カテゴリ:音楽の仕事( 652 )

 昨夜、名古屋から帰宅しました。水越けいこさんの「Summer Live 2013」の大阪・名古屋での3ステージが無事に終了して、残すは東京での2ステージです。

 そして先週、大橋純子さんの「クラブサーキット2013」の大阪公演が終了し、12日に名古屋で始まったツアーが、こちらも東京を残すのみです。

 ジュンコさんとのツアーではバンドでの充実した演奏とサウンド、一方のけいこさんでは、ほぼ全曲を私のピアノだけでの演奏という、全く正反対のような内容でしたが、共に濃くて深い音楽世界にどっぷり浸ることが出来ています。
 ここまでは、どちらも良い流れで来ていますので、大ラスの東京も大いに盛り上がっていきたいと思います。

 ひとまず、各ライブハウスにお越し下さったファンの皆さんに、お礼申し上げます。いつもいつも応援していただき、本当にありがとうございました。
 東京公演も精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 なお、私個人は8月もライブ・イベントが続くために、今回の「ツアーの詳細」は当面書けないと思います。たぶん、8月後半になったら、時間が出来ると思うので、少しづつまとめていこうかと考えています。
 それでは。
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by harukko45 | 2013-07-23 04:37 | 音楽の仕事

 いやぁ、すっかりブログ書かずに、梅雨明けになってしまった。コンフェデ杯についても、尻切れになってしまいましたが、とりあえず、トーナメント選に勝ち上がった4チーム(ブラジル、スペイン、イタリア、ウルグアイ)と他のチームとのレベル差が大きく、いたって順等な結果であったと思います。
 優勝したブラジルは、このところの不評や国内情勢の不穏さからくる緊張感が、チームを一つにまとめる大きな要素にもなったかも。で、確かにネイマール様の凄さには本当に参りましたが、彼がこの秋からバルサに入ってどうなるかは、わからんし、順調に来年まで調子を維持しているかどうかも、何ともね。
 とにかく、ブラジルの気候(暑さと湿気)がかなり選手達を苦しめた様子。これを前もって経験できたことは日本にとっても良かったのではないか。
 
 で、我らが代表は、ワールドカップ予選の最終戦を中東で戦ってすぐにブラジル入りだったので、非常にコンディショニングが難しかったろうし、準備を十分に出来なかったことは不運だった。とは言え、今の力がこんなもんであることは、実にはっきりしたわけで、今後はより現実的な視点でのチーム作りが望まれる。個人的には、何と言ってもあまりにも弱かったディフェンスに何か手を打ってほしい。このところ、保守的な感じに見えたサッケローニ監督が、これで覚醒してくれることを願う。

 さて、暑い夏になっている今年。7月8月は、私にとってはライブ月間となりました。なので、ここでお知らせを。

 まずは、大橋純子さんの毎年恒例「クラブサーキット」ツアーの2013が、今週からスタートします。

 7月12日 名古屋ブルーノート
 7月17,18日 ビルボード大阪
 7月26日 ビルボード東京

 そして、コンサートが合間に。

 7月24日 土浦市民会館大ホール(会員向けコンサート)

 続いて、水越けいこさんの「Summer Live 2013」。

 7月21日 大阪 Mister Kelly's(ミスターケリーズ)
 7月22日 名古屋 ROXX SAKAE(ロックス栄)
 7月27日 東京 江古田マーキー

 何と、王様が再び横浜に降臨。
 7月29日 横浜 FRIDAY

 てなことになっておりますので、どうぞよろしくお願いします。それでは。
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by harukko45 | 2013-07-10 00:52 | 音楽の仕事

タケカワユキヒデ/福岡

 昨日、福岡から帰ってきました。タケカワユキヒデさんとのライブで、13日に入り、その夜にリハーサル、14日に本番という内容でした。今回は企業イベントでのパフォーマンスでしたが、4月にあった3本に続いて、こういう企画がじょじょに増えつつあるので、日本経済全体が少しは良くなってきた証明とも言えるかな。
 とりあえず、ミュージシャン的にはどんな現場でもやることは変わらず、音楽にのみ集中して、大いに楽しみ、楽しんでもらうこと。

 とは言え、個人的には久しぶりの福岡・博多に来れたので、それだけで気持ちはかなりハイになってました。
 
 ライブの内容は、ゴダイゴ時代の名曲に、杏里さんとのジョイントによる洋楽カヴァーで、約40分程度の時間でしたが、このところバンド独特の結束感とグルーヴの良さを感じられるようになっていたので、今回の演奏も実に楽しいものでした。とにかく、1曲目に"モンキーマジック"の演奏が始まると、いわゆるJ-Popsとは違う次元の高い音楽性を感じて、一人興奮してしまうのです。ある意味、プログレですな、私にとって。ただ、相変わらず盛り上がると熱くなり過ぎてしまうのは、ちょっと大人げない自分です。それは反省。

 さて、今回は2泊できたので、それなりに博多を満喫できました。もちろん、メンバー・スタッフとの飲み会が大きなイベントであったことは確かですが。

 次回のタケさんとのライブは8月です。今度は徳島とは、これまた久しぶり。いや、ひょっとしたら、初めて?かも。
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by harukko45 | 2013-06-16 16:25 | 音楽の仕事

(2)からの続き。

e0093608_22414119.jpg m14.together

 本編の最後は、94年の「The Sketch Of A Woman」のラストを飾る"together"。ご子息の麗良くんに捧げられた最初の曲である。まだ、れいくんがおなかの中にいる時に書かれた曲だそうなので、けいこさんにとって、大切な曲の一つに違いない。
 スタジオ版では、愛息にやさしく語りかけるボーカルをけっして邪魔しないようにしながら、それでも気持ちよくグルーヴしていくバック・トラックが収録されている。ギターの塩次伸二さんやエレピの小島良喜さんら、関西R&B系の名ミュージシャン達の演奏がすばらしい。

 東京・名古屋では私一人だったので、あまりハネるようなビートではなくシンプルにやった。大阪では逆に、ハネる感じを意識して、R&Bっぽいアプローチをメンバーにお願いした。すごく内面的な曲なのだが、淡々としながらも力強く前進していく感じが、演奏の肝であり、それこそが曲自体のテーマだ。
 すごく難しい曲だけど、やりながら静かに感動してしまう。

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 En1.You Are My Life〜2.boy〜3.僕の気持ち

 アンコールに応えて、という形をとってはいるが、本編ラストからの一つの流れとしてとらえられる3曲。それは全て、れいくんに捧げられた曲達であり、今回はそれらをまとめて聴いてもらうことになった。
 "together"から年代順に演奏したので、れいくんの成長を会場の皆さんと共に振り返っていく。

 "You Are My Life"は97年の「In My Life」に収録された。アレンジャーの徳武弘文さんの超美しいアコギを始め、何本かダビングされたエレキ・ギターの名人芸がすばらしい聞き物でもあるし、何と言っても「たった一日(一秒)でもいい、あなたより永く生きたい」の歌詞とけいこさんのボーカルにふるえない人はいないだろう。

 "boy"は2006年夏に私が自宅で制作したものが最初で、それはファンクラブ会員向けのプレゼントCDとして配布された。これは、全て私だけの演奏でミックスも自分でやったと記憶する。
 その後、ニュー・アルバム制作が決まり、ベーシックのピアノのみ残して、新たにダビングしなおした。この時はエレキ・ギターに土屋潔さんを招いて、ジョージ・ハリソン風のイメージで素晴らしいバッキングを入れることが出来た。それが、先日リリースされた「僕の気持ち」に収録された。

 "You Are My Life"と"boy"は共に、けいこさんの母としての思いが一杯で、それは愛情だけでなく、不安や切なさ、子を守る強さなどの複雑な感情が含まれているのだろう。だからこそ、曲全体に凛とした緊張感が感じられるのだ。

 そして、最も新しい曲"僕の気持ち"には、何とも言えない「あったかい」空気感があって、バックトラックとともに演奏していると、こちらまでリラックスしてやさしい気分になってしまう。
 れいくんの気持ちが歌詞となったこの曲が与えてくれる喜びは大きい。

 このコーナーではバンドではなく、私と森さんのみで演奏をした。

e0093608_9321461.jpge0093608_95036.jpg En4.気分は5月の風のように〜5.ほほにキスして

 大阪ではダブル・アンコールに応えて、メンバー全員での2曲。とにかく、楽しく盛り上がれる2曲でした。特に"気分は5月..."好きですねぇ。

 名古屋では、ニューアルバムに収録予定の"私への誓い"が大ラスだった。

e0093608_162143100.jpg En6.Too Far Away

 大阪でのライブの最後は"Too Far Away"。定番のレパートリーではあるが、今回は特に意味のあるものになった。それは、5月23日にサンミュージック会長の相澤秀禎さんが亡くなられたからだ。その悲報は、名古屋への車中で知らされたのだが、けいこさんにとっては音楽業界での恩師の死は大きな出来事であったにちがいない。
 名古屋では、そのショックを見せずにステージをこなし、弾き語りのコーナーで"Too Far Away"を落ち着いて歌ったのだが、最終日の大阪ではついに堪えきれずに、思わず涙で声が詰まって歌うことができなくなってしまった。すると、会場のファンの皆さんが歌いだして、曲をつないでくれたのだ。これには、すこぶる感動させられた。ピアノを弾きながら、私も熱いものがこみ上げてきてしまった。

 偶然とは言え、このタイミングで"Too Far Away"を歌うのは、けいこさんと相澤さんとの深い縁を感じたし、心から哀悼の意をこめた素晴らしいひと時になった。

 さて、これで「Spring Tour 2013」は終了です。大阪でのバンドに加わってくれた、ベースの小林正見さん、ドラムスの井上裕司さん、サックスの山本周典さんには、心から大感謝です。たった一日、それも本番前日のリハだったにもかかわず、その前にしっかりと準備していただいたおかげで、本番をうまくやり遂げることができたのです。
 彼らはさすが大阪人で、明るく本当に楽しい人達でした。また、再会したいものです。

 そして、ファンの皆さんとは大阪本番の前日に、一緒に飲み会をすることで、これまでにない交流ができました。いろんな意見も聞けたし、何より皆さんの熱い思いはビンビンと伝わりました。ただし、皆さんがどんどんビールを注ぐので、かなりヨッパライましたよ、ほんと。でも、会話が弾んで楽しかったです。また是非、飲んで語りあいましょう。
 で、次回は夏、7月です。内容はどうなるのかは、まだ私にはわかりませんが、とりあえず参加させてもらいますので、どうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2013-06-04 19:08 | 音楽の仕事

(1)からの続き。

e0093608_6421936.jpg m7.あなたがいたら

 89年の「Dramatically」からの"あなたがいたら"は田中章さんのアコースティック・ギターのサウンドが素敵で、他には何も入らないほど曲にマッチしている。竜真知子さんの詞もすごく良くってさすがだと思う。曲は、けいこさんの別の側面でもある「不思議」系と言えるだろうけど、あえて感情を殺したような歌い方が、何とも言えない非現実的なムードを作っていて、手を離したらどこかへ行ってしまいそうなボーカルを、アコギがやさしく包むことで、現世に留まっているような感じ。それにしても深く、切ない。
 今回のライブではピアノのみでやったので、オリジナルとはちょっと違ったニュアンスになったかもしれない。スタジオ版の暖かい感じよりも、寂寥感の方が強調されていたかも。私はアコギの印象が強くて、ピアノでやるのはいかがなものかと心配していたが、実際には新しい刺激があって、個人的に"32階""黒いドレス"からの3曲の流れが、今回一番のお気に入りコーナー。

 東京・名古屋ではこの曲は"黒いドレス"からつながるように組まれていて、ライブ前半をしっとりと終えることで、とても印象的になったと思う。この後私は引っ込んで、けいこさんの弾き語りコーナーへ。曲はその場その場で3〜4曲ピックアップされ、ファンの皆さんのリクエストにも応える内容だった。私は、東京の2部(ファンクラブの集い)での"流れるままに"を久々に聴けてしびれましたね。ファルセットの高音が素晴らしかった。

 大阪では、バンドのメンバーはいったん下がり、私だけが残ってピアノのみのコーナーの1曲目に"あなたがいたら"を演奏した。

e0093608_1149691.jpg m8.For Myself

 91年の「Humane」収録の"For Myself"は、前曲以上に「不思議系」で、演奏的にはつかみどころがないフワフワさ。こういう曲は、歌のムードについていくことが大事で、アレンジ上で何かを仕出かしてやろうなんて思わない方が、うまく行くようだ。けいこさんの声に導かれるように、かなり即興的に二人で作っていく感じが楽しかった。歌詞が心静かに自分の内面に語りかけていく内容だから、このやり方で良かったと思う。

e0093608_19405861.jpg m9.波に寄せて

 アコギに我らがプロデューサーである森崇さんを迎えての"波に寄せて"は、もはや説明不要の名作。ひょっとしたら、発表当時よりも今の方がファンに方々の思いが重なり合って、より深く大きな存在の曲に成長しているのかもしれない。
 私個人も、つねに敬意を持って演奏にのぞむ感じであります。それにしても、波がドーンを寄せて、スーッと引いていく感じがうまく音化されてますなぁ。曲とアレンジの両方でね。毎回、関心する。

e0093608_9321461.jpg m10.カーニバルの終わりに

 後半はノリのある楽曲が並び、ファンの皆さんの熱い手拍子も加わっての、ライブならではムードが盛り上った。ただし、東京では私と森さんのギターだけだったので、少々パワー不足を感じた。そこで、名古屋では打ち込みのリズム・トラックを組んで、それに合わせることにした。そして、大阪ではリズム・セクションにサックスも加わってくれたので、本来の形に近い演奏をすることができたのでありました。これは、文句無く楽しかった。

e0093608_19405861.jpg m11.Africa

 前曲から続けるように、リズム先行で"Africa"に突入。東京と名古屋ではスタジオ版のイントロで聴こえるドラムスをループにして、そこにパーカッションを新たに打ち込んだトラックを使った。これは、あくまでオリジナルに沿ったアプローチだったが、大阪の時は、かつてのツアーでやっていたレゲエ・バージョンにしてみた。この方が全体にバンドっぽい自由さや、ライブならではワイルドさが加わり、ノリも良くなったと思う。
 リハをやっていて、なかなかいい感じだったので、途中でメンバー紹介のソロ回しを入れて長くすることにした。これもライブならではで面白かったけど、何と言っても、けいこさんが長い付き合いであるはずの、森崇さんの名前を「イノウエ?崇さん」って飄々と間違えたのがハイライトでしたね。

 東京・名古屋では、この後に"Dear Summer Time"を続けた。

e0093608_7275087.jpg m12.シンガポール

 大阪のみで演奏した曲で、これはバンドでやるために選ばれた。

 85年の「Actress」は80年代のニュー・ウェイヴ感覚をうまく処理しながら、けいこさんのボーカルのポップさが生かされた作品で、かなり良いです。それで、この中の曲はライブでもずいぶん取り上げられてきたのだが、私が唯一やっていなかった曲が、この"シンガポール"。
 三越正幸さんの曲は、思いっきりニュー・ロマンティック。けいこさんの歌詞もこれまた思いっきりキャッチ・コピー風で、どっぷり80'sしてる。シンガポールってタイトルだけど、それは単に暗示的な意味合いだけで、その軽さがいい。ちょっとBOØWYっぽいニュアンスも。
 それにしても、けいこさんがこの手のニュー・ウェイヴにピタっとはまるのが面白いし、それもなかなか相性がいいと思った。これは新発見。
 で、バンドによるパフォーマンスも、ことのほかうまく行ったと思う。会場の皆さんのノリも良かったし、ライブで実に映える曲でありました。エレキ・ギターなしでもそれっぽいニュアンスが出ていたのは、バンドのメンバーのおかげ。ギターとシンセのテクノっぽいフレーズをサックスとエレピでやったのも、なかなかクール。そして、曲のエンディングのためだけに、ドラムスの井上さんはドラを仕込んでくれた。これもサイコーでした。

e0093608_117441.jpg m13.Only One

 けいこさん以外の作家の作品を多く収録した「Precious」のオープニングであった"Only One"は派手さも十分で前向き歌詞を持つポップ・チューン。ライブ向きの明るい曲だから、本編の後半にピッタリだった。ただし、東京・名古屋でのアコ・バージョンでは、さすがに手が足らない感じで、良さを引き出すのが難しく、十分にやりきれなかった。大阪で3人のミュージシャンが加わってくれたことで、やっとちゃんとした"Only One"をお聞かせ出来たように思う。こういう、ガンガンに行ける曲は生ピアノを引っぱたけるので、個人的にも大いに盛り上がる。

詳細(3)へ続く。
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by harukko45 | 2013-06-03 01:27 | 音楽の仕事

 27日に大阪より帰宅しました。車で名古屋・大阪を巡った水越けいこさんの「Spring Tour 2013」は無事に終了しました。初日であった東京・江古田マーキーでのライブが4月27日だったので、1ヶ月の時間があいてしまい、モチベーションの維持がちょっと心配されましたが、実際には新しい試みによる出会いがあったり、ファンの皆さんとの交流の場があったりと、かなり充実した3泊4日でありました。
 江古田マーキー、名古屋ムジカ、大阪・高槻ミュージック・スクエア1624天神にお越し下さったファンに皆さんには、心よりお礼申し上げます。皆さんの力なしでは、ライブの成功はありません。

 さて、今回もいろいろと思い出多い内容となったステージをセット・リストにそって振り返っていきたいと思いますので、どうぞおつきあいのほど、よろしくお願いします。
 なお、東京と名古屋は同じ曲目でのパフォーマンスでしたが、大阪では、ベース、ドラムス、サックスの地元ミュージシャンとのバンド編成で、曲目・曲順が少し変更されました。ここでは、大阪の曲順にそっていきます。

e0093608_14393442.jpg m1.Love Song For You

 81年の「Jiggle」はアレンジを大村雅朗さんが8曲で、佐藤準さんが2曲。この後の「I'm Fine」が全曲、大村さんのアレンジなので、この時期は大村さんとのコラボが中心と言えるか。が、80年の「Like You!」は佐藤さんが全曲アレンジ、79年の「Aquarius」では二人が5曲ずつということで、これは偶然だったのか、単にスケジュール的な問題だったかもしれないものの、私には当時のプロデューサーが、なかなか絶妙な配分で能力の高いアレンジャー二人を使い、けいこさんの世界を豊かに色付けていたのだなぁ、と感心するのでした。

 かなりザックリ言って、けいこさんの楽曲で、サトジュンさんか大村さんがアレンジしているものにハズレはない。それどころか、かなりの名曲、驚くべき傑作、く〜たまらんの連発曲がそろっていることは間違いない。それぐらい、けいこさんと、この二人の相性は良いのだ。

 で、"Love Song For You"は、さすがロック系に縁の深い佐藤準さん(元「SMOKY MEDICINE」)の特色がうまく出ていて、ちょっとポール・マッカートニーの"Live and Let Die"風とも、ソフト・プログレとも言えそうなドラマティックな流れは、演奏しているものもワクワクさせられて実に楽しい。なので、こういう曲は、やっぱりバンドでドカーンと派手にかましたい。だから当然、そういう思いは大阪での2ステージではある程度果たされたのだった。もちろん、欲を言えばキリがない。ディストーションの効いたエレキ・ギターも欲しいし、コーラスも欲しいってことになる。

 ところが、ピアノだけでやった東京・名古屋では、アレンジの骨組みだけで演奏する感じになってしまうにもかかわらず、それでも十分満足できる内容であることに気づくのだった。あらためて、けいこさんの歌詞の方に目を向けると、ステージでのボーカリストが主人公の曲でありながら、彼女の心は失った恋の哀しみでいっぱいなのだから、やっぱり、けいこさんの曲は簡単ではない。だから、ピアノのみで、時にミニマムさを意識していくことで、「特定のあなただけ」に捧げる愛の歌の世界に浸ることになった。

e0093608_1125865.jpg m2.ジェラシー

 82年の「I'm Fine」は大村さんのアレンジで、演奏はTOTO。この当時の最先端であるアダルト・コンテンポラリーな(AC/日本ではAORと呼ばれる)サウンドと素晴らしい演奏に文句などないのだが、あえて惜しいと思うのは、時にLAのミュージシャン達の持つ根っからの陽気さが、けいこさんの音楽を「明るくしすぎた」部分が少し見られる点だろうか。そこが、「I'm Fine」の小さな弱点かも。

 実際に、この"ジェラシー"では、エンディングでのスティーヴ・ルカサーのギター・ソロがテイク1では明るすぎていたとのこと。それで、けいこさんはスティーヴに「この曲は"ジェラシー"なのよ」と注文したのだそうだ。それを理解した後のテイク2がOKテイクになっているわけだが、確かに彼にしてはいくぶん影のある泣きのフレーズも聴こえてきて興味深い。それでいて、きっちりとテクニカルな速弾きも披露しているし、音楽的な構成力も見事だ。
 とにかく、この頃のルカサーは「どんなスタイルの音楽だろうが、一発で最高のプレイをキメる」ギタリストとして有名だったわけで、たぶんどのテイクを選んでも完璧だったろうが、それでも歌詞の世界観を一番に考えた、けいこさんはエライ。

 今回のライブにおいては、大阪でサックスの山本さんをフィーチャアして、曲本来のAOR感を出せたと思う。期待に応えて、山本さんはメローなプレイでキメてくれた。

 このあと大阪のみ2曲、バンド編成を生かした曲が加えられた。

 m3.Dear Summer Time

 同じく「I'm Fine」からの曲で、これはLAっぽさとTOTOの演奏を意識した曲、アレンジだと思うし、その意図が十分に生かされたテイクがアルバムに収録されている。アメリカ人ミュージシャン独特のグルーヴィな8ビートが気持ちいい。この当時20代だった私のようなミュージシャンには、こういう「ゆったり」しながら「スムース」に流れていくグルーヴ感を出すのがむずかしかった。とにかく、ジェフ・ポーカロの歌うようなドラミングが、ほんと、素晴らしい。

e0093608_10111.jpg m4.少し前、恋だった。

 83年の「KAREN-NA-KISS」は、全体にニュー・ウェイヴ的なニュアンスが強いアルバムで、「I'm Fine」のようなAORサウンドはなくなってしまったが、その中では唯一この曲は、どちらかと言えばオーソドックスな「夏っぽい」サウンド作りが、逆に時代を感じさせずに良いのかもしれない。
 78年から80年代、ほぼ毎年1枚から2枚のペースで制作されている、けいこさんのアルバムを年代順に聴いていくと、当時の音楽的傾向の大きな変化がすごくよくわかって、実に面白いです。

e0093608_19405861.jpg m5.32階のBAR

 「I'm Fine」と「KAREN-NA」にはさまれた「Vibration」はAOR的な要素とニュー・ウェイヴ的な要素が共存しているアルバムで、アレンジャーが4人もいるのだが、それよりも何より、このアルバムに収録された曲には、面白さと強さがあり、個人的には前述の2作よりも好きだ。
 "32階のBAR"は、以前にも書いたが、どことなく「昭和」的で「バブリー」な感じでもあり、およそ現代の作家では書けないような内容の曲。
 かつて音楽業界の人達が好んで使っていた言葉「ゲセワ」は、ある意味、今なら「ヤバイ」ってことに近いかも。つまり「ゲセワでクサイ」ムードを曲が持っていて、その危険な香りがたまらんのです。

 実は、私はこの曲をずっと一人だけで演奏してきたので、今回初めてバンドでやって、すごく楽になってうれしかった部分と、その分スリリングな気分がなくなって残念な部分を両方体験した。音楽って、何年やってもホントむずかしいもんですわ。
 
 m6.黒いドレス

 続けての"黒いドレス"は、最初から最後まで「危うい/アブナイ」。アレンジした萩田光雄さんは、もちろん日本を代表する名アレンジャーの一人だが、その彼が思わず自画自賛した曲なのから(スタジオでは先生自らタンゴを踊りだす場面もあったとのこと)、随所に演奏する喜びがあるし、むずかしさもある曲。
 音楽の中にストーリーを感じるようにしたいのだが、それが自己中な押しつけにもなりかねないので、そのバランスが求められのではないかと思う。

 元々、タンゴとかフラメンコとかファドとか、ジプシー系の音楽には強く惹かれるので、弾いてて楽しかったし、やりがいもあった。イントロからAメロでのタンゴ、Bメロでの崩れた感じから、サビはハバネラ(いわゆる「カルメン」のあれです)になる流れが、特に大好き。
 ただし、私としてはスタジオ版は、少しお行儀が良い、と感じる。たぶん今だったら、もっと崩れた部分を強調したいかもしれない。ハバネラの部分も、もっとデフォルメして「クサみ」を出したいかな。
 たぶんに、ポップスであることを大事に考えれば、ドラムスとベースでリズムを刻むことで、万人向きに安心感を作れるわけだが、今だと本物のバンドネオン奏者と弦楽とピアノで、揺れたリズムでやるかも。いろいろと想像力をかき立てるのは、それだけ曲の出来が良いからに違いない。

詳細(2)に続く。
 
 
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by harukko45 | 2013-05-30 01:57 | 音楽の仕事

4月のライブ

 もう早4月。ライブ関連のお知らせをさせてもらいます。

 今月は、タケカワユキヒデさんとのライブが3回ありますが、企業向けのイベントなので、一般の方々は残念ながらご来場できません。ただ、久しぶりのタケさんとの演奏は大いに楽しみです。

 タケさんの前に16日には王様が今年2回目の横浜降臨。この日は私のバースデイだったか。大いに燃えたいと思います。

王様
 4月16日: 横浜フライデイ

 今月後半には、水越けいこさんの新作リリース記念のスプリング・ツアーが始まります。お馴染みの江古田マーキーでのライブを皮切りに、5月に名古屋・大阪と続きます。

水越けいこ Spring Tour 2013
 4月27日: 江古田マーキー

 それでは、どうぞよろしくお願いします。
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by harukko45 | 2013-04-01 23:53 | 音楽の仕事

(2)からの続き。

 En1.22歳の私

 アンコールをいただいての1曲目は、なっちのソロデビュー曲で、つんく氏が気合いを入れて作った感じがよく伝わります。冒頭に付け足したキーボード・ソロはリハーサル時にはいまいち決まらずに演奏していたのですが、本番初日にようやくアイデアが固まりました。とは言え、その場のアドリブ的な要素は強かったです。で、おもむろに"22歳..."の印象的なイントロへつなぐ形に。

 なっちとファンの皆さんにとっては、ソロ1作目だから思い入れも強い曲でしょう。私は初めて演奏したので、とても新鮮な気持ちでやれましたし、リリースされた時を追体験するような気分にもなりました。なので、大事に演奏しないといかん、という意識は強かったです。

 ふと思う事に、「作曲家は生涯1曲しか書けない」というのがほぼ定説ではないかと考えますが、つんく氏においてもそうで、全ては過去に書いた傑作のバリエーションと言えます。でも、だからこそ、作家の個性を主張できるとも言えるわけで、けっして悪いことではないのです。
 が同時に、それはマンネリとの裏表でもあり、そこにアーティストとしての苦悩も見え隠れしてくるのでした。
 なっちが、ソロになってからちょうど10年を経て、もう一度この曲を取り上げたというのは、やはり大きな意味があると思います。大きな節目を迎えて、彼女自身が10年間を振り返りながら歌うと、同じ歌詞が22歳の時とは全く違う内容に感じられるのではないでしょうか。

 あらためて、なっちの成長と同時に、曲も成長することを再確認できました。

 En2.愛しき人

 ライブの大ラスは超定番曲。もはや、何も付け足す事はありませんが、何度やっても会場中が一つになる体験は最高です。こういう喜びにはマンネリはないんです。常に感動と快感です。

 さて、ツアーはあっという間に終わってしまいました。例年以上に寂しいです。でも、これは私が年を取ったからでしょう。他のメンバー達は未だにワイワイとLINEで連絡取り合っているし、バリバリと他の現場でも演奏しているようです。もちろん、なっちご本人も舞台稽古が大詰めで頑張っていることでしょう。
 いつまでも、ノスタルジー(?)に浸っていてもしかたない。ひょっとしたら、夏に再会できるかもしれませんしね。そんなことを秘かに期待しながらも、まだまだ頑張っていかねば。

 最後に、常に暖かく迎えてくれ、そして送り出してくれるファンの皆様に、再度お礼を。本当にいつもいつもありがとう。


 
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by harukko45 | 2013-04-01 15:23 | 音楽の仕事

(1)からの続き。

 m6.Alone〜7.Blue Velvet

 ライブ中盤、カヴァーを2曲。岡本真夜さんの"Alone"は1996年にリリースされたヒット曲。その後、ご本人による別バージョンがいくつかあり、今回は2009年の「Crystal Scenery II」に収録されたバージョンをベースにしました。その時の岡本さんのテイクは、思いっきりエンヤ風な仕上がりで、多重録音されたボーカルやエコーの強い打ち込みが特徴ですが、そのゆったりとしたテンポ感やニュアンスを意識しながらも、比較的シンプルな形でまとめることにしました。
 なので、この曲のみヴァイオリンには休んでもらい、キーボードとガット・ギターを中心に淡々としたバラードにして、切なさや寂寥感を引き出せるように心がけました。
 とにかく、詞がかなり来るので、どうやっても「たまらんなぁ」って感じになります。なっちはこの歌詞をとても大事に思っていたようで、最初は少し短くする予定が、「どうしてもカットしたくない」との希望でフル・コーラスになりました。

 工藤静香さんの"Blue Velvet"は、なっちがオーディションに受ける時から、ずっと歌いたかったという曲。それをこれまで封印してきたわけですが、今回初めて歌うことに。その念願がかなった喜びを、リハで彼女は爆発させました。
 とにかく、1回やってすぐに「カッコイイ!」を連発して、「もう今日はこれで終わりにしてもいいです。」って言うぐらいの興奮ぶりでした。確かに、なっちに合うんだね、こういう曲が。
 作ったのが、はたけさんだから、何となく関連性はあるような、ないような、ま、いいか。

 で、ハードなこの曲は、ある意味、後半への火付けにもなってました。

 m8.best friend〜9.くちびるで止めて〜10.月色の光〜11.ザ・ストレス

 "best friend"は、ファンの皆さん待望の新曲、それも今回のライブで披露するための書き下ろしっていうのが凄い。しかし、私のところにデモが送られてきたのはリハの3日前ぐらいで、歌詞もタイトルもまだ未定状態。メロディと構成が決まったところで、ライブに向けてのアレンジは私の方でやり、メンバーに譜面を送ったのはリハの前日だったかな。
 つまり、ギリギリまでどのような曲になるかは分からずだったけど、それだけ、なっちとスタッフとで真剣に曲を煮詰めていったとの事です。

 その分、リハで実際に演奏し始めると、とてもスムースにバックは仕上がっていき、なっち自身が歌詞とメロディを体に覚え込ませるために、一番回数多く練習したことで、我々の方も十分馴染んだ状態で本番に臨めたのでした。
 だから、初披露にもかかわらず、かなり熟れた内容で、みんなが自信を持って演奏できていたのが、すごく良かったですし、予想以上に好意的な反応が多く、公演が進むにつれて、どんどん熱気を帯びて迎えられた感じがしました。
 全体的にはストレートなロック・チューンですが、女性ポップらしい柔らかさやしなやかさがあって、なかなかの佳曲になりました。それに、単純にノルよね。

 そして、そのまま続けた"くちびる..."は、定番のライブ曲だから、ファンのみんなも一緒になって盛り上がれるところ。実は最初はこちらでメンバー紹介のはずだったので、サイズを長くして各メンバーのソロを入れたのですが、バンド全体のうねり具合が気持ちよかったのと、ショウの後半での盛り上がりもあって、そのままの形になりました。これも、ライブハウスならではかもしれません。

 大いに会場が熱くなり、こちらもかなり燃え上がったところで、"月色の光"。この展開は、私としても意外だったし、なっちもスタッフもちょっと心配していた部分。前にも、このようなセット・メニューが提案された時があり、リハが進むうちにあまりしっくり来なくて、結局"月色"が外されたことがありました。だけど、もったいないぐらい良い曲なので、誰もがうまく生かしたいという気持ちがあり、再チャレンジしたのでした。

 この曲への不安は、リハ初日の段階ではやはりあったのですが、今回のバンドによるサウンドが、私にはとてもよく感じられたので、このまま曲を変更せずにやり切ることを提案しました。プロデューサーもそのつもりだったようですし、なっちも変えないことを決心しました。
 結果は全くもってオーケーだったと思います。"月色"はどちらかというと、昭和初期・1930年代の上海歌謡のような雰囲気があって、不思議な魅力があるのです。それを自然とみんなが意識して、曲の良さをうまく引き出してくれたと思います。

 さて、普通ならこれで終わりか、と思いきや、突然の"ザ・ストレス"。打ち合わせの段階では、オマケ的な要素もありつつ、ノリノリでエンディングを迎える感じでしたが、自宅で考えているうちにいろいろやりたくなって、どんどん盛り上がってしまい、かなり濃い内容になりました。
 正直、曲としてはシンプルだし、ノリもラテン・ディスコ調ジャズ・ファンク風味って具合だから、放っておいてもそれなりに盛り上がると予想がつくわけです。

 でも、過去に何度かやっているし、今回はもうちょっと別の色を出したくなりました。そこで、スタジオ版ではかなりメイン扱いのサックスによるセクションをやめ、そのすべてのフレーズをピアノとヴァイオリンでやることにしました。
 これは、タンゴ風のアンサンブルを目指しました。細かくキメキメのフレーズをすばやく弾かなくてはいけないので、なかなか大変でしたが、アメマのヴァイオリンが実に正確で、しっかりと支えてくれましたし、私とのコンビネーションもバッチリでした。

 打ち込みのパーカッションもエスニック風味をより強調したのと、バネの効いたブレイク・ビーツも加えたので、かなりグルーヴィになったと思います。期待に応えてリズム隊の二人も、グイグイと引っ張ってくれましたし、カズくんのギター・カッティングが、なかなかオシャレでかっこ良くはまりました。
 全体的にはいい意味での「団子・カオス状態」となり、ひと固まりになって一気に突き進むような感じになったと思います。

 そして、なっちがステージを去った後からエンディングにかけては、完全にバンドによるインストとなり、私がソロを受け持ったわけですが、これが毎回興奮しすぎてのハチャメチャさぶりでしたが、かなり沸点の高い演奏になっていました。そして、最後はドラマティックに終わりたかったので、少し過激な音使いをしてアクセントをつけました。今思うと「007」っぽい感じもありましたね。
 とにかく、なっちも大いに喜んでくれた新「ストレス」は大成功でした。それは、各会場各ステージともに、客席から熱狂的な拍手をいただいたからです。これがあるから、音楽はやめられないわけです、ハイ。

(3)ヘ続く。
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by harukko45 | 2013-04-01 00:56 | 音楽の仕事

 今月、東名阪3カ所で8公演を行った、安倍なつみさんのライブについて、セットメニューにそって振り返っていきます。

 まずは、今回のライブでは、ギターが久保田邦夫さんから黒沢和貴(カズ)さんに代わり、新たにヴァイオリンの雨宮麻未子(アメマ)さんを加えた5人編成になりました。経験豊富で頼りになる久保田くんが参加できなかったのは、とても残念でしたが、その分、若いエネルギーにあふれたカズとアメマの登場は、バンド全体に新鮮さをもたらしてくれ、素晴らしい音楽的成果を上げることになりました。
 これは、私にとっては思いがけない喜びであり、今回のメンバー・チョイスが大成功であったと言う事でもあります。
 また、私以外がなっちを含め、ほぼ同世代のミュージシャンがそろい、女性が4人になったことも大きいかも。それにより、私は一人オヤジ状況となりましたが、まぁそれも良し。若くイキのいいミュージシャン達の演奏や日々の振る舞い方に接するのも、すごく刺激的でありました。

 Opening Theme〜m1.ふるさと〜2.夕暮れ作戦会議

 今回の会場が「コットンクラブ」「フラミンゴ・ジ・アルーシャ」「ブルーノート名古屋」と言う事で、そのイメージが全体に影響した構成になったようです。特に「コットンクラブ」と「ブルーノート名古屋」はステージに上がるのに、客席を通っていくので、バンドが先に演奏を始めて、なっちを呼び込むようなオープニング・テーマを作ることになりました。
 それと、ある程度「ジャズ」っぽいムードも取り入れて、とのこと。ギターのカズは、フュージョン系のテクニカルなギタリストでもあるので、ピタっとハマります。それと、アメマもポップス的なノリをちゃんと理解しているヴァイオリニストで、フレージングの一つ一つをグルーヴィに弾いてくれるので、本当にありがたかった。
 割とシンプルなブルーズっぽいインスト曲になりましたが、あまり「ジャズ」系に行き過ぎず、なっちのポップさとうまくリンクするように心がけました。なかなか良かったと思ってます。

 で、なっちがステージに上がって、おなじみの"ふるさと"へ。
 
 私やアサミンは、何度もやっている曲だけど、正直、今回の"ふるさと"はこれまでで一番の仕上がりと個人的にはかなり悦に入っています。ここでは、ヴァイオリンとシンセ、ギターとピアノ、ベースとヴァイオリン、といったそれぞれの関係性をうまく生かしながら、スタジオ版のおいしい部分をライブで十分に再現出来たと思いますし、ライブらしいダイナミクスに富んだパフォーマンスになりました。歌ものっけからビシっと来てたし。
 私は、なっちが"ふるさと"を歌うと、特別な感情がいつも沸き上がりますね。それから、コットンクラブの2日目には彼女のお母様がいらしていたので、さらに思いが詰まったものになりました。

 続けての"夕暮れ..."は一転してのロックですが、ジャズ〜バラード〜ロックと音楽のスタイルの違いを明確につけることも、今回のテーマでもありました。ライブハウスでは何より「音楽」「演奏」「歌」が中心になるのは当たり前なので、当然、それだけで楽しませるための頑張りや工夫は必要なのでした。
 ここでは、ハードなディストーション・ギターとヴァイオリンのからみが、70年代っぽくって面白かったし、私のキーボードもかなり歪んでいて、あの時代的。とは言え、実はこの曲はAメロの静かな部分が一番カッコいいところで、ほぼベースのグルーヴだけで歌が乗っかるのが良いのです。

 m3.ヴァンサンク〜4.I'm In Love〜5.息を重ねましょう

 続くコーナーは、今回の中でもバンド的には一番難しい部分。"ヴァンサンク"には「27」バージョン」もあって、そっちの方がやりやすい部分もあるのですが、自分が聴き手として、どっちが好きかと言えば、圧倒的に「25」。それに、ちょっと室内楽的・サロン的なムードのある「25」が会場の雰囲気にも合うと思いました。ただし、イントロはカットしてボーカルから入るのは「27」の形。
 スタジオ版のフルートやストリングスがやっている部分をピアノとヴァイオリンに移し、ガット・ギターでさりげなく色づけをしてもらいました。曲自体はシンプルながら、コード使いがジャズ的で複雑なので、なかなかやっかいな所も多いのですが、大阪あたりから全員の固さが取れて、すごく良くなりました。

 "I'm In Love"は当初、"ヴァンサンク"からの流れでアコースティックっぽいニュアンス、あるいはフォーク的なアプローチにしようかと考えたのですが、リハーサルでやっているうちに変化してきて、スタジオ版のAOR的なノリも取り入れつつ、ギターもエレキにすることになりました。
 なので、最初のアイデアとは違うものの、元々、私にはこの曲が70年代の名ポップ・ロック・バンドであった「Three Dog Night」の大ヒット"An Old Fashioned Love Song"を思い起こさせるものだったので、結果として、そっち方面のサウンドでまとまったのは、ちょっとうれしかったです。

 歌とともに主要なパートは、ほとんどヴァイオリンに任せましたが、アメマは実に素敵な表情を出してくれて、よく歌ってくれました。なっちのボーカルを引き立たせたり、からんだりする差し引きも的確で、本当に素晴らしかった。

 続けた"イキカサ"はファンにはすっかりおなじみの定番曲。だから、いろいろなアレンジでやることも多い曲の一つ。それだけ、曲としてよく出来ているから、どうアレンジを変えても成立するということです。
 とは言え、「今回はジャズ風に」との注文があり、実はちょっと不安でもありました。そもそもメロディのノリ方が違ってくるからです。なのでこれは、なっちが登場して合わせるまで、どうなるかはわかりませんでした。しかし、勘のいい彼女はすぐにノリを理解してくれました。ミュージシャン的には「ハネる」って言っている感じです。

 この曲のサビはどう転んでも、パーっと広がっていく作りになっているので、そこまでの部分で、ジャズ的なオシャレ感とか、大人っぽさが作れれば御の字でした。
 ここでは、私、ナカムラ、アサミンの3人がうまく「それっぽさ」を出さないといけないのでした。アサミンはブラシとスティックを持ち替えたりして、器用さも見せてくれましたし、ショーコちゃんは元々いいグルーヴを持っているのと、どんどんトライしてくる姿勢が楽しいのです。

 それで正直、リハよりも本番の方がうまくいったと思いました。常日頃、ジャズって「ムード」が大事なんだと考えていましたが、やはり、実際にそういう空間でそういう気持ちでやると、ちゃんと「ムード」が生まれるのでした。リハでは、うまくまとまっていても、あと一つ足りないものは、その「ムード」だったわけです。

 途中で、メンバー紹介も含めたソロ回しもあり、ファンの皆さんの手拍子なんかも効果的で、すごく楽しい仕上がりになりました。
 で、個人的なイメージでは、このジャズ・バージョンは夢の中の世界の出来事で、楽しい夢が終わって目覚めたら、オルゴールみたいにエンディングのメロディが聞こえる、って感じにしたかったのでした。まぁまぁ、そういう雰囲気(twinkle,twinkle...)には近かったかな、とは思っています。

(2)へ続く。
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by harukko45 | 2013-03-31 17:37 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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