レコーディング終了/Part5

 さて、いよいよ最後の曲について語らなくてはならない。ケンさん作‘Something Blue’は、今回の作品の中でも120点あげてもいいと言う具合の、いわゆる「自画自賛」系作品である。よって、他の人がこれを聴いて、なんと言おうと、全く持って気にならない。どんな批判をあびても、ちっとも落ち込まない。ぜんぜんビクつかないし、寝込まない。面と向かって、文句言われたって、私は愛に満ちたビッグ・スマイルでその人を受け入れるでしょう。

 こういう充実した成果というのは、実はとてもリラックスした雰囲気から偶然のようにもたらされるのだということを、あらためて知ったのである。やはり、何でも力が入りすぎてはいけない。そして、自分のエゴをごり押しすることなく、一緒に仕事する人々を信頼して作業をすることこそ、成功への近道なのだ。

 ‘Something Blue’は女性が「結婚するときに、『青いもの』を身につける。」という話をテーマにした、実に「女性的」な詞を持った曲で、例えばお年頃の女性マネージャーのオザワ嬢など、心にピタっとくるところがあるらしいのだが、それに関して、私などは「ふ〜ん。」としか応えられなかった。がしかし、いざサウンドをつくっていくと、この曲のベーシックには、「女性的」なるものへの憧れ〜まさに「男どものロマンチックな想い」が流れていて、それが私の心をキュンとさせるのである。

 ケンさんの「ロマンチック」なメロディ、私の「ロマンチック」なアレンジ、ロクさんの「ロマンチック」なベース・プレイ、ダイスケさんの「ロマンチック」なミックス。このスケベ親父どもがつくったオケに、「竹を割ったように気持ちのいい性格」のジュンコさんが、スパっとシンプルに歌いきったボーカル、このマッチングが最高なのだ。

 さて、この曲にかんして、私からどうのこうの言うことは、もうあまりない。もうすでに、さんざん言ってるじゃないかって? 大きなお世話である! とにかく、聴いてみてほしい。また、この曲は来生さんの‘二人のアフタヌーン’と姉妹のような関係でもある。これも偶然の産物かもしれないが、ある意味、アルバムのトータル性を示していて、おもしろいのだ。

 そうそう、大事なことを忘れていた。間奏でいきなり登場する、尾崎さんのスティール・ギターのソロ! まさに真打ち登場のように、颯爽とした素晴らしいプレイをしていただいた。一見、ミスマッチにも思えるこの演出は、先の尾崎さんのソロ・アルバムでの共演がなければ生まれなかったわけだし、期待以上のプレイで尾崎さんはまたまた私達を感動させてくれた。(演奏後はしょうもないオヤジ・ギャグで、またまた我々を煙に巻いた。)感謝感謝であります。

 そして、つい先日、4月29日にミニ・アルバム“June”の完成を祝って、ジュンコさん宅で打ち上げパーティがおこなわれた。とにかく、参加した人々が、その仕上がりに大いに満足していたので、飲みの方もかなりの進み具合であったことは言うまでもない。(私は次の日、極度の二日酔いであった。ア〜ア。)というわけで、ニューアルバム“June”を、是非ともよろしく! そして、6月には新曲をひっさげて、恒例の「ブルーノート〜スイート・ベイジル」ツアーがあります。みんな、会いに来てね! それでは、今回の「レコーディング・レポート」は、これにてジャンジャン!
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by harukko45 | 2003-05-02 01:00 | 音楽の仕事

レコーディング終了/Part4

 4月5日、6日とジュンコさんのニュー・アルバム制作の後半戦がおこなわれた。今回は、ケンさん(佐藤健氏)の新作2曲がレコーディングされたのだ。前半のクールでの3曲の仕上がりが満足行くものだっただけに、この2曲もいい出来にしたいという気持ちで私も臨んだのであった。

 まずは、ミディアム・テンポの気持ちいいグルーヴを持った‘Rainy Anniversary’。ケンさんのリクエストによるウッド・ベースでの打ち込み。普通にサンプリング・シンセなどで、プログラミングしてもなかなか面白い感じにはならないのだが、(まあ、当たり前の打ち込みって感じ)今回はもうちょっと工夫して、市販されているベーシストのフレーズ集から素材をサンプリングし、それを解体、新たなフレーズに再構築して、ベースのトラックをつくっていった。これが、なかなかよい結果を生んで、非常にグルーヴィでリアルなベース・サウンドを作り出すことができた。これに、ブラシをメインにしたドラムを打ち込んで、リズムは完成である。

 けっこう、この時点でかなりイケテる感じなんだけど、ここに再びオッサンに登場ねがい、アコースティック・ギターのカッティングと全編にエレキ・ギターで自由にフィル・インしてもらった。音色といい、フレーズといい、ピタっと決めまくっていただいて、一同超満足! それにしてもオッサンのソロって、なんか「引っかかる」んだよね。この「引っかかる」って、「プレイぶりが」じゃなくて、「心に」ということ。彼がギターの名手であることは、よく知られているわけだけど、そのプレイの魅力は一言でいえば、まさに「引っかかる」じゃないかな。とにかく、予定調和な美しさを拒否して、常にどこかに過激な(危険な)トライをこころみようとする精神があって、うまさからくる安定感との微妙なバランスが、何とも言えないスリリングなムードを漂わせるのである。

 実は、本人にこないだ酔っぱらった勢いで直接聞いてみました。

「オッサン! オレ、オモウンダケド、オッサンノプレイハ、ナンカ、ヒッカカルカンジ、ナンダヨネ。」

「ソリャ、ソウカモネ。ダッテ、イツモ、ドッカデ、ナガレヲ、カエテヤロウッテ、オモイガ、デテキテ、タイテイ、フツウニハ、オワラナクナッチャウンダ。」

 というわけで、私の主張する「引っかかる」オッサンは、見事証明され、なおかつ本人はかなり、確信犯であることも判明したわけである。人柄の良さの裏側に潜むある種の「悪魔性」こそ、オッサンのすばらしい芸術的魅力と言えよう。

 こういったバックにのったジュンコさんは、今回のアルバムの中で最もリラックスした軽やかなトーンで歌った。ケンさんのメロディとジュンコさんの声。この名コンビが生む軽やかでおしゃれな世界は、あの美乃家からの伝統といってもいいもので、この二人にしかできないサウンドだ。私をはじめ「ニューミュージック」世代にはなつかしくもあり、そして今でもなお新鮮な魅力をもっていることを十二分に示していると確信するのである!

 相変わらず大げさな! とおっしゃるな。だって、この曲のノリ、けっこう気に入ってるんだ。みなさんも楽しくのってくれること間違いないと思っています。
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by harukko45 | 2003-05-02 00:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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