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只今レコーディング中

 突然だが、只今レコーディング中なのだ。いや、正確には本日無事、歌入れを終え、明日(9日)にトラック・ダウンなので、ほぼ完成に近づいた状況である。

 物は何か?とお尋ねか。もちろん、ジュンコさんの新曲のレコーディングだ。約一年ぶりに、マキシ・シングルを発売することが急遽決定し、バタバタと録音にこぎ着けたのだ。メインに、佐藤健氏作曲、及川眠子さん作詞による‘微笑むための勇気’、カップリングには‘たそがれマイラブ’を再録し、他に2曲ストックされていた作品も加えた形になる。というわけで、新録は2曲、3月下旬にアレンジの打ち合わせをし、4月5日にリズム・トラックの録音、翌6日にダビング、そして今日8日にボーカルとコーラスの録音と進んできたわけである。

 で、ちょっと唐突なのだが、まず、結論から言いましょう。ヨイです!‘微笑むための勇気’の出来がヨイです!この曲、たぶんジュンコさんにとって新たな世界に踏み込んだ作品になるかもしれない。今まで常に前向きな姿勢で押してきたジュンコさんが、今回は一歩踏みとどまって、内省的な表現を試みている。ケンさんの曲もシンプルな構成ながら、哀愁が全体に漂い、なおかつ大きなスケール感を持っている。そして、詞。実は今回のテーマは、去年の「9月11日/ニューヨーク」なのだ。かつてニューヨークに住み、深い思い入れをこの街に持つジュンコさんの、あの悲劇に対して何かを残したいという気持ちを、詞にまとめてもらったのだった。そして、曲、詞、歌という最も大事な部分は、アレンジの打ち合わせ時にはすでに完成されていて、今回の「テーマ」も明解なので、私としてはサウンドのビジョンを描くのはそうむずかしくはなかった。

 サウンド面でのアプローチとしては、複雑にしてそれを感じさせないようなシンプルさ(!)、音を重ねていっても常に空間を意識した仕上がりを目指したのである。

 4月5日、世田谷のアライブ・スタジオに集まったメンバーは、ドラムスにウエちゃん、ベースはロクさん、ギターはオッサン(土屋潔氏・・タマちゃんはスケジュールの問題で今回は不参加)、私、そしてレコーディングとミックスをお願いするダイスケさん(中山大輔氏/インテンツォ)だ。彼とは“Time Flies”以来の再会だが、私にとって最も信頼おけるミキサーであるダイスケさんとのセッションには、ワクワク感とともに安心感も同時に存在するのだ。だから、今回は私も少しリラックスできて、割りと冷静に全体を見渡すことができたと思っている。

 さて、音決め前にダイスケさんと方向性の打ち合わせをし、お互いに納得、理解しあって、サウンド・チェックもスムース。一曲目の‘微笑むための勇気’を早速、レコーディング開始。これは打ち込みのシンセ・シークエンスやパーカッションと同時に生演奏するので、ドラムのウエちゃんがノリをつかむまで何回かセッションしたが、4、5回のテイクでOKとなった。その間、ロクさん、オッサンのお二人はどのテイクでも的確なプレイをいつも披露してくれていた。

 私は最初、生ピアノで演奏していたのだが、スタジオのピアノが今一つイメージの違うトーンだったので、途中からYAMAHAのMOTIFFによるデジタル・ピアノでプレイした。このシンセはなかなかの優れ物、最近のお気に入りだが、特にエレピ系の音が大変良いのである。しかし、その後、ソフト・シンセなど、もろもろのダビングをしながら、最後に再び生ピアノに戻るという経過をたどった。回り回って原点に帰る。ま、これはよくあるパターンだ。だが、これが大変よい結果に導いてくれたのだ。最後に生に戻ったことで、それまでダビングしていたものもクリアに聞こえるようになっていったのだ。

 この‘微笑むための勇気’では、デジタルなシークエンス・パターンとギターのミュートによるバッキングのからみから生まれた「ゆらぎ」、ディレイやリバーブの空間処理、ピアノとアコースティック・ギターのユニゾンの効果、頭抜き(一拍目を休符にする)のリズム・パターン、そして翌6日にダビングしたゴトウさんの素晴らしいソプラノ・サックスのソロ等々、聴いて欲しいところはいろいろなのだ。まあ、つまりそれだけ自信ありというわけかな?そして、これらの聴き所をごちゃごちゃした印象に感じさせないように工夫したつもりであるが、やはり、それにはダイスケさんの絶妙な音づくりに随分と助けられたのだった。

 もう一曲の‘たそがれマイラブ’は、ファンの皆様お馴染みの名曲、大ヒット曲だが、今回再録したのは、ライブでここ最近やっているボサノバ・バージョンに近い形だ。それに、イントロとエンディングを新たにつけて、さらに生のパーカッションを何種類かダビングした。プレイしたのは各方面で活躍中の三沢イズミさんだ。彼女、ほっそりした身体から想像できないキレのいい演奏を繰り広げるという、ジュンコさんの最近お気に入りのプレイヤーで、今回特にお願いした次第。曲がしっとりしたムードだったので、爆発的な演奏とはいかないが、4,5種類のパーカッションを使い分け、全体をよく考えたプレイをしていただいた。感謝感謝であります。

 そして、間奏にはゴトウさんがフルートをいれた。これがまたなかなか良い。ひょっとすると、このレコーディングで一番光ったのはゴトウさんかも。とにかく、‘たそがれ〜’のフルートはライブでもとってもいい感じをだしていたのを、そのままパッケージできたし、なんといっても‘微笑むための勇気’のソプラノ(!)には脱帽であります。

 さてさて、というわけで本日、サエコ、アッコにジュンコさん、ケンさんによるコーラス録りも完了、ジュンコさんのメイン・ボーカルも力の抜けたいい出来だと思う。とにかく、今までにないジュンコさんの魅力が‘微笑むための勇気’には出ているのだ。だから、みなさんおおいに期待しといておくれよ〜!確か、発売は6月か?オザワさん。そのようです。くわしくはホームページで!では、明日のトラック・ダウンも気を抜かず、バッチリ仕上げやしょう!ペペンペンペンっと!
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by harukko45 | 2002-04-08 00:00 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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