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e0093608_2349448.jpg 私が2年前にかなり惚れ込んでこのブログでも紹介した女性ボーカリスト、クリセット・ミッシェルの2ndは今年の3月に出ていたのね。うっかり、全くチェックしていなかった。あらあら。

 デビュー作の"I Am"ではグラミーでも最優秀R&Bボーカル・パフォーマンス部門で受賞し、アメリカでは一躍期待の星となっていたわけですが、どちらかと言えば、歌唱力とともにダンスやら、セクシーな外面などが売れる必須条件となっている現在のアメリカでは、彼女のような歌一本で勝負する人はしんどい部分もあるか?と余計な心配をしておりました。
 ですが、2年後の今年リリースとなった待望の2ndは、何とビルボードTop200で初登場1位だったとはうれしい驚きであります。

 で、このアルバム"Epiphany"は全体に曲の出来が格段に良くなりました。前作はとてもジャズ的な要素を感じさせていて、彼女自身もビリー・ホリディやエラ・フィッツジェラルドら偉大のボーカリスト達へのリスペクトと影響を語っておりました。私のような古めの音楽嗜好の者は、彼女の「ジャズっぽさ」「クラシック・ソウル風の歌声とルックス」にギュっと心をつかまれてしまったわけですが、その分楽曲に「今」「これから」を感じさせるツカミが弱かった。
 プロデュースの面でもWill.i.amあたりはいい仕事をしていましたが、それでも割と渋めではありました。

 それが、今回は人気絶頂の売れっ子Ne-Yoをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えての制作の効果か、俄然ポップな仕上がりになっていて、気になっていた「ツカミ」をちゃんと作り出していると感じました。かなりの曲に関わっているChuck HarmonyはNe-Yoがらみの人らしいが、この人に大々的にプロデュースを任せたことで、アルバム全体の統一感も生まれましたな。うーん、良かった良かった。

 それでいて、クリセットの良いところと言っていいと思いますが、「この1曲がサイコー!」という感じでなく、気持ちのいいボーカルをそれぞれの曲で堪能しながら、アルバムを通して聴き続けられるということ。
 正直、最近のR&B系に代表されるポップ・チューンは、音質のうるささや音像の平坦さ、またそれ以前に打ち込みのつまらなさから、ずっとアルバムを聴き通す事がなかなか厳しいというのが現実。少なくとも私はそう。

 さて、そんなこんなで話が脱線しそうなのでやめますが、この"Epiphany"は最近では珍しくスルっと最後まで楽しめたのでした。それと、1stの"I Am"をもう一度聞き返したくなるという効果もありました。でもって、聴いてみると、うーむ、この初々しいくもちょっと古っぽい感じも結構好きに思えるなぁ。ひょっとすると、新作は洗練され過ぎか?と少しだけグラグラしている自分がおります。
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by harukko45 | 2009-09-29 00:42 | 聴いて書く

 このところずっと、というか今年一番でハマりまくっているのが、これです。

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 (左) マルタ・アルゲリッチ・コレクション1(ソロ・レコーディング集)

 すべての音楽家の中で、現在世界最高のピアニストの候補に必ずあがるであろうマルタ・アルゲリッチ。クラシック音楽云々、ジャンル云々を越えて、私も彼女が世界最高であると言ってもかまわないと思っています。(まぁ何より大好きだということがあるわけですが。)

 アルゲリッチは超天才、鍵盤の女王、自由奔放なじゃじゃ馬などなど、すでにいろいろな言葉で紹介されているので、私ごときがどうのこうの言う次元ではないのですが、とにかく彼女の場合、男女という性別を越えた圧倒的なレベルで、ピアノを弾きこなしてきた唯一の「女性」ピアニストであると考えます。でもって、少々頭でっかちが多い男性奏者など瞬く間に蹴散らすほどのエネルギーに満ちていると言えるのでした。

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 (右) マルタ・アルゲリッチ・コレクション2(コンチェルト・レコーディング集)

 彼女の演奏が好きなのは、極めて簡単に言えば「ノリが熱くてサイコー」であるから。「ノリ」だとか「グルーヴ」だとか、ついつい安易に使ってしまいますが、ただただテンポが速いとか(実際に他の奏者よりも総じて速いけど)、現代的にリズミカルであるというだけではダメで、ちゃんと音楽への情熱と技術の裏付けがなくては、「サイコー」とはならないのです。

 私は彼女のほとんどの演奏が大好きだし傑作ばかりだと思いますが、その多くを抱えるドイツ・グラモフォン社が彼女の音源を年代順にボックス・セットとしてまとめてくれてたおかげで、とても容易く手に入ることができ、ものすごく有り難いと思っています。それも8枚組、7枚組でありながら、それぞれ3,000円ほどで買えるのだから、DG社に感謝感謝です。

 第1集のソロ・ピアノでは、まずはショパンがどれもこれも素晴らしく、私はこれでショパンが大好きになったし、リストのソナタはとんでもなく凄いし、ラベルもかなり好き。(バッハは個人的に苦手なのと、彼女としてはまぁまぁか。シューマンは演奏は素晴らしいが曲自体どうもネクラでねぇ。/いや、今日聴いてみたら泣けた、こっちの精神状態もあるか。)

 第2集のコンチェルトでは、シノーポリの指揮によるベートーヴェンの1番2番が大好きで、ブレンデル/レヴァインの演奏と双璧。プロコフィエフ、ラベルのコンチェルトも名演だが、それよりも初めて聴いたハイドンがこんなにカッコイイ曲とはびっくりしたし、これまた初めて聴いたショスタコービッチも最高。(お得意のシューマンはDG盤もいいが、他にも良いのが出ている)

 評論家を始め、世評がすごく高いショパンとチャイコフスキーは、あまり好きな曲でないので聴く機会は少ないが、それでも好き嫌いを越えて、演奏は素晴らしいと思ったし、特にこれまで退屈至極と敬遠していたチャイコンの1楽章を、すっかり夢中にさせてくれたのは彼女が初めてだった。

 このあと、第3集としてデュオやトリオなどの室内楽ものがセット化されるとのこと、これまた楽しみですわい。
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by harukko45 | 2009-09-23 23:24 | 聴いて書く

 最近は、(暇だから?)ここぞとばかりにCD聴いておりまして、いろいろ引っ張りだして来て再認識やら再発見やらで楽しんでいます。
 先週のディランからの流れとも関連づけられるのですが、Area Code 615とBarefoot Jerryをよく聴いてます。この二つは「ブロンド・オン・ブロンド」や「ナッシュビル・スカイライン」等でのバック・ミュージシャンとして参加していたスタジオ・ミュージシャン達が結成したバンドとして承知はしていたのですが、どちらかと言えばクロウト好みの存在として有名であり、これまでちゃんと聴いてきてなかったのでした。
 特にベアフット・ジェリーはまったく知らなかったので、思いっきり専門分野としてくわしい徳武弘文さんにご教授願った次第でありました。

e0093608_18221297.jpg エリア・コード615の69年の1st"Area Code 615"と70年の2nd"Trip In The Country"の2in1。演奏のうまさは言うまでもないのですが、全体にこの当時のマジカルなムードがレコーディングでよくとらえられていて最高です。1stではオーティス・レディングやビートルズ、ディランの有名曲がカヴァーされているのが実に面白いし、カッコいい!また、オリジナル曲でもカントリーやブルーズだけにおさまらないプログレッシブなニュアンスがあって、随所にドキっとさせられるのです。
 2ndではそれらがより練られた感じで、多彩な音楽性がより際立っていて、実に完成度が高いオリジナル・ナンバーが続き、文句のない傑作。実験的なトライも見せているけど、しっかりとしたテクニックがあるので説得力があるわけ。とにかく演奏が最高にいいので、ぐっーと引き込まれちゃうし、古さを全く感じさせない。

e0093608_19294729.jpg インスト・ナンバーが主だったエリア・コード615解散後に、その中心メンバーだったウェイン・モスが、同じくエリア・コードのマック・ゲイデンらと結成したベアフット・ジェリーは、よりボーカルをフィーチャアし、カントリー・ロック、サザン・ロック的ニュアンスを強めたバンド。
 (左)71年1st"Southern Delight"と72年の2nd"Barefoot Jerry"の2in1。でもって、初めて聴いたので、私にはことのほか新鮮で刺激的。1stではマック・ゲイデンの作曲家としての才能が光っていて佳曲揃い。2ndではそのゲイデンが抜けてしまい、曲的には今ひとつツカミがない感じなのだが、全体に漂うナイーブなムードにけっこう惹かれてしまう。

e0093608_23575280.jpg (右)74年の"Watchin' TV"と75年の"You Can't Get Off With Your Shoes On"の2in1。"Watchin' TV"は彼らの最高作として評価されているよう。だが、個人的にはアルバムの前半でその前までにあったキュンとくるナイーブさが薄れてしまった気がした。しかし、エリア・コードを彷彿とさせるような素晴らしいインスト部分は強力にキマっていて、全体の完成度は確かに高い。カントリーのクラシック・ナンバーである"Faded Love"まで取り上げているのも興味深いのだが、その後のウェイン・モスの作品が続くと、一気に私が惹かれた世界が響き始めて、とっても共感してしまった。
 "You Can't Get Off..."は力作だった前作に比べるとシンプルでリラックスしている感じ。全員がうまいので、どんな曲でも飄々とこなしてしまうという感じ。全体にはプログレッシブな姿勢が弱まって、よりベーシックなカントリーに回帰しようとしていたのかも。

e0093608_0184519.jpg (左)76年の"Keys To The Country"は前作で感じたカントリー回帰が鮮明で泥臭い感じも。ここでもクラシック・スタンダード曲を取り上げたりしていて、全体の意図は明快だ。評判はあまり芳しくなかったようだが、個人的には楽しい。
 でもって、ここまで全てのアルバムでウェイン・モス以外はメンバーがいろいろと入れ替わっているのだが、77年の最終作"Barefootin'"ではチャーリー・マッコイを迎えて、何んともエネルギーが再び沸いて来たような活気を取り戻しているように思える。
 どのアルバムにおいても、素晴らしいナッシュビル・セッションマン達の名演奏を堪能できるのが、このバンドを聴く楽しみではあるが、それでも何かしらのマジックはほしい。ご本人達はどう考えていたのかは知る由もないが、エリア・コードの同窓であるチャーリー・マッコイが加わることにより、ウェイン・モスにもう一度そういった「何か」を呼び起こしたのかもしれない。

 と、初心者のくせして突然ベアフット・ジェリー論を偉そうに展開しても恥を書くだけなので、ここまでの感想文としてアップさせていただく。ただ、とにかく素晴らしいバンドであるし、まだまだ聴きこんでいきたい興味を抱かせるわけで、しばらくはハマっていそうだ。そうすると、また違ったことが見えてくるかな。

 ところで、スワンプ・ミュージック系のマニア・サイトに掲載されているウェイン・モスへのインタビューでは「Dr.K」として徳武さんがバッチリ紹介されており、日本来日公演でのバックをつとめたDr.Kバンドのことが書かれております。興味のある方はコチラをクリックSwampland.com
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by harukko45 | 2009-09-22 23:51 | 聴いて書く

e0093608_1610936.jpg ジャック・ホワイトの新・新バンド/The Dead Weatherのデビュー・アルバムは今年7月にリリースされておりましたが、私は最近購入いたしました。

 現役若手ロック・ミュージシャンの中で唯一愛しているジャックが、ホワイト・ストライプス、ラカンターズに続いてまたまたニュー・プロジェクトを結成したとのニュースには正直、一瞬ひきました。だって、ホワイト・ストライプスとラカンターズだけでも十二分に凄いんだから、そのままでいいじゃん、と思ったからですが、この一瞬の「?」により私は前にラカンターズを過小評価するという間違いを犯しておるわけで、天才ジャックのやることはこっちの感性などを遥かに越えているはず。

 というわけで、2ヶ月遅れで買ってすぐにまんまとハマっております。ジャックの才能とその進化のスピードに、オジさんとしてはちょっとついていけてない部分もあるのですが、彼のやっている音楽そのものは相変わらず最高です。ここ数年、毎年違ったフォーマットでアルバムを発表している(2005,2007/White Stripes, 2006,2008/The Raconteurs, 2009/The Dead Weather)のは、彼の仕事の異常なる早さ(ほぼ2週間ほどでアルバムを仕上げてしまう)によるのですが、それにしてもその質が非常に高いのに驚かされますし、それはファンとしては大いなる喜びでしょう。

 また、どのアルバムにも一貫してあるアナログへのこだわり、ブルーズやカントリー、60〜70年代のロックへの造詣の深さには毎回感心させられますし、「普通にアンプにギターを繋いで、普通にギターを演奏して、普通に歌を歌ったら、あんなおぞましいキラキラとした音は出ない」という発言に代表される、現代のポップスの過剰なマスタリングへのアンチテーゼも首尾一貫しておるのです。

 さて、今回のDead Weatherにおいては、ギターよりも主にドラマーとして参加しているのですが、これがまたなかなかで、これはもう天性のものとしか言いようがありませんな。

e0093608_1840041.jpg それと、カヴァーとしてボブ・ディランの"New Pony"をやっていて、個人的には驚きと喜びの選曲(White Stripesでのバカラック、パティ・ペイジに比べれば比較的普通か?)。ディランの1978年リリース"Street Regal"は大好きなアルバムなのですが、一般的な評価ではダサーいジャケット写真のせいもあってか、あまりかんばしいものではなかったと記憶しています。しかし、ジャックはちゃんとその良さをわかっているというか、素晴らしくカッコよくカヴァーしてくれました。
 でもって、久々に"Street Regal"を引っ張りだして聴いてみると、これがまたまたやっぱ良い!

 ホワイト・ストライプスの"Icky Thump"、ラカンターズの"Consoler Of The Lonely"もヘビーローテイションに復帰です。ロック最高!
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by harukko45 | 2009-09-19 18:42 | 聴いて書く

 今年はCD、ほとんど買ってませんでした。業界人として少々いただけない姿勢かもしれませんが、どうしても!って気分になったのはピアニストのマルタ・アルゲリッチのBOXものぐらい。特にポップス関連は年々新譜を買うのは減っていく傾向で、それも一部の限られたアーティストにしか興味がいかなくなっておるのでした。

 さて、仕事に追われる時期が一段落し、今月はかなり落ち着いた感じになったので、その「限られたアーティスト」達のCDをようやく購入、そんでもって久しぶりに聞き始めたら、こりゃこりゃ、やっぱいいじゃん、ってわけです。しばらく連絡不通だったけど、突然再会するとえらく盛り上がった、そんなノリでしょうか。

e0093608_15161564.jpg ボブ・ディランは68歳、その33作目のスタジオ・アルバム"Together Through Life"は4月に出ており、米英で初登場1位を記録し、相変わらずの強い存在感は健在であることを示してくれました。

 ただ、3年前の前作"Modern Times"がとても素晴らしく、"Time Out Of Mind"からの傑作3部作として一応完結か?なんて気分になるほど満足していたし、2005年のマーティン・スコセッシ監督による"No Direction Home"や2008年の"Tell Tale Signs"(89年から2006年までの未発表作品集とは思えないほどの充実した内容で別の新譜を聴くような楽しさ)とファンにとってはここ数年でこの上ないほどの幸せを味わっていたわけで、そこにこの新譜の登場は正直「ちょっとお腹いっぱい」という気持ちになっていたことも確かで、しばらく買うのをためらっていたのでした。

 だが、今手元にあるこのアルバムは、やっぱすごくいいわけですよ。今更「これは傑作だ、名盤だ」などと大風呂敷を広げる必要もないのです。ただただ良いのです。

 でもって、このディランという人物はいったいどこまで深化していくのかと、またまた感嘆しているのでありました。バングラディシュのコンサートでの映像に一目惚れをして以来、ずっとファンで良かった。私にとっては今後も、70歳を越えようが、ずっと見届けていきたい貴重で偉大な存在であります。

 うー、60年代の"Blonde On Blonde"なんかも引っ張りだして聴いている今日でした。
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by harukko45 | 2009-09-18 16:28 | 聴いて書く

レス・ポール氏死去

 偉大なギタリストであり、音楽制作の分野でも数々の功績を残したレス・ポール氏が13日に亡くなった。94歳だったとのこと。このところライブの予定がないことを徳武さんがすごく心配していたのだが、やはり体調を崩していたのだった。

 彼の偉大さに関しては、日本ではまだまだ熟知されているとは言えないが、こと音楽業界、ミュージシャンの世界に身を置くものにとっては、いくらリスペクトしても足らないほどの存在だったと言えよう。心よりご冥福をお祈りしたい。

 これを機に、多くの人がレス・ポールの素晴らしい音楽に触れてほしいし、彼の伝記映画である"レス・ポールの伝説(Les Paul Chasing Sound!)"を見てほしい。これを見れば、彼なしでは現代のマルチ・レコーディングは存在しえないことがわかるし、何より自らの音楽をどんよくに追求し続ける姿勢に圧倒されるだろう。
 私が過去にアップした"レス・ポールの伝説"についてはコチラを
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by harukko45 | 2009-08-14 15:58 | 聴いて書く

 今日は、7月のクラブサーキットのための打ち合わせがあり、久しぶりにジュンコさんと再会したが、とってもお元気そうで何よりでありました。そして、明日からは出来立てほやほやの新譜"Terra 2"のキャンペーンに出発とのこと、まだまだ前向きな姿勢を持ち続ける姿にうれしくなるし、実に頼もしいかぎりです。

e0093608_0393131.jpg この新作の"Terra 2"は好評だった前作"Terra"の続編ともいえるカヴァー集第2弾というわけだが、今回の仕上がりもなかなか良く、私は今回の方がより好きだ。選曲がユーミン、小田和正、山下達郎、サザンなどなどと前回よりも多岐にわたり、それも各アーティストを代表する名曲ばかり並んでいるのが大きいのだが、いろいろこだわったであろうアレンジの面でも随所に楽しませてくれている。
 私個人の好みから言うと、m4.竹内まりやの"駅”とm5.小田和正の"言葉にできない"と続くところが特に気に入りましたね。何とも切なく、歌声にキュンとしてしまうのでした。アレンジした野見祐二さんと西脇辰弥さんはさすがに良い仕事をなさっております。

 この中からライブではどれが披露されるかは今はまだ明かしませんが、乞うご期待です。もちろん、アルバムで早めに予習しておいていただくことをお勧めしますよ。

 それと、ジュンコさんのデビュー35周年を記念して、私のようなファンの一人として最も喜ばしいことは、これまでなかなか実現しなかった過去のオリジナル・アルバムのリマスター盤が今月発売になることであります。フォノグラム時代のファーストから美乃家SCを中心とした名盤の数々が、大橋純子ディスコグラフィとしてきちっと並ぶというのは何をおいても素晴らしいことであり、「これまで何で出来なかったのか」という思いもこの際横において、素直に喜びたいと思いますし、ユニバーサル・ミュージックを大いに讃えたいと思います。
 また、この企画実現に大きく貢献していただいた「愚者楽」ヤマケンさんにはこの場からもお礼を言いたいと思います。まさにファンの鏡としてこれまた大いに讃えねばいけません。

 ユニバーサルだけでなく、エピック・ソニーからも3枚のアルバムを2枚にまとめたベストもリリースされ、これでバップでのアルバムとともに、ほぼ全作が出揃うことになったのでした!
 いやぁ、実に素晴らしいことではありますが、ジュンコさんの実績からすれば当然と言えば当然、ようやくあるべき形が整ったとも言えるでしょう。これでこそ、35周年アニバーサリーであります。
 レーベル枠を越えたベスト盤とコンプリート・シングル集もユニバーサルから発売されたことも実に画期的で感動的な出来事であります。

 さてさて、私としても特にフォノグラム時代のアルバムには思い出がありますが、やはりアマチュア時代にレコード店でバイトしていた時に、そこで発見(!)した"PAPER MOON"、それを聞いたときの感動と期待を遥かに上回る衝撃作だった"Rainbow"、高い完成度の傑作"Cristral City"といった初期の作品が強く印象に残っています。と同時に私がミュージシャンとしてジュンコさんのバックをやり始めた頃のアルバムである"黄昏"と"POINT ZERO"の復刻もかなりうれしいし、何とも懐かしいのでした。あの当時はこのあたりのアルバムを中心にコンサート・ツアーをやっていました。
 今現在、このフォノグラム原盤のCDを前に聞きまくっているのでした。しばらく楽しい時間が続きます。
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by harukko45 | 2009-06-09 00:27 | 聴いて書く

 ウィーンの元旦、午前11時からはテレビでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを見ましたが、いつも日本では夜の7時ぐらいからで、ほろ酔い加減でゴロゴロしながら聴いていたのに、こちらでは午前中とは、正直調子が狂います。
 で、やっぱりゴロゴロしながら見ていましたが、途中で居眠りしたりしながらで、あまり記憶に残っていません。覚えている部分では、バレンボイムの指揮による演奏はちょっと鳴らしすぎじゃない?と思いながらも、盛大にブラボーの声が飛んでいましたね。個人的には、あまり好みではありませんでした。
 ピアノを弾くとあれほど繊細でロマンティックな表情を見せるのに、彼は指揮台に昇ると、何故か力技で量感過多な感じに聴こえるのでした。

 ただし、最後の方でやったハイドンは良かった、というか、だいたい音楽としてシュトラウスよりもハイドンの方が数段上ということです。今年はハイドン没後120年(?/失礼!没後200年でした。「旅人さん」ご指摘ありがとう!)だかで、ハイドン関係のイベントが多いようです。

 それと、アンコールの際に恒例の指揮者による新年の挨拶で、イスラエル国籍を持つ彼が、現在の中東紛争に対して、何かコメントするかが注目でしたが、これまでも中東和平への活動をしてきた人だけに、やはり「世界に平和と、中東に正義が訪れるように望みます」というようなことを訴えていました。このときばかりはとても緊張した表情になっていたのも印象的でありました。

 さてその夜は、コンツェルトハウスにて、マルク・ミンコフスキ指揮ウィーン交響楽団によるベートーヴェンの第九を聴きに行きました。今回の旅行では、あまり音楽イベントに行く予定は多くないのですが、その中でも注目のものでありました。
 年末年始の「第九」というのはかなりベタな内容ですが、私は初めて生で第九を聴いたので、とっても楽しかったです。
 指揮のミンコフスキは昨年見たモーツァルトのオペラ「ポントの王ミトリダーテ」での演奏ですっかり好きになった人だし、最近評価が鰻登りに上がっているウィーン響との競演には始まる前からワクワクでした。
 それと、チケットをネットで買ったので、席を指定できたのですが、今回はわざわざオケの真横のところにしました。多少バランスは悪くても、きっとナマナマしい音が聴けるでしょうし、何より指揮者の表情や動きを良く見たかったのでした。

e0093608_19234869.jpg で、予想通りの快速テンポで第1楽章からノリノリでした。彼のテンポはどれもこれも速いのですが、情感とノリをちゃんと両立できていたと思いました。それと、第九の1楽章は音楽的にも濃いので、のっけからドキドキしながら入り込んでしまいました。
 2楽章は完璧。実にかっこよかった。3楽章も速かったですが、弦から美しい響きを引き出していて感心しました。

 そして、4楽章。うーむ、わかっちゃいるけど、感動しちゃう。「喜びの歌」のメロディがどんどん膨らんでいくのが、何ともタマランでした。合唱の皆さんが、これまた素晴らしい出来でした。とにかく、バスのソロ(これも見事)が終わってから大合唱になった瞬間はゾクッとしました。最高にいいバランスだったからです。

 その後はめくるめくベートーヴェンの魔力に恍惚となっておりました。
最後の追い込みも急速でスリリング、大いに堪能しました。フランス生まれのミンコフスキは全体に明るい表情の音作りで、ドイツ的な重厚さは薄かったですが、とにかくノリの良さで、聴き手をグイグイと巻き込んでいくのが「今っぽい」し、好感が持てました。
 とにかく楽しかった。楽しい第九というのは、これまでの常識からすると違うかもしれないけど、ベートーヴェンの偉大さに変わりありません。
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by harukko45 | 2009-01-02 19:14 | 聴いて書く

魔笛

e0093608_3202353.jpg 昨日、久々にモーツァルト晩年のオペラ「魔笛」を見た。それも、2つ。1つは2006年のザルツブルグ音楽祭のライブ映像で、リッカルド・ムーティ指揮のもの。もう1つは、何と今どき珍しいオペラ映画として昨年公開されたケネス・ブラナー監督による英語版「魔笛/The Magic Flute」である。

 実を言うと、私が初めて買ったオペラのCDが「魔笛」であり、ライブ映像として見たのも「魔笛」が最初だったので、何かと思い入れがある。CDはいろいろ買って聴き比べたが、相変わらずの骨董好きとでも言うか、結局ワルターの56年のメトでのライブとベームの64年盤が残った。映像では82年のザルツブルグ音楽祭のライブで、レヴァイン指揮のものが好きだ。

 だが、ここ最近のライブ映像には失望の繰り返しだったし、2005年にウィーンのシュタッツオーパーで生を観た時も全く面白くなかった。どれもこれも演出が最悪であり、過激な現代化だったり、極端なお伽話風だったり、奇抜すぎる衣装や舞台美術にもいちいち抵抗を感じてしまっていた。
 それに、歌手も指揮者も十分に共感せずに仕事しているのではないかと思えるものばかりだったし、いかにも初心者向きな扱いにも腹立たしい気持ちを持った。

 というわけで、いくらモーツァルトの傑作ではあっても、もはや今の時代の「魔笛」には期待できないと感じていたのだが、結論から言うと、このムーティの演奏もブラナーの映画も、もの凄く感動してしまった。映像を見ながら、音楽を聞きながら、何度も涙がこみ上げてきた。
 これは全くもってうれしい驚きであり、「魔笛」はまだまだ新しい、現代に十分通用する素晴らしい作品であることを再認識した。

 ムーティはオペラの指揮においてかなり信頼しているのだが、正直、序曲から1幕途中まではあまりサエない感じだった。かつて83年に、同じザルツブルグ音楽祭で伝説的名演と絶賛された「コシ・ファン・トゥッテ」でのキビキビした演奏に比べて、ずいぶん年を取ったように思えたし、ステージも極彩色豊かな舞台と衣装で、何ともどっかの絵本のようで、最初の大蛇のシーンだけでガックリだった。
 だが、1幕目のフィナーレあたりから一気に一体感が高まり、突然として私を夢中にさせてしまった。演出も最初に危惧したほど行き過ぎたものではなく、あまり抵抗感をおぼえなくなっていた。それとたぶん、ザラストロ役のルネ・パーペが登場したことも大きい。それまではまぁまぁだった他の歌手達が、まるで一本筋が通ったように良くなったのは、彼の存在感あふれる歌唱と演技が刺激になったからだと思う。

 実は、これまでザラストロという役もその曲も、あまり好きではなかったのだが、彼によって今までの観点を180度改めなくてはならなくなった。年老いた権力者然として威張っていたザラストロが、堂々としていながら権威主義的でなく、理知的で若々しいリーダーとして生まれ変わったのである。こういうイメージで来られると、彼が歌う曲も実に美しく感じてしまうのだった。

 2幕目からはストーリーの荒唐無稽さ、あいまいさも何のその、ムーティが実に美しく、そして繊細にオケを鳴らしていたのが素晴らしくて、こちらも集中して音楽を聞く感覚になり、モーツァルトの遺言であるこのオペラの美しさを十分に堪能することができたのだった。特に、タミーノとパミーノの火と水の試練の場での音楽が美しかった。

e0093608_3211832.jpg さて、ムーティのいいライブを楽しんだ後に、ケネス・ブラナーのオペラ映画は果たして如何に、と思いきや、冒頭からそんな心配をすぐに吹っ飛ばす映像の連続に、さすがシェークスピアもので実績を上げてきた名優・監督だけのことはある、と深く感心させられる素晴らしい作品だった。

 まずは、台本をうまく書き換えて、設定を変更し、台詞の辻褄を合わせ、現代人にも理解しやすい展開にしていたのが良かった。私としては、オペラ演出家達の方にこれぐらいの発想が欲しいと思うぐらいである。
 また、CG使いが巧みでセンスが良かったし、音楽を尊重した演出に何より好感を持った。ここでのモーツァルトの曲はBGMではなく、主役なのだから。ある意味、ミュージックビデオ的な要素もあって楽しいし、ケン・ラッセルの音楽映画(「悲愴」「マーラー」「トミー」「リストマニア」等々)からの影響もちらちらと見えて、ラッセル・ファンとしてもうれしい。

 とにかく、序曲につけられた、まさに映画の序章とも言える映像だけで、かなりシビレル。そして、オペラを見ている時と同じように、最後の試練の場、パパゲーノの首つりの歌、パパパの二重唱のシーンではすっかりやられっ放しであった。

 それと、この映画でもザラストロ役をルネ・パーペが好演していた。先ほど書いた役に関するイメージはオペラよりも映画の方がより印象的だったと言えるかもしれない。また、オペラでは別人が演じる弁者も彼がやっていたのだが、つまり弁者の正体はザラストロだったという台本の変更はとても理にかなっているし、いいアイデアだったと思う。それに、ここでも彼の歌が聞けるのは大変喜ぶべきことだし、その効果も絶大だったと思う。

 もし、オペラでの「魔笛」を楽しめなかった人がいたら、是非、このブラナーによる映画を見てほしい。こちらの方が現代にも通じるものを持っているし、それでいてメルヘンの世界、魔法の世界のイメージも壊していない。
 そして、ジェームス・コンロンが指揮するオケの演奏も素晴らしく、歌手とのバランスの良さを始め、スタジオ録音による完璧さがあって、音楽的な満足度も高いと思う。

 もしももしも、それでも「魔笛」にピンと来なかったら、それはモーツァルトとは縁がなかったということかも。なぜなら、彼の終着点は「魔笛」であり、けっして「レクイエム」ではないからだ。
 というわけで、私はその後ワルターのCDを聞いている。しばらく「魔笛」が頭の中を駆け巡りそうだ。

e0093608_3223151.jpg ブルーノ・ワルター指揮メトロポリタン・オペラ(1956)、ワルター先生のエグリと作曲家への共感度は何度聞いても凄い。オケは間違えたり、ずれたり大変だが、何より指揮者が素晴らしければ、全体の音楽はこうも偉大になる。ただし、初めて聞く人には薦められない。
e0093608_323094.jpg ジェームス・レヴァイン指揮ザルツブルグ音楽祭(1982)、ジャン・ピエール・ポネルの演出に不満は全くない。ずっとこのままでもいいじゃない。レヴァインの若々しい指揮とチェレスタの演奏が素敵。ウィーン・フィルもこの頃の方がより美音!歌手陣も今よりレベルが全然上。
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by harukko45 | 2008-08-06 03:42 | 聴いて書く

Perfume/GAME

e0093608_1215554.jpg 4月16日という私の誕生日に発売されて以来(その関連性はどうでもいいですが)もうすっかり大ブレイク中ですから、何も付け加えることはないでしょうが、Perfume最高です!私は大好きです!近年の日本のポップ・ミュージックの中でダントツの存在かもしれません。
 2003年に広島から上京後、下積みで苦労をした来た彼女達もエライですし、プロデューサーの中田ヤスタカ氏の才能も凄いもんです。

 これまで日本のポップシーンでずっと重要なポジションを占めていた「アイドル」に関わる作曲家、作詞家、アレンジャー、プロデューサーには素晴らしい仕事をした方々はたくさんいますが、この中田ヤスタカという人はすでに世界レベルではないでしょうか。

 簡単に言えば「テクノ・ポップ+アイドル」ってことなんですが、聞こえてくる楽曲の出来があまりにも素晴らしいので、そんな単純ワリキリはできないと思うし、その高い音楽性にすっかり敬服しておりますよ。そんでもってここんとこずっとヘビーローティションです、ハイ。

 この2ndアルバム、捨て曲なし。超オススメ。
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by harukko45 | 2008-07-08 01:27 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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