ジョン・レノン・スーパーライヴ2007の詳細(1)

 ジョン・レノン・スーパーライヴは2000年に始まって、今年で7回目。そのうち、私は3回目に参加させてもらい、その後5回目からはバンマスを仰せつかって3年経った。特にそのバンマスになってからの3年間はどれも印象的なものばかりで、いつまでも素晴らしい経験として私の心に残っていくことでしょう。
 例えば、2005年では奥田民生さん、吉井和哉さんといった素晴らしいアーティスト達との競演だけでなく、オノ・ヨーコさんとパフォーマンスをするという信じられない機会を持ったこと。
 2006年は、バンド・メンバー中4人が前年と変わらず、そこに阿部義晴さん、黒沢健一さんを迎えて、よりバンド色が濃厚になったことが私には何よりもうれしいことでした。斉藤和義さんやスキマスイッチといった、今が旬でこれからも飛躍していきそうな素晴らしい才能にも出会えました。

 そして、2007年。我らがトリビュート・バンドのメンバーは土屋潔氏(彼は皆勤)、古田たかし君、押葉真吾君と私が3年連続不動。そこに実力あるキーボーディストであり、プロデューサー/アレンジャーとしても有名な十川知司さんと、これまた十川さんとともにENDLICHERI☆ENDLICHERIでも活躍していて、他方面でも引っ張りだこのギタリスト名越由貴夫さんを迎えた2007年バンドは、演奏面においてこれまでで最強であったことは自他ともに認めてしまいます、ハイ。

 ただし、演奏がうまいバンドに陥りがちな部分、じょじょにこじんまりとまとまってしまう危険もありました。が、やはりこのイベントの持つ凄まじいエネルギーがそんなことは許さなかった、例えば忌野清志郎、奥田民生、吉井和哉、斉藤和義という4人の日本を代表するロックスターが一堂に会するだけでも、ただでは済まないことは明白なのでした。

e0093608_1642649.jpg それに、まず今回は実に明解なテーマがありました。それはプロデューサーの斉藤さんからの「屋上セッション」というアイデアでした。ビートルズ・ファンのみならず、それなりにロックの歴史をご存知の方なら、当然ピンとくると思います。つまりはビートルズの映画「Let It Be」でほとんど無秩序にダラダラと垂れ流されるスタジオ映像が続いたあげくに、最後の最後でそれまでのすべて払拭するかのように感動的なアップル・ビルの屋上での無許可ライブ・セッションのことです。
 これはビートルズ4人(+ビリープレストン)にとっても、最後のライブ演奏・映像であり、この後にビートルズはアルバム"Abbey Road"を執念で完成させて、バンド活動を終結してしまい、二度とライブはやっていないのでした。

e0093608_16435872.jpg この屋上セッションで演奏された曲は、現在"Let It Be"と"Past Masters, Vol.2"、"Anthology"等で聞けますが、やはり2003年に突然発表された"Let It Be...Naked"で収録された5曲が圧倒的に素晴らしいと思います。この中からジョンをフィーチャアした3曲、"Dig A Pony""I've Got Feeling""Don't Let Me Down"が選ばれました。

e0093608_1645550.jpg そこに、演出面からの要望でオープニング映像からのつなぎに"Abbey Road"のA面最後に収録されたヘビーブルーズ"I Want You(She's So Heavy)"の後奏部分を使いたいとのことでした。実に面白いと思いましたね。最初の打ち合わせの時点で、暗闇のシーンでの"I Want You"から、一気に明るくなって屋上セッションに展開していくというワクワクするような絵が浮かぶではありませんか!!

 このオープニング・メドレーの音楽的な構成は私に任されましたが、私からの提案は歌う人は男4人で行きましょうということ。そして、選ばれてご協力願ったのが上記の4人です。この組み合わせ、もうすでにそれだけでツカミはOKでしょう?!

 というわけで、メドレーの流れは"I Want You"~"Dig A Pony"~"I've Got Feeling"~"Don't Let Me Down"と決めて、どこをどう切ってどうつなげるか、いろいろと悩みました。だって、おいしいとこだらけなんですから、どの曲も!なので、泣く泣くハサミでバッサリと切りまくった感じで何とか一つにすることができました。押葉君にも相談にのってもらいました。それと、もう一つ。今回、とても大きな事柄として、ガンで活動休止していた忌野清志郎さんの復活をお祝いしたいということがありました。それには、単に言葉だけでなく、音楽と演出上で彼に皆で敬意を表しながら、ともに喜びたかったのです。ですから、このメドレーの最後は清志郎さんが"Don't Let Me Down"を歌うことしか考えられなかった。

 その後、清志郎さんの登場をより印象的にしたいという舞台監督の中村さんからの提案で、そこに音楽をつけることにしましたが、いろいろ考えたあげくに、"I Want You"のAメロ部分を土屋さんのギターをフィーチャアしてインストでやることにしました。すると、コードの流れがほぼ奇跡とも言う程、"Don't Let Me Down"につながっていったのです(Am~C~D~F~E)。ちょっと、個人的にシビレました。

 実際のパフォーマンスにおいては、暗転での"I Want You"における我々はもうすでに鼻息の荒い戦闘モードでした。皆の気合いを感じましたし、この曲のおぞましいリフが否応なく我々の魂を揺さぶるのです。「I want you.」はジョンがヨーコに向けた言葉ですが、今回は我々がジョンに向けての言葉になったのです。

 そして、一気に幕が振り落とされて、吉井さんによる"Dig A Pony"。おいしい幕開けです。やっていてニヤリです。会場中の熱気と期待感がヒシヒシと伝わってくるし、それを一発で受け止めてしまう吉井さんは凄い。そこにサビから高音のハーモニー・パートで参戦する奥田さん。何か文句ありますか?彼は、たぶんこの中でも最高のビートルズ者だと思いますが、音楽的には主メロのジョンのパートよりも重要と言えるポールのパートをお願いして、ご苦労かけました。が、彼ならきっとやってくれると思ってました。ありがとうございました!!
 そして、ここでの最大の見せ場、聞かせどころ。サビの最後に来る、吉井&奥田だけでの「Because」。ここはノン・テンポでふたりがお互いを見ながら合わせるのです。実際に、見つめ合うように向き合った2人は思わず吹き出してしまいましたね。これには、バンドも大受けしてしまいました。でも、このおかげでスーっとリラックスできました。気合いの入り過ぎのような力みがすっかり取れたのでした、これは大きかった。
 "Dig A Pony"のリフから突然テンポチェンジして"I've Got Feeling"のリフへの突入は、何のきっかけもなくやりました。これは、ずっとリハしてきたバンドならでは。曲を全員が体で憶えてくれなくてはできないのです。
 そのブレイクで、奥田さんはポールばりのシャウトを決めてくれました。その"I've Got Feeling"はほとんどポールの曲と言えますが、後半絶妙のタイミングでジョンが絡んでくるところがあります。そして、最後に2人の歌うメロディが重なり合うという心憎いアレンジがされているのです。まさに、その部分を奥田さんと斉藤さんに再現してもらいました。音域的にはどうしてもジョン役の斉藤さんが不利ですが、にもかかわらず彼の存在感は独特で堂々たるものでした。

 それを引き継ぎ、土屋・名越のツイン・ギターでの3連の応酬に、曲は終わったかのような大きな拍手がありました。うむうむ、それがこちらの狙いでもあります。で、先に述べた再び"I Want You"のテーマにのって、ついに忌野清志郎さんの登場です。それもマント付き!この時は、私達と清志郎さんとの駆け引きがあり、実はステージ上はピリっとした緊張感が流れていました。終演後のパーティで、清志郎さんに「バンマスー、あそこはどうなるかってドキドキしてたよー。」ってニコニコしながら言われました。でも、バッチリ決まりました、さすがです。あの有名なギター・イントロから彼が「Don't let me down.」と歌い始めたことで、私はもうすっかり感動してしまいました。素晴らしい声と存在感!忌野清志郎は完全復活です。

 正直、1曲だけで1コンサート分のエネルギーを使いました。でも、すごく満足できるオープニングになりましたし、バンドの演奏も極めて好調、これなら後は存分に楽しませてもらいます。

 ずいぶん長くなりました。まだオープニング、続きます。....詳細(2)
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by harukko45 | 2007-12-12 16:35 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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