2006年で、一番よく聴いたCDは前半Kate Bushの"Aerial"、後半になってBob Dylanの"Modern Times"とChristina Aguileraの"Back To Basics"の1枚目、ってところ。

 ケイト・ブッシュは去年の発売だったけど、ちゃんと理解してハマってしまったのが今年ということで。ケイトのピアノが綺麗で素晴らしいし、控えめなボーカルもいい。これは、彼女の最高傑作では?と、最近は思うようになった。全体にマイルドな音質が、長く聴き続けられることにもつながっている。

 ボブ・ディランはまさにベテラン・アーティストがこの現代においてどうあるべきかを示した。本人はそんなことを意識したわけじゃないだろうが、こちらにとってはまさに理想的なオヤジぶり、そして、彼を支えるバンドのあり方もカッコイイ。60年代の生き残りで、今でも最高の輝きで音楽ファンを刺激しまくるのは、唯一65歳のディランだけだ。チョビひげのディランはまだまだ先を行く。

 クリスティーナ・アギレラの新譜は特に1枚目が素晴らしかった。同傾向のアルバムではビヨンセの方が世評は高いようだが、アギレラの方が全然出来がいいと思うのは少数派ですかね。DJプレミアの相変わらずの見事な仕事にも感動でした。

 そして、ここ最近ドップリはまっているのが、サム・クックとディオンヌ・ワーウィック。結局、この手の昔のポップスに興味が戻ってしまうのは、現代のアーティストの魅力が薄いからとしか言いようがない。一年を通して聴いている若手はアギレラとジョン・レジェンドぐらい。ロック系はホワイト・ストライプスが休業では、ほとんど興味がわかなかった。

 サム・クックに関しては先日書いた"Night Beat"に今も感動してるし、JabBeeさん推薦の"Live At The Harlem Squre Club 63"も聴いている。結局、歌のうまさが圧倒的。今の若手でここまで歌える人がいない。

 さて、ここからやっと本題。

 そしてそして本年度最後にしびれまくって今も聴いているのが、"Dionne Warwick Sings the Bacharach & David Songbook"なのであります。

 バート・バカラックの曲との関わりは、昨年から松崎しげるさんと大橋純子さんのジョイントで"The Look Of Love"、"Raindrops Keep Falling On My Head"をメドレーの中でやったのを皮切りに、8月に峠恵子さんのバックで"Close To You"を初めて全曲通して演奏し、その曲の凄さにノックアウトされ、その後12月にマイラさんのバックで"I Say A Little Prayer"(この時のアレンジはアレサ・フランクリン・バージョンだった)をやり、ほとんど脳天に雷が落ちたような衝撃を受けたのだった。
 私は、ここにきて「バート・バカラック恐るべし!!」とついに思うようになったのだ。(オセェーよ、まったく!)
  
 だが、彼の音源はいろいろあってどのCDを聴くかで、印象が変わる。かつてA&Mの彼のリーダー・アルバムを聴いた時は、内容がインスト中心で、正直あまりピンとこなかった。もちろん、彼が偉大なコンポーザー、アレンジャー、プロデューサーであることは理解していたが。
 それで、ちょっと考えた、要は歌の伴奏をやってて自分が感動したのだから、ボーカル・バージョン、それも黄金のトリオとも言える「バカラック、デイヴィッド&ワーウィック」でなければ!

 そんなことは誰でもすぐに気づくわな。そして、もう聴く前から感動しておりました。だって、ほとんどがこのトリオによるヒットですぜ、お客さん!これがオリジナル・バージョンってことです。もちろん、聴いてからなおさらショックを受けております。ここにある全ての曲をコピーしてライブでやりたいほどです。素晴らしい曲ばかり並んでいて、手も足も出ません。一から勉強です。

 それにしても改めて思うことは、バカラックはかなり異端の作曲家だということ、この時代においてビーチボーイズのブライアン・ウィルソンとバカラックが異端者2大巨匠ではないでしょうか。ともに、60年代当時で稀であった、作編曲と演奏、そしてプロデュースを一人でこなす天才。
 私は30歳になった時に、初めてビーチボーイズの"Pet Sounds"の素晴らしさに目覚め、それ以来ブライアンを敬愛してきましたが、50歳を前にやっとバート・バカラックにも目覚めました。よかった、生きてるうちに気がついて。とにかく、まだまだ学ぶこと気づくこと楽しむことはたくさんあるってことです。バカラックは来年のテーマの一つになりそうです。

 それでは、今年もご覧いただきありがとうございました。どうぞ、よいお年を。来年もよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2006-12-31 20:08 | 聴いて書く

年末の第九

 昨夜、ついさっきまでN響の演奏によるベートーヴェンの9番を聴いていた。というか、最後まで聴いてしまった。実を言うと私は、ついつい日本人による演奏(クラシック、ジャズ、ポップス問わず)をTVなどで見たり聴いたりすることに拒否反応があったりするのです。悪い癖ですが、外国人のものは積極的に楽しむのに、日本人の演奏にはついつい余計なことを考えたり、思わず口を挟んだりして、心底楽しめない耳になってしまったようです。自分の心の狭さに、とことん呆れてもいますが、これも「欧米か」ってとこか、自虐的コンプレックス体質に成り下がっているのか。

 昨晩もいつものように、1楽章が始まったあたりでは、「ここはもうちょっとなぁ」とか「その出だしじゃタイムキーパーって言われちゃうよ」とか「ずいぶん軽いなぁ」なんてブツブツ言っておりました。なのに、何となく離れがたくて、ずるずると2,3楽章と聴き進むうちに、私の心もおだやかになり、ついに大スペクタクル・ショーである4楽章まできてしまい、最後の大運動会を思わす、大はしゃぎのマーチに大興奮してしまいました。アホか!

 まぁ、やっぱ何だかんだ言い尽くされてはいるけど、曲が素晴らしいから、ちゃんと演奏してくれれば何も文句ないです。本当にベートーヴェンは素晴らしいです。子供の頃、あまりにも「教育的」に聴かされたので、その反動で長いこと「嫌悪」の対象でありましたが、中年になってから再び大好きになりました。

 1楽章はとても音楽的には難しいし、深いです。なので、なかなか瞬時に感動するたぐいの音楽ではありません。とにかく、こちらを緊張させます。指揮するのも大変なんじゃないかな。評論家先生達や学者さん達はこの1楽章を絶賛しますが、どうも私は苦手です。ただ、その内容の深さには敬意を持っています。
 一転、2楽章はシンプルでわかりやすいスケルツォで、ベートーヴェンらしいシンコペーションやアタックを効かせて、ロック的なカッコよさがあります。スタンリー・キューブリックが大傑作「時計じかけのオレンジ」でこのスケルツォを実に効果的に使用していて、まさにベートーヴェンが「かっこ良かった!」
 3楽章は美しいアダージョではありますが、私はいつも、途中のいきなりの展開に笑ってしまう。それまで、まさに楽園の花畑の中で優雅にたたずんでいるのに、突然夢から叩き起こされて、そのまま絞首刑を言い渡されるような気分になるからです。それほど、彼の音楽は大仰なのです。「何でぇ?人がせっかく気持ちよくしてんのに、あんなおぞましいファンファーレを鳴らすのさ!」 まぁ、たぶんベートーヴェンの気持ちをあえて代弁すれば、「私の芸術を表現するのに、お前の都合など気にしてられるか!」ってとこでしょう。
 それと、美しい弦に比べ、木管やホルンの扱いがいまいち垢抜けてない印象がしてしまう。モーツァルトだったら、もっとうまく書くだろうなぁ。
 
 で、その大仰さで3楽章を数倍のスケールで上回るのが有名な「歓喜の歌」を含む4楽章。ただし、ここは最高に大好き。ここまで、やりきってくれる作曲家は人類の宝です。自分自身の魂の叫びをこれほどのスケールで表現してしまうのは、どう考えてもとんでもないこと。ほとんど傲慢なるエゴイスティックな音楽にもかかわらず、その音楽的効果が強力で美しいがゆえに、聴き手はすっかり巻き込まれてしまう。
 それでも、歓喜の歌が出てくるまでの部分は、3楽章よりも笑ってしまう。それまでの主題が演奏され、「ああ、もっと美しい調べを、もっと!」って悶え苦しむベートーヴェンの魂をあらわすチェロとコントラバスのユニゾンがそれらをいちいち否定する。で、歓喜の歌の旋律が流れると、「おおっ!それじゃ、それじゃ!」って喜ぶんだから勘弁してよ。

 だが、その後はベートーヴェンの天才にただ平伏すことになる。彼はいわゆる変奏の名人であり、基本的に第九の4楽章も「歓喜の歌」の変奏の繰り返しだ。で、そのバリエーションがどんどん展開し発展していくのがとんでもなく素晴らしくて感動する。こんなシンプルな主題が繰り返されるたびにどんどん美しさと偉大さを獲得していくのが凄いのです。
 最も好きなところは、テノールの勇壮なソロと大合唱があってからの弦の合奏だ。もうこれぞベートーヴェンの偉大さ極まれり、いやいやこんなの書くのチョロイチョロイって雰囲気も。それぐらい音符を書く彼はさぞやノリノリだったろうし、頭の中は炸裂しまくっていたことだろう。
 興奮の極致を体感した後、一転とても宗教的な合唱によるパートがくるが、こちらの体は地球を離れて、まさに宇宙を漂うような気分にさせられる。ここも大好き。その後も合唱が大活躍、その激烈な展開にクラっとしつつも、まったく飽きさせないのだった。

 ところが、ついに来てしまった、まるでトルコ風マーチか、はたまた大運動会か、とにかくそれまでの極上の美の競演をすっかり台無しにするかのごとくエンディングに駆け上っていく狂乱のブンチャブンチャを何と例えるか?! 「お前さんはそんなにしてでも、これがやりたいんだな!」
 「苦悩を経て歓喜へ」が彼のトレードマークだが、それもここまでくると手が付けられない。こちらは呆然とするのみだろう。完璧なる美しさをも、同じ曲の中で自ら無惨に破壊しつくす、その恐ろしい才能に畏敬の念を覚える私はほんとに小市民じゃわい。

 あー、面白かった。というわけで、CDでフルトヴェングラーのを続けて聴いている。この場合、指揮者も尋常じゃないから、ますます狂い方が凄い。パンクも軽くぶっ飛ぶ。
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by harukko45 | 2006-12-31 02:43 | 聴いて書く

仕事納め

 さぁ、やっとこ今年の仕事は全部終わりました。最後は水越さんの新曲へのコーラス・ダビングと仮ミックス作りでした。それを、mp3にして関係者にメールする、便利な世の中であり、昔に比べると自宅での作業が増え、その分いくぶんストレスも減ったか(?)。

 ただ、要は中味の問題ですから、どんな環境であれ良いものが出来上がれば、その時の喜びや達成感は何ものにも代え難い。音楽をつくる、ものをつくる、何かを生み出すという喜びは、どんな些細なものでも自分自身を最も幸せにするのだな、と思う今日この頃であります。これも、年の暮れにありがちな「まとめ」的な気分から来るのかも。

 さて、前回も書いた水越けいこさんのレコーディングされた新曲は、とても素晴らしい仕上がりになったと、私は自画自賛したいと思っております。ここでのけいこさんのボーカルが極めて印象的です。実はあまり歌わずに語っているように思えるナチュラルさ。ただ、よく聴けば、いろいろと歌い回しています。ナチュラルに聴かすために、逆に細工を施すというのは、表現者の高度なテクニックでもありますね。
 詞と歌とオケの一体感があって、制作者全員の気持ちが一つになっているのがうれしい。そして昨日録った我が女房殿のバッキング・ボーカルがこれまたとても良い。あまりに近いからいつもは言いませんが、そのアレンジ能力と卓越したテクニックに改めて、才能のある人間はやっぱり凄い、と尊敬の念を抱くのでありました。
 
 これで、水越さんへのレコーディングは一応全て完了です。あとはトラックダウンとマスタリング。ただ、これものんびりと進むらしい。ファンの皆さんはもう少々お待ちくださいませ。

 それと今年、特に後半、楽しく刺激的な機会を与えてくださった水越けいこさんとスタッフの皆さん、いろいろと励ましやコメントをくださったり声をかけていただいた、けいこファンの皆さんにお礼を言います。どうもありがとうございました。そして、よいお年を。来年のけいこさんのミニ・アルバム発売、そしてそれがフル・アルバムへつながるように頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2006-12-30 17:34 | 音楽の仕事

 28日は水越けいこさんのミニ・アルバムの歌入れの最終日。もうすでに5曲中4曲を終え、最後に残ったのは今回書き下ろしの新曲。メロディだけ聴いていると、爽やかなポップバラード風であり、やりようによってはAOR風にもなったかもしれない。
 が、プロデューサーの森くんが示したこの曲の方向性は「メッセージ・ソング」であった。今までそういう内容に関わっていない水越さんに、パーソナルな愛から人類愛的な広がりのある詞と表現も求めたのだった。
 さぁー、大変。ずいぶんでかく来ましたからね。けいこさんも悩みました。私も悩みました。ただ、他の曲とのギャップがあってはまずいので、私は極めてシンプルで、楽器も少なめでオケを作ったのだった。
 けいこさんは詞の部分で、ずいぶん苦しんだみたいだが、最終的に出来て来たものはある意味「達観」した視点で現代をとらえながら、それをあまりむずかしい言葉でなく表現していた。正直、文字だけで読むと少し物足りないかとも思ったが、歌にのせると言葉がスっと自然に頭に入ってきて、それを聴き手が自分なりに感じられるような「問いかけ」にもなっているのだった。
 歌でメッセージ色を出すのは、やり方次第ではアジテーションだと言われかねないし、かといって生温い主張では、ただの「平和ボケ」的な安易さに陥ってしまう。ディランもジョン・レノンも成功したメッセージ・ソングでは、どこか冷めたような、現実と離れた位置から見ているような表現をしているように思う。「Blowin' In The Wind」も「Imagine」もそんな気がする。
 その点では、今回の新曲はちょうどいいスタンスから、キチっとした主張を語っていると思う。そして、あまり歌いあげず、ナチュラルに語る感じでまとめたのは正解だと感じた。曲調はポップなのに、全体にフォークソング風の香りも漂うようになったのは詞の力かもしれない。

 だが、当然微妙にこだわる部分はところどころあったので、いつもよりは時間をかけたことになった。でも、それだけの意味のある仕上がりになったんじゃないかな。私の印象では、さりげなく語られているのに、始めから最後まで一気に聞かせてしまう雰囲気がして面白いと思った。あまり意味のない間奏もなくし、ただ言葉が音にのって心に入って行けば、それで良しなのだ。

 さて、この後けいこさんは他の曲の最終的なチェックをするらしく、一方私はこの新曲を家に持ち帰ってコーラス・ダビングを年末中にあげる予定であります。


 
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by harukko45 | 2006-12-29 02:56 | 音楽の仕事

 26日のMAKIさんのCD発売記念ライブは何だか凄かったねぇ。

 まずは天気ね。何じゃ、この雨と風は?この冬に、この暮れに、何の嵐よ!
 それでも、集まったお客さん、50人以上? はっきり言って、こんなに人でギュウギュウだったヴェルサン、初めて見たよ!
 だから、我々バンドもメインのMAKIちゃん自身もライブ開始直前まで、中にいれなかったのでした。これも、ライブハウスとしては珍しい。
 そんでもって、狭い空間だったし、大雨だったから、空気はうすくなりそうだわ、湿気は強力だったは。なにせ、ピアノの鍵盤がビッショリ汗かいてたよ。タオルで拭いてもダメでした。
 それで、本番前にステージのうしろ(ヴェルサンのステージは道路側にある変則型)にある窓を開けて換気してました。
 面白かったのは、いわゆる店の常連さんとも言えるミュージシャン仲間達がギッシリのお客さんに驚きながら、みんな厨房に入って立ち見してたこと。とにかく厨房が人でいっぱい、それもバンドメンバーの知り合いばかりって言うのなかなかないでしょ。
 そして、終演後にMAKIちゃん自身がアルバムをその場で販売したので、そこにまた長蛇の列、一人で5枚買った人にも驚きましたが、極めつけは二人で30枚買ったお客さんがいました!すげぇー!
 それらの熱心なファンの人達にきちっと一人一人対応していたMAKIちゃん、立派でしたし、頑張ってましたね。オジさんは感動したよ、ほんと。CDをたくさん売ってライブ・ツアーがしたいという目標があるし、出来るだけメンバーやスタッフに還元しようという心意気がいいじゃないの。

 だから、こういう状況でバンドマンどもは頑張らないわけにはいかないでしょうが。

 実は、前日からの風邪とともに、私のみスケジュールが合わずリハ出来なかったので、だいぶブッツケ本番的なところもあった。が、火事場のバカ力よろしく、かなりの勢いでまたまた弾き倒してしまったよ。だから、体も頭も最後にはかなりヒートアップしてしまった。でも、すげぇスッキリした。今年一年のイヤなことは全て帳消ししてもいいや、って思える感じの爽快感を味わあせてもらいました。
 それに何よりとっても盛り上がって騒いでくれたお客さん達がやっぱりありがたいです。MAKIちゃんの日頃の頑張りがちゃんと実を結んでいるからですね。何しろ、この日だけでは入りきらなくて来年1月にももう1回やるのだから素晴らしいことです。とにかく、残り少ない2006年暮れに、大きな「元気」を私ももらった気分です。MAKIちゃん、ありがとう。

 それと、今年いろいろ縁も出来て、何度も演奏させてもらったヴェルヴェット・サンにも感謝します。全くの気取りなく「音楽しまくる」ミュージシャンのホームグラウンドと言えるこのライブ・ハウスには今後もどんどん関わっていきたいし、いろんな刺激をもらいたいと思っています。おー、それからこの日は観客として来てくれたジャビーさんとリナンさんにも今年一年のお礼を言います。共に私を新しい世界に誘ってくれた恩人とも言うべき存在かもしれません。
 いやー、ほんと、もっともっと音楽漬けにならなきゃな。
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by harukko45 | 2006-12-28 03:36 | 音楽の仕事

 24日は今年最後になるジュンコさんのライブ、佐世保でのクリスマス・ディナーショウでした。2ヶ月ぶりのライブ、それも前回はコーラスお二人抜きのラジオ収録でしたから、フルバンドでの演奏はもっとさかのぼって9月ってことになるのでした。それに、事前のリハーサルなしでの現地集合ですから、多少の不安はありましたが、そこは10年バンドの底力、逆に新鮮ささえ感じさせるような力強いパフォーマンスで、とっても楽しく充実したディナーショウになりました。

 タケカワさんのところでも書いたけど、ジュンコさんチームも正真正銘のプロフェッショナルであることを示してくれましたね。それも、音楽そのもの歌そのもの演奏そのものにこだわり続けた「プロ中のプロ」の集団です。ご本人はもちろん、バンドだけでなくPA、照明、舞台にいたるスタッフ全員がです。
 やはり、久々とは言え、ここに帰ってきて演奏する気分は、サッカーなんかに例えると、まるで他の国のリーグで活躍していたメンバーがワールドカップのために母国代表に招集されたような感じです。それだけ、誇りとやりがい、そして信頼がしっかり根付いていると言えるのでした。

 ただし、個人的には非常につらいコンディションでした。前日の仙台でのタケカワさんのショウ終演後、深夜バスで帰京し、そのまま羽田の始発に乗っての佐世保。予想以上に体力を消耗しました。前に、タレントの大泉洋さんがテレビ番組で、北海道から九州までの高速バスによる旅行レポをやってたけど、「とてもじゃないけど、仕事にならないよ」と思わずボヤいていたのを思い出しました。

 それに加えて、私的な事情による問題が発覚し、リハ前は気分的にはイライラして、落ち込んで、言い知れぬ怒りがこみ上げて、最後には「もーウンザリ」しか思い浮かびませんでした。
 でも、時間がきてカウントされたら演奏は始めなきゃならない、そんな気分でもピアノは弾くんだ。ま、ここからは眉唾ものに感じられる人もいるかもしれませんが、不思議なものなんです、音楽というのは。

 つまり、一度演奏に入ったならば、演奏家は他のことにほとんど気を取られなくなるもの。だから、それまでのイヤな思いはどこかに消えているのです。特にそれまでに自分の気分は最低なので、実際には「もうあきらめるしかない」って思ってる、よって余計な野心や欲もすっかり消えて、本当に一音一音、目の前の音を弾いて行くことだけって思いになるのでした。音楽が進めば進むうちに、その状況が気持ちよくてたまらない。この演奏中の実に達観しつつも集中しきった感じがとても心地よかった。

 それと、バンドで演奏するということは同時に他のメンバーの演奏をよく聴くことでもあるのだが、この日はすぐ横にいたせいもあるが、ベースの六川さんのプレイがほんとに素晴らしかった。彼とは他の現場でもちょくちょくご一緒してるし、常にいいプレイをしてくれるエキスパートであるのだが、その彼でさえ、これほどまでに素晴らしいプレイをするのはジュンコさんとの仕事だからこそと思った。

 そして、ジュンコさんは先月の松崎さんとのジョイントでも感じた、豊かにのび、そしてスピードのある声の復活とも言える絶好調ぶりで、非常に強いオーラを感じさせた。「どっからでも、かかってらっしゃい」的な懐の深い歌は、大きな安心感をバンドに与えて、それがバンドの良いパフォーマンスも引き出して行ったとも言えるだろう。
 こうなってくると、"シルエット・ロマンス"も"サファリ・ナイト"も"Happy X'mas"も、どれがオリジナルでどれがガヴァーで、どれがヒット曲か、なんて関係なくなってくる。全てが「大橋純子の音」の世界で統一されて、濃密で充実した時間が過ぎていったのだった。

 それから、佐世保のお客さん達、1回目2回目ともにとても元気で反応もいい方達でした。だから、最終的にはステージ上と客席とのプラスのエネルギー相乗効果によって、2回のショウともにとても盛り上がったのでしょう。こちらサイドだけの自己満足で終わっては意味がない、何よりもお客さんが喜んでくれることにつきるのでした。

 さて、とは言え音楽の宿命というか、終わってしまうと消えてしまう夢のような時間、その後には現実が帰って来て、私はその後、トラブルの処理と疲労で、今年最後の宴会には欠席しました。つまり2日連ちゃんで宴会キャンセルしたわけでした。これも、私の歴史上初とも言えることでした。なので、ジュンコさんを始めバンドのメンバー、スタッフの皆さんには今年一年のお礼を言うことが出来ず申し訳なく思います。とりあえず、この場で遅ればせながらお礼したいと思います。本当にこの一年お世話になりました。そして、来年もよろしくです。
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by harukko45 | 2006-12-27 13:31 | 音楽の仕事

帰って来たと思ったら

 風邪ひいちまったよ。まったく、もう。仕事としては遠出するのは24日の佐世保で終わりだったので、やっぱ気が緩んだかな。それと、もういい歳だっていうのに、若ぶって仙台ー佐世保って、過激な移動したからかもね。

 まだ、やることは残っておるのに情けないことじゃ、とにかく今日のMAKIちゃんのレコ発記念ライブに集中して頑張ろう。
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by harukko45 | 2006-12-26 13:14 | 日々のあれこれ

 つい先ほど、突然の悲報に驚いた。25日早朝、ファンクの創始者でゴッドファーザー・オブ・ソウル、ジェームス・ブラウンが73歳で亡くなったのだ。ブラック・ミュージックのみならず、世界中のポップ・ミュ−ジックに大きな影響を与えた巨人がまた一人この世を去った。それもクリスマスに。大好きだったアポロ・シアターのライブでも聴いてみるか。合掌。
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by harukko45 | 2006-12-25 21:46 | 聴いて書く

 23日、タケカワさんとT's Companyによるクリスマス・ディナーショウの本番でした。全体としては実にリラックスして、ある意味タケさんの「ピュアさ」がよく出た内容だったのではないでしょうか。
 タケさんは、ゴダイゴをはじめとする音楽のみならず、いろんな仕事や活動をしているけど、ご本人の生き方や姿勢は、世間の人々にブレた印象を与えていない人だと思う。つまり、ワイドショウに出ても、アニメを語っても、教育を語っても、歌を歌っても、ある一つの確固たるものを見失っていないと感心する。それが、「ピュアさ」なのだ。そしてそれを売りにできる「プロ」とも言えるんじゃないかな。

 このホテル仙台プラザでのディナーショウは毎年恒例だそうで、去年まではクラシック中心でおこなわれていたそうだ。それが今年、仙台にいろいろとゆかりの深いタケカワさんの登場とはいえ、ファンの方以外の常連(?)さん的なお客さんには最初、戸惑いのような感じもあったかな。私の印象でも、いつもよりも年配でお偉方風(失礼?!)な男性が多く、また品の良さそうなご夫妻もいらしたりして、普段のライブの感じからは違っていたね。

 だから、オープニングからいきなりの"Monkey Magic""Holy & Bright"では、客席サイドはまだ固かったかもしれない。例えば、いつもやってる"Monkey Magic"での会場とのコール&レスポンスなんかも少々おとなしい感じでした。ただし、演奏面では私とギターの村田君はなかなか快調な滑り出し。とにかく、村田くんはこのホテルのオーナーと親戚かもしれないという情報が突然彼にもたらされ、新幹線での移動中から我々はにわかに盛り上がっていたから(何を期待して?!)、そりゃプレイが燃えるでしょ。
 で、個人的には"Holy & Bright"、好きなんですね。やりがいあるのです、この曲。とにかく細かい配慮と大胆なトライがあるアレンジなのは、もともとの曲にそういう要素があるからなんですが、"Beautiful Name"の兄弟曲でありそうで、そうでもないとも言える。それと、しばらくやらなかったので、今回久々の登場にとっても盛り上がっておりました。
 フォーク調のアルペジオから急にディスコ調になったり、ビートルズ風のエイト・ビートからハーフになり、哀愁のプログレ風展開を経て、再びサビでポール風に戻っていくなんて、弾く楽しみ聴く楽しみが後から後からどんどんやってくる感じなんだな。ただし、私は最後のサビの繰り返しで指がすべってちょっとミスってしまった。うーん、悔しい!そこまで完璧だったのに!!

 続くジョン・レノンの"Happy X'mas"も、最近ではこの時期定番の曲になりつつあるね。私は今年も3パターンのアレンジ(ジョン・レノン・スーパーライブ、タケさん、ジュンコさん)を演奏したことになる。特にタケさんバージョンではアコギとピアノだけなので、ベーシックを村田君に任せて、私は少し遊ばせてもらい、オリジナルとは違うアプローチが出来て面白かった。

 タケさんの四女、三女であるアイちゃん、モトイちゃん(そろそろ「ちゃん」付けはまずいかな?)による、それぞれのオリジナル・コーナーはこのところ二人の個性の違いが明瞭になってきた。アイちゃんは一人でもシンガーとして活動を始めているから、そういった自覚がこちらにも伝わってずいぶんと頼もしくなったものです。"My Angel"は基本的にはフォーク・バラードなんだけど、中に16ビートのR&Bぽい前向きなグルーヴがあって、演奏的にはしっかりノリを出して行かないといけない。
 逆に、姉さんのモトイちゃんはほのぼのとした柔らかいムードと同時にとても繊細な感覚も持っていて、彼女のオリジナル"Don't Be So Lonely"はオールディーズ風なニュアンスを意識しながら、あくまでもゆったりと揺れるような演奏を心がけた。
 もちろん、これらのアレンジはお父上のプロデュースによるレコーディング・バージョンの影響が大きいのですが。続く...。

 ...復活。
 
 さて、今回のメイン・イベント"クリスマス・ソング・メドレー"は、去年のサイズでもかなりの長さを誇っていたけど、何曲か少しづつ長くしたので、ついに20分台に突入。これで、私的には松崎さん大橋さんジョイント・ライブでの"スクリーン・ミュージック・メドレー"と双璧をなす大メドレーとなったのでありました。
 それに、全曲にわたり「船頭は私」、みたいなもんだから、なかなか神経を使いますよ。でも、タケさんの構成で気が利いてるところは、各曲の間を常に"ジングルベル"でつないでいるところ。これがあるので、1曲1曲のシーンを作れるのと、ちょっとしたストーリー性を感じさせるのでありました。
 "ジングルベル"/"Santa Claus is coming to town""Let It Snow""White Christmas""Deck the Halls""I saw mammy kissing Santa Claus""赤鼻のトナカイ""The Christmas Song"/"ジングルベル"
 去年の初演に比べると、気持ちに余裕があって、各曲に目配りがずいぶん効いていたと思います。落ち着いたテンポを心がけて、ラストの"The Christmas Song"がピークになるようにコントロールしていきました。で、その"The Christmas Song"はほんとに数あるクリスマスソングの中でも名曲中の名曲なので(特にナット・キング・コールで有名)、やはり演奏していてもじわじわと感動させられるのでした。最後に「Merry Christmas」をリフレインして会場とコール&レスポンスしたので、かなりキュンとしましたね。メドレー全体ではいくつか不満がありますが、最後の曲に音楽的な充実感を得られたし、それと、ある種の達成感が感じられてうれしかったです。

 そして、ビートルズの"Hey Jude"はその流れでとても気分よくできましたし、おなじみの"Beautiful Name""999""ガンダーラ"はかなり精度の高いパフォーマンスだったのではと自負しております。
 ここで、面白かったのは"999"の後半で、村田君のコーラス用マイクがポイントをはずれていたのを、タケさんがわざわざ直しに行ったのでした! まぁ、何と言う気配りというのか、かなり珍しいというか。普通のフロントだったら、まず「ない」ですな。だいたい、メインがいきなり予想外の動きをすると、スタッフもバンドもかなり動揺するんです。「何事か!」ってわけ。それが、何とマイクの位置を直しに来たとはね。完全にこちらはやられてしまいました!

 さて、終演後、しばしタケカワ・ファミリーと歓談したのち、私はこのチームとは泣く泣くお別れして、一人さびしく帰京の途についたのでした。それも高速深夜バスで。24日に佐世保に向かうための始発飛行機に乗るには、それしかなかったからでした。いやー、ほんとに残念。村田くんや、今年お世話になったスタッフのみんなとも久々に飲み語り合いたかったよ。とにかくね、昔のロック好きばっかりの個性派揃いですから、きっと盛り上がったろうな。

 とりあえず、チーム・タケカワお疲れさまでした。また来年もよろしくです。
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by harukko45 | 2006-12-25 17:12 | 音楽の仕事

クリスマス・ショウ

 てなわけで、今日明日はともにクリスマス・ディナーショウが続きます。まずは、本日タケカワユキヒデさんとT's Companyによるショウが仙台で、明日は大橋純子さんのショウが佐世保であります。仙台から佐世保? いやはや、なかなかしびれる移動になりますが、まぁ何とかなるでしょう。それより、一日一日の演奏に集中していかねばね。終わりよければ全て良し、ってノリで今年残り少なくなったライブをいい形でやり遂げられるように、頑張りたいと思います。

 それでは、行ってきます。詳細は後ほどお伝えします。
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by harukko45 | 2006-12-23 08:57 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる