サカイレイコ/青い部屋

 先週の19日は、2月6日以来のサカイレイコさんのライブ。今回は彼女のホームグラウンドの1つと言える渋谷の「青い部屋」でのワンマンだった。「青い部屋」はシャンソン歌手であり、作家、文化人として有名な戸川昌子さんのお店であります。で、レイコ嬢は戸川さんのお気に入りの1人なのでありました。うーん、何かわかる気もするね、毒気とか、強さとか、それでいて繊細さとか、微妙さとかから来る共通点がね。
 ある意味、ピアフを中心にとらえる日本のシャンソンという「独自」なジャンルは、戸川さんの強烈な存在が支えている部分って今もなお大きいのではないでしょうか。終演後に初めてお会いして、お話もさせてもらえて光栄でありました。いやはや、とにかくお元気ですし、若々しいし、はっきり言ってスケールがでかいです、人間としてね。そういうものが、普通にしていても感じられるわけです。だいたい、普段着で来たとか言ってて、着てらっしゃるのは真っ赤なロングドレス。なのに、花粉症(?、カゼ?)のせいでずっとマスクをしているルックスだけで、ぶっ飛びました。

 さて、我々自身のパファーマンスですが、前日までカゼで高熱を出していたレイコさん、本番前のリハでは、大変ナーバスになっていましたが、実際に始まってしまうと、持ち前の根性と舞台人としての意地がそうさせるのか、場所と満員のお客さんのエネルギーをもらったか、全く病気上がりを感じさせない歌声でした。それに、後半に行けば行くほど、力強さを増していった感じで、バックのこちらにもビンビン伝わってきました。

 私個人的には、前回のマンダラの時よりもリラックスしていましたが、その分「守り」の部分もあって、ちょっと反省です。が結局、最後には大汗かいて燃えてしまいましたから、これはやはりピアフの曲の凄さと、レイコさんの歌がハートに火をつけるのでしょう。

 曲に関しては、前回以上にクラシック・シャンソンが多かった感じで、"セ・シ・ボン(Cest Si Bon)"とか"パリ野郎(Paris Canaille)"なんて曲をやる自分を、去年までは想像もできませんでしたが、今では実に新鮮な刺激になっています。
 この頃のシャンソンって、ディキシーランド&ニューオーリンズ・ジャズのフォックストロット、スウィングっぽいグルーヴとニュアンス、それにヨーロッパのジプシー音楽、ワルツ、ボルカなどが面白いバランスでミックスしてあるわけで、なかなか演奏家としては興味の尽きない世界。それが、フランス語・文化、ピアフという強烈なフィルターを通すことで、より「アヤシく」なっているのでした。
 もちろん、「宝塚」的に豪華に、わかりやすくやっていくのもエンターテイメントとして正しいけど、その奥の、ちょっと「文学的」とも言える世界に深く入り込んでいくのが、やはり楽しく感じられるのでした。ここら辺の興味はしばらく続きそうです。

 前回のライブでもやった"群衆"や"ジョニー、お前は天使じゃない"には相変わらずゾッコンですが、今回初めてやった"ふさいだ心のマルゴ(Margot Coeur Gros)"、これがまたスゲー曲で、2分程度なんだけど、転調が6回もあって、頭クラクラ。全体的にサーカス音楽っぽく、ストリート・オルガン(手回しオルガン)が奏でるような世界。また、フェリーニ映画でのニーノ・ロータ風でもあり、かなり好きです。ただし、うまく弾きこなすにはなかなか難しかった。これは今後も要練習で、体にぶち込みたいと思っております。
 
 それから、ピアフの代表作の1つ"ミロール(Milord)"、これはいわゆる典型的な「ピアフ調」とも言えるミクスチャー・サウンドですが、シンプルなメロディと構成にもかかわらず、文学的かつ演劇的な音楽になっているのでした。でもって、実際ライブでやると、何だか盛り上がっちゃうんだな、これが。楽しいし、悲しいし、踊りたくもなるけど、泣きたくもなるってところ。

 それから、もう1つピアフの有名作"水に流して(Non,Je Neregrette Rein)"はスローなシャッフルが、ちょっと「水戸黄門のテーマ」風にもなりそうなんだけど、まさに「水の流れ」のように表現しなきゃいけないんだった。これもむずかしかったなぁ。でも、これもシンプルなのに、何とも深みのある曲だった。

 今回もサカイレイコさんには、いろいろ刺激とエネルギーをもらい、感謝です。まだまだ勉強して挑戦していくものは多いなぁ。音楽の魅力って、ほんとに尽きないなとまたまた実感いたしました。
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by harukko45 | 2008-04-23 16:47 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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