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 一昨日書いた「ミトリダーテ」と前後してしまったが、これもNHK-BSで放送されたものの録画を観ての感想だ。というか、「ミトリダーテ」のところでも少し触れているが、演出があまりにも酷くて、およそモーツァルト生誕250年をお祝いするどころか、彼の音楽に泥を塗るような最悪の上演であった。

e0093608_4381146.jpg 一応、出演する歌手もかなり有名人が集まっており、指揮も若手有望株のダニエル・ハーディング、オケはウィーン・フィル、場所もメイン会場といえる祝祭劇場であるにもかかわらず、これほどまでに酷い出来だと、ザルツブルグ音楽祭の権威やら信頼感など消え失せてしまうのではないだろうか。
 だいたい、クラウス・グート演出の「フィガロの結婚」も二度と観たくないが、それでも一応最後までつきあった。が、マルティン・クシェイ演出の「ドン・ジョバンニ」は、1幕目半ばでウンザリし始め、2幕目はもう途中でやめた。後は早送りして「地獄落ち」のところをちらっと見て、すぐにすっ飛ばし、ブーイングの嵐をちょっと期待して、カーテンコールの部分を見たものの、それなりの拍手喝采で、「ふん、つまらん、時間の無駄だったわい」ってところですな。
 まぁ、この演出の初演は2002年だそうで、その再演をやったわけだから、これはこれで地元では評価されたということなんだろう。だが、これが本当にいいのか?おおよそ美的センスが良いとは思えない。下着姿で何度も登場するたくさんの女性達は、ちっともセクシーでなく、それが舞台全体に妖しいムードを作り出すのでなく、ただただみっともなく、カッコ悪く、見苦しく、笑いさえ出てこない。
 
 それにしても、エクサン・プロヴァンスで同じ「ドン・ジョバンニ」の大名演をやってのけたハーディングは、序曲でその期待感をいだかせたものの、その後は全く心に響かず、これが同じハーディングなのか?と疑いたくなるような指揮、というか存在感全くなしで、大変失望した。 
 だが、これほど酷い演出を真ん前で見届けなければならない指揮者の位置にいては、音楽への情熱も意欲も薄れてしまうだろう、と同情する。ハーディングもこんな仕事を引き受けてひどく後悔したのではないだろうか。

 音楽が無惨にも破壊され、演奏家も歌手も共感も共鳴もせず、指揮者が全く求心力を持ちえない現場というのは、はなはだ不幸だ。なので、歌手それぞれの出来もひどい。だがこれも、全くキャストのことを考えていないひどい衣装を着せられて、ただただカッコ悪い姿で舞台に立たされては、かなりの部分致し方ないことだったろう。何とか我慢して歌いきるのが精一杯でしょう。
 また、ウィーン・フィルはオケピットで舞台を見ないですむので、ここは「我関せず」を決め込んだと思われる。それほどまでに覇気を感じない。とりあえず「お仕事、お仕事」で終始。逆に、この舞台に不要な美音を聞かされても、こちらとしては白々しく感じるだけであるから、それで良かったかもしれない。

 とにかく、私にとっては史上最悪の「ドン・ジョバンニ」。グートの「フィガロ」も見る価値なしだったが、これは即刻ゴミ箱行き。
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by harukko45 | 2008-05-07 04:34 | 聴いて書く

e0093608_5383215.jpg これまでにNHK-BSで放送された、2006年のザルツブルグ音楽祭のオペラの中で一番素晴らしいものだった。これは、2002年のダニエル・ハーディング指揮によるエクサン・プロヴァンスにおける「ドン・ジョバンニ」とともに、モーツァルトが生きてこれを観たら、大喜びして飛び上がったに違いない。

 そもそも、このオペラはモーツァルト14歳(!!)の時の作品で、イタリア・オペラへのデビュー曲とのこと、で、非常に形式的で題材も神話や古代の物語である「オペラ・セリア」という様式(現代人には少々退屈?)でもあるので、これまではほとんど上演されてこなかったと思われる。
 だが、2006年は彼の生誕250年の記念イベントであったために、このような作品に再び光が当てられ、なおかつ素晴らしいパフォーマンスと演出により見事に蘇り、モーツァルトを聴く喜びと、新しい感動を与えてくれたのだった。

 はっきり言って、この年のザルツブルグ音楽祭での「フィガロ」も「ドン・ジョバンニ」も最悪の演出にペースを乱されて、演奏も歌唱もパっとしない出来だった中で、飛び抜けて完成度の高い仕上がりだと感じた。

 まずは、たぶんモーツァルト自身も絶対に想像もつかなかったであろうし、期待もしてなかったであろう、斬新で過激な演出をして、観るものを全く飽きさせなかったギュンター・クレーマー氏を賞賛したい。巨大な鏡をうまく使うなど工夫を凝らしながらも、全体としては音楽をきちっと尊重していて、過多でうるさい部分が一切なかった見事な演出で、先の「フィガロ」「ドン・ジョバンニ」とは雲泥の差であった。

 また、歌手が全員、「完璧」と言っていいほどの出来で、各アリアにはすっかり堪能させられた。それほど有名な人が集まったわけではなかったと思うが、全員が一致団結して素晴らしい歌唱を繰り広げていくうちに、観客もどんどん盛り上がって行くのがよく伝わってきた。

 また、ソプラノに加え、男性陣もテノールとカウンター・テナーという編成だったのが、非常に新鮮で、音楽全体が澄み切っていて、とても明るく響き渡るのが印象的だった。
 もちろん、これはモーツァルトの譜面の凄さ(14歳ですけどね!)ではあるが、この日の歌手達とともにオーケストラ、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル(ルーヴル宮音楽隊)の演奏が素晴らしかったからに他ならない。そして、全体を引っぱり見事にまとめあげた、指揮者のマルク・ミンコフスキ氏の力量の高さに驚かされた。
 彼が導き出した、インパクト十分で生々しいフォルテ、ビブラートの少ない純粋な響き、そして何と言ってもウキウキするようなノリの良さには何度も感動したし、いわゆる「ドラマ」としてのオペラを越えて、単純に「純音楽」として楽しめたことが、とてもうれしく、大きな満足感を得られたのだった。

 終演後の観客の熱狂ぶりもかなりのものだったが、私も大絶賛のブラボーを心から関係者全員に贈りたい。 

 1962年生まれのパリ人、ミンコフスキ氏はこの年に、同じモーツァルトの40、41番のCDも発売していた。遅ればせながら、これはチェックしなければ。今後も大いに期待したい指揮者であるのは間違いない。
 それにしても、昨年ウィーンでの「イドメネオ」の指揮で感動したベルトラン・ドゥ・ビリー氏、今年のニューイヤーコンサートが素晴らしかった83歳のプレートル氏、皆さんフランス人。
 このところポップスもクラシックもフランスに「くらっ」としている私でありました。
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by harukko45 | 2008-05-05 05:35 | 聴いて書く

 21世紀になって、私の好きなロック・バンドはホワイト・ストライプスだけだったのだが、その唯一絶対の位置を脅かしかねない存在が登場した。

e0093608_238219.jpg "The Raconteurs/Consolers Of The Lonely"、これ、まじに凄くないっすか?聴いた人いたら、ご賛同願えるかしら? 私にとっては、かなりのヤバさでヘビー・ローテーション化しているアルバムであります。

 で、ホワイト・ストライプスの強力なライバルとなったこのラカンターズのボーカリスト、ギタリスト、キーボーディスト、ソングライター、ミキサー、プロデューサーは、なんとあのジャック・ホワイトなのだった!!!

 ああ、結局、ジャックのライバルはジャックだったのか!

 昨年、ストライプスの"Icky Thump"がリリースされた時のブログでは、「いくらジャック・ホワイトが天才であっても、何から何まで素晴らしいわけじゃない。私はRaconteursにおけるジャックは、ただの余暇だと思っている。」と書いたが、今回のセカンド・アルバムを聞き、それが全くの間違いであり、全面的に訂正しなくてはならなくなった。ラカンターズのデビュー時に、ジャック自身はインタビューで、「このバンドは、ただのサイドワークじゃない!」と強く語っていたことを思うと、私はジャックに深く謝罪しなくてはいけません。

 ジャック君、ごめんなさい。君のことは本当に「天才」だと思っておりましたが、これほどまで凄いとは予想だにしませんでした。私の浅はかさを深く反省いたしますです。

 とは言え、やはりラカンターズのファーストは、それほどでもなかったよ。それが、セカンドで途方もなく高い世界に行ってしまうなんて、驚き以外の何もないよ。でも、もちろんうれしい驚きであることは間違いない。

 たぶん、今年のロック部門は早くもこのアルバムで私は終了です。ですから、2年連続でベスト・ロック・アルバムはジャック・ホワイトで決定です。
 正直、これを聴いていると、もう60年代末から70年代初期のロック黄金期のアルバムを聴く必要がないように感じます。ツェッペリンもストーンズも当分、確実にいらんですね、私の場合。
 こういうロックを現代でも創造できるんだ、スンバらしい!! ジャック愛は永遠。
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by harukko45 | 2008-04-19 02:41 | 聴いて書く

 一週間ほどブログを更新してなかったですが、実は3月31日からウィーンに行っておりました。で、いつものようにブラブラ・ダラダラと休暇を楽しんできたのですが、滞在したホテルのネット環境が悪く、昨年のように旅の日記をつけると言ったことは不可能でありました。
 まぁ、毎回ウィーンに行っても私のやっていることは同じなので、新たに書き加えることもないのですが、それでも、今回は久々にウィーン・フィルのコンサートをテアター・アン・デア・ウィーンで聞けたのはとっても幸せな出来事でありました。

e0093608_5195919.jpg それは4月5日で、ピアノと指揮がダニエル・バレンボイム、曲目はベートーヴェンのピアノ・コンチェルト3番と4番、というベートーヴェン好きには願ってもない内容であります。ちょっと皮肉っぽく見れば、「あまりにもベタな」コンサートかもしれないですね。なにせ最近はベートーヴェンの人気がかつてに比べてがた落ちですから。
 しかし、好きなものは好きだし、文句のつけようのない大作曲家の傑作古典をバレンボイムが弾き振りするのですから、これは何としても見逃せなかったのでした。

e0093608_5431073.jpg というわけで、出発の数週間前からオンライン・チケットを購入し、家にあるCD(バレンボイム25歳での’67年EMI盤、指揮は巨匠クレンペラー、 スタジオはアビーロード。それにしてもポップスもクラシックも古い録音ばっかしか持ってないのぉ!)での予習も抜かりなく、当日をワクワクしながら待っていたのでありました。
 それと、たぶん日取りを合わせたのだと、勝手に思っているのですが、この3番の初演が1803年の4月5日、アン・デア・ウィーンで作曲家自らのピアノで行われたわけで、205年前(半端だ?!)と同日同場所での演奏に、何かしら物語性を感じてしまう私なのでありました。(ちなみに、4番も1806年12月22日、アン・デア・ウィーンで初演された/ベートーヴェンは自作の作品の演奏会場として、ここを大変に評価していたとのこと)

 バレンボイムは、現存する指揮者を代表する人気と高い評価を得ている人物であるが、私は指揮者としての彼はあまり好きではない。12年前にウィーン・フィルの定期演奏会でブラームス4番を聞く機会があったが、その時はちっとも感動しなかったのだ。「あぁ、ウィーン・フィルをムジーク・フェラインで聞いたっけ」って感じ。ベルリンのリンデン・オーパーにおけるオペラもTVで見たが、あまり感心しなかった、というか、つまらなかった。

 だが、ピアニストとしての彼は、特にモーツァルトのピアノ・コンチェルトのCDでの演奏が大好きで、かなり愛聴しているし、最近NHKが頻繁に放送しているベートーヴェンのソナタ全集のライブ映像も素晴らしいと思った。

 私は彼の音が好きだ。西欧人としては比較的小さい体と手から紡ぎ出される音は、全く剛腕な感じがなく、極めて繊細で緻密だと感じる。それと、よく歌っていて表情が豊かに変化していく。強烈な個性とテクニックで弾き倒してしまうタイプでなく、とにかく音楽に感じ入って、深く理解し尽くすピアニストだと思う。その音楽の読みの深さが、たぶん凡人のそれとは雲泥の差なのだろうと感じる。それはTVで見た、若手にベートーヴェンのソナタを教授する番組を見るだけでもわかるのだった。

 さて当日、それまで雨まじりの天気ばかりだったのに、この日は気持ちのよい晴れとなり、ポカポカとした昼下がりのコンサートとなったのでした。
 盛大な拍手に迎えられて登場したマエストロ・バレンボイムは指揮棒を持ち、ピアノは弾かず、まず前段としてフランツ・リストによるカンタータ「ベートーヴェン百年祭に寄す」(Introduction to the Cantate "Zur Säkularfeier Beethovens" , Adagio from op. 97)が演奏されました。これは、初めて聴いた曲で、全体にウォーミング・アップ的な印象でしたが、ウィーン・フィルのいつもながらの美音が心地よく、土曜の夕方(3時半)にはピッタリのリラックスした雰囲気でありました。

 しかし、やはり本編のピアノ・コンチェルトになると一気に緊張感が高まりました。まずは、再び登場したマエストロが慎重にピアノの椅子の位置を調整していたのが印象的でした。
 そしてピアノの前に立ち、いかにも「田舎くさーい」主題のオーケストラ部分を指揮し始めると、馴染みのあるベートーヴェンの世界に一気に引き込まれたのでした。ただ、CDにおけるクレンペラーの大きな広がりのある感じよりも、ウィーンらしい少し小粒で優雅な響きとなっていましたが、Cmの堂々とした雰囲気はちゃんと残されていました。

 さぁ、いよいよピアノ・パート。おもむろに座って鍵盤に向かったマエストロでしたが、最初のユニゾンのかけ上がりでちょっとミス・タッチがあり、ドキっとしました。とは言えすぐに、そんなことはたいして問題にならないほど、オケとピアノとのバランスの良さに心を奪われ、感嘆してしまいました。
 アン・デア・ウィーンはどちらかと言えばドライな音質で、規模もそれほど大きくないので、今回のような演目にはピッタリと思ってはいましたが、それでもそのバランスの完璧さ、聞きやすさはさすがでありました。私の席は3階の少し右側後ろでしたが、そのサウンドに全く不満を感じる事はなく、その美音に終始酔いしれることが出来ました。

 マエストロは、その後もところどころ些細なミス・タッチがあったり、オケとの合いがいま一つの部分もありましたが、それ以上にやはりCDで聞く20代の演奏よりも深みのあるニュアンスが素晴らしく、音楽が止まるような部分が全くなかったのは凄いと思いました。
 また、3楽章のロンドの主題の弾き方が、CDよりも「こぶし」が効いていて実に良かった。短調なのに、ウキウキする楽しさを感じさせてくれて、思わずニヤリとしてしまいました。

 前半の3番だけでもかなり高揚した気分になりましたが、それ以上に休憩後の4番はほんと素晴らしかった。というか、曲がそもそも素晴らしいのでありますが、とにかく演奏家にとって、とても大事だと思うのは、「あーいい曲だ、なんて素晴らしい曲なんだ」と聴き手にシンプルに感じさせることだと思うわけで、その場合は演奏家のエゴイスティックな主張や個性は邪魔になるのです。しかし、この日のバレンボイムのピアノにはそれが皆無でした。だから、素晴らしいのです。曲にそれだけ深く入りこみ、音符の全ての意味を完全に理解して共感していなくては絶対に出来ないことだと思います。

e0093608_5202382.jpg それにしても、この4番、いい曲です。深いし、渋いです。だから、年齢を重ねるとその素晴らしさがよく理解できます。だから、どんどん好きになります。1楽章最初の主題をオーケストラの前にピアノのソロで弾くところだけで、もうメロメロです。その静けさや内面的な表情がやがて激しい転調を経て、豊かな広がりに発展して行くのです。こちらはついて行くだけでクラクラでしょう。
 2楽章の幻想的な響きはベートーヴェンのもう1つの素晴らしさ。ただ「ボーっと」しているだけじゃない、実は激しい感情が渦巻いているのです。弦のアンサンブルとピアノとの対話を、じっと聞き入り、深く瞑想するのみです。
 3楽章のロンドでのマエストロのノリは最高でした。のっけから心が弾んでワクワクしっぱなし。でも、イケイケどんどんで賑やかに盛り上がっていくわけじゃないんだな。全体には渋いニュアンスが支配しているのが、良いのです。そしてそれが最後に速いテンポの力強いエンディングとなり、聴き手に大きな満足感を与えてくれるのでありました。

 ですから、うるさ方の多い3階席も「ブラボー」の嵐でしたし、私も感激して、とっても豊かな気持ちになりました。それに、バレンボイムのピアノはやっぱり好きだなぁとあらためて思ったのでした。

 さて、マエストロは、ここ30年ぐらいピアノよりも指揮の方に力を注いでいましたが、2005年にシカゴ交響楽団を退団して以後、ピアノにも再び重点を置くと明言しています。それこそが私の望むことでありますし、今後もこのような形でコンサートをやってくれれば、ファンとしてはこの上ない喜びとなるでしょう。

 でも、来年のニューイヤーはどうかな? 指揮だけだと、ちょっと不安だな。ピアノ弾いてほしいけど、シュトラウスでピアノはないもんな。
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by harukko45 | 2008-04-08 05:19 | 聴いて書く

グラミー賞

 ここ数年の中では、けっこう面白かった方ではないかな。全体的にパフォーマンスで楽しめたものが多かったのが良かったです。

 フランク・シナトラ(映像)とアリシア・キーズのデュエット(さすがアリシアだけど、ちょっとニュアンスつけすぎかも、この手はナタリー・コールがやっぱいいかなぁ)に始まって、

 シルク・ドゥ・ソレイユらによるビートルズへのトリビュート・ライブ(黒人少年のアカペラとゴスペル隊による"Let It Be"が新鮮)、

 キャリー・アンダーウッド(どうしちゃったんでしょうか、ブリトニー・スピアーズになるつもりか、つまんない)、

 おっと懐かしいザ・タイムが再結成してリアーナと競演(タイムの軽快なノリがプリンス全盛時を思い起こさせて楽しかった)、

 カニエとダフト・パンクのコラボ(まぁまぁ。ダフト・パンクは好きだけど、カニエは私には別段どうもねぇ)、

 ファーギーの歌にジョン・レジェンドがピアノで伴奏(ジョンはちゃんと弾いてたのかなぁ?でも好きだからいいや。ファーギーの"Finally"は年間ビルボード・チャートNO.1だったはずだけど、グラミーは何もあげないの?)、

 ティナ・ターナーとビヨンセという骨盤系の競演(ティナはやっぱ最高、"Proud Mary"での競演楽しかった。)、

 フー・ファイターズ(相変わらずの力みすぎ、音楽的には嫌いじゃないんだけど、最近段々興味がなくなってきた)、

 ブラッド・ペイズリー(ここ例年のカントリー・パフォーマーの充実ぶりに比べるとちょっと役不足、しかしこの人はギターめちゃウマなんです、実は!)、
 
 アレサ・フランクリンのゴスペル・パフォーマンス(アレサに大感動、声も衰え高音も出ないが、それでも素晴らしい。本物の偉大さに敬服。相手役のビービー・ワイナンズも立派。だが、その後のパフォーマンスはいらなかったし、つまらなかった。最後に再びアレサが登場してくれたのは良かったが、とにかくアレサだけにしぼって、もっと敬意を込めた作りにしてほしかった)、

 ファイスト(よかった。カナダ人アーティストらしい繊細さが好感持てたなぁ)、

 アリシア・キーズとジョン・メイヤー(大活躍のアリシアはもうアメリカ音楽界の新しきリーダーですな。ジョン・メイヤーはグラミーのパフォーマンス部門では引っ張りだこって感じで、毎回登場ね。使いやすいのかなぁ)、

 ハービー・ハンコックとラン・ラン(つまんないラプソディ・イン・ブルー、こういう教養ぶった演出がグラミーの保守性の現れね。何の意味もないのに、有り難がる感じで、全然良くなかった)、

 エイミー・ワインハウス(今回、全てに特別待遇のエイミーはロンドンから。はっきり言ってそんなに高く評価する人じゃない。これはプロデューサーの勝利。彼女はたいして良いパフォーマーとは言えない。今回、いっぱい賞をあげ過ぎて次はかなり苦しいね。とにかく、ライブの出来の悪さにがっかり)、

 アンドレア・ボチェッリとジョシュ・グローバンによるルチアーノ・パヴァロッティ・トリビュート(つまらん、ちっとも感動的じゃない。こんな歌で癒されるなんてどうかしてる。パヴァロッティの素晴らしさを知っているなら、もっと敬意を持ってほしい。こういう安直な企画を恥ずかし気もなくやってしまうところがアメリカの大らかさということか?)、

 ジョン・フォガティ、ジェリー・リー・ルイス&リトル・リチャード(素晴らしい!ジョン・フォガティ62歳?!それでもこの歌かよ!すごい。で、ジェリー・リー・ルイスはちょっと化石っぽかったけど、リトル・リチャードの凄みは何だこりゃ!70越えてる?80歳?凄い、力強いピアノとシャウト。感動です。リトル・リチャード、ほんと大好き!)、

 ウィル・アイ・アム(やっぱ、才能あるね、この男。カニエ・ウェストにはあまり共感できない私には、今はウィル・アイ・アムが最高。で、実はここにマイケル・ジャクソンが来る予定だったのに、本番すっぽかすなんて!リハまでやってたって言うのに、すごいね)、

 で、最優秀アルバムがハービー・ハンコック、これには全世界がブっ飛んでしまうほどの驚きでしたね。評論家の松尾潔氏が思わず「グラミーは空気読めてない」と言ったことに、大きく賛同です。
 正直、エイミー・ワインハウスの過大評価といい、今年のグラミーは妙だった。でも、全体的は楽しめましたよ。
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by harukko45 | 2008-02-12 16:25 | 聴いて書く

Edith Piafを映像で

 YouTubeって何だかかんだ言っても楽しいし、ありがたい。

e0093608_16272161.jpg エディット・ピアフのライブ映像もたくさんあって、どれも素晴らしい。DVDにもなっているやつなんだろうな。
 私がYouTubeで見ていた映像の元はたぶん"コンサート&ドキュメンタリー"として発売されているDVDに収録されているようだ。
 で、特にお気に入りは、

"群衆/La Foule"(63年のオリンピア劇場か?)
"アコーディオン弾き/L'Accordeoniste(54年)
"私の神様/Mon Dieu(61年)
"パダン・パダン/Padam, Padam(50年代のTVか)
"かわいそうなジャン/La Goualante du Pauvre Jean(54年ものは勢いがすごいね。でも、60年代の死期が近いものには特別な深みがある)

 どれも魅入ってしまう、今日この頃でした。
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by harukko45 | 2008-02-09 14:05 | 聴いて書く

 83歳のプレートル氏によるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート、去年のズービン・メータ指揮の箸にも棒にもひっかからないような演奏に比べて、圧倒的に良かったです。
 それにしても、これまでの最高齢、そして初のフランス人指揮者登場、この組み合わせを聞いて最初「何で?」って疑問に思った私でしたが、やっぱり80歳越えても現役でいらっしゃる方の技は違うということに深く感動いたしました。

 しょっぱなの"ナポレオン行進曲"の立派な響きで、まずはガツンときました。実にエネルギッシュでした。すぐに高齢者の演奏を「シブイ」ってことにしたがるもんですが、ぜんぜん「そんなの関係ない!」って勢いでした。それも、ただ力技でねじ倒したのでなく、十分豊かに音を響かせて広がりを持たせていたのは、素晴らしかった。
 また、"とんぼ"(長渕じゃないよ、ヨーゼフ・シュトラウスの美曲!)など、とっても映像的で詩情あふれる美しい表情を見せてくれたし、それでいて繊細さにこだわりすぎて、小さくなりすぎる最近の表現へのアンチテーゼとも言える堂々とした指揮ぶりにも魅了された。

 "皇帝円舞曲"や"美しく青きドナウ"といったおなじみの曲での「大きな歌い方」も素敵で、こういう風格とも言えるものはいわゆる「普通人」には出せないものだなぁと思ってしまうのでした。その大きさが全体に安心感を聴き手に与えて、何とも言えぬ楽しさにつながっていたように感じました。("美しき..."の出だし、明らかに次の"ラデツキー行進曲"と間違えて振り出したのはご愛嬌、ご本人も笑っていた。)
 
 クライバーやハーディングのようなキレの良さや洗練されたフォームは全くないけど、だからといってノリが野暮ったいかというとそんなことはない。逆に、腰の入ったグルーヴ感ってものがあるのでした。この辺は繰り返しになるけど、まさに「年齢なんか関係ない!」ってところです。

 だから、"トリッチ・トラッチ・ポルカ"のような「行ってシマエ!」的な曲でも、最近の多くの安全運転指揮者は優等生演奏で、アクセルとブレーキを同時に操作してしまうが、今回のプレートル氏は実に豪快な演奏で、久々に盛り上がったなぁ。
 そしてそれ以上に、一部の最後にやった"天国と地獄のカドリーユ"は圧巻だった。いわゆる「フレンチ・カンカン」のあれですが、もうかなりのハイテンションでオケにムチをいれ、ウィーン・フィルが弾きまくっていたのが面白かったし、それでいて音色が優雅なのがさすがでありましたし、見事にさばききったプレートルの技とウィーン・フィルの力が光ったのでした。

 とりあえず、私がこのコンサートを見始めた1991年からの中では、92年クライバー、2006年のヤンソンスとともに最高に楽しく、心から堪能させられた内容でありました。
 ところで、来年はダニエル・バレンボイムですか。もうすでに期待できないと考えております。(彼はものすごく素晴らしいピアニストですので、そちらに専念していただきたいのが、私のかねてからの希望です。)
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by harukko45 | 2008-01-03 16:34 | 聴いて書く

大橋純子ヒットメドレー

 私みたいな立場の者が、こういうことするのはどうなのかとも思いましたが、あまりにも良いので、いかんともしがたい気持ちでリンクしちゃいました。

大橋純子ヒットメドレー(現在は削除されております。)

 "たそがれマイラブ"のヒット(1978)後に出演されたフジTVの「夜のヒットスタジオ」での映像(なんだが、ラストに"ビューティフル・ミーが歌われているので、79年に"ビューティフル・ミー"がシングル・カットされた頃が有力か?)ですが、よくこういうのを残している人がいるもんだ。でも、貴重なものを見せてもらいましたし、すっかり感動しました。何に?もちろん、ジュンコさんの歌と曲にです!

 これは2007年最後に素晴らしいプレゼントをもらった感じです。
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by harukko45 | 2007-12-31 03:46 | 聴いて書く

Curtis Mayfield

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 12月26日って、カーティス・メイフィールドが亡くなった日だった。

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 12月は、オーティス・レディング、ジョン・レノン、サム・クック、ジェームス・ブラウン、そしてカーティスと、偉大な音楽家達の命日が続くんだなぁ。きっと、他にもいらっしゃるとは思うが。

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 そんな感じで、自分の持ってるカーティスのアルバムを引っ張り出してみたら、けっこう持っていてちょっとビックリ。それを順番に聴いていた夜でした。

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 ロックばっか聴いてた中学生に、ソウルの面白さを最初に教えてくれたのが、マーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイ、スティービー・ワンダーにカーティス・メイフィールドといった「ニュー・ソウル」と呼ばれる人々のレコードだったから、やっぱり思い入れはかなりあるのでした。

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 特にカーティスはどれもこれも水準の高い素晴らしいアルバムばっかりだった。今聴いても、サイコーです。

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 あっ、彼の遺作、持ってなかった。何てこと!
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by harukko45 | 2007-12-26 23:55 | 聴いて書く

 今年のジョン・レノン・スーパーライヴで、最も心残りというか、悔いを残した事がある。それは、「もうちょっと『くるり』とお話をしておけば、良かったなぁ」という思い。と言っても、一緒にやった曲について、どうのこうのと詰めたかったわけじゃない。そうではなくて、彼等が新作の"ワルツを踊れ Tanz Walzer"をオーストリアのウィーンでレコーディングしていたことや、ボーカルでソング・ライターである岸田さんがクラシックに入り込んで、その流れからウィーンを目指したこと、またミュージック・マガジン誌(2007年1月号)上の2006年「年間ベストアルバム10」で彼がすべてクラシック音楽のアルバムを並べていて、「もう、ロックとかポップスとか聞けなくなりそうです」とコメントしていたこと、なんかを色々と聞いてみたかった。

 私は彼ほどの繊細さや大胆さ、そして何よりアーティストとしての資質を持ち合わせてはいないが、そんな私でも、「もうロックもポップスもつまらん」となって徹頭徹尾、ヨーロッパ・クラシック音楽にはまり込んだ時期があった。それは30代になってからで、その時は「とにかく、圧倒的に能力の高い作曲家が作った素晴らしい曲を、これまた能力の高い演奏家によって聞くことにより、圧倒的に感動したかった」のが理由。ロックやポップスではそういった満足感をいっこうに与えてはくれない気がしたのだった。
 その思いはすぐに叶い、偉大な作曲家達の作品に感動しまくり、91年からはウィーンをたびたび訪れるようになり、街そのものが大好きになってしまった。その後の私は、自分と現在自分が関わる音楽の価値というものを、もう一度確認することも出来たし、自分が音楽をする意義もしっかり把握することができたのだった。

 そんな私の「自分探し」的な経緯でのクラシックとウィーンへの旅とは違い、さすが「くるり」はちゃんと自分達がやるべきこと、進むべき道を理解していて、その答えとしてアルバムを作ってきた。

e0093608_1659456.jpg "ワルツを踊れ Tanz Walzer"は素晴らしい傑作と思う。何回も聞いてしまう。特に2曲目の"ブレーメン"が大好きで、ギター・サウンドにのったオーボエとイングリッシュ・ホルンが最高に郷愁を誘い、夢のような世界が広がっていくようだった。続く"ジュビリー"もストリングスの扱いが秀逸。そういったアレンジ面だけでなく、曲そのものに「あざとさ」がなくて、確かに激しく展開していく部分もあるが、そういったことが極めて自然に流れて行くのが素晴らしい(このあたりが、クラシックの影響か?)。だから、飽きないし疲れない。

 サイケ時代のビートルズ風な"ミリオン・バブルズ・イン・マイ・マインド"も楽しいが、ここでのバンド・サウンドが実にふくよかな響きでミックスされていて、変に背伸びしたような「ガキっぽさ」がない。成熟したサイケ・ポップになっている。それは、続く"アナーキー・イン・ザ・ムジーク"にも言える。こういう曲でストリングスが入ってくると、何か「いかにも頭でっかち」って感じで普通は嫌悪感を抱いてしまうのだが、ここでは逆にギター・トリオのパンク/ニューウェイブ風なアプローチに、いい意味でオブラートを包むような効果になっていた。まるで、ウィーンの生クリーム効果とでも言えるか。

 ギターの弾き語りによる"レンヴェーク・ワルツ"はウィーンの地名がタイトルになっているが、内容は全然違うとてもセンシティブな佳曲。岸田さんのボーカルがいい。
 歌詞の内容から想像もできないような大曲となった"恋人の時計"も愛すべき作品だ。ホーエルマルクト広場のアンカー時計を思い浮かべてしまう。
 他にも"ハム食べたい"はドイツ語タイトルでもろ"Schinken"。本当に「桃色のハム」が食いたくなった。歌詞的にはちょっと意味ありげで、深読みも可能だろうが、とにかくハムとチーズをはさんだゼンメルが今すぐ食いたい!
 ちょっとXTC風な"コンチネンタル"も好きだ。歌詞が意味不明で、タイトルとの関連性もわからんけど。で、後半一番シビれちゃうのが"ハヴェルカ Cafe Hawelka"だ。CDジャケットにウィーンのカフェの名店「ハヴェルカ」でくつろぐメンバーが写っているのだから、そこから何らかのヒントを得た曲なのだろうが、どうしてこうなったのかマリアッチ風、それともポルカなのか、とにかく笑える。歌詞がまたいいね。「2人を包み込むようなコーヒーの泡のミルヒ(Milch=Milk)」とはねぇ。

 アルバムの最後になってじょじょにバンドのみのサウンドになっていくのは、ウィーンから日本への帰国を意味しているのだろうか、バンドだけの曲になるとすごく日本を感じるのも面白い。ミックスを担当したフランス人のStephan "ALF " Briatの仕事もとても光ると思った。彼はAirなども手がけているプロデューサーだが、ここでの何とも暖かくて豊かな音の仕上がりと、ハーフインチアナログマスターのサウンドにこだわったと言うマスタリングも素晴らしいと思う。久々に長く聞いていくであろうアルバムに出会ったと思う。
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by harukko45 | 2007-12-24 17:51 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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