ジョン・レノン・スーパーライヴ2008の詳細(1)

 本番終了から早2週間も経ってしまったが、遅ればせながら今年のスーパーライヴについてまとめておこうと思います。
 思い返せば、ほぼ1ヶ月前の11月14日に初打ち合わせがあり、今年の方向性と出演されるアーティストについて説明を受けただけで、例年にはない緊張感を一気に感じるようになりました。それは、このイベントが8年目を迎えて、それ自体の熟成から来る「重さ」を持っていることに突然気づいたからでした。
 それで、自分がひどく小さな存在に思えてきました。このようなイベントで何故に無
能・無力な自分が音楽的な仕切りを任されているのか、ひどく疑問に思い始めてしまったのでした。

 とは言え、時間は確実に過ぎ去り、そのような気持ちを抱きながらも何人かのアーティストの皆さんと打ち合わせをし、譜面を書き、リハが始まり、あっと言う間に12月8日を迎え、そして終わりました。
 その時感じた私の思いは「全体としては大成功、個人的には大失敗」。

 「個人的には大失敗」はあくまで自分の問題ですから後にしますが、「全体として大成功」と強く感じた最大の要因は、何をおいてもオールラインナップによる3曲のパフォーマンスの素晴らしさに他なりません。

e0093608_15522614.jpg あの時のステージ上はものすごいエネルギーに満ちていました。吉井和哉さんの歌いだしで始まった"Happy X'mas"は、全員でのコーラスの部分がとても充実して響き渡り、これまでになかったほどの音楽的な豊かさを獲得しました。これは、本番直前のリハーサルで、デリコのNaoki君がリーダーシップをとって、コーラスの確認と練習を促してくれたことが大きかった。
 どちらかというと、こういった場面で控えめになりがちな日本のアーティスト達も、Naoki君のアクションにちゃんと反応したのでした。そして、一気に全員が熱意を持って取り組み始めたことは特筆に値するでしょう。その成果は見事に本番で実を結んだのでした。
 それは、そのまま"Power To The People/Give Peace A Chance"のメドレーに引き
継がれました。アレンジは去年と変わらない内容でしたが、ステージ上の一体感と高揚感は尋常なものではありませんでした。この時の興奮はずっと忘れないでしょう。そして、それぞれの歌詞、「人々に力を!革命が必要だっていうんなら、今すぐ力を合わせるんだ。両方の足でしっかり立ち上がって、通りに飛び出すんだ。そして歌おう、人々に力を、今すぐに!」「私たちが言っているのは、『平和にチャンスを与えよう』ってことだけさ」の意味を体中全てで把握できた瞬間でもありました。

 そういった状況は、オノ・ヨーコさんの心にも何かを与えたのでしょうか。常に気丈で凛とした姿勢で我々の前に立っていらしたヨーコさんが、最後の曲を前にジョンとの思い出を話しているうちに、思わず涙ぐんでしまうとは誰が予想したでしょうか。これには、私も熱いものがこみ上げてきてしまいました。ふと見るとドラムの古田くんの目も真っ赤になっていました。
 
e0093608_17323210.jpg そして、ヨーコさんが振るベルを合図に"Imagine"を始める、との段取りでしたが、曲の前のMCで、そのベルがジョンの遺作となった「Double Fantasy」の1曲目"Starting Over"の冒頭で鳴らされていたものだったというのを聞き、実際にその音色に導かれて、十川さんが弾く"Imagine"のイントロが聞こえてきたことで、感動は頂点に達してしまいました。

e0093608_5473177.jpg 終演後のパーティで斉藤和義さんが挨拶されましたが、その時に「あのベルが"Starting Over"で使われたものだと聞いて、ブワーっと感動が背中を伝わってたまらない気分になった」と語ってくれました。まさに、あの瞬間のステージの状況を言い当てていたと思いました。だから、今回の"Imagine"がこの上なく素晴らしく美しく感じたことは言うまでもありません。そして、昨年クラウス・フォアマン氏が言っていた「ジョンはここにいます」を再び思い返したのでありました。

 正直、この時に自分の頭は真っ白になったように感じました。終演後のパーティで一緒にいたベースの押葉くんが「立っていても、地面に沈み込んでいきそうです」と話してくれました。私も同じ気持ちでした。たぶん、二人はボーっとしたまま立ちすくんでいて、ずいぶん妖しげな感じだったでしょう。
 なので、ワイワイと飲んで食べて、楽しく会話がはずんで、という気分にはならなかったのでした。大きなプレッシャーから解放された安堵の思いとともに、懸命に誠意を持って取り込んだものの、実際は力不足の自分が見えた気もして、実に不安定な気分でもありました。

 また、全てが終わって、トリビュート・バンドの各メンバーと握手をして別れる時に、心の底から彼らのおかげで何とか無事に終えることが出来たのだと思い、深く感謝の気持ちで一杯になりました。土屋潔、古田たかし、十川ともじ、押葉真吾、そして今回初参加の長田進、の皆さんはまさに「プロ中のプロ」として素晴らしかった。あらためてお礼を言いますし、大いに讃えたいと思います。

 というわけで、いきなりエンディングのような書き出しになりましたが、この後じょじょに振り返っていきたいと思います。また長くなりそうで恐縮です。

詳細(2)
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by harukko45 | 2008-12-22 11:34 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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