12月24日(monday)

 札幌午後10時45分/ うぅっ、今年もジュンコさんのステージは全て終了、後はクリスマス・ツアーの打ち上げを残すのみ。つまり、今は宴会場である居酒屋「俺んち」に向かってタクシーに乗っている訳よ。だけど、何てことなの!後の席でマー坊さんとゴトウさんに挟まれて座っちゃうなんて。これって、最後の最後で地獄を味わえっていうことなの?いや、別に二人ともいい人よ、おもしろいしね。でも、ステージ終了直後にこの二人のノリにあわせるのは至難の業というもの。ああ、このどうしようもないオヤジ・ギャグの嵐から私を救ってくれるナイトなんか、どうせ現れないんだ。だから、今年最初に決めた通り、「男性の言動への過剰反応をやめること」を守らなきゃ、つまり落ち着いてクールな氷の女王を装うこと、これが私のポリシー、こうすることで内面の安定をはかり、ひとりでも完璧な女性なのだということを世間に知らしめるのよ!

 午後11時、「俺んち」/ 何よ!着いてみたら、他のメンバーはもう楽しくやってるじゃない。人の気も知らないでさ。それに私の座ったところの下からすきま風が来るなんて、やっぱり最低、もう飲んでやる!ああ、いけない今年最初に誓ったこと「過度の飲酒をやめる」、アルコール摂取量は10単位以下に抑えなきゃ。(1単位=ワインならグラス1杯、ビールなら1パイント、その他のアルコールはショットグラス1杯で2単位)

 12月25日(tuesday)

 午前0時半、まだ「俺んち」/ ここで口にした食べ物・・ジャコキャベツ小皿に2杯、卵焼き1きれ、ほっけ焼き少し、ジャガバター1つ、刺身盛り合わせからイカを一口、きんきの煮付け半身ほど。

 ああ、とんでもない盛り上がりになってきちゃった。だって、お店じゅうのワインは飲み干しちゃうし、ケンさんとバンマスは例によって日本酒、すさまじいペースで流し込んでるし。そして、ついに始まっちゃった。マッチャンが一気飲みをケンさんに挑戦。この二人は何年にもわたり宿命のライバルとして酒飲み王を争っていて、この時期になると必ずファイトするのだ。うぅっ、今年はケンさんが優勢、マツはだんだん弱ってきちゃって、ついにダウン。あああ、別名アニマルと呼ばれたさすがのマッチャンもそろそろ年齢にあった飲み方しなくちゃいけないのよ。でも、場をもりあげなきゃっていう使命感でガンバッチャッタていうところなのかな?こういうとこ見ると、男ってやっぱカワイイなんて思うけど、いけない、いけない、今年最初に決めたこと「男性への過剰傾斜をやめる」。つまり、一人前の大人としての人物評価にもとづき、きちんとした人間関係を築くことを守らなきゃだめなのだ。

 午前2時、どっか2階の洋風居酒屋/ 結局、2軒目も来ちゃった。何人かは帰ったのに私がいるなんて!あんなに注意してたのにアルコール単位はいくつだかわかんなくなってしまった。おまけに私の分身状態がはじまりそう。なぜなら、私の血液型はAB、つまり自分の中にそのAとBの二人の自分が現れるわけ。なんか、ほんとにそんな感じになってきた。だって、ブリサA子は隣のタマちゃんと激論中(?)、なんだか随分とよく喋ってる。でも、ブリサB子はちゃんと見てるぞ。向かいの席じゃ、バンマスがマネージャーのオザワちゃんにデレデレしてるのを。オザワちゃんもディナー・ショウが終わって、ほっと一息、今日はリラックスしてるとこに、ほとんどドロドロのバンマスったら、「オザワ、何飲んでんの?グレープフルーツ・ジュース?だめだよ〜。お酒飲まなきゃ!サワ〜にしちゃうぞ〜。」だって。

 ねぇ、聞いた?じょうだんじゃないわ!うしろからはり倒してやりたいぐらいのだらしなさ。これぞ「情緒的うすらばか」の典型。私やオザワちゃんのようなシングルトンの最大の敵なのよ。それにバンマスといえば、会社で言えば上司にあたるわけよね。でも、私は今年最初から誓っていたのだ、「上司に過剰な期待を持つのはやめること」を。フェミニストであるB子のテンションはどんどん上がってきてしまった。なのに何故?私、目に涙が溜まってる。ううっ、A子はタマちゃんと話して盛り上がりすぎてる。タマちゃんはこの中では一番クールかも、でも時々核心をつくような事をズバって言う。だからA子もいろいろ話しているうち、段々感極まってきちゃたのだ。

 そうしたら、B子が3年前、2年前、去年、そして今年のいろんな思い出をどんどん、どんどんと呼び覚ましてきてしまった。その思い出が走馬燈のように駆けめぐる中、おかげでもう、私の心はいつのまにか、ほとばしる「情緒の泉」と化していて、その上を、激しい「情熱の嵐」が吹き荒れていたのだ。この時の私といったら、世界中の誰よりも美しさに憧れ、そして理解していた唯一の存在だったに違いない。まさに「この人を見よ」って感じ。

 今、もし誰かが、キューピッドの矢が落ちた場所に咲く「浮気草」の汁を私のまぶたに塗ったなら、私は目が覚めて最初に見た相手とほんとうに恋に落ちてしまうだろう。それとも、トリスタンとイゾルデが飲んだ「愛の妙薬」を私も飲んで、美しい「愛の死」を迎えようではないか!めくるめく感情の渦は、私をすっかりとロマンチックな世界に導いた。でも、誰にも理解できまい、私のほんとうの心を。だから、決して明かしたりはしない。この豊かな心から生まれたこの涙を決してこぼすまい、と私は誓ったのだ。そう、そして私はしばし自分自身を楽しんだ。ところが、なんとタイミングの悪いことにバンマスが、「サエちゃん、いったいどうして泣いてるの?」

 私は言った。「それは、あなたのせい。ワダさんのせいよ。」

 ウエちゃんはこの時のバンマスの顔を写真に撮るべきだった。その瞬間、トローンとしてた目が急に泳いじゃって、これぞ魚の目!だから、いつも言ってるのに「ウエちゃんはシャッター・チャンスを逃してる。」って。

 午前4時、どっかのうどん屋/ こんな夜中にうどんは完全にルール違反!でも、ジュンコさんも一緒だから神様も今夜は許してくれるだろう。どうしようもなくどろどろ状態のマー坊さんは、うどんを食べずに私達を見てるって。寂しがりやだもんね。だけど、絶対朝になれば記憶にはないにきまってる、きっとそうだ。一方、ケンさんとバンマスは向かいの飲み屋だって。信じられない!まだ、性懲りもなく飲み続けるのか?あの人たちの明日の様子が目に浮かぶ。でも結局、うどん屋隊と飲み屋隊は合流して、タクシーに乗ることに。もう5時ちかいけど、ホテルに向かった訳よ。

 午前4時45分、タクシー内/ うぅっ、な、何とこの車には、後の席にジュンコさんと私に挟まれてバンマスが座ったのだ。おまけに、前にはオザワちゃん。どうぞ、女の館へようこそ。いまこそ、オXXX・ギャグを連発して、いきの仕返しを、などと思ったけど、やっぱり品性をしっかり保たなくちゃ。そう、今年最初に誓ったこと「内面の安定をはかり、人としての尊厳を失わず、中身を充実させ、ひとりでも完璧な女性だという自己認識を持つこと〜それが、真の恋人を獲得するための最短の道」これよ、これ。

 午前5時、ホテルの私の部屋/ 出発は11時、どうやら3〜4時間は眠れそう。今日もやってしまったけど、これも私なのだ。後悔するとお肌に良くないから、考えすぎないように。でも寝ている間に、ほんとうに妖精パックがあらわれて、「浮気草」の汁をまぶたに塗られたらどうしようか。なんてね。じゃ、おやすみなさい。

   
佐江子‘ブリジット’鈴木 
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by harukko45 | 2001-12-26 00:00 | 音楽の仕事

 24日クリスマス・イヴ、札幌に降りた私達だが、この日は噂ほどの極寒ではなく、大雪の心配もなく順調に京王プラザ・ホテルに着いた。こういう時にかぎって、他の事で問題が起きるなんていうこともよくある。そして、案の定トラブル発生。現地レンタルしたキーボードが不調で、リハ後の時間のほとんどをその対応に費やすはめになった。他のシンセの音源を使い、セッティングをかえたりして、私はローディのキク、そして久々の登場となった重鎮マツ(またの名をアニマル)の協力を得ながら、なんとかしたのだった。だいたい、21日から私の場合、宿曜占星術によると「魔の一週間」にあたっていて、まさにそれが的中したかっこう。この時期はとかく災いが起きて、何事にも慎重を記さねばならないというわけである。

 前日までの柳さんとのジョイントを乗り切って、さあジュンコさん単独の札幌は盛り上がるぞ!と、勢い込んでいた私はとんだ冷水を浴びた感じだが、逆に最後のショウも気を引き締めてのぞめという神様からの戒めと思うことにした。そう、何事も前向きにね。

 しかし、「魔の一週間」など関係ない他のメンバーは、いたって元気。とにかく今日はハジケテやるんだと最初からテンションは上がりっぱなしである。ゴトウさんとロクさんは、どうしようもないオヤジ・ギャグを連発して、みんなの顰蹙をかっていたが、まったくめげず、こちらが引けば引くほど、絶好調になっていくご様子であった。もうこうなると、どんなことしても止まりません、ハイ。

 いつものように ‘This Christmas’、この曲も今日で終わりと思うと、一段と気持ちが入りますな。とにかく、今回のショウの成功はこの曲の選曲が大きく貢献していることをあらためて感じた次第。ジュンコさんは、やはり地元に帰ってきた余裕からか、いつも以上に大きさのある歌いっぷりだ。そして、 ‘シンプル・ラブ’。代表曲のひとつであるこの曲では、会場もリラックスした空気に包まれたようだった。

 続いての ‘たそがれ〜’‘You're so〜’‘シルエット〜’は演奏のダイナミクスを落として、ショウの構成全体にメリハリをつけているコーナー。ここをキメることができると、クリスマス・ムード満点な気分がお客さんにひろがるし、後半戦の入りがとてもやりやすくなる。この日は3曲を、一つの組曲のように、まとめることが出来た気がする。私自身が、このコーナーのキーなのだが、ようやく3曲全体で一つなのだと、とらえることができたからだろう。

 さあ、そして一昨日から問題の ‘A Way’であるが、これがうまくいった。本番前に、みんなでテンポを確認しあって、グルーヴ感の統一を計ったので、本来の曲調を取り戻せたのだった。ゆったりとしたテンポでも、気持ちよく前進していくノリを失わない演奏だったと思う。

  この曲が成功すると次の ‘サファリ・ナイト’‘ペイパー・ムーン’は当然、怒濤のファンクものへとパワー・アップするのである。やってて体が自然に動いてしまうんだから。私は座って演奏しているから、ABデコーズみたいに踊れないけど、ヘッドバンキングよろしく燃えに燃えてしまうのだ。ウエちゃん言うには、白目むいた形相になっていたそうで、かなりのホラー度数であったらしい。う〜む、ちと恥ずかしいの〜。ま、許してちょ。

 一回目のステージがうまくいって、二回目はより大胆となったジュンコ・バンドは少々わるノリして、荒っぽいところもあったけど、楽しさにおいては最上のものになった。外で見ていたマネージャーのツチダさんからも、ステージの楽しさが会場にも伝わって最高だったとのお褒めの言葉を頂いた。へへ〜ん、見事にハジケきりましたな、俺達!万歳三唱の楽屋裏だ。

 音楽する喜びを堪能しまくった我々は、今年を締めくくる大宴会にそのまま突入したわけである。11時ぐらいから飲みはじめて、朝5時ぐらいまでススキノで騒ぎまくったわけよ。忘年、忘年!お疲れさん、お疲れさん!ときたもんだ。そのうち、一気、一気なんかやり始めて、撃沈したマツ。相変わらずダジャレまくったゴトウさん。なんだか感極まって泣いちゃったサエちゃん。途中から全く記憶をなくしたロクさん。マツとの一気勝負に圧勝し、酒飲み王座を奪還して超ご機嫌なケンさん。そして、無事に今年のステージを見事やり遂げたジュンコさんは、実に楽しそうに最後の最後まで我々につきあった。ほんとに、いい仲間たちである。もちろん、毎度のことで申し訳ないけど、私もとにかく飲みまくって盛り上がったのは当然であります。こうして、朝まで笑いっぱなしの飲みっぱなしの私達、最高のクリスマスを過ごしたわけでございます。仲間に大感謝、そして来年もブアーっといきましょう、ヨロシクね!
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by harukko45 | 2001-12-25 00:00 | 音楽の仕事

 22日大手町パレス・ホテル、23日幕張ニューオオタニ・ホテルでのディナー・ショウは柳ジョージさんをゲストに迎えるという構成だ。20日のジョイント・ショウと違って、バックは我々大橋バンドがつとめたが、普段と違う環境で、柳さんにも失礼のないよう、なんとかこなせたと思っている。

 ジュンコさんのショウ前半終了後、柳さんとジュンコさんとで‘Stand By Me’、そして、ジュンコさんとゴトウさん、ウエちゃんを除くメンバーの演奏で、柳さんが4曲歌った。曲は‘Georgia On My Mind’‘Fenceの向こうのアメリカ’‘青い瞳のステラ〜1962年、夏…’‘酔って候’。いずれも柳さんの渋く、そして大きなノリを持った歌声を生かした、印象的なナンバーが続く。

 ‘Georgia〜’は、あの偉大なる黒人シンガー、Ray Charlesの名演でお馴染みのスタンダード、特に柳さんはそのRay Charlesとツアーを回って競演した経験を持つ。つまり、Rayの素晴らしいピアノ・プレイを聴いてきてる人だけに、私はけっこうなプレッシャーを感じつつの演奏になったのが正直なところだ。ま、しかし、弾き始めてしまえば、後は自分を信じて進むのみ、人は人、自分は自分だ。とりあえず、及第点をいただけたとは思うが。

 ミディアムのロックンロール‘Fence〜’では、ドラムがない中、ロクさんが安定したプレイで曲をしっかり支え、いいグルーヴを提供してくれた。続く、名曲‘〜ステラ〜’では、タマちゃんがアコースティック・ギターで、とてもいいプレイをしたし、コーラスのABデコーズの二人もアメリカ南部風のニュアンスをふんだんに醸し出してくれた。そして、最後の‘酔って〜’は、打ち込みのビートをベーシックにファンキーな演奏で、会場のお客さん達もノリノリになって盛り上がったわけである。

 それにしても、柳さんのスケールのでかい唄には完全に魅了された。確かに、ロクさんが先日言っていたとおり、一瞬に命を懸けているかのようなオーラがビシビシと伝わってくるのだった。

 この後、再びジュンコさんが加わって、二人で‘White Chistmas’を歌った。実を言うと、私個人的には、シンプルなこの曲の伴奏の方が‘Georgia〜’より、むずかしく感じられた。だから、あまり納得できる演奏には至らず、少々後悔している。それを引きずってしまった影響か、続くジュンコさんとの後半戦、大事な‘A Way’を、いつもより早めのテンポで出てしまって、いいグルーヴをいまいち引き出せずに終わってしまった。これは、私、バンマス改め『リーダー』としては反省しなくてはいけません。ちょっと、へこんだ。

 ところで、柳さんが私のことをリハの時からずっと、「リーダー、リーダー。」と呼んだものだから、他のメンバーがそれをおもしろがって(特にロクさん)、最近じゃ何かと言えば「リーダー、リーダー。」といいやがるのだ。例えば、「リーダー、適当にヨロシク。」とか、「リーダー、ガンガン行っちゃってください。」とかの柳さん語録を、ご丁寧に柳さんの物まねしながら言うわけ。最初のうちは「人の気も知らないで!」なんて思っていた私も、最近じゃ開き直って、「ハイ、ワタシがリーダーです。」と応えるはめになった。ま、どうにでもして頂戴!

 さて、ショウは‘サファリ・ナイト’‘ペイパー・ムーン’、そしてアンコールの‘My Love’で終了した。というわけで、20日、22〜23日と3日間の「with柳ジョージ」セットは多少の後悔、反省はありつつも無事終えることが出来たが、やはり心身ともに疲労が残ったのも確かだ。ジュンコさんもそれぞれのメンバー達も、集中力をキープするのが大変だったことと思う。みなさん、大変お疲れさまでした。でも、次はいよいよ千秋楽、待ちに待った札幌じゃありませんか!もう一息、全員のチーム・ワークで最後を決めましょう!と、心にしかと言い聞かせて、24日私達は今年極寒の札幌に向かったのだった。
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by harukko45 | 2001-12-24 23:35 | 音楽の仕事

 20日は、横浜中華街のホテルで、柳ジョージさんとのジョイントディナーショウだった。ただ、この日は特別で、前半をジュンコさん、後半を柳さんが受け持ち、最後に二人で二曲デュエット(バックはジュンコ・バンド)し、それぞれバンドが入れ替わるというパターンで、この構成は今回のみである。よって、お客さんにとっては、二人の素晴らしいボーカリストのライブを一度に堪能できるという、大変お得なショウなのだ。また、とても際立った二人の個性の違いを楽しむこともできるわけだ。

 ただ、我々ミュージシャン・サイドは集中力のキープがなかなかむずかしいパターンではあったし、山形・沖縄とこなして固めてきた今年の大橋純子ディナーショウの内容を、短くダイジェスト形式にしなければならないのも、至極残念だった。そして、おまけに、この日ゴトウさんがスケジュールの都合で参加できず、今回はエキストラを立てず、サックス/パーカッション抜きという編成で臨んだのだった。

 前からわかっていたとはいえ、ゴトウさんの欠場は痛かった。サエちゃんがニューヨークのテロの影響で、大阪ブルーノートに来られなかった時もそうだったが、残ったメンバーでがんばるものの、やはり、どうしてもポカンと一つ穴があいたような気分になってしまう。それだけ、我々はジュンコさんも含めバンドなのかもしれない。実際のサウンド面では、いろいろとカバーしあって、差し障りのないよう努めても、埋めがたいメンバー一人一人の人間性はどうしようもない。そこにふと寂しさが募ってしまうのだ。タマちゃんは、温度が下がる・熱さが弱まると感じたという。また、ドラムのはいる曲が少なかったので、ウエちゃんには何とも物足りない内容だったであろうと推察する。

 少々泣きのフレーズが続いて恐縮ではあるが、音楽を演奏するにあたって、その日だけ、一期一会を楽しむセッションと違い、同じメンバーで、ある年月を過ごして来たバンドでは、一人一人が代用品のきかない存在として確立してきていて、とても重要なのである。特に、沖縄の印象的なステージの後だけに、今はすごくいいものができるし、お聴かせできる自信もあった。が、そこまで行きつけずに、中途半端な気持ちで終わってしまったかもしれないのが悔やまれる。

 しかし、こんなボヤキ・グチを並べても、お金を払って来て下さったお客さんには、どうでもいいこと。我々の使命は何時もベストを尽くして、音楽を楽しんでもらうことだけ。だいたい、こんな事をお伝えすること自体、プロとしてルール違反なのだが、今日は少々ヤケッパチ、批判されるの覚悟でボヤイてしまうのであった。どうぞ、お許しを。

 ただ、嬉しいこともあった。それは、私の親友である遠藤太郎君とケロちゃん(栄子さん)夫妻に会えたこと。ケロは柳さんのバック・ボーカルをずっとつとめてきていて、また、ギタリストのタローは今回トラとして柳バンドに加わったのだ。二人とは、私がミュージシャンを始めたころからのつき合い、いろんな事を一緒に経験して、ずっと親交を暖め合ってきた間柄だが、今年は正月に会って以来、ご無沙汰だった。だから、再会できたのがとても嬉しかったし、まして柳バンドにおける二人の素晴らしいプレイぶりには、ステージ袖で聴きながら、胸が熱くなる思いだった。こういうことに感動するのは私が歳をとった証拠なのかも。

 ちなみに、柳バンドはベースもトラで、なんとロクさんがプレイした。彼は私のようにナーバスにはならず、さすがに百戦錬磨、堂々たる演奏で貫禄をしめした。さすがである。しかし、ロクさんは終演後、柳さんはステージ一瞬一瞬に人生を賭けているようで素晴らしい、オレなどまだまだだ、と言っていた。私には返す言葉がなかった。

 というわけで、自分の好きな仕事して、終われば酒ばっか飲んで騒いでいるミュージシャンも、時に悩み苦しむこともあることを、今回はお伝えした次第。ただ、帰り一緒の車でロクさんが言った。「今日の柳さんのセットは、いいセッションだったし、自分もしっかりプレイしようと思った。でもジュンペイさんのセットはバンドとして、みんなで一つになろうと思った。たぶん、ジュンペイさんもそれを臨んでいるんだと思った。」


 次回は22,23日、柳さんとのジョイント・Part2である。こちらは、我々のセットに柳さんをゲストとして迎える形になるのだ。それでは、この辺で。
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by harukko45 | 2001-12-21 00:00 | 音楽の仕事

 20年以上ミュージシャン生活をしている私でも、この時期に沖縄を訪れるのは初めてだ。だから、12月15日、羽田から那覇へ大橋純子チームは向かったのだが、私自身、12月の沖縄がこんなに暖かいとは知らなかった。気温にして、東京とは10度ぐらい高い。よって、コートもジャケットもいらない。いきなり春を体験している感じだった。日本も広いのね〜と、 あらためて思ったのだった。

 この日は乗り日で、全員フリータイムなので、それぞれみんな街に繰り出した。私、ジュンコさん、ケンさん、ロクさんも、若手スタッフ陣に合流して、国際通り沿いの居酒屋へ。サエちゃん、アッコちゃんも加わって、にぎやかな宴会となった。

 飲んでいたのは当然、泡盛である。ここへ来る前に、私はホテル前の酒屋で、泡盛のおみやげを物色中のアッコちゃんに薦められて、アルコール度数35度、12年物の古酒を試飲していた。それが実に旨くて、もうそれだけでアクセル全開状態にとなっていたわけで、この後、ずっとハイテンションをキープし続けることとなった。泡盛は人をアッパーな気分にさせますな、ほんと。楽しく飲むうちに、店に流れる島唄のノリにあわせて、からだが動いちゃうのよね。

 結局この日、25度に始まって、35度5年もの、そして、場所を移して43度の古酒までトライしてしまいました。こんなに飲んで大丈夫でしょうか?それがですね、次の朝、いたって快調!さわやかなる目覚めを迎えるなんて。やっぱ、酒飲んでも、深刻にならず、パーッと発散しちゃえば二日酔いにはならないのだ、ワハハハッハアーと、きたもんだ。

 ただ、盛り上がりすぎて誰かさんに迷惑かけっちゃったからな、ちょっと反省、いや、だいぶ反省しろよ!顔あわすとえらくバツ悪くて、恥ずかしい気持ちになっちゃった。ま、内容はみなさんのご想像に任せます。たまには秘密もいいでしょ〜。

 さて16日、当日入りのウエちゃん、タマちゃんも合流して、昼からリハーサル。でも、もうショウの構成、曲のアレンジも体にしみ込んできているので、他の曲をやったりして、いたってリラックスムードで、本番よろしくということになった。

 そして、我々はここ沖縄で、満足いくパフォーマンスをすることができたのだった。1回目、2回目ともにハイクォリティな内容だったが、特に2回目は、1回目でわずかに気になった部分を手直しして臨み、ほぼ完璧といっていいほどであった。

 オープニングのピアノの入りから、‘This Christmas’‘シンプル・ラブ’の流れの良さ、そして、続くバラードものにおける情感、特に個人的に‘You're so beautiful’では、ジュンコさんの唄を聴きながら、自分も恋する人に告白しているような気分になって、すごく切ない気持ちになってしまった。そして、次の‘シルエット・ロマンス’では、女性からこちらに恋心をうちあけられて、おもわずキュンとなってしまうのだった。

 この充実した前半戦を終え、いい形で‘A Way’をむかえることができた。この時の‘A Way’は、今までで最高の出来であったと確信している。全体のテンポ、グルーヴもとても大事なのだが、とにかくこの曲でむずかしかったのは、音楽のストーリー性を表現することだったのだが、ここに来て、みんなの音の流れの描き方に一体感が生まれ、4分間の物語を表現できたのだ。リズム・セクションだけでなく、コーラスのニュアンス、ゴトウさんのパーカッションにいたるまで、一本の線で結ばれた瞬間だった。

 後半戦は燃えに燃えた。ベースとドラムのプッシュが素晴らしく、こちらもビシっと受け応えたが、それでいて視界がよいサウンドになっていて、決してドタバタしたものにならず、トータルな方向性を見失わなかったと思う。それにしても‘ペイパー・ムーン’でのベースとドラムのインタープレイは最高だった。私はあまりの出来の良さに、曲が終わってから、思わず演奏者みんなに向かって拍手を送り、感謝の意を表したのだった。・・これって、自画自賛ってやつ?

 本編最後の‘愛は時を越えて’からアンコールの‘My Love’のエンディングまで、全員の集中力は切れることなく、見事にショウを終わらせることに成功した。そして、楽屋でお互いを讃えあった。

 終演直後の高揚感をそのままに、我々はまたまた飲みに出かけた。楽しい楽しい夜だった。さすがに私は調子こきすぎて飲みすぎ、ホテルについたらバタンキューとなってしまったのでした。でも、いいでしょう、人生OKっすよ!

 次回は20日に再び横浜、柳ジョージさんとのジョイントの初日であります。それでは、この辺で。
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by harukko45 | 2001-12-18 00:00 | 音楽の仕事

以下は、夢の話。

 症例(1) ベーシスト:平尾氏 Part 1

 「僕は、何処かの仕事場に来ていたんだけど、そこはガラス張りの部屋だった。

 マツ(松崎しげるさん)の仕事なのは、わかってる。なぜなら、その部屋の屋根もガラスで、上が見えていて、そこにはステージがあり、(バンド仲間の)ユッコもトクちゃんもそっちにいるのが見えたからだ。

 当然、僕はベースをかかえ、よりによって、アンプまで持って、ステージに向かわなければならない。だって、もうリハが始まっている。他のメンバーの準備はもう万端のように見えた。とにかく、急いで行かなければならないのだ。

 僕のいる部屋はステージの一回下なのだから、階段を上がれば、すぐそこはステージのはず、僕は登り口を探した。ところが、行けども行けども、見つからない。どうしたって、そこにたどり着かない。みんなは、上にいるのに、ガラス越しにみえているのに。

 もう、随分な時間、この部屋からの抜け道を求めて、歩き続けているが、結局、絶対にそこにはたどり着かない様な気がしてきた。

 ベースとアンプを持って歩き回って、僕はもうへとへとなのに、上では僕がいなくても平然とリハが始まっている様子に見えた。こんなに、焦ってるのに、一生懸命歩いてるのに、どうして登り口が見つからないんだ!」

 症例(2) ドラマー:黒沢氏 Part 1

 「オレはよう、どういうわけかよう、月にいるんだな。そんでよう、空をみっとよ、お、あっちに地球がみえんじゃんか!へ〜、ここはほんとに月だな、って思ってうれしくなっちまってよ。

 そんで、そのへんぶらぶらしたわけよ。そしたらさ、信号とかちゃんとあって、車も走ってんよ。ひえ〜、おんもしれぇ〜って思ってさ、そのうちパトカーがいるのに気づいたのよ。そいつは近くに停車してたんだな、そこでオレは考えたわけよ。

 オレのいる地球じゃ、例えば湘南の車なら、「湘南33 へ 1818」とかナンバーなんだからよ。ここ月でも、「月xxx〜〜」てなってんのかな〜って。

 そんなこと考えてたら、無性にどういうナンバーなのか知りたくなってよ、そのパトカーに近づいてったわけよ。そんで、そおっと、ナンバー・プレートのぞいてみたらよ、なんとよ。

 「月44 け 5963」だってよ。やっぱ、そうなんだ、それでオレはメッチャ盛り上がって、すげ〜え、うれしくなっちゃった!。」

 症例(3) ベーシスト:平尾氏 Part 2

 「この日の仕事は、そのステージに早く着いたもの順に、自分の場所を決めて良いということになっていたのだ。だから、早く着かなきゃいい場所をとられちゃうのに、やっぱり最後だった。

 結局、他のみんなはセット終了していて、あいているのはステージ中央だけだった。しかたなく、僕は重たいアンプを、やっとこさ、舞台ど真ん中に置いて、音がでるようにした。譜面台に譜面を置いて、さあ、準備が整ったと思った瞬間、いきなり、曲が始まった。

 あ、この曲知ってる、確かこのあいだのリハでやった曲じゃないか。とっても良い曲だったのを覚えている。え〜と、題名は、そう‘電車の歌’だ。

 それで、僕はその曲の譜面を出そうとしたが、なんと、そこにあった譜面は布で出来ていて、それも全部つながっていたのだった。めくっても、めくってもだらだらと続いて、いっこうに‘電車の歌’が現れない。まるで、これじゃ勧進帳じゃないか!

 他のメンバーは余裕で演奏していて、僕には冷たい態度に思えた。それでも、曲は進んでいるから、僕は必死で譜面をめくった。

 ついに‘電車の歌’の部分を見つけて、よし、演奏できるぞと思って、譜面を見ると・・・

 何と、そこには五線と音符が書いてなく、あろうことか『線路』がかいてあったのだ。みんなの譜面も『線路』になっていた。みんなは『線路』を見ながら演奏していたのだ。僕はどうやって演奏したらいいのか、途方にくれた。」

 症例(4) ドラマー:黒沢氏 Part 2

 「オレだってよ、楽器の夢、みたぜ。それもよ、す〜んげぇ〜ドラムセットだぜ。

 とにかくよ、オレはスタジオにいたわけよ。そんで、そこにあるドラムセットをとりあえず見に行く訳よね。

 そしたらよ、そのドラムがなんだかすげぇ〜んで、びっくらこいちまったわけよ。なぜかって、だってよ、ハイハットにモーターが付いてんだぜ!すごくない?

 ひと踏みすると、シャシャシャシャシャって16分打ってくれるんだぜ。やった!すげぇ〜、なんて喜んでたらよ、おやおや、バスドラもなんか変わってることに気が付いたのさ。

 へへへ、なんと、そこにもモーターが付いてたわけよ!で、どうなるって?わかんだろう。ひと踏みしたら、ドドドドドドドって鳴るんだよ!これが笑わずにいられますかってぇの!

 ようするにオレは、意図も簡単に超ハイテク・ドラマーに変身しちまって、楽勝でドドドドシャシャシャシャシャ、で、シンバル、バシャンバシャンと出来る訳よ。な、すげ〜ぇだろう!そんでもって、ディープ・パープルなんかとジャムっちゃうのよ。あ〜、おもしろかったぜ。」


 フロイトは、「夢は実生活で抑圧された願望の現れである。」とし、幼児期に根ざす深い欲望が反映されており、また、夢の中に出てくる物体の性的な意味合いを非常に重視しました。一方、ユングは、全ての夢の中に性的なメッセージが隠されているわけではないと主張し、我々の心の奥底にある希望や望みを表現するものであるから、夢に現れる事によって無意識の願望がはっきりし、実現が容易になると考えました。さらに具体的に、夢は自分自身に対する重要なメッセージであり、それを無視する事は自己にとって損失であると述べています。

 ともかく、松崎バンドのリズム・セクションのお二人のご協力に厚く御礼申し上げます。それでは、この辺で。
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by harukko45 | 2001-12-15 00:00 | 日々のあれこれ

 12月8日は、夕方には飛騨高山のホテルに入った。明日のスケジュールを考えれば、前日入りの方が楽なはずなのだが、結局、

 夕食 � 高山の郷土料理店 � 旨そうな日本酒多数 � 飲んだことない<超辛口・久壽玉>がお薦め � んじゃ、飲むべ � 最初は1合とっくりでチビチビ � そのうち2合たのんでグビグビ � つまみもうまいぞ、そんでもってガバガバ � ついにドロドロにもかかわらず � 「もうちょっと飲みましょう。」 � ジュンコさんの部屋で、久々の「クラブ・ジュンコ」 � 普段飲み馴れないウィスキーを「ストレートが一番!」とか講釈して、グイグイ � 深夜に寝床につくも � 早朝、あまりの喉の乾きに目が覚め � 「水、水!」とベッドから這い出して、冷蔵庫のポカリスウェットをがぶ飲み � その後はうたた寝程度しかできず � 身体絶不調でリハを迎える � とにかく、体力復活のため、サウンドチェック前に用意された弁当を胃袋に詰め込んで、人生の勝負に臨む!(大げさか?わかる人にはわかるよね。) � そのことしか頭にないので、寝起きのまま楽屋に入っていた私 � タマちゃんに「ワダさん、超ゴキゲンなネ・グ・セ!」と指摘されるも � 「はあ〜、そうでっか。」しか返答できず � 気違い博士の実験失敗による爆発事故後の頭状態にもかかわらず � 「そろそろ、チェックのお時間です。」と無情の声 � こころなしか、身体が前に傾きながらステージに向かうのだった。

 いつまでたっても全然学習しない私(ケンさんも!)を、神様はなかなか許してはくれなかったが、なんとかどうにか、リハをこなしたのだった。しかし、こういう時こそ、酒がぬけてからの喜び、人生における至福の瞬間、あ〜生きててよかった、を感じたりもするわけで・・・・、はあ、やっぱり、何も学習してないって、みんなに言われても、このノーテンキさじゃ、返す言葉もないわな。

 さて、このようなどうしようもない状態にあったにもかかわらず、2回あったショウの内容はすこぶる楽しいものだった。

 やはり、音楽の神様ミューズは、我らをお見捨てにはならなかった。それに、オリュンポスの神である「ディオニュソス」はぶどう酒と芸術の神、ディオニュソスととも行動する「パーン」は牧羊神。草笛を吹くのが上手である事からも、酒と音楽は関連があるわけよ。ギリシャ神で、ディオニュソスとともによく名前がでるのが「アポロ」、彼は太陽の神としてスター扱いされるが、同時に予言、音楽と牧羊、弓の神でもあるのだ。だから、どうした?まあ、そうなんだけど。
 話のついでに、「アポロ的」と「ディオニュソス的」について、「アポロ」は太陽=予言=合理性を意味し、「ディオニュソス」は酒=陶酔=非合理性を意味する。前者は論理、分析的な方法、証拠に基づき冷静に判断することを好み、後者は直観、感情により傾いている。音楽で言えば、アポロ的なものは、知性的、明晰で古典的で秩序を重んじる表現、ディオニュソス的なものは、本能的で奔放、暗黒の力(デーモニッシュ、悪魔的な)を持ったような表現。もっと平たく言って、クールにキチっと決めるやつと、ドロドロにブハーっといくやつ、ということ。

 音楽は常にこの二つの要素で成り立っていて、素晴らしいアーティストはこれを絶妙なバランスで溶け合わせていくのだけど、現代はこのバランス感覚が崩れ、とかく「アポロ的」な傾向に傾いているのだ。それは、録音・再生技術、テレビ・ラジオなどメディアの発展により、ミュージシャン、アーティスト達が自分の表現を後で客観的にチェックするようになったからに他ならない。また、社会全体もより西欧的合理性を重視していることによって、その場限りの陶酔より、ある種の秩序ある安定感をどうしても求めてしまうのだ。だから、確かに全体の完成度は上がったが、人間の生命に内在する本能的なもの、ロマンチックなもの、感情はあまり解放されずにくすぶりつづけ、完璧だったがオモロナイ、などということが頻繁におきるようになった。それは詰まるところ、音楽の存在そのものの危機さえ心配される事態になりかねないのではと感じているのだ。

 とはいえ、やはりミュージシャンとはもともと「ディオニュソス的」傾向の強い輩が多く、時にすべてに反発するように、できあがった造形をぶち壊していく瞬間がある。特にライブにおいてはそうだろう。レコーディングにおいても、そういった傾向がじょじょに復活するかもしれない。聴き手の人々も、今の音楽はおもしろくない、と感じている人は多いだろう。具体的な方法論など今は提案できないが、この現状を打破する道をなんとか探っていきたいものだ。

 なんと、自分が大酒していたことの弁解をくどくどと書き続けて、支離滅裂になってしまったわい、反省反省、どうぞお許しを。この日のショウの内容について書く余白がなくなってしまったが、それはそれは、素晴らしく楽しい物だった、とお伝えしておきます。高山のお客さん達からもたくさんの拍手・喝采を頂いたのでした。そんなわけで、是非一度、「松崎しげる&大橋純子」のジョイント・コンサートをみなさんも体験して欲しい。そして、二人のそれぞれのライブも訪れてみてください。きっと、忘れていた何かがあるはずです。

 さて、飲むことばっかで恐縮だが、松崎さんとのジョイントもこれが今年最後だったので、当然終わってから居酒屋にくりだして宴会となった。ショウが成功したせいもあり、話もはずんで、おおいに飲んで騒いだ。そして、ホテルに向かったのは明け方の4時近かった。

 次回は16日、沖縄だ。それでは、この辺で。
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by harukko45 | 2001-12-11 00:00 | 音楽の仕事

 12月5日、山形から帰京した私とタマちゃんは、いったん家に戻り、夜の9時に横浜文化体育館に入った。これから、明日の「松崎しげる&大橋純子コンサート」のサウンド・チェックをおこなうためだ。

 会場にはいると、もうすでに楽器もセットされ、準備が整っていた。この現場は松崎しげるさんのコンサート・スタッフにジュンコさん側から、私とタマちゃんに舞台監督のハヤシカワさんが加わるのである。内容は、松崎さん、ジュンコさんそれぞれのコーナーと二人でデュエットするコーナーがあり、なかなか楽しいコンサートなのだ。この企画自体、もう4年前から各地でおこなっており、スタッフもミュージシャン、アーティストもみんな馴れていて、仲も良く、和気あいあいとしたムードがある。だから、仕事も手際よく、チェックもすぐに終了した。

 でも、なんでこんな夜遅くに、サウンド・チェックするかというと、明日の本番は午前11時から一回目で、そのリハーサルはなんと朝8時からなのだ!だから、舞台の仕込み等は前日の夜とあいなったわけである。普通のミュージシャン時間で考えると、午前中は使い物にならないので、今回の仕事は、私達にとって地獄の時間割なのである。そして、横浜でありながら、ミュージシャン全員、近くのホテルに宿泊することになった。

 とは言え、久々に松崎バンドのみなさんとの再会、やっぱり飲みにいくわけよ!松崎バンドは、リーダーのサトウさん(キーボード)、クロさん(ドラムス)、ショウちゃん(ベース)、ミッチャン(ギター)、ユッコさん(キーボード)、トクさん(サックス、キーボード、パーカッション)、サッチャン(バイオリン)の7人。みんな気のいい人達で、私とタマちゃんもすぐに仲良くなり、会うたびに宴会してしまうのだった。

 この日も明日のことなど何のその、1時半ぐらいまで居酒屋で盛り上がった。この人達は話好きだし、話題も豊富で、いつも楽しい夜になる。特にベースのショウちゃんは、酒がすすむと、別の人格が登場し、その場を多いに盛り上げて、これまでにも数々の伝説を生み出してきた。もちろん、ここでもハイテンションで語りまくり、みんなで大笑いなのだ。この後、私は寝床についたが、ショウちゃんとトクさん、ユッコさんは、部屋で飲み続けて、4時までだって!次の朝、8時にやっぱりショウちゃんは起きられませんでした。もちろん、酔いがまだ残ってたでしょうね。

 しかし、苦しみの早朝リハを乗り越え、本番の11時にはシャキっとするもんです。さすがプロだね!

 さて、オープニングのインスト‘The Winter Games’から、‘愛のセレブレイション’で、まずはジュンコさんが登場、Aメロ前半を歌うと、それに応えるように松崎さんが登場、そして、サビでは二人でハモっていく。この贅沢な組合せ、それに二人にピッタリな選曲、もちろん素晴らしい歌、ま、文句のつけようがありませんな。これで、いつもつかみはオッケー!その後、松崎さんの軽妙なトークで、すっかり会場のお客さんはニコニコになってしまうのです。ジュンコさんもなかなかいいツッコミを随所にいれて、息がぴったりだ。あら、夫婦漫才でっか?こっちも笑わしてもらってます。

 そして、ジュンコさんコーナー。‘シンプル・ラブ’‘たそがれマイラブ’‘シルエット・ロマンス’をやったが、‘シンプル・ラブ’で、松崎バンドに手伝ってもらい、‘たそがれマイラブ’はタマちゃんと二人、‘シルエット・ロマンス’はユッコさんが加わって、三人でバックをつとめる。だから、またそれぞれの曲がいつもとは違ったバージョンとなるのである。

 続いて、松崎さんとジュンコさんで50年代の懐かしのアメリカン・ポップスを歌いまくる‘オールディーズ・メドレー’。誰でも聴いたことのある名曲が後から後から登場して、実に楽しいのだ。アレンジも良くて、エンターテイメント精神あふれる素晴らしい一品に仕上がっている。これは、いっつもバカ受けなのです。超オススメよ!

 多いに盛り上がったところで、ジュンコ・チームはそでに引っ込み、これからは松崎さんのコーナーとなる。松崎さんは常に全力投球、お客さんを喜ばし、感動させるその歌いっぷり、汗びっしょりのステージングには毎回頭が下がる。ほんとに素晴らしいエンターティナーであり、プロ中のプロだ。たぶん、誰でも彼の生のステージを体験すれば、必ずや感動するに違いない。果たして現在の日本の音楽界で、真っ当なライブができるヴォーカリスト、アーティストが何人いるだろうか?この、お寒い日本の現状で、松崎しげるさんは数少ない本物の歌手・エンターティナーであると断言できる。

 映画音楽のメドレーに始まり、‘愛の8日間’‘抜け殻’と熱唱が続くが、この間、松崎バンドはとても的確にサポートしていく。歌を中心に余計なことはせず、それでいてゴージャスな効果も忘れていない。ピアノのサトウさんは実に安定したプレイぶりで、常に歌い手の立場に立っていて、これなら歌手の人は歌いやすいだろうなと、いつも感心させられる。

 このコーナーの最後は大ヒット曲‘愛のメモリー’だ。とにかく名曲、名唱である。かつての日本の作曲家は素晴らしい曲を残している。今の作家連中はたるんでいる。過去の先達にもっと敬意をはらい、勉強すべきだ。でなければ、J-POPなど未来はないだろう。

 ところで、この曲を私はいつも舞台の袖で聴いているのだが、曲自体の良さを楽しむだけでなく、別の楽しみもあるのだ。それは、トクさんのシンセによるブラスのパートの男らしいプレイぶり(タマちゃん曰く)を聴くこと。つまり、彼は一拍のとらえかたが長く、ギリギリまで弾いて、その切り際がスパっと未練がないのである。そこがイキなのだ。また、おもにストリングスのパートを弾いているユッコさんの表情がたまらなく色っぽい(これもタマちゃん曰く)ので、これもしかと聞き逃さず、いや、見逃さないようにするのである。いや〜、今回も堪能しましたぞ。また、新たにユッコさんが書き加えた間奏が、良い出来でなかなかの仕上がりになっていたのにも感心した。

 アンコールでのクリスマス・ソング・メドレーでは、全員のコーラスも充実していて素晴らしかった。そして、ジュンコ・チームも加わって、ラストは‘エンドレス・ラブ’。ダイアナ・ロスとライオネル・リッチーでお馴染みの曲。この曲はジュンコさんにピッタリなのだ。彼女のかわいらしさがすごく良く出ていて、歌声が愛おしいのである。それを、松崎さんがしっかりと支えていて、私など演奏しながら結構、感動してしまった。イヤ〜、ホント音楽っていいもんですね。

 さて、次回は9日に飛騨高山にて、松崎さんとのジョイント2日目である。私は今日ジュンコさんとともに前日乗りで、現地に入る。松崎チームは金沢のショウを終えて、バス移動してくるらしい。また楽しい夜が続きますな。それでは、この辺で。
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by harukko45 | 2001-12-08 00:00 | 音楽の仕事

 12月4日、大橋純子クリスマス・ツアーの初日、山形グランドホテルでのディナーショウである。

 新幹線で山形到着後、リハーサルに臨むのだが、いわゆるディナーショウの場合、リハ前に昼食、一回目のショウの後に夕食、そして二回目のショウ、その後打ち上げ(ま、平たく言えば飲み会ね。)、次の日の出発前に朝食がそれぞれホテル内のレストランでとれることが多く、つまり、食っちゃ演奏し、食っちゃ演奏するの繰り返し、ひとつ間違えるとミュージシャン・ブロイラー状態になる可能性もあるのである。

 12月のツアーで太ってしまい、そのまま忘年会・新年会を迎えて、出っ張った腹の所在に困るということも考えられる私のような中年ミュージシャンには、危険なシリーズであるが、例えば、いつも食が細く、栄養の偏りが気になるウエちゃんのような人には、逆に充実した日々になりうるわけである。

 そんなわけで、一階のコーヒー・ショップで充実したランチ・コースをたいらげた我々は、満腹でリハーサルを開始した。すると、順調にチェックが進むと思いきや、PAシステムの右スピーカーの音が出ないトラブル発生、その直後、私の弾くキーボードが故障してしまった。これには、ジュンコさんも不安げであったが、彼女の「いろいろなトラブルを乗り切って、初日を成功させましょう!」の一言にスタッフが応えて、本番前には問題をクリアし、無事に予定通りショウを始めることができたのだった。

 一回目は18時スタート、今回用意したオープニングは、70年代の偉大なソウル・シンガー、ダニー・ハサウェイの‘This Christmas’である。まずはピアノのイントロに続いて、ジュンコさんがしっとりと歌い上げ、ドラムのフィルをきっかけに全員でグルーヴィに展開するのだが、ここらあたりが初回はプレッシャーのかかる所、ウエちゃんも少々緊張気味に始まったが、曲が進むにつれ、ご機嫌なビートを刻みはじめた。どんなツアーでも、初日は適度な緊張感が全体にあって、それが演奏をしまったものにする。結果、演奏サイドは多少不満が残っても、実際にはいい内容だったということになるのだ。

 さて、この‘This Christmas’、とにかくメロディーがいいよね。思わず口ずさんでしまうのよ。また、コードの展開もいかしてるし、曲の合間にちょくちょく登場するリフのアレンジもなかなかおもしろいのだ。ダニー・ハサウェイのことは、よくご存じの方も多いと思うが、簡単にふりかえると、彼は、ゴスペルを原点にしながら、大学でピアノと音楽理論を専攻したソウル界きっての知性派で、60年代にはアレンジャーとして活躍、その後1970年にアルバム“Everything Is Everything”でデビュー、その後“Roberta Flack&Donny Hathaway”“Live”“Extension Of A Man”といった傑作を生み、まさに「ニューソウル」の旗手として、マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールド、スティービー・ワンダーとともに並び称される人物だったが、その後突然シーンから遠ざかり、79年に自殺という形でこの世を去った。あまりにも早すぎる死によって、彼の活動期間はわずかだったが、その影響を受けたミュージシャンは数多いのである。こんな事を考えると、演奏中も少し複雑な気持ちにもなる瞬間がある。

 ステージに戻ろう。‘This Christmas’のエンディングから、続いて‘シンプル・ラブ’となる。ここって、結構ショウの構成上、一番の肝ね。つまり、この曲から「Welcome to the Junko world」っていうわけ。それに、日米の70年代ニューソウルの名曲を続けてお送りしちゃうっていう仕掛けなのだ!ちなみに、今回の構成、マネージャーのツチダさんが言い出しっぺ。なかなかやりますな!

 このワクワクした楽しい二曲で、会場も一気にクリスマス・ムードとなりましたぞ。ここからは、ムーディなコーナー。‘たそがれマイラブ’‘You're So Beautiful’‘シルエット・ロマンス’と、ジュンコさんが三つの愛の形を、それぞれ違った表情で綴っていく。歌だけで表現する愛のストーリーとでもいうとこか。バックも控えめに繊細さを大切に演奏していくのだった。

 後半戦は‘A Way’‘サファリ・ナイト’‘ペーパー・ムーン’である。前のコーナーで、神経を使った我々は、ここで一気に解放された気分となり、真っ赤に燃え上がっていくのである!みなさん、手拍子をどうぞ!盛り上がっていこう!‘ペーパー・ムーン’前の「タマちゃんショウ」も相変わらずバカ受けです。何度やっても‘ペーパー・ムーン’は怒濤のパフォーマンスとあいなるのであった。そして、本編の最後は‘愛は時を越えて’である。お馴染みのこの曲も、このごろの世の中の空気感の中で演奏すると、特別な意味あいを感じずにはいられなかった。ふと会場を見ると、なんとこの曲にあわせてチーク・ダンスを踊っているカップルがいた。いや〜、素晴らしい光景じゃありませんか!山形のお客さんのセンスのいいこと!我々もとっても幸せな気分になりましたよ。

 こうして、充実した一回目を終えた私達は、8階のレストランで夕食をとることに。ここでもまた充実した「ステーキ・コース」をいただいたのであった。オードブルを口に運んだ瞬間、「あ〜、ワイン飲みてぇ〜。」と思ったが、ま、ここは我慢我慢、二回目に備えなくては。ところが、あまり食欲がないと言っていたゴトウさんが、食事が始まるや一気にコース料理を食い上げ、「いや〜、火がついた。」などと発するや、女性コーラス陣の残した物も全て平らげるという荒技をみせた。一体この人は、何なのでしょう?マッタク!

 充実した精神と充実した肉体(満タンの胃袋)を獲得した我らに怖い物なし!今日の我々には一分のスキもなし!これで二回目が悪いわけ無し!

 その通り!リラックスしたみんなの演奏は、実に生き生きしたものだった。終演後、録音されたDATでチェックすると、同じ曲でも全然表情が違う。全体の完成度は一回目がよいが、二回目の自由で活発なムードも捨てがたい。そうして、盛大な拍手に迎えられて、アンコールは‘My Love’だ。ところが、ここでジュンコさん、突然歌詞がとんでしまいました。おまけに笑いはじめてしまいました。これには、ステージ上も会場もバカ受け状態。逆にメッチャ盛り上がってしまうなんて!おもろいこっちゃ。やり直した‘My Love’は、お客さんへの素晴らしいクリスマス・プレゼントになったはず。

 さあ、「若さと美貌」が売りのジュンコさん率いる、(ゴトウさん曰く)「バカさと貧乏」のジュンコ・バンドはこれからもまだまだいきまっせ!まずは初日大成功に乾杯であります。
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by harukko45 | 2001-12-07 00:00 | 音楽の仕事

師走にボヤキ

 あ〜、なんて月日の経つのはこうも早いのでしょうか、もう12月になってしまいました。思えば、今年は21世紀最初の年であるのを象徴するような一年でありました。小泉首相の誕生、長引く不況、それでも淡々と日々過ぎると思っていた矢先、そんな思いを一瞬で消し飛ばした、アメリカでの同時多発テロ、そしてアフガニスタンでの戦闘。また、偉大なるビートル/ジョージ・ハリスンの死去もショックでした。明るいニュースといえば、雅子さまが女の宮さまをご出産なさったことと、スポーツ界においてのイチローの大活躍ぐらいか。とは言え、我らがジュンコさんにおいては、ホームページ開設に始まり、ニューアルバムの発表と、新たな挑戦の年でもあったのでした。

 そして、師走を迎えたわけです。いくら不況とはいえ、何だかんだ言っても忙しくなってくるのです、この時期。ジュンコさんは、ここ数年毎年、クリスマス・ディナーショーを中心におこなってきていて、今年も4日の山形を皮切りに、各地を回るのであります。特に今回は、単独のショーに加え、松崎しげるさんとのジョイント、柳ジョージさんとのジョイントとなかなか盛りだくさんの内容となっております。

 さて、11月3日の神戸以来、しばし離れていた各メンバーとも、11月29,30日のリハーサルで久々に再会しました。ウエちゃんは「なんとか生き延びている(?)」少し痩せたかな?タマちゃんは買ったばかりで箱から出したてのエフェクターに、心奪われっぱなし。ロクさんは飲み過ぎで二日酔い気味、気持ち悪いってさ。ゴトウさんは何故か近寄ってきて、「そういうわけで、とにかくこれからもヨロシク!」だって。サエコ、アッコのご両人も相変わらずの美貌(!)を保ち続けていらっしゃいます。そして、ジュンコさんは風邪が長引いていて、ちょっと調子悪そうでしたけど、気持ちの方はいつものようにハイテンションをキープされておりました。

 今回クリスマス用に一曲、某有名ソウル・シンガーの名曲をトライすることになりました。何の曲かは、会場で聴いてのお楽しみとさせてもらいましょう。とにかく、私も大好きな一曲、心が躍ります。アレンジも気が利いていて、なかなか勉強になりますなあ。やっぱ、70年代の音楽はいい!くやしいけど、この辺りのものはジャンルを問わずどの音楽も、なかなか越えられないようなマジックがあるのです。我々もほぼオリジナルに近い形で演奏していますが、それでもとても新鮮に感じられます。

 曲自体のグルーヴをつかむために、割と何度も演奏しながら、身体にしみこませていきました。これが仕上がれば、このリハの目的は70%達成なのであります。その後は、今までの手慣れたレパートリーの中から選んだ曲の細かいチェックをおこなっていきました。曲始まりのきっかけはどうするとか、エンディングを少しかえてみるとか、テンポやノリのチェック、部分部分のニュアンスの確認と、やり始めるといろいろ尽きないわけです。これも音楽バカのなせる技ですかね。

 ショーの構成としては、前半はオリジナルとカバー曲を織り交ぜて、比較的しっとりとしたバラードでまとめ、後半ニューアルバムからの曲とお馴染みのノリのいい代表曲で組んであるのですが、なかなか良いラインナップではないでしょうか。ディナーショーにお出かけのかたは、どうぞご期待ください、という感じ!詳しいお問い合わせは、オフィスウォーカー、アルクまでどうぞ。なんてね。

 というわけで、いよいよ明日がクリスマス・ツアーの初日であります。それぞれのご報告は随時お伝えしたいと思います。本番だけじゃなく、アフター・ザ・ショーも盛り上がること必至の12月です。特に最後が24日の札幌ですからね。どうなるか今から楽しみやら、心配やら。ま、とにかく身体をこわさず、ガンバってくるでごんす。それでは、みなさん、いってきま〜す。
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by harukko45 | 2001-12-03 00:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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