カテゴリ:音楽の仕事( 652 )

 19日に恵比寿のアクトスクエアにて、安倍なつみさんのライブ「Special Time ~あなたとHoly Night」が行われ、バックをつとめてきました。7日にジョン・レノン・スーパーライヴが終了直後から、この日のためにずっと準備をしてきましたが、途中、時間に迫られて強くプレッシャーを感じてしまい、ずいぶんナーバスになってしまったこともありました。しかし、本番前には、今回の出来にかなり自信を持っている自分がいました。それは、最後のリハ日での通しの録音がとても良かったからでした。「これなら、イケル。大丈夫!」ってところでしょうか。

 そして本番は、私の予想通り、なっち本人が素晴らしいパフォーマンスを1回目から見せてくれ、頼りになるミュージシャン達、ツルノリヒロさん(Vln)、Ayakoさん(Vcl)、久保田邦夫さん(Gt)の演奏も良く、ステージ上が美しい一体感で満たされた感じでした。
 個人的には、これまで関わったハロプロ関連のライブでのベスト1、ひょっとしたら、今年のすべての仕事の中で、もっとも濃く、その音楽にもっとも共感できた内容であり、その仕上がりにもっとも満足できたものかと思っています。
 もちろん、このあとも仕事は続くので、これを上回る感動を体験できるかもしれないけど、少なくとも今の時点では、そのように強く思っています。

 それに、会場にはいつも熱いファンのみんなが集まってくれ、ステージと客席との近さもあって、馴染みの顔、久々の顔をあちこちに見ることが出来たのも、すごくうれしかったです。何とも言えぬ安心感みたいものを感じてました。

 セットリスト: m1.X'mas メドレー/a.Happy X'mas (Inst)〜b.サンタが街にやってくる (Santa Claus Is Coming To Town)〜c.ジングルベル (Jingle Bells)〜d.もろびとこぞりて (Joy To The World/Inst)〜e.White Christmas 2.best friend 3.22歳の私〜4.晴れ雨のちスキ 5.Yesterday Once More 6.Whitby Bay (ミュージカル"ドラキュラ"より) 7.On My Own (ミュージカル"レ・ミゼラブル"より) 8.チキンライス〜9.雨上がりの虹のように〜10.くちびるで止めて En1.Daydream Believer 2.愛しき人〜3.きよしこの夜 (Silent Night)

 今回は、なっちと本田プロデューサーとの企画・構成・演出が素晴らしかった。それを、出来る限り良いものとして音にするための努力は惜しみませんでした。なので、本番まではとても苦しい時間であったけど、本番を無事終えることができた時の喜びは、何倍にもうれしいのでした。

 あらためて、ファンの皆さんにはお礼を申し上げます。いつもいつも応援してくれてありがとうございました。そして、バンドのメンバー、スタッフの力強いサポートなくしては、何もできないことを今回はつくづく感じました。
 そして、安倍なつみさんのここ数年の大きな成長ぶりが、このライブの成功の最大の要因だったことは間違いありません。常にチャレンジすることを忘れずに、自分を追い込んでいくのが彼女の真骨頂であり、実はコツコツと準備と努力を重ねていく姿勢が、本当に素晴らしいのです。だから、本番がもっともいい出来になるのでした。こういう現場に立ち会えたことに、大きな感謝と敬意を彼女に贈りたいと思います。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-21 00:34 | 音楽の仕事

詳細(5)からの続き。

 浅井健一/Help!~Come Together

e0093608_12233390.jpg 浅井健一さんは2009、2010年に続き、今回で3回目の登場。我々トリビュート・バンドともリラックスしたコミュニケーションが取れていて、彼が何をやりたいかどうかもすぐに理解できるようになったと思う。
 でも、ちょっと考えすぎて、"Help!"はひょっとしたら、こんなビートになるんじゃない?とか、エンディングは何か変えるんじゃないか、なんて勝手に予想してたら、何と大間違い。「これはオリジナル通りにやりたい!」おーっと、そうでしたか、でも望むところです。
 この"Help!"って、ホントによく出来てるんだよね。だから、どこもいじくりたくないっていうのが私の本音。もし変えるなら、前に吉井和哉さんがやったみたいに、バラードにしてしまうぐらいじゃなければ意味がないだろう。

 ジョンの書いた歌詞は、文字通り「助けてくれ!」なんだけど、楽曲としての完成度があまりにも高いので、歌詞の悲痛さ必死さよりも、すべてが完璧に作り込まれた作品としての印象の方が強い。だから、「ヘルプ!」って叫びがものすごくポップでカッコイイって思うのだった。
 この曲の素晴らしさについては、2011年にBONNIE PINKさんとやった時に、詳細で書きまくっているので、ここでは繰り返さない。
 BONNIEさんとのコラボで、ほぼオリジナルの再現を達成したが、キーは女性ヴォーカル用に上げていたので、今回の浅井さんとで正真正銘のオリジナル通りの再現となった。ということで、浅井さんに感謝です。
 
e0093608_12234622.jpg 一方、2曲目に選ばれた"Come Together"は、2010年にやったバージョンを、私はかなり気に入っていた。これは、「Abbey Road」のクールなサウンドをより突き詰めて、なおかつハードコア的な過激さを随所にプラスしたナイス・アレンジであり、「浅井"Come Together"」として、完全に成立していた。(その時の詳細

 我々は一応、その時の本番テイクをバンドで思い出しながら準備していたが、浅井さんは新たなアイデアを持って、リハにのぞんできた。それはエンディングで、全く新しいコードチェンジを使いながら「Come Together」のリフレインをするもので、そのダークで内面的なヴォーカルが、じょじょに過激なシャウトに変化していくのだった。
 それでいて、ラストをギターが引き継いでからは、それほど引っ張らずに、あっさり「OK!」の一言でジ・エンド。その、あっけない感じがまたしびれたな。

 うーむ、今回も面白かった。彼に予定調和はあり得ない。「浅井"Come Together"」は、今後も変化して進化していく可能性がある。

詳細(7)へ続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-20 12:20 | 音楽の仕事

詳細(4)からの続き。

 元ちとせ/Tomorrow Never Knows~She Said She Said
 
 2002年にメジャーデビューした元ちとせさんは、その大ヒット曲"ワダツミの木"で、日本のポップ・ミュージック界に大きな衝撃を与えた人。今回初めて共演できて、大変光栄に思った。

 リハーサルの段階でも素晴らしい歌声を聴かせてくれたが、本番ではその何倍もの広がりと深さを持った歌に、すっかり感動してしまった。とかく、彼女の独特な歌い回しや「こぶし」は、安易にワールドミュージック的な扱いにされてしまいがちだが、今回のようにジョン・レノンという枠の中に入ると、彼女本来のスケールの大きさがより際立って見えてくるようだったし、ある意味、ジョンの曲が持つ、国籍や民族を越えた普遍性をも強く感じさせてくれたように思う。
 
e0093608_346261.jpg とは言え、今回選ばれた曲は、実は一筋縄ではいかない2曲で、共に66年リリースされた「Revolver」に収録されたサイケデリック・ナンバーであった。

 "Tomorrow Never Knows"は、リボルバー・セッションの最初に録音された曲で、まさにアルバム全体を象徴する楽曲であったに違いない。全部で16種類あるというテープ・ループが使われ、現代音楽の手法を取り入れたとか、現在のサンプリング&ループの先駆けであるとか、その実験性に注目が集まるものの、まずは何より、そのようなサウンドを呼び起こすような曲を書いたジョンの飛躍に驚くべきだろう。
 で、ジョンのイメージした「ラマ僧のお経の大合唱のようなサウンド」は若きエンジニア、ジョン・エメリックの奮闘もあり実現した。
 
 方や、もう1曲の"She Said She Said"は、リボルバー・セッションで最後に録音された曲で、ドラッグ・ソングの代表格だ。歌詞の冒頭「She said I know what it's like to be dead.(彼女は言った、私は死とはどんなものか知っている、と) 」は、ピーター・フォンダ宅にてLSDでトリップ中に気を失って倒れ、気がついた時に、ピーターから言われた事だとのこと。それに対するジョンの解答は「(彼女は僕を)この世に生まれてきてないような気分にさせる」、つまり「そんなことは知りたくない」である。本来は「He said」だったものを女性に置き換えて、露骨なドラッグ体験をぼやかしたのだろう。

 さて今回、「悟り」のような"Tomorrow..."と「死」について言及した"She Said"をメドレーにするという大胆なアイデアで、元さんは歌う事になった。
 これを具体化したのは、彼女のサウンド・プロデューサーである間宮工さんで、彼がアレンジして作ってくれたデモをベースにリハーサルを行った。間宮さんにもアコースティック・ギターで参加してもらったので、スムースにリハは進み、その仕上がりも良かった。

 シンセ・パッドにアコギのアルペジオ、エレキ・ギターによる鳥の声で始まる"Tomorrow"は、トリップして幻覚を見ているような感じであり、オリジナルの1コード的なニュアンスではなく、流れのあるコードチェンジも効果的だったし、元さんの音世界になっていた。
 そして、突然のディストーション・ギターによる"She Said"のリフは、臨死体験からの復帰のようだ。ここからは、リズム隊も加わって気持ちよくロックさせてもらった。
 エンディングに向かっては"She Said"のバッキングに、"Tomorrow"のメロをかぶせて、2曲は合体したのである。

 常に過激な実験性ばかりがやけに強調されている「Revolver」は、正直、60年代と違って、その衝撃度は現代においてかなり薄らいでおり、もはやそういうことよりも、一つ一つの曲が作品としてどうなのか、って捉えるようになったと思う。
 そういう意味でも、今回の元さんと間宮さんとのセッションは、オーガニック時代のビートルズ解釈だったと言えるかもしれない。


詳細(6)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-18 23:43 | 音楽の仕事

詳細(3)からの続き。

 山村隆太/In My Life~Ticket To Ride

 山村隆太さんはflumpoolのメンバーで、2012年のスーパーライヴにはバンドとして参加してくれた。今回はソロ・ヴォーカリストとして迎えて、バックをトリビュート・バンドでつとめる事になった。
 彼とは、リハーサル前にミーティングを持つ機会があり、そこでアレンジについてと、曲への思いを聞くことができた。そのおかげもあって、事前にいろいろ準備出来たことは大きかったし、コンサート前半部分のピークになることを目指した。

e0093608_05423.jpg その1曲目は"In My Life"。65年の名盤「Rubber Soul」の11曲目に収録された曲。そして、ビートルズのミディアム・バラードの中でも屈指の名曲である。この曲の良さについては、今さら語る必要もないほど、言い尽くされていると思う。皆さんよーくご存知。
 そこで、私からお知らせしたいのは、今回初めて"In My Life"をオリジナル・キー(A)で演奏したということである。
 それは、女性アーティストがこの曲を何度か選んでいて、当然キーを上げたし、ゆずのお二人の時も、彼らは声が高いために半音上げたのだった。
 で、何が言いたいのかというと、この曲の間奏をオリジナル以外のキーで演奏するのは、なかなか厄介だったということなのだ。

 「ジョージ・マーティンによるバロック風のピアノは、テープの回転を半分に落として録音され、回転を戻したらチェンバロのようなサウンドになった」というエピソードは、とても有名で興味深い話だが、演奏する立場からすると、実にはた迷惑な話でもある。後世の鍵盤弾きは皆、マーティン氏の倍のスピードで弾きこなさなければならないのだから。
 その上で、いろんなキーでやらなければならないのは、正直、あまり楽しめない。そこで、これまでは右手のパートと左手のパートを二人のキーボードで分担して、お互いの負担を軽くしていた。

 だが今回、ようやくオリジナル通りにやるので、もう一人のキーボーディスト斉藤有太くんと私は、正攻法でのぞむことにした。有太くんがピアノの音、私はチェンバロとストリングスの音で豪華にユニゾンしたのだった。効果としては、なかなか面白かったが、やはり、それなりにプレッシャーはかかるので、二人とも「今日の"In My Life"」って感じで、毎日練習したのでありました。まぁ、本番では何とか無事に行ったのではないかな。これもまた、人生かな。

 それから、この曲でのハーモニー・パートもとてもいい。だから、押葉くんと私でポール&ジョージを頑張った。個人的には間奏で「ラーソ#ファ#ミレド#シラ」と弾き倒した直後に「know I'll never lose affection」とハモるのが至福の喜びであり、何度やっても感動してしまうのだった。

e0093608_0372430.jpg 2曲目は"Ticket To Ride"、これまた解説不要の名曲。で、隆太くんは「ベースを8ビートで押して行く感じにして、80年代風に」ということだった。私は「Echo & The Bunnymenのような感じ?」と聞くと、「もっとハードロック的なアプローチにしたい」とのこと。そこで、スタジアム・ロック風のイメージでトライすることにした。これは、楽しかったですなぁ。
 とにかく、我がバンドには古田たかし、長田進と二人も「佐野元春 with THE HEARTLAND」の在籍メンバーがおり、かく言う私は「中村あゆみ&The Midnight Kids」にいたわけで、その手のスタジアム系&スプリングスティーン系には強いのだ。

 イントロのリンゴ(アイデアはポール)のドラム・パターンをよりハードに叩いてもらい、オーバーハイム風のシンセをブワーっと鳴らし、ギターのジャカジャーン、ピアノとグロッケンのオクターブ・ユニゾン、これで気分はすっかり野外フェスだった。コーラス・ワークもビートルズよりもヴァニラ・ファッジ風に派手にしたし、間奏は当然ギターで押しまくった。
 この仕上がりには隆太くんもずいぶん喜んでくれ、大いに盛り上がってくれた。前半戦のピークを作ろう、という我々の思いは叶った。

 よく考えると、この曲をハードにやるのは間違ってなかった。ジョンは「ヘヴィ・メタル・レコードとしては、最も早いもののひとつだ」と語っているのだから。

詳細(5)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-17 22:50 | 音楽の仕事

詳細(2)からの続き。

 miwa/Across The Universe~Imagine

 miwaさんは、2010年にメジャーデビューした期待のシンガ−ソングライター。もうすでにヒット作をいくつも出していて、レコーディングやライブで大活躍だ。
 今回ご一緒するにあたり、私はオールナイトニッポンでの弾き語りによる"Across The Universe"を聴くことができた。そこでの彼女のピュアな歌声とシンプルなアコースティック・ギターの響きとのマッチングがとても良く、是非ともフォーク的なアプローチでmiwaさんのコーナーをまとめてみたいと思った。
 ただ、その前に一応参考資料として、フィオナ・アップルのバージョンも聴いてもらっていて、miwaさんからは、この方向性で行きたいとの返事をもらっていた。そこで、キーは弾き語りバージョンに合わせ、バンドのアプローチはフィオナ的なニュアンスを随所に取り入れていくことにした。



 フィオナ・バージョンは彼女のハスキーな低い声と気怠いムードのサウンドメイクが、全体に何とも言えない「危うさ」を生んでいて、とても好きだ。正直、爽やかな「Across...」ってピンとこない。
 その一方で、フォークソング的な素朴さも、とても大事な要素だと思う。ジョン自身の最高の「Across」が弾き語りに近いバージョンであることが、それを示しているし、詞が持つ哲学的・宇宙的イメージは、厚めのサウンドを拒否している気がする。



 ということで、両者のおいしいところをうまくバランスを取ってまとめることを目指した。フィオナのキーはEだが、Gに上げたことで、全体にスコーンと抜けるようになり、miwaさんの声の透明さを生かして、内向的な世界からフンワリ&ホッコリと外へ広がっていく感じになった。
 また、割とヘビーな感じのリズムやサイケっぽいキーボードでカラーリングすることで、ちょっとしたトリップ感が出たように思う。
 それにしても、ビートルズとしての決定版がないことで、逆に神秘性と深みをずっと持ち続ける曲になった"Across The Universe"は、今後もいろいろな取り上げ方をされるのだろうな。

 さて2曲目は"Imagine"。この曲はアンコールで出演者全員で歌う定番曲なので、個々のコーナーでやるのは珍しい。それでも、取り上げて成功していたのは、今は亡き忌野清志郎さんぐらいだったように思う。
 だが、あえて挑戦したいとの希望での選曲となった。ここでも「フォーク的な」アプローチを探るうちに、ザ・バンドの「The Last Waltz」コンサートのようなイメージでトライしたらどうかと思った。今だったら、ゲストにテイラー・スウィフトって感じかな。あまり、アレンジにこだわることなく、一夜限りのセッションで"Imagine"を楽しむのも悪くないじゃないか。

 ということで、さりげなくアコースティック・ギターが始め、オルガンがからみ、そこにmiwaさんの声が入ると、一気に暖かいムードが出来てすごく新鮮だった。途中に土屋さんの渋めのギター・ソロをはさみ、それを受けてのmiwaさんのヴァーカルの自然な盛り上がりも実に良くて、個人的にも印象に残るパフォーマンスになった。

詳細(4)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-16 22:17 | 音楽の仕事

(1)からの続き

 MONKEY MAJIK/I Feel Fine~I Want To Hold Your Hand

 MONKEY MAJIKは4人編成でカナダと日本とのハイブリット・バンドなのだが、今回はそのフロントをつとめるカナダ人のプラント兄弟、メイナードとブレイズにヴォーカルをお願いした。
 彼らが選んだ2曲は共に、ビートルズ初期を代表する名曲で大ヒット作。この手の曲をやるのは楽しくてたまらない。個人的には、このイベントでの最大の喜びであると思っている。

 "I Feel Fine"は64年リリースの8枚目のシングル、アルバムでは「パスト・マスターズVol.1」に収録されている。この曲では、まずイントロのフィードバックが甚く有名。ジョン曰く「レコーディングでフィードバックを使ったのは僕らが最初だ!」



 確かにこのあまりにも印象的なフィードバックなしでは、この曲は始められない。ジョンはライブでも時折やっているが、ウィル・リー率いるビートルズ完コピ・カヴァー・バンド「The Fab Faux」がこのイントロをとてもシリアスにやっているのが、実に面白い。
 YouTubeの映像では一度失敗して、もう一度やり直す前にお客に静粛を求めているのが笑える。



 で、このフィードバックに続く、ギターのリフも何ともカッコイイのだが、これは元ネタがブルーズ・ギタリスト、ボビー・パーカーの"Watch Your Step"である事を、ジョン自身が語っている。これを聴くと、ドラムスのラテン・ジャズっぽいパターンまで一緒だから、かなり意識していたことに驚く。
 ちなみに、レッド・ツェッペリンの"Mobby Dick"も、「っぽい」な。



 そんなリフに乗りながらジョンが歌うAメロは、それほどブルージィなムードを強調しないのがクールだと思う。で、シメにあたる「I'm in love with her and I feel fine」を3声コーラスでビシっとキメるビートルズのアレンジ力の高さにシビレる。「I'm so glad」からのBメロでは、もうボビー・パーカーの影も形もない。完全なビートルズ・パワーポップの世界にどっぷりと浸かって気持ちのよいことこの上ない。ここでは、3人のヴォーカル陣の絡みだけでなく、リンゴのドラミングにも耳を奪われる。そして、ギターソロから歌に戻るまでに挟み込まれたブレイクが、これまたカッコイイ。リフとドラム・フィルの絡みがゴキゲン。

 そんな聴き所満載の"I Feel Fine"は、実際に演奏してみると、微妙にハネながら推進力を失わずにキープしていくのは、なかなか難しい。また、キーボードをいろいろ加えて厚みを出すのも、あまりいただけない。あくまで、隙間のあるシンプルなギター・サウンドとポップなコーラスが決め手なのだ。
 我々は自然にノレるように、何度か演奏しながら、身体にしみ込ませていった。その成果もあって、MONKEY MAJIKを迎えてのリハーサルは至極スムースに進み、二人は大いに楽しんで盛り上がっていた。この曲では弟のブレイズがリードを取ったが、英語の発音が完璧なのは当たり前として、パワフルなシャウトで、ジョンとは逆にブルージィさを強調する感じだったのが面白かった。

 そして2曲目は、これまたあまりにも有名な"I Want To Hold You Hand"。こちらは兄のメイナードがリードにまわったが、リハではブレイズが、ビートルズにはない上ハモを即興で付けたりしていた。メイナード君は「そのハモはオリジナルにはない!」ってクレームつけてたが、ブレイズ君は我関せず、いろいろパターンを変えて、なかなかのやんちゃぶりを見せていた。本番では、兄弟で折り合いをつけたか、オリジナルに近い形に戻っていた。

 ただ、武道館での彼らは少し緊張していたか、最初のうち、ちょっと硬くなっていたようで、リハでのエネルギッシュな感じが少し薄れていた。が、"I Want To Hold Your Hand"という曲の持つ「爆発力」もあってか、一気にテンションが上がって行ったのがすごく印象的だった。

 とにかく、ポップ・ミュージックに革命を起こした瞬間、それは64年のワシントンD.C.ライブでの"I Want To Hold Your Hand"。ポールのカウント「1,2,3」から「ドドダー」と演奏が始まった時の、会場の絶叫!まさに、あの瞬間!
 私がこの映像を見たのは、もちろんずっと後ではあるが、それでも強い衝撃を受けて、思わず身震いした経験を一生忘れない。
 だから、私にとってこの曲は「爆発」「革命」の象徴なのだ。やっぱり、この曲のインパクトは凄いと、あらためて感じた。



詳細(3)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-16 14:53 | 音楽の仕事

 2013年12月7日に行われたジョン・レノン・スーパーライヴを振り返ります。いつものようにステージ側からの自己中レポではあるが、どうぞお付き合いを。

 で、まず書いておかなきゃならないのは、スーパーライヴ第1回が2001年であり、今回2013年で13回目であったということ。「13」という数字は西洋を中心に最も不吉とされ、昔から忌み数と考えられてきた。その由来は定かではなく、いろいろな説があるものの、それを信じようと信じまいが「13」という数字に関わると「何かしら変なことが起きる」経験を、日本でも多くの人が持っているのではないだろうか。
 それは、自分の不調さへの言い訳のようにも思える部分もあるが、そういうものが他の人や一時に何回も起こると、「あー、やっぱり」と考えたくもなる。

 スーパーライヴ終演後のパーティにおいて、ヨーコさんがスピーチで、この「13」について話されていたのも印象的だった。ただ、ヨーコさんはあくまで前向きに「13回目を無事に越えることが出来た」ことへの喜びを語られていた。

 私が目撃した不吉だった出来事を思い出してみる。まずは、押葉真吾くんの愛用のベースがリハ初日に故障、リハーサル終盤には復活したものの、続いて土屋潔さんのギターがトラブル。音が出なくなってしまったが、スタッフの緊急処置により、本番には間に合った。
 だが、そのステージ最終盤で、斉藤有太くんのデジタル・ピアノが演奏中に突然暴走。急にボリュームがすごく大きくなった。MC中に対処した彼だったが、アンコールでの"Imagine"で再び起きる可能性もあり、実際に弾き始めるまで、もちろん全てが終わるまで、不安な気持ちで一杯だったに違いない。
 
 バンド内だけでも色々あったので、アーティストやスタッフの間でも問題はあったことは確か。とは言え、とにかく「無事に」コンサートが終わったことが何よりではないか。今回を含む13回のコンサートで、29か国124校を支援することが出来た事実は、参加してくれたアーティスト、ミュージシャン、スタッフだけでなく、武道館に来てくれた観客の皆さんを含む全員で「不吉」を乗り越えて、ちゃんとした実りに結びつけたことなのだと強く思うのだった。

 さて、前置きが長くなった。ステージを振り返って行こう。

 Roy with Naoki/Slow Down〜Bring It On Home To Me

e0093608_0452658.jpg The BawdiesのRoyくんとLove PsychedelicoのNaokiくんによるコラボは、昨年に続いてオープニングという大役。まずは会場をあっためるためにも、Royくんの熱いシャウトで一気に盛り上がりたい。
 1曲目はジョンのお気に入りロックンローラー、ラリー・ウィリアムスの"Slow Down"。58年にリリースされたラリー・ウィリアムスのオリジナル・テイクは、A面が"Dizzy Miss Lissy"で、どちらもゴキゲンな仕上がり。本人の弾くピアノやテナー・サックスもカッコイイ。それに比べて、ビートルズのテイクはかなり落ちる。正直、ジョンが歌ってなければ、あまり価値を見いだすことはないと思う。
 逆にあら探しをしようとすれば色々指摘できるだろうが、一番気になるのはジョージ・マーティンのピアノだろう。これは、4人によるOKテイクにオーバー・ダビングしたとのことだが、残念ながら何ともノリが悪い。それに「Past Masters Vol.1_Stereo Remaster」では、右チャンネルからピアノがくっきり聴こえてきて、左側のリズム・セクションとのギャップがますます大きく感じられる。
 ダビングなのだから、何回かやり直せば良かったし、ポールが弾けばもっと良かったのでは、なんて思うが、当時は時間に追われていて、さっさと仕上げなければならなかったのかもしれない。

 武道館では、我がバンドのピアニスト、斉藤有太くんが豪快なノリの刻みでグイグイで引っ張ってくれたし、Naokiくんのアレンジは、ビートルズというよりは、レッド・ツェッペリン風のリズムをイメージしたもので、ドラムはかなりボンゾっぽいニュアンスになっていた。

e0093608_046630.jpg Royくんの2曲目は、サム・クックの有名曲"Bring It On Home To Me"。これは、75年のジョンの傑作"Rock 'N' Roll"にも収録されている。ただしジョンの場合、シャッフルのリズムをオリジナルよりも強調しながら、リトル・リチャードの"Send Me Some Lovin'"につないでメドレーにするという、なかなか凝った演出をしていた。

e0093608_0501156.jpg 個人的には、アルバム"Rock 'N' Roll"は大・大・大好きなので、このバージョンでやる方向も考えていたが、Royくんにはサム・クックの方が完全に身体に入っていた。それも、63年のライブ盤"Live At The Harlem Square Club"でのバージョンである。もちろん、これはこれで文句のつけようのない名作なので、大いにリスペクトしつつカヴァーすることにした。
 曲終盤にある観客とのコール&レスポンスも再現することになり、ちょっとジョンとは離れたサウンドではあるものの、ジョン・レノンに大きな影響を与えたR&Bクラシックに今回はドップリと浸かってみるのも悪くないと思った。

 Royくんがこの手の曲をシャウトするのは、全くいつもの感じだが、デリコのNaokiくんが「Yeah!」のコール&レスポンスに参加して歌うというのは、なかなか見られない貴重なシーンだったのではないかな。

詳細(2)に続く。
[PR]
by harukko45 | 2013-12-15 14:23 | 音楽の仕事

 昨夜、日本武道館にて「Dream Power ジョン・レノン・スーパーライヴ2013」が行われ、何とか無事終了しました。
 お越し下さった皆さん、武道館を一杯にしてくれた皆さんには、心より厚くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 個人的にはこれまでで一番バタバタした状況で、少々不安や心配を抱えながらの本番となりましたが、そこは信頼のおける素晴らしいバンド・メンバーとスタッフの助けをたくさん借りて、乗り切れたのだと思っています。
 ちょっとだけ、ほっとしたものの、今月はまだ仕事が残っていますので、頭をすぐに切り替えていかなくては。
 スーパーライヴの詳細については、また後日、何とか年内に書いておきたいとは思っております。



 
[PR]
by harukko45 | 2013-12-08 12:19 | 音楽の仕事

11月のライブまとめ

 11月も後半、12月に控えるいろいろなイベントへのリハや準備がじょじょに立て込んできています。そんな中、今月参加したライブは、どれも印象に残る充実した内容であったことが、とてもうれしく感じられます。

 まずは、6日に行った横浜フライデイにての王様とのライブ。おなじみの常連さんだけでなく、新たなお客さん達が多く観に来てくれたこの日は、何だかすごく盛り上がりました。実は、王様は先月の超過密スケジュールでの全国ツアーを終えたばかりで、さすがにお疲れのご様子は隠せませんでした。が、それなのに、やはり久々のソロでのライブでの開放感からか、すごく集中した演奏となりました。
 バックをつとめる我々家臣も、それにつられて大いに燃えてしまったのでした。
 終演後にはCDアルバムを全部お買い上げになる方まで現れ、まさに王様の凱旋をお祝いするような夜でありましたなぁ。

 そして16日は江古田マーキーにて、水越けいこさんのライブ。これは、22日の名古屋と年明けの大阪をも含むツアーの初日であり、なおかつ2ステージを違うセットメニューでの内容でした。けいこさんの場合、昼・夜のセットを大きく変えるというのは割と多いのですが、今回は特に夜の部にアルバム1枚全曲演奏のコーナーがあったりして、すごく中味の濃いものでありました。
 この後、名古屋・大阪があるので、くわしいことを書くのは控えますが、個人的にも好きなアルバム・好きな楽曲が並んだので、ものすごくやりがいがありました。
 また、昼の部も普段あまり取り上げてこなかった曲に、あえて挑戦したので、これまたすごく新鮮で刺激的な瞬間がたくさんあって、演奏していて実に楽しかった。

 それでいて、自分もけいこさんも、集中しながらもリラックスしてやれていたのが、すごく良かったと思います。少しだけ危なっかしい部分もありましたが、全体的にはいいパフォーマンスだったと思いました。22日の名古屋も頑張りますので、乞うご期待です。

 で、翌日17日は早朝、大阪に向かい、石川梨華さんのライブ"It's a RIKA time vol.5"がフラミンゴ・ジ・アルーシャで行われました。前回の原宿から2週間ほどあいてしまいましたが、再会したメンバー達とともにバックをつとめた梨華さんライブは、すごく良かった。
 正直、何だかわかんないんだけど、良いんだよね、っていう感じ。梨華さんって、それほどチカラが入っているわけでもなく、かといって、完全に脱力しきっているわけでもないんだけど、何か良いんだよね、なんです。
 それは、見ていた大阪のスタッフの方からもお褒めの言葉とともに感想として言われていたことでした。

 セット・リストをのせておきます。

 m1.Opening〜なんてったってアイドル 2.オンナ、哀しい、オトナ〜3.ね〜え? 4.Teddy Bear〜5.恋しさとせつなさと心強さと 6.ラブレター 7.Sexy Boy そよ風に寄り添って〜8.色っぽいじれったい 9.王子様と雪の夜 En.まごころの道

 ファンの方、アイドル通(?)の方ならよくお分かりかとは思いますが、「アイドルのアイドルによるアイドルのための」セットリストの一つと言えるのでは。基本的に、潔く筋が通っていると思いますね、この選曲は。なので、ショウ全体に心地よいまとまりを感じながら、ぶれずに演奏することが出来ました。
 また、バンドのメンバー、ドラムスの麻生祥一郎くん、ギターの徳武孝音くん、ベースのなかむらしょーこちゃんという組み合わせが面白くって、一人オヤジの私としては、かなり満足を得られるサウンドに仕上がっていたと自負しているのでした。

 ハロプロ系のライブではいつも感じてしまうことは、せっかく良い感じでまとまってきた時に、もう終わってしまうことで、ちょっと切なさが残るのです。でも、どんな状況でもきちっとした内容でちゃんとしたパフォーマンスを心がけることが何より大事。この日も強く感じたのでした。
 帰りにたくさんのファンの皆さんに見送ってもらったことも感激しました。本当に感謝感謝です。それと、楽しんでくれたみたいだったのがうれしかったです。
 この日は、全員日帰りで、新幹線の中で軽く乾杯してお疲れさまをしただけですが、それでも、気分よく帰宅できました。私は水越さんと梨華さんの2日間を無事終える事が出来、その内容にもある程度満足できたので、心は穏やかでしたな、あー良かった。
[PR]
by harukko45 | 2013-11-19 23:21 | 音楽の仕事

 もう日付け変わって、昨日になってしまいましたが、石川梨華さんのカジュアル・ディナーショウ〜It's a RIKA time vol.5が、原宿ラドンナで行われました。昼・夜2回公演ともに満席で、集まってくれたファンの皆さんに感謝感謝です。ニコニコしながらショウを楽しんでくれている表情を多く見ることができて、こちらもすごくうれしくなりました。
 まぁ、初日なので、危ない部分もありましたが、全体としてはかなり充実したステージに仕上がって、梨華さんとバンドのメンバーの頑張りがちゃんと成果として出たものと思います。

 この後、ちょっと日を置いて17日に大阪公演がありますので、そこまで、今回の良い感じをキープして、大阪もバッチリやり遂げたいと思います。大阪公演もどうぞお楽しみに。

 そして、もう11月。この後は、水越けいこさんの「Winter Live 2013」が名古屋・東京で行われます。どうやら、アルバム全曲特集らしい?どのアルバムになるのかは、まだ不明です。
 また、先月はお休みだったけど、今月は横浜フライデイにて王様が再び降臨します。6日です。


 
[PR]
by harukko45 | 2013-11-03 00:56 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31