大阪しぐれ

 ♪~ひとりで 生きていくなんて できないと ないてすがれば ネオンがネオンがしみる。

 大阪、え〜街でんな。食いもん旨いし、人はおもろいしね。なんか、街を歩いているだけで、ワクワクしてきて、やる気がでてくるのよね。考えてみるに、あのアメリカ同時テロの後、しばらく氷ついていた心を、大阪でのライヴが程良く溶かしてくれたような気がします。とにかく、ブルーノートに集まってくれたお客さん達、スタッフのみなさんに、まずはお礼を言います。

 テレビのニュースをみるたび、どんどん不穏で悲惨でおぞましい世の中が近づきつつあると感じてしまう今日この頃、日常的に音楽を演奏する意味も消し飛んでしまいそうだが、されど音楽以外にやれることない我々ミュージシャンは、やはり音楽の楽しさ、すばらしさを通して、平和を祈っていくしかないのだろう。

 とはいうものの、現実に我々も今回のテロ事件の影響を受けてしまっていた。コーラスのサエコ嬢がカナダで足止めをくい、19,20日の本番には間に合わないとの連絡が入っていたのだ。ニューアルバム発表後、新曲をひっさげての大阪だったから、事情が事情とはいえ、やはりサエちゃんの欠場は至極残念であり、出来ればメンバー全員で臨みたかった。

 しかし、そんな不安も一気に吹き飛んだのは、2日間4ステージ、ほぼ満杯となった客席のパワーを我々が頂いたからに他ありません。2年前の初見参の時より、確実に人数が多いし、おかげでアルバムも多数のお買いあげ、感謝感激であります。

 とにかく、一曲目‘Izm’からして、もうノリノリのお客さん、え〜ですな〜。もともと芸能、文化を古くから尊重してはる伝統、その遺伝子をお持ちの方々とお見受けしました。どうぞどうぞ、楽しみましょう!こちとら江戸っ子もすぐ調子に乗るタチですからね!

 続く‘どうして心は’、これ、歌詞がいいのだ。毒があって。こういう女の恨み節が、今風のバチバチ・サウンドにフィットするあたり、最近の若いタレントさんじゃ、こうはいきませんぜ。男の私には、けっこうくるんですよ、歌詞。それをシンプルなメロディーがより増長してる感じなのだ。この曲、ベース・ラインがやっかいなのだが(レコーディングではシンセの打ち込み)、さすがにロクさんはもう自分のものにしてきた。タマちゃんも、ライブならではの新たなアプローチで、ワイルドさを醸し出してくれている。こういったところが、レコーディングとライブの違った楽しさともいえるのではないか。

 ‘たそがれマイラブ’‘シルエット・ロマンス’といった、お馴染みのヒット曲では、1コーラスが終わっただけで、ものすごい拍手。こういうので、けっこう盛り上がっちゃうのよ。だいたい、ミュージシャンは拍手と飯をたらふく食わせておけば、いつでも機嫌がいいのである。

 ニューアルバムのトップを飾る‘A Way’は、今回の代表作でもあるから、一段と気合いが入るのだが、初日の1ステージ目でのテンポが早かったのが、悔いが残る。私のきっかけが原因なので、反省。次のセットでは、いい感じで出られて、ごきげんなグルーヴが生まれた。この曲は今のレパートリーのなかにあって、実に繊細さを要求される曲なのだ。特に、イントロから1コーラス目のサビ前あたりが、神経を使う。メンバーみんなの息がピタっと合うには、強い集中力で演奏していかなくてはいけない。でも、演奏するたびに可能性を感じる曲だな。

 ‘Dear Summer’はジュンコさんがお気に入りの曲。不思議な物だが、この曲はコード進行も凝ってるし、転調も激しいし、メロディもむずかしいが、さすがに好きなだけあって、ジュンコさんはスイスイと歌いきってしまう。だから、完全にボーカルに引っ張られて曲は進んでいくのだ。何も、素晴らしい歌のバックで、ゴチャゴチャ楽器で茶々をいれることはあるまい。シンプル・イズ・ベスト。確かに意外とライブ映えする曲だ。

 さて、私個人的に楽しんじゃったのが、Billy Prestonの‘You're so Beautiful’だ。私のキーボードとゴトウさんのサックスだけで、バックをつとめるのだが、やるたびに表情がかわって即興的に進むのでおもしろいのだ。ただ、少々、悪ノリした私のせいで、全体の造形が乱れた部分があったようだ。(ちょっとクラシックの評論家みたいな表現!)ここでもシンプルさが大事と思い知る。またまた反省。しかし、ゴトウさんのサックスは毎回すばらしいソロだった。全くもって脱帽であります。

 ついでに個人的なトラブルをお話すると、2日目の‘シルエット・ロマンス’の演奏中、マスターキーボードのA♭鍵盤が下に落ちたまま(その前から怪しい動きがあったのだが)、戻らなくなってしまった。このA♭音は、この曲で頻繁にでてくるので、少々パニくってしまい、集中を欠いてしまった。もし、この時の‘シルエット・ロマンス’がへんに聞こえた人がいれば、私のせいであります。ごめんなさい。ステージ終了後、接点復活剤をかけて、応急処置して2ステージ目は乗り切ることができたのだった。フ〜。

 ステージ後半は‘I Wish’‘サファリ・ナイト’‘ペイパー・ムーン’‘シンプル・ラブ’と、まさに、ノリノリ・イケイケだが、お客さん達の「楽しんじゃえ精神」が我々をプッシュして、怒濤のエンディングへと突進した。この辺の曲は、いわゆるオリジナル版ディスコ・メドレーといったところか。やってるこちらも自然に身体がゆれてきて、音楽の快楽にすっかり身をゆだねるの図であった。

 そして、ラストの‘My Love’は、エンディング間際のジュンコさんのHi-G音が、全ての人を昇天させてしまう。何十回と演奏し、聴いている私でさえ、毎回ここに来ると「ク〜、たまらん!」となってしまうのだ。これで、今日もうまいビールが飲めますよ、ほんまに。音楽万歳!

 いい夜をおおきに、大阪。ほんま好きやねん。

  ♪~北の新地は 思い出ばかり 雨模様 夢もぬれます ああ大阪しぐれ
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by harukko45 | 2001-09-23 00:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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