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9月のまとめ/仕事編(2)

 20日は、前にもリハの様子をお伝えしたタケカワユキヒデさんプロデュースによるブルークローバー・チャリティコンサートの本番でした。久々の新宿厚生年金ホール、気持ちよかった!
 とにかく、このホールには若かりし頃から何度となく通ったものです。ジャズやフュージョン、ポップスのコンサートのお客としてです。憧れの外国人アーティスト、ミュージシャンの歌や演奏をまさにかぶりつきで観ていたものでした。特にジャズにはまりまくっていた時にはこの新宿厚年と浜松町の郵便貯金ホールと渋谷公会堂には本当によく出掛けて行った。あの頃は小遣いの全てをジャズのコンサートに費やしていた。ビル・エバンス、ハービー・ハンコック、キース・ジャレット、マッコイ・タイナーからセシル・テイラーにアート・アンサンブル・オブ・シカゴ。ウェザー・リポートやスタッフ、ディヴィット・サンボーンとアル・ジャロウの競演は新宿だったか?ウェザーは渋谷だったか?

 まぁそんなわけで、そういう場所にはある種のワクワク感ってものが漂いますね。それも伝統や歴史ってものなんでしょう。私は他のメンバー同様、午前中の9時半から入って楽器搬入をしてましたが、実はその前日まで打込みの仕事をずっと続けていて寝不足が続いていたのに、何となく高揚感が感じられて意外と元気でした。これも場所の気の影響かもしれません。

 さて、コンサートの中味は始まる前から思っていたとおり、とっても素敵な内容となりました。タケさんの呼びかけに応えて集まったアーティストの方々が素晴らしい人達(渡辺香津美さん、鈴木康博さん、尾崎亜美さん)だったので、当然の結果とも言えますが。
 また、私達バンドのメンバーも気心しれてツボのわかり合えた仲間だったので、大変楽しかった。それに、ドラムのウエちゃんは香津美さんと、ベースのロクさんにギターのオッサンは鈴木ヤッサンと、そして私は亜美さんとそれぞれ旧知だったので、何とも和気あいあい、それでいてアーティストへのリスペクトの思いもちゃんとあり、全体に誠実な空気があふれていたと思いました。
 これって、こういったいろいろなアーティストが会する現場では、極めて珍しいものです。

 特には私にとっては、尾崎亜美さんは特別な存在です。正直、尊敬とともに緊張を感じる相手なのです。つまり簡単に言えば、今でも「頭の上がらない」人だということです。それは、作曲家、歌手としての素晴らしさもありますが、それと同時にピアニストとして大変素晴らしいのです。彼女の美しいタッチと音色の良さ、リズムの良さは昔から変わらずでした。ミュージシャンのレベルという点において、いわゆるテクニック的なものは練習すれば身に付きますが、例えばピアノにおけるタッチの良さやそれによって生み出される美しい音色に関しては、それこそ才能の違いというものをまざまざと見せつけられるものだと思っています。
 そして、彼女が作り出す音楽世界は全く変わらずに高いレベルでキープされていました。パートナーである小原礼さんの素晴らしさもあって、かつてよりも柔らさや大らかさも獲得しているとも感じられました。でも、ベーシックに存在している音楽性は昔と同じように豊かなものでしたし、そのパフォーマンスはまさに「完璧」であったと思ったのでした。

 また、最後に全員でやったビートルズ・ナンバー5曲は、普通ならただのセッションで終わりそうなものが、今回はかなりきちっとそれぞれの色合いを生かしていたのでした。この辺の構成はタケカワさんの大ヒットではないでしょうか。それ以外にも、タケさんはパフォーマーとしてよりもプロデューサー、企画構成者、司会、盛り上げ役として大奮闘でありましたが、たぶん同じメンバーであっても彼が仕切っていなかったら、このように明るくて音楽の楽しさを感じさせるものにまとまったかどうか。
 私としては、タケさんのリーダーシップの素晴らしさをまたあらためて感じることができました。常にどんな状況でも、彼のバックで演奏することに喜びを感じられるのは、やはりタケさんの人間性から来るものも大きいとも思いました。

 なので、タケカワさんの曲は出来るだけよく聞かせたいと、思い入れを強くしているのですが、今回はちょっと物足りなかったかもしれません。正直、せっかくバンドで臨んだので「ガンダーラ」も「ビューティフル・ネーム」もやりたかったし、最近の曲でも良いのがあるし。
 まぁ今回は全体をまとめ役としては、しかたのない状況であったかもしれません。今後、もしこのような企画が続くようになれば、その時にはもっとタケさん自身をフィーチャアするようなことも可能となるでしょう。

 それから、ドラムの植村君が子供時代にアニメの「999」のファンであり、実はタケさんやゴダイゴに特別な思い入れを持っていたというのも驚きでしたね。なので、最初のリハの日に、タケさんに挨拶をするウエちゃんの「純真」な表情が何とも印象的でありました。
Commented by ぴょんち at 2007-09-30 22:26 x
和田さんのレポ、首を長くしてお待ちしてました〜(^_^)ノ
本当に、あったかい、素敵なコンサートでしたよ。
最初から最後まで、ワクワクした気持ちで楽しみました。
贅沢な時間を過ごさせていただきました。

ただ、やはりタケさんのステージは他の方と比べると、ちょっと物足りなさが残ったかなーと思います。
プロデューサーとしてのタケさんのこだわりも、こういう場では「盛り上げ役」に徹してしまう(あるいは徹するべきだとお考えになってしまう)のも、私としては分かるし、そういうタケさんの姿勢やお考えも嫌いじゃないんですが、今回はちょっともったいなかったかなぁ(^◇^;) なんて思う、ワガママなぴょんちでした(^^ゞ

ホントにまた「次」の企画があるといいですね♪
Commented by harukko45 at 2007-10-01 01:00
おー、これはこれは。遅くなって失礼しました。ぴょんちさんのレポもやっと拝見しました。とても的確でくわしく書かれていたので、再び驚きですし、なるほどと感心しました。それと、大橋さんのterraのレポもありがとうございます。業界のつながりって狭いもんですね。今後ともよろしくお願いします。
Commented by ぴょんち at 2007-10-01 02:50 x
レポ、お読み下さってありがとうございます〜。(相変わらず好き勝手書いていて、ホントすみません…)

「terra」については、もう少し聴き込んでから、もっとちゃんとした感想を書かせていただきたいと思っております(^^ゞ
「地上の星」は、宮野節炸裂のマニアックな世界が展開されていて、すごく良かったです〜o(^-^)o 
ライヴではどんな感じになるのでしょうか。是非一度拝見したいです☆
まさか和田さんから宮野さんのお名前が出てくるとは思いませんでしたので、びっくりしました。嬉しかったです。
こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by ヤマケン at 2007-10-21 02:39 x
いろいろと面白いレポートありがとうございます。

なかでも興味深かったのは尾崎亜美さんについて。
彼女がデビューしたときはファーストアルバムを買いましたし、その後、暝想の頃のスタジオライブのテープなんかもよく聴いてました。
またその後のスタジオ盤ではダンナさんプロデュースの関係なのか、ギターにバジー・フェイトン参加が多くて、それ目当てでCDを何枚も買いました。(亜美さんゴメンナサイ)
しかし、今回バンマスが書いているのを見るまで、彼女のピアノタッチということは考えたことがありませんでした。アルバムにそのあたりがどのように記録されているかわかりませんが、じっくり聴いてみたいと思います。
ありがとうございました。
Commented by harukko45 at 2007-10-21 14:31
こんにちは。立て続けにコメントありがとうございました。ひょっとするとまた海外出張でらしたのかな?
亜美さんのピアノについては、ごくごく最近のものはわかりませんが、僕がバックバンドにいた頃は、レコーディングでは他のスタジオ・ミュージシャン達に任せていて、あまりレコード/CDには残ってないかもしれません。デビュー・アルバムの時は松任谷さんが弾いているだろうし(?)。僕が彼女のアルバム作りを見に行った時も、ご本人はプロデューサー、アレンジャー、ボーカリストに集中してましたね。
ただ、ライブにおいての彼女の弾き語りは本当に素晴らしいですよ。矢野顕子さんと尾崎亜美さんは歌、楽器、作詞作曲を見事に操る、日本では珍しいまさにミュージシャンズ・ミュージシャンと言える人だと思います。
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by harukko45 | 2007-09-30 05:23 | 音楽の仕事 | Comments(5)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


by harukko45