大橋純子/STB139

 去る8月10日の六本木スイートベイジル139について、少々くわしく。

 今年のジュンコさんのクラブサーキットは例年に比べて少し赴きが違ったと言えますか。やはり、ニュー・アルバム"terra"からの曲を中心に据えたことが大きかったですね。
 とにかく、今回のアルバムは日本人アーティスト曲のカバーを披露するというものでしたから、全体のムードはガラっと変わったわけです。ただ結局、最後の最後には他の人の有名ヒット曲でありながら、ジュンコさんが見事に自分の世界に持って行ってしまったことが、素晴らしかったのではないでしょうか。レコーディング・アレンジにおいても、オリジナル尊重というよりも大胆に踏み込んで大橋純子風に仕上がっていましたしね。

 ただし、その分オリジナル曲に関しては、あまり冒険や新たな掘り起こしには至りませんでした。これは今後への課題・楽しみにするとして、我々バンドとしては昨年から演奏している曲ばかりだったので、気持ち的にはとても余裕がありましたし、実際、演奏内容も昨年のこの時期よりも、格段にこなれて華やかだったと感じています。

 STBでのセットリスト:
m1.Welcome To The Music Land m2.シンプル・ラブ m3.摩天楼のヒロイン m4.ビューティフル・ミー m5.時代 m6.季節の中で m7.たそがれマイラブ m8.ワインレッドの心 m9.Love Love Love m10.地上の星 m11.シルエット・ロマンス m12.Soul Trainまっしぐら m13.サファリ・ナイト m14.ペイパー・ムーン  
en1.Cry Me A River en2.We Will Be Together

 ある意味3部構成で、m1からm4までの「シティ・ポップ」の典型であるオリジナル曲、そして今回の目玉である"terra"からの曲と二大ヒット曲を交えたm5から11、そしてm12からのオリジナルと洋楽カバーでの怒濤の盛り上がり、という具合です。

 序盤の4曲に関しては、非常にリラックスした内容になって大変満足しています。後で気がつくのですが、その後にカバー曲が続くので、これらオリジナル曲のユニークさをもの凄く感じられるのでした。それは、たぶん演奏している人間だから特に強く思ったのかもしれません。実際には、曲もアレンジも凝っていて、演奏するのはむずかしい楽曲ばかりですが、我々には長年愛した世界とでも言うか、これが故郷なわけで、実に居心地がよいのでありました。

 さて、m5の"時代"。中島みゆきさんの曲の中で私が一番印象に残っているもので、個人的には好きな曲ですが、典型的なAOR風の3連ミディアムになっていたのには、やはり驚かされました。ただ、これまでのジュンコさんの世界をよく理解した上で、うまくバランスの取った仕上がりだと思います。ただ、私には演奏するのが最初むずかしかった。他のメンバーも、しっくりきている人と、なかなかはまらなかった人といたようです。私は何か、腰が浮いちゃった感じになってしまって、どうにもうまく弾けず、サビ前のシカケの所では「1,2,3,1,2,3」なんて数えちゃったりしてました。
 とは言え、やっぱり「回る、回る...」ってサビが来ると、思わず口ずさんでしまうのは凄いね、おまけに体も横に揺れるものね。

 松山千春さんの"季節の中で"も実に強い力を持った曲でした。それを低い音域で歌い始めたジュンコさんが良かったですね。ただし、サビはかえって歌いこなすのがむずかしくなってしまいました。この辺が実はスリリングなんです。でも、さすがジュンコさんじゃないですか!実際に聞かれた方々は、ちゃんとおわかりでしょう。
 で、バンドは「何もやらない」で、「やる」のがミソ。心も体も冷静に。

 だから、この曲とペアになって歌われた"たそがれマイラブ"もより引き立つのでありました!?でもとにかく、この年(1989年)のオリコン・チャート1位2位は本当に素晴らしい内容だったのですね。何と、中味の濃いことか。
 続く安全地帯の"ワインレッドの心"は、ちょっとアメリカン・ロック風、あるいは70年代初期のシンガーソングライター風か。これも「simple is best」がキーワードで、アコースティックでありながら、実はワイルドなグルーヴを出せるかどうかがポイントでした。玉置さんの「粘着性」が薄らいで、ジュンコさんによる「清涼感」が加わったのでは。

 そして、ピアノ・トリオの伴奏によるジャズ仕立てのドリカム"Love Love Love"は、エンディングでのアカペラ・コーラスがライブ的にも美味しくて、今回のクラブサーキットでは一番二番のウケを取っていたのではなかったかと思いますね。やっている方も聞いている方も新鮮だったかもしれません。なので、こういう曲は何回やっても意外に飽きないんですね。たぶん、今後ももっと良くなるんじゃないかしら。

 "Love..."と人気を二分した感じだったのが次の"地上の星"。アルバムをお持ちの方はおわかりでしょうが、レコーディング・バージョンはもろに本格的なフラメンコ・スタイルだったので、この曲のみ、最初からバンド用にアレンジを加えさえてもらいました。
 で、予定ではラテン・フュージョン風を目指したのですが、リハの当初はもうちょっと「うるさい」感じでガツガツやっていたかもしれません。勢いはあったのですが、CDバージョンの持つ哀愁さが足りなかったようです。じょじょに、落ち着いたノリとアコギ中心の控えめなサウンドになって、今回お聞かせしたものになりました。
 それでも、かなりの箇所で激しい仕掛けやユニゾンがあり、それだけでも演奏しがいのある内容でしたし、面白かったです。
 ただ、日によってバラツキもあったのは事実です。なので、演奏後の拍手や声援の大きさも毎回違いましたね。だから、"Love..."の方が良かった時もあったわけです。でも、とにかくうまく決まった時はとっても気持ちよかったです、ハイ。

 さて、この後で"シルエット・ロマンス"でしたが、正直、あまり意識せずに淡々と、そしてリラックスして出来ました。なので、自分としても大変満足しています。やはり自然に任せていくことは大事だな、とも感じました。

 後半は、はっきり言って、それまで抑えていたものが一気に爆発してしまいました。「もう、やってやる!」です。いつもよりも大汗をかいてガンガンに、そして夢中になって演奏してました。ほんとにバカですね。こういうところで、本性が出ちゃうわけです。

 アンコールも本編と同じように、メリとハリみたいな選曲。渋みの極致のような"Cry Me A River"と再び爆発の"We Will Be Together"。東京ではパーカッションの斉藤ノブさんに飛び入りしてもらい、よりパワーアップしたリズムになって面白かった。ノブさんがそれでも、きっちり譜面をチェックしていたのがさすがでしたね。

 というわけで、何だかんだでずいぶん長くなりました。まぁ、私が書くと、いつもこんなになってしまいます。より1曲1曲についてのレポートや客席からの感想を、ヤマケンさんはホームページに書いていただき、ayacoさんからはメールでいただき、どちらも大変興味深く読ませてもらい、とてもうれしい気持ちになりました。この場からお礼を言いたいと思います。
 そして、大阪、名古屋、東京の各会場にかけつけてくれたたくさん方々にも厚く熱くアツくお礼を申し上げます。皆さんのおかげで無事にツアーを完走できました。どうも、ありがとう!!
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by harukko45 | 2007-08-25 09:05 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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