 この曲はかならず毎年登場するが、何度やっても飽きない。やはり名曲だからね。

 ただ、1曲で終わってしまったので、会場のゆずっこの皆さんから「エーッ!」の声が。私ももうちょっとやりたかったです。

詳細(5)
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by harukko45 | 2010-12-30 03:57 | 音楽の仕事

詳細(2)からの続き。

 堂珍嘉邦(CHEMISTRY)さんを迎えて。

 堂珍さんが選んだのは"Mother"と"Oh My Love"。共にジョンの繊細な感性を反映したソロ初期の作品。いつものケミストリーでのイメージとは違い、今回は自らピアノとアコギを弾きながらのパフォーマンスということで、ファンの方々にも新鮮だったのでは。また、自らのバンドとともに2曲のアレンジ・デモを作ってくれ、それを元に我々も演奏することになった。

e0093608_16331050.jpg "Mother"では、前半を完全に弾き語りにし、3回目のAからバンドが加わる構成。変拍子をともなう「 トラウマを叫ぶ」サビの後、堂珍さんによるジョンへ語りかける歌詞がついた新たなAメロが付け加えられた。
 誰が歌っても、強度の緊張感を呼び起こす曲で、演奏もシンプルに徹するので、ますますテンションが高まる。ただ、私は何らかのカラーリングを施したかったので、今回は深いリバーブを効かせたピアノ・サウンドで、堂珍さんのピアノにダブるような感じで演奏した。これで、弾き語りの部分とバンドが加わった部分とで、シーン・チェンジする印象を作れたと思う。

e0093608_1652627.jpg 2曲目で、堂珍さんはアコギに持ち替え、小品ながら極めて美しい"Oh My Love"を。どことなく東洋風のメロディが印象的だが、これはヨーコさんが68年に書いた曲をベースにしているからだろう。
 オリジナル・テイクではジョージのギター・イントロに、ジョンのピアノがからむ。このテイクでのジョージの演奏は素晴らしいし、クラウス・フォアマンのベースも良い。そして、サビ以降に登場するニッキー・ホプキンスによるもう一台のピアノの、繊細で装飾的なフレーズが、曲全体に気品を与えている。
 今回は、金澤くんがジョンで、私がニッキーのパートをやることにした。ニッキーのパートでは、"Mother"同様に少しエフェクトしたサウンドにして、別の空間で弾いている感じにしてみた。

 この曲でも、堂珍さんは独特のイメージを持っていて、極めて遅いテンポを指定してきた。実際、演奏するにはなかなかタフな領域まで遅くなったが、それにより、前曲からの緊張感をキープしつつ、静謐で凛とした世界観で2曲をまとめることが出来たように感じたのだった。

 続いて、曽我部恵一さんを迎えて。

e0093608_16331050.jpg 曽我部さんも「Plastic Ono Band」から、渋いながらもまさに隠れた名作と言える"Isolation"を選んできた。さすが、通っぽい選曲だ。"Mother"や"Working Class Hero"らに通じる内容で、演奏もストイックと言いたいほどのシンプルさ。とにかく、ジョンのボーカルとその詞こそが全てであるかのようだ。だが、これはなかなかハマる。そして、精神的に「ヤラれる」。まさに、魂を抜かれる感じでプレイさせられてる気分になる。

 元々、最小限度の音数(ほとんどがジョン、クラウス、リンゴの3人)で、もうすでにちゃんと成り立っている作品ばかりなので、ライブだからといって遊び半分で余計なことをすると、絶対にきまらない。だからといって、毎回同じプレイをしていたのでは、つまらない。で、何かやりたいのなら、かなりの覚悟を持って、ビシッとやり切らなくてはいけない。

 それにしても、ジョンのファースト・アルバム「Plastic Ono Band」はこの世で唯一無二な孤高の音楽だろう。果たして今の時代、ここにあるジョンの赤裸々な叫び、絶望の思いを、聴き手はちゃんと感じ取れているだろうか。私たちの耳はつくづく衰えた。
 幸いなのは、ジョンの曲作りのうまさのおかげで、このアルバムは永遠の名盤として残り続けているということ。

e0093608_2218192.jpg 曽我部さんの2曲目はプラスティック・オノ・バンドとしてのセカンド・シングルであった"Cold Turkey"。麻薬の「禁断症状」のスラングであることから、ドラッグ・ソングとの烙印を押されてしまった。
 確かに、歌詞は禁断症状の苦しみがずっと綴られているし、曲の後半ではその「うめき」ともいえる声が延々と入っているのだが、音楽的には、文句なくカッコいいロック・チューンであることは否定できない。
 ジョンとジョージ、エリック・クラプトンが弾くハードなギター・リフ、ブルージーなコード・ワーク、そして、サビのキマリ具合もいい。「Cold turkey has got me on the run」のハズ・ガッ・ミ〜の部分、主メロの上につくハモがメジャー7の音に行くのが実にスリリング。

 さて、本番においては、"Isolation"を贅沢なプレリュードにして、そのまま"Cold Turkey"に乱入することにした。だが、これが正解だったかどうかはわからない。
 たぶん、お客さんの多くがあまりこの辺の曲を知らなかったのだろう、"Isolation"の段階でかなりキョトンとした反応だった。突然のブレイクでのエンディングにも虚をつかれた感じで、シーンと静まり返った。そしてなだれ込んだ"Cold Turkey"はハードでカオスな演奏なので、ますますあっけにとられた気分だったかもしれない。
 そういった意味では、サービス精神なしのパフォーマンスではあったが、まさに「あの時代」の空気と曽我部さんの「凄み」を知ってもらえたのではないかと思う。私はなりふり構わず、かなり興奮してしまった。

詳細(4)
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by harukko45 | 2010-12-29 22:43 | 音楽の仕事

詳細(1)の続き。

 Bonnie Pinkさんを迎えて。

 オープニングで歌ってくれた3人とともに、Bonnieさんもすっかり常連。女性アーティストではデリコのクミちゃんとともにこのところ毎年参加してくれている。
 でもって、いつものことながら、コンサートの流れの中でいい感じのフックになってくれる存在だと思っている。それは、ビートルズが持っていた類いまれなる「ポップ感覚」を、自然に表現できる数少ない一人だからだ。
 で、そんなBonnieさんが選んだ2曲はサイケデリック時代のビートルズの名曲。これには個人的に大いに燃えた。正直、今回のハイライトが始まってすぐにやってきた気分である。

e0093608_2315372.jpg かつては、世界最高のポップ/ロック・アルバムと評されていた「Sgt.Pepper」は、時代が過ぎるにつれ、じょじょに人気と評価が急落していった。確かに私もすっかり聞かなくなって、ビーチ・ボーイズの「Pet Sounds」や「Smile」の方を神格化する感じになったことがある。
 だが、今は「Pet Sounds」も「Sgt.Pepper」も大好きだ。特に昨年のリマスターによるモノ・バージョンの「Sgt.Pepper」は本当に素晴らしい。あらためて、このアルバムの偉大さを再認識したし、再度「ビートルズの最高作」としても良いと思っている。それに、今は「Sgt.Pepper」13曲だけでなく、"Strawberry Fields"と"Penny Lane"のモノ・バージョンを最初に置き、"A Day In The Life"の後にアルバム「Magical Mystery Tour」のステレオ・バージョンをつなげておけば完璧なる「サイケデリック・マスターピース集/ザ・ビートルズ'67」となる。この場合、頭においた大傑作2曲がだぶるが、モノとステレオでの違いを楽しめばよい。アルバムとしては「Sgt.Pepper」はモノを、「Magical...」はステレオが好きだ。

e0093608_1131068.jpge0093608_1122638.jpg ちなみにこれはビーチ・ボーイズにも言えて、「Pet Sounds」の後に"Good Vibrations"と"Hero And Villains"、そして"Surf's Up"を続けたいのと同じだ。
 おっと、これでは横道にそれてしまいますなぁ。失礼。
 


 さて我々は、1967年のビートルズから"Lusy In The Sky With Diamonds"と"All You Need is Love"を演奏することになった。この2曲はバンマスの好みを強く反映して、ほぼ「カンコピ」である。ただし、女性ボーカルだからキーは上がった。それ以外はオリジナルの世界を出来るだけ忠実に再現する方向になった。

 まずは、もう一人のキーボードであるフジファブリックの金澤くんが、最高にシビレるサウンドで"Lucy"のイントロを再現してくれた。感謝感激である。元はローリー・オルガンをポールが弾いたものだが、今回の金澤くんの作ったサウンドも負けていない。いきなり67年にタイム・トリップしたかのようだったよ。
 で、イントロで流れるキーボードのワルツ・フレーズはボーカルのラインと良くからんでいて、実に素晴らしい。その裏でルートを弾かないベースとシタールがビヨーンビヨーンとうごめいていて、続くブリッジではワウがかかったジョージのエレキがメロディをユニゾンするのだが、これはまさにインド音楽風。
 そして、誰もが燃えるフロア・タム3発をきっかけにサビは4拍子の8ビートに展開。ジョンの挑戦的な曲作りがサイコーにかっこいい。そんでもって、サビのボーカル・ハモのパートは天にも昇る気持ちよさ。

e0093608_2153349.jpg 一方の"All You Need Is Love"は私が忙しい。金澤くんにはコンプレッサーのかかったようなピアノ・サウンドでベーシックなパターンをお願いしたが、これがかなり良く、モンキーズの"Daydream Believer"風でもあり、ますます私好みな展開。かなり趣味的でしょうか。いや、これでいいのだ!
 なので、他のオーケストレーション部分は私が。イントロのブラス、Aメロのストリングスからサビはトランペットが「パーッパ、パー」でボーカルの合間にサックスの「バッパバララ」、ギター間奏後半のヴィヴァルディ風のストリングス、そして、エンディングではバッハ・トランペットとグレン・ミラーにグリーンスリーヴスと来たもんだ!こりゃ、楽しくってたまりません。これで、コーラス・パートも歌えたらサイコーだったのだが、さすがにそこまでの余裕はなく、これはドラムのシータカくんにお願いした(それにしてもこのサビのコーラスはかっこいい積みだ。彼らの才能に脱帽)。

 それと、Bonnieさんのキー指定がともにB♭になったのも大いにラッキーだった(オリジナルは"Lucy"がA、"All You Need..."がG)。つまり、同じキーなので、自然とこの2曲をつなげたくなり、その感じでリハしているのをBonnieさんが聞いて、気に入ってくれたのだった。これで、サイケ・メドレーがご機嫌にも出来上がった。心の中で万歳三唱であった。

 本番では明るく、パーティ感覚で大いに楽しむことを全員で心がけた。"All You Need..."もあまりルーズなノリになりすぎないようにして、ライブならではのガッツと後半のカオスぶりを強調するようにした。ギターの長田っちは逆回転風のギター・ソロを注入してくれたよ。

 いやぁ、派手で面白かった。Bonnieさん自身が前からやりたかった2曲だということだったから、ほんとにとことんやって大いに満足したのでした。それに、彼女のセンスの良さや洗練されたキャラも生きる内容だったと思っております。

詳細(3)
 
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by harukko45 | 2010-12-29 02:20

 ジョン・レノン生誕70年、そして没後30年である2010年は、ジョン・レノン音楽祭Dream Powerジョン・レノン・スーパーライヴが始まって10年でもある。また、このチャリティ・イベントの目的である世界各地での学校建設が、ついに目標であった100校を達成する年でもある。

 そういったいろいろな意味において、記念の年であり、区切りの年のコンサートとなった第10回のジョン・レノン・スーパーライヴを振り返っていくことにしたい。とは言うものの、出演してくれたアーティスト達が歌ってくれたジョン・レノンとビートルズの曲をネタにして、私一人が勝手に盛り上がるという内容は相変わらずなので、どうかご容赦ください。

e0093608_1523759.jpg 今年のオープニングは、ジョンの生前最後のアルバムである「Double Fantasy」からの選曲となったので、やはり本番日が30年目の命日であるのを意識してしまう。奥田民生、吉井和哉、斉藤和義という、今やこのイベントの常連である「御三家」による豪華な競演は、それだけで特別なものを感じさせるが、まして"(Just Like) Starting Over"から始めるというのは、現場で演奏するのものにとっては、どうしても背筋がピンと伸びるような感覚になるのだった。
 何しろ、あの1980年の12月、ジョン・レノン死亡というニュースが全世界を駆け巡っていた時、シングルとしてリリースされていたのがまさにこの曲であり、ジョンの死をきっかけに一気にヒットチャートを上昇し、ついにソロとしては初の全米1位を記録した曲でもある。
 「再出発」をテーマにしていながら、どうしても彼の死にリンクしてしまう"Starting Over"は、やはり単純に「楽しめる」わけではない。これはあくまで私個人の感覚かもしれないが。

 それと、「Double Fantasy」全体に言えることだが、80年代を強く意識した音作りは、当然ジョンが意図したことであり、これまでのどのアルバムに比べてもアレンジが整理整頓され、ニューヨークの一流スタジオ・ミュージシャン達による演奏は極めて洗練されているし、実に的確なのだ。これ自体はとても素晴らしいことだとは思うが、一瞬、ジョンが白いスーツでボズ・スキャッグスのように登場する雰囲気もあって、正直、ちょっと微妙な印象だったことも確かなのだ。

e0093608_14432974.jpg ところが、今年秋になって、突然登場した「Double Fantasy "Stripped Down"」を聞いて驚いた。"Stripped Down"が意味するのは、要はダビングされていたいろいろな装飾的な音を出来るだけカットして、ベーシックなリズム・セクションを中心にしたリミックスであるということ。

 どうやら、巷のジョン・ファンからは賛否両論のようだが、私にとっては極めて「楽しい」!このような、あまりプロデュースされていない状況、生々しいライブ感覚のサウンドが好きなのは、職業柄なのか、ただの好みなのか、それともこれが今の時代感覚だと突っ張っても良いのだが、まぁ、とにかく、ミュージシャンがいったい何をやっているのかが、よく聞こえるのはうれしい。
 特に最も80年代風ではない、ジョンのギターがよく聞こえているのはありがたい。例えば、この"Starting Over"の場合、ヴァース風に歌われる冒頭の部分が、再度後半に出てくるのだが、その「Let's take a chance and fly away somewhere...」の「サムゥエ〜」の所のコード、ジョンは頭ではDmを弾いていて、これはまぁ、無難で王道な感じ。いかにはロカビリー、オールディズ風なわけだ。ところが、2回目で大きくポーズする部分では、何とDベースでA7sus4のようなテンション・コードを鳴らしているではないか!
 これって、わかります?そうです、あの"A Hard Day's Night"の「ジャーン」ですよ、お客さん!
 
 オリジナル・バージョンでは女性コーラスのハーモニーとジェット・マシーンのようなエフェクトで「グニャ〜」となっていたところが、明解に聞こえてきただけで、私は大感動。これまではDm(9)でお茶を濁していたのを、今回はガッツリと「ジャーン」に変更したのであります。これならば、ジョンによるサイド・ボーカルのG音がすっきりとキマってかっこいいのだ。

 そして、この「Stripped Down」バージョンを聞いて、何よりも圧倒的に感動するのは、ジョンのボーカルなのだ!
 別冊カドカワの特別編集版を読んで初めて知った事だが、「自分の声が嫌いで、ミックスの際になるべくバックの音に埋もれさせるようにしていた」という事実には驚愕した。こんなに素晴らしい歌声を本人が下げさせていたなんて!

 ジョンのボーカルがより素晴らしいと感じるのは、今回2曲目にやった"Woman"だ。このミックスに関しては、少々ザックリしすぎでは?との感じもある。頭からしばらくアコギとベースとドラムというのはちょっと寂しい。だが、そのおかげで、ジョンのボーカルとハーモニーがやけにリアルに届いてくるのだ。だから、じょじょにその素朴さに酔いしれてしまうのだった。
 ただ、武道館でのライブで、ここまでシンプルにやるのは難しく感じた。なので、ここはオリジナルとの折衷案的にして、バッキングに厚みを付けた。特にイントロのコーラス・エフェクトのエレキ・ギターのフレーズは絶対に外せない。
 
 とは言え、今回の「Stripped Down」にあった精神は、とても大きな刺激になり、曲の捉え方に新鮮な感覚を与えてくれたことは実に大きかった。どんなにキラキラとした派手なお化粧をしていようが、元にあるジョンの魂は常に骨太だったことをあらためて確信したのだ。

 さて、実際の我々の演奏においては、極めて明解な意志の元で、すごく気持ちのいいサウンドに仕上がった。だが、ボーカルの方々はとても大変だったと思う。なぜなら、この2曲はどちらかと言えばソロで歌ってこそ映える曲だからだ。なので、直前のリハでも、3人によるジョイントは、なかなかうまくキマらなかった。
 私は少し心配になり、バンド側で少しフォローする手だてを考えた方が良いかと思った。しかし、ギターの長田くんの「彼らはみんなプロだよ。本番では絶対キメル」の言葉で強く納得した、フム。

 ただ、どうしてもしつこい私は、押葉くんとともに二人で両曲のサビでのバッキング・ボーカルを加えることにした。スタジオでのリハでは、つねに二人で歌っていたので、加えることは難しくはなかったからだ。

 そして、本番。常に緊張感が最高潮に達するオープニングにあって、まずは吉井さんの歌いだしにはシビれた。さすが、自分の世界観をしっかり持ち合わせているアーティストの凄みは違う。ゆったりと大きな息づかいで歌ってくれたことで、"Starting Over"のヴァースが、実に広がりのある世界を生み出したのだった。これにより、私としてはすべてOKになってしまった。あとは、あまり憶えていない。だって、気持ちよかったからだ。
 なんて、いい曲だ。なんて、すばらしい曲だ。それだけで十分な気がした。全員が高い共感度で曲と結ばれていれば、何も心配などない。ジョンの曲が我々を導いてくれる。そして、それこそがジョンへの最大のトリビュートだと思う。

詳細(2)
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by harukko45 | 2010-12-28 17:04 | 音楽の仕事

「安倍内閣」鑑賞

 沼津から帰った26日、夕方から下北沢に出かけて、安倍なつみさんが主演する舞台「安倍内閣」を見てきました。一緒に行ったのは、六川さん、高杉さんという「秋ツアー」バンドの面々。これより前の公演で徳武さんも来ていたとのことでした。

 全く歌のない、演技のみの初舞台であるなっちを見に、コンサートでも馴染みのファンの方々がたくさん集結されてました。ロビーでは我々にも声をかけてくれるなど、いつも変わらぬあったかい皆さんですわい。

 でもって、いきなりのなっち登場での台詞まわしに、普段と違う状況で、見ている私は思わずたじろいでしまいました。というか、「おおっ」って感じで圧倒されちゃいました。
 その後は、じょじょに落ち着いて劇に集中できましたが、なっちといい、競演の保田圭ちゃんといい、素晴らしいもんです。すっかり女優さんだもんな。

 私としては、いつ、なっちが「ヒゲ」をつけるのか、を期待していたのですが、それはなかったですね。そういう内容じゃなかったものね。でも、ちょっと残念だったな。それにしても、なっちはやっぱり強いオーラを持っている人です。さすが、主役として堂々たる存在感でした。それと、脇役に徹していたものの、圭ちゃんがずいぶん大人びて綺麗になったなぁと感心しました。

 終演後に舞台裏にお邪魔したけど、こちらはいつもの、なっちと圭ちゃんでした。なんか私としてはほっとしましたけど。で、我々3人は二人の奮闘をたたえながら、来年の再会を誓いあったのでした。いや、ほんと、ふたりとも頑張り屋さんだし、心から音楽もステージも愛しているのがよくわかるので、ぜひ音楽でまた一緒にやれたら、すごくうれしいです。
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by harukko45 | 2010-12-27 22:16 | 日々のあれこれ

 私の2010年最後の仕事は、25日のジュンコさんのクリスマス・ディナーショウでした。この日、いつものメンツと1年の締めくくりをキッチリ出来たことは、この上ない幸せでありましたね。

 ベースの六川さん、ドラムスの植村くん、ギターの土屋さん、それに私による4リズムにジュンコさんという形で、フル・メンバーでのパフォーマンスではなかったのですが、それでも骨太な感覚は失わずにやれていたと思っております。

 m1.シンプル・ラブ 2.ビューティフル・ミー 3.たそがれマイラブ 4.大人の恋をしましょう 5.地上の星 6.シルエット・ロマンス 7.サファリ・ナイト 8.ペイパームーン 9.愛は時を越えて En.Happy X'mas(War Is Over) (5日富良野、22日登別ではこれにプラス、m5に"季節の中で"が加えられていました)

 時間は60〜70分のステージだったので、ヒット曲代表曲でいっぱいになりました。その中にあっての11月24日リリースの新曲であるm4はバンド的な色合いもじょじょに出てきて、かなり熟れてきたなぁと思います。
 また、m5の"地上の星"はどこでやってもなかなかウケが良いのでした。このスパニッシュ・フュージョン風のジュンコ・バージョンはしばらくやってないと随所にキビシい仕掛けやむずかしいグルーヴ感が合わずに事故が起きたりもするのですが、それでもやりきってしまうと、会場が大いに沸くのでした。緊張感が漂って、各自がより真剣に取り組む感じが伝わるのでしょうか。なんだか、音楽を演奏することのあり方みたいなものを、あらためて気づかされるような気分でした。

 m7,8では沼津のお客さん達、とってもノリノリでした。年齢層が高めの方もやっぱ、くぐってきた時代が重なるのでしょう、自然に体が動いて、手拍子してくれてました。うーむ、やっぱこの辺りのファンク、ディスコ系のビートは強いなぁ。

 そして、本編最後のm9は個人的にもかなり満足できる状態でやれたと思います。この曲がうまくいくと、全体的な印象もずいぶん違うのでした。

 アンコールではジョン・レノンのクリスマス・ソングを。実を言うと、私個人はこの時期、この曲をうんざりするほど演奏しているのですが、それでも、この日の2回目のステージで、何とも熱いものがこみ上げてきて、思わず涙が出そうになりました。曲の深みにあらためて触れた感じですが、ジュンコさんのボーカルが素晴らしく良かったので、それまでにない新鮮さをも同時に感じられたからでした。
 ジョンの曲は難しい、それはバンドがどうの、アレンジがどうのではない、歌がとってもむずかしいからなのです。ジョン・レノンは作家としても凄いですが、それより何より、まずボーカリストとして天才。彼が歌えば、どんな駄作であっても成立してしまう部分もあるのです。それを誤解して、簡単に他の歌手が手を出すとほぼ失敗する。ジョンの曲をキメるためには、ボーカリストにはそれなりの覚悟が必要なのです。そういう点で、ジュンコさんはまさに別格でした。それは我々、バックをつとめる人間にとっても、ものすごく誇らしいことだと強く実感したのでした。

 無事に2ステージを終え、その後我々は沼津のおいしい魚料理と日本酒を堪能して、今年1年の「チーム大橋」の仕事ぶりをねぎらったのでした。いやぁ、今年もよく頑張った。とことん真面目に音楽に取り組まんで、何ができるのかと。年取れば取るほど、どんどんシリアスに対処する姿勢は強くなります。でもそれこそが大事です。そうでなくては、楽しくないし、こうしておいしい酒は飲めません、ハイ。

 というわけで、私は世間一般の皆さんよりも、一足先に仕事納めとなりました。ジュンコさんのファンの皆さんには、今年も本当にお世話になりました。いつも熱い応援をありがとうございました。来年もよりエネルギッシュなステージをめざしてやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2010-12-27 14:44 | 音楽の仕事

水越けいこ/X'MAS CONCERT

 昨日は水越けいこさんとの今年最後のライブ、「クリスマス・コンサート2010」を東京の野方区民ホールにてをおこなってきました。

 NPO団体の主催イベントということもあり、どことなくホノボノとしたムードの中、けいこさんのオリジナルにクリスマス・ソングを交えた構成で、約80分ほどの内容でした。

 m1.アヴェ・マリア(シューベルト) m2.モナムール m3.カーニバルの終わりに m4.Boy m5.ほほにキスして m6.We Wish You A Merry Christmas m7.クリスマス・イヴ m8.Love Letter m9.ブルースカイロンリー m10.この夜に m11.蒼い涙 En.Too Far Away

 m1,6,7のクリスマスにちなんだカヴァー以外はほとんど、この1年のライブで取り上げてきた曲で、私とギターの田口くんともども比較的落ち着いた気分でのぞめたのでした。
 唯一、かなり久々に登場した「カーニバルの終わりに」は冬場らしからぬラテン調の曲で、仕掛けも満載で16分音符ビシビシのアレンジでした。正直、二人だけではリズム面で雰囲気が出そうもなかったので、打ち込みのビートを加えてやってみましたが、なかなか楽しいし、結構ライブ向けな曲だと思いました。

 その前にやった「モナムール」も実はへんてこりんなアレンジの曲なのですが、意外にライブでは映える感じで、私個人的にも最近お気に入りの曲。これは打ち込みなしでやりましたが、二人だけでもかなりグルーヴィだったと思います。この辺は田口くんと私が長く培ってきたコンビネーションの良さと言えるかもしれません。

 あと、m8の「Love Letter」も良いです。ある意味、この3曲はいかにも80年代な雰囲気があって、今やると新鮮なのかもしれません。それに、シンプルに二人でバックをやっているので、今まで隠れていた曲の核心が明解に見えてきて、その良さが分かるようになった気もしています。

 さて、カヴァー曲では、何と言っても冒頭にプレリュード的にやった「アヴェ・マリア」。もちろん、数ある「アヴェ・マリア」の中でも最も内容・人気ともに高いシューベルト曲ですが、これは元来、イギリスの詩人ウォルター・スコットの「湖上の美人」に曲をつけた歌曲集の中の1曲である「エレンの歌 第3番」で、詩の内容は"湖上の美人"ことエレンが湖畔の聖母像に向かい、父の罪が許されることを願って祈るというもの。ですから、実際には世俗曲でありながら、いつのまにか宗教音楽であるかのような誤解を受けているのでした。

 しかし、これもシューベルトのあまりにも美しいメロディと素晴らしいバックの和声の効果が、実に気高く感動的なのですから、当然とも言えるのでした。
 今風に言うと、いわゆるコードの使い方が強力にオシャレでイカしている、わけです。だからこそ、現代でも全く古くさくなく、ポップス系のアーティスト達もたくさんカヴァーしているのもうなづけるのでした。

 また、これに対比するように配置されたm10の「この夜に」は、けいこさんによる祈りの曲と言えるでしょう。始めはある恋の出会いへの感謝ですが、最後にはもっと大きな愛に捧げるような広がりを持っている内容です。このところのライブでは、かなりシンプルにやっていたのですが、元々のスケールの大きさを再現したくなり、スタジオ・テイクに入っていたオケをシンクさせてやってみました。まさに、クリスマス・シーズンにぴったりくる感じだったと思っているのですが。

 さてさて、このコンサートで2010年の水越けいこさんのライブは終了。今年は、本当にかなり勢力的にライブ活動をおこなったのではないでしょうか。バンドとのライブ・ツアーだけでなく、いろいろな形で多くの歌う機会を持たれたことは、とても有意義だったと思います。この流れは来年も続きます。何と言っても年明け早々に「秋・冬コレクション・ツアー」の東京公演です。私の仕事初めもこのライブとなります。

 何はともかく、今年一年、いろいろと応援してくださったファンの皆様には、あらためてお礼を言います。そして、来年もどうぞよろしく。地道な活動ではありますが、じわじわと水越けいこさんの音楽が盛り上がっていくようにこれからも頑張りたいと思っております。
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by harukko45 | 2010-12-23 23:51 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる