日本初勝利!そして充実のブルーノート

 6月9日〜10日、私達は、福岡ブルーノートでライブをおこなった。二日間4ステージ、いずれのセットでも素晴らしいお客さんたちのおかげもあって、充実した時間をみなさんと共有できたのではないかと思っている。約1年半ぶりの福岡ブルーノート出演、去年のいいイメージを持っていた私ではあったが、若干の不安もなかったわけではない。なぜなら、初日の9日の2ステージ目は、ワールドカップの日本対ロシア戦と重なっていたからだ。東京の繁華街でも、日本戦の日は閑古鳥が鳴くという状態で、はたしてお客さん達は集まってくれるのだろうか、という心配も無理からぬこと。そりゃ、日本代表を私も応援したいが、かといって本業のステージが盛り上がらないのでは本末転倒になってしまう。そんな思いも心の片隅におきながら、我々はサウンド・チェック、リハーサルをこなしていった。

 そして1回目のステージ30分前、ホテルから会場に戻った私は、満員のお客さんにすっかり感動し、興奮した。いや、我らが「大橋純子」の価値を冷静に考えれば、これはあたりまえなのかもしれないのだが、それでもすごくうれしかった。喜び勇んで、楽屋にかけ込んだ私は、みんなに「すごい、すごい、満員、満員!」と、まくしたてていた。でも、他のメンバーはもう少し落ち着いていて、「なんだ、俺だけ舞い上がってるのかしら?」でも、もうすぐ試合(演奏)開始、テンション上げてこ!上げてこ!

 さあ、18時キックオフならぬ、ステージ・スタート。オープニングは‘シンプル・ラブ’である。この曲はセット・リストのどこにおいても有効なユーティリティ・プレイヤー、我々にとって実に貴重な戦力だ。今回、頭から使うことによって、聴き手、演奏家両方とも楽に入っていくことに成功した。

 続いて、私の大好きな‘ビューティフル・ミー’。ほんとに噛めば噛むほど味がでる、まさに名曲中の名曲だが、ここでは今までのアコースティックな表現から、より前向きな力強さを加えたつもりだ。それで、リズムもソウルフルな雰囲気が出て、スケールが増したように思う。なかなかのグッド・パフォーマンス!

 そして、華麗な中盤を彩るのは、‘たそがれマイラブ’‘A Way’‘Dear Summer’‘シルエット・ロマンス’。この時点で、おわかりいただけると思うが、今回の戦術は「しっとり系」。つまり、リズムやノリで前半から押していくのでなく、ジュンコさんの唄をじっくりと味わっていただく、これが意図なのである。だから、基本的にバラードものがならんでいる。ちなみに‘たそがれマイラブ’は新録の通称「モカ・ジャバ・バージョン」、60年代のセルメン風ボサノバでお贈りいたしました、ハイ。

 さて、ここから後半戦、やっぱ攻めにいかなきゃ勝てません。よって、‘Izm’(2回目は‘Don't Think Feel It’)‘サファリ・ナイト’‘ペイパームーン’と、見事なカウンター攻撃を繰り出したわけである。前半の「しっとり系」の戦術により、落ち着いた大人のムードに浸っていたお客さんは、ここで立て続けに強烈なシュートを食らって、3失点となるのであった!

 ステージ最後は、このライヴ・ツアーのメイン・テーマ、メイン・チューン‘微笑むための勇気’だ。もちろん、新曲ゆえの初お披露目。うまく出来るだろうか、ちゃんと伝わるだろうか、との心配も、曲が始まってすぐに、それがたんなる取り越し苦労にすぎないことがわかった。「これは映画だ。」、シンセのコードとソプラノ・サックスがからむイントロから、ジュンコさんの歌い出しの心地よさまでで、私自身、鳥肌が立つほど、この曲にしびれてしまった。映像的なサウンド・・これこそ‘微笑むための勇気’を表現する重要なポイントなのだが、各メンバー、しっかりと意図を把握して、素晴らしい演奏に終始してくれていた。お客さん達も、じっくり楽しんでくれた様子。なぜなら、終わってからの拍手がすごかったのだ。あ〜、うれしいかぎり。我々はオウン・ゴールで失点することなく、無事守りきって白星を勝ち取ったというところか。

 そして、2ステージ目。まさに、日本対ロシア戦まっただ中にもかかわらず、ほぼ満杯のお客さんには感謝感謝であります。それに、我々とともに過ごすこの時間を大いに楽しもうとする、素晴らしい姿勢には感服した。もちろん、これに刺激を受けた私達も1回目同様盛り上がっていったのだった。この時、私の頭には、サッカーのことなどなく、すっかり音楽に集中できていた。(ホントに!!)すると、やはり神様は見ていて下さる。‘微笑むための勇気’が終わって、熱烈なアンコールに応えてステージに再度上がった我々に、お客さんから「日本が1-0で勝ったよ!安心して。」との声。なんて、気の利いたプレゼント!充実した音楽を共有できた喜びに加え、我が愛する日本代表が初勝利したという喜びが相まって、みんなの感情が爆発したことはいうまでもない。会場全員で「ニッポン・チャチャチャ」のコール、そして、日本代表の栄誉を讃え、もちろんこの日集まってくれたみんなに感謝して、ジュンコさんは‘マイ・ラブ’を熱唱した。

 こうして、ジャパン・「ブルー」に身を包んだ誇り高き日本代表と、福岡の「ブルー」ノートにおける我々は、しっかりとリンクして、とてつもない感動の夜を体験することができたのだった。ヤッタゼ、ニッポン!
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by harukko45 | 2002-06-12 00:00 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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