安倍なつみin大阪

 安倍なつみさんとの「春の微風」ツアーは昨日一昨日の大阪2daysをもって無事終了しました。いやぁ、リハが始まったのが今月3日ですから、その後2週間弱で全行程を終えるという、実に効率のいいツアーでした。
 もちろん、効率性だけでなく内容の方も、昨年秋の「Angelic」からもう一歩進んだ成果が得られたと感じています。これは短期間でも少ない人数で蜜に時間を共有できたからということが大きいのだと思います。
 それと、会場がすべてライブハウス・クラスの規模だったので、ステージ・サイドのリラックスして楽しんでいる雰囲気を、観客の皆さんにもダイレクトに伝えることができたのでは、と思っているのでした。
 そして、いつもながら熱い反応をこちらに返してくれるファンの方々には心より感謝です。

 さて、またセットリストにそって、振り返っておきたいと思いますが、今回は「Angelic」と大きく違う点として、アレンジや構成、演出等へのこだわりよりも、自然発生的なバンド色の強いアプローチがテーマだったので、基本的には各ミュージシャンの感性に任せる部分も多く、今回の4人ならではのサウンドに、リード・ボーカリストとして「なっち」が乗っかって、ライブを引っ張っていったと言えるでしょう。

 m1.スクリーン
 とりたててオープニングを作る事もなく、ミュージシャンが登場して、すぐにボーカリストも登場、皆でOKを確認したら1曲目という始まりは、我々には普段通りですが、これまでの「なっちコンサート」の形に慣れている方々には意外だったかもしれません。
 この曲は、昨年の段階では出来立てホヤホヤの新曲でしたが、もはやずいぶん手慣れた感じの安定した音になっていて、全員に変な気負いがなく、まさに「自然に」演奏が始まったのでした。
 CDで聴くストリングスのアンサンブルによる間奏は、今回も徳武さんのギンギン・ソロにしました。ただ、CDアレンジの最終完成版で新たに加わっていたフレーズやリズム・パターン等は随所に取り入れました。だから、微妙に「Angelic」バージョンとは違っています。

 m2.スイートホリック
 原曲は、切ない詞でありながら明るいポップな曲調で、Aメロでのラップっぽい部分も面白く、なかなか聞き応えのある作品。全体のサウンドもなかなか派手な仕上がりでしたが、今回はあえて生ピアノと徳武さんのアメリカ南部色の強いギターをフューチャアして、シンプルなサウンドでやってみました。
 たぶんこの曲の場合は、4リズムでアレンジの「骨組み」だけで演奏しても十分耐えうる楽曲だし、中に潜む面白さがより明快に聞こえてくるのではと思ったからでした。
 また、ところどころはっきりしない仕掛けや、いま一つスムースに流れない部分を整理しました。それにより、各自が「遊びやすく」なったとでも言いますか、より即興的な部分も増えて、個人的にも毎回すごく楽しい演奏になりました。

 m3.愛ひとひら
 元々のアレンジが比較的ジャズっぽいし、セッション向きだったので、今回のバンド・サウンドで無理なく演奏できた曲でした。ですが、細かい部分では修正を加えさせてもらいました。この辺は実際に演奏しながら気づいた点を、皆で話し合いながらじょじょに変えていきました。

 m4.恋の花
 「Angelic」ではそれまでのアコースティック・バージョンを踏襲した形でしたが、今回はオリジナルにかなり近い演奏になりました。個人的にはこのオリジナル・アレンジは良く出来ていて好きです。ただし、このテンポは速すぎる。なっちさんご本人からもテンポを少し落としてほしいとのことでした。でも、あまり遅くしすぎると、このアレンジの良さは消えてしまう、ちょっと微妙なあたりでした。で、今回の演奏になりましたが、4人だけでも原曲の派手さやアジアン・テイストの楽しさはうまく表現できたのでは、と満足しています。

 m5.東京みちくさ
 m2からm4まで、BULGEプロデュースの作品が続いて、そのポップでライトな感覚が心地よいわけですが、続けてつんく氏プロデュース作品となると、その曲調に独特のエグさが加わって、やはり納得させられる部分が多いです。
 割と何の変哲もない、かつてのフォークソングや歌謡曲のような曲ですが、なんとなく心に響く部分があるというか。この辺はさすがだと思いますし、なっちさんの個性にもよく合っていたということでしょう。

 m6.ちょっとずつね。
 そういった意味合いから、続くこの曲もいかにも「つんく」らしい佳曲でしょう。サビの「ちょっとずつ、ちょびっとずつ」「ちょっとずつ 幸せ感を」なんて歌詞はすごく惹かれます。CDでは割とリズムをかちっと強調してAOR色を出していましたが、今回はアコギと生ピアノを生かすように、かなり抑えたアプローチにしました。それで、大人っぽさと危うい心情もより深くなったのでは、なんて思っているのですが。
 
 m7.息を重ねましょう
 「Angelic」では贅沢にもインストでつなぎ曲として使っていたシングル曲でしたが、今回は晴れてちゃんと演奏できました。それにしても、ダンスホール・レゲエ的なリズム・パターンはCDよりもライブの方がより引き立つ気がします。CDバージョンに少々かけていたアグレッシヴさを今回うまく引き出せたのでは思っています。
 それと何度やっても冒頭のドラム・フィルインからピアノ・メロが入るところがたまらんです。ただし、初日の浜松1回目では私が裏表が逆になってしまいヒヤヒヤでした。そういった意味でもスリリングで面白かった?

 m8.さよならさえ言えぬまま
 "スクリーン"とのカップリング曲で、スクリーンの続編とも言える内容とのことで、なっちさんもかなり思い入れを込めた楽曲でしたし、全員にとっても新曲だったので、一番リハを重ねた曲と言えます。
 私の意識としては、"スクリーン"とこの曲だけはCDの世界にそって、キチっとやろうと思っていました。それが、他の曲との違いにもなって良かったのではと感じています。それと会場からの反応は"スクリーン"以上に大きかった気がしました。

 m9.ヴァンサンク(27バージョン)
 ヴァンサンクというのは25のフランス語だそうですが、今回は27歳のニューバージョンをベースにやりました。
 正直この曲は、メロディがあまり引っかからずに流れて行ってしまうし、コードも頻繁に変わるので演奏での変化をつけにくい感じです。しかし、歌い手としては詞の内容をじっくりと聞かせたいという気持ちになる曲なのだと思います。だから、歌のじゃまをしないように、それでいて平坦にならないようにと心がけました。
 だが、もうちょっと何とかなるのでは、とも思います。今後28,29...と続く作品として、次回はより工夫したいとも感じています。

 m10.甘すぎた果実
 この曲はm2の"スイートホリック"とともに、今回いい意味での裏切りとも言える演奏になったのでは、などと勝手に思っています。とりあえず、自分にとってはかなりのめり込んで演奏できた曲になりました。
 CDでのストリングスやシンセなどによるゴージャスな音作りでなく、それらのフレージングを生ピアノ一本に集約し、キラキラしたサウンドを排してザックリした感じになったことで逆に力強さが出てきたとも言え、よりライブっぽかったのではないでしょうか。
 ところどころ、ワルノリして荒っぽくなった部分もありましたが、それより、金太郎飴のように毎回同じような演奏にならなかったことの方が、個人的にはとても好ましいのでした。

 m11.愛しき人
 前曲であまりにも爆発しすぎると、この曲が地味に感じる瞬間もありましたが、やはりジワジワと気持ちが高ぶってくる曲で、なっちのライブには外せない楽曲なんだと思います。
 「Angelic」でやった時に、私が思う以上にファンとご本人との間を結ぶ大切な曲なのだということを実感したので、今回はそういった意識を強くもってのぞみました。このあたりになると、会場のヒートアップぶりは最高潮でしたね。

 m12.微風(そよかぜ)
 本編最後のこの曲は、ほとんど新曲であるとも言えるのでしょう。で、現在のなっちさんに一番ピタっとくる内容なのでは。歌に込める気持ちはもちろんですが、こちらがサビあたりでかなり盛り上がっていても、ちゃんと受け止めてしっかりと歌いこなせているのは、作品に強く共感しているからだと思います。
 イントロ、間奏、エンディングは本来はストリングスなどで豪華に行きたいところを、今回は全てピアノでやりましたが、音の厚みは多少失っても、元々のフレージングとムードはきっちりと再現するように頑張ってみました。

 En.夕暮れ作戦会議
 アンコールはドカーンと行こうということで、選ばれたこの曲は楽しさの極致でした。スプリングスティーン調のロックとも言えるし、モー娘。的ポップでもあるし、いずれにしろ文句なく、皆で盛り上がろうという意図にはピッタリでした。会場中一緒のフリも、こちらから見ていても楽しかったです。でも、演奏面ではかなりの力技で重労働でしたけど。
 エンディングではかなり引っ張りましたけど、どんどん会場からの反応も強くなっていったので、こちらも思わずノセられてしまいました!

 というわけで、「春の微風」というタイトルながら、最後には「春一番」も真っ青の「春の嵐」のごとく燃え上がったパフォーマンスになりました。終演後も興奮冷めずに、冷たいビールを飲み干しながら全員で健闘を讃えておりました。

 2週間足らずの短い時間でしたが、前回以上に濃密な時を経験でき、メンバー・スタッフ共に、満足感とともに次への自信にもつながる明らかな成果を感じられたツアーでした。
 そして、全4ヶ所10公演にお越し頂いたファンの方々には、心よりお礼を言います。本当にありがとうございました。
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by harukko45 | 2009-02-16 18:33 | 音楽の仕事

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