クリスマス・ツアー〜第三章:高山
2001年 12月 11日
夕食 � 高山の郷土料理店 � 旨そうな日本酒多数 � 飲んだことない<超辛口・久壽玉>がお薦め � んじゃ、飲むべ � 最初は1合とっくりでチビチビ � そのうち2合たのんでグビグビ � つまみもうまいぞ、そんでもってガバガバ � ついにドロドロにもかかわらず � 「もうちょっと飲みましょう。」 � ジュンコさんの部屋で、久々の「クラブ・ジュンコ」 � 普段飲み馴れないウィスキーを「ストレートが一番!」とか講釈して、グイグイ � 深夜に寝床につくも � 早朝、あまりの喉の乾きに目が覚め � 「水、水!」とベッドから這い出して、冷蔵庫のポカリスウェットをがぶ飲み � その後はうたた寝程度しかできず � 身体絶不調でリハを迎える � とにかく、体力復活のため、サウンドチェック前に用意された弁当を胃袋に詰め込んで、人生の勝負に臨む!(大げさか?わかる人にはわかるよね。) � そのことしか頭にないので、寝起きのまま楽屋に入っていた私 � タマちゃんに「ワダさん、超ゴキゲンなネ・グ・セ!」と指摘されるも � 「はあ〜、そうでっか。」しか返答できず � 気違い博士の実験失敗による爆発事故後の頭状態にもかかわらず � 「そろそろ、チェックのお時間です。」と無情の声 � こころなしか、身体が前に傾きながらステージに向かうのだった。
いつまでたっても全然学習しない私(ケンさんも!)を、神様はなかなか許してはくれなかったが、なんとかどうにか、リハをこなしたのだった。しかし、こういう時こそ、酒がぬけてからの喜び、人生における至福の瞬間、あ〜生きててよかった、を感じたりもするわけで・・・・、はあ、やっぱり、何も学習してないって、みんなに言われても、このノーテンキさじゃ、返す言葉もないわな。
さて、このようなどうしようもない状態にあったにもかかわらず、2回あったショウの内容はすこぶる楽しいものだった。
やはり、音楽の神様ミューズは、我らをお見捨てにはならなかった。それに、オリュンポスの神である「ディオニュソス」はぶどう酒と芸術の神、ディオニュソスととも行動する「パーン」は牧羊神。草笛を吹くのが上手である事からも、酒と音楽は関連があるわけよ。ギリシャ神で、ディオニュソスとともによく名前がでるのが「アポロ」、彼は太陽の神としてスター扱いされるが、同時に予言、音楽と牧羊、弓の神でもあるのだ。だから、どうした?まあ、そうなんだけど。
話のついでに、「アポロ的」と「ディオニュソス的」について、「アポロ」は太陽=予言=合理性を意味し、「ディオニュソス」は酒=陶酔=非合理性を意味する。前者は論理、分析的な方法、証拠に基づき冷静に判断することを好み、後者は直観、感情により傾いている。音楽で言えば、アポロ的なものは、知性的、明晰で古典的で秩序を重んじる表現、ディオニュソス的なものは、本能的で奔放、暗黒の力(デーモニッシュ、悪魔的な)を持ったような表現。もっと平たく言って、クールにキチっと決めるやつと、ドロドロにブハーっといくやつ、ということ。
音楽は常にこの二つの要素で成り立っていて、素晴らしいアーティストはこれを絶妙なバランスで溶け合わせていくのだけど、現代はこのバランス感覚が崩れ、とかく「アポロ的」な傾向に傾いているのだ。それは、録音・再生技術、テレビ・ラジオなどメディアの発展により、ミュージシャン、アーティスト達が自分の表現を後で客観的にチェックするようになったからに他ならない。また、社会全体もより西欧的合理性を重視していることによって、その場限りの陶酔より、ある種の秩序ある安定感をどうしても求めてしまうのだ。だから、確かに全体の完成度は上がったが、人間の生命に内在する本能的なもの、ロマンチックなもの、感情はあまり解放されずにくすぶりつづけ、完璧だったがオモロナイ、などということが頻繁におきるようになった。それは詰まるところ、音楽の存在そのものの危機さえ心配される事態になりかねないのではと感じているのだ。
とはいえ、やはりミュージシャンとはもともと「ディオニュソス的」傾向の強い輩が多く、時にすべてに反発するように、できあがった造形をぶち壊していく瞬間がある。特にライブにおいてはそうだろう。レコーディングにおいても、そういった傾向がじょじょに復活するかもしれない。聴き手の人々も、今の音楽はおもしろくない、と感じている人は多いだろう。具体的な方法論など今は提案できないが、この現状を打破する道をなんとか探っていきたいものだ。
なんと、自分が大酒していたことの弁解をくどくどと書き続けて、支離滅裂になってしまったわい、反省反省、どうぞお許しを。この日のショウの内容について書く余白がなくなってしまったが、それはそれは、素晴らしく楽しい物だった、とお伝えしておきます。高山のお客さん達からもたくさんの拍手・喝采を頂いたのでした。そんなわけで、是非一度、「松崎しげる&大橋純子」のジョイント・コンサートをみなさんも体験して欲しい。そして、二人のそれぞれのライブも訪れてみてください。きっと、忘れていた何かがあるはずです。
さて、飲むことばっかで恐縮だが、松崎さんとのジョイントもこれが今年最後だったので、当然終わってから居酒屋にくりだして宴会となった。ショウが成功したせいもあり、話もはずんで、おおいに飲んで騒いだ。そして、ホテルに向かったのは明け方の4時近かった。
次回は16日、沖縄だ。それでは、この辺で。