スイートベイジルの幻影

 9月2日、午後2時に六本木スイートベイジルに入った私だったが、どうも今日はいつもと違う感覚に少々悩まされていた。何て事はない、本番への期待と不安が入り交じって、緊張しているってやつだ。そう、この日はジュンコさんの久々の東京でのステージだ。それも、レコーディング以来初のライヴである。つまり、ニューアルバムをひっさげての、お披露目会でもあるわけだ。だから、バンマス自ら、こんな調子じゃバンドの士気に関わるのだ、いかんいかんいかん!Take It Easy.・・・そんなこと自分に言い聞かせるなんて、久々かもしれない。

 のっけから、弱気な始まりで恐縮ではあるが、この日のライヴはニューアルバムの中から、5曲披露するわけで、なんだかんだいってもナーバスになってしまうのだ。ついでに言い訳をひとつ、スケジュールの都合等で、リハーサルが一回しかおこなえなかったのもその要因ではある。メンバー諸氏には各自、自己練習にはげんでいただき、この日を迎えたのだ。

 2時半からサウンドチェック、引き続きリハーサルとなったが、やはり新曲に関して、細かいチェックと確認にほとんど費やされた。スイートベイジルの音響スタッフの仕事ぶりは手際よく、大変やりやすい環境をつくってくれていて、大いに助かった。PAからのサウンドも迫力あるクリアなもので、すごくいいよ、とケンさん。まずは一安心だが、楽屋に帰ってからもしばらくメンバーどうしで、新曲のチェックをしあって、いつものようにバカ話に終始するっていうわけには行かなかった。フ〜、ちょっと重いね〜。(オレだけかな?)

 実際、自分たちでレコーディングした曲とはいえ、CD作品としていろいろ煮詰めていった楽曲の完成形を、ライヴ演奏で取り上げるのは、まったく一からのものであって、別の神経や配慮が必要になってくるのだ。よって、ある程度の時間と回数(本番をこなして)がやはり欲しいというのが本音ではある。しかしながら、いわゆるサービス産業の一角に従事する我々ミュージシャンとしては(これはロクさんの口癖です。)、どんな状況であろうとも、精一杯演奏して、来ていただいたお客様に楽しんでもらわねばいけません。強いプロ意識を持って、本番に臨む我らがジュンコ・バンド、そしてもちろんジュンコさんであった!テテテンテンテンときたもんだ!


 7月あたまにレコーディングを終了し、その後すぐにトラックダウン、マスタリングを終えてから、バンドメンバーはそれぞれ別のところで、演奏活動を続けていた。私はロクさんと一緒のレコーディングもあったが、そのほかはSeemaという新人アーティスト(インディーズ時代からのつき合い)のレコーディングとライヴをおこなっていた。タマちゃんはゴスペラーズやアダムなどなど、ロクさんはDr.Kプロジェクトをはじめ、これまたいろいろなセッション。ゴトウさんやウエちゃんも自分のユニットの活動を中心にあっちこっちに出没していた様子。その間、ジュンコさんはニューアルバムのキャンペーンと各メディアの取材をこなしながら、TV出演とそれぞれの夏はあっという間に過ぎ去ったのだった。

 そして、8月22日、“QUARTER”というタイトルで、ジュンコさんのニューアルバムは発売されたのだった。私もCDを受け取り、聴いたのだが、いろいろな思いやレコーディングの場面が思い返されて、普通に音楽を楽しむ余裕がまだない。これは、他のメンバーもそうだろうが、なかなかすぐには客観的にはなれないわけで、自分の経験では1年ぐらい経つと、冷静に作品として接することができるが、今は生まれたての子供をだっこしているような気分なのだ。いや、違う!自分達で生んだ子供を世間のみなさんに渡してしまったというほうが正しいかもしれない。だから、聴き手のみなさんの評価、感想、意見等を聞いてみたい反面、しばらくそっとしていてね、などとも思ってしまうのだ。(これぞ、真のボヤキか。)

 ところで、ニューアルバム“QUARTER”は、みなさんのお手元にありますか?もし無いのなら、それはファンとして、不謹慎というもの、すぐさまCDショップに向かってください!もうすでにお持ちの方は、この後の内容を読み続けてもけっこうであります。

 <空白>
(kokokaraha,nyuarubamuwo,omochinokatanomi,yomukotogadekimasu.ashikarazu.)
などと、冗談はさておき、前回までの「レコーディング後記」では曲名を作曲者名+通し番号で記載しておりましたが、正式曲名と照らし合わす事にしましょう。

1.‘A Way’(仮タイトル‘Ken M-1’)
2.‘どうして心は’(‘Ken M-2’)
3.‘8番目の海’(‘Sakiya M-6’)
4.‘Dear Summer’(‘Ken M-4’)
5.‘MIXED’(‘Wada M-5’)
6.‘エンジェルフィッシュは眠らない’(‘Ohtsubo M-7’)
7.‘愛がさめるとキスが減る’(‘Sakiya M-8’)
8.‘涙の種’(‘Ken M-3’)
9.‘I Wish’
10.‘風の舞う町’

 この正式曲名表をチェックしながら、ジュンコさんの日記と私のレコーディング後記をもう一度読み返していただければ、ニューアルバム“QUARTER”のほぼ全容が見えてくるのではないでしょうか。そうして、アルバムをまた聞き返していくと、より楽しみも増えるのではなどと思っております。

 さて、今回のライヴでこの中からセットリストに加わったのは、‘A Way’‘どうして心は’‘8番目の海’‘Dear Summer’‘I Wish’の5曲である。

 本番5分前、楽屋に全員集合して、手をあわせる。みんな、まだ少しナーバスなムードを引きずってはいるが、あまり小さいことは気にせず、いつものように楽しくやりましょう!ファイト、オー!気合い一発、ステージに向かうのであった。

 客席には関係者の方々も多くつめかけてくれたし、友人たちも見に来てくれていた。もちろん、ジュンコさんの歌を愛する新旧のファンの人達で客席は一杯だ。不思議なものだが、ステージに上がった瞬間、こちらの気持ちもワクワクしてくるのだ。

 みんな、準備はOKかな?各メンバーとアイコンタクトをとり、さて、じゃそろそろイキマッセ!

 こうして、一曲目の‘Izm’がはじまったのだった。(To be continued)
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by harukko45 | 2001-09-02 00:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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