オバマ大統領就任

 オバマ大統領の就任式の模様を見ていて、式そのものの厳粛さに、ずいぶん心を動かされた。

 その前日からの有名人多数出演の祝賀イベントやそれにまつわるメディアや一般市民のフィーバーぶりには、少し首を傾げながら見ていた私だけに、肝心の就任式も極めてハリウッド的な演出の中、"Change""Hope""Yes We Can""We Are One"といったオバマ語録の連発による、予定調和的なクサい楽観主義に終始する映像を見せられるのではないか、と危惧していたのだが、全くそうはならなかった。
 それは、宣誓後の就任演説において、これまでキャンペーン中に連呼していた言葉はほとんどなく、今の厳しい現実をしっかりと見据えて、アメリカ国民に責任と自覚を訴えた重い内容だったからであり、その中身の濃さにすっかり参ったのである。

 この演説の内容、オバマ大統領の意図については、専門家がすでに分析を始めているし、これからどんどんと論評や論戦が繰り広げられるだろうが、私が特に印象に残ったものを上げたい。

 ・我々が直面している試練は現実のもので、数多く、そして深刻なものだ。短期間では解決できない(過剰な期待への警鐘)。だが、アメリカはいつか克服する。
 ・我々が問うのは、政府が大きすぎるか小さすぎるかではなく、機能しているかどうかだ(レーガンからクリントンを経て、ブッシュと続いた「小さな政府」絶対論の否定と、そのようなイデオロギー論議そのものの否定)。
 ・市場が正しいか悪いかが問題ではない。だが、今回の危機は豊かな者のみを優遇する国は長く繁栄することはできないことを気づかせた(ブッシュ政権の経済政策への批判)。
 ・責任を持ってイラクから撤退し、アフガンでの平和を取り戻す(彼はシンプルな平和主義者ではない。イラク戦争は終わらせても、アフガンでの戦いは続くに違いない)。核の脅威を減らす努力をし、温暖化とも戦う。
 ・テロリスト達に対し、告げる。我々の意思の方が強く、それを曲げることはできない。我々は打ち負かす(テロとの戦いは続く)。そして、イスラム世界とは共に歩む関係を探す。
 ・責任を果たすべき新たな時代だ。自分自身や国家や世界に義務を負っていることを認識し、喜んで受け入れることだ(先人達の精神を何度も語りながら、そこへの回帰こそがアメリカの復活復権への道だと説く)。

 歴史に残るような名文名文句があったわけではないし、聞いていた人々が熱狂的に拍手するようなシーンもあまりなかった。だが、そのような派手さや煽動的な要素を全く排して、きっちりとした現状把握とそれに立ち向かう覚悟、国民には甘い希望ではなく自覚と責任を強く訴える姿勢に感服した。これが、信頼できるリーダーのあるべき姿にちがいない。

 と同時に、これからのアメリカが進む方向性も少し見えてきた。経済の立て直しはとても大変であろう。そして、外交面においては、彼によって平和がすぐにやってくるのではなく、今しばらくは「テロとの戦い」は続く。
 アフガニスタンが彼の「ベトナム戦争」にならないことを強く願いたい。
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by harukko45 | 2009-01-21 23:14 | 日々のあれこれ

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