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大橋純子/レコーディング、北海道ツアー&レコーディング(3)

 北海道ツアーが終わり、次の日からは9日のレコーディングに向けてのアレンジ作業の開始である。曲は自らもシンガーである中西圭三さん作曲の‘My Journey’‘Say Love’の2曲である。‘My Journey’はバラードで、優しさに満ちたいいメロディの曲だ。イメージとしてはカーラ・ボノフやジェームス・テイラーあたりのムードできめたい。ということで、ギターには徳武弘文さん、ベースにロクさん、そして私とプログラムしたドラムで、同時にレコーディングすることにした。今回のアルバムはなかなか多彩でハデめな内容になってきているので、この曲ではある種の良いクッションになるように、意識的にシンプルでアコースティックな雰囲気を大事にするよう心がけた。

 もう1曲‘Say Love’は一転してノリのいい楽しい曲。サビが覚えやすくて、思わず口ずさんでしまう中西さんのポップ感覚爆発の作品だ。こちらはとにかくノリの良さを強調したい。ベースは70年代ソウルだが、かといってサウンドが当時そのものになってしまってはおもしろくない。そういった要素はストリングスやブラスやエレピなどの上物のアレンジでこだわるとして、リズムの打ち込みはあくまで今のグルーヴ感をもっていなくてはいけない。とは言え、こういう曲は大変やりやすく、私としては気持ちよくプログラムさせてもらった。おかげで、9日の朝には2曲とも準備万端、いつでも来いといった感じであった。

 9日当日、‘My Journey’は予想に違わず、徳武さんの素晴らしいアコギ・プレイを中心にロクさんも私も、まるで「ワンマン・ドッグ」(?)なムードで楽しくプレイできた。当然、あっという間にベーシック・トラックが出来て、すぐに徳武さんのダビングとなった。ここでは、いつものテレキャスターによるバッキングと、バーンズというかつてシャドウズが使っていた有名なギターでソロを入れてもらった。このギターは、独特な哀愁感のある高音の音色が特に美しく、ものすごく個性的なのだが、その分他のギターのようには楽に弾けない構造になっている。よって、誰でもいじくれる代物ではないということだ。日本では徳武さんぐらいしか弾きこなせないことだけは事実だ。こういう人を知り合いに持っていることは実に幸せなことだなぁ。

 こうやってオケが出来上がると、ますます中西さんのメロの良さが浮かび上がってきた。ジュンコさんにもピッタリのいいバラードが生まれたと思う。この後、ソロから後半にかけてオルガンのバッキングを入れて終了。

 というわけで、わりと早く1曲目が仕上がったので、続いて‘Say Love’にとりかかった。その日の朝までがんばったかいあって、組んだプログラムはご機嫌な感じでプレイしていた。おかげで、これまでの作業の中で一番順調に進んでしまった。これは思わぬうれしい誤算というべきか、なかなか良い仕上がりになりそうな予感。

 この曲は次の日10日にオッサンのエレキ・ギターをダビングした。これが、また超ご機嫌で、思わずニヤッとしてしまうのだ。まずはハーフ・トーンのミュート・パターンで、グルーヴの強化をしてもらい、インターとエンディングにアイズレー・ブラザーズばりのファズ・トーンのギターでフィル・インしてもらった。これが、またイイノヨ。泣けちゃうよ。いや笑っちゃうよ。とにかく、オッサンの悪魔性あふれるヤンチャなプレイが聴けるのであります。ハハッハー。今年のグラミー賞のテーマじゃないけど、「Funk Is Back!」に少しあやかったってとこかな。

 そして、ついにサックスのゴトウさん登場。ケンさん作・編曲の‘パラレル’でのアルト・ソロのダビングをこの10日におこなった。いつものテナーと違って、アルトでのファンキーなプレイもなかなか新鮮。でも、ちゃんとお得意のゴトウ節炸裂のいいソロが録れました。おかげで、この日は最後で大いに盛り上がったというわけだ。

 さて、私の担当としてはこれで一段落。後は、土屋昌巳さん作・編曲のファンキーな曲と、ケンさん作・編曲による新曲、計2曲のレコーディングを残すのみになりました。私はケンさん曲のプログラミングを手伝うことになるが、いよいよ終りが見えてきたということだ。とは言え、ジュンコさんはこれからが佳境。今日も唄入れをやっているはず。みんなも応援のエールを送ってくださいね。頑張り屋のジュンコさんも、今回は特に気合いとプレシャーが入り交じった様子でしたからね。でも、常に本番に強いジュンコさんのこと、バッチリきめてくれるでしょう。

 それでは、また後日もろもろご報告しましょう。お楽しみに。
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by harukko45 | 2004-02-13 01:00 | 音楽の仕事 | Comments(0)

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる


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