ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(2)

詳細(1) からの続き

 ジョン・レノン・スーパーライヴ2008のオープニングはこれまでにないものとなった。"Ono/ Give Peace A Chance(The 2008 Remix)"のサウンドと映像が流れる中、ステージに上がったのだが、煽動的なクラブ・サウンドとヨーコさんがスクリーンから語りかける「Think Peace,Act Peace,Spread Peace...Imagine Peace」のメッセージに心はどんどん高ぶるばかりだった。
 満員のお客さん達はオープニングに誰が出てくるかが一番の関心事だったろうし、特にバックスタンドで見ていた人たちには、ステージに上がってくる様子が丸見えだったから、その瞬間の熱狂ぶりは凄かった。
 登場したのは、奥田民生、トータス松本、斉藤和義、そして、ゆずのお二人。彼らが現れるとほとんど悲鳴のような大歓声が起きて、古田君のカウントは全く聞こえなかったし、その会場からの(特に北側のスタンドからはモロに伝わってくる)「気」の凄さにこちらは吹き飛ばされるのではないかと思うような圧力を感じた。

e0093608_21515694.jpg そんな中、我々が演奏し始めたのは、ビートルズ1968年のアルバム「The Beatles(通称:ホワイト・アルバム)」に収録された"Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey"。
 ホワイト・アルバムは玉石混淆と言われるが、それが故に意外と飽きずに聴き続けてきた作品。確かに、ジョージ・マーティンが主張したように曲をもっと厳選してしぼれば、文句なしの傑作だったかもしれない。
 だが、ことジョンに関して言えば、久々に多くの作品を収録しているし、ロック色の強い曲ではジョンのかっこよさが十二分に発揮されていると思う。

 で、この"Everybody's..."だが、とにかくベルが必要だ。曲全般に渡って、けたたましくも実に陽気に16ビートを刻む金属音は何かのベルだと思うのだが、その正体はわからない。が、これがなくてはこの曲にならない。なので、古田くんのローディである佐藤くんは毎年何らかのパーカッション担当で登場するが、今年はいきなりオープニングから働いてもらった。
 彼にはこのベルもどきの金属をぶっ叩くだけでなく、2コーラス目から登場するチョカルホというブラジルの楽器の部分もお願いした。チョカルホはブラジルのマラカスらしいが、今回はシェーカーを思いっきりガシャガシャ振ることで代用した。
 これ以外にもギターによる2種類のリフといい、全く持って独創的でかっこいいベース・ラインといい、どれも煽りまくるような演奏で、常に聴き手を刺激する。ビートルズの過激で、実はよく考えられた作風が楽しくってたまらない。

 このマニアックでありながら、演奏効果抜群の曲で、我々バンドはのっけから大爆発モードだったが、ボーカルを担当した皆さんもかなりのテンションの高さ。民生さんとトータスさんはお互いに競い合うようにキメまくっていて、ゴキゲンだったなぁ。一方で斉藤さんのマイペースぶりも光る。

e0093608_22383216.jpg 土屋さんのギター・ソロをはさんで、カットアウトのエンディングを作り、そのまま私がサンプラーでリバースSEを引き出し、全員で"A Hard Day's Night"の例のジャーン!へ突入。実はここが心配だった。スタジオでのゲネプロと、本番前のリハで私のコンピューターがエラーして、SEが途切れてしまうトラブルがあり、私は直前まで確認しながらも、無事に音が出てくれるよう祈る気持ちでいたのだった。だが、本番では完全にうまく行き、そのまま予定通り"A Hard Day's Night"につなぐことが出来たのだった。
 正直、ここでうまくいかなかったら、ガックリであった。オープニングからトラブルではショックでしばらくは引きずってしまったであろう。だが、何とか危機を乗り切ったことで、私個人は狂喜乱舞して、一気に盛り上がったことは言うまでもないのでした。

 初期ビートルズの最高傑作であり、ジョンの作品としても代表作の一つであるアルバム「A Hard Day's Night」の表題曲であるこの曲はイントロからエンディングまで一つとして文句のつけようのない大傑作。だが、今回はあえて前曲の過激な部分に近づけるために、オリジナルよりもヘビーなギター・サウンドとドラミング(Bメロではザ・フーのようだった)でトライした。ここまで良く出来た作品だから、多少ニュアンスを変えて演奏したってビクともしない。ハードならハードなりにカッコいいのだった。
 ゆずの二人が普段の雰囲気とはちがったシャウトを聴かせてくれたのも楽しかった。でも、やっぱこの曲は自分でも歌っちゃうね、演奏しながら。

 先に書いた心配事も無事に過ぎ去り、やっている曲も素晴らしかったし、皆の演奏もいいノリだったので、私自身もかなりの興奮度に上がっていたことは確か。こういう時に冷静に振る舞えればいいのだが、私には無理のようだ。だから、その後誰がどこを歌ったのか、記憶にない。とにかく、これまでで最高にハードでロックなオープニングにしたかった思いはほぼかなったと思った。

 本編からは離れるが、実はこのオープニング2曲、スタジオでリハーサル中にオノ・ヨーコさんが突然見えた時に、演奏してお聴かせしたものだった。その時は、奥田さんのリハーサル時間だったので、リードボーカルは奥田さんと我らが押葉君だった(この押葉バージョンの"Everybody's...Me And My Mokey"は強力にかっこ良かった!)。この時の演奏にヨーコさんはとても喜んだそうで、その翌日、我々バンドは直筆の手紙を頂いたのだ。その達筆さに感心しながら、その内容にもいたく感激した我々が燃えない訳がないのだった。
 そういった意味でも、とても記憶に残るオープニング曲だった。

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by harukko45 | 2008-12-22 23:03 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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