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ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(8)

詳細(7)からの続き。

 Salyuさんが終わり、宮崎あおいさんによる"Love"の朗読のコーナーだったのだが、「俺たちゃ、そのまま居ていいのか?」と一瞬たじろぐも、今さら動けないからじっとしていることに。ただし、朗読されたのが"Love"だったから、すごく短かったですね。せっかく登場されたのに、すぐに引っ込んでしまったので、会場もちょっと「エッ?」ってムードが。とは言え、可憐というか、やはり魅力的な女優さんでありますなぁ。

 そして、ゆずの登場。彼ら目当ての「ゆずっこ」の皆さんが今回は多かったですなぁ。オープニングでの会場の盛り上がりもゆずのおかげだったかも。そして、あらためて彼らの再登場で、ものすごい大歓声がわき起こったのでした。

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(8)_e0093608_1715215.jpg そんな彼らの1曲目は「Rubber Soul」に収録された名曲"In My Life"。ジョン曰く「初めてまじめに作った曲」と、本当だか嘘だかわからんコメントがついているが、イントロから本編、間奏のすべてが完璧に作り上げられた傑作であることは、誰も否定しまい。
 
 で、なんと言っても印象的なのはジョージ・マーティンによるバッハ風のピアノの間奏部分。テープのスピードを落としてダビングしたということで有名だが、聴き手の誰もが知っているフレーズだけに、何とも嫌なプレッシャーのかかる所だ。
 それと、私が関わったスーパーライヴにおいては、これまでこの曲をとりあげるアーティストは女性が多く(森山良子さん、平原綾香さん、木村カエラさん)、そのたびにキーが変わっていた(2003年の森山良子さんはご自身の弾き語り)。今回は初めての男性アーティストであったのだが、ゆずの二人もオリジナル・キーではなく半音上のB♭の指定だった。つまり、我々は一回もオリジナル・キーではこの曲を演奏していないのだった!
 まぁ、そんなこんなでキーボード弾きにはやっかいな曲であることは間違いない。

 今回ゆずは、1コーラス目を彼らだけで歌って自分達らしさを出したい、とのことで、ギターのメロによるイントロはしばしお預けになった。
 そのかわり、かなり表情をつけながら、バラード調で北川くんが歌い始めたので、それだけで「ゆずワールド」全開となり、ファンの皆さんのボルテージも一気に上がったのではないだろうか。

 ただ、リハの段階では1コーラスをほとんどノン・テンポで歌い、2コーラス前のブリッジで、おもむろにバンドが入ってくるので、どうしても1コーラス目が本編の前置きのようだった。しかし、それから本番までに彼ら二人もしっかり煮詰めてきてくれ、当日にはリハ時に感じた流れの悪さはすっかり解消されて、よりドラマチックな内容になっていたと思う。
 それと、若々しい北川くんが歌うことで、すごくピュアで前向きな雰囲気も生まれたのではないだろうか。

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(8)_e0093608_0371581.jpg MCをはさんでのもう1曲は、「Double Fantasy」のオープニングを飾り、タイトル通り、ジョン自身の「再出発」を意味した"(Just Like)Starting Over"。
 全体の曲調は50年代風のロックンロールで、ジョンの歌い方も彼の原点と言えるエルヴィス・プレスリー風を意識しているし、そのボーカル・サウンドには50年代風のテープ・エコーがかかっていて、何から何まで懐かしい演出がなされていた。
 だが、それが単なるノスタルジックなだけの表現になっていないのは、実際のミュージシャン達の演奏がかなりカッシリとしたもので、ジョン曰く「1950年代のロックンロールを、1980年代(その当時の今)風にアプローチした」からということになる。

 つまり、自らの原点を見つめ直しながらも、今を共にする君(ヨーコ)とともに再出発しよう、という歌詞の内容を忠実に音で表現していたのだった。
 ひょっとしたら、ゆずのお二人は意識しての選曲だったのか、前の"In My Life"も人生を振り返りながらも、過去の思い出よりも今の君をもっと愛している、という内容で、基本的にテーマは一緒だったのだ。もし意識的にこの2曲を選んだのだったら、なかなかやるではないかと感心する。

 それと、バースの部分は、北川くんがオリジナルよりもゆったりと感情を込めるように歌い、リズムが入ってからのプレスリー風な部分を、岩沢くんがいつもと違う低音で歌うという工夫があり、この辺の演出力もよく練っているなと思った。
 そうそう、それと本番当日のリハで、北川くんが私のところに来て、新たにコーラス・パートをつけてほしいとの要望があり、一瞬目がくらんだが、何とかやるだけはやってみた。果たしてその効果があったかどうかは録音を聴いてみなくてはわからないが、ギリギリまでトライしようとする姿勢は悪くない。

 また、この曲のエンディングは自然に淡々と終わってもいいのだが、ゆずは最後をガツンと盛り上げることを選んだ。なので、我々は3連符のパターンをじょじょに強調しながら、頂点に向かって上る感じだったが、岩沢くんもアコギをガツガツかき鳴らしたりしていて、かなり面白かった。
 正直、これほどまでに明るくて前向きな"Starting Over"は初めてだ。詞の内容はそうでも、この曲がリリースされた直後にジョンの死があったので、どうしても私のような世代は哀感が漂うイメージでとらえてしまうからだ。だが、ゆずにとってはあくまでピュアに「再出発」ととらえていたのが新鮮だったし、むしろ正しい解釈のようにも感じられたのだった。

 それから、彼らはこの曲でもキーを上げていた。それもオリジナルよりも短三度上のCにである。この明るさ、ピュアさはその影響もかなりあるようにも思っている。


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by harukko45 | 2008-12-27 00:36 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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