ジョルジュ・プレートルのニューイヤー・コンサート

 83歳のプレートル氏によるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート、去年のズービン・メータ指揮の箸にも棒にもひっかからないような演奏に比べて、圧倒的に良かったです。
 それにしても、これまでの最高齢、そして初のフランス人指揮者登場、この組み合わせを聞いて最初「何で?」って疑問に思った私でしたが、やっぱり80歳越えても現役でいらっしゃる方の技は違うということに深く感動いたしました。

 しょっぱなの"ナポレオン行進曲"の立派な響きで、まずはガツンときました。実にエネルギッシュでした。すぐに高齢者の演奏を「シブイ」ってことにしたがるもんですが、ぜんぜん「そんなの関係ない!」って勢いでした。それも、ただ力技でねじ倒したのでなく、十分豊かに音を響かせて広がりを持たせていたのは、素晴らしかった。
 また、"とんぼ"(長渕じゃないよ、ヨーゼフ・シュトラウスの美曲!)など、とっても映像的で詩情あふれる美しい表情を見せてくれたし、それでいて繊細さにこだわりすぎて、小さくなりすぎる最近の表現へのアンチテーゼとも言える堂々とした指揮ぶりにも魅了された。

 "皇帝円舞曲"や"美しく青きドナウ"といったおなじみの曲での「大きな歌い方」も素敵で、こういう風格とも言えるものはいわゆる「普通人」には出せないものだなぁと思ってしまうのでした。その大きさが全体に安心感を聴き手に与えて、何とも言えぬ楽しさにつながっていたように感じました。("美しき..."の出だし、明らかに次の"ラデツキー行進曲"と間違えて振り出したのはご愛嬌、ご本人も笑っていた。)
 
 クライバーやハーディングのようなキレの良さや洗練されたフォームは全くないけど、だからといってノリが野暮ったいかというとそんなことはない。逆に、腰の入ったグルーヴ感ってものがあるのでした。この辺は繰り返しになるけど、まさに「年齢なんか関係ない!」ってところです。

 だから、"トリッチ・トラッチ・ポルカ"のような「行ってシマエ!」的な曲でも、最近の多くの安全運転指揮者は優等生演奏で、アクセルとブレーキを同時に操作してしまうが、今回のプレートル氏は実に豪快な演奏で、久々に盛り上がったなぁ。
 そしてそれ以上に、一部の最後にやった"天国と地獄のカドリーユ"は圧巻だった。いわゆる「フレンチ・カンカン」のあれですが、もうかなりのハイテンションでオケにムチをいれ、ウィーン・フィルが弾きまくっていたのが面白かったし、それでいて音色が優雅なのがさすがでありましたし、見事にさばききったプレートルの技とウィーン・フィルの力が光ったのでした。

 とりあえず、私がこのコンサートを見始めた1991年からの中では、92年クライバー、2006年のヤンソンスとともに最高に楽しく、心から堪能させられた内容でありました。
 ところで、来年はダニエル・バレンボイムですか。もうすでに期待できないと考えております。(彼はものすごく素晴らしいピアニストですので、そちらに専念していただきたいのが、私のかねてからの希望です。)
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by harukko45 | 2008-01-03 16:34 | 聴いて書く

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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