前回書いたホワイト・ストライプスをおもしろがっている人は私の周りに多い。オッサンもそうだし、徳武さんも「ジャック・ホワイトがロレッタ・リンのプロデュースをしていた。」などという話でちょっとした盛り上がりがあった。また、今一緒にライブハウス等で活動しているシンガーでライターのリナンの現場でもストライプスを絶賛する人が何人もいて、みんなでジャック・ホワイトのことを久々のカリスマだ、天才だ、救い主だ、ついには「ロックの生き神様」と言い放つヤツまで現れる始末。

 あまり、何から何まで持ち上げすぎるのは、かえって彼らの足を引っ張ることにもなりかねないが、それだけ、ストライプス特にジャック・ホワイトの存在はブルースとロックンロールをしっかりベースにした本物を志向するロックファンの間では大変なセンセーションなわけであり、年代を問わず10代20代の若い人から我々のようなベテラン・リスナー、ミュージシャンをも同じように興奮させているのがおもしろいのだ。

 実を言うと、もう一組別のバンドについて書きたかったのだが、今はジャックにぞっこんなので、どうしてもそちらに行ってしまう。ついにはHMVのウェブページでStripes新譜“Get Behind Me Satan”のレビューに書き込みまでしてしまった。ちょっと興奮しすぎかもね。

 とは言えやはりもう一つのバンドにも是非ふれておきたい。Foo Fighters, White Stripesとアメリカ勢が続いて、今回はUKだ。そして、今や世界で一番売れているロック・バンド-Coldplayについて。

 こんなところでコールドプレイを語ってもあまり意味がないかもしれない、だって彼らは1stが世界で500万枚、2ndは1000万枚。そして6月発売の新譜“X&Y”は31ヶ国でチャート1位のバカ売れバンド。これまでにたくさんの人々が絶賛し、各方面で高い評価をすでに受けている。彼らの音楽をよくご存じの方も大変多いと思うし、もうとっくにはまっているよと言われてしまうかもしれない。

 確かに「はまる」バンドだ。私はこの手のUKのバンドは本来苦手な方でコールドプレイも最初から気に入っていたわけではない。ただ、常に何となく気になる感じがあって、CD店の試聴機で何回か聴いては買わずの繰り返しだった。だが、大橋バンドのローディーを担当していて、自らもロックバンドを組んでいるキクの推薦もあって、“X&Y”を買ったのだった。そしてどうやら私も「はまった」らしい。すぐに1stの“Parachutes”、2nd“A Rush Of Blood To The Head”も手に入れた。

 今では“Parachutes”(右)が一番好きであり、アルバム全体の仕上がりは“A Rush Of Blood To The Head”(左下)が一番のような気がする。が、どれもすべて充実した作品であることは確かで甲乙つけがたい。とにかく、彼らのアルバムはいったん聴き始めるとスーっと最後まで聴いてしまうのがおもしろいところ。「BGMになるロック」と評する人もいて、その心もなるほど理解できる。全体的には静かな世界(バンド名どおり「冷たい世界」)であり、大変心地よくすんなり聞き通せるのだが、一歩踏み込んでじっくりと対峙してみると、そこには実に繊細で丁寧な仕事ぶりを感じられるのだった。

 制作に時間を十分かけて、丹念に曲作りをしているし、演奏においてバンドの結束の強さ、自分たちのサウンドへの献身的な態度が非常によくわかって好感をもつ。ま、そういう風にこむずかしいこと言わなくても、とにかくメロディの良い曲が多いし、音響的にもUKらしい奥行きのあるサウンドづくりが細部まで行き届いていて大変素晴らしいのだ。

 「これはロックではない。」という人もいるだろう。私もそんな感じがするのを否定しない。ホワイト・ストライプスのように一人の天才の力技にワクワク・ドキドキさせられることもない。ストライプスの曲は何回も聴いてわかっていても、いざ聴くと次にどう展開していくのかがわからなくなってしまうようなスリリングさがあるが、コールドプレイのそれはある意味「予定調和」であるし、実にUK的な「様式美」とも言える。ビートも強烈に押し出すわけでないし、激しいギターソロがあるわけでもないし、特徴的なボーカルでもない。ただそこには非常に良く作りこんだ「いい曲」がならんでいるわけだ。天才がサラサラと一筆書きで仕上げてしまうものの刺激は確かにすごいが、彼らのように職人的な感覚でじっくりと綿密に仕上げた作品も決して劣るものではないということを強く感じるのだった。

 今風に言うと、疲れた現代人を癒すサウンド、なのかもしれない。だから、こんなに受けているのだろうか。とにかく聴いていくうちにだんだん胸がジーンとしてくるのは確かだ。そして、また繰り返して聴いてしまう魅力がある。
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by harukko45 | 2005-08-08 15:26 | 聴いて書く

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