ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(12)

詳細(11)からの続き。

 宮崎あおいさんが再登場。"Imagine"の詞を朗読。今度は前よりも長めだったから、お客さん達も安心していたかな。とにかくお若いのに凛として素敵な佇まいを持っていらっしゃるなぁ、と感心しました。

 そして、いよいよ奥田民生さんを迎えて。

 奥田民生さんは日本を代表するアーティストというだけでなく、ビートルズ強者でもある。おまけに、ギターもうまい。そして、今回はかつてのツアーバンドのメンバーが二人(古田、長田)いる。何も心配することなどない。もちろん、民生さんは常にリラックスしたムードを作り出してくれる人。それに、ほぼ毎回のようにこのイベントに参加してもらっていて、今やイベントの顔の一人でもある。だから、スーっと入ってきて、パっとやって、スーっと帰っていく。それが彼のカッコよさだ。

e0093608_1246334.jpg 「Rubber Soul」の2曲目で静かながらインパクト十分、そしてすぐにそのサウンドとメロディの虜になってしまう名曲"Norwegian Wood(This Bird Has Flown)"が、何の力みもなく民生さんのアコギから始まった。この曲はキーボードは二人とも休み。アコギ2人とベースでベーシックはOKで、サビからバスドラムとタンバリンが加わってくる。
 また、この曲はビートルズが初めてシタールを導入した曲としても有名で、我々は土屋さんの「自主制作」によるエレキシタールで再現した。土屋さんはギターの名手だけでなく、改造の名手でもあります。安物のギターを自ら改造してエレキシタールに仕上げてしまったシロモノですが、これがちゃんと良い音するんです!
 そして、重要なハモ・パートも日本最高の相棒役・押葉くんがいれば何も問題ない。

 ところで、この"Norwegian Wood"、日本語タイトルは"ノルウェーの森"となっているが、それだけで北欧の幻想的な世界をイメージしながら曲の詞を読むと、その内容が全く違うことに驚いてしまう。簡単に言えば「ある一夜の情事」を歌っただけで、その彼女の部屋がノルウェー産の木材で内装されていたってことらしい(ポールの解説によると)。
 また、労働階級の人が住むアパートの内装に使われる木材を指すこともあって、登場する女性が裕福でないことを意味しているという。
 この"wood"はあくまで森であるという意見は、わざわざサブタイトルに"This Bird Has Flown"と女性を鳥に例えているからだ、と主張。対して、"wood"は家具であるとする根拠は、彼女の部屋には椅子がなくベッドだけあり、それがノルウェーの木材製の安物という意味であると。
 いやぁー、面白い。さらに芸が細かいのは、間奏前にベッド・インし、間奏が終わると情事は終わり、「朝から仕事があるから」と言われ、「しかたないから風呂で寝た」とのオチがつく。さらなるポールの解説では「So I lit a fire」は風呂で寝させられた復讐のために燃やしたのだ」と。
 ちなみに日本の訳者は「意味を取り違えた」と認めているし、ポールはこの曲を「Rubber Soul」におけるコメディ・ナンバー1号としている。(2号は"Drive My Car")

e0093608_21383180.jpg 続いて、Charさんをお迎えして、奥田+Charによる"Come Together"。そのかわり、土屋,長田の両人はお休みである。
 Charさんは登場してすぐに何気ない感じで"Come Together"のイントロを弾き始めた。それが、すごくジャムっぽい雰囲気で、何とも60年代後期から70年代初頭を思い出させる。二人はすでに、山崎まさよしさんを加えての「三人の侍」というユニットをやっており、もう息も気配も即刻承知の仲。だから、ここに関しても全く心配ない。

 それにしても、Charという人はかっこいい。正直、「日本のロック」というジャンルにこれだけ「カッコイイ」という言葉がはまる人は他に何人いるだろう?
 もちろん、そのパフォーマンスや音楽性がかっこいいというのはたくさんいるだろう。だが、Charはまず見た目だけでかっこいいし、ギターがかっこいいし、歌がかっこいいのだ。

 まるでファンから目線でのレポになってしまっているが、それもしかたない。この時はまさに「スーパー・セッション」か何かに加わっている感じで、メインの二人のボーカルとギターを全て聞き逃すまいとしていたのだった。

e0093608_22354100.jpg さて、奥田さんを拍手で送り出して、このコーナーの3曲目はCharさんと押葉、古田、和田という4リズムでの演奏になった。こういう編成、特に私はオルガンのみだったので、完璧に60,70年代ロックのサウンド、ムードになる。はっきり言って最高でしたね。こういうセッションが出来たのは!
 曲は"Ticket To Ride"でトータスさんと一緒なのだが、Charさんは最初からヴァニラ・ファッジによるカヴァー・バージョン(1967年の1stアルバムに収録)をベーシックにしたいとの話だったので、どちらもそのままのセットリストになった。

 で、このバージョンは思いっきりサイケデリックな、かなりエグいサウンドなのだが、よく聴いていくとコードチェンジに、ニューソウルっぽいセンス(メジャー7th、9thの使用)があったりして、なかなかオシャレで面白い。
 イントロでのオルガンは前の"Norwegian Wood"のAメロと同じミクソリディアン・モードでソロをとっているが、このスケールだとバグパイプのようだったり、インド音楽風だったりして、それがサイケの香りをプンプンさせる。

 その後、ギターがビートルズのリフを弾くのだが、ベースがG-F-E♭-Dと定番の下がっていく動き、Charさん曰く「ハートブレイカー進行」なので、ビートルズの気配は全く消されている。これはリハの時に、Charさんがその場で決めていったことで、ヴァニラ・ファッジはこれとは違った動きをしているし、ところどころのアレンジもセッションをしている流れの中で変えていった。
 ヴェニラ・ファッジのコピーをしているのではなく、ベーシックにしながらも、その場その場の即興的な発想を大事にしていくのが、彼のやり方なのだった。

 実を言うと、Charさんは頭の回転がとても速く、どんどんアイデアが出てくるのだが、その最終型アレンジではちゃんと通さず、「こんな感じでよろしく!」と言ってその時は終わったのだった。
 その後、リハの録音を聴いた我々3人は、もう少し煮詰める必要を感じて、次の日に居残り練習を敢行、コーラスのパートを振り分けたり、ギター・ソロへのキッカケを作ったり、あやふやだったコードを決めたりしたのだった。それもギター抜きのオルガン・トリオだけで成り立っちゃうのは、ヴァニラ・ファッジ・バージョンだったせいだけど、まるで高校時代のバンド練習を思い出すようで楽しかった。

 というわけで、本番を迎えたわけですが、4人とも燃えました。ここでのCharさん、素晴らしかった。本当のロック・ギターそのものでした。それに歌がいいんだ、歌が。で、我々3人もコーラス健闘していたと思います。
 その後、TVオンエアーのためにトラックダウンを受け持った押葉くんによると出色のミックスに仕上がったとのこと、「カッコイイです!」とのメールが届き、大いにうれしくなったのでありました。


詳細(13)
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by harukko45 | 2008-12-28 23:16 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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