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レコーディング終了/Part3

 3月6日、レコーディング2日目。この日は、来生えつこ・たかお姉弟による新曲にすべてがあてられた。ジュンコさんへの来生姉弟の20数年ぶりの楽曲である。それも、テーマはあの‘シルエット・ロマンス’のアンサーソング! つまり、‘シルエット・ロマンス’で歌われている熱烈な愛の対象が、今どうなっているのかを歌うということになるわけ? うむ。なかなか、興味はつきませんぞ、おのおの方。

 タイトルは‘二人のアフタヌーン’である。来生たかおさんからのデモを聴かせていただき、まず、彼の独特の歌い回しに魅了された。そして、全体に流れるやさしく、穏やかなムードが気持ちよかった。激情的な‘シルエット・ロマンス’とは、まったく違うシーンが描かれていたのであった。ある種の「癒し系」を思わせるものの、実は熱く変わらぬ恋心を秘めているといったところだろうか。

 今回、プロデュース・サイドから示されたの基本方針は、「大橋純子のボーカル・アルバム」としたいとのこと、具体的には肉声が入るのはジュンコさんの声のみにし、全体のオケも音数を少なく、シンプルなものにしようということだった。よって、できるだけ無駄な音をはぶいて、音と音の隙間〜空間を生かしたアレンジを心がけた。

 あまり、音が埋まっていないサウンドは、ミュージシャン達の息吹が伝わったり、歌詞が良く聞き取れるようになったり、ちょっとしたエフェクトの上げ下げも微妙に全体に影響したりと、なかなか面白い部分がふえて、実は楽しいのだ。「最低限度のところで勝負する。」という緊張感もサウンドの中にうまれてくるのだ。よって、ミュージシャンやミキサー、もちろんボーカルのジュンコさんも繊細なニュアンス、テクニックが求められることになるわけだ。

 「アイトキ」のセッションでは、徳武さんとロクさんと私がタペストリーのように絡み合ったように、この‘二人のアフタヌーン’では、アコースティック・ギターにお馴染み、オッサン(土屋潔さん)を迎え、私はピアノを弾いた。お互い、微妙なところにこだわりながら、じっくりと仕上げていった感じである。それに、ミキサーのダイスケ(中山大輔)さんの見事な録音、ミックスでこの曲は全体に、何とも言えぬ「ムード」を作り出すことが出来たような気がする。

 幾つかポイントを上げると、ドラム関連の打ち込みは、来生さんのデモでの第一印象だったジャズ風なムード(歌い始めの来生さんの声がそれを思わせた。)と、今っぽいデジタルなサウンドをうまく組み合わせたつもりだ。ピアノは古いマイクを使い、レコーディング・ルームの空気も録れるようにセッティングした。シンセ・ボイスのような音もギターのノイズなどを組み合わせて、ちょっと異質なトーンを作ることができた。また、ボーカルにもオールド・マイクを使用し、なおかつリバーブもビンテージな機材で効果を上げている。

 そのジュンコさんのボーカルは、微妙なテクニックを駆使しながら、ほんのり色っぽい表情を漂わせていて、実に良いのだ。例えば、歌詞にある「そばにいたい・・」の部分、気持ちよくって、おもわず口ずさんでしまうのである。あ、私の場合……。みなさんもそうだといいんだけど。

 とにかく、この曲で生まれたある「ムード」が、この後のアレンジ、レコーディングのベーシックとなっていくのだが、つづくケンさん作曲の2曲は4月にはいってから録音されることになった。それと、あと1曲。‘You're So Beautiful’を、田原音彦くんのピアノとジュンコさんとのデュエットで、再録された。こちらもライブハウスでの一発勝負のような仕上がりで、乞うご期待。というわけで、レコーディングは一時中断。後半戦は4月5日からであった。
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by harukko45 | 2003-04-22 00:00 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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