W杯2002/ここまでを振り返って

 2002ワールドカップもベスト8が出そろい、終盤にさしかかってきたので、これまでを振り返って私なりの感想をまとめてみることにしたい。

【ベンチがアホやと野球(サッカー)がでけへん!】フランス編

 いくら素晴らしい選手を集めても、それを束ね、一つの目的(優勝)に向かわせるためには、監督の指導力・カリスマ性、そして戦略が必要なのは言うまでもない。が、フランス代表監督・ルメールはこの4年間、有能な選手の才能におんぶにだっこで、自らは何もしてこなかったことを本番で露呈してしまった。彼は、4年前の優勝監督ジャケの下、コーチとしてフランスのワールドカップ初優勝に貢献した人物だったが、監督就任後は、そのチームをそっくりそのまま引き継ぎ、ほとんどいじくらなかった。戦術・システムにおいても4年前と大差なく、つまり全く進化の止まったチーム環境だった。

 一方、選手達はこの4年間、それぞれヨーロッパ各国リーグの一流チームの主要選手として大活躍し、「強いクラブにはフランス人あり」の公式を確立した。その実力は2000年のヨーロッパ選手権優勝で実証され、フランスの栄光は永遠のように思えたのだった。そこに、「驕りと慢心」があったのでは?例えば、ディフェンスの老齢化問題は?、引退したキャプテン/デシャンの後継者探しは?、エース/ジダンのバックアップは(その筆頭、ピレスの負傷欠場は痛かったにちがいない)?等、問題はあったのに何も解決されなかった。その間、他の国はフランス・サッカーを研究していたのだ。

 そして、今回、ジダンが負傷欠場という危機にあっても、他の選手のポテンシャルの高さを考えれば、それでも勝ちあがって当然なのに、実際はジダン抜きでは何もできない集団に落ちぶれるほど、モチベーションが下がってしまっていた。前回大会ではジダン抜きのチームでも、集中力を失わず、苦しみながらも2試合を勝ち、ジダン復帰後は優勝にばく進したというのに、今回の非常状態において、何も手が打てなかった監督の責任は大きい。そして、そのツケは「一勝できず、一点も取れず」という最も惨めな結末となった。まさにナポレオンの没落であった。

【ベンチがアホやと野球(サッカー)がでけへん!】アルゼンチン編

 今大会のアルゼンチンは大変前評判が高かった。優勝候補の筆頭にあげる人も多かった。確かに南米予選での圧倒的勝利をみれば当然だし、選手も世界各国のリーグで活躍するスターばかりである。当然、その「史上最強チーム」を作り上げた、監督のビエルサも高く評価されていた。選手自身も「当然優勝!」を口にしてはばからなかった。

 が、初戦のナイジェリアにセット・プレーから1点しか取れず、なんとか競り勝った時点で、その攻撃力・システムに修正を加えるべきだった。簡単に言えば、バティストゥータ(あるいはクレスポ)の1トップから、バティ・クレスポ併用の2トップに変更することを試して欲しかった。これだけの選手の集団ならどのようなシステムでもすぐに対処できるわけで、従来の方法がうまくいかないのなら、果敢に修正を試みるべきだ。

 ところが、監督は意固地なまでに自分の戦術にこだわり続け、最終戦で絶対勝たねばならない局面においても、自分を押し通した。しかしその結果が、1次リーグ敗退という、誰もが予想しなかったことが起きてしまったのだ。未曾有の経済危機に苦しむアルゼンチン国民の失望は大きかったろうが、あのバティが泣いている姿には、私も心を動かされた。経済危機の影響で、アルゼンチンのサッカー協会はビエルサ監督に給料未払い状態であったらしいが、まさかその腹いせではあるまい。

【ベンチがアホやと野球(サッカー)がでけへん!】ポルトガル編

 ポルトガルには、世界ユース選手権で2大会連続優勝した選手達が揃っている。サッカー・ファンはその世代を敬意を込めて、「ゴールデン・エイジ」と呼ぶ。しかし、その「ゴールデン・エイジ」達は、不幸にもワールドカップとは今まで縁がなかった。それは、「美しく、楽しい」サッカーを目指すため、ぎりぎりの勝負に勝てず、いつもヨーロッパ予選で涙をのんでいたのだ。が、それぞれが各国の一流リーグのエースとして活躍することで、じょじょにたくましさを身につけ、「美しく、楽しく、強い」サッカーをつくりあげた。その成果は2000ヨーロッパ選手権でのベスト4でしめされ、国や民族を越えた多くサッカーファンを驚喜させた。

 だから、このワールドカップ登場にはものすごく期待し、胸をふくらましていたのだ。なにせ、フィーゴ、ルイ・コスタにとって最後の大会になるだろうから。ところが、いきなりのアメリカ戦で大失敗をやらかした。まさかの前半で3失点。確かにアメリカは怖いチームだ。が、しかし、冷静に試合に入っていけば、彼らの実力からしてあり得ない序盤だった。アメリカをなめていたのか?はじめてのワールドカップに緊張していたのか?それでも、後半、本来の力を出し始め、2点取り、追いつくのは時間の問題と思えた時、監督のオリベイラはルイ・コスタにかえて、FWのヌーノ・ゴメスをいれ、ただのパワー・プレイの戦術にしてしまった。結局、この選択は裏目に出て、引き分け可能の試合を負けてしまった。実に愚かな交代だった。

 2戦目のポーランド戦、ルイ・コスタの大活躍で圧勝し、最後の韓国戦に勝てば1次リーグ突破だったのだが、なんとオリベイラはルイ・コスタを先発させなかった。おまけに、韓国のあまりのツブシにきれた、ジョアン・ピントが報復してレッドカード退場、後半にはいってベトが退場で9人になった時点で、もはやルイ・コスタを投入することができなくなった。11対9になった直後の韓国の先制で、ポルトガルの夢は終わった。その後のフィーゴひとり獅子奮迅のガンバリもおよばなかった。なぜ、最初からルイ・コスタ/フィーゴの二枚看板を使わず、フィーゴを見殺しにしたのか?もうちょっと冷静に試合を運ぶようコントロールしていれば2人の退場者を出さずにすんだのではないのか?

 とにかく、オリベイラの采配ミスにより、私をはじめとする「美しいサッカー」を指向する人々の希望は無惨にも破られた。ポルトガル「ゴールデン・エイジ」はその素晴らしさをほとんど我々に披露することなく極東を去った。彼らが期待を裏切ったため、今大会の最大の花がなくなった。
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by harukko45 | 2002-06-20 00:00 | スポーツ

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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