人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(3)

詳細(2)からの続き

 オープニングに続く本編のトップバッターは絢香さん。彼女はひょっとしたら、これまでで最高最強の1番バッター、まさにイチローばりの存在だったと言ってもいいかもしれない。スタジオでのリハーサルでもその歌のうまさ、天性の声の良さについては驚かされたが、本番日でのリハーサル、それはまだ午前中のことだったが、体の起きていなかった我々バンドを叩き起こすに十分なほどパワフルな歌声を披露し、再び私は感嘆したのだった。
 そして、もちろんそれは本番でもしっかりと再現された。私は3度の奇跡に遭遇したと言える。それほどまでに、彼女の歌声はモヤモヤと曇った気分を消し去り、目の前に希望に満ちて澄み切った青空を映し出すかのようだった。

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(3)_e0093608_910139.jpg そんな彼女の1曲目は、これまたビートルズ初期の傑作"Eight Days A Week"。4枚目のアルバム「For Sale」に収録されているが、元々は彼らの主演映画の主題歌として作られたものの、インパクトに欠けるということで、その座を"Help!"に譲ったという曲。相手が"Help!"では致し方ないかもしれないが、これがボツ曲とは信じられないぐらいの完成度の高さ。
 ジェネシスのトニー・バンクスはこの曲を聴いて衝撃を受け、クラシックからロックに転向した、と語ったそうだが、その気持ちもよく理解できる。

 演奏面においては、楽しさの極致!やっていて微笑みがあふれてしまう。まずはイントロの美しい12弦エレキのフレーズ、それにからんでくるベースとタムによる3連符の刻み、ポップで親しみやすいメロディに輝くようなジョンの歌声、そこに絶妙のセンスでつけられるポールのハーモニー。特にサビである「Eight days a week. I love you...」のくだりでの5度、4度でハモるところは、民族音楽風というかスコットランド民謡風というか、とにかくその和声感覚にハっとさせられるし、その後半で6度のハモに移っていくところが「たまらん」のだ!

 実際の我々は、絢香さんをステージに呼び込む時間を作るために、オリジナルではフェイド・インになっているイントロをのばした。そのリフレインのたびに盛り上がっていく形にしたのは、彼女の歌をワクワクして待つような感じでなかなか良かったと思う。
 また、ハモのパートはキーが女性用に上がったので、オリジナルの積みとは少し変えたが、例のサビの部分の2声はそのまま再現できた。ただし、主メロが絢香さん1人、そこにハモが押葉、土屋、和田の3人になってしまったというのも、相手が絢香さんだからと言えるか(?)

ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(3)_e0093608_9523626.jpg そして、2曲目の"Mind Games"(1973年のアルバム「Mind Games」の表題曲)。"Imagine"同様に反戦ソングとして知られているが、今ではもうちょっと普遍的な愛についての意味合いもあるように思うし、女性が歌うことで、よりそういったニュアンスが強くなる気がするが、どうだろうか。
 そんな意味合いも込めて、我々はガッチリとバックにまわって、絢香さんの熱唱を大々的にフィーチャアすることにした。

 この曲は中盤に2回、レゲエのビートで演奏される部分があるが、基本的には4小節の同じアンサンブル、同じリズムを延々とループのように繰り返す中、ボーカルが歌い尽くすもの。ジョンのような天才ボーカリストならではの作品であり、オリジナルのような形でやりきるのはなかなか難しい。
 なので、ボーカリストによってはこちらも少し変化をつけたり細工を施す必要が出てくる曲なのだが、今回は最初からオリジナルの雰囲気で持ちこたえられると確信していた。そしてその思惑は的中し、我々も演奏しながら絢香さんのボーカルを堪能する喜びに浸れたのだった。それに、演奏しているだけでも、この延々と続く繰り返しはじょじょにトランス状態を生み出すので、実に気持ちよかった。

 そして、そのエンディングで、私としては彼女の巧みなフェイクを聴きたかったので、十川さんのピアノのみで二人にお任せした。まさに、催眠状態だった我々を目覚めさせる効果抜群のカッコイイ締めくくりをキメてくれたと絢香さんには感謝している。

詳細(4)
名前
URL
削除用パスワード
by harukko45 | 2008-12-24 10:21 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


by harukko45